JP3581799B2 - マスター情報担体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定のプリフォーマット情報信号を磁気記録媒体に記録するために用いられる、強磁性薄膜パターンを有するマスター情報担体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、磁気記録再生装置は、小型でかつ大容量のものを実現するために、高記録密度化の傾向にある。代表的な磁気記録再生装置であるハードディスクドライブの分野においては、すでに面記録密度が6Gbits/in(9.3Mbits/mm)を超える装置が商品化されており、数年後には、面記録密度が20Gbits/in(31.0Mbits/mm)の装置の実用化が予測されるほどの急激な技術の進歩が認められる。
【0003】
このような高記録密度化が可能となった技術的背景として、磁気記録媒体及びヘッド・ディスクインターフェースの性能の向上やパーシャルレスポンス等の新規な信号処理方式の出現による線記録密度の向上が挙げられる。しかし、近年では、トラック密度の増加傾向が線記録密度の増加傾向を大きく上回り、面記録密度の向上の主な要因となっている。これは、従来の誘導型磁気ヘッドに比べて再生出力性能がはるかに優れた磁気抵抗素子型ヘッドの実用化によるものである。現在、磁気抵抗素子型ヘッドの実用化により、数μm以下のトラック幅信号を高いS/N比をもって再生することが可能となっている。一方、今後のさらなるヘッド性能の向上に伴い、近い将来には、トラックピッチがサブミクロン領域に達するものと予想されている。
【0004】
磁気ヘッドがこのような狭いトラックを正確に走査し、高いS/N比をもって信号を再生するためには、磁気ヘッドのトラッキングサーボ技術が重要な役割を果たしている。現在のハードディスクドライブでは、磁気記録媒体である磁気ディスクの1周、すなわち角度にして360度中に、一定の角度間隔でトラッキング用サーボ信号、アドレス情報信号、再生クロック信号等が記録された領域(以下「プリフォーマット記録領域」という。)が設けられている。これにより、磁気ヘッドは、一定の間隔でこれらの信号を再生して自己の位置を確認し、磁気ディスクの径方向における変位を必要に応じて修正しながら正確にトラック上を走査することができる。
【0005】
上記したトラッキング用サーボ信号、アドレス情報信号および再生クロック信号等のプリフォーマット情報信号は、磁気ヘッドが正確にトラック上を走査するための基準信号となるものであるから、その記録時には、正確なトラック位置決め精度が要求される。現在のハードディスクドライブでは、磁気ディスク(ハードディスク)及び磁気ヘッドをドライブ内に組み込んだ後、専用のサーボトラック記録装置を用いて、ドライブ内に組み込まれた固有の磁気ヘッドにより、トラッキング用サーボ信号、アドレス情報信号および再生クロック信号等の記録が行われている。この場合、ドライブ内に組み込まれた固有の磁気ヘッドを、サーボトラック記録装置に装備された外部アクチュエータによって精密に位置制御しながらプリフォーマット記録を行うことにより、必要なトラック位置決め精度が実現されている。
【0006】
しかし、専用のサーボトラック記録装置を用い、ドライブ内に組み込まれた固有の磁気ヘッドによってプリフォーマット記録を行う従来の技術には、以下のような問題点があった。
【0007】
第1に、磁気ヘッドによる記録は、基本的に磁気ヘッドと磁気記録媒体との相対的な移動による線記録であるため、専用のサーボトラック記録装置を用い、磁気ヘッドを精密に位置制御しながら記録を行う上記方法では、プリフォーマット記録に多くの時間を要するという問題がある。さらに、磁気ヘッドによる記録に使用する専用のサーボトラック記録装置はかなり高価であるため、プリフォーマット記録に要するコストが高くなるという問題もある。
【0008】
この問題は、磁気記録再生装置のトラック密度が向上するほど顕著に認められる。それは、ディスクの径方向のトラック数が増加することに加え、記録密度の増加に伴いトラック密度が向上するほど、磁気ヘッドの位置決めに高精度が要求されるため、ディスクの1周においてトラッキング用サーボ信号等の情報信号を記録するプリフォーマット記録領域を設ける角度間隔を小さくしなければならないことによる。従って、装置の記録密度が高くなるほど磁気ディスクにプリフォーマット記録すべき信号量が多くなり、プリフォーマット記録に多くの時間を要することになる。
