JP3702745B2 - 内燃機関の動弁装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁的に駆動される内燃機関の動弁装置に係り、特に、失火時の排気弁制御を改良した内燃機関の動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、内燃機関の吸排気バルブを現在主流であるカム駆動に代えて電気的に駆動する構成が提案されている。吸排気バルブを電気的に駆動する構成によれば、カムシャフト等の回転機構を省略することができると共に、バルブタイミングの変更が容易であることから、内燃機関の運転状態に応じた理想的な開閉弁タイミングを任意に設定可能となり、出力特性、及び燃費特性を改善することが可能となる。
【0003】
吸排気バルブの電気駆動装置としては、電磁石を用いた電磁アクチュエータによる構成が提案されている。この電磁駆動吸排気弁装置の構成は、例えば特開平11−141319号公報に開示されている。この構成のアクチュエータにおいては、可動子(アーマチュア)をバルブの開弁方向に付勢するスプリングと可動子を閉弁方向に付勢するスプリングの2つのスプリングを有し、さらに可動子をそれぞれバルブの開弁方向と閉弁方向とに吸引する2つの電磁石を有している。
【0004】
この場合、可動子とバルブからなる可動部は、電磁石に電流が流れていない場合には2つのスプリングのバネ力により、2つの電磁石の吸引面からそれぞれ所定の位置だけ離間した中立位置に保持され、また開弁側または閉弁側のどちらか一方の電磁石に電流が通電すると、その際に生じる電磁吸引力により、吸引力がスプリングのばね力に打ち勝って一方の電磁石側に引き寄せられることになる。
【0005】
この状態で電磁石の電流を遮断すると、今度はスプリングのばね力により可動部は中立位置を一旦通過して他方の電磁石に接近する。このとき他方の電磁石に電流を流しておくと可動部は他方の電磁石に吸引される。
【0006】
このようにして2つの電磁石の電流の通電、遮断動作に従って可動子を所定の変位幅だけ変位させることを可能にしており、この変位を利用してバルブの開弁状態と閉弁状態とを切り替えている。
【0007】
このような電磁駆動吸排気弁装置において、排気弁は、燃焼室内に高圧の燃焼ガスが残存する状況下で開弁方向に動作する。このため、排気弁が開弁方向に動作するためには、閉弁方向の動作に比して大きなエネルギ損失が生じる。
【0008】
このため上記従来技術においては、可動子の中立位置は、開弁側の電磁石に偏った位置に設定されていた。この場合、閉弁状態におけるスプリングの反発力は、開弁状態におけるスプリングの反発力より大きくなり、両電磁石に等しい特性の電磁石を使用しても燃焼圧に対抗して開弁動作をおこなうことができる。
【0009】
図9は、従来の動弁装置における排気弁の開弁動作について、正常燃焼時の可動子の挙動(実線)と、失火時の可動子の挙動(破線)をそれぞれ示すタイムチャートである。
【0010】
失火時には、排気弁の開弁動作に抗する燃焼圧力が大きく低下するため、閉弁側電磁石の通電停止後、スプリング力による可動子の加速が正常燃焼時より大きく、全開位置に高い速度で到達し、開弁側電磁石等の変位端に衝突する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、上記従来の動弁装置においては、排気弁での可動子の中立位置が、可動子を開弁方向へ引き寄せる開弁側電磁石側へ偏位させるという構成になっていたため、内燃機関の失火等の急激な燃焼圧の減少時に、可動子の速度が過大となって開弁側電磁石に衝突し、異音が発生したりあるいは可動子が破損するという問題点があった。
【0012】
以上の問題点に鑑み、本発明の目的は、内燃機関の失火時等の急激な燃焼圧の低下が生じた場合でも、排気弁を開く可動子の速度を低下させ、可動部が変位端に衝突することを防止し、これにより異音の発生や可動子の破損を防止することができる内燃機関の動弁装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明は、排気弁と連動する可動子と通電時に前記可動子を開弁方向に作動させる開弁側電磁石と通電時に前記可動子を閉弁側に作動させる閉弁側電磁石と前記可動子を開弁方向に付勢する第1の弾性部材と前記可動子を閉弁方向に付勢すると共に前記両電磁石が非通電時に第1の弾性部材と協働して前記可動子を両電磁石の中立位置に保持する第2の弾性部材とを備えた内燃機関の動弁装置において、内燃機関の失火を検出する失火検出手段と、該失火検出手段が失火を検出したとき、前記排気弁の開弁時に前記可動子の速度が減速するように速度制御する速度制御手段と、を備えたことを要旨とする。
