JP3700669B2 - 浄水器用カートリッジ - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、上水道水等の飲料水を浄化する浄水器に関し、特に上水道水等の飲料水を活性炭、イオン交換体及び中空糸膜に通水して浄化する浄水器用カートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
上水道水等の飲料水を活性炭と中空糸膜に通水して浄化する水浄化カートリッジとして、特許第2760960号、特許第2760977号、特許第2760978号があり、同様な構成の浄水器として、特開平11−333446号がある。
【0003】
これらは、外側ケースの内側に間隔を存して内側ケースを配置し、内側ケースに水浄化用中空糸膜が充填され、外側ケースと内側ケースとの間の空間に水浄化用活性炭が収納され、外側ケースの閉じられた一端側に水流入口と浄水出口を備え、外側ケースの他端側をキャップで覆い、前記キャップの内側の空間には水の流れ方向を180度転換する方向転換通路部を形成し、前記水流入口から流入した水が前記活性炭を通過し、前記キャップに向かって流れる水がキャップの中央部が内側に湾曲した方向転換通路部によって方向転換して中空糸膜を通過するように構成している。
【0004】
また、円筒状のハウジングの内部に、原水中に含まれている細菌類、濁度成分を分離する中空糸膜をU字状に折り曲げて収納した中空糸膜モジュールを設け、この中空糸膜モジュールの胴部外周に原水中のカビ臭、カルキ臭を除去する吸収体が設けられた構成が特開2001−232361号に開示されている。この吸収体は、繊維状活性炭、不織布、発泡材等の微多孔物質に、チタンケイ酸塩などのイオン交換能を有する吸収剤を担持して形成している。これによって、細菌類、濁度成分等に加えて鉛などの重金属イオンを除去できる浄水器としている。
【0005】
また、通水経路に従って、活性炭とイオン交換樹脂を混合した濾過体、活性炭、中空糸膜の順に配置した浄水器が、特開平7−204631号と特開平9−38642号に開示されている。
【0006】
このように、活性炭、中空糸膜、イオン交換機能材を適宜用いることによって原水を浄化する浄水器は公知であるが、上記のものは、活性炭、中空糸膜、イオン交換機能体を円筒状の浄水器ハウジング内に収納した水道水蛇口直結型の浄水器ではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、活性炭、イオン交換機能体、中空糸膜がそれぞれ持つ浄化機能を活かすようにその配列を考慮し、円筒状のハウジング内にこれらをコンパクトに収納し、組立てがし易い構成の水道水蛇口に取り付けられる浄水器用カートリッジを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の浄水器用カートリッジは、一端側に原水流入口と浄水出口が設けられ他端側が開口したハウジングと、前記ハウジングの内側に前記ハウジングとの間に環状の間隔を存して筒状ケースに水浄化用中空糸膜が充填され前記浄水出口に連通する中空糸膜体と、前記中空糸膜体を取り囲むように前記間隔に充填され前記原水流入口に連通する水浄化用活性炭層と、前記ハウジングの他端側において前記中空糸膜体に形成した通水部と、前記ハウジングの他端側において前記活性炭層を覆うように前記環状間隔に嵌め込まれた環状のイオン交換体と、前記通水部と前記イオン交換体とを覆って前記イオン交換体から前記中空糸膜へ通水する連通部を形成して前記ハウジングの他端側開口を塞ぐキャップとを備え、前記原水流入口から流入した原水が前記活性炭層とイオン交換体を通過して前記通水部から前記中空糸膜体内に流入して前記浄水出口から浄水が取り出される通水路が形成されたものである。
【0009】
これによって、イオン交換体によって、活性炭層が塞がれ、活性炭層をハウジングと中空糸膜体との間に保持することができる。そして、水道水は活性炭層によって残留塩素、臭気、錆等による着色成分、トリハロメタンや農薬等の有機物が除去された後、イオン交換体によって重金属イオンを除去し、その後、中空糸膜体によって細菌類、微細な濁度成分、微細有害物質を除去して、浄水を浄水出口から取り出すことができる。もし、イオン交換体内で細菌類が繁殖した場合にも細菌類が中空糸膜体で除去されるため安全である。
