JP3702770B2 - 光走査装置およびそれを備えた画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光素子と、印字データに基づき変調された印字パルス信号を受けて前記発光素子をスイッチングさせる出力パルス信号を発生するスイッチング素子とを備え、前記発光素子から出射された光を偏向させて感光体に照射して静電潜像を感光体上に担持させるための光走査装置および、この光走査装置を備えた画像形成装置の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のプリンタ等の画像形成装置における光走査装置は、図6に示すように、印字パルス信号を受けて、レーザダイオードをスイッチングさせる出力パルス信号を発生する出力パルス信号発生回路に、スイッチング素子として1個のトランジスタが設けられた構成となっていた。
【0003】
このような構成において、印字パルス発生回路から印字パルス信号が発生すると、トランジスタのオンオフ動作に応じた出力パルス信号が出力パルス信号発生回路から発生する。その結果、この出力パルス信号のオンオフに応じた変調(駆動)電流がレーザダイオードに流れ、レーザ光が発生することにより、感光ドラムへの露光が行なわれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、通常、トランジスタの特性としてターンオン時間(ton)と、ターンオフ時間(toff)は相違するため、図7に示すように、印字パルス信号のデューティと出力パルス信号のデューティは相違(デューティのずれ)していた。これは、細線を形成するために露光した時に顕著となる。
【0005】
この結果、感光ドラムへの露光時間が短くなり、印字が薄くなったり、線が細くなるという問題が生じていた。
【0006】
本発明は、以上のような問題を解決し、スイッチング素子のターンオン時間とターンオフ時間に相違があっても、高品質の印字が可能な光走査装置および光走査装置備えた画像形成装置を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の光走査装置は、前記課題を解決するために、発光素子と、印字データに基づき変調された印字パルス信号を受けて前記発光素子をスイッチングさせる出力パルス信号を出力する出力パルス信号発生回路とを備え、前記発光素子から出射された光を偏向させて感光体に照射して静電潜像を感光体上に担持させるための光走査装置において、前記出力パルス信号発生回路は、少なくともコンデンサと、抵抗と、入力されたパルス信号のオンオフを反転して出力するスイッチング素子と、が互いに接続されて構成されたスイッチング回路を偶数個有し、それぞれの前記スイッチング回路におけるスイッチング素子のターンオン時間およびターンオフ時間は、互いに同一であり、かつ、前記それぞれのスイッチング回路における前記コンデンサ、前記抵抗、及び前記スイッチング素子の前記接続の関係は、互いに同一であって、前記スイッチング素子は偶数段直列接続されていることを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の光走査装置によれば、上記出力パルス信号発生回路は、少なくともコンデンサと、抵抗と、入力されたパルス信号のオンオフを反転して出力するスイッチング素子と、が互いに接続されて構成されたスイッチング回路を偶数個有し、それぞれの前記スイッチング回路におけるスイッチング素子のターンオン時間およびターンオフ時間は、互いに同一であり、かつ、前記それぞれのスイッチング回路における前記コンデンサ、前記抵抗、及び前記スイッチング素子の前記接続の関係は、互いに同一であって、前記スイッチング素子は偶数段直列接続されているので、一方のスイッチング回路におけるスイッチング素子のターンオン時間とターンオフ時間との相違により、該スイッチング素子から出力されたパルス信号のデューティがずれても、他方のスイッチング回路におけるスイッチング素子のターンオン時間とターンオフ時間との相違により、そのデューティのずれが打ち消される。従って、発光素子をスイッチングさせる出力パルス信号のデューティを印字パルス信号のデューティと等しくさせることができる。よって、感光ドラムへの露光時間が短くなり、印字が薄くなったり、線が細くなるという問題を解消でき、高品質の印字を実現することができる。
【0009】
