以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(発明の実施の形態1)
図1は本発明の一実施形態であるボンディング方法におけるインナリード認識方法を示す工程図である。図2はその各工程を説明する各説明図である。図3は本発明の一実施形態であるボンディング装置を示す模式図である。図4はそのボンディング方法の各工程を示す各部分断面図である。図5はワークを示しており、(a)は一部省略平面図、(b)は一部省略正面断面図である。図6は製造されたμBGA・ICを示しており、(a)は平面図、(b)は一部切断正面図である。
本実施形態において、本発明に係るボンディング方法は、μBGAを備えているIC(以下、μBGA・ICという。)の製造方法のボンディング工程に使用されており、図3に示されているボンディング装置によって実施される。μBGA・ICの製造方法のボンディング工程におけるワーク1は、図5に示されているように構成されている。ワーク1はテープキャリアにチップが絶縁層を介して機械的に接続されて構成されている。キャリアとしてのテープキャリア2はTCP・IC(テープ・キャリア・パッケージを備えているIC)の製造方法に使用されているTAB(テープ・オートメイテッド・ボンディング)テープに相当するものである。テープキャリア2は同一パターンが長手方向に繰り返されるように構成されているため、その構成の説明および図示は一単位だけについて行われている。
テープキャリア2はポリイミド等の絶縁性樹脂が用いられて同一パターンが長手方向に連続するテープ形状に一体成形されているキャリア本体3を備えており、キャリア本体3には正方形のバンプ形成部4が長手方向に一列横隊に整列されている。バンプ形成部4にはバンプホール5が多数個、正方形の環状線上において整列されて開設されており、各バンプホール5には後記するバンプが後記するアウタリードに電気的に接続するように構成されるようになっている。バンプ形成部4の四辺には長方形の長孔形状に形成された窓孔6が4本、正方形の枠形状に配置されて開口されている。
キャリア本体3の片側主面(以下、下面とする。)にはインナリード7が複数本、各窓孔6を短手方向に跨ぐようにしてそれぞれ配線されている。各インナリード7のバンプ形成部4側に位置する一端(以下、内側端とする。)には、各アウタリード8がそれぞれ一連に連設されており、互いに一連になったインナリード7とアウタリード8とは機械的かつ電気的に一体の状態になっている。インナリード7群およびアウタリード8群は、銅や金等の導電性を有する材料が使用されて形成されている。インナリード7群およびアウタリード8群の形成方法としては、キャリア本体3に溶着や接着等の適当な手段によって固着させた銅箔や金箔をリソグラフィー処理およびエッチング処理によってパターニングする方法や、キャリア本体3にリソグラフィー処理によって選択的に金めっき処理する方法等がある。各アウタリード8のバンプホール5に対向する部位は、バンプ形成部4から露出した状態になっている。
インナリード7群は各窓孔6の長手方向に間隔を置かれて互いに平行に配線されている。各インナリード7の窓孔6に架橋した部分における両端辺には三角形状のノッチ9が一対、尖端側を内向きに切り込まれるようにそれぞれ形成されている。つまり、インナリード7は両ノッチ9、9を結ぶ線において容易に切断され得るようになっている。各インナリード7において、一対のノッチ9、9は中央から窓孔6におけるバンプ形成部4と反対側(以下、外側とする。)に片寄った位置に配されている。すなわち、インナリード7における両ノッチ9、9が窓孔6の外側に寄った側の部分(以下、短い部分という。)7aの長さは、インナリード7における両ノッチ9、9が窓孔6の内側辺から遠のいた側の部分(以下、長い部分という。)7bの長さよりも短くなっている。
キャリア本体3の下面にはエラストマやシリコンゴム製の絶縁膜10が接着等の適当な手段によって被着されており、インナリード7群およびアウタリード8群は絶縁膜10によって被覆されている。絶縁膜10におけるキャリア本体3の各窓孔6に対向する部位には、長方形孔形状の窓孔11がインナリード7群を外部に露出させるように、キャリア本体3の窓孔6よりも若干大きめに開口されている。したがって、テープキャリア2はキャリア本体3、インナリード7群、アウタリード8群および絶縁膜10によって構成されている。
図5に示されているように、チップ12はテープキャリア2の一単位と略等しい大きさの正方形の平板形状に形成されており、その一主面側(以下、アクティブ・エリア側という。)には、半導体素子を含む所望の半導体集積回路が作り込まれている。すなわち、チップ12は所謂IC製造の前工程において半導体ウエハの状態でアクティブ・エリア側に半導体集積回路を作り込まれ、ダイシング工程において正方形の平板形状に分断されて製造される。チップ12のアクティブ・エリア側の表面は、パッシベーション膜13によって被覆されており、パッシベーション膜13に形成された開口部には電極パッド14が外部に露出する状態に形成されている。電極パッド14は複数形成されており、テープキャリア2における各インナリード7に対応されている。
このように構成されたチップ12は前記構成に係るテープキャリア2に、図5に示されているように機械的に接続されている。すなわち、チップ12はテープキャリア2に各電極パッド14が各インナリード7にそれぞれ整合するように配されて、パッシベーション膜13と絶縁膜10との間で接着されて機械的に接続される。この状態において、各インナリード7は各電極パッド14に絶縁膜10および接着層の厚さ分だけ上方に離れた位置でそれぞれ対向した状態になっている。各インナリード7において、一対のノッチ9、9は電極パッド14の真上よりも左方に片寄った位置に配された状態になっており、インナリード7の長い部分7bの略中央部が電極パッド14の真上に位置した状態になっている。
図3に示されているボンディング装置20はステージ21を備えており、ステージ21は前記構成に係るワーク1を水平に保持するように構成されている。ステージ21の片脇にはXYテーブル22が設備されており、XYテーブル22はその上に搭載されたボンディングヘッド23をXY方向に移動させるように構成されている。ボンディングヘッド23には先端にボンディング工具25を取り付けられたボンディングアーム24の一端部が支持されており、ボンディングヘッド23はボンディングアーム24を操作することによりボンディング工具25を上下動させるように構成されている。ボンディングアーム24には位置検出センサ26が設備されており、位置検出センサ26は後記するメインコントローラに接続されている。XYテーブル22およびボンディングヘッド23には、これらの作動を制御するコントローラ(以下、作動コントローラという。)27が接続されており、作動コントローラ27には作動を指令するコントローラ(以下、メインコントローラという。)28が接続されている。メインコントローラ28にはディスプレー29が接続されている。
ボンディングヘッド23にはインナリード認識装置30を構成するための画像取り込み装置としての工業用テレビカメラ(以下、カメラという。)31がスタンド36によって設備されており、カメラ31はステージ21上のワーク1を撮映するようになっている。カメラ31にはインナリード認識用測定線を設定するインナリード認識用測定線設定部(以下、設定部という。)32が接続されており、設定部32には輝度測定部33が接続されている。輝度測定部33には加算輝度分布波形を形成する形成部34が接続され、形成部34にはインナリードの中心線を判定する判定部35が接続されている。判定部35はメインコントローラ28に接続されており、判定結果をメインコントローラ28に送信するようになっている。
次に、前記構成に係るボンディング装置による本発明の一実施形態であるボンディング方法におけるインナリード認識方法を、図1、図2および図3によって説明する。
メインコントローラ28はXYテーブル22を駆動して、ステージ21の上に載置されたワーク1におけるこれからボンディングしようとするインナリード7の撮映位置にカメラ31を移動させる。カメラ31は図1における画像取り込み工程41を実行して、これからボンディングしようとするインナリード7を撮映する。カメラ31によって撮映された図2(a)に示されている画像51は、ディスプレイ29に映し出されるとともに、設定部32に入力される。
設定部32は図1におけるインナリード認識用測定線設定工程42を実行して、図2(a)に示されているように、画像51におけるインナリード7にそれぞれ直交する画像走査線のうち、電極パッド14を含む画像走査線の1本によって電極パッド対応インナリード認識用測定線(以下、中央測定線という。)52を設定し、電極パッド14の両脇の画像走査線の1本ずつによって各電極パッド外側インナリード認識用測定線(以下、それぞれ内側端部測定線および外側端部測定線という。)53および54を設定する。
輝度測定部33は図1における輝度測定工程43を実行して、中央測定線52、内側端部測定線53および外側端部測定線54毎に各走査線上の各点における輝度をそれぞれ測定し、図2(b)、(c)および(d)に示されているように、中央測定線輝度波形52a、内側端部測定線輝度波形53aおよび外側端部測定線輝度波形54aをそれぞれ形成する。これら中央測定線輝度波形52a、内側端部測定線輝度波形53aおよび外側端部測定線輝度波形54aは形成部34に入力される。
