JP3699707B2 - マスター情報磁気記録装置およびこれを用いて情報が記録された磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

マスター情報磁気記録装置およびこれを用いて情報が記録された磁気記録媒体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録再生装置に用いられる大容量で高記録密度の磁気記録媒体に、マスター情報担体を用いて所定の情報信号を予め記録するためのマスター情報磁気記録装置およびこれを用いて情報信号が記録された磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、小型でかつ大容量のものを実現するために磁気記録再生装置は高記録密度化の傾向にある。代表的な磁気記録再生装置である磁気ディスク装置の分野においては、年率100%の急激な記録密度の向上が認められる。このような高記録密度化が可能となった技術的背景として、磁気記録媒体及びヘッド・ディスクインターフェースの性能の向上とパーシャルレスポンス等の新規な信号処理方式の出現による線記録密度の向上とが挙げられる。
【0003】
しかし近年では、トラック密度の増加傾向が線記録密度の増加傾向を大きく上回っている。このため、面記録密度が向上している。これは、従来の誘導型磁気ヘッドに比べて再生出力性能がはるかに優れた磁気抵抗素子型ヘッドの実用化によるものである。現在、磁気抵抗素子型ヘッドの実用化により、サブミクロン領域のトラック幅の信号を高いS/N比をもって再生することが可能となっている。
【0004】
磁気ヘッドがこのような狭いトラックを正確に走査し、高いS/N比をもって信号を再生するためには、磁気ヘッドのトラッキングサーボ技術が重要な役割を果たす。このようなトラッキングサーボ技術に関しては、例えば、『山口:磁気ディスク装置の高精度サーボ技術、日本応用磁気学会誌、Vol.20,No.3,pp.771,(1996)』に詳細に記載されている。
【0005】
図32は、従来の磁気ディスク装置90の構成を示す平面図である。磁気ディスク装置90は、円板形状をした磁気ディスク8を備えている。磁気ディスク8は、図示しないモータによって回転駆動される。
【0006】
磁気ディスク装置90には、回動軸226の回りに回動自在に設けられたヘッドアーム225が設けられている。ヘッドアーム225の先端には、ヘッドサスペンション222が設けられている。ヘッドサスペンション222の先端には、磁気ヘッド221が搭載されている。磁気ディスク装置90には、ヘッドアーム225を駆動するためのボイスコイルモータ223が回動軸226を挟んでヘッドアーム225と対向するように設けられている。
【0007】
このように構成された磁気ディスク装置90においては、ヘッドアーム225がボイスコイルモータ223によって駆動されると、ヘッドアーム225は回動軸226の回りに回動する。このため、ヘッドサスペンション222に搭載された磁気ヘッド221は、回動軸226を中心とする円弧状のトラッキング走査軌道224に沿って、回転する磁気ディスク8の上を移動する。
【0008】
前述した文献によれば、磁気ディスク装置に設けられた磁気ディスクには、磁気ディスクの1周、即ち角度にして360度中に、一定の角度間隔で図33に示されるような再生同期信号パターン211、セクタマークパターン212、アドレス情報信号パターン213およびトラッキング用サーボ信号214等が記録された領域(以下『プリフォーマット記録領域』という。)が設けられている。これにより、磁気ヘッドは、これらのパターンに基づいて一定の間隔で信号を再生して自己の位置を確認し、磁気ディスクの半径方向における変位を必要に応じて修正しながら正確にトラック上を走査することができる。
【0009】
上記した再生同期信号パターン211、セクタマークパターン212、アドレス情報信号213パターン、トラッキング用サーボ信号パターン214等のプリフォーマット情報信号パターン(マスター情報)を磁気ディスクに予め記録することをプリフォーマット記録と呼ぶ。このようなプリフォーマット記録を短時間で行うことを可能とする技術としてマスター情報磁気記録技術が特開平10−40544号公報において開示されている。このマスター情報磁気記録技術によれば、プリフォーマット記録を短時間で行うことができる。
【0010】
ここで、マスター情報を磁気ディスクに予め記録する方法を説明する。まず、磁気ディスクを一方向に磁化することで初期化する。次に、強磁性薄膜パターンが形成されたマスター情報担体を磁気ディスクに密着させる。ここで強磁性薄膜パターンとは、プリフォーマット記録を行いたい情報信号に対応したパターンである。例えば、図33に示した信号をプリフォーマット記録する場合、強磁性薄膜パターンは、図33に対応したパターンとなる。その後、マスター情報担体が密着された磁気ディスクに外部から磁界(転写磁界という)を印加する。
【0011】
なお、初期化時の磁界の向きは転写磁界の向きと反対であることが望ましい。マスター情報担体上に形成された強磁性体薄膜パターンは磁化され、マスター情報担体上の強磁性体薄膜パターンの下部では磁界が弱くなり、マスター情報担体上の強磁性体薄膜の無いところでは磁界が強められる。このため磁気ディスク上において、マスター情報担体上の強磁性体薄膜の無いところでは印加磁界の向きに磁化され、マスター情報担体上の強磁性体薄膜の下部にあたるところでは印加した外部磁界によって磁化されず、初期化時の磁化方向のままとなる。その結果として、マスター担体上の強磁性体薄膜の端部において、磁化の反転が生じる。このようにしてマスター担体上に形成された強磁性薄膜パターンに対応する磁化パターンを磁気記録媒体に記録することができるのである。
【0012】
このようにマスター情報磁気記録は、マスター情報担体上の強磁性薄膜パターンの端部に沿って磁化反転を生じせしめるものである。従って、良好な再生信号を得るには、転写磁界の向きは、マスター担体上の強磁性薄膜の端辺に垂直な方向に近い方が好ましい。
【0013】
ここで、磁気ディスク上に記録された信号を再生するために設けられた磁気ヘッドと磁気ディスクとの間の磁気ディスクが回転することによる相対移動方向に対して平行な線をパターン角度基準とし、このパターン角度基準とマスター情報担体に形成された強磁性薄膜パターンとのなす角度をパターンアングルとする。このパターンアングルは一般にディスクの半径方向に沿って同じであることは無い。
【0014】
パターンアングルは、回動するヘッドアーム上の磁気ヘッドが移動する軌跡を示す円弧の接線と磁気ディスクの半径方向に対して垂直なヘッド走行方向とのなす角である。このため、パターンアングルは磁気ディスクの内周から外周に向かって次第に変化することになる。
【0015】
これに対して、特開平11−273069号公報には、転写磁界方向を磁気ヘッドの移動軌跡である円弧の法線方向とすることによって、磁気ディスクに記録される信号を良好なものにすることが提案されている。
【0016】
通常のプリフォーマットパターンには、その構成要素である再生同期信号パターン、セクタマークパターン、アドレス情報信号パターン、トラッキング用サーボ信号パターンなど異なる複数のパターンが磁気ヘッドの走行方向に向かって順次配置されているが、各パターンは、全て磁気ヘッドの移動軌跡である円弧に沿って形成されている。このため、同じ半径位置でみれば各パターンのパターンアングルは、互いに同一である。
【0017】
しかしながら、プリフォーマットパターンの中にはヘッド走行方向に向かって順次存在する複数のパターンの各々のパターンアングルが互いに異なる場合もある。その典型的な例がトラッキング用サーボ信号が位相検出方式に対応したものである。位相検出方式は、特開昭60−10472号公報、特開平8−221919号公報などにおいて提案されている。この位相検出方式は、ノイズの影響を受けにくく高精度の位置誤差信号を得ることができる検出方式である。このため、今後更にトラック密度が増加した時にヘッドの位置決め精度の向上にこたえうる重要な方式である。