【0012】
そして、本発明の浄水器用カートリッジは、上記において、イオン交換体は、前記筒状ケースの外側に係止する環状弾性シール材に内周面が密着して支持され、具体的には、前記筒状ケースの外側に形成した環状鍔に係止する環状弾性シール材に内周面が密着して支持された構成である。
【0013】
このため、環状弾性シール材によってイオン交換体を支持すると共に、活性炭層の一端側をイオン交換体周囲からの漏水がない状態に塞ぐことができるため、活性炭層からイオン交換体に至る経路での浄化機能を十分に行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の浄水器用カートリッジの中央縦断側面図を示している。これにおいて、浄水器用カートリッジ1は、一端側に原水流入口7と浄水出口8が設けられ他端側が開口21した円筒状のハウジング2と、ハウジング2の内側にハウジング2との間に上下方向に筒状に延びた環状の間隔6を存して中空糸膜体3が設けられている。この中空糸膜体3は、円筒状ケース4内に水浄化用の多孔質中空糸膜5が逆U字状に折り曲げて充填され、一端側(下端側)が浄水出口8に連通している。そして、中空糸膜体3を取り囲むように間隔6には水浄化用活性炭が充填されて筒状の水浄化用活性炭層12を形成し、水浄化用活性炭層12の一端側(下端側)が原水流入口7に連通している。ハウジング2の他端開口21側において中空糸膜体3の端部(上端部)には、ケース4の端部(上端部)に形成した複数のスリット22によって通水部9を形成している。ハウジング2の他端開口21側(上端部)において活性炭層12を覆うように環状間隔6に沿って環状のイオン交換体20が嵌め込まれて保持されている。通水部9とイオン交換体20とを覆ってイオン交換体20から中空糸膜5へ通水する連通部10を形成するキャップ11が、ハウジング2の他端側開口21を塞ぐようにハウジング2の外側に螺合している。
【0017】
この実施形態を更に詳しく説明することとする。夫々円筒状をなすハウジング2とキャップ11は合成樹脂製である。ハウジング2は、原水流入口7、浄水出口8及び位置決め用ボス13を一体に形成すると共に、原水流入口7側の反対側の開口21端部の外周には、キャップ11の内面に形成したネジ部16と螺合するネジ部17を形成している。中空糸膜体3は、両端部が開口し、その一端側(下端側)はハウジング部2内の円形状取り付け部14に環状シール材15を介して水密状態に嵌合組み立てられ、ハウジング2との間に略均一な上下に延びた環状の間隔6を形成する。
【0018】
活性炭層12は浄化表面積が大きく取れるように粒状活性炭を用いているが、カートリッジ1で浄化する原水の水質によっては、それに適合する機能を有する種類の活性炭を採用することが好ましい。18、19は活性炭層12の活性炭が原水流入口7へ漏れないように仕切る通水性の仕切りであり、仕切り19は比較的剛性のある合成樹脂製などのスノコとし、仕切り18は不織布又は繊維状活性炭で構成することによって目的を達成できる。
【0019】
中空糸膜体3には、種々の構成があるがその一つの構成について形成方法の概略を説明する。即ち、中空糸原料であるポリスルフォンを溶剤に溶かしてドロドロの状態としこれを金型に通して中空糸を作る。この中空糸で束をつくり中空糸膜5とし、これをU字状に折り曲げた状態で所定の円筒状ケース4に充填し、中空糸膜体3の各中空糸の切断された端面を熱で溶かして封じた後、装置にセットしてポッティング材料(封止材料)であるウレタン樹脂を各中空糸の端部間の隙間に充填する。この充填によって各中空糸の端部相互の隙間が封止材料23によって封止される。その後、この封止部分の端を切断して中空糸膜5の中空面を露出させる。このようにして形成された中空糸膜体3を、ハウジング部2内の円形状取り付け部14に環状シール材15を介して水密状態に嵌合組み立て、ハウジング2内にセットする。
【0020】