形成部34は図1における形成工程44を実行して、図2(b)、(c)および(d)に示された中央測定線輝度波形52a、内側端部測定線輝度波形53aおよび外側端部測定線輝度波形54aを走査線上の各点を一致させて、すなわち、時系列を一致させて重ね合わせることにより、図2(e)に示されている加算輝度分布波形55を形成する。つまり、中央測定線輝度波形52a、内側端部測定線輝度波形53aおよび外側端部測定線輝度波形54aの輝度が各点毎に加算されて、加算輝度分布波形55が形成される。この加算輝度分布波形55は判定部35に入力される。
判定部35は図1における判定工程45を実行して、図2(f)に示されているように、まず、加算輝度分布波形55に閾値56を設定する。続いて、加算輝度分布波形55における閾値56以上の領域57における重心58が算出され、この重心58に対向する位置がこれからボンディングしようとするインナリード7の中心線の位置59として判定される。つまり、これからボンディングしようとしているインナリード7の位置が正確に認識されたことになる。
以上のようにして求められたインナリード7の中心線の位置59にボンディング装置20のボンディング工具25の中心線が、メインコントローラ28の指令に基づいて作動コントローラ27の制御によるXYテーブル22の作動によって一致されることにより、インナリード7は電極パッド14に正確にボンディングされる。
次に、前記構成に係るボンディング装置による本発明の一実施形態であるボンディング方法を、図4によって説明する。
図4(a)に示されているように、ボンディング工具25がインナリード7の長い部分7bのノッチ9の近くの部位を押し下げると、インナリード7は両ノッチ9、9を結ぶ線から切断される。
図4(b)に示されているように、ボンディング工具25がさらに下降されることにより、インナリード7の長い部分7bの切断部片が押し下げられてチップ12の上面に着地される。
ボンディング工具25がチップ12の上面にインナリード7を介して着地したか否かは、ボンディングアーム24に設備された位置検出センサ26からの位置データを分析することによってメインコントローラ28において判定される。ボンディング工具25がチップ12の上面に着地していないと判定した場合には、メインコントローラ28はブザー等の警報装置を警報作動させるとともに、ディスプレー29に警報内容を表示させる。次いで、作業者によるキーボードの手動操作またはメインコントローラ28による自動指令制御によって、ボンディング工具25は徐々に下降されてチップ12の上面にインナリード7を介して着地される。
そして、ボンディング工具25がチップ12の上面にインナリード7を介して着地したと判定すると、メインコントローラ28は着地時における位置検出センサ26からの位置データを読み込んで、チップ12の上面における着地点の高さを測定する。
ボンディング工具25の高さを測定したメインコントローラ28は、ボンディング工具25を予め設定された所定の高さHだけ図4(c)に示されているように上昇させる。所定の高さHは実験やコンピュータによるシュミレーションおよび過去の実績データ等の経験的手法によって、異なるボンディング条件毎に対応した最適値が求められ、予め、キーボードによってメインコントローラ28に記憶されている。メインコントローラ28は所定の高さHを作動コントローラ27に指令する。作動コントローラ27はボンディングヘッド23を制御してボンディングアーム24を揺動させることにより、ボンディング工具25を所定高さHだけ上昇させる。
ボンディング工具25が所定の高さHだけ上昇すると、図4(c)に示されているように、インナリード7の長い部分7bの切断部片は、インナリード7のスプリングバックによってチップ12の上面から離れるように若干上昇する。インナリード7の長い部分7bの切断部片がチップ12から上昇した状態において、所定の高さHだけ上昇したボンディング工具25は、インナリード7の長い部分7bの切断部片の上面から離れた状態になっている。
続いて、図4(d)に示されているように、ボンディング工具25はそのままの高さを維持した状態で、バンプ形成部4の方向に電極パッド14の真上まで平行移動される。この平行移動に伴って、インナリード7の長い部分7bの切断部片はボンディング工具25によってバンプ形成部4の方向へずらされるとともに、斜め下方に押し下げられるため、その切断部片は所定のループ形状を形成された状態になるとともに、その先端部下面は電極パッド14の上面に当接された状態になる。
次いで、図4(e)に示されているように、ボンディング工具25は下降されてインナリード7の長い部分7bの切断部片を押し下げる。この押し下げにより、インナリード7の長い部分7bの切断部片の切り口側端部は、所定のループ形状を形成したまま電極パッド14に押接される。ボンディング工具25はインナリード7の長い部分7bの切断部片の切り口側端部を電極パッド14に押接させるとともに、熱および超音波エネルギを作用させることにより熱圧着(圧接)させる。すなわち、インナリード7は電極パッド14にボンディング工具25によってボンディングされたことになる。
その後、前記したインナリード認識方法およびボンディング方法が各インナリード7毎に繰り返されることにより、チップ12がテープキャリア2に電気的に接続される。各インナリード7毎のボンディングに際して、インナリード7がチップ12の電極パッド14にボンディング工具25によってボンディングされる以前に、インナリード7の中心線の位置59が認識されるとともに、チップ12における電極パッド14のボンディング工具25に対する高さが逐次測定され、この認識された中心線の位置59および測定された各高さに対応した最適条件でボンディング工具25によるボンディングがそれぞれ実行される。
したがって、例えば、バンプ形成部4の下に絶縁膜10を介して機械的に接続されたチップ12が傾くことにより、ボンディング工具25によって次々にボンディング(熱圧着)されて行くインナリード7と電極パッド14との間隔の相互間に誤差がそれぞれ発生していたとしても、各インナリード7毎に相互間の誤差に対応した最適条件によってボンディング工具25によるボンディングがそれぞれ実行されるため、ボンディング後の各インナリード7のループ形状はそれぞれ適正に形成されることになる。
全てのインナリード7について前記したボンディング作業が終了すると、図6に示されているように、テープキャリア2の各窓孔6の内部にエラストマやシリコンゴム等の絶縁性材料がポッティングされることによって、インナリード7群が樹脂封止部15によって樹脂封止される。
次いで、テープキャリア2の各アウタリード8における各バンプホール5の底で露出した部位に半田ボールが半田付けされることにより、図6に示されているように、バンプ形成部4の上面から突出したバンプ16がテープキャリア2に形成される。以上のようにして図6に示されているμBGA・IC17が製造されたことになる。
前記実施の形態によれば、次の効果が得られる。
1) インナリード7を電極パッド14にボンディング工具25によってボンディングするに際して、インナリード7がチップ12の電極パッド14にボンディング工具25によってボンディングされる以前に、インナリード7の中心線の位置59を逐次認識することにより、ボンディング工具25をインナリード7に正確に整合させることができるため、各インナリード7を各電極パッド14にいずれも適正にボンディングすることができるため、μBGA・IC17の品質および信頼性並びに製造歩留りを高めることができる。
2) 中央測定線輝度波形52a、内側端部測定線輝度波形53aおよび外側端部測定線輝度波形54aの輝度を同一点毎に加算して加算輝度分布波形55を形成し、この加算輝度分布波形55に閾値56を設定することにより、加算輝度分布波形55における閾値56以上の領域57を高く形成させることができるため、インナリード7の背景となる電極パッド14の存在にかかわらず、インナリード7の中心線の位置59を正確に判定することができ、これからボンディングしようとしているインナリード7の位置を正確に認識することができる。
図7は本発明の実施形態であるボンディング方法におけるインナリード認識方法を示す工程図である。図8はその各工程を説明する各説明図である。
本実施形態が前記実施形態1と異なる点は、インナリードおよび電極パッドに対応する画像を横から取り込んでインナリードの厚さの中心線を認識するように構成した点にある。本実施形態であるボンディング方法におけるインナリード認識方法を、図7および図8によって説明する。
本実施形態において、カメラは水平方向横向きになってインナリード7および電極パッド14に対応する図8(a)に示された画像71を取り込むことにより、図7における画像取り込み工程61を実行する。水平方向横向きのカメラによって撮映された図8(a)に示されている画像71は、ディスプレイに映し出されるとともに、設定部32に入力される。
設定部32は図7におけるインナリード認識用測定線設定工程62を実行して、図8(a)に示されているように、画像71におけるインナリード7にそれぞれ直交する垂直走査線(テレビ画像の場合は仮想的な走査線となるが、画像処理によって容易に設定することができる。)のうち、電極パッド14を含む画像走査線の1本によって電極パッド対応インナリード認識用測定線(以下、中央測定線という。)72を設定し、電極パッド14の両脇の画像走査線の1本ずつによって各電極パッド外側インナリード認識用測定線(以下、それぞれ内側端部測定線および外側端部測定線という。)73および74を設定する。