【0018】
図34は、従来のマスター情報担体に形成された他の強磁性薄膜パターン94の構成を説明するための拡大図である。この強磁性薄膜パターン94は、前述した特開平8−221919号公報において開示されている位相検出方式のプリフォーマットパターンである。
【0019】
強磁性薄膜パターン94は、再生同期信号パターン95とセクタマークパターン91とアドレス情報信号パターン98とトラッキング用サーボ信号パターン96とトラッキング用サーボ信号パターン97とを含んでいる。サーボ信号パターン97はサーボ信号パターン96に対して傾いて形成されている。このため、磁気ヘッドが磁気ディスクの半径方向に沿って位置を変えると、パルスの位置が次第に変化するので、サーボ信号パターン96とサーボ信号パターン97との間には位相差が生じる。
【0020】
この強磁性薄膜パターン94(プリフォーマットパターン)に含まれる再生同期信号パターン95、セクタマークパターン91、アドレス情報信号パターン98およびサーボ信号パターン96は全て磁気ヘッドの移動軌跡である円弧に沿って形成されている。従って、同じ半径位置ではこれらのパターンは同一のパターンアングルを有している。
【0021】
【特許文献1】
特開平10−40544号公報
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、サーボ信号97はこれらのパターンに対して傾いて形成されている。従って、これらのパターンのパターンアングルとは異なるパターンアングルを有している。
【0023】
この場合、前述したように転写磁界方向を磁気ヘッドの移動軌跡である円弧の法線方向とすると、サーボ信号パターン97に対応するマスター情報担体上の強磁性薄膜の端辺に対する垂線と転写磁界方向とがずれることになる。このため、マスター情報担体上の強磁性薄膜の端辺における磁界変化の急峻さが損なわれる。その結果、磁化反転位置即ちパルス位置が不明瞭になる。これは信号の位相の乱れをまねくので、位相検出方式による高精度なヘッドの位置決めを困難にする。また、転写磁界の実効的な強さがサーボ信号パターン97に対してとその他のパターンに対してとで異なることになる。その結果、パターンアングルの異なるパターン双方に適切な転写磁界条件を設定することが困難となる。このように適切な転写磁界で記録することができないと再生出力の低下が生じる。
【0024】
以上のような、信号の位相の乱れや再生出力の低下の問題は、転写磁界の向きがマスター情報担体上の強磁性体の端辺に垂直な方向に対するずれが大きい程深刻になる。
【0025】
即ち、磁気ヘッド走行方向にパターンアングルの異なる複数のパターンが順次存在するプリフォーマットパターンにおいて、信号の位相の乱れや再生出力の低下を最小限に抑え、実用に耐える信号品質を得ることが重要な課題となっている。
【0026】
本発明の目的は、プリフォーマットパターン記録の信頼性を高めることができるマスター情報磁気記録装置およびこれを用いて情報が記録された磁気記録媒体を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るマスター情報磁気記録装置は、情報信号に対応する強磁性薄膜パターンが表面に形成されたマスター情報担体と、前記強磁性薄膜パターンが形成された前記マスター情報担体の表面に、磁気記録媒体に形成された記録面を対向させるために設けられたマスター情報担体対向手段と、前記情報信号を前記磁気記録媒体に記録するために、前記磁気記録媒体に形成された記録面と対向する前記マスター情報担体の表面に形成された前記強磁性薄膜パターンと前記磁気記録媒体とに磁界を印加する磁界印加手段とを具備しており、前記マスター情報担体の表面に形成された前記強磁性薄膜パターンは、アームに搭載された磁気ヘッドと回転する前記磁気記録媒体との間の相対移動方向に対する角度を示すパターンアングルが互いに異なる2種類以上のパターンを含んでおり、前記磁界印加手段は、前記2種類以上のパターンのうち、前記パターンアングルが最大となるパターンのパターンアングルよりも小さく、前記パターンアングルが最小となるパターンのパターンアングルよりも大きい角度によって示される方向に直交する磁界印加方向に沿って前記磁界を印加することを特徴とする。
【0028】
本発明に係る磁気記録媒体の製造方法は、予めマスター情報が記録された磁気記録媒体の製造方法であって、情報信号に対応する強磁性薄膜パターンが表面に形成されたマスター情報担体の表面に、磁気記録媒体に形成された記録面を対向させるマスター情報担体対向工程と、前記情報信号を前記磁気記録媒体に記録するために、前記磁気記録媒体に形成された記録面と対向する前記マスター情報担体の表面に形成された前記強磁性薄膜パターンと前記磁気記録媒体とに磁界を印加する磁界印加工程とを包含しており、前記マスター情報担体の表面に形成された前記強磁性薄膜パターンは、アームに搭載された磁気ヘッドと回転する前記磁気記録媒体との間の相対移動方向に対する角度を示すパターンアングルが互いに異なる2種類以上のパターンを含んでおり、前記磁界印加工程は、前記2種類以上のパターンのうち、前記パターンアングルが最大となるパターンのパターンアングルよりも小さく、前記パターンアングルが最小となるパターンのパターンアングルよりも大きい角度によって示される方向に直交する磁界印加方向に沿って前記磁界を印加することを特徴とする。
【0029】
【発明の実施の形態】
本実施の形態に係るマスター情報磁気記録装置においては、2種類以上のパターンのうち、パターンアングルが最大となるパターンのパターンアングルよりも小さく、パターンアングルが最小となるパターンのパターンアングルよりも大きい角度によって示される方向に直交する磁界印加方向に沿って磁界が印加される。
【0030】
このため、磁気記録媒体から再生されるサーボ信号パターンによって表される信号の再生出力を大きくすることができる。その結果、信頼性の高いプリフォーマット記録を磁気記録媒体に行うことができるマスター情報磁気記録装置を提供することができる。
【0031】
前記2種類以上のパターンは、前記パターンアングルが互いに異なる2種類のパターンである、ことが好ましい。
【0032】
前記磁界印加方向は、前記2種類以上のパターンのパターンアングルによって示される方向との平均方向に直交する方向であることが好ましい。
【0033】
前記磁界印加方向は、前記2種類のパターンのパターンアングルによって示される方向にそれぞれ直交する2種類の方向のうち、いずれか一方の方向となす角度が他方の方向となす角度よりも小さくなるように重み付けした方向であることが好ましい。
【0034】
前記磁気記録媒体は、磁気ディスクであり、前記重み付けは、前記磁気ディスクの半径方向に沿って次第に変化することが好ましい。
【0035】
前記磁界印加手段は、永久磁石によって構成されていることが好ましい。
【0036】
前記永久磁石には、前記マスター情報担体に対向する対向面が形成されており、前記対向面は、略扇型形状をしていることが好ましい。
【0037】
前記磁界印加手段は、前記マスタ情報担体に対して前記磁気記録媒体の反対側に配置されていることが好ましい。
【0038】
前記磁界印加手段は、一対の磁気コアと前記一対の磁気コアの少なくとも一方に巻きつけられたコイルとを有していることが好ましい。
【0039】
前記マスター情報担体対向手段は、前記磁気記録媒体と前記マスター情報担体とをこの順番に重ねて載置するために設けられた下フランジと、前記マスター情報担体の上面における周縁を押圧するように前記下フランジに設けられた上フランジと、前記下フランジと前記上フランジとを締結するための締結手段とを有していることが好ましい。
