JP3701217B2 - ウッドのゴルフクラブセット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロフト角が20°以下の複数本のフェアウェイウッドを含むゴルフクラブセットに関する。
【0002】
【従来の技術】
ウッド型のゴルフクラブセットにおいて、プレーヤのヘッドスピードに応じて適切なゴルフクラブを提供する技術が特開平11−76469号に開示されている。この公知技術は、ヘッドスピードに応じて複数タイプのゴルフクラブセットを用意し、タイプ毎に、そのセットを構成しているウッドクラブのフェース角とロフト角を変更したものである。
【0003】
具体的には、ヘッドスピードが速いプレーヤはヘッドの返りが速いため、このようなプレーヤに合わせたゴルフクラブヘッドは、フェース角を大きく設定(フェースがスライス方向を向いている)して、打球時にフェースがスクエアな状態(ターゲット方向に対して直角)となるようにしている。また、ヘッドスピードが遅いプレーヤはヘッドの返りも遅いため、このようなプレーヤに合わせたゴルフクラブヘッドは、フェース角を小さく設定(フェースがフック方向を向いている)して、打球時にフェースがスクエアな状態(ターゲット方向に対して直角)となるようにしている。そして、そのように設定されたフェース角は、1セット内のゴルフクラブにおいて、すべての番手のクラブで統一されたものとなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ゴルフにおけるスイング軌道は、ターゲットに対して傾斜した円軌道が取られ、例えば、右利きでは、打球後にヘッドはプレーヤから見て左(フック方向)に向きながらフォロースルーが取られる。また、インパクト時におけるヘッドの動きを見ると、スイートスポットでスクエアに打球した場合、ロフト角が小さいと、ボールとの衝突時にヘッドの進行が妨げられてヘッドの向きが変わり易く、ロフト角が大きいと、ボールにスピンを与えながらヘッドが進行し易く、ヘッドの向きが変わりにくい傾向にある。
【0005】
すなわち、スイートスポットでスクエアに打球した場合、ロフト角が小さいほど、ボールはそのままターゲット方向又は右(スライス方向)に打ち出される傾向にあり、ロフト角が大きくなるに連れ、打球時のヘッドの向きが変わりにくいことから、フォロースルーに伴って、ボールはそのまま左(フック方向)に打ち出され易い傾向となる。
【0006】
この結果、すべての番手のクラブでフェース角が統一されている上記した従来のゴルフクラブセットでは、相対的に、ロフト角の小さい低番手のクラブではスライス傾向となり、ロフト角が大きい高番手のクラブではフック傾向となり、1つのセットの中で打球方向が安定しない(異なる)という不具合が生じる。
【0007】
なお、このような傾向は、ウッドのセットの中でも、ボールに対し自由にヘッドを侵入させて多方向から打球することのできないクラブ、すなわち、ボールを地面に置いた状態でヘッドの侵入方向を正確に合わせて打球するフェアウェイウッドにおいて顕著になる(ドライバーはティーアップすることから、アッパー軌道で打球することができ、ボールに対し自由にヘッドを侵入させて多方向から打球できる)。又、ロフト角が20°を超えるクラブは、ボールとの衝突時にヘッド進行が妨げられる大きさの差が小さくなり、フック方向への曲がり具合があまり変わらなくなる。
【0008】
そして、上述した作用によれば、曲がりだけでなく、ロフト角の差の割には、飛距離差が得られないという欠点も生じてしまう。すなわち、一般的なフェアウェイウッドのロフト角の範囲(13°〜24°程度)では、左に打球したり左に曲がる球筋は飛距離が増大する傾向がある。その理由としては、左に打球したり左に曲がるということは、打球時にヘッドが左を向いた状態になっており、そのような状態では、実際のロフト角より小さくなった状態(かぶった状態)でインパクトが行なわれ、その結果、打球が低く、スピンの少ない飛ぶ弾道になると考えられる。このため、上記したように、ロフト角が小さい低番手のクラブはスライス傾向となり、ロフト角が大きい高番手のクラブはフック傾向(低番手から高番手になるに従いフック傾向)になることから、低番手のクラブと高番手のクラブでは、予想した飛距離差が得られないという結果になってしまう。