【0009】
また、磁気ディスク媒体は小径化の傾向にあるものの、依然として3.5インチや5インチの大径ディスクに対する需要も多い。ディスクの記録面積が大きいほどプリフォーマット記録すべき信号量が多くなる。このような大径ディスクのコストパフォーマンスに対しても、プリフォーマット記録に要する時間は大きく影響する。
【0010】
第2に、▲1▼磁気ヘッドと磁気記録媒体との間のスペーシング、及び▲2▼磁気ヘッドの先端ポール形状に起因して記録磁界が広がるため、プリフォーマット記録されたトラック端部の磁化遷移が急峻性に欠けるという問題がある。
【0011】
即ち、磁気ヘッドによる記録は、基本的に磁気ヘッドと磁気記録媒体との相対的な移動による動的な線記録であるため、磁気ヘッドと磁気記録媒体との間のインターフェース性能の観点から、磁気ヘッドと磁気記録媒体との間に一定量のスペーシングを設けざるを得ない。また、現在の磁気ヘッドの先端ポール形状は、通常、記録と再生を別々に担う2つのエレメントを有する構造であり、記録ギャップの後縁側ポールの幅が記録トラック幅に相当し、前縁側ポールの幅は記録トラック幅の数倍以上と大きくなっている。この大きな前縁側ポールは、再生用のMRヘッドをシールドする役割を兼ねている。
【0012】
しかし、上記スペーシングおよび磁気ヘッドの先端ポール形状はいずれも、記録トラック端部において記録磁界の広がりを生じさせる要因となる。その結果、プリフォーマット記録された記録トラック端部の磁化遷移が急峻性に欠ける、あるいはトラック端両側に消去領域を生じるといった問題が生じる。現在のトラッキングサーボ技術では、磁気ヘッドがトラックを外れて走査した際の再生出力の変化量に基づいて磁気ヘッドの位置を検出している。このため、サーボ領域間に記録されたデータ信号を再生する際のように、磁気ヘッドがトラック上を正確に走査したときのS/N比に優れることだけではなく、磁気ヘッドがトラックを外れて走査したときの再生出力変化量、すなわちオフトラック特性が急峻であることが要求される。従って、上記のようにプリフォーマット記録されたトラック端部の磁化遷移が急峻性に欠けると、今後のサブミクロントラック記録における正確なトラッキングサーボ技術の実現が困難になる。
【0013】
上記のような磁気ヘッドによるプリフォーマット記録における2つの問題点を解決するため、基体の表面にプリフォーマット情報信号に対応する強磁性薄膜パターンが形成されているマスター情報担体の表面を、磁気記録媒体の表面に接触させた後に、マスター情報担体に形成された強磁性薄膜パターンを磁化させることによって、強磁性薄膜パターンに対応する磁化パターンを磁気記録媒体に記録する技術が特開平10−40544号の明細書において提案されている。このプリフォーマット記録技術によれば、記録媒体のS/N比、インターフェース性能等の他の重要性能を犠牲することなく、良好なプリフォーマット記録を効率的に行うことができる。
【0014】
ところで、特開平10−40544号の明細書において提案されているマスター情報記録技術を真に効果的なものとするためには、マスター情報担体上に形成された強磁性薄膜パターンと磁気記録媒体との間に均一な密着性を実現する必要がある。そこで、強磁性薄膜パターンが形成されていない領域の少なくとも一部分の表面高さを、強磁性薄膜パターンが形成されている領域の表面高さよりも低くする技術が特開平10−269566号の明細書において提案されている。この技術によれば、マスター情報担体と磁気記録媒体とを接触させたとき、マスター情報担体の強磁性薄膜パターンが形成されていない領域と磁気記録媒体との間にできる空隙に存在する気体を排気することにより、大気圧の作用で強磁性薄膜パターンが形成されている領域と磁気記録媒体とを均一に密着させることができる。
【0015】
図1に、そのようなマスター情報担体の一例を示す。図1(a)は、マスター情報担体の平面図であり、図1(b)は、図1(a)における円周方向の一点鎖線A−Aに沿う断面を示している。図1(a)に示すマスター情報担体11は、オリフラを有する略円形である。マスター情報担体11は、プリフォーマット情報信号に対応した強磁性薄膜パターンが形成された領域12(図1(a)のハッチング部分)の表面高さに比べて、強磁性薄膜パターンが形成されていない領域13の表面高さが低くなるように加工されて、2つの領域12および13が凹凸を形成している。
