JP3700966B2 - 液晶表示装置用ホログラム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、液晶表示装置に係わり、特に、ホログラムを用いてバックライトの利用効率向上を図った液晶表示装置用ホログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、カラーフィルターを用いたカラー液晶表示装置においては、表示のためにバックライトは必要不可欠なものである。しかしながら、カラー液晶表示装置の背後から白色光をそのまま照射しただけでは、その利用効率は非常に低い。その原因として、主に下記に示す理由が挙げられる。
【0003】
▲1▼各色のセル以外のブラック・マトリックスが占める面積が広く、そこに当たった光は無駄になる。
【0004】
▲2▼各画素へ入射する白色光の中、R(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルターを透過する色成分が制限されてしまうので、その他の補色成分は無駄となってしまう。
【0005】
このような問題を解決すべく、図5に示すように、例えばマイクロレンズアレー2をカラーフィルター1の前面に設置し、白色光のバックライト3をそれぞれカラーフィルターセルR、G、Bへ集光させるようにすることにより、バックライト3の利用効率を上げる方法が従来より知られている。なお、図5において、符号4はカラーフィルターセルR、G、B間に設けられたブラック・マトリックスを示す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法でも、白色光3を各カラーフィルターセルR、G、Bへ分光して照射することはできないために、上記▲2▼に示す問題の解決はできない。
【0007】
そこで、各画素の前面にホログラムを配置し、そのホログラムによって赤色成分は赤のカラーフィルターへ、緑色成分は緑のカラーフィルターへ、青色成分は青のカラーフィルターへ選択的に回析、集光させて入射させる方法も考えられるる。この方法によると、白色光を各画素毎に分光して照射するためにバックライトの利用効率を向上させることができる。
【0008】
しかし、このホログラムを用いる方法は、1つのホログラムの中に3色分の多重露光を行うか、3色各々用のホログラム3枚を同じ位置に貼り合わせなくてはならない。これらの方法の問題としては、3つの多重露光では、それぞれのホログラムの回析効率が低下してしまうこと、また、3枚貼り合わせでは、位置合わせが難しく、加工が大変煩雑になってしまう、ということが挙げられる。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、3色のカラーフィルターセル各々にホログラムで白色光を分光して照射させるようにして、液晶表示用バックライトの利用効率を大幅に向上させることである。また、本発明においては、多重露光やホログラムの貼り合わせを必要とせず、その作成が非常に容易な液晶表示装置を提供することを目的とする。なお、本発明において使用するホログラムをレリーフタイプで構成する場合、エンボス複製により大量に安価に作成することができるものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の液晶表示装置用ホログラムは、液晶表示装置の隣接する液晶セルへ入射光の赤、緑、青の各波長成分を集光させるホログラムにおいて、前記ホログラムは波長に応じて異なる回折角で回折するホログラムであって、前記入射光の赤、緑、青の各波長成分を対応する位置の液晶セルに集光させるものであり、かつ、前記ホログラムは、単層の記録材料に多重記録によらずに1層のホログラムとして記録され、集光性で波長に応じて異なる回折角で回折する単位ホログラムのアレーからなり、1個の単位ホログラムは隣接する3つの液晶セルに対応していることを特徴とするものである。
【0011】
この場合に、ホログラムが回折格子からなっていてもよい。
【0012】
また、各単位ホログラムはホログラム面にほぼ垂直に入射する入射光をオフセット配置の隣接する3つの液晶セルの位置に赤、緑、青の各波長成分に分光して集光するものであることが望ましい。
【0013】
また、各単位ホログラムはホログラム面に斜めに入射する入射光をインライン配置の隣接する3つの液晶セルの位置に赤、緑、青の各波長成分に分光して集光するものであることが望ましい。
【0014】
なお、集光は点状でも線状でもよい。
【0015】
また、記録材料としてフォトポリマーを用いることができる。
【0016】
あるいは、レリーフホログラムからなるものとすることができる。
【0017】
あるいは、計算機ホログラムからなるものとすることができる。
【0018】
【作用】
本発明においては、波長に応じて異なる回折角で回折するホログラムであって、入射光の赤、緑、青の各波長成分を対応する位置の液晶セルに集光させる、多重記録によらずに1層のホログラムとして記録された単位ホログラムのアレーからなるので、入射光の各波長成分を無駄なく各液晶セルへ入射させることができるため、その利用効率を大幅に向上させることができる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明のホログラムを用いた液晶表示装置の原理と実施例について、図面を参照にして説明する。
【0020】