請求項2記載の光走査装置は、前記課題を解決するために、請求項1に記載の光走査装置において、前記それぞれのスイッチング回路におけるスイッチング素子は、同一の生産ロットであることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の光走査装置によれば、それぞれのスイッチング回路におけるスイッチング素子は、同一の生産ロットが使用されることで、請求項1記載の光走査装置の効果を容易に得ることができる。同じ型番のスイッチング素子であっても、生産ロットが異なれば特性は微妙に異なるが、同一の生産ロットであれば特性は同じであるからである。
【0011】
請求項3記載の光走査装置は、前記課題を解決するために、発光素子と、印字データに基づき変調された印字パルス信号を受けて前記発光素子をスイッチングさせる出力パルス信号を出力する出力パルス信号発生回路を備え、前記発光素子から出射された光を偏向させて感光体に照射して静電潜像を感光体上に担持させるための光走査装置において、前記出力パルス信号発生回路は、第1トランジスタと、前記第1トランジスタのベースに接続された第1コンデンサと、前記第1トランジスタのベースを接地する第1抵抗と、前記第1トランジスタとターンオン時間およびターンオフ時間が同一である第2トランジスタと、前記第2トランジスタのベースに接続された第2コンデンサと、前記第2トランジスタのベースを接地する第2抵抗と、を備え、前記第1トランジスタのコレクタは、前記第2コンデンサを介して前記第2トランジスタのベースに接続されており、前記印字パルス信号は、前記第1コンデンサを介して前記第1トランジスタのベースに入力され、前記出力パルス信号は、前記第2トランジスタのコレクタから出力されることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の光走査装置によれば、上記出力パルス信号発生回路は、第1トランジスタと、前記第1トランジスタのベースに接続された第1コンデンサと、前記第1トランジスタのベースを接地する第1抵抗と、前記第1トランジスタとターンオン時間およびターンオフ時間が同一である第2トランジスタと、前記第2トランジスタのベースに接続された第2コンデンサと、前記第2トランジスタのベースを接地する第2抵抗と、を備え、前記第1トランジスタのコレクタは、前記第2コンデンサを介して前記第2トランジスタのベースに接続されており、前記印字パルス信号は、前記第1コンデンサを介して前記第1トランジスタのベースに入力され、前記出力パルス信号は、前記第2トランジスタのコレクタから出力されるので、第1トランジスタのターンオン時間とターンオフ時間との相違により、該第1トランジスタから出力されたパルス信号のデューティがずれても、第2トランジスタのターンオン時間とターンオフ時間との相違により、そのデューティのずれが打ち消される。従って、発光素子をスイッチングさせる出力パルス信号のデューティを印字パルス信号のデューティと等しくさせることができる。よって、感光ドラムへの露光時間が短くなり、印字が薄くなったり、線が細くなるという問題を解消でき、高品質の印字を実現することができる。
【0013】
請求項4記載の光走査装置は、前記課題を解決するために、請求項3に記載の光走査装置において、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタは、同一の生産ロットであることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の光走査装置によれば、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタは、同一の生産ロットが使用されることで、請求項3記載の光走査装置の効果を容易に得ることができる。同じ型番のトランジスタであっても、生産ロットが異なれば特性は微妙に異なるが、同一の生産ロットであれば特性は同じであるからである。
【0015】
【0016】
【0017】
請求項5記載の画像形成装置は、前記課題を解決するために、請求項1乃至4の何れか一項に記載の光走査装置と、前記静電潜像を担持する感光体と、前記感光体上に形成された静電潜像を現像剤により現像する現像装置と、その現像装置により形成された可視像を記録媒体に転写する転写装置と、その転写装置により転写された可視像を前記記録媒体上に定着する定着装置とを備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の画像形成装置は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の光走査装置と、静電潜像を担持する感光体と、感光体上に形成された静電潜像を現像剤により現像する現像装置と、その現像装置により形成された可視像を記録媒体に転写する転写装置と、その転写装置により転写された可視像を前記記録媒体上に定着する定着装置とを備えているので、感光ドラムへの露光時間が短くなり、印字が薄くなったり、線が細くなるという問題を解消でき、高品質の印字を実現することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。以下の説明は、光走査装置を含む画像形成装置に対して本発明を適用した場合の実施形態である。まず、本実施形態における画像形成装置全体の概要について説明する。