【0009】
本発明は、上記した問題に基づいてなされたものであり、本来、ストレートボールを打球したときに得られるべき飛距離の差が得られるフェアウェイウッドのゴルフクラブセットを提供することを目的とする。また、本発明は、そのようなゴルフクラブセットにおいて、左右方向のブレの範囲を、従来のゴルフクラブセットにおける左右のブレの範囲よりも小さくすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
従来のフェアウェイウッドのゴルフクラブセットは、ロフト角を(X)、フェース角を(Y)とした場合、セット内におけるロフト角の変化に対し、フェース角(Y)は一定に設定されているが、本発明では、変化するロフト角の夫々に適したフェース角(Y)を定め、これにより、本来、ストレートボールを打球したときに得られるべき飛距離の差が得られるようにすると共に、セット内において、各クラブで打球した際の左右方向のブレ量を、従来のゴルフクラブセットにおける左右のブレ量よりも小さくなるようにする。
【0011】
具体的には、本発明においては、ロフト角(X)の変化(番手の変化)に伴ってフェース角(Y)も変化させることから、両者の間には相関関係が認められることに着目し、この両者の関係を相関分析することで、ロフト角とフェース角を好ましくなるように設定したフェアウェイウッドによってゴルフクラブセットを構築するのである。
【0012】
ここで、相関分析は、フェース角(Y)とロフト角(X)から求められる最小二乗法による回帰式Y=a+bXを用いることとし、後述する実施形態の通り、夫々異なるゴルフクラブセットを準備しておき(セット例1〜6)、各ゴルフクラブセットで同一の試打試験を行なうことで、上記した回帰式の回帰係数b、及び切片aについて、好ましい範囲を導き出すこととする。
【0013】
これにより、本発明におけるフェアウェイウッド(ロフト角が20°以下)によるゴルフクラブセットは、セット組されているクラブのロフト角を(X)とした場合、そのクラブのフェース角(Y)は、上記した回帰式Y=a+bXに基づいて導き出せることとなる。なお、後述する試験結果によれば、上記した回帰式の回帰係数bは、0.15≦b≦0.5の範囲とされ、この範囲において、フェアウェイウッドを構成してゴルフクラブセットを構築すれば良い。また、フェース角(Y)とロフト角(X)の相関関係を示す相関係数rは、r≧0.9とされる。
【0014】
【発明の実施の形態】
[試験内容]
ロフト角が20°以下の複数本のフェアウェイウッドにより、ゴルフクラブセットを構築する。この場合、ロフト角(X)に応じてフェース角(Y)が変化したゴルフクラブセットを複数セット準備しておく(セット例1〜6)。併せて、ロフト角(X)が変化してもフェース角(Y)が一定となった従来のゴルフクラブセットを準備しておく(従来例)。
【0015】
そして、平均的なアマチュアゴルファー10人が、各セットのゴルフクラブで10球づつ試打を行ない、その飛距離と打球の左右のブレ量(打球したボールが停止した位置でのターゲット方向までの最短距離)を測定し、各セット内のゴルフクラブ毎に、平均飛距離と平均左右ブレ量を算出する。
【0016】
この場合、準備したゴルフクラブは、ロフト角が同じであれば、その他の仕様(ヘッドの構成、シャフトの構成等)は同一に統一されている。
例えば、ロフト角14°(3番ウッド相当)のゴルフクラブの場合、ゴルフクラブ長さ43インチ、総重量310gとし、ロフト角17°(4番ウッド相当)のゴルフクラブの場合、ゴルフクラブ長さ42.5インチ、総重量316gとし、ロフト角20°(5番ウッド相当)のゴルフクラブの場合、ゴルフクラブ長さ42インチ、総重量322gとしてある。そして、いずれのゴルフクラブも、スイングバランスはD0に設定されている。
【0017】