【0016】
本明細書においては便宜的に、強磁性薄膜パターンが形成されている領域を凸部領域またはパターン形成領域と、強磁性薄膜パターンが形成されていない領域を凹部領域または非パターン形成領域という。また、「表面高さ」の高低は、強磁性薄膜パターンが形成された面が上側となるようにマスター情報担体を置いたときの、領域12および13の最上面の高低を意味し、パターン形成領域12および非パターン形成領域13の「表面高さ」は、図1(b)に示すように、マスター情報担体の最下面から表面までの距離h1およびh2にそれぞれ相当する。
【0017】
表面にこのような凹凸形状を有するマスター情報担体11を用いてプリフォーマット情報信号を磁気記録媒体に記録する際には、凹部領域13と磁気記録媒体(図1(b)において破線で図示)との間にできる空隙に存在する気体を排気することにより、大気圧の作用で凸部領域12と磁気記録媒体を均一に密着させる。そして、この密着状態を維持した状態で、両者に磁界を作用させ、強磁性薄膜パターンに対応するプリフォーマット情報信号を磁気記録媒体の磁性層に転写(記録)する。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のようなマスター情報担体においては、凹部領域13の形成方法よっては、凸部領域12の外縁部14にバリなどの突起部が発生する。このバリ等は、凸部領域12と磁気記録媒体とが密着した際に、磁気記録媒体を損傷させることがあり、その結果、磁気記録媒体の信頼性が損なわれるおそれがある。また、凹部領域13の外縁部15には異物等が滞留しやすく、ここに溜まった異物は洗浄によっても除去しにくい。そのため、例えば、凹部領域13の外縁部15に存在していた異物が何らかの原因によって凸部領域12表面に移動し、その結果、凸部領域12と磁気記録媒体とを均一に密着させることができなくなるおそれがある。
【0019】
このように、マスター情報担体において強磁性薄膜パターンが形成されていない領域を凹部とするような加工を施し、強磁性薄膜パターンが形成されている凸部領域と磁気記録媒体との密着性を向上させるためには、凸部領域の外縁部が磁気記録媒体に損傷を与えず、また、凹部領域の外縁部に異物が滞留しないようにすることが重要な課題となっている。
【0020】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、マスター情報担体において、プリフォーマット情報信号を磁気記録媒体に記録する際に、磁気記録媒体に損傷を与えることなく、凸部領域と磁気記録媒体とを均一に密着させ得る、信頼性の高いマスター情報担体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、第1のマスター情報担体として、基体の表面にプリフォーマット情報信号に対応する強磁性材料の薄膜パターン(単に「強磁性薄膜パターン」とも呼ぶ)が形成され、基体において、前記薄膜パターンが形成されていない領域の少なくとも一部分の表面高さを、前記薄膜パターンが形成されている領域の表面高さよりも低くすることによって、前記薄膜パターンが形成されていない領域を凹部とし、前記薄膜パターンが形成されている領域を凸部としたマスター情報担体であって、前記薄膜パターンが形成されている領域(即ち凸部)の外縁部の少なくとも一部分および前記薄膜パターンが形成されていない領域(即ち凹部)の外縁部の少なくとも一部分が面取りされていることを特徴とするマスター情報担体を提供する。
【0022】
上記の構成を有するマスター情報担体は、凹部領域を画定する隅部、および凸部領域を画定する角部(または縁)がそれぞれ面取りされて鈍角となっている。鈍角となった角部は、磁気記録媒体の損傷を効果的に抑制し得る。また、凹部領域を画定する隅部が鈍角となることによって、当該隅部に異物が溜まりにくく、異物の存在量が減るから、異物の混入に起因するマスター情報担体と磁気記録媒体との間の密着不良を効果的に防止できる。
【0023】
上記本発明の第1のマスター情報担体は、
1)基体に強磁性材料の薄膜パターンを形成する工程、
2)薄膜パターンが形成されている領域の基体表面に第1のレジスト層を形成する工程、