輝度測定部33は図1における輝度測定工程63を実行して、中央測定線72、内側端部測定線73および外側端部測定線74毎に各走査線上の各点における輝度をそれぞれ測定し、図8(b)、(c)および(d)に示されているように、中央測定線輝度波形72a、内側端部測定線輝度波形73aおよび外側端部測定線輝度波形74aをそれぞれ形成する。これら中央測定線輝度波形72a、内側端部測定線輝度波形73aおよび外側端部測定線輝度波形74aは形成部34に入力される。
形成部34は図1における形成工程64を実行して、図8(b)、(c)および(d)に示された中央測定線輝度波形72a、内側端部測定線輝度波形73aおよび外側端部測定線輝度波形74aを走査線上の各点を一致させて、すなわち、時系列を一致させて重ね合わせることにより、図8(e)に示されている加算輝度分布波形75を形成する。つまり、中央測定線輝度波形72a、内側端部測定線輝度波形73aおよび外側端部測定線輝度波形74aの輝度が各点毎に加算されて、加算輝度分布波形75が形成される。この加算輝度分布波形75は判定部35に入力される。
判定部35は図1における判定工程65を実行して、図8(f)に示されているように、まず、加算輝度分布波形75に閾値76を設定する。続いて、加算輝度分布波形75における閾値76以上の領域77における重心78が算出され、この重心78に対向する位置がインナリード7の厚さ方向の中心線の位置79として判定される。つまり、これからボンディングしようとしているインナリード7の高さ位置が正確に認識されたことになる。
以上のようにして求められたインナリード7の厚さ方向の中心線の位置すなわち高さ方向の位置79にボンディング装置20のボンディング工具25の高さが、メインコントローラ28の指令に基づいて作動コントローラ27の制御によるボンディングヘッド23の作動に利用されることにより、インナリード7は電極パッド14に正確にボンディングされる。
図9は本発明の実施形態であるボンディング方法におけるインナリード認識方法を示す工程図である。図10はその各工程を説明する各説明図である。
本実施形態が前記実施形態1と異なる点は、図10(b)、(c)および(d)に示されているように、中央測定線輝度波形52a、内側端部測定線輝度波形53aおよび外側端部測定線輝度波形54a毎に閾値56Aがそれぞれ設定され、閾値56Aを越える各領域57Aがそれぞれ求められた後に、これらが時系列を一致させて重ね合わせられることにより、図10(e)に示されている加算閾値以上輝度分布波形55Aが形成され、図10(f)に示されているように、加算閾値以上輝度分布波形55Aにおける領域57Aにおける重心58が算出され、この重心58に対向する位置がこれからボンディングしようとするインナリード7の中心線の位置59として判定される点である。
なお、前記実施形態においても、同様に、各中央測定線輝度波形72a、内側端部測定線輝度波形73aおよび外側端部測定線輝度波形74a毎に閾値を越える各領域をそれぞれ求めた後に、加算閾値以上輝度分布波形を形成して重心を算出し、この重心によってインナリード7の厚さ方向の中心線の位置として判定することができる。
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、中央測定線、内側端部測定線および外側端部測定線は1本ずつ設定するに限らず、多数本程電極パッドの影響を相対的に減少させることができるため、カメラの画素数が許容する範囲内で可及的に多く設定することが望ましい。
画像取り込み装置としては工業用テレビカメラを使用するに限らず、CCD等のエリアセンサやラインセンサ等を使用してもよい。その場合、画像取り込み装置を移動させて走査するように構成してもよいし、ステージを移動させて走査するように構成してもよい。
インナリードを電極パッドに電気的に接続するボンディング方法としては、超音波熱圧着方法を使用するに限らず、圧接方法や共晶方法等を使用することができる。
ボンディングを実行するボンディング装置はシングル・ポイント・ボンディング専用に構成するに限らず、既存のワイヤボンディング装置を利用して構成してもよい。
インナリード群およびアウタリード群の担体(キャリア)であるキャリア本体は、テープによって構成するに限らず、絶縁性を有する樹脂製のフィルムや、セラミックまたは絶縁性を有する樹脂等の材料を用いて形成された剛性を有する基板によって構成してもよい。
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野であるμBGA・ICの製造方法に適用した場合について説明したが、それに限定されるものではなく、その他のCSP・ICの製造方法等に使用されるボンディング技術全般に適用することができる。
(発明の実施の形態2)
図11は本発明の一実施形態であるボンディング方法の各工程をそれぞれ示す各部分断面図である。図12は本発明の一実施形態であるボンディング装置を示す模式図である。図13はワークを示しており、(a)は一部省略平面図、(b)は一部省略一部切断正面図である。図14は製造されたμBGA・ICを示しており、(a)は一部切断平面図、(b)は一部切断正面図である。
本実施形態において、本発明に係るボンディング方法は、μBGAを備えているIC(以下、μBGA・ICという。)の製造方法のボンディング工程に使用されており、図12に示されているボンディング装置によって実施される。μBGA・ICの製造方法のボンディング工程におけるワーク1は、図13に示されているように構成されている。ワーク1はテープキャリアにチップが絶縁層を介して機械的に接続されて構成されている。キャリアとしてのテープキャリア2はTCP・IC(テープ・キャリア・パッケージを備えているIC)の製造方法に使用されているTAB(テープ・オートメイテッド・ボンディング)テープに相当するものである。テープキャリア2は同一パターンが長手方向に繰り返されるように構成されているため、その構成の説明および図示は一単位だけについて行われている。
テープキャリア2はポリイミド等の絶縁性樹脂が用いられて同一パターンが長手方向に連続するテープ形状に一体成形されているキャリア本体3を備えており、キャリア本体3には正方形のバンプ形成部4が長手方向に一列横隊に整列されている。バンプ形成部4にはバンプホール5が多数個、正方形の環状線上において整列されて開設されており、各バンプホール5には後記するバンプが後記するアウタリードに電気的に接続するように構成されるようになっている。バンプ形成部4の四辺には長方形の長孔形状に形成された窓孔6が4本、正方形の枠形状に配置されて開口されている。
キャリア本体3の片側主面(以下、下面とする。)にはインナリード7が複数本、各窓孔6を短手方向に跨ぐようにしてそれぞれ配線されている。各インナリード7のバンプ形成部4側に位置する一端(以下、内側端とする。)には、各アウタリード8がそれぞれ一連に連設されており、互いに一連になったインナリード7とアウタリード8とは機械的かつ電気的に一体の状態になっている。インナリード7群およびアウタリード8群は、銅や金等の導電性を有する材料が使用されて形成されている。インナリード7群およびアウタリード8群の形成方法としては、キャリア本体3に溶着や接着等の適当な手段によって固着させた銅箔や金箔をリソグラフィー処理およびエッチング処理によってパターニングする方法や、キャリア本体3にリソグラフィー処理によって選択的に金めっき処理する方法等がある。各アウタリード8のバンプホール5に対向する部位は、バンプ形成部4から露出した状態になっている。
インナリード7群は各窓孔6の長手方向に間隔を置かれて互いに平行に配線されている。各インナリード7の窓孔6に架橋した部分における両端辺には三角形状のノッチ9が一対、尖端側を内向きに切り込まれるようにそれぞれ形成されている。つまり、インナリード7は両ノッチ9、9を結ぶ線において容易に切断され得るようになっている。各インナリード7において、一対のノッチ9、9は中央から窓孔6におけるバンプ形成部4と反対側(以下、外側とする。)に片寄った位置に配されている。すなわち、インナリード7における両ノッチ9、9が窓孔6の外側に寄った側の部分(以下、短い部分という。)7aの長さは、インナリード7における両ノッチ9、9が窓孔6の内側辺から遠のいた側の部分(以下、長い部分という。)7bの長さよりも短くなっている。
キャリア本体3の下面にはエラストマやシリコンゴム製の絶縁膜10が接着等の適当な手段によって被着されており、インナリード7群およびアウタリード8群は絶縁膜10によって被覆されている。絶縁膜10におけるキャリア本体3の各窓孔6に対向する部位には、長方形孔形状の窓孔11がインナリード7群を外部に露出させるように、キャリア本体3の窓孔6よりも若干大きめに開口されている。したがって、テープキャリア2はキャリア本体3、インナリード7群、アウタリード8群および絶縁膜10によって構成されている。
図13に示されているように、チップ12はテープキャリア2の一単位と略等しい大きさの正方形の平板形状に形成されており、その一主面側(以下、アクティブ・エリア側という。)には、半導体素子を含む所望の半導体集積回路が作り込まれている。すなわち、チップ12は所謂IC製造の前工程において半導体ウエハの状態でアクティブ・エリア側に半導体集積回路を作り込まれ、ダイシング工程において正方形の平板形状に分断されて製造される。チップ12のアクティブ・エリア側の表面は、パッシベーション膜13によって被覆されており、パッシベーション膜13に形成された開口部には電極パッド14が外部に露出する状態に形成されている。電極パッド14は複数個が形成されており、テープキャリア2における各インナリード7に対応されている。