また、ゴルフクラブのヘッドにおけるフェース角とは、図1に示すように、ターゲット方向Tに対してヘッド1のフェース1aの基準面(スイートスポットを通る接線)Pが垂直である場合、フェース角を0°(スクエアフェース)とし、この基準面がフック方向に傾いてP1となったものをフックフェース、スライス方向に傾いてP2となったものをスライスフェースとする。そして、ここでは、基準面Pをフェース角0°とし、フックフェースにおけるフェース角θ1を(―)の角度で、スライスフェースにおけるフェース角θ2を(+)の角度で定義する。従って、スクエアフェースのゴルフクラブでは、フェース1aの基準面と直交する方向はターゲット方向Tと一致し、フックフェースのゴルフクラブでは、フェース1a´の基準面P1と直交する方向はフック方向T1となり、スライスフェースのゴルフクラブでは、フェース1a´´の基準面P2と直交する方向はスライス方向T2となる。
【0018】
[回帰式における回帰係数と切片の求め方]
各ゴルフクラブセットを構成しているゴルフクラブについて、ロフト角(X)及びフェース角(Y)に関し、ΣX、ΣY、ΣX2 、ΣY2 、ΣXY、並びに各平方和S(XX),S(YY)と積和S(XY)を計算する。また、これに伴い、2つの変数(X)と(Y)との間の関係の強さを表す相関係数rを求める。この場合、S(XX),S(YY),S(XY)、並びに相関係数rは、以下の式によって求められる。
【0019】
【数1】
そして、上記した結果から、回帰式Y=a+bXにおける回帰係数b、及び切片aが以下の式によって求められる。
【0020】
【数2】
【0021】
[試打試験]
(1)従来のゴルフクラブセット
ロフト角(X)が14°、17°、20°で、フェース角(Y)が−1.5°(フックフェース)に設定された3本のフェアウェイウッドで、上記したアマチュアゴルファー10人による試打試験を行ない、その平均飛距離と、平均ブレ量を測定したところ、図2(a)の表に示す結果が得られた。
【0022】
この結果によれば、従来のフェアウェイウッドのゴルフクラブセット(ロフト角が14°〜20°)では、低番手と高番手のクラブとの間で、飛距離の差が17.6mあり、左右のブレ量は、20.4mとなった。また、ゴルフクラブセットの性質としては、番手が低番手から高番手になるに従い(ロフト角が大きくなるに従い)、打球は左方向になる傾向がありフック系となった。なお、このゴルフクラブセットについて、上記した数式に基づいて回帰式Y=a+bXにおける回帰係数b及び切片aを求めると、b=0、a=−1.5となった。
【0023】
次に、上記したゴルフクラブセットの各ゴルフクラブについて、試打ロボットを用いて10打づつ打球すると共に、ロボットを、打球方向がストレートボールになるようにセッティング(左右のブレ量を略0mとなるようにセッティング)した状態で、その平均飛距離を測定したところ、図2(b)の表に示す結果が得られた。この試打試験によれば、ロフト角が14°〜20°の従来のゴルフクラブセットでは、理想的には、飛距離の差が28.1mになると考えられる。
【0024】
そこで、本発明では、上記した従来のゴルフクラブセットで得られた結果よりも、更に、良好な結果が得られるようなゴルフクラブセットを実現すべく、ロフト角が20°以下のフェアウェイウッドのゴルフクラブセットにおいて、最も低番手のゴルフクラブと最も高番手のゴルフクラブの飛距離差が、28.1m以上となり、かつ左右のブレ量が20.4m以下になるような構成を、以下の試験セットから導き出すこととする。
【0025】
(2)試験を行なったセット例
▲1▼セット例1
ロフト角(X)が14°、17°、20°で、フェース角(Y)が夫々−1.8°、−1.5°、−1.2°に設定された3本のフェアウェイウッドでゴルフクラブセットを構築する。そして、このゴルフクラブセットで、上記したようなアマチュアゴルファー10人による試打試験を行ない、その平均飛距離と、平均ブレ量を測定したところ、図3の表に示す結果が得られた。
【0026】