まず、本発明の原理図を図1に示す。図1において、液晶表示装置のカラーフィルター1のバックライト入射側に透過型ホログラム5を配置する。透過型ホログラム5は、液晶表示装置の1画素を構成する3色のカラーフィルターセルR、G、Bの組各々に対応して、カラーフィルター1の画素ピッチと同じピッチでアレー状に構成されており、各単位ホログラムは、カラーフィルター1に垂直に入射する白色のバックライト3を回折して、対応する単位ホログラムからオフセットした位置のカラーフィルター1の画素上に集光するようにフレネルゾーンプレート状に形成されている。そして、ホログラム5としては、回折効率の波長依存性がないかもしくは少ない、レリーフ型、位相型、振幅型等のものが用いられる。ここで、回折効率の波長依存性がないかもしくは少ないとは、リップマンホログラムのように、特定の波長だけを回折し、他の波長は回折しないタイプのものではなく、1つの回折格子で何れの波長も回折するものを意味し、この波長依存性の少ない回折格子は、一般に、波長に応じて異なる回折角で回折する。したがって、入射光3の波長に依存して単位ホログラムによる回折角は異なり、各波長に対する集光位置はホログラム5面に平行な方向に分散される。そのため、白色入射光3の赤の波長成分はカラーフィルターセルRの位置に、緑の成分はカラーフィルターセルGの位置に、青の成分はカラーフィルターセルBの位置にそれぞれ回折集光され、それぞれの成分は各カラーフィルターセルR、G、Bでほとんど減衰されずに通過し、対応する位置の液晶セルの状態に応じた色表示を行う。なお、カラーフィルター1とホログラム5の間にフィルターセルR、G、Bと液晶セルが整列するように、図示しない液晶表示素子が配置されている。
【0021】
このように、本発明においては、ホログラム5の各波長による回析角度の違いを利用して、ホログラム5の背後に配置したカラーフィルター1の各色セルR、G、Bへ対応する波長成分が回折して入射するようにし、これにより、従来のカラーフィルター用バックライトの各波長成分を無駄なく各色セルへ入射させることができるため、その利用効率を大幅に向上させることができる。
【0022】
このような原理を実施する具体的なホログラム及びそれを用いた液晶表示装置について、図2を参照に説明する。この実施例はバックライト3をカラーフィルター1及びホログラム5に対して垂直に照射するのではなく、それらの法線に対して所定の角度をなして入射させる例であり、図の場合、法線に対して25°で平行なバックライト3を入射させている。そして、図示の相対位置及び寸法のフィルターセルR、G、Bに図示の角度でバックライト3の青波長(460nm)、緑波長(545nm)、赤波長(610nm)を集光回折している。
【0023】
ここで、ホログラム5は、感光材料としてフォトポリマー(デュポン社 オムニデックス352)の膜厚10μm、屈折率差Δn0.03のものを用い、光源として波長514.5nm、アルゴン5Wレーザー(スペクトラフィジック社製モデルSP2020−055)を電流30A、出力0.1Wの514.5nmシングルモード状態で用い、物体光として、焦点距離106mmの収束レンズであって、その光軸が感光層の法線に対し0.68°の角度をなし、感光層を通してその背後1.0mmの位置に焦点が位置する収束レンズによって集光される光を用い、参照光として、感光層の法線に対して同じ側に24.3°の角度をなす平行光を用いて、以下の記録条件で撮影及び後処理条件で後処理したものを用いた。
【0024】
上記の条件で記録したホログラム5を分光測定器(島津(株)製 Recording SpectorophotometerUV365)によって回折効率を測定したところ、各波長において下記の結果が得られた。
【0025】
青色(460nm):73%
緑色(545nm):98%
赤色(610nm):91%
この回折効率により、ホログラム5に入射する白色ハライドランプからの平行光の場合、各々の波長のフィルターセルR、G、Bへ入射する光の利用効率は、ホログラム5を使用しない図5の場合に比較して下記の通り向上し、本発明の方法の有効性が確認できた。なお、この測定には、色彩輝度計(トプコン(株)製モデルNo.BM−5)を用いて各カラーフィルターセルR、G、Bの輝度を求めて行った。
【0026】
青色(460nm)用カラーフィルターセル:2.2倍
緑色(545nm)用カラーフィルターセル:3.0倍
赤色(610nm)用カラーフィルターセル:2.8倍
次に、回折効率の波長依存性がないかもしくは少ない集光性のホログラム5とカラーフィルター1の間に、各カラーフィルターセルR、G、Bに入射する集光色成分をさらに集光させるための集光ホログラム6を各フィルターセルR、G、Bに整列して配置し、さらに無駄なく各色成分を各セルへ入射させ、また、ホログラム5とカラーフィルター1の間の距離を短縮する実施例を図3に示す。この実施例においては、ホログラム5により分光集光された光がブラック・マトリックス4によって遮断され無駄になる場合でも、集光ホログラム6によりさらに集光されるため、分光された成分がブラック・マトリックス4に当たって遮断されことが防止できる。なお、集光ホログラム6の代わりにマイクロレンズを用いてもよい。
【0027】
さて、以上の各実施例は、カラーフィルターセルR、G、Bの組各々に対応して、波長分散をするフレネルゾーンプレート状のマイクロホログラムアレーを整列して配置するものであったが、回折格子の作用をする一様なホログラムとマイクロレンズアレーを組み合わせて、同様にホログラムの波長分散作用を利用して、液晶表示用バックライトの利用効率を大幅に向上させることができる。その実施例を図4を参照にして説明する。図4において、カラー液晶表示装置のカラーフィルター1の前面には、カラーフィルター1の画素ピッチに対応する径のマイクロレンズ7をガラス基板8上に設けてなるマイクロレンズアレー9が配置されている。マイクロレンズアレー9のカラーフィルター1側には、一様な干渉縞からなる波長依存性の少ないない透過型ホログラム5′が一体に設けられている。このように構成すると、マイクロレンズ7で集光された白色バックライト3は、透過型ホログラム5′で波長に応じて異なる角度で回折され分光される。したがって、図1等の場合と同様、各波長に対する集光位置はホログラム5′面に平行な方向に分散され、白色入射光3の赤の波長成分はカラーフィルターセルRの位置に、緑の成分はカラーフィルターセルGの位置に、青の成分はカラーフィルターセルBの位置にそれぞれ集光され、それぞれの成分は各カラーフィルターセルR、G、Bでほとんど減衰されずに通過し、対応する位置の液晶セルの状態に応じた色表示が行われる。この実施例においては、ホログラム5′として、集光性でなく一様な干渉縞からなる波長依存性の少ない透過型ホログラムを用いることができるため、ホログラム5′をカラーフィルター1と位置合わせする必要がない点、及び、マイクロレンズアレー9のピッチが図5の従来の場合の3倍になり、作りやすくかつ整列しやすい点に特長がある。