【0014】
上記目的を達成するため請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の動弁装置において、前記速度制御手段は、前記閉弁側電磁石の通電を停止後、一時的に前記閉弁側電磁石に通電することにより、減速制御することを要旨とする。
【0015】
上記目的を達成するため請求項3記載の発明は、請求項2記載の内燃機関の動弁装置において、前記一時的な閉弁側電磁石の通電時に、前記閉弁側電磁石が可動子に及ぼす吸引力は、前記第1及び第2の弾性部材による開弁方向の合成力を超えないことを要旨とする。
【0016】
上記目的を達成するため請求項4記載の発明は、請求項2または請求項3記載の内燃機関の動弁装置において、前記一時的な閉弁側電磁石の通電は、前記可動子が所定の位置に到達すると終了することを要旨とする。
【0017】
上記目的を達成するため請求項5記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の内燃機関の動弁装置において、前記可動子の変位量を検出する変位量検出手段または前記可動子の速度を検出する速度検出手段を備え、前記一時的な閉弁側電磁石の通電時に、前記可動子の目標変位あるいは目標速度との偏差量に応じて閉弁側電磁石の通電開始位置または電流値または通電終了位置を制御することを要旨とする。
【0018】
上記目的を達成するため請求項6記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の内燃機関の動弁装置において、前記可動子の変位量を検出する変位量検出手段と、通電開始位置または電流値または通電終了位置を機関運転状態に応じて予め記憶した記憶手段とを備え、前記減速制御手段は、前記一時的な閉弁側電磁石の通電時に、前記記憶手段から通電開始位置または電流値または通電終了位置を読み出して制御に利用することを要旨とする。
【0019】
上記目的を達成するため請求項7記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の内燃機関の動弁装置において、前記失火検出手段は、気筒内圧力を測定して失火を判断することを要旨とする。
【0020】
上記目的を達成するため請求項8記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の内燃機関の動弁装置において、前記失火検出手段は、点火プラグ放電後の筒内イオン電流を測定して失火を判断することを要旨とする。
【0021】
上記目的を達成するため請求項9記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の内燃機関の動弁装置において、前記失火検出手段は、クランク軸の回転変動に基づいて失火を判断することを要旨とする。
【0022】
上記目的を達成するため請求項10記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の内燃機関の動弁装置において、前記失火検出手段は、前記排気弁の開弁時の弁体または可動子の速度または加速度に基づいて失火を判断することを要旨とする。
【0023】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、排気弁と連動する可動子と通電時に前記可動子を開弁方向に作動させる開弁側電磁石と通電時に前記可動子を閉弁側に作動させる閉弁側電磁石と前記可動子を開弁方向に付勢する第1の弾性部材と前記可動子を閉弁方向に付勢すると共に前記両電磁石が非通電時に第1の弾性部材と協働して前記可動子を両電磁石の中立位置に保持する第2の弾性部材とを備えた内燃機関の動弁装置において、内燃機関の失火を検出する失火検出手段と、該失火検出手段が失火を検出したとき、前記排気弁の開弁時に前記可動子の速度が減速するように速度制御する速度制御手段と、を備えたことにより、内燃機関の失火時に排気弁を開弁する可動子が変位端に達する速度を低下させ、衝突による異音の発生や可動子の破損を防止できるという効果がある。