このように構成されたチップ12は前記構成に係るテープキャリア2に、図13に示されているように機械的に接続されている。すなわち、チップ12はテープキャリア2に各電極パッド14が各インナリード7にそれぞれ整合するように配されて、パッシベーション膜13と絶縁膜10との間で接着されて機械的に接続される。この状態において、各インナリード7は各電極パッド14に絶縁膜10および接着層の厚さ分だけ上方に離れた位置でそれぞれ対向した状態になっている。各インナリード7において、一対のノッチ9、9は電極パッド14の真上よりも左方に片寄った位置に配された状態になっており、インナリード7の長い部分7bの略中央部が電極パッド14の真上に位置した状態になっている。
図12に示されているボンディング装置20はステージ21を備えており、ステージ21は前記構成に係るワーク1を水平に保持するように構成されている。ステージ21の片脇にはXYテーブル22が設備されており、XYテーブル22はその上に搭載されたボンディングヘッド23をXY方向に移動させるように構成されている。ボンディングヘッド23には先端にボンディング工具25を取り付けられたボンディングアーム24の一端部が支持されており、ボンディングヘッド23はボンディングアーム24を操作することによりボンディング工具25を上下動させるように構成されている。ボンディングアーム24には位置検出センサ26が設置されており、位置検出センサ26はボンディングアーム24の上下位置を検出して後記するメインコントローラへ送信するようになっている。
XYテーブル22およびボンディングヘッド23には、これらの作動を制御するコントローラ(以下、作動コントローラという。)27が接続されており、作動コントローラ27には作動を指令するコントローラ(以下、メインコントローラという。)28が接続されている。メインコントローラ28にはディスプレー29、キーボード29Aおよび警報機としてのブザー29Bが接続されている。
次に、前記構成に係るボンディング装置による本発明の一実施形態であるボンディング方法を、図11によって説明する。
図11(a)に示されているように、ボンディング工具25がインナリード7の長い部分7bのノッチ9の近くの部位を押し下げると、インナリード7は両ノッチ9、9を結ぶ線から切断される。
図11(b)に示されているように、ボンディング工具25がさらに下降されることにより、インナリード7の長い部分7bの切断部片が押し下げられてチップ12の上面に着地される。
ボンディング工具25がチップ12の上面にインナリード7を介して着地したか否かは、位置検出センサ26からの位置データを分析することによってメインコントローラ28において判定される。ボンディング工具25がチップ12の上面に着地していないと判定した場合には、メインコントローラ28はブザー29Bを警報作動させるとともに、ディスプレー29に警報内容を表示させる。次いで、作業者によるキーボード29Aの手動操作またはメインコントローラ28による自動指令制御によって、ボンディング工具25は徐々に下降されてチップ12の上面にインナリード7を介して着地される。
そして、ボンディング工具25がチップ12の上面にインナリード7を介して着地したと判定すると、メインコントローラ28は着地時の位置検出センサ26からの位置データを読み込んで、チップ12の上面における着地点の高さを測定する。
ボンディング工具25の高さを測定したメインコントローラ28は、ボンディング工具25を予め設定された所定の高さHだけ図11(c)に示されているように上昇させる。所定の高さHは実験やコンピュータによるシュミレーションおよび過去の実績データ等の経験的手法によって、異なるボンディング条件毎に対応した最適値が求められ、予め、キーボード29Aによってメインコントローラ28に記憶されている。メインコントローラ28は所定の高さHを作動コントローラ27に指令する。作動コントローラ27はボンディングヘッド23を制御してボンディングアーム24を揺動させることにより、ボンディング工具25を所定高さHだけ上昇させる。
ボンディング工具25が所定の高さHだけ上昇すると、図11(c)に示されているように、インナリード7の長い部分7bの切断部片は、インナリード7のスプリングバックによってチップ12の上面から離れるように若干上昇する。インナリード7の長い部分7bの切断部片がチップ12から上昇した状態において、所定の高さHだけ上昇したボンディング工具25は、インナリード7の長い部分7bの切断部片の上面から離れた状態になっている。
続いて、図11(d)に示されているように、ボンディング工具25はそのままの高さを維持した状態で、バンプ形成部4の方向に電極パッド14の真上まで平行移動される。この平行移動に伴って、インナリード7の長い部分7bの切断部片はボンディング工具25によってバンプ形成部4の方向へずらされるとともに、斜め下方に押し下げられるため、その切断部片は所定のループ形状を形成された状態になるとともに、その先端部下面は電極パッド14の上面に当接された状態になる。
次いで、図11(e)に示されているように、ボンディング工具25は下降されてインナリード7の長い部分7bの切断部片を押し下げる。この押し下げにより、インナリード7の長い部分7bの切断部片の切り口側端部は、所定のループ形状を形成したまま電極パッド14に押接される。ボンディング工具25はインナリード7の長い部分7bの切断部片の切り口側端部を電極パッド14に押接させるとともに、熱および超音波エネルギを作用させることにより熱圧着(圧接)させる。すなわち、インナリード7は電極パッド14にボンディング工具25によってボンディングされたことになる。
その後、前記したボンディング作業が各インナリード7毎に繰り返されることにより、チップ12がテープキャリア2に電気的に接続される。各インナリード7毎のボンディングに際して、インナリード7がチップ12の電極パッド14にボンディング工具25によってボンディングされる以前に、チップ12における電極パッド14のボンディング工具25に対する高さが逐次測定され、この測定された各高さに対応した最適条件でボンディング工具25によるボンディングがそれぞれ実行される。したがって、例えば、バンプ形成部4の下に絶縁膜10を介して機械的に接続されたチップ12が傾くことにより、ボンディング工具25によって次々にボンディング(熱圧着)されて行くインナリード7と電極パッド14との間隔の相互間に誤差がそれぞれ発生していたとしても、各インナリード7毎に相互間の誤差に対応した最適条件によってボンディング工具25によるボンディングがそれぞれ実行されるため、ボンディング後の各インナリード7のループ形状はそれぞれ適正に形成されることになる。
全てのインナリード7について前記したボンディング作業が終了すると、図14に示されているように、テープキャリア2の各窓孔6の内部にエラストマやシリコンゴム等の絶縁性材料がポッティングされることによって、インナリード7群が樹脂封止部15によって樹脂封止される。
次いで、テープキャリア2の各アウタリード8における各バンプホール5の底で露出した部位に半田ボールが半田付けされることにより、図14に示されているように、バンプ形成部4の上面から突出したバンプ16がテープキャリア2に形成される。以上のようにして図14に示されているμBGA・IC17が製造されたことになる。
前記実施の形態によれば、次の効果が得られる。
1) インナリード7を電極パッド14にボンディング工具25によってボンディングするに際し、インナリード7がチップ12の電極パッド14にボンディング工具25によってボンディングされる以前に、チップ12の電極パッド14のボンディング工具25に対する高さを逐次測定し、測定した各高さにそれぞれ対応した最適条件によってボンディング工具25によるボンディングを実行することにより、各インナリード7を各電極パッド14にいずれも適正なループ形状をもってボンディングすることができるため、μBGA・IC17の品質および信頼性並びに製造歩留りを高めることができる。
2) 例えば、バンプ形成部4の下に絶縁膜10を介して機械的に接続されたチップ12が傾くことにより、ボンディング工具25によって次々にボンディングされて行くインナリード7と電極パッド14との間隔の相互間に誤差がそれぞれ発生していたとしても、各インナリード7毎に相互間の誤差に対応した最適条件下によってボンディング工具25によるボンディングがそれぞれ実行されるため、ボンディング後の各インナリード7のループ形状をいずれも適正に形成することができる。
3) 高さの測定と測定後のボンディングとを同一のボンディング工具25の一連の作動によって連続して実行することにより、ボンディング作業を同一ステージにおいて完了させることができるため、ボンディングの作業時間を短縮することができるとともに、ボンディング装置の構造を簡単化することができる。
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、高さの測定は各インナリード毎に実行するに限らず、チップにおける電極パッド群を含む平面である上面の少なくとも3箇所にボンディング工具を接触させて、チップの平行度を求めることにより実行してもよい。
また、高さの測定はボンディング工具をチップの電極パッド群を含む平面である上面に接触させて実行するに限らず、レーザー測距器等の非接触形センサを使用することにより実行してもよい。非接触形センサによる測定は、オンラインで実行してもよいし、オフラインで実行してもよい。
インナリードを電極パッドに電気的に接続するボンディング方法としては、超音波熱圧着方法を使用するに限らず、圧接方法や共晶方法等を使用することができる。