【0020】
(画像形成装置全体の概要)
図1は、本発明を適用した画像形成装置としてのレーザビームプリンタ1の概略構成を示す断面図である。図1において、レーザビームプリンタ1は、本体ケース2の底部に、図示しない用紙を給紙するフィーダユニットを備えている。フィーダユニットは、図示しないバネによって押圧される用紙押圧板10と、給紙ローラ11と、摩擦分離部材14とを備え、用紙押圧板10により用紙を給紙ローラ11に押圧し、給紙ローラ11の回転により給紙ローラ11と摩擦分離部材14との間で最上位の用紙を分離して所定のタイミングで用紙の供給を行う。
【0021】
図1の矢印方向に回転する前記給紙ローラ11の回転による用紙搬送方向の下流側には、1対のレジストローラ12及び13が回転可能に枢支され、後述する感光ドラム20と転写ローラ21によって形成される転写位置へ所定のタイミングで用紙を搬送する。
【0022】
被照射体としての感光ドラム20は、例えば、正帯電性のポリカーボネイトを主成分とする有機感光体からなり、円筒スリーブを接地した状態で、本体ケース2に回転自在に枢支される。また、図示しない駆動手段により矢印方向に回転駆動される。
【0023】
帯電器30は、例えば、タングステンなどからなる帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させる正帯電用のスコロトロン型の帯電器から構成される。
【0024】
光走査装置としてのマルチビームスキャナ40は、感光ドラム20上に静電潜像を形成する為のレーザ光Lを発生する発光素子としてのレーザダイオードと、レーザダイオードをスイッチングさせる出力パルス信号を発生する出力パルス発生装置(図4参照)と、回転駆動される走査手段としてのポリゴンミラー41と、光集束手段としてのfθレンズ42及びトーリックレンズ45と、反射ミラー43,44及び46とを含んで構成されている。また、マルチビームスキャナ40は、レーザダイオードから発生するレーザ光Lを検出する図示しないフォトダイオードを備えている。
【0025】
図2は当該マルチビームスキャナ40のコリメート部の構成を示す図、図3は当該マルチビームスキャナ40全体の光学系の構成を示す図である。図2に示すように、本実施形態のマルチビームスキャナ40は、複数個の光源を有するレーザダイオード90と、カバーガラス91と、レーザダイオード90からの複数個の光ビームを各々略平行光束にするコリメータレンズ92と、光束を絞るためのスリット93とを備えている。更に、本実施形態のマルチビームスキャナ40は、図3に示すように、前記スリット93から射出される光束を副走査方向だけに絞り、ポリゴンミラー41の面倒れ補正を行う蒲鉾形状のシリンドリカルレンズ94と、光束を主走査方向に偏向走査するポリゴンミラー41と、fθレンズ42及びトーリックレンズ45からなる走査レンズとを備えている。なお、図1に示すように、本実施形態においては、プリンタ装置構成上折り返しミラーを配置したが、図3に示す光学系モデルとの間で基本構成要素に変化はない。なお、マルチビームスキャナ40の出力パルス発生装置の詳細については、後述する。
【0026】
現像器カートリッジ50は、ケース51内にトナー収容室52が形成され、トナー収容室52内には、アジテータ53と、清掃部材54と、遮光部材80とが回転軸55の周りに回転自在に設けられている。このトナー収容室52内には、非磁性1成分現像剤としてのトナーが収容される。トナー収容室52の側壁には光透過窓56が設けられている。また、感光ドラム20側には、開口部Aによってトナー収容室52と連通し現像を行う現像室57が形成され、供給ローラ58と現像ローラ59が回転可能に枢支される。現像ローラ59上のトナーは、薄い板状の弾性を有する層厚規制ブレード64により所定の層厚に規制され、現像に供される。
【0027】
転写ローラ21は、回転自在に枢支され、シリコーンゴムやウレタンゴムなどからなる導電性を有する発泡弾性体から構成される。転写ローラ21は、印加される電圧により、感光ドラム20上のトナー画像を用紙に確実に転写するように構成されている。