すなわち、このセット例1では、飛距離差が26.1mで、左右のブレの範囲が4.5mとなり、高番手になるに従い、若干フック系になるという試験結果が得られた。飛距離差及び左右のブレ量について、上記した目標とする飛距離差(28.1m)及び左右のブレ量(20.4m)と比較した場合、このセット例1では、充分な飛距離差を得ることができなかった。
【0027】
また、このセット例1において、上記した数式に基づいて回帰式Y=a+bXにおける回帰係数b及び切片aを求めたところ、b=0.100、a=−3.200となった。
【0028】
▲2▼セット例2
ロフト角(X)が14°、17°、20°で、フェース角(Y)が夫々−2.0°、−1.5°、−1.1°に設定された3本のフェアウェイウッドでゴルフクラブセットを構築する。そして、このゴルフクラブセットで、上記したようなアマチュアゴルファー10人による試打試験を行ない、その平均飛距離と、平均ブレ量を測定したところ、図4の表に示す結果が得られた。
【0029】
すなわち、このセット例2では、飛距離差が28.4mで、左右のブレの範囲が3.0mとなり、低番手から高番手において、略ストレートな打球が得られるという試験結果が得られた。飛距離差及び左右のブレ量について、上記した目標とする飛距離差(28.1m)及び左右のブレ量(20.4m)と比較した場合、このセット例2では、飛距離差及びブレ量ともに、満足の行く結果が得られ、特に、左右のブレ量については、全ての番手においてターゲット方向付近に打球することができ、好ましい結果が得られた。
【0030】
また、このセット例2において、上記した数式に基づいて回帰式Y=a+bXにおける回帰係数b及び切片aを求めたところ、b=0.150、a=−4.083となった。
【0031】
▲3▼セット例3
ロフト角(X)が14°、17°、20°で、フェース角(Y)が夫々−2.5°、−1.5°、−0.5°に設定された3本のフェアウェイウッドでゴルフクラブセットを構築する。そして、このゴルフクラブセットで、上記したようなアマチュアゴルファー10人による試打試験を行ない、その平均飛距離と、平均ブレ量を測定したところ、図5の表に示す結果が得られた。
【0032】
すなわち、このセット例3では、飛距離差が33.0mで、左右のブレの範囲が13.4mとなり、高番手になるに従い、スライス系になるという試験結果が得られた。上記セット例2と比べると、飛距離差が向上して左右のブレ量は拡大する傾向となったが、上記した目標とする飛距離差(28.1m)及び左右のブレ量(20.4m)と比較した場合、共に満足の行く結果が得られた。
【0033】
また、このセット例3において、上記した数式に基づいて回帰式Y=a+bXにおける回帰係数b及び切片aを求めたところ、b=0.333、a=−7.167となった。
【0034】
▲4▼セット例4
ロフト角(X)が14°、17°、20°で、フェース角(Y)が夫々−3.0°、−1.5°、0°に設定された3本のフェアウェイウッドでゴルフクラブセットを構築する。そして、このゴルフクラブセットで、上記したようなアマチュアゴルファー10人による試打試験を行ない、その平均飛距離と、平均ブレ量を測定したところ、図6の表に示す結果が得られた。
【0035】
すなわち、このセット例4では、飛距離差が36.2mで、左右のブレの範囲が20.2mとなり、高番手になるに従い、スライス系になるという試験結果が得られた。上記セット例3と比べると、飛距離差が向上して左右のブレ量は拡大する傾向となったが、上記した目標とする飛距離差(28.1m)及び左右のブレ量(20.4m)と比較した場合、共に満足の行く結果が得られ、特に、飛距離差において好ましい結果が得られた。
【0036】
また、このセット例4において、上記した数式に基づいて回帰式Y=a+bXにおける回帰係数b及び切片aを求めたところ、b=0.500、a=−10.000となった。
【0037】
▲5▼セット例5
ロフト角(X)が13.5°、16°、18°、20°で、フェース角(Y)が夫々−2.0°、−1.5°、−1.0°、−1.0°に設定された4本のフェアウェイウッドでゴルフクラブセットを構築する。そして、このゴルフクラブセットで、上記したようなアマチュアゴルファー10人による試打試験を行ない、その平均飛距離と、平均ブレ量を測定したところ、図7の表に示す結果が得られた。