【0028】
ところで、以上のホログラム5、5′の記録材料としては、フォトポリマー、フォトレジスト等、公知のホログラム記録材料を用いることができ、また、ホログラムの形態としたは、レリーフ型、屈折率分布型、透過率分布型何れでもよく、また、2光束干渉によって記録したものに限らず、所望のホログラム干渉縞を計算機によって計算し、電子ビーム等によって描画して作成する計算機ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)を用いてもよく、さらには、描画記録された計算機ホログラム等に再生光を入射させて生じる回析光と直進光を密着した感光材料中で干渉させて複製し、回折効率を上げたホログラム、レリーフ型の原版ホログラムをエンボス複製して作成したホログラムを用いてもよい。
【0029】
なお、以上において、ホログラム5、集光ホログラム6の集光形態としては、対応するカラーフィルターセル上に点状に集光するものでもよく、また、線状に集光するものでもよい。また、マイクレンズ7も、カラーフィルターセル上に点状に集光する回転対称なレンズでも、線状に集光するシリンドリカルレンズ、トーリックレンズ等でもよい。
【0030】
以上、本発明のホログラムを用いた液晶表示装置をいくつかの実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の液晶表示装置用ホログラムによると、波長に応じて異なる回折角で回折するホログラムであって、入射光の赤、緑、青の各波長成分を対応する位置の液晶セルに集光させるものであるので、入射光の各波長成分を無駄なく各液晶セルへ入射させることができるため、その利用効率を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホログラムを用いた液晶表示装置の原理を説明するための図である。
【図2】本発明の1実施例の構成を示す図である。
【図3】別の実施例の構成を示す図である。
【図4】さらにもう1つの実施例の構成を示す図である。
【図5】従来の液晶表示装置の照明方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1…カラーフィルター
3…バックライト
4…ブラック・マトリックス
5…透過型ホログラム
6…集光ホログラム
7…マイクロレンズ
8…ガラス基板
9…マイクロレンズアレー
5′…一様な干渉縞からなる透過型ホログラム
Claims (9)
- 液晶表示装置の隣接する液晶セルへ入射光の赤、緑、青の各波長成分を集光させるホログラムにおいて、前記ホログラムは波長に応じて異なる回折角で回折するホログラムであって、前記入射光の赤、緑、青の各波長成分を対応する位置の液晶セルに集光させるものであり、かつ、前記ホログラムは、単層の記録材料に多重記録によらずに1層のホログラムとして記録され、集光性で波長に応じて異なる回折角で回折する単位ホログラムのアレーからなり、1個の単位ホログラムは隣接する3つの液晶セルに対応していることを特徴とする液晶表示装置用ホログラム。
- 前記ホログラムが回折格子からなることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置用ホログラム。
- 前記各単位ホログラムはホログラム面にほぼ垂直に入射する入射光をオフセット配置の隣接する3つの液晶セルの位置に赤、緑、青の各波長成分に分光して集光することを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示装置用ホログラム。
- 前記各単位ホログラムはホログラム面に斜めに入射する入射光をインライン配置の隣接する3つの液晶セルの位置に赤、緑、青の各波長成分に分光して集光することを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示装置用ホログラム。
- 点状に集光することを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載の液晶表示装置用ホログラム。
- 線状に集光することを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載の液晶表示装置用ホログラム。
- 記録材料としてフォトポリマーが用いられていることを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載の液晶表示装置用ホログラム。
- レリーフホログラムからなることを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載の液晶表示装置用ホログラム。
- 計算機ホログラムからなることを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載の液晶表示装置用ホログラム。
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- 2000-12-27 JP JP2000397085A patent/JP3700966B2/ja not_active Expired - Lifetime
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