【0040】
前記マスター情報担体対向手段は、前記下フランジと前記磁気記録媒体との間に設けられた弾性板をさらに有していることが好ましい。
【0041】
前記磁気記録媒体と前記弾性板との中心には、中心孔がそれぞれ形成されていることが好ましい。
【0042】
前記マスター情報担体を前記磁気記録媒体に密着させるために前記マスタ情報担体を前記情報記録媒体側に吸引するために設けられた吸引装置をさらに具備しており、前記吸引装置には、前記磁気記録媒体と前記弾性板との中心にそれぞれ形成された中止孔に連通するように設けられた排気ダクトが接続されていることが好ましい。
【0043】
前記マスター情報担体を前記磁気記録媒体に密着させるために前記マスタ情報担体を前記情報記録媒体側に吸引するために設けられた吸引装置をさらに具備することが好ましい。
【0044】
本実施の形態に係る磁気記録媒体の製造方法では、2種類以上のパターンのうち、パターンアングルが最大となるパターンのパターンアングルよりも小さく、パターンアングルが最小となるパターンのパターンアングルよりも大きい角度によって示される方向に直交する磁界印加方向に沿って磁界が印加される。
【0045】
このため、磁気記録媒体から再生されるサーボ信号パターンによって表される信号の再生出力を大きくすることができる。その結果、信頼性の高いプリフォーマット記録が行われた磁気記録媒体を提供することができる。
【0046】
前記2種類以上のパターンは、前記パターンアングルが互いに異なる2種類のパターンであることが好ましい。
【0047】
前記磁界印加方向は、前記2種類以上のパターンのパターンアングルによって示される方向との平均方向に直交する方向であることが好ましい。
【0048】
前記磁界印加方向は、前記2種類のパターンのパターンアングルによって示される方向にそれぞれ直交する2種類の方向のうち、いずれか一方の方向となす角度が他方の方向となす角度よりも小さくなるように重み付けした方向であることが好ましい。
【0049】
前記磁気記録媒体は、磁気ディスクであり、前記重み付けは、前記磁気ディスクの半径方向に沿って次第に変化することが好ましい。
【0050】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0051】
(実施の形態1)
図1は実施の形態1に係るマスター情報磁気記録装置100の構成を示す断面図であり、図2はその断面斜視図である。
【0052】
マスター情報磁気記録装置100は、マスター情報担体対向器3を備えている。マスター情報担体対向器3は、略円板形状をした下フランジ11を有している。下フランジ11の上面には、略円筒形状をした凹部22が形成されている。凹部22に形成された底面の中央には、円筒形の穴が形成されている。
【0053】
凹部22には、略円板形状をした弾性板14が配置されている。弾性板14の中央には中心孔15が、凹部22の底面に形成された孔が露出するように形成されている。
【0054】
弾性板14の上には、円板形状をした磁気ディスク8が載置されている。磁気ディスク8の中央には中心孔10が、凹部22の底面に形成された孔が露出するように形成されている。磁気ディスク8における弾性板14と反対側の表面には、記録面が形成されている。
【0055】
図3は、マスター情報磁気記録装置100によってマスター情報が記録された磁気ディスク8を備えた磁気ディスク装置150の構成を示す平面図である。磁気ディスク8は、図示しないモータによって回転駆動される。
【0056】
磁気ディスク装置150には、回動軸226の回りに回動自在に設けられたヘッドアーム18が設けられている。ヘッドアーム18の先端には、ヘッドサスペンション222が設けられている。ヘッドサスペンション222の先端には、磁気ヘッド19が搭載されている。磁気ディスク装置150には、ヘッドアーム18を駆動するためのボイスコイルモータ223が回動軸226を挟んでヘッドアーム18と対向するように設けられている。
【0057】
このように構成された磁気ディスク装置150においては、ヘッドアーム18がボイスコイルモータ223によって駆動されると、ヘッドアーム18は回動軸226の回りに回動する。このため、ヘッドサスペンション222に搭載された磁気ヘッド19は、回動軸226を中心とする円弧状のトラッキング走査軌道224に沿って磁気ディスク8の上を移動する。
【0058】
再び図1および図2を参照すると、磁気ディスク8に形成された記録面の上には、円板形状をしたマスター情報担体2が載置されている。
【0059】
図4はマスター情報担体2の構成を示す平面図であり、図5はマスター情報担体2に形成された強磁性薄膜パターン4の構成を説明するための拡大図である。
【0060】
以下に、マスター情報担体2の表面に情報信号に対応した微細な凹凸形状からなる強磁性薄膜パターン8を形成する方法を説明する。まず、シリコン(Si)ウエハーもしくはガラスなど表面粗度が細かくて平坦性の良好な基板の表面に、コバルト(Co)等からなる強磁性薄膜をスパッタリング法によって成膜する。次に、例えばフォトリソグラフィ法やレーザビーム又は電子ビームを用いたリソグラフィ技術によってレジスト膜を露光、現像した後、ドライエッチング等によって凹凸形状を形成する。或いは、基板の表面にレジスト膜を成膜して、パターニングした後、Co等からなる強磁性薄膜を成膜してレジスト膜を除去する、いわゆるリフトオフ法によって凹凸形状を形成することもできる。
【0061】
尚、マスター情報担体2の表面に凹凸形状を形成する方法はこれらの方法に限定されるものではなく、例えば、レーザ、電子ビーム又はイオンビームを用いて、又は機械加工によって微細な凹凸形状を直接形成してもよい。
【0062】
また、強磁性薄膜をガラス基板の表面に成膜する方法も、スパッタリング法に限定されるものではなく、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、めっき法等の従来から行われている一般的な薄膜形成方法を用いることができる。
【0063】
マスター情報担体2の凹凸形状の凸部表面を構成する強磁性薄膜材料はCoに限定されるものではなく、硬質磁性材料、半硬質磁性材料、軟質磁性材料を問わず、多くの種類の磁性材料を用いることができる。マスター情報が記録される磁気記録媒体の種類によらずに十分な記録磁界を発生させるためには、磁性材料の飽和磁束密度が大きい程よい。
【0064】
特に、2000エルステッドを超える高保磁力の磁気ディスクや磁性層の厚みの大きいフレキシブルディスクに対しては、飽和磁束密度が0.8テスラよりも小さくなると十分な記録を行うことができない場合があるので、一般的には、0.8テスラ以上、好ましくは1.0テスラ以上の飽和磁束密度を有する磁性材料が用いられる。
【0065】
また、磁気ディスクとの密着性を高めるために、マスター情報担体2における強磁性薄膜パターン4の施されていない部分を周囲から一段掘り下げて、密着時の空気抜きの通路としてもよい。
【0066】
このようにして、マスター情報担体2の表面には、プリフォーマット情報信号に対応した微細な凹凸形状が形成される。全体としては、情報信号に対応した凹凸形状が形成されている強磁性薄膜パターン4が、図4に示すように磁気ヘッドの移動軌跡である円弧に沿って、所定の角度間隔で設けられている。図4に示す情報信号に対応した凹凸形状が形成されている強磁性薄膜パターン4の一部分である領域25を拡大したものを図5に示す。
【0067】
強磁性薄膜パターン4は、再生同期信号パターン5とセクタマークパターン27とアドレス情報信号パターン28とサーボ信号パターン6とサーボ信号パターン7とを含んでいる。再生同期信号パターン5とセクタマークパターン27とアドレス情報信号パターン28とサーボ信号パターン6とは、全て磁気ヘッドの移動軌跡を示す円弧に沿って形成されている。従って、これらのパターンは、同じ半径位置では同一のパターンアングルを有している。