【0028】
定着ユニット70は、レジストローラ12及び13から感光ドラム20と転写ローラ21との圧接部に至る用紙の搬送方向の更に下流側に設けられ、加熱用ローラ71と押圧ローラ72を備える。用紙に転写されたトナー画像は加熱用ローラ71と押圧ローラ72とによって搬送される間に加熱されつつ押圧されて用紙に定着される。
【0029】
用紙搬送用の1対の搬送ローラ73及び排紙ローラ74は、定着ユニット70の搬送方向下流側に夫々設けられており、排紙ローラ74の下流側には排紙トレイ75が設けられている。
【0030】
以上のような本実施形態のレーザビームプリンタ1において、感光ドラム20の表面が帯電器30により一様に帯電され、マルチビームスキャナ40から画像情報に従って変調されたレーザ光Lが副走査位置の異なる複数のラインに照射されると、感光ドラム20の表面には高速に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像器カートリッジ50によってトナーで可視像化され、感光ドラム20上に形成された可視像は感光ドラム20によって転写位置へと搬送される。転写位置においては、給紙ローラ11及びレジストローラ12及び13を介して用紙が供給され、前記可視像は転写ローラ21によって印加される転写バイアスにより、用紙に転写される。なお、転写後に感光ドラム20上に残ったトナーは、現像ローラ59によって現像室57に回収される。
【0031】
次に、用紙は定着ユニット70に搬送され、定着ユニット70の加熱用ローラ71と押圧ローラ72によって挟持搬送され、用紙上の可視像は加圧及び加熱され、用紙上に定着される。そして、用紙は一対の搬送ローラ73及び排紙ローラ74によりレーザビームプリンタ1上部の排紙トレイ75に排出され、画像形成動作が終了する。
【0032】
(出力パルス発生装置の構成)
次に、以上のようなレーザビームプリンタ1におけるマルチビームスキャナ40に備えた出力パルス発生装置の構成について、図4を用いて詳しく説明する。図4は当該マルチビームスキャナ40の出力パルス発生装置50の構成を説明するための図である。
【0033】
図4に示すように、本実施形態のマルチビームスキャナ40に備えた出力パルス発生装置50は、印字データに基づいて変調された印字パルス信号を発生する印字パルス信号発生回路51と、印字パルス信号を受けてレーザダイオード90をスイッチングさせる出力パルス信号を発生する出力パルス信号発生回路52と、フィードバック回路53と、レーザパワー調整回路54と、を含んで構成される。
【0034】
出力パルス信号発生回路52は、スイッチング素子として、2個のNPN形トランジスタQ1およびQ2を備えている。トランジスタQ1のベースは、抵抗R1とコンデンサC1との並列接続回路を介して印字パルス信号発生回路51に接続される。さらに、トランジスタQ1のベースは、抵抗R2を介して接地されている。また、トランジスタQ1のコレクタは、抵抗R3を介して直流電圧源Vcc(例えば、5V)に接続されている。また、トランジスタQ1のエミッタは、接地されている。一方、トランジスタQ2のベースは、抵抗R4とコンデンサC2との並列接続回路を介してトランジスタQ1のコレクタに接続されている。さらに、トランジスタQ2のベースは、抵抗R5を介して接地されている。また、トランジスタQ2のコレクタは、抵抗R6を介してレーザダイオード90のアノードおよび、レーザパワー調整回路53に接続されている。また、トランジスタQ2のエミッタは、接地されている。本実施形態においては、同一ロットで、ほぼ同一特性のトランジスタQ1とトランジスタQ2を使用しているので、トランジスタQ1とトランジスタQ2のターンオン時間および、トランジスタQ1とトランジスタQ2のターンオフ時間は同一である。トランジスタとして、異なる生産ロットのものを使用する際には、各トランジスタのターンオン時間とターンオフ時間とを測定して時間が同じものを選択する必要がある。一方、同一ロット同士のトランジスタを使用すれば、このような測定、選択作業は不要である。
【0035】
なお、コンデンサC1およびC2は、それぞれ、トランジスタQ1およびQ2のオン動作およびオフ動作を早めるためのものである。また、抵抗R2およびR5は、それぞれ、トランジスタQ1およびQ2のオン動作を安定化させるとともに、オフ動作の確実化を図るためのものである。
【0036】
フィードバック回路53は、フォトダイオード55にて検出されたレーザダイオード90のレーザ光Lをレーザパワー調整回路54にフィードバックするものである。
【0037】