ボンディングを実行するボンディング装置はシングル・ポイント・ボンディング専用に構成するに限らず、既存のワイヤボンディング装置を利用して構成してもよい。
インナリード群およびアウタインナリード群の担体(キャリア)であるキャリア本体は、テープによって構成するに限らず、絶縁性を有する樹脂製のフィルムや、セラミックまたは絶縁性を有する樹脂等の材料を用いて形成された剛性を有する基板によって構成してもよい。
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野であるμBGA・ICの製造方法に適用した場合について説明したが、それに限定されるものではなく、その他のCSP・ICの製造方法等に使用されるボンディング技術全般に適用することができる。
(発明の実施の形態3)
図15は本発明の一実施形態であるμBGA・ICの製造方法を示す工程図である。図16はそれに使用されるボンディング装置を示す正面図である。図17はその主要部を示す一部切断正面図である。図18は同じく平面図である。図19は同じくブロック図を含む一部切断正面図である。図20はワークを示す一部省略平面図である。図21の(a)は同じく一部切断正面図、(b)は一部切断側面図である。図22はチップを示しており、(a)は平面図、(b)は一部切断正面図、(c)は拡大した一部切断側面図である。図23はワークのステージへの供給および位置決め方法を示す斜視図である。図24はインナリードと電極パッドとの位置関係測定方法を説明するための説明図であり、(a)はワーク全体を示す画面図、(b)は特徴リードの測定ステップを示す画面図、(c)は特徴パッドの測定ステップを示す画面図である。図25はインナリード認識方法の各工程を説明する各説明図である。図26はボンディング方法の各工程を説明する各説明図である。
本実施形態において、本発明に係る半導体集積回路装置の製造方法は、μBGAを備えているIC(以下、μBGA・ICという。)を製造する方法として構成されており、その主要工程であるボンディング工程は図16〜図19に示されているボンディング装置によって実施される。
図15に示されているように、このμBGA・ICの製造方法においては、図20〜図21に示されているワークがワーク準備工程において準備されて、ボンディング方法が実施されるボンディング工程に供給される。すなわち、このボンディング工程に供給されるワーク1は、図20および図21に示されているように構成されている。ワーク1はテープキャリアにチップが絶縁層を介して機械的に接続されて構成されている。キャリアとしてのテープキャリア2はTCP・IC(テープ・キャリア・パッケージを備えているIC)の製造方法に使用されているTAB(テープ・オートメイテッド・ボンディング)テープに相当するものである。テープキャリア2は同一パターンが長手方向に繰り返されるように構成されているため、その構成の説明および図示は一単位だけについて行われている。
テープキャリア2はポリイミド等の絶縁性樹脂が用いられて同一パターンが長手方向に連続するテープ形状に一体成形されているキャリア本体3を備えており、キャリア本体3にはバンプ形成部4が長手方向に一列横隊に整列されている。バンプ形成部4にはバンプホール5が多数個、4本の平行線上において整列されて開設されており、各バンプホール5には後記するバンプが後記するアウタリードに電気的に接続するように構成されるようになっている。バンプ形成部4の中心線上には長孔形状に形成された窓孔6が、バンプホール5の列と平行に開口されている。また、バンプ形成部4の外周辺部には切断を補助するための長孔6Aが4本、長方形の枠形状に配されて開設されている。
キャリア本体3の片側主面(以下、下面とする。)にはインナリード7が複数本、窓孔6に短手方向に突き出すようにそれぞれ配線されている。各インナリード7のバンプ形成部4側に位置する一端(以下、外側端とする。)には、各アウタリード8がそれぞれ一連に連設されており、互いに一連になったインナリード7とアウタリード8とは機械的かつ電気的に一体の状態になっている。各アウタリード8のバンプホール5に対向する部位は、バンプ形成部4から露出した状態になっており、各アウタリード8の外側端は長孔6Aの外側まで伸びた状態になっている。インナリード7群およびアウタリード8群は、銅や金等の導電性を有する材料が使用されて形成されている。インナリード7群およびアウタリード8群の形成方法としては、キャリア本体3に溶着や接着等の適当な手段によって固着させた銅箔や金箔をリソグラフィー処理およびエッチング処理によってパターニングする方法や、キャリア本体3にリソグラフィー処理によって選択的に金めっき処理する方法等がある。
インナリード7群は各窓孔6の長手方向に間隔を置かれて互いに平行に配線されている。各インナリード7の窓孔6に突き出た部分は窓孔6の中心線を跨いだ位置で切断された状態になっている。すなわち、インナリード7の窓孔6に突き出た部分の長さは窓孔6の幅よりも短く幅の半分よりも長く設定されている。
キャリア本体3の両端辺部には規則的に配列された規則部としてのスプロケット・ホール(以下、ホールという。)3Aが多数個、長さ方向に等間隔にそれぞれ配列されて開設されており、各ホール3Aは正方形の孔形状に形成されている。また、キャリア本体3におけるアウタリード8群の両脇には特徴部としてのリード(以下、特徴リードという。)9Aを表示するための特徴リード表示孔(以下、表示孔という。)3Bが一対、対角位置にそれぞれ開設されており、各表示孔3Bは正方形の孔形状に形成されている。各表示孔3Bのキャリア本体3の下面には特徴リード9Aがそれぞれ形成されており、各特徴リード9Aはインナリード7およびアウタリード8と区別し得るように略h形状に形成されて横向きに配置されている。
キャリア本体3の下面にはエラストマやシリコンゴム製の絶縁膜10が接着等の適当な手段によって被着されており、インナリード7群およびアウタリード8群は絶縁膜10によって被覆されている。絶縁膜10におけるキャリア本体3の窓孔6に対向する部位には、長方形孔形状の窓孔11がインナリード7群を外部に露出させるように、キャリア本体3の窓孔6よりも若干大きめに開口されている。したがって、テープキャリア2はキャリア本体3、インナリード7群、アウタリード8群および絶縁膜10によって構成されている。
図22に示されているように、チップ12は長方形の平板形状に形成されており、その一主面側(以下、アクティブ・エリア側という。)には、半導体素子を含む所望の半導体集積回路が作り込まれている。すなわち、チップ12は所謂IC製造の前工程において半導体ウエハの状態でアクティブ・エリア側に半導体集積回路を作り込まれ、ダイシング工程において長方形の平板形状に分断されて製造される。チップ12のアクティブ・エリア側の表面は、パッシベーション膜13によって被覆されており、パッシベーション膜13に形成された開口部には電極パッド14が外部に露出する状態に形成されている。電極パッド14は複数形成されており、テープキャリア2における各インナリード7に対応されている。また、電極パッド14群の列の両脇には特徴部としてのパッド(以下、特徴パッドという。)14Aが一対、それぞれ形成されており、各特徴パッド14Aは電極パッド14と区別し得るようにT字形状に形成されている。
図20および図21に示されているように、ワーク1においてチップ12はテープキャリア2に機械的に接続されている。すなわち、チップ12はテープキャリア2に各電極パッド14が各インナリード7にそれぞれ整合するように配された状態で、パッシベーション膜13と絶縁膜10との間で接着されて機械的に接続される。この状態において、インナリード7は電極パッド14に絶縁膜10および接着層の厚さ分だけ上方に離れた位置で対向した状態になっており、インナリード7の先端部は電極パッド14の真上に位置した状態になっている。
図16に示されているように、ボンディング装置80にはステージ21が設定されており、ステージ21は前記構成に係るワーク1を水平に保持するように構成されている。図19に示されているように、ステージ21の片脇にはXYテーブル22が設備されており、XYテーブル22はその上に搭載されたボンディングヘッド23をXY方向に移動させるように構成されている。ボンディングヘッド23には先端にボンディング工具25を取り付けられたボンディングアーム24の一端部が支持されており、ボンディングヘッド23はボンディングアーム24を操作することによりボンディング工具25を上下動させるように構成されている。ボンディングアーム24には位置検出センサ26が設備されており、位置検出センサ26は後記するメインコントローラに接続されている。XYテーブル22およびボンディングヘッド23には、これらの作動を制御するコントローラ(以下、作動コントローラという。)27が接続されており、作動コントローラ27には作動を指令するコントローラ(以下、メインコントローラという。)28が接続されている。メインコントローラ28にはディスプレー29が接続されている。
XYテーブル22にはインナリード認識装置30を構成するための画像取り込み装置としての工業用テレビカメラ(以下、カメラという。)31がスタンド36によって設備されており、カメラ31はステージ21上のワーク1を撮映するようになっている。カメラ31にはインナリード認識用測定線を設定するインナリード認識用測定線設定部(以下、設定部という。)32が接続されており、設定部32には輝度測定部33が接続されている。輝度測定部33には加算輝度分布波形を形成する形成部34が接続され、形成部34にはインナリードの中心線を判定する判定部35が接続されている。判定部35はメインコントローラ28に接続されており、判定結果をメインコントローラ28に送信するようになっている。