【0024】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、前記速度制御手段は、前記閉弁側電磁石の通電を停止後、一時的に前記閉弁側電磁石に通電することにより、減速制御するようにしたので、減速の為の新たなデバイス等を追加することなく可動子の速度を低下させることができるという効果がある。
【0025】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明の効果に加えて、前記一時的な閉弁側電磁石の通電時に、前記閉弁側電磁石が可動子に及ぼす吸引力は、前記第1及び第2の弾性部材による開弁方向の合成力を超えないようにしたので、一時的な閉弁側電磁石の通電時に、逆に閉弁側電磁石に吸引されるという可動子の誤作動を防止することができるという効果がある。
【0026】
請求項4記載の発明によれば、請求項2または請求項3の発明の効果に加えて、前記一時的な閉弁側電磁石の通電は、前記可動子が所定の位置に到達すると終了するようにしたので、閉弁側電磁石の可動子に対する吸引力が大幅に低下し速度低減効果が小さい領域では通電を止めて、消費電力増となることを防止できるという効果がある。
【0027】
請求項5記載の発明によれば、請求項2または請求項3の発明の効果に加えて、前記可動子の変位量を検出する変位量検出手段または前記可動子の速度を検出する速度検出手段を備え、前記一時的な閉弁側電磁石の通電時に、前記可動子の目標変位あるいは目標速度との偏差量に応じて閉弁側電磁石の通電開始位置または電流値または通電終了位置を制御するようにしたので、各排気弁のバラツキ等の作動状態に応じた電流量の調整が可能となり、減速を与える為の電流エネルギー量を最適化することが出来るという効果がある。
【0028】
請求項6記載の発明によれば、請求項2または請求項3の発明の効果に加えて、前記可動子の変位量を検出する変位量検出手段と、通電開始位置または電流値または通電終了位置を機関運転状態に応じて予め記憶した記憶手段とを備え、前記減速制御手段は、前記一時的な閉弁側電磁石の通電時に、前記記憶手段から通電開始位置または電流値または通電終了位置を読み出して制御に利用するようにしたので、事前の適合実験等により予め電流値を設定しておき、電磁駆動弁の制御回路の演算負荷を大幅に低減することができ、回路の小型化、低コスト化が図れるという効果がある。
【0029】
請求項7記載の発明によれば、請求項1ないし請求項6の発明の効果に加えて、前記失火検出手段は、気筒内圧力を測定して失火を判断するようにしたので、筒内圧力に基づく正確な失火検出により可動子の減速制御をおこなうことができるという効果がある。
【0030】
請求項8記載の発明によれば、請求項1ないし請求項6の発明の効果に加えて、前記失火検出手段は、点火プラグ放電後の筒内イオン電流を測定して失火を判断するようにしたので、失火を検出するための高価な筒内圧力センサ等のデバイスを追加することなく、また従来のシリンダヘッドに変更を加えることなく、失火を検出し、可動子の減速制御を行うことができるという効果がある。
【0031】
請求項9記載の発明によれば、請求項1ないし請求項6の発明の効果に加えて、前記失火検出手段は、クランク軸の回転変動に基づいて失火を判断するようにしたので、失火検出のためのデバイスを必要とすることなく、また従来のシリンダヘッドに変更を加えることなく、クランク角信号の変動を測定することにより失火を検出して可動子の減速制御に利用することができる。
【0032】
請求項10記載の発明によれば、請求項1ないし請求項6の発明の効果に加えて、前記失火検出手段は、前記排気弁の開弁時の弁体または可動子の速度または加速度に基づいて失火を判断するようにしたので、失火検出のためのデバイスを必要とすることなく、また従来のシリンダヘッドに変更を加えることなく、失火を検出して可動子の減速制御に利用することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る内燃機関の動弁装置を車両用内燃機関に適用した全体構成を示す図である。
【0034】