【0068】
サーボ信号パターン7は、これらの再生同期信号パターン5とセクタマークパターン27とアドレス情報信号パターン28とサーボ信号パターン6とに対して傾いて形成されている。従って、サーボ信号パターン7は、再生同期信号パターン5とセクタマークパターン27とアドレス情報信号パターン28とサーボ信号パターン6とに対して異なるパターンアングルを有している。
【0069】
このように、実施の形態1におけるマスター情報担体2に形成された強磁性薄膜パターン4は、磁気ヘッドと磁気ディスクとの相対移動方向に沿って順に配置された2種類以上のパターンから構成されている。これらの異なるパターンは、前述のパターンアングルが異なっている2種類のパターンを含んでいる。
【0070】
尚、図5においては、太い実線がCo等の強磁性材料によって構成されていて、他の部分は強磁性材料でないものとするが、その関係は逆であっても良い。即ち、太い実線が強磁性材料でないものから構成されており、他の部分がCo等の強磁性材料によって構成されていてもよい。
【0071】
再び図1を参照すると、マスター情報担体対向器3は、上フランジ12を有している。上フランジ12は、マスター情報担体2の上面における周縁を押圧するように下フランジ11に設けられている。上フランジ12と下フランジ11とは、ボルト13によって締結されている。
【0072】
マスター情報磁気記録装置100には、吸引装置16が設けられている。吸引装置16は、弾性板14に形成された中心孔15および磁気ディスク8に形成された中心孔10と吸引ダクト17を介して連通するように設けられており、マスター情報担体2を磁気ディスク8に密着させるために、吸引ダクト17、中心孔15および中心孔10を介してマスタ情報担体2を磁気ディスク8側に吸引する。
【0073】
このように、マスター情報担体2の上面における周縁を押圧する上フランジ12およびマスタ情報担体2を磁気ディスク8側に吸引する吸引装置16によって、マスター情報担体2は磁気ディスク8と均一に密着する。
【0074】
マスター情報磁気記録装置100は、磁界印加器1を備えている。磁界印加器1は、略扇型形状をした永久磁石によって構成されており、マスター情報担体2を挟んで磁気ディスク8の反対側に配置されている。
【0075】
磁界印加器1は、強磁性薄膜パターン4によって示される情報信号を磁気ディスク8に記録するために、マスター情報担体2に形成された強磁性薄膜パターン4と磁気ディスク8とに磁界を印加する。
【0076】
磁界印加器1のマスター情報担体2に対向する面は扇形状の形状をしている。磁界印加器1の一辺24は、再生同期信号パターン5のパターンアングルとサーボ信号パターン7のパターンアングルとの平均の方向を指す線を接線とする曲線になっている。磁界印加器1の磁化方向23は、マスター情報担体2に対向する面に平行になっており、磁界印加器1の一辺24に対して常に垂直となっている。この磁界印加器1を用いることにより、全てのディスク半径位置において、再生同期信号パターン5のパターンアングルとサーボ信号7のパターンアングルとの平均の方向を指す線の法線方向に磁界を印加することができる。
【0077】
以下、実施の形態1に係るマスター情報磁気記録装置100に設けられた磁界印加器1の磁界印加方向を説明する。磁界印加方向を決めるにはパターンアングルを知る必要がある。ここで同一半径位置においてパターンアングルが互いに異なる2つのパターンとして、再生同期信号パターン5とサーボ信号パターン7に着目する。再生同期信号パターン5は、磁気ヘッドの移動軌跡を示す円弧に沿って形成されている。磁気ヘッドの移動軌跡は、ヘッドアクチュエータの回転軸226を中心とする円弧であるので、パターンアングルは、磁気ディスクの半径方向に沿った位置と、ヘッドアクチュエータの回転軸226の位置と、磁気ヘッドとヘッドアクチュエータの回転軸226との間の距離とによって定まる。
【0078】
サーボ信号パターン7は、再生同期信号パターン5に対する傾斜角がパターンアングルを決めるパラメータとしてさらに加えられる。
【0079】
図6は、マスター情報担体2に形成された強磁性薄膜パターン8のパターンアングルと磁気ディスク半径位置との関係を模式的に示した図である。図6に示すように、再生同期信号パターン5のパターンアングル31A、31Bおよび31Cは、ディスクの内周から外周に移動するに従って変化する。また、サーボ信号パターン7のパターンアングル32A、32Bおよび32Cもディスクの内周から外周に移動するに従って変化する。
【0080】
図7における実線の曲線は、再生同期信号パターン5のパターンアングルとディスク半径との関係の一例を示す。また図7における破線の曲線はサーボ信号パターン7のパターンアングルとディスク半径との関係の一例である。
【0081】
実施の形態1に係る磁界印加器1は、再生同期信号パターン5のパターンアングルによって示される方向とサーボ信号パターン7のパターンアングルによって示される方向とを平均した方向に対して垂直な方向に沿ってマスター情報担体2と磁気ディスク8とに磁界を印加する。
【0082】
図8は、実施の形態1に係る磁界印加器1が印加する磁界の磁界印加方向を磁気ディスクの半径位置に対して示したグラフである。図9は、従来技術のように磁気ヘッドの移動軌跡に対して垂直な方向を磁界印加方向とした時の磁界印加方向を半径位置に対して示したグラフである。図8および図9において、横軸は磁気ディスクの半径方向に沿った位置を示しており、縦軸は磁界印加器1が印加する磁界の磁界印加方向を示している。
【0083】
図10は、磁界印加器1が印加する磁界の磁界印加方向とサーボ信号パターン7および再生同期信号パターン5の各々の強磁性薄膜パターンの端辺に垂直な方向とのなす角(磁界方向のずれ角)をディスク半径に対して示したグラフである。比較のため、従来のように磁気ヘッドの移動軌跡に垂直な方向を磁界印加方向とした時の両強磁性薄膜パターンに関する磁界方向のずれ角を図11に示した。図10および図11において、実線は、再生同期信号パターン5の端辺に垂直な方向と磁界印加方向との間のずれ角を示しており、破線は、サーボ信号パターン7の端辺に垂直な方向と磁界印加方向との間のずれ角を示している。
【0084】
これらの図10および図11では、縦軸の角度を符号つきで表示しているが符号に関わらず磁界方向のずれ角の絶対値の大きい方が再生信号の劣化が大きくなる。図11に示すように、従来の磁界印加方向ではサーボ信号パターン7に関する磁界方向のずれ角がディスク半径18mmにおいて−41度であり、その絶対値は41度である。
【0085】
これに対して、実施の形態1における磁界印加方向では、図10に示すように、サーボ信号パターン7に関する磁界方向のずれ角は−20度であり、その絶対値は20度である。
【0086】
このように、実施の形態1における磁界印加方向によれば、サーボ信号パターン7に関する磁界方向のずれ角の絶対値が、従来技術における磁界方向のずれ角の絶対値よりも減少する。このため、サーボ信号パターン7に関連する再生信号の劣化を防止することができる。
【0087】
即ち実施の形態1のマスター情報磁気記録装置における磁界印加方向では、従来の磁界印加方向に比べて、強磁性薄膜パターンの端辺に垂直な方向とのなす角の最大値が小さくなっている。この結果、信号の位相の乱れや再生出力の低下を最小限に抑え、実用に耐える信号品質を得ることのできるプリフォーマット記録が可能となる。
【0088】
また、本実施の形態における磁界印加方向を用いることにより、プリフォーマット記録された信頼性の高い磁気記録媒体を製造することができる。
【0089】