図16に示されているように、ボンディング装置80はワーク1を搬送するためのローディングリール81およびアンローディングリール82を備えており、ワーク1はローディングリール81とアンローディングリール82との間に張られている。ローディングリール81の下側にはスペーサテープ巻取りリール83が支持されており、スペーサテープ巻取りリール83はローディングリール81がワーク1を繰り出した後のスペーサテープ84を巻き取るように構成されている。アンローディングリール82の下側にはスペーサテープ繰出しリール85が支持されており、スペーサテープ繰出しリール85はアンローディングリール82がワーク1を巻き取る際にスペーサテープ86を繰り出して行くように構成されている。
図17および図18に示されているように、ボンディング装置80のステージ21が設定された場所には昇降駆動装置87によって昇降されるヒートブロック88が設備されており、ヒートブロック88の上面には窪み89がワーク1のチップ12を収容し得るように掘り下げられている。ヒートブロック88の上面における窪み89の外側部分によって下側押さえ90が形成されている。ヒートブロック88の真上には下側押さえ90と同形の長方形枠形状に形成された上側押さえ91が設備されており、上側押さえ91はロータリーアクチュエータ92によって上下方向に往復回動されるように支持されている。上側押さえ91は下側に回動してワーク1におけるチップ12の周囲を下側押さえ90に押さえ付けることにより、ワーク1をステージ21に固定するようになっている。
ボンディング装置80におけるワーク1の両側(以下、前側および後側とする。)端部には、前後で一対のガイドレール93、93が左右方向に平行で水平にそれぞれ敷設されている。ワーク1はホール3A群が配列されたキャリア本体3の両端部を両ガイドレール93、93によって摺動自在に挟まれた状態で水平に案内されて、ローディングリール81側からアンローディングリール82の方向に送られるようになっている。
両ガイドレール93、93のステージ21から右側に離れた位置には、前後で一対の送りローラ94、94がキャリア本体3の両端部下面に接する状態で回転自在に支持されており、両送りローラ94、94には送りモータ95に駆動されるベルト96が巻き掛けられている。両送りローラ94、94のキャリア本体3を挟んだ上側には前後で一対の押さえローラ97、97が、送りローラ94と協働してキャリア本体3を挟むように配設されており、両押さえローラ97、97は他端部をピン98によって上下方向に回動自在に支持されたアーム99の一端部に回転自在に支持されている。アーム99のピン98寄りの位置にはスプリング100がアーム99を下方に付勢するように係止されており、アーム99のスプリング100よりも押さえローラ97寄りの位置には電磁プランジャ101がアーム99を上下動させるように係合されている。
両ガイドレール93、93のステージ21から左側に離れた位置には、前後で一対のバックテンションローラ102、102がキャリア本体3の両端部下面に接する状態で回転自在に支持されており、両バックテンションローラ102、102にはバックテンションモータ103に駆動されるベルト104が巻き掛けられている。両バックテンションローラ102、102のキャリア本体3を挟んだ上側には前後で一対の押さえローラ105、105が、バックテンションローラ102と協働してキャリア本体3を挟むように配設されており、両押さえローラ105、105は他端部をピン106によって上下方向に回動自在に支持されたアーム107の一端部に回転自在に支持されている。アーム107のピン106寄りの位置にはスプリング108がアーム107を下方に付勢するように係止されており、アーム107のスプリング108よりも押さえローラ105寄りの位置には電磁プランジャ109がアーム107を上下動させるように係合されている。
後側のガイドレール93のステージ21から右側に離れた位置にはホール覗き孔110が、キャリア本体3に開設されたホール3Aよりも大きい長方形の孔形状に開設されており、ホール覗き孔110の真上にはホール検出装置としてのホトセンサ111が、スタンド等で支持されて設備されている。ホトセンサ111はホール覗き孔110を通してホール3Aを検出するように構成されている。ホトセンサ111にはホール3Aの通過に基づいてワーク1の位置を制御するワーク位置コントローラ112が接続されており、このコントローラ112は送りモータ95やバックテンションモータ103、電磁プランジャ101および109を後述する通り制御するように構成されている。
以下、前記構成に係るボンディング装置によるボンディング方法を説明する。
まず、ワークのステージへの供給および位置決め方法が説明される。この説明において、キャリア2における隣合うチップ12、12間の間隔(1ピッチ)pは、図23に示されているように、キャリア2のホール3Aの数で4個分に相当する寸法に設定されているものとする。
図16に示されている状態において、送り側の電磁プランジャ101が予め設定されたシーケンスによって伸長作動されると、図17に示されているように、アーム99がスプリング100によって下方に回動されるため、押さえローラ97は送りローラ94との間でキャリア本体3をスプリング100の弾発力によって挟んだ状態になる。同時に、バックテンション側の電磁プランジャ109が短縮されると、アーム107がスプリング108の弾発力に抗して上方に回動されるため、押さえローラ105はバックテンションローラ102との間でのキャリア本体3の挟持状態を解除する。続いて、送りローラ94が送りモータ95によって予め設定されたシーケンスに基づいて回転されると、送りローラ94と押さえローラ97とによって挟まれたキャリア本体3はローディングリール81側からアンローディングリール82側への方向に送られる。
この送り作動によって、キャリア2が隣合うホール3A、3A間のピッチPで3ピッチ分だけ送られると、図23に示されているように、ホトセンサ111の位置は送り開始位置J1から第2位置J2に相対的に移動する。この際、送りローラ94および押さえローラ97とキャリア本体3との間の滑りがあるため、第2位置J2は不確定である。
なお、キャリア2が送りモータ95によってホール3AのピッチPで2ピッチ(2×P)分だけ送られると、バックテンション側の電磁プランジャ109が予め設定されたシーケンスによって伸長作動される。バックテンション側の電磁プランジャ109が伸長すると、アーム107がスプリング108の弾発力によって下方に回動されるため、押さえローラ105はバックテンションローラ102との間でキャリア本体3をスプリング108の弾発力によって挟んだ状態になる。続いて、バックテンションローラ102がバックテンションモータ103によって回転されると、バックテンションローラ102と押さえローラ105とによって挟まれたキャリア本体3はローディングリール81側からアンローディングリール82側への方向に引っ張られる。これにより、キャリア2の弛みは除去された状態になる。
次いで、送りモータ95はキャリア2をホール3Aのピッチで1ピッチ(1×P)分だけ送る作動を実行する。この送りに伴って、ホトセンサ111の位置は図23に示されているように、第3位置J3、第4位置J4および第5位置J5と相対的に移動することになる。但し、ホトセンサ111は第3位置J3を通過する際にホール3Aの上流側開口縁を検出すると、送りモータ95を停止させる。送りモータ95が停止すると、ホトセンサ111の位置は第3位置J3と第4位置J4との間の任意の位置すなわちホール3A内の中間位置で相対的に停止する。
次いで、送りモータ95はキャリア2をホール3Aの幅Wで1個(1×W)分だけ送る作動を実行する。この送りに伴って、ホトセンサ111の位置は第4位置J4を確実に超えることになる。但し、ホトセンサ111は第4位置J4を通過する際にホール3Aの下流側開口縁を検出すると、送りモータ95を停止させる。これにより、ホトセンサ111は第4位置J4で相対的に停止する。
次いで、送りモータ95はキャリア2をステージ21の中心とチップ12の中心とが合う位置に来るように予め設定された補正値Kだけ送って停止する。この送りおよび停止作動によって、ホトセンサ111は第5位置J5に相対的に停止する。この第5位置J5は隣合うホール3A、3A間において補正値Kによって規定される常に一定した位置になるため、ワーク1はステージ21に対して常に一定の関係位置に供給されて停止された状態になる。
以上説明した通り、ホトセンサ111によってキャリア2のホール3Aの下流側開口縁を検出してそこから所定の補正値Kだけキャリア2を送るように構成することにより、チップ12の大きさやインナリード7およびアウタリード8の長さが変更された場合や、ホール3A間のピッチやホール3Aの大きさが変更された場合等であっても、ピッチの大きさやピッチ数および補正値Kに関する数値を適宜に入力する簡単な作業によって多種多様の変更に迅速に対応することができるため、機種の変更等の混流生産に対処することができ、他面、ボンディング装置の汎用性を高めることができる。