同図に示すように、エンジンのシリンダ51の上部に固定されたシリンダヘッド52には、排気弁の一つである弁54(図1では単一の弁のみを示す)が設けられている。弁54から上方に伸延する弁軸54aの上部には、スプリングリテーナ55が固定され、スプリングリテーナ55とシリンダヘッド52との間には弁54を閉弁側に付勢するコイルスプリング56が設けられている。
【0035】
またシリンダヘッド52の上部には電磁弁のケースとなるハウジング60が立設されている。ハウジング60の内部には、閉弁側電磁石11と、開弁側電磁石12とが所定の間隔をあけて上下に対向する位置に固定されている。これら閉弁側電磁石11と開弁側電磁石12との間には、軟磁性体の可動子(以下、アーマチュアと呼ぶ)57が可動子軸部材57aにより上下に滑動可能に支持されている。
【0036】
閉弁側電磁石11より上部の位置には、可動子軸部材57aにスプリングリテーナ58が固定され、ハウジング60の天井内面とスプリングリテーナ58との間には、アーマチュア57を開弁側に付勢するコイルスプリング59が設けられている。
【0037】
またハウジング60の天井部には、可動部(アーマチュア57と弁54を可動部と総称する)の速度を検出し速度信号を出力する可動部速度センサ2、可動部の位置を検出し位置信号を出力する可動部位置センサ3が設けられ、これらの速度信号及び位置信号は、動弁装置の制御部である制御装置1に伝えられるようになっている。
【0038】
さらに制御装置1は、エンジン制御ECU8から開弁指令/閉弁指令が伝達され、制御装置1は閉弁側電磁石電流制御部9及び開弁側電磁石電流制御部10に対して電流目標値を出力するようになっている。
【0039】
閉弁側電磁石電流制御部9及び開弁側電磁石電流制御部10は、それぞれ入力された電流目標値に応じたPWM制御により電源部13から各電磁石11、12へ電流を供給することにより電磁力を制御できるようになっている。
【0040】
本発明に特徴的な構成としては、シリンダ51に燃焼室53の内部圧力を検出しエンジン制御ECU8へ筒内圧力信号を出力する筒内圧力センサ14が設けられ、エンジン制御ECU8に筒内圧力信号に基づいて失火を判定するとともに失火判定時に制御装置1に対して失火判定信号を出力する失火判定部15が設けられ、制御装置1に失火判定信号に基づいて排気弁の開弁時にアーマチュアの減速制御を行う減速制御指示部16が設けられていることである。
【0041】
次に、本実施形態の動弁装置の動作を説明する。
アーマチュア57はコイルスプリング56、59に懸吊されており、閉弁側電磁石11および開弁側電磁石12が通電していないとき、閉弁側電磁石11と開弁側電磁石12の概略中央位置、或いは開弁側電磁石へ偏位した位置に位置するように、それそれのコイルスプリング56、59の寸法及びバネ定数が設定されている。
【0042】
ここで、コイルスプリング56、59と、弁54及びアーマチュア57を含む可動部とで構成されるバネ・マス系の固有振動数foは、合成バネ定数をK、合計慣性質量をmとし、摩擦を無視すると、fo=√(K/m)であることが知られている。
【0043】
さてエンジン始動前の初期動作において、上記固有振動数foに対応する周期で閉弁側電磁石11と開弁側電磁石12に交互に通電する。そして、可動部を共振させることにより徐々に可動部の振幅を増大させ、初期動作の最終段階で、例えば閉弁側電磁石11にアーマチュアが吸着され、この吸着状態が保持される。
【0044】
次に、エンジンの始動時または通常の稼働時には、例えば弁を開く時はまず閉弁側電磁石11の電流が切られ、可動部はコイルスプリングの合成スプリング力により下方に移動を開始する。摩擦力などによるエネルギー損失のため、合成スプリング力だけで弁全開位置までアーマチュア57を移動させることはできない。そこで、アーマチュア57が開弁側電磁石12に十分近づき、電磁力が有効となる位置で開弁側電磁石12が通電されると、アーマチュア57が開弁側電磁石12に吸引され、弁54が全開状態となる。
【0045】
このとき制御装置1は、可動部位置センサ3及び可動部速度センサ2から、アーマチュア57の位置及び速度を入力し、可動部の位置または速度に応じた電磁力を発揮するように閉弁側電磁石電流制御部9、及び開弁側電磁石電流制御部10に指令値を発してもよい。
【0046】