【0038】
すなわち、このセット例5では、飛距離差が30.1mで、左右のブレの範囲が4.9mとなり、低番手から高番手において、略ストレートな打球が得られるという試験結果が得られた。飛距離差及び左右のブレ量について、上記した目標とする飛距離差(28.1m)及び左右のブレ量(20.4m)と比較した場合、このセット例5では、飛距離差及びブレ量ともに、満足の行く結果が得られ、特に、左右のブレ量については、全ての番手においてターゲット方向付近に打球することができ、好ましい結果が得られた。
【0039】
また、このセット例5において、上記した数式に基づいて回帰式Y=a+bXにおける回帰係数b及び切片aを求めたところ、b=0.164、a=−4.150となった。
【0040】
▲6▼セット例6
ロフト角(X)が14°、17°、20°で、フェース角(Y)が夫々−3.5°、−1.5°、0.5°に設定された3本のフェアウェイウッドでゴルフクラブセットを構築する。そして、このゴルフクラブセットで、上記したようなアマチュアゴルファー10人による試打試験を行ない、その平均飛距離と、平均ブレ量を測定したところ、図8の表に示す結果が得られた。
【0041】
すなわち、このセット例6では、飛距離差が38.4mで、左右のブレの範囲が23.6mとなり、高番手になるに従い、スライス系になるという試験結果が得られた。飛距離差及び左右のブレ量について、上記した目標とする飛距離差(28.1m)及び左右のブレ量(20.4m)と比較した場合、このセット例6では、左右のブレ量が大きくなり過ぎて満足な結果を得ることができなかった。
【0042】
また、このセット例6において、上記した数式に基づいて回帰式Y=a+bXにおける回帰係数b及び切片aを求めたところ、b=0.667、a=−12.833となった。
【0043】
[好ましいゴルフクラブセット例]
上記した従来例、及びセット例1〜6に関して、それぞれのセット内におけるゴルフクラブのロフト角及びフェース角をプロットすると共に、各セット内におけるゴルフクラブによって得られた回帰式をグラフ化したものを図9に示す。
【0044】
上述した各セット例における試験結果によれば、回帰係数が小さいセット例(従来例、セット例1)では、相対的に充分な飛距離差が得られなくなり、逆に、回帰係数が大きいセット例(セット例6)では、充分な飛距離差は得られるものの、左右のブレ量が大きくなる傾向となる。これは、回帰係数が小さいセットでは、低番手から高番手になるに伴って、打球がフック傾向になるからであり、回帰係数が大きいセットでは、低番手から高番手になるに伴って、逆に打球がスライス傾向になるからである(上述したように、フック系になると飛距離が増大する)。
【0045】
従って、飛距離差を大きくするのであれば、回帰係数が大きくなるようにセットを構築すればよいが、逆に大きくし過ぎると、セット内において、フェース角の変化が大きくなり過ぎて、それだけ左右のブレ量が大きくなってしまうことから、所定値以下に設定することが好ましい。
【0046】
上記したセット例では、回帰係数が小さいセット例1では飛距離差が充分得られず、また、回帰係数が大き過ぎるセット例6では左右のブレ量が大きくなってしまったことから、回帰係数bは、図9のグラフにおいて、セット例2とセット例4の間に納まるように設定することが好ましい。
【0047】
すなわち、ゴルフクラブセット内のフェアウェイウッドのロフト角を(X)、フェース角を(Y)とした場合、最小二乗法による回帰式Y=a+bXにおいて、その回帰係数bが0.15≦b≦0.5の範囲でセット内の各フェアウェイウッドを構成することにより、低番手のクラブと高番手のクラブとの間で、飛距離差が充分得られ、かつ左右のブレ量が小さいゴルフクラブセットとすることが可能となる。なお、上述した試験結果によれば、セット内の各クラブを、セット例5のように構築することで、飛距離差が充分に得られ、かつ左右のブレ量が小さいゴルフクラブセットを実現することができる。
【0048】