以上のようにしてワーク1がステージ21に対して予め設定された一定の位置に供給されて停止されると、昇降駆動装置87によってヒートブロック88が上昇されるとともに、ロータリーアクチュエータ92によって上側押さえ91が下降される。上側押さえ91の下降により、ワーク1はヒートブロック88の下側押さえ90に押さえ付けられるため、ワーク1はステージ21に対して位置決めされた状態になる。また、ワーク1のチップ12の下面はヒートブロック88の窪み89の底面に当接した状態になるため、チップ12はヒートブロック88によって加熱される状態になる。
ワークがステージに対して位置決めされると、ワークにおけるインナリードと電極パッドとの位置関係が、次に説明される方法によって測定されて適宜に補正される。
前述した通り、ワーク1はステージ21に対して予め設定された位置関係に常に停止されるため、例えば、図24に示されているように、カメラ31の中心とワーク1の中心とを略合致させることができる。図24において、カメラ31の中心をワーク1の座標の原点Oと仮定すると、左側の特徴リード9Aの座標位置はワーク1の設計データから求めることができる。
そこで、図24(b)に示されているように、左側の特徴リード9Aの座標位置にカメラ31の切り出しウインドが設定される。ここで、実際のワーク1においては、キャリア本体3やホール3A等が設計値どおりに形成されているとは限らないので、例えば、図24(b)に示されているように、実際の特徴リード9Aと、設計上の特徴リード9A’との間には誤差(ΔXa、ΔYa)が発生している。この誤差(ΔXa、ΔYa)は次のアルゴリズムによって求められる。
まず、カメラ31によって撮映された実際の特徴リード9Aが画像認識され、この認識により原点Oに対するその中心座標(Xa、Ya)が求められる。この中心座標(Xa、Ya)と、設計上の特徴リード9Aの原点Oに対する中心座標(Xa’、Ya’)との差が求められる。この差の値が誤差の値(ΔXa、ΔYa)になる。
次に、図24(c)に示されているように、左側の特徴パッド14Aの座標位置にカメラ31の切り出しウインドが設定される。ここで、実際のワーク1においては、キャリア本体3にチップ12が設計どおりに固着されているとは限らないので、例えば、図24(c)に示されているように、実際の特徴パッド14Aと、設計上の特徴リード14A’との間には誤差(ΔXb、ΔYb)が発生している。この誤差の値(ΔXb、ΔYb)は特徴リード9Aの場合と同じアルゴリズムによって求められる。
以降、右側の特徴リード9Aおよび特徴パッド14Aについて誤差の値が同様の方法によってそれぞれ求められる。これらの誤差の値に対しての統計処理によって、設計上の各インナリード7の座標位置および各電極パッド14の座標位置に関する誤差の値がそれぞれ求められる。そして、これらの誤差の値のそれぞれと予め設定された許容値とが比較される。範囲外である場合には補正が不能である旨が警報される。範囲内である場合には、互いに対向するインナリード7と電極パッド14との間の各補正値がそれぞれ求められる。
以上説明した通り、特徴リード9Aおよび特徴パッド14Aを使用して各インナリード7と各電極パッド14との位置関係をそれぞれ求めることにより、補正不能の誤差に対するボンディング作業を省略することができ、また、補正可能なものについては補正によってボンディングの精度を向上させることができる。さらに、次のインナリード認識方法において、カメラ31の切り出しウインドを各インナリード7と各電極パッド14との関係位置に精密に設定させることができる。
以上のようにしてワークにおけるインナリードと電極パッドとの位置関係が求められると、図25に示されているインナリード認識方法が実行される。
図19において、メインコントローラ28はXYテーブル22を駆動して、ステージ21の上に載置されたワーク1におけるこれからボンディングしようとするインナリード7の撮映位置にカメラ31を移動させる。この際、前述のようにして求められたインナリード7の位置座標が使用される。カメラ31は画像取込み工程41(図1参照。以下、同じ。)を実行して、これからボンディングしようとするインナリード7を撮映する。カメラ31によって撮映された図25(a)に示されている画像51は、ディスプレイ29に映し出されるとともに、設定部32に入力される。
設定部32はインナリード認識用測定線設定工程42を実行して、図25(a)に示されているように、画像51におけるインナリード7にそれぞれ直交する画像走査線のうち、電極パッド14を含む画像走査線の1本によって電極パッド対応インナリード認識用測定線(以下、中央測定線という。)52を設定し、電極パッド14の両脇の画像走査線の1本ずつによって各電極パッド外側インナリード認識用測定線(以下、それぞれ内側端部測定線および外側端部測定線という。)53および54を設定する。
輝度測定部33は輝度測定工程43を実行して、中央測定線52、内側端部測定線53および外側端部測定線54毎に各走査線上の各点における輝度をそれぞれ測定し、図25(b)、(c)および(d)に示されているように、中央測定線輝度波形52a、内側端部測定線輝度波形53aおよび外側端部測定線輝度波形54aをそれぞれ形成する。これら中央測定線輝度波形52a、内側端部測定線輝度波形53aおよび外側端部測定線輝度波形54aは形成部34に入力される。
形成部34は形成工程44を実行して、図25(b)、(c)および(d)に示された中央測定線輝度波形52a、内側端部測定線輝度波形53aおよび外側端部測定線輝度波形54aを走査線上の各点を一致させて、すなわち、時系列を一致させて重ね合わせることにより、図25(e)に示されている加算輝度分布波形55を形成する。つまり、中央測定線輝度波形52a、内側端部測定線輝度波形53aおよび外側端部測定線輝度波形54aの輝度が各点毎に加算されて、加算輝度分布波形55が形成される。この加算輝度分布波形55は判定部35に入力される。
判定部35は判定工程45を実行して、図25(f)に示されているように、まず、加算輝度分布波形55に閾値56を設定する。続いて、加算輝度分布波形55における閾値56以上の領域57における重心58が算出され、この重心58に対向する位置がこれからボンディングしようとするインナリード7の中心線の位置59として判定される。つまり、これからボンディングしようとしているインナリード7の位置が正確に認識されたことになる。
以上のようにして求められたインナリード7の中心線の位置59にボンディング装置20のボンディング工具25の中心線が、メインコントローラ28の指令に基づいて作動コントローラ27の制御によるXYテーブル22の作動によって一致されることにより、図26に示されているように、インナリード7は電極パッド14にボンディング工具25によって正確にボンディングされる。
図26(a)に示されているように、ボンディング工具25がインナリード7の電極パッド14の真上の部分を、ボンディング工具25がチップ12の上面にインナリード7を介して着地しない程度の高さまで押し下げる。ボンディング工具25がチップ12の上面にインナリード7を介して着地したか否かは、ボンディングアーム24に設備された位置検出センサ26からの位置データを分析することによってメインコントローラ28において判定される。
インナリード7の先端部を所定の高さまで押し下げると、図26(b)に示されているように、ボンディング工具25がインナリード7の絶縁膜10に支持された基端部の方向に平行移動される。この平行移動に伴って、インナリード7は全体的にS字形状に弯曲される。すなわち、インナリード7の基端部には歪が発生しないループ形状に曲げ癖が付けられ、その先端部下面は電極パッド14の上面に当接された状態になる。
なお、この際、ボンディング工具25は垂直に下降した後に水平移動させるに限らず、図26(b)に想像線の軌跡で示したように、ボンディング工具25は斜め下方に移動させてもよい。
次いで、図26(c)に示されているように、ボンディング工具25は電極パッド14の中心の真上に戻され、続いて、ボンディング工具25は垂直に下降される。この下降により、ボンディング工具25はインナリード7の先端部を電極パッド14に押し付ける。ボンディング工具25はインナリード7の先端部を電極パッド14に押し付けるとともに、熱および超音波エネルギを作用させることにより熱圧着させる。すなわち、インナリード7は電極パッド14にボンディング工具25によってボンディングされた状態になる。
その後、前記したインナリード認識方法およびボンディング方法が各インナリード7毎に繰り返されることにより、チップ12がテープキャリア2に電気的に接続される。各インナリード7毎のボンディングに際して、インナリード7がチップ12の電極パッド14にボンディング工具25によってボンディングされる以前に、インナリード7の中心線の位置59が認識され、この認識された中心線の位置59に対応した最適条件でボンディング工具25によるボンディングがそれぞれ実行される。
全てのインナリード7について前記したボンディング作業が終了すると、前述した作動によってテープキャリア2が前述したワークのステージへの供給および位置決め方法によって1ピッチp分だけ送られる。以降、前述した工程が繰り返し実行されることにより、ローディングリール81から繰り出されるワーク1についてボンディング方法が順次実行されて行く。
その後、図15に示されているように、μBGA・ICの製造方法における樹脂封止体成形工程において、テープキャリア2の各窓孔6の内部にエラストマやシリコンゴム等の絶縁性材料が図27に示されているようにポッティングされることによって、インナリード7群および電極パッド14群が樹脂封止部15によって樹脂封止される。
また、μBGA・ICの製造方法におけるバンプ形成工程において、テープキャリア2の各アウタリード8における各バンプホール5の底で露出した部位に半田ボールが半田付けされることにより、バンプ形成部4の上面から突出したバンプ16がテープキャリア2に図27に示されているように形成される。