イオン交換体20の一つの形態は、イオン交換繊維の環状成形体である。イオン交換体20の他の形態は、イオン交換機能材料と繊維状活性炭との混合された環状成形体である。更に、イオン交換体20の他の形態は、イオン交換繊維と繊維状活性炭との混合された環状成形体である。このいずれの形態であっても、イオン交換体20は、その内周面が環状弾性シール材である環状シールゴム25に密着し、その外周面に形成した保護被覆26がハウジング2の開口21の内側端部に密接する。この構成によって、活性炭層12を通過した水は、このイオン交換体20周辺部から漏水することなくイオン交換体20を通過する。
【0021】
イオン交換体20は、筒状ケース4の外側に形成した環状鍔24の上に載った状態で環状鍔24に係止する環状シールゴム25によって支持されている。このため、環状シールゴム25を環状鍔24に載せた状態で、イオン交換体20をハウジング2の開口21側から環状シールゴム25とハウジング2の開口21の内側端部とに密着するように若干圧入する関係で挿入させることによって組み立てられる。また、別の方法として、環状シールゴム25がイオン交換体20の内側に組み合わされた状態で、これをハウジング2の開口21の内側端部と環状鍔24との間に若干圧入する関係で挿入させ、環状シールゴム25が環状鍔24に載った状態で組み立てが終わる。
【0022】
このような組み立ての後に、キャップ11をハウジング2に螺合させることによって、イオン交換体20の上端部はキャップ11に当接して位置決めされ、安定状態に保持される。27はキャップ11とハウジング2との間の環状シール材である。
【0023】
本発明のカートリッジ1は、図示しない浄水器ボディーに組み合わされて浄水器を構成し、この浄水器は上水道水の蛇口に取り付けられる水道蛇口直結型の浄水器用である。カートリッジ1の位置決め用ボス13を浄水器ボディーの孔に嵌め合わせて位置決めして固定した状態で、浄水器ボディーを上水道水の蛇口に取り付ける。この状態で、浄水器ボディーを通して原水流入口7から水道水が流入し、浄化された水が浄水出口8から取り出せる。
【0024】
活性炭層12の活性炭は、原水である水道水中に含まれる残留塩素、トリハロメタン、農薬、その他有機物を除去するが、この他に、水道水中に含まれる重金属が微量である場合には、特殊な活性炭を用いてその重金属を取り除くことができる。
【0025】
イオン交換体20をイオン交換繊維の成形体とする。この場合、陰イオン交換樹脂繊維の成形体とすることによって、硝酸性窒素と亜硝酸性窒素の除去と鉛等の重金属の除去もできる。しかし、陰イオン交換樹脂は、使い始めに未反応物質が色水として流出したり、水の味を損ねたりする虞や、殺菌のために注入された次亜塩素イオンを取り除き性能が落ちることがあるため、活性炭と混ぜて使用するのがよい。このため、イオン交換体20を繊維状活性炭とイオン交換繊維の混合された成形体としてカートリッジ1内に組み込む形態がよい。
【0026】
また、イオン交換体20を繊維状活性炭とイオン交換機能材料の混合された成形体としてカートリッジ1内に組み込む形態でもよい。このイオン交換機能材料としては、ゼオライト、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタンケイ酸塩等の一種類又は複数種類を含む。
【0027】
本発明の構成によって、イオン交換体20によって、活性炭層12が塞がれるため、粒状活性炭を間隔6に注入して活性炭層12を形成する構成の場合には、イオン交換体20は粒状活性炭層の封止材又は蓋としての機能も果たし、活性炭層12をハウジング2と中空糸膜体3との間の間隔6に保持することができる。そして、原水流入口7から流入した原水が活性炭層12とイオン交換体20を通過して通水部9から中空糸膜体3内に流入して浄水出口8から浄水が取り出される通水路が形成される。
【0028】
原水流入口7から流入した原水である水道水は、仕切り18によって塵が除去された後、活性炭層12によって残留塩素、臭気、錆等による着色成分、トリハロメタンや農薬等の有機物が除去され、その後、イオン交換体20によって重金属イオンを除去し、更にその後、中空糸膜体3によって細菌類、微細な濁度成分、微細有害物質を除去して、浄水を浄水出口8から取り出すことができる。もし、イオン交換体20内で細菌類が繁殖した場合にも細菌類が中空糸膜体3で除去されるため安全である。