レーザパワー調整回路54は、レーザダイオード90に変調電流を供給する電源を有しており、フィードバック回路53によりフィードバックされたレーザ光Lのパワー値に基づいてレーザダイオード90から発生するレーザ光Lを一定のパワー値に調整するものである。
【0038】
以上のような本実施形態のマルチビームスキャナ40に出力パルス発生装置50において、印字パルス信号発生回路51から発生した印字パルス信号は、出力パルス信号発生回路52に入力される。印字パルス信号発生回路51のトランジスタQ1は、印字パルス信号のオンオフに合わせてオンオフ動作を行う。一方、トランジスタQ2は、トランジスタQ1がオン動作の時、オフ動作となり、トランジスタQ1がオフ動作の時、オン動作となる。これにより、出力パルス信号発生回路52から、レーザダイオード90をスイッチングさせる出力パルス信号が発生される。レーザパワー調整回路53からの変調電流は、出力パルス信号がオン(ハイレベル)の時に、レーザダイオード90に流れ、出力パルス信号がオフ(ローレベル)の時に、出力パルス信号発生回路52のトランジスタQ2を介してGND(アース)に流れる。こうして、出力パルス信号がオンの時に、レーザダイオード90からレーザ光Lが発生する。そして、レーザダイオード90より発生されたレーザ光Lは、フォトダイオード55により検出され、フィードバック回路54により、レーザパワー調整回路53にフィードバックされ、レーザ光Lのパワーが一定となるように変調電流が調整される。
【0039】
(出力パルス発生装置内における信号のタイミングチャート)
次に、マルチビームスキャナ40の出力パルス発生装置50における信号のタイミングチャートについて、図5を用いて詳しく説明する。図5は当該マルチビームスキャナ40の出力パルス発生装置50の信号のタイミングチャートを説明するための図である。
【0040】
図5に示すタイミングチャートにおける「A点の波形」、「B点の波形」、「C点の波形」、「D点の波形」は、それぞれ、図4に示す出力パルス発生装置50内における「A」、「B」、「C」、「D」における波形を示している。図5に示すように、印字パルス信号発生回路51から発生した印字パルス信号の電圧(A点の波形)がハイレベルになると(S1)、トランジスタQ1は、ターンオン時間(ton1)後、オン動作となり、トランジスタQ1のコレクタの電圧(B点の波形)が、ローレベルとなる(S2)。続いて、トランジスタQ2は、ターンオフ時間(toff2)後、オフ動作となり、トランジスタQ2のコレクタの電圧(C点の波形:出力パルス信号の電圧)が、ハイレベルとなる(S3)。これにより、変調電流(D点の波形)が、レーザパワー調整回路53からレーザダイオード90に流れる。
【0041】
次に、印字パルス信号の電圧(A点の波形)がローレベルになると(S4)、トランジスタQ1は、ターンオフ時間(toff1)後、オフ動作となり、トランジスタQ1のコレクタの電圧(B点の波形)が、ハイレベルとなる(S5)。続いて、トランジスタQ2は、ターンオン時間(ton2)後、オン動作となり、トランジスタQ2のコレクタの電圧(C点の波形:出力パルス信号の電圧)が、ローレベルとなる(S6)。これにより、変調電流(D点の波形)が、レーザパワー調整回路53からトランジスタQ2を介してGND(アース)に流れる。以後は、図5に示すように、上記S1〜S6と同様の動作を繰り返すこととなる。なお、図5の例では、印字パルス信号発生回路51は、オン時間(t1)とオフ時間(t2)が等しい印字パルス信号を発生している。
【0042】
ここで、図5に示すように、トランジスタQ1のターンオン時間(ton1)とターンオフ時間(toff1)の相違により、印字パルス信号のパルス幅のデューティと、トランジスタQ1のコレクタの信号のパルス幅のデューティは異なっている(デューティのずれ)。つまり、印字パルス信号のオン時間(t1)とトランジスタQ1のコレクタの信号のオフ時間(t3)は相違しており、かつ、印字パルス信号のオフ時間(t2)とトランジスタQ1のコレクタの信号のオン時間(t4)は相違している。
【0043】
しかしながら、本発明にかかる実施形態においては、トランジスタQ2をトランジスタQ1に直列接続することにより、デューティのずれを補正している。つまり、図5に示すように、印字パルス信号のパルス幅のデューティと、トランジスタQ2のコレクタの信号(出力パルス信号)のパルス幅のデューティを等しくしている。これは、トランジスタQ1のターンオン時間(ton1)とトランジスタQ2のターンオフ時間(toff2)の和と、トランジスタQ1のターンオフ時間(toff1)とトランジスタQ2のターンオン時間(ton2)の和が等しくなるので、デューティのずれがキャンセルされるためである。つまり、トランジスタQ2のコレクタの信号(出力パルス信号)の電圧は、印字パルス信号の電圧がハイレベルになると、トランジスタQ1のターンオン時間(ton1)とトランジスタQ2のターンオフ時間(toff2)後、ハイレベルとなり、印字パルス信号の電圧がローレベルになると、トランジスタQ1のターンオフ時間(toff1)とトランジスタQ2のターンオン時間(ton2)後、ローレベルになるため、デューティのずれがキャンセルされる。