さて、排気弁の開弁時には、排気弁が燃焼ガスの圧力に抗して開かなければならないため、吸気弁に比べて、排気弁のスプリングが強化されている。また、排気弁を駆動するアーマチュアの中立位置は、開弁側電磁石12と閉弁側電磁石11との中央位置よりも開弁側電磁石に偏った位置に設定されている。
【0047】
このため、従来の電磁動弁装置においては、内燃機関失火時に、燃焼ガスの圧力が排気弁に作用しないため、開弁時のアーマチュアの速度が上がりすぎ、開弁側変位端に高速度で衝突し、異音を発生したり、アーマチュアの破損を招く場合があった。
【0048】
本実施形態においては、燃焼圧力センサ14で燃焼室53内の圧力を検出し、この燃焼圧力センサ14が出力する筒内圧力信号をエンジン制御ECU8に入力して、正常燃焼か失火かを判定している。そして、エンジン制御ECU8から失火判定信号により電磁動弁装置の制御装置1へ通知している。
【0049】
失火判定信号により、失火判定の通知を受けた制御装置1の減速制御指示部16は、排気弁の開動作時にアーマチュアを減速制御するように、閉弁側電磁石11に一時的な通電を行うように閉弁側電磁石電流制御部9に目標電流値を指示することができる。尚、エンジン制御ECU8が失火を検出しない場合には、一時的な通電は行わないことは言うまでもない。
【0050】
これにより、一旦排気弁の開弁のために、閉弁側電磁石の通電を停止した後、開弁側電磁石に通電する前に、一時的に閉弁側電磁石に通電して、アーマチュアに吸引力を及ぼして減速制御し、アーマチュアの開弁側電磁石等の変位端への衝突を防止することができる。
【0051】
尚、内燃機関の失火検出方法として、上記の筒内圧力センサ以外に、特開平5−87036号公報記載の点火プラグ放電後の筒内イオン電流を測定して失火を判断する方法、クランク軸の回転変動に基づいて失火を判断する方法、排気弁の開弁時の弁体または可動子の速度または加速度に基づいて失火を判断する方法、等を利用しても良い。
【0052】
次に、図2、図3のフローチャート、及び図4のタイムチャートを参照して、本実施の形態の動作を説明する。
【0053】
図2は、エンジン制御ECU8の失火判定、及び制御装置1の排気弁開指令を受けたときの動作を示すフローチャートであり、図3は、制御装置1におけるアーマチュア速度減速ルーチンの動作を示すフローチャートである。図4は、実施形態の排気弁開弁動作のタイムチャートであり、図中上から、アーマチュア変位、アーマチュア速度、閉弁側電磁石電流、及び開弁側電磁石電流の時間変化をそれぞれ示している。
【0054】
図2(a)において、エンジン制御ECU8による失火判定ルーチンは、まずクランク角度が圧縮上死点後(ATDC)所定角度になったとき(ステップ10、以下ステップをSと略す)、筒内圧力を検知し(S12)、例えば燃料噴射量に応じて決められる所定圧力以上に筒内圧力があるか否かを判定する(S14)。所定圧力未満であれば失火フラグをセットし(S16)、所定圧力以上であれば、失火フラグをリセットして(S18)、リターンする。
こうしてセット/リセットされる失火フラグは、エンジン制御ECU8から制御装置1へ失火判定信号として伝送される。
【0055】
図2(b)において、エンジン制御ECU8から排気弁の開弁指令が制御装置1へ出力されたとき、制御装置1は、閉弁側電磁石の電流をOFFし、アーマチュアを開弁側へ動かし始め(S20)、失火フラグ(失火判定信号)の値を調べる(S22)。失火フラグが0であれば、失火はなく正常燃焼なので、所定時間後開弁側電磁石の電流をONとし(S24)、処理を終了する。
【0056】
失火フラグが1であれば、アーマチュア速度減速ルーチン(S30)をコールし、アーマチュア速度減速ルーチンから戻ってから開弁側電磁石電流をONする(S24)。
【0057】
図3のアーマチュア速度減速ルーチンにおいて、まず可動部位置センサ3からアーマチュアの変位Xが検知され(S32)、アーマチュア変位Xが所定の一時電流通電開始位置Xsを越えたか否かが判定され(S34)、越えていなければS32へ戻る。Xsを越えていれば、閉弁側電磁石に一時電流Ibの通電をONする(S36)。これにより、アーマチュアを減速する吸引力が働き、アーマチュア速度の上昇割合が低下する。
【0058】