【0029】
また本発明の浄水器用カートリッジ1のイオン交換体20は、上記のように、イオン交換繊維の環状成形体であること、イオン交換機能材料と繊維状活性炭との混合された環状成形体であること、イオン交換繊維と繊維状活性炭との混合された環状成形体であることの何れかの特徴をもつ。これによって、残留塩素、臭気、錆や汚れ等による濁度成分、トリハロメタンや農薬等の有機物、細菌類の除去に加えて、鉛等の重金属イオンの効果的な除去ができる。そして、活性炭との混合とすることによって、陰イオン交換樹脂を採用した場合の問題点を解決することができるものとなる。
【0030】
また、本発明の浄水器用カートリッジ1のキャップ11は、ハウジング2の他端側開口21の外側に螺合してイオン交換体20を押さえ、通水部9とイオン交換体20とを覆って外方へ凸に湾曲した連通部10を形成している。これによってイオン交換体20を保持する機能と、イオン交換体20を通過した水が中空糸膜体3に平均して通じることができ、中空糸膜体3での良好な浄化機能を発揮できる。
【0031】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り種種の変更が考えられ、それに係る種種の実施形態を包含するものである。
【0032】
【発明の効果】
本発明によると、水道水は活性炭層によって残留塩素、臭気、錆等による着色成分、トリハロメタンや農薬等の有機物が除去された後、イオン交換体によって重金属イオンを除去し、その後、中空糸膜体によって細菌類、微細な濁度成分、微細有害物質を除去して、浄水を浄水出口から取り出すことができる。もし、イオン交換体内で細菌類が繁殖した場合にも細菌類が中空糸膜体で除去されるため安全である。
【0034】
また、本発明の浄水器用カートリッジは、環状弾性シール材によってイオン交換体を支持すると共に、活性炭層の一端側をイオン交換体周囲からの漏水がない状態に塞ぐことができるため、活性炭層からイオン交換体に至る経路での浄化機能を十分に行うことができる。更に、粒状活性炭を間隔に注入して活性炭層を形成する構成の場合には、イオン交換体が粒状活性炭の封止材又は蓋としての機能を果たし、活性炭層をハウジングと中空糸膜体との間の間隔に保持して良好な浄化作用を行うことができる。
【0035】
また、本発明の浄水器用カートリッジは、上記の構成によって、円筒状のハウジング内に、水浄化用活性炭層と、中空糸膜体と、イオン交換体とをコンパクトに収納し、組立て易く、水道水蛇口に取り付けられる浄水器用カートリッジとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の浄水器用カートリッジの中央縦断側面図である。
【符号の説明】
1……浄水器
2……ハウジング
3……中空糸膜体
4……筒状ケース
5……中空糸
6……間隔
7……原水流入口
8……浄水出口
9……通水部
10…連通部
11…キャップ
12…活性炭
20…イオン交換体
24…環状鍔
25…環状弾性シール材
Claims (1)
- 一端側に原水流入口と浄水出口が設けられ他端側が開口した円筒状のハウジングと、前記ハウジングの内側に前記ハウジングとの間に環状の間隔を存して円筒状ケースに中空糸膜が充填され前記浄水出口に連通する中空糸膜体と、前記中空糸膜体を取り囲むように前記間隔に充填され前記原水流入口に連通する活性炭層と、前記ハウジングの他端側において前記中空糸膜体に形成した通水部と、前記ハウジングの他端側において前記活性炭層を覆うように前記環状間隔に嵌め込まれた環状のイオン交換体と、前記通水部と前記イオン交換体とを覆って前記イオン交換体から前記中空糸膜へ通水する連通部を形成して前記ハウジングの他端側開口を塞ぐキャップとを備え、前記原水流入口から流入した原水が前記活性炭層とイオン交換体を通過して前記通水部から前記中空糸膜体内に流入して前記浄水出口から浄水が取り出される通水路が形成され、前記イオン交換体は、前記ケースの外側に形成した環状鍔に係止する環状弾性シール材によって支持されたことを特徴とする浄水器用カートリッジ。
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