3)前記第1のレジスト層をエッチングマスクとして、反応性ガスによる反応性イオンエッチングを行い、薄膜パターンが形成されていない領域である凹部領域、および薄膜パターンが形成されている領域である凸部領域を形成する工程、
4)前記第1のレジスト層を除去する工程、
5)第2のレジスト層を、凸部領域の表面の少なくとも一部の外縁部を除く領域に形成する工程、および
6)前記第2のレジスト層をエッチングマスクとしてエッチング液による結晶異方性エッチングを行う工程
を含む製造方法によって効率良く製造できる。
【0024】
本発明はまた、第2のマスター情報担体として、基体の表面にプリフォーマット情報信号に対応する強磁性材料の薄膜パターンが形成され、基体において、前記薄膜パターンが形成されていない領域の少なくとも一部分の表面高さを、前記薄膜パターンが形成されている領域の表面高さよりも低くすることによって、前記薄膜パターンが形成されていない領域を凹部とし、前記薄膜パターンが形成されている領域を凸部としたマスター情報担体であって、前記薄膜パターンが形成されている領域(即ち凸部)の外縁部において、少なくとも一部分が面取りされていることを特徴とするマスター情報担体を提供する。
【0025】
このマスター情報担体においては、パターン形成領域の外縁部が面取りされており、これにより磁気記録媒体の損傷を有効に防止することができる。このマスター情報担体の非パターン形成領域の外縁部は面取りされていないため、その部分で異物が滞留しやすいことは否めないが、例えば、空気中の塵埃の量が極めて少ないクリーンルーム等において作業する場合には、異物による影響を考慮する必要がないこともあり得る。その場合には、非パターン形成領域の外縁部が面取りされていなくとも、マスター情報担体と磁気記録媒体との間の良好な密着性を十分に確保できる。
【0026】
上記本発明の第2のマスター情報担体は、
1)基体に強磁性材料の薄膜パターンを形成する工程、
2)薄膜パターンが形成されている領域の基体表面に第1のレジスト層を形成する工程、
3)前記第1のレジスト層をエッチングマスクとして、反応性ガスによる反応性イオンエッチングを行い、薄膜パターンが形成されていない領域である凹部領域、および薄膜パターンが形成されている領域である凸部領域を形成する工程、
4)前記第1のレジスト層を除去する工程、
5)第2のレジスト層を、凸部領域の表面の少なくとも一部の外縁部を除く領域、および凹部領域の表面を覆うように凹部領域の深さの一部に形成する工程、および
6)前記第2のレジスト層をエッチングマスクとしてエッチング液による結晶異方性エッチングを行う工程
を含む製造方法によって製造できる。
【0027】
本発明は、第3のマスター情報担体として、基体の表面にプリフォーマット情報信号に対応する強磁性材料の薄膜パターンが形成され、前記薄膜パターンが形成されていない領域の少なくとも一部分の表面高さを、前記薄膜パターンが形成されている領域の表面高さよりも低くしたマスター情報担体において、前記薄膜パターンが形成されている領域と前記薄膜パターンが形成されていない領域を繋ぐ壁面が傾斜壁面であり、傾斜壁面の傾斜角が90°未満であるマスター情報担体を提供する。
【0028】
このマスター情報担体においては、傾斜壁面によって、パターン形成領域の角部および非パターン形成領域の隅部が鈍角になっている。従って、本発明の第1のマスター情報担体と同様、これを磁気記録媒体と密着させたときに、磁気記録媒体の損傷を効果的に防止するとともに、隅部に滞留した異物を原因とする密着不良を防止する。
【0029】
上記本発明の第3のマスター情報担体は、
1)基体に強磁性材料の薄膜パターンを形成する工程
2)薄膜パターンが形成されている領域の基体表面にレジスト層を形成する工程、および、
3)前記レジスト層をエッチングマスクとしてエッチング液による結晶異方性エッチングを行う工程
を含む製造方法によって製造される。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、以下では、マスター情報担体の基体としてシリコン基板を用いたものを中心に説明するが、本発明のマスター情報担体は、それ以外の基板、例えば、GaAsまたは水晶等の単結晶材料から成る基板を基体とするものであってよい。
【0031】