以上、説明した製造方法により、図28に示されているμBGA・IC17が製造されたことになる。
次に、チップの高さを測定してからボンディング工具によるボンディングが実施される図29〜図33に示されているボンディング方法を説明する。
図29に示されているように、ボンディング工具25がインナリード7の先端部を押し下げると、インナリード7は絶縁膜10の窓孔11の上側縁を起点として下方に弯曲される。
図30に示されているように、ボンディング工具25がさらに下降されることにより、インナリード7の先端部が押し下げられてチップ12の上面に着地される。
ボンディング工具25がチップ12の上面にインナリード7を介して着地したか否かは、位置検出センサ26からの位置データを分析することによってメインコントローラ28において判定される。ボンディング工具25がチップ12の上面に着地していないと判定した場合には、メインコントローラ28はボンディング工具25を徐々に下降させてチップ12の上面にインナリード7を介して着地させる。
そして、ボンディング工具25がチップ12の上面にインナリード7を介して着地したと判定すると、メインコントローラ28は着地時の位置検出センサ26からの位置データを読み込んで、チップ12の上面における着地点の高さを測定する。
ボンディング工具25の高さを測定したメインコントローラ28は、図31に示されているように、ボンディング工具25を予め設定された所定の高さHだけ上昇させる。所定の高さHは実験やコンピュータによるシュミレーションおよび過去の実績データ等の経験的手法によって、異なるボンディング条件毎に対応した最適値が求められ、メインコントローラ28に予め記憶されている。メインコントローラ28は所定の高さHを作動コントローラ27に指令する。作動コントローラ27はボンディングヘッド23を制御してボンディングアーム24を揺動させることにより、ボンディング工具25を所定高さHだけ上昇させる。
ボンディング工具25が所定の高さHだけ上昇すると、図31に示されているように、インナリード7の先端部はインナリード7のスプリングバックによってチップ12の上面から離れるように若干上昇する。インナリード7の先端部がチップ12から上昇した状態において、所定の高さHだけ上昇したボンディング工具25は、インナリード7の先端部上面から離れた状態になっている。
続いて、図32に示されているように、ボンディング工具25はそのままの高さを維持した状態で、バンプ形成部4の方向に電極パッド14の中心の真上を通り過ぎた所定の位置まで平行移動される。この平行移動に伴って、インナリード7はボンディング工具25によってバンプ形成部4の方向へずらされるとともに、斜め下方に押し下げられるため、その中間部は所定のループ形状を形成された状態になるとともに、その先端部下面は電極パッド14の上面に当接された状態になる。
次いで、図33に示されているように、ボンディング工具25は電極パッド14の真上位置に移動された後に垂直に下降される。この下降により、インナリード7の先端部は所定のループ形状を形成したままの状態で、ボンディング工具25によって電極パッド14に所定の力で押し付けられる。ボンディング工具25はインナリード7の先端部を電極パッド14に押し付けるとともに、熱および超音波エネルギを作用させることにより熱圧着させる。すなわち、インナリード7は電極パッド14にボンディング工具25によってボンディングされたことになる。
以上説明した通り、インナリード7を電極パッド14にボンディング工具25によってボンディングするに際し、インナリード7がチップ12の電極パッド14にボンディング工具25によってボンディングされる以前に、チップ12の電極パッド14のボンディング工具25に対する高さを逐次測定し、測定した各高さにそれぞれ対応した最適条件によってボンディング工具25によるボンディングを実行することにより、各インナリード7を各電極パッド14にいずれも適正なループ形状をもってボンディングすることができるため、μBGA・IC17の品質および信頼性並びに製造歩留りを高めることができる。
例えば、バンプ形成部4の下に絶縁膜10を介して機械的に接続されたチップ12が傾くことにより、ボンディング工具25によって次々にボンディングされて行くインナリード7と電極パッド14との間隔の相互間に誤差がそれぞれ発生していたとしても、各インナリード7毎に相互間の誤差に対応した最適条件下によってボンディング工具25によるボンディングがそれぞれ実行されるため、ボンディング後の各インナリード7のループ形状をいずれも適正に形成することができる。
ちなみに、インナリード7と電極パッド14との間隔の誤差が小さい場合には、ボンディング工具25によってインナリード7をチップ12に着地させない方が作業時間を短縮されるので、有利である。
高さの測定と測定後のボンディングとを同一のボンディング工具25の一連の作動によって連続して実行することにより、ボンディング作業を同一ステージにおいて完了させることができるため、ボンディングの作業時間を短縮することができるとともに、ボンディング装置の構造を簡単化することができる。
なお、ボンディング工具25は前記実施形態の軌跡に制御するに限らず、例えば、図34に示されている軌跡のように制御してもよい。
図34において、Sは移動開始点を示しており、Eは移動終了点を示している。移動開始点Sはインナリードの先端部またはノッチの部分に設定され、移動終了点Eは電極パッドに設定される。
図34(a)の軌跡は、インデックスを最も早く設定することができる。
図34(b)の軌跡は、インナリードをS字形状に成形することができる。
図34(c)の軌跡は、チップ面を検出することができ、チップが傾いた場合にステージとチップとの間にゴミ等が入り高さが変化した時に有効である。
図34(d)の軌跡は、窓孔間に架橋されたインナリードの切断に有効であるとともに、インナリードの成形に有効である。
図34(e)の軌跡は、インナリードをS字形状に成形することができるとともに、チップ面を検出することができる。
図34(f)の軌跡も、インナリードをS字形状に成形することができるとともに、窓孔に架橋されたインナリードの切断に有効である。
図34(g)の軌跡は、チップ面を検出することができ、窓孔間に架橋されたインナリードの切断に有効であり、インナリードの成形に有効である。
図34(h)の軌跡は、インナリードをS字形状に成形することができるとともに、チップ面を検出することができ、また、窓孔間に架橋されたインナリードの切断に有効であり、インナリードの成形に有効である。
なお、図34の各図において、垂直および水平移動は斜め移動に設定してもよい。
1…ワーク、2…テープキャリア(キャリア)、3…キャリア本体、4…バンプ形成部、5…バンプホール、6…窓孔、7…インナリード、7a…短い部分、7b…長い部分(切断部片)、8…アウタリード、9…ノッチ、10…絶縁膜、11…窓孔、12…チップ、13…パッシベーション膜、14…電極パッド、15…樹脂封止部、16…バンプ、17…μBGA・IC(半導体装置)、20…ボンディング装置、21…ステージ、22…XYテーブル、23…ボンディングヘッド、24…ボンディングアーム、25…ボンディング工具、26…位置検出センサ、27…作動コントローラ、28…メインコントローラ、29…ディスプレー、29A…キーボード、29B…ブザー(警報機)、30…インナリード認識装置、31…工業用テレビカメラ(画像取り込み装置)、32…インナリード認識用測定線設定部(設定部)、33…輝度測定部、34…形成部、35…判定部、36…スタンド、41…画像取り込み工程、42…インナリード認識用測定線設定工程、43…輝度測定工程、44…形成工程、45…判定工程、51…画像、52…中央測定線、53…内側端部測定線、54…外側端部測定線、52a…中央測定線輝度波形、53a…内側端部測定線輝度波形、54a…外側端部測定線輝度波形、55…加算輝度分布波形、55A…加算閾値以上輝度分布波形、56、56A…閾値、57、57A…領域、58…重心、59…中心線の位置、61…画像取り込み工程、62…インナリード認識用測定線設定工程、63…輝度測定工程、64…形成工程、65…判定工程、71…画像、72…中央測定線、72a…中央測定線輝度波形、73…内側端部測定線、73a…内側端部測定線輝度波形、74…外側端部測定線、74a…外側端部測定線輝度波形、75…加算輝度分布波形、76…閾値、77…領域、78…重心、79…厚さ方向の中心線の位置(高さ方向の位置)、80…ボンディング装置、81…ローディングリール、82…アンローディングリール、83…スペーサテープ巻取りリール、84…スペーサテープ、85…スペーサテープ繰出しリール、86…スペーサテープ、87…昇降駆動装置、88…ヒートブロック、89…窪み、90…下側押さえ、91…上側押さえ、92…ロータリーアクチュエータ、93…ガイドレール、94…送りローラ、95…送りモータ、96…ベルト、97…押さえローラ、98…ピン、99…アーム、100…スプリング、101…電磁プランジャ、102…バックテンションローラ、103…バックテンションモータ、104…ベルト、105…押さえローラ、106…ピン、107…アーム、108…スプリング、109…電磁プランジャ、110…ホール覗き孔、111…ホトセンサ、112…ワーク位置コントローラ、3A…スプロケット・ホール(ホール)、3B…特徴リード表示孔(表示孔)、6A…長孔、9A…特徴リード、14A…特徴パッド。