【0044】
以上のように、トランジスタQ1とトランジスタQ2を直列接続することによりデューティのずれを補正することで、図5に示すように、レーザダイオード90に流れる変調電流の明および暗の時間を、印字パルス信号のオンおよびオフ時間と等しくすることできる。その結果、印字パルス信号のパルス幅と同じ時間、感光ドラム20への露光が可能となり、印字が薄くなったり、線が細くなるという問題を解消することができる。つまり、画像形成する時、従来では印字データパルスが示す露光時間よりも実際の露光時間(出力パルス信号による)が短くなり、印字結果が薄くなったり、線が細くなったりしていたが、これが確実に防止されるのである。
【0045】
なお、上記実施形態においては、トランジスタQ1とトランジスタQ2のターンオン時間および、トランジスタQ1とトランジスタQ2のターンオフ時間を同一とすることとしたが、ある程度相違しても、その相違が許容範囲内にあれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
また、上記実施形態においては、2個のトランジスタQ1およびQ2を直列接続する構成としたが、これに限定されず、トランジスタを偶数段直列接続するように構成してもよい。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
また、上記実施形態においては、スイッチング素子として、NPN形トランジスタを適用したが、これに限定されず、PNP形トランジスタであってもよく、また、スイッチング素子としてFETを使用しても構わない。
【0048】
また、上記実施形態では、トランジスタQ1、Q2のベースを抵抗を介して接地し、エミッタを接地していたが、ベースを抵抗を介して接地せず、エミッタを抵抗を介して接地するエミッタフォロアとすることも可能である。その際には、図5中のC点の波形が反転することとなるので、A点の波形を反転させればよい。この場合も、前述の実施形態と同じくデューティのずれは解消される。
【0049】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0050】
【発明の効果】
請求項1記載の光走査装置によれば、一方のスイッチング回路におけるスイッチング素子のターンオン時間とターンオフ時間との相違により、該スイッチング素子から出力されたパルス信号のデューティがずれても、他方のスイッチング回路におけるスイッチング素子のターンオン時間とターンオフ時間との相違により、そのデューティのずれが打ち消され、出力パルス信号のデューティを印字パルス信号のデューティと等しくさせることができる。よって、感光ドラムへの露光時間が短くなり、印字が薄くなったり、線が細くなるという問題を解消でき、高品質の印字を実現することができる。
【0051】
請求項2記載の光走査装置によれば、それぞれのスイッチング回路におけるスイッチング素子は、同一の生産ロットが使用されることで、請求項1記載の光走査装置の効果を容易に得ることができる。
【0052】
請求項3記載の光走査装置によれば、第1トランジスタのターンオン時間とターンオフ時間との相違により、該第1トランジスタから出力されたパルス信号のデューティがずれても、第2トランジスタのターンオン時間とターンオフ時間との相違により、そのデューティのずれが打ち消される。従って、発光素子をスイッチングさせる出力パルス信号のデューティを印字パルス信号のデューティと等しくさせることができる。よって、感光ドラムへの露光時間が短くなり、印字が薄くなったり、線が細くなるという問題を解消でき、高品質の印字を実現することができる。
【0053】
請求項4記載の光走査装置によれば、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタは、同一の生産ロットが使用されることで、請求項3記載の光走査装置の効果を容易に得ることができる。
【0054】
【0055】