また、上述した数式によって規定される相関係数rは、ゴルフクラブセットにおける、ロフト角(X)とフェース角(Y)との間の相関関係の度合いを示すものであり、この値が0であれば全く相関関係が無く、1に近付けば相関関係が強くなる。本発明においては、ゴルフクラブセットを構築するにあたり、ロフト角(X)とフェース角(Y)との間の相関関係が小さいと、セット内において、番手に従った飛距離や、左右のブレ量が大きくばらついてしまうことから、r≧0.9となるように各クラブを構成することが好ましい。
【0049】
また、上記した回帰式における切片aについては、上記した回帰係数の範囲内において、その値が小さくなるように設定すると、ゴルフクラブセット全体としてフック傾向となり、また、その値が大きくなるように設定すると、ゴルフクラブセット全体としてスライス傾向とすることができる。
【0050】
具体的に、上記した回帰係数の範囲(0.15≦b≦0.5)において、好ましい範囲は−14≦a≦0であり、特に、−9≦a≦−2の範囲にすることで、左右のブレ量を抑制して、全ての番手のクラブにおいて、ターゲット方向付近に打球が可能になるゴルフクラブセットとすることができる。
【0051】
なお、本発明に係るゴルフクラブセットは、セットを構成する各フェアウェイウッドのロフト角(X)及びフェース角(Y)が、上述した回帰式の条件を満足するように構築されていれば良く、その他の構成要件(ヘッドの大きさ、形状、材料、あるいはシャフトの構成等)については限定されることはない。また、セットを構成するフェアウェイウッドの本数についても限定されることはなく、ロフト角が20°以下で、予めセット化して販売されているようなものや、あるいは、同一の品番(同一の型番)として、シリーズ化されて個別に販売されるフェアウェイウッドが上記した条件を満足するようになっているものであれば良い。
【0052】
【発明の効果】
本発明によって構築されるウッドのゴルフクラブセットによれば、低番手のクラブと高番手のクラブとの間で、飛距離差を充分に得ることが可能になり、かつ打球の左右のブレ量を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゴルフクラブヘッドをアドレスした状態で見た図であり、フェース角を説明する図。
【図2】従来のゴルフクラブセットの試打試験を示した表であり、(a)は、人間による試打結果を示す表、(b)は、ロボットによる試打結果を示す表。
【図3】本発明に基づいて構築されるゴルフクラブセットの第1の例であり、その試打試験を示した表。
【図4】本発明に基づいて構築されるゴルフクラブセットの第2の例であり、その試打試験を示した表。
【図5】本発明に基づいて構築されるゴルフクラブセットの第3の例であり、その試打試験を示した表。
【図6】本発明に基づいて構築されるゴルフクラブセットの第4の例であり、その試打試験を示した表。
【図7】本発明に基づいて構築されるゴルフクラブセットの第5の例であり、その試打試験を示した表。
【図8】本発明に基づいて構築されるゴルフクラブセットの第6の例であり、その試打試験を示した表。
【図9】上記したゴルフクラブセットの第1の例から第6の例において、セットを構成するクラブのロフト角とフェース角の関係の分布と、回帰式を示したグラフ。
【符号の説明】
1 ヘッド
1a フェース
Claims (1)
- ロフト角が20°以下で異なる番手の複数本のフェアウェイウッドを含むウッドのゴルフクラブセットであって、
各フェアウェイウッドのロフト角を(X)とし、フェース角を(Y)で、かつフックフェースを(−)、スライスフェースを(+)とした場合、
フェース角(Y)とロフト角(X)から求められる最小二乗法による回帰式
Y=a+bX
としたとき、
その回帰係数bが、0.15≦b≦0.5、切片aが、−14≦a≦0であると共に、フェース角(Y)とロフト角(X)の相関関係を示す相関係数rが、r≧0.9となるように各番手のロフト角とフェース角を定めてセットを構築したことを特徴とするウッドのゴルフクラブセット。
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