次に、マスター情報担体2に形成された凹凸形状に対応した情報信号を、磁気記録媒体である磁気ディスク8に記録する手順を説明する。実施の形態1においては、図1に示すように、まず、大気圧を利用して磁気ディスク8とマスター情報担体2とを密着させ、さらに磁気ディスク8とマスター情報担体2とを機械的に圧接させることにより、両者を全面的にかつ均一に密着させる。
【0090】
この後、永久磁石によって構成された磁界印加器1を用いて、マスター情報担体2に形成された凹凸形状パターンの凸部表面の強磁性薄膜を磁化させることにより、凹凸形状に対応したプリフォーマット情報信号を磁気ディスク8に記録する。以下に、記録手順を詳細に説明する。
【0091】
図12は、実施の形態1に係る磁気ディスクを初期磁化する方法の一例を説明するための斜視図である。
【0092】
まず、図12に示すように、永久磁石1Aを磁気ディスク8に近づけた状態で、図12において一点鎖線で示す磁気ディスク8の中心軸112を回転軸として、磁気ディスク8と平行に永久磁石1Aを回転させることにより、磁気ディスク8を予め磁化しておく(初期磁化)。永久磁石1Aの形状は、プリフォーマット情報信号を記録する際に使用する永久磁石によって構成される磁界印加器1と同じである。永久磁石1Aの磁化方向23Aは、永久磁石1の磁化方向23と逆であることが望ましい。こうすることで初期化時の磁界の向きを転写磁界と反対にすることができる。
【0093】
次に、図1に示すように、下フランジ11に弾性板14、磁気ディスク8およびマスター情報担体2を順番に重ねる。マスター情報担体2の凹凸形状が形成されている面と磁気ディスク2の記録面とが密着するようにする。
【0094】
そして、吸引装置16を始動させる。これにより、磁気ディスク8の中央孔10と弾性板14の中心孔15を通してマスター情報担体2が吸引され、マスター情報担体2の中央部に大気圧が作用する。
【0095】
この状態では、マスター情報担体2の中央部付近のみが磁気ディスク8に密着しているだけであり、外周部では密着性が悪くなるおそれがある。外周部での両者の密着性を向上させるために、実施の形態1においては、上フランジ12をマスター情報担体2の上面周縁部に載せ、上フランジ12と下フランジ11とをボルト13を用いて固定するようにした。この場合、ボルト13の締め付けトルクを調整することにより、磁気ディスク8とマスター情報担体2とが適切に圧接され、両者が均一に密着する。最後に、永久磁石によって構成された磁界印加器1を、図1に示す一点鎖線を回転中心としてマスター情報担体2と平行に回転させることにより、マスター情報担体2に直流励磁磁界を印加する。これにより、マスター情報担体2に形成された凸部の強磁性薄膜が磁化され、凹凸形状に対応したプリフォーマット情報信号が磁気ディスク8に記録される。
【0096】
このように実施の形態1においては、磁界印加器1から発生する磁界の方向が、パターンアングルが異なっている2種のパターンを選択し、それらの強磁性薄膜パターンのパターンアングルの平均の方向を指す線の法線方向を転写磁界の向きとしている。その結果、マスター担体上の強磁性薄膜の端辺に垂直な方向とのなす角を最小限にとどめることができるので、信号の位相の乱れや再生出力の低下を最小限に抑え、実用に耐える信号品質を得ることのできるプリフォーマット記録が可能となる。
【0097】
以上のように実施の形態1によれば、マスター情報担体2の表面に形成された強磁性薄膜パターン4は、回動自在に設けられたアームに搭載された磁気ヘッドが磁気ディスクの表面上を回動する軌跡を示す円弧に沿って形成された再生同期信号パターン5と、円弧の接線方向に交叉する交叉方向に沿って形成されたサーボ信号パターン7とを含んでおり、円弧の接線方向に対して垂直な第1方向と交叉方向に対して垂直な第2方向とに基づいて、磁気ディスク8から再生されるサーボ信号パターン7によって表される信号の再生出力が大きくなるように定められる磁界印加方向23に沿って磁界が印加される。
【0098】
このため、磁気ディスク8から再生されるサーボ信号パターン7によって表される信号の再生出力を大きくすることができる。その結果、信頼性の高いプリフォーマット記録を磁気記録媒体に行うことができるマスター情報磁気記録装置を提供することができる。
【0099】
なお、下フランジ11と上フランジ12とを備えたマスター情報担体対向器3を設けた例を説明したが、本発明はこれに限定されない。マスター情報担体対向器は、マスター情報担体2を磁気ディスク8と良好に密着させることができるように構成されていればよい。
【0100】
図13は、マスター情報磁気記録装置に設けられた他の磁界印加器1Bを説明するための斜視図である。磁界印加器1Bは、一対の磁気コア20Aおよび20Bと前記一対の磁気コアの一方20Aに巻きつけられたコイル21とを有している。一対の磁気コア20Aおよび20Bの間には、再生同期信号パターン5のパターンアングルとサーボ信号パターン7のパターンアングルとの平均の方向を指す線を接線とする円弧軌道に沿ったギャップ33が形成されている。磁気コア20Aからギャップ33を超えて磁気コア20Bへ向かって漏れ磁界34が発生する。また、コイル21の替わりに、2つのコア20Aおよび20Bの少なくとも一方を永久磁石で構成した場合でも、漏れ磁界は発生する。
【0101】
この場合は、コイル21に流した電流によって発生した磁界や永久磁石によって生じる磁界が磁気コア20Aおよび20Bによりマスター情報担体に対向しているギャップ34に誘導される。そして、ギャップ33からの漏れ磁界34は前述の形状により、全てのディスク半径位置において、再生同期信号パターン5とサーボ信号パターン7とのパターンアングルの平均の方向を指す線の法線方向に沿って磁界を印加することができる。
【0102】
さらには、磁界印加器は、再生同期信号パターン5とサーボ信号パターン7との平均の方向を指す線を接線とする円弧軌道に沿ったギャップを形成して対向する一対の棒状磁性体と、双方の棒状磁性体に連結された永久磁石から構成されていてもよい(図示せず)。
【0103】
(実施の形態2)
図14は、マスター情報担体に形成された他の強磁性薄膜パターン4Aの構成を説明するための拡大図である。実施の形態1において図5を参照して前述した強磁性薄膜パターン4の構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付している。従って、これらの構成要素の詳細な説明は省略する。前述した強磁性薄膜パターン4と異なる点は、サーボ信号パターン35がさらに形成されており、サーボ信号パターン6が形成されていない点である。
【0104】
サーボ信号パターン35は傾斜方向が、図14に示すように、サーボ信号パターン7と反対方向となっている。この結果、磁気ヘッドが磁気ディスクの外側に移動すると再生信号の位相は、サーボ信号パターン7では遅れる傾向であるが、サーボ信号パターン35では逆に進む傾向となる。従って、サーボ信号パターン7とサーボ信号パターン35との位相差を検出すると、磁気ヘッドの半径方向の位置変化による位相差の変化が、前述した図5に示すプリフォーマットパターンよりも大きくなり、より高感度に磁気ヘッドの位置変動を検知することができ、その結果、磁気ヘッドの位置制御をより高精度にすることができる。
【0105】
この強磁性薄膜パターン4Aでは、再生同期信号パターン5、セクタマークパターン27およびアドレス情報信号パターン28は全て磁気ヘッドの移動軌跡である円弧に沿って形成されているため、同じ半径位置では同一のパターンアングルを有している。
【0106】
しかしながら、サーボ信号パターン7とサーボ信号パターン35とはこれら再生同期信号パターン5等に対して傾いて形成されたパターンである。このため、パターンアングルが異なっている。さらには前述のようにサーボ信号パターン7とサーボ信号パターン35ともパターンアングルが互いに異なっている。