請求項5記載の画像形成装置は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の光走査装置と、静電潜像を担持する感光体と、感光体上に形成された静電潜像を現像剤により現像する現像装置と、その現像装置により形成された可視像を記録媒体に転写する転写装置と、その転写装置により転写された可視像を前記記録媒体上に定着する定着装置とを備えているので、感光ドラムへの露光時間が短くなり、印字が薄くなったり、線が細くなるという問題を解消でき、高品質の印字を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態における画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】 図1のマルチビームスキャナのコリメート部を示す斜視図である。
【図3】 図1のマルチビームスキャナの全体構成を模式的に示す斜視図である。
【図4】 図1のマルチビームスキャナにおける出力パルス発生装置の構成を示す図である。
【図5】 図1のマルチビームスキャナにおける出力パルス発生装置の信号のタイミングチャート示す図である。
【図6】 従来のマルチビームスキャナにおける出力パルス発生装置の構成を示す図である。
【図7】 従来のマルチビームスキャナにおける出力パルス発生装置の信号のタイミングチャート示す図である。
【符号の説明】
1 レーザビームプリンタ
2a プロセスカートリッジ
40 マルチビームスキャナ
41 ポリゴンミラー
42 fθレンズ
45 トーリックレンズ
50 出力パルス発生装置
51 印字パルス信号発生回路
52 出力パルス信号発生回路
53 フィードバック回路
54 レーザパワー調整回路
90 レーザダイオード
92 コリメータレンズ
93 スリット
94 シリンドリカルレンズ
Q1、Q2 トランジスタ
Claims (5)
- 発光素子と、印字データに基づき変調された印字パルス信号を受けて前記発光素子をスイッチングさせる出力パルス信号を出力する出力パルス信号発生回路を備え、前記発光素子から出射された光を偏向させて感光体に照射して静電潜像を感光体上に担持させるための光走査装置において、
前記出力パルス信号発生回路は、少なくともコンデンサと、抵抗と、入力されたパルス信号のオンオフを反転して出力するスイッチング素子と、が互いに接続されて構成されたスイッチング回路を偶数個有し、それぞれの前記スイッチング回路におけるスイッチング素子のターンオン時間およびターンオフ時間は、互いに同一であり、かつ、前記それぞれのスイッチング回路における前記コンデンサ、前記抵抗、及び前記スイッチング素子の前記接続の関係は、互いに同一であって、
前記スイッチング素子は偶数段直列接続されていることを特徴とする光走査装置。 - 前記それぞれのスイッチング回路におけるスイッチング素子は、同一の生産ロットであることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
- 発光素子と、印字データに基づき変調された印字パルス信号を受けて前記発光素子をスイッチングさせる出力パルス信号を出力する出力パルス信号発生回路を備え、前記発光素子から出射された光を偏向させて感光体に照射して静電潜像を感光体上に担持させるための光走査装置において、
前記出力パルス信号発生回路は、
第1トランジスタと、
前記第1トランジスタのベースに接続された第1コンデンサと、
前記第1トランジスタのベースを接地する第1抵抗と、
前記第1トランジスタとターンオン時間およびターンオフ時間が同一である第2トランジスタと、
前記第2トランジスタのベースに接続された第2コンデンサと、
前記第2トランジスタのベースを接地する第2抵抗と、
を備え、
前記第1トランジスタのコレクタは、前記第2コンデンサを介して前記第2トランジスタのベースに接続されており、
前記印字パルス信号は、前記第1コンデンサを介して前記第1トランジスタのベースに入力され、前記出力パルス信号は、前記第2トランジスタのコレクタから出力されることを特徴とする光走査装置。 - 前記第1トランジスタと前記第2トランジスタは、同一の生産ロットであることを特徴とする請求項3に記載の光走査装置。
- 請求項1乃至4の何れか一項に記載の光走査装置と、前記静電潜像を担持する感光体と、前記感光体上に形成された静電潜像を現像剤により現像する現像装置と、その現像装置により形成された可視像を記録媒体に転写する転写装置と、その転写装置により転写された可視像を前記記録媒体上に定着する定着装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
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