次いで、可動部位置センサ3からアーマチュアの変位Xが検知され(S38)、アーマチュア変位Xが所定の一時電流通電終了位置Xeを越えたか否かが判定され(S40)、越えていなければS38へ戻る。Xeを越えていれば、閉弁側電磁石の一時電流Ibの通電をOFFして(S42)、リターンする。
【0059】
ここで、アーマチュアに作用する閉弁側電磁石の吸引力(電流Ib=一定)と、合成スプリング力の距離に対する変化を図示すると、図5となる。図5において実線が閉弁側電磁石の吸引力であり、電磁石の直近を除いてほぼ距離の2乗に反比例するような吸引力となっている。破線は合成スプリング力であり、平衡点からの距離に比例した大きさの力となっている。
【0060】
このため、実線の電磁石吸引力と破線の合成スプリング力とは2点で交わる。左側の交点(Xs1,Fs1)は不安定平衡点であり、右側の交点(Xs2,Fs2)は安定平衡点である。そして、Xs1<X<Xs2の範囲では、合成スプリング力が電磁石吸引力を上回ることになる。
【0061】
そこで、上記の閉弁側電磁石への一時的な通電時に、開弁動作が行われずに再び閉弁側電磁石にアーマチュアが吸引されることがないように、通電開始可能範囲をXs1<Xs<Xs2とすれば、この範囲内では常に、〔閉弁側電磁石の吸引力Fs(Ib,Xs)〕<or=〔Xsでのスプリング力Fspr〕の関係が成り立ち、合成スプリング力が電磁石吸引力を上回るので、アーマチュアが再び閉弁側電磁石に吸引されるという誤動作を防止することが可能となる。
【0062】
また上記減速の為の通電時において、閉弁側電磁石11への通電は、開弁するアーマチュア57が略全リフトの1/2の位置に到達したら終了する。図4においては、アーマチュアがリフトの1/2の位置Xeに到達したら、閉弁側電磁石の通電を終了する例を示している。
【0063】
図6は、本実施形態における制御装置1の詳細を示すブロック図である。同図において、制御装置1は、可動部位置センサ3が出力する位置信号に基づいて可動部の速度目標値を生成する速度目標値生成部5と、可動部速度センサ2が出力する速度信号と速度目標値とを比較する比較部4と、比較部4の比較結果に応じて閉弁側電磁石11または開弁側電磁石12に通電すべき電流目標値を生成する電流目標値生成部6と、閉弁側電磁石電流制御部9または開弁側電磁石電流制御部10のいずれに電流目標値を供給するかを切り換える切替器7を備えている。エンジン制御ECU8、閉弁側電磁石電流制御部9、開弁側電磁石電流制御部10、閉弁側電磁石11、開弁側電磁石12は、図1で説明した構成要素と同じ構成要素である。
【0064】
上記減速の為の通電時に制御装置1内において、目標値生成部4で決められたアーマチュアの目標変位あるいは目標速度(目標運動エネルギ)に対し、アーマチュア57の位置あるいは速度を位置センサ3あるいは速度センサ2より検知し、比較部5において目標値との偏差量を算出し、電流目標値生成部6で閉弁側電磁石の通電量を定め、閉弁側電磁石11に通電するようにしてもよい。
【0065】
また、上記減速の為の通電時において、閉弁側電磁石の通電開始位置Xs、通電量Ib、通電終了位置Xeがエンジン運転状態(エンジン回転数、エンジン負荷等)に応じて予め設定し、この設定内容を制御装置1の内部に記憶させてもよい。
【0066】
図7は、通電量Ibのエンジン回転数−負荷マップを示しており、エンジン回転数、負荷に応じて、通電量はIb3,Ib4,Ib5(Ib3<Ib4<Ib5)のうちいずれかの値が選択される。
【0067】
図8は、通電開始位置Xsのエンジン回転数−負荷マップを示しており、エンジン回転数、負荷に応じて通電開始位置はXs3,Xs4,Xs5(閉弁側電磁石を距離の基準としたとき、Xs3>Xs4>Xs5)のうちいずれかの値が選択される。通電終了位置Xeも同様なマップとして、予め記憶したものを利用可能である。
【0068】
図7、8に示したマップは、事前にエンジンの適合により実験的に最適値を求め、制御装置1の内部のROMに記憶して用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内燃機関の動弁装置の実施形態の構成を示すシステム構成図である。
【図2】(a)エンジン制御ECUにおける失火判定ルーチン、及び(b)制御装置における排気弁の開弁動作のフローチャートである。
【図3】アーマチュア速度減速ルーチンのフローチャートである。