【0107】
尚、図14においては、太い実線がコバルト(Co)等の強磁性材料によって構成されており、他の部分は強磁性材料でないものとするが、その関係は逆であっても良い。
【0108】
ここで、同一半径位置においてパターンアングルが互いに異なる3つのパターンとして、再生同期信号パターン5とサーボ信号パターン7とサーボ信号パターン35とに着目する。再生同期信号パターン5は、磁気ヘッドの移動軌跡に沿って形成されている。磁気ヘッドの移動軌跡は、ヘッドアクチュエータの回転軸226を中心とする円弧である。
【0109】
一方、サーボ信号パターン35は、サーボ信号パターン7と同様に再生同期信号パターン5に対する傾斜角がパターンアングルを決めるパラメータとしてさらに加えられる。ここで、サーボ信号パターン35を磁気ヘッドが走行する時間は、他のパターンと同様に任意の半径位置で一定である。
【0110】
図15は、他の強磁性薄膜パターン4Aのパターンアングルを説明するための模式図である。図6を参照して前述した構成要素と同一の構成要素には、同一の参照符号を付している。従って、これらの構成要素の詳細な説明は省略する。
【0111】
図16は、他の強磁性薄膜パターン4Aのパターンアングルとディスク半径との間の関係を示すグラフである。再生同期信号パターン5のパターンアングル31A、31Bおよび31Cは、図16における実線の曲線に示すように、ディスクの内周から外周へ移動するに従って変化する。サーボ信号パターン7のパターンアングル32A、32Bおよび32Cは、図16における破線の曲線に示すように、ディスクの内周から外周へ移動するに従って変化する。
【0112】
サーボ信号パターン35のパターンアングル36A、35Bおよび36Cは、図16における他の破線の曲線に示すように、ディスクの内周から外周へ移動するに従って変化する。
【0113】
図17は、マスター情報磁気記録装置に設けられた他の永久磁石の磁界印加方向とディスク半径との間の関係を示すグラフである。磁界印加方向は、再生同期信号パターン5のパターンアングルとサーボ信号パターン7のパターンアングルとサーボ信号パターン35のパターンアングルとを平均した方向に対して垂直な方向になっている。
【0114】
図18は実施の形態2に係るマスター情報磁気記録装置の磁界方向のずれ角とディスク半径との間の関係を示すグラフであり、図19は従来のマスター情報磁気記録装置の磁界方向のずれ角とディスク半径との間の関係を示すグラフである。
【0115】
図19に示すように、従来の磁界印加方向では、サーボ信号パターン35に関する磁界方向のずれ角は半径46mmにおいて64度になる。これに対して、図18に示すように、実施の形態2における磁界印加方向では磁界方向のずれ角は同じくサーボ信号パターン35で半径46mmにおいて最大となるが、この時でも従来技術における64度よりも小さい50度程度に減少する。
【0116】
即ち実施の形態2に係るマスター情報磁気記録装置における磁界印加方向では、従来の磁界印加方向に比べて、サーボ信号パターン35の磁界方向のずれ角が小さくなっている。この結果、サーボ信号パターン35に関連する信号の位相の乱れや再生出力の低下を抑え、実用に耐える信号品質を得ることのできるプリフォーマット記録が可能となる。
【0117】
磁界印加方向を上述のように再生同期信号パターン5とサーボ信号パターン7とサーボ信号パターン35とのパターンアングルの平均の方向を指す線の法線方向するには、図2に示す磁界印加器1を構成する永久磁石において、永久磁石の一辺24を、再生同期信号パターン5とサーボ信号パターン7とサーボ信号パターン35とのパターンアングルの平均の方向を指す線を接線とするように形成すればよい。もしくは、図13に示す磁界印加器1Bにおいてマスター情報担体2に対向しているギャップ33の中心線を、再生同期信号パターン5とサーボ信号パターン7とサーボ信号パターン35とのパターンアングルの平均の方向を指す接線と一致させればよい。この時、磁界を生じさせる手段と
してはコイル21の替わりに永久磁石を用いてもよい。
【0118】
(実施の形態3)
図20は、マスター情報磁気記録装置に設けられたさらに他の永久磁石の磁界印加方向とディスク半径との間の関係を示すグラフである。図20においては、サーボ信号パターン7とサーボ信号パターン35とを平均した方向に対して垂直な方向に磁界印加方向を決めた場合の磁界印加方向を半径位置に対して示したものである。2つのパターンの選択方法としては、互いのなす角が最も大きくなる強磁性薄膜パターンの組み合わせを選択する方法が有効である。
【0119】
図21は、マスター情報磁気記録装置の記録能力と磁界方向のずれ角との間の関係のシミュレーション結果を示すグラフである。横軸は磁界方向のずれ角を示しており、縦軸は記録能力を示している。磁界方向のずれ角のずれが大きくなればなるほど、記録能力は低下する。
【0120】
図22は、マスター情報磁気記録装置によって記録された磁気ディスクを再生するときの再生能力および再生ギャップとパターンとの間のずれ角の間の関係を示すグラフである。横軸は再生ギャップとパターンとの間のずれ角を示しており、縦軸は再生能力を示している。再生ギャップとパターンとの間のずれ角が大きくなればなるほど、再生能力は低下する。
【0121】
図23は実施の形態3に係るマスター情報磁気記録装置によって図20に示す磁界印加方向分布を用いて記録された磁気ディスクを再生するときの再生出力とディスク半径との間の関係を示すグラフであり、図24は従来のマスター情報磁気記録装置によって記録された磁気ディスクを再生するときの再生能力とディスク半径との間の関係を示すグラフである。
【0122】
図23においては、実施の形態3においてサーボ信号パターン7のパターンアングルとサーボ信号パターン35のパターンアングルとを平均した方向と直交する方向に沿って磁界を印加したときにおける、再生同期信号パターン5、サーボ信号パターン7およびサーボ信号パターン35の再生出力を示している。図24においては、従来のように再生同期信号パターン5のパターンアングルに直交する方向に沿って磁界を印加したときにおける、再生同期信号パターン5、サーボ信号パターン7およびサーボ信号パターン35の再生出力を示している。
【0123】
従来技術では、図24に示すように、ディスク半径46mmにおいてサーボ信号パターン35の再生出力は約0.3まで低下する。これに対して実施の形態3では、図23に示すように、サーボ信号パターン35の再生出力はディスク半径46mmにおいて約0.5までしか低下しない。
【0124】
図25は、実施の形態3に係るマスター情報磁気記録装置の磁界方向のずれ角とディスク半径との間の関係を示すグラフである。
【0125】
図25は、互いのなす角度が最も大きくなる強磁性薄膜パターンの組み合わせであるサーボ信号パターン7とサーボ信号パターン35とを平均した方向に対して垂直な方向に磁界印加方向を決めた場合の磁界印加方向と再生同期信号パターン5とサーボ信号パターン7とサーボ信号パターン35との各々の端辺に垂直な方向とのなす角(磁界方向のずれ角)をディスク半径位置に対して示したものである。
【0126】
前述した図19に示すように、従来の磁界印加方向ではサーボ信号パターン35に関する磁界方向のずれ角が半径46mmにおいて64度になるけれども、図25に示すように実施の形態3における磁界印加方向では磁界方向のずれ角は、サーボ信号パターン7とサーボ信号パターン35とで半径46mmにおいて最大となるが、この時でも磁界方向のずれ角は64度よりも小さい42度程度に減少する。
【0127】
即ち実施の形態3のマスター情報磁気記録装置における磁界印加方向では、従来の磁界印加方向に比べて、サーボ信号パターン7の端辺に垂直な方向とのなす角が小さくなっている。この結果、信号の位相の乱れや再生出力の低下を最小限に抑え、実用に耐える信号品質を得ることのできるプリフォーマット記録が可能となる。また、この時の磁界方向のずれ角の最大値は、再生同期信号パターン5とサーボ信号パターン7とサーボ信号パターン35とを選択して磁界印加方向を決めた前述した場合に比べても小さくなっている。
【0128】
(実施の形態4)
図26はマスター情報磁気記録装置に設けられたさらに他の永久磁石の磁界印加方向とディスク半径との間の関係を示すグラフであり、図27はマスター情報磁気記録装置の磁界方向のずれ角とディスク半径との間の関係を示すグラフであり、図28はマスター情報磁気記録装置によって記録された磁気ディスクを再生するときの再生出力とディスク半径との間の関係を示すグラフである。
【0129】
サーボ信号パターン35のパターンアングルの磁界方向のずれ角がサーボ信号パターン7のパターンアングルの磁界方向のずれ角よりも小さくなるように、内周から外周まで一定の重み付けをして磁界印加方向を決定すると、その磁界印加方向は、図26に示す曲線のようになる。サーボ信号パターン7、サーボ信号パターン35および再生同期信号パターン5の磁界方向のずれ角は、図27に示す曲線のようになる。サーボ信号パターン7、サーボ信号パターン35および再生同期信号パターン5の再生出力は、図28に示す曲線のようになる。
【0130】
単純平均方向に磁界を印加する前述した図23に示されるようにディスク半径46mmにおいてサーボ信号パターン7よりも低い0.5の再生出力であったサーボ信号パターン35の再生出力は、図28に示すように、サーボ信号パターン7の再生出力と同程度の0.6にまで改善することができる。
【0131】
このように実施の形態4によれば、従来技術を用いた場合に比べて、大幅に再生出力を改善することができる。このため、信号の位相の乱れやノイズの影響を最小限に抑えることができる。
【0132】
(実施の形態5)
図29はマスター情報磁気記録装置に設けられたさらに他の永久磁石の磁界印加方向とディスク半径との間の関係を示すグラフであり、図30はマスター情報磁気記録装置の磁界方向のずれ角とディスク半径との間の関係を示すグラフであり、図31はマスター情報磁気記録装置によって記録された磁気ディスクを再生するときの再生出力とディスク半径との間の関係を示すグラフである。
【0133】
実施の形態5に係る図29〜図31に示す例では、磁気ディスクの半径方向に沿って重み付けを変化させている。具体的には、磁気ディスクの内周においてはサーボ信号パターン7の磁界方向のずれ角がサーボ信号パターン35の磁界方向のずれ角よりも小さくなるように重み付けをし、磁気ディスクの外周においてはサーボ信号パターン35の磁界方向のずれ角がサーボ信号パターン7の磁界方向のずれ角よりも小さくなるように重み付けをしている。
【0134】
このように磁気ディスクの内周においてサーボ信号パターン7の磁界方向のずれ角がサーボ信号パターン35の磁界方向のずれ角よりも小さくなるように重み付けをして磁界印加方向を定めると、磁気ディスクの内周において再生出力が最も低いサーボ信号パターン7の再生出力を向上させることができる。
【0135】
このように、磁気ディスクの半径方向に沿ってよりきめ細かく重み付けを定義すると、所望の半径位置において各パターンの最低出力を向上させることができるし、各パターンの間の再生出力の差を小さくすることができる。従って、再生出力に要求される性能を満足するように、磁気ディスクの半径位置に沿って再生出力を調整することができる。
【0136】
なお、実施の形態5では、磁気ディスクの半径位置に対して1次関数によって表現される重み付けを使用する例を示しているが、本発明はこれに限定されない。2次以上の高次関数、種々の任意関数または複数の関数によって表現される重み付けを使用してもよい。
【0137】
このように実施の形態1〜5によれば、従来技術を用いた場合に比べて、大幅に再生出力を改善することができる。このため、信号の位相の乱れやノイズの影響を最小限に抑え、実用に耐える再生信号品質を得ることのできるプリフォーマット記録が可能となる。
【0138】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、プリフォーマットパターン記録の信頼性を高めることができるマスター情報磁気記録装置およびこれを用いて情報が記録された磁気記録媒体を提供することができる.
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係るマスター情報磁気記録装置の構成を示す断面図
【図2】実施の形態1に係るマスター情報磁気記録装置の構成を示す断面斜視図
【図3】実施の形態1に係るマスター情報磁気記録装置によってマスター情報が記録された磁気ディスクが設けられた磁気ディスク装置の構成を示す平面図
【図4】実施の形態1に係るマスター情報磁気記録装置に設けられたマスター情報担体の構成を示す平面図
【図5】実施の形態1に係るマスター情報担体に形成された強磁性薄膜パターンの構成を説明するための拡大図
【図6】実施の形態1に係るマスター情報担体に形成された強磁性薄膜パターンのパターンアングルを説明するための模式図
【図7】実施の形態1に係る強磁性薄膜パターンのパターンアングルとディスク半径との間の関係を示すグラフ
【図8】実施の形態1に係るマスター情報磁気記録装置に設けられた永久磁石の磁界印加方向とディスク半径との間の関係を示すグラフ
【図9】従来のマスター情報磁気記録装置に設けられた永久磁石の磁界印加方向とディスク半径との間の関係を示すグラフ
【図10】実施の形態1に係るマスター情報磁気記録装置の磁界方向のずれ角とディスク半径との間の関係を示すグラフ
【図11】従来のマスター情報磁気記録装置の磁界方向のずれ角とディスク半径との間の関係を示すグラフ
【図12】実施の形態1に係る磁気ディスクを初期磁化する方法の一例を説明するための斜視図
【図13】実施の形態1に係るマスター情報磁気記録装置に設けられた磁気コアとコイルとを説明するための斜視図
【図14】実施の形態2に係るマスター情報担体に形成された他の強磁性薄膜パターンの構成を説明するための拡大図
【図15】実施の形態2に係るマスター情報担体に形成された他の強磁性薄膜パターンのパターンアングルを説明するための模式図
【図16】実施の形態2に係る他の強磁性薄膜パターンのパターンアングルとディスク半径との間の関係を示すグラフ
【図17】実施の形態2に係るマスター情報磁気記録装置に設けられた他の永久磁石の磁界印加方向とディスク半径との間の関係を示すグラフ
【図18】実施の形態2に係るマスター情報磁気記録装置の磁界方向のずれ角とディスク半径との間の関係を示すグラフ
【図19】従来のマスター情報磁気記録装置の磁界方向のずれ角とディスク半径との間の関係を示すグラフ
【図20】実施の形態3に係るマスター情報磁気記録装置に設けられたさらに他の永久磁石の磁界印加方向とディスク半径との間の関係を示すグラフ
【図21】実施の形態3に係るマスター情報磁気記録装置の記録能力と磁界方向のずれ角との間の関係を示すグラフ
【図22】実施の形態3に係るマスター情報磁気記録装置によって記録された磁気ディスクを再生するときの再生能力および再生ギャップとパターンとの間のずれ角の間の関係を示すグラフ
【図23】実施の形態3に係るマスター情報磁気記録装置によって記録された磁気ディスクを再生するときの再生出力とディスク半径との間の関係を示すグラフ
【図24】従来のマスター情報磁気記録装置によって記録された磁気ディスクを再生するときの再生能力とディスク半径との間の関係を示すグラフ
【図25】実施の形態3に係るマスター情報磁気記録装置の磁界方向のずれ角とディスク半径との間の関係を示すグラフ
【図26】実施の形態4に係るマスター情報磁気記録装置に設けられたさらに他の永久磁石の磁界印加方向とディスク半径との間の関係を示すグラフ