【図4】実施形態における排気弁開弁時の動作を示すタイムチャートである。
【図5】アーマチュア変位に対する閉弁側電磁石の吸引力とスプリング力の比較図である。
【図6】実施形態の動弁装置の制御部の詳細ブロック図である。
【図7】機関運転状態による閉弁側電磁石の一時通電量の制御マップである。
【図8】機関運転状態による閉弁側電磁石の一時通電開始位置の制御マップである。
【図9】従来の電磁動弁装置における正常燃焼時及び失火時の排気弁アーマチュアの挙動を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 制御装置
2 可動部速度センサ
3 可動部位置センサ
8 エンジン制御ECU
9 閉弁側電磁石電流制御部
10 開弁側電磁石電流制御部
11 閉弁側電磁石
12 開弁側電磁石
14 筒内圧力センサ
15 失火判定部
16 減速制御指示部
Claims (10)
- 排気弁と連動する可動子と通電時に前記可動子を開弁方向に作動させる開弁側電磁石と通電時に前記可動子を閉弁側に作動させる閉弁側電磁石と前記可動子を開弁方向に付勢する第1の弾性部材と前記可動子を閉弁方向に付勢すると共に前記両電磁石が非通電時に第1の弾性部材と協働して前記可動子を両電磁石の中立位置に保持する第2の弾性部材とを備えた内燃機関の動弁装置において、
内燃機関の失火を検出する失火検出手段と、
該失火検出手段が失火を検出したとき、前記排気弁の開弁時に前記可動子の速度が減速するように速度制御する速度制御手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関の動弁装置。 - 前記速度制御手段は、前記閉弁側電磁石の通電を停止後、一時的に前記閉弁側電磁石に通電することにより、減速制御することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の動弁装置。
- 前記一時的な閉弁側電磁石の通電時に、前記閉弁側電磁石が可動子に及ぼす吸引力は、前記第1及び第2の弾性部材による開弁方向の合成力を超えないことを特徴とする請求項2記載の内燃機関の動弁装置。
- 前記一時的な閉弁側電磁石の通電は、前記可動子が所定の位置に到達すると終了することを特徴とする請求項2または請求項3記載の内燃機関の動弁装置。
- 前記可動子の変位量を検出する変位量検出手段または前記可動子の速度を検出する速度検出手段を備え、
前記一時的な閉弁側電磁石の通電時に、前記可動子の目標変位あるいは目標速度との偏差量に応じて閉弁側電磁石の通電開始位置または電流値または通電終了位置を制御することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の内燃機関の動弁装置。 - 前記可動子の変位量を検出する変位量検出手段と、通電開始位置または電流値または通電終了位置を機関運転状態に応じて予め記憶した記憶手段とを備え、
前記減速制御手段は、前記一時的な閉弁側電磁石の通電時に、前記記憶手段から通電開始位置または電流値または通電終了位置を読み出して制御に利用することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の内燃機関の動弁装置。 - 前記失火検出手段は、気筒内圧力を測定して失火を判断することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の内燃機関の動弁装置。
- 前記失火検出手段は、点火プラグ放電後の筒内イオン電流を測定して失火を判断することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の内燃機関の動弁装置。
- 前記失火検出手段は、クランク軸の回転変動に基づいて失火を判断することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の内燃機関の動弁装置。
- 前記失火検出手段は、前記排気弁の開弁時の弁体または可動子の速度または加速度に基づいて失火を判断することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の内燃機関の動弁装置。
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