【図27】実施の形態4に係るマスター情報磁気記録装置の磁界方向のずれ角とディスク半径との間の関係を示すグラフ
【図28】実施の形態4に係るマスター情報磁気記録装置によって記録された磁気ディスクを再生するときの再生出力とディスク半径との間の関係を示すグラフ
【図29】実施の形態5に係るマスター情報磁気記録装置に設けられたさらに他の永久磁石の磁界印加方向とディスク半径との間の関係を示すグラフ
【図30】実施の形態5に係るマスター情報磁気記録装置の磁界方向のずれ角とディスク半径との間の関係を示すグラフ
【図31】実施の形態5に係るマスター情報磁気記録装置によって記録された磁気ディスクを再生するときの再生出力とディスク半径との間の関係を示すグラフ
【図32】従来のマスター情報磁気記録装置によってマスター情報が記録された磁気ディスクが設けられた磁気ディスク装置の構成を示す平面図
【図33】従来のマスター情報担体に形成された強磁性薄膜パターンの構成を説明するための拡大図
【図34】従来のマスター情報担体に形成された他の強磁性薄膜パターンの構成を説明するための拡大図
【符号の説明】
1 磁界印加器
2 マスター情報担体
3 マスター情報担体対向器
4 強磁性薄膜パターン
5 再生同期信号パターン
6 サーボ信号パターン
8 磁気ディスク
10 中心孔
11 下フランジ
12 上フランジ
13 ボルト
14 弾性板
15 中心孔
16 吸引装置
17 吸引ダクト
18 アーム
19 磁気ヘッド
20 磁気コア
21 コイル
100 マスター情報磁気記録装置
150 磁気ディスク装置

Claims (19)

  1. 情報信号に対応する強磁性薄膜パターンが表面に形成されたマスター情報担体と、
    前記強磁性薄膜パターンが形成された前記マスター情報担体の表面に、磁気記録媒体に形成された記録面を対向させるために設けられたマスター情報担体対向手段と、
    前記情報信号を前記磁気記録媒体に記録するために、前記磁気記録媒体に形成された記録面と対向する前記マスター情報担体の表面に形成された前記強磁性薄膜パターンと前記磁気記録媒体とに磁界を印加する磁界印加手段とを具備しており、
    前記マスター情報担体の表面に形成された前記強磁性薄膜パターンは、アームに搭載された磁気ヘッドと回転する前記磁気記録媒体との間の相対移動方向に対する角度を示すパターンアングルが互いに異なる2種類以上のパターンを含んでおり、
    前記磁界印加手段は、前記2種類以上のパターンのうち、前記パターンアングルが最大となるパターンのパターンアングルよりも小さく、前記パターンアングルが最小となるパターンのパターンアングルよりも大きい角度によって示される方向に直交する磁界印加方向に沿って前記磁界を印加することを特徴とするマスター情報磁気記録装置。
  2. 前記2種類以上のパターンは、前記パターンアングルが互いに異なる2種類のパターンである、請求項1記載のマスター情報磁気記録装置。
  3. 前記磁界印加方向は、前記2種類以上のパターンのパターンアングルによって示される方向との平均方向に直交する方向である、請求項1記載のマスター情報磁気記録装置。
  4. 前記磁界印加方向は、前記2種類のパターンのパターンアングルによって示される方向にそれぞれ直交する2種類の方向のうち、いずれか一方の方向となす角度が他方の方向となす角度よりも小さくなるように重み付けした方向である、請求項2記載のマスター情報磁気記録装置。
  5. 前記磁気記録媒体は、磁気ディスクであり、
    前記重み付けは、前記磁気ディスクの半径方向に沿って次第に変化する、請求項4記載のマスター情報磁気記録装置。
  6. 前記磁界印加手段は、永久磁石によって構成されている、請求項1記載のマスター情報磁気記録装置。
  7. 前記永久磁石には、前記マスター情報担体に対向する対向面が形成されており、
    前記対向面は、略扇型形状をしている、請求項6記載のマスター情報磁気記録装置。
  8. 前記磁界印加手段は、前記マスタ情報担体に対して前記磁気記録媒体の反対側に配置されている、請求項1記載のマスター情報磁気記録装置。
  9. 前記磁界印加手段は、一対の磁気コアと前記一対の磁気コアの少なくとも一方に巻きつけられたコイルとを有している、請求項1記載のマスター情報磁気記録装置。
  10. 前記マスター情報担体対向手段は、前記磁気記録媒体と前記マスター情報担体とをこの順番に重ねて載置するために設けられた下フランジと、
    前記マスター情報担体の上面における周縁を押圧するように前記下フランジに設けられた上フランジと、
    前記下フランジと前記上フランジとを締結するための締結手段とを有している、請求項1記載のマスター情報磁気記録装置。
  11. 前記マスター情報担体対向手段は、前記下フランジと前記磁気記録媒体との間に設けられた弾性板をさらに有している、請求項10記載のマスター情報磁気記録装置。
  12. 前記磁気記録媒体と前記弾性板との中心には、中心孔がそれぞれ形成されている、請求項11記載のマスター情報磁気記録装置。
  13. 前記マスター情報担体を前記磁気記録媒体に密着させるために前記マスタ情報担体を前記情報記録媒体側に吸引するために設けられた吸引装置をさらに具備しており、
    前記吸引装置には、前記磁気記録媒体と前記弾性板との中心にそれぞれ形成された中止孔に連通するように設けられた排気ダクトが接続されている、請求項12記載のマスター情報磁気記録装置。
  14. 前記マスター情報担体を前記磁気記録媒体に密着させるために前記マスタ情報担体を前記情報記録媒体側に吸引するために設けられた吸引装置をさらに具備する、請求項1記載のマスター情報磁気記録装置。
  15. 予めマスター情報が記録された磁気記録媒体の製造方法であって、
    情報信号に対応する強磁性薄膜パターンが表面に形成されたマスター情報担体の表面に、磁気記録媒体に形成された記録面を対向させるマスター情報担体対向工程と、
    前記情報信号を前記磁気記録媒体に記録するために、前記磁気記録媒体に形成された記録面と対向する前記マスター情報担体の表面に形成された前記強磁性薄膜パターンと前記磁気記録媒体とに磁界を印加する磁界印加工程とを包含しており、
    前記マスター情報担体の表面に形成された前記強磁性薄膜パターンは、アームに搭載された磁気ヘッドと回転する前記磁気記録媒体との間の相対移動方向に対する角度を示すパターンアングルが互いに異なる2種類以上のパターンを含んでおり、
    前記磁界印加工程は、前記2種類以上のパターンのうち、前記パターンアングルが最大となるパターンのパターンアングルよりも小さく、前記パターンアングルが最小となるパターンのパターンアングルよりも大きい角度によって示される方向に直交する磁界印加方向に沿って前記磁界を印加することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  16. 前記2種類以上のパターンは、前記パターンアングルが互いに異なる2種類のパターンである、請求項15記載の磁気記録媒体の製造方法。
  17. 前記磁界印加方向は、前記2種類以上のパターンのパターンアングルによって示される方向との平均方向に直交する方向である、請求項15記載の磁気記録媒体の製造方法。
  18. 前記磁界印加方向は、前記2種類のパターンのパターンアングルによって示される方向にそれぞれ直交する2種類の方向のうち、いずれか一方の方向となす角度が他方の方向となす角度よりも小さくなるように重み付けした方向である、請求項16記載の磁気記録媒体の製造方法。
  19. 前記磁気記録媒体は、磁気ディスクであり、
    前記重み付けは、前記磁気ディスクの半径方向に沿って次第に変化する、請求項18記載の磁気記録媒体の製造方法。
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