本発明のマスター情報担体の構成の一例を図2に示す。図2(a)に示すように、ディスク形状のマスター情報担体21の表面には、プリフォーマット情報信号に対応した微細な強磁性薄膜パターンが形成された領域22が所定の角度間隔で設けられている。図2(a)の一点鎖線I−Iにおけるマスター情報担体の断面図を図2(b)に示す。図2(b)において、パターン形成領域の外縁部24および非パターン形成領域の外縁部25は面取りされ、面取り部を形成している。なお、図2(a)および(b)は説明の便宜のため簡略化されており、パターン形成領域の寸法および数は、実際のマスター情報担体におけるそれらとは異なる。
【0032】
図2(a)に示す領域22の一部分である領域Aを拡大したものを図3に示す。図3に示すように、プリフォーマット情報信号は、トラッキング用サーボ信号、アドレス情報信号および再生クロック信号に対応する強磁性薄膜パターンが順番に配列されて構成されている。図3においては、ハッチングを施した部分がCoなどの強磁性材料で構成された薄膜パターン部分となっている。
【0033】
このようなプリフォーマット情報信号に対応した微細な強磁性薄膜パターンをマスター情報担体の表面に形成する方法を以下に説明する。
まず、マスター情報担体の基体として、表面の結晶方位が(100)面であるシリコン基板を用意する。そして、この基板の表面に、Co等から成る強磁性薄膜をスパッタリング法によって成膜する。次に、シリコン基板表面に成膜した強磁性薄膜上にレジスト層を形成した後、フォトリソグラフィ法あるいは電子ビームを用いたリソグラフィ法を用いて、レジスト層を露光・現像してパターニングする。その後、ドライエッチング等によって強磁性薄膜パターンを形成する。即ち、強磁性薄膜パターンは、プリフォーマット情報信号に対応した微細な凹凸形状を形成しており、少なくとも凸部の表面に強磁性薄膜が存在する構成となっている。
【0034】
強磁性薄膜をシリコン基板の表面に成膜する方法は、スパッタリング法に限定されず、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法およびめっき法等の従来から採用されている一般的な薄膜形成方法を用いることができる。また、強磁性薄膜の材料はCoに限定されるものではなく、硬質磁性材料、半硬質磁性材料、軟質磁性材料を問わず、多くの種類の磁性材料を用いることができる。
【0035】
プリフォーマット情報信号が記録される磁気記録媒体の種類によらず、十分な記録磁界を発生させるためには、磁性材料の飽和磁束密度が大きいほど良い。特に、2000エルステッドを超える高い保磁力を持つ磁気ディスクおよび磁性層の厚みの大きなフレキシブルディスクに対しては、飽和磁束密度が0.8テスラ以下になると十分な記録を行うことができない場合があるので、一般的には、0.8テスラ以上、好ましくは1.0テスラ以上の飽和磁束密度を有する磁性材料が用いられる。
【0036】
次に、非パターン領域23の表面高さを、パターン領域22の表面高さよりも低くし、それから、非パターン領域23およびパターン領域22の外縁部に面取りを施す方法を以下に説明する。
【0037】
パターン形成領域22は、強磁性材料の薄膜パターンを含む領域であり、その形状は、例えばハードディスク用のマスター情報担体においては、図2に示すように略扇形状となる。略扇形状であるパターン形成領域22は、マスター情報担体21の中心に近い側の幅が約100〜2000μm、外周に近い側の幅が約200〜4000μmであり、長さは、回転軸に固定するために磁気記録媒体に形成される中央の円形開口部の外周から磁気記録媒体の外周までの距離、即ち、リング形状の磁気記録媒体のリング幅にほぼ相当する。一般に、1つのマスター情報担体には、角度間隔1〜15度で、約30〜300個のパターン形成領域が形成される。また、例えばハードディスクドライブにおいては、磁気ヘッドが所定の回転軸を中心として円弧を描きながら、情報信号の記録再生を行うため、パターン形成領域22は磁気へッドの動きに合うように湾曲した形状とする必要がある。非パターン形成領域23は、強磁性材料の薄膜パターンを含まない領域であり、前記形状寸法のパターン形成領域22間に位置する。
【0038】
ここでは、上記のようなパターン形成領域22および非パターン形成領域23を形成するためにCFのような反応性ガスを用いた反応性イオンエッチングを実施し、面取り部を形成するためにエッチング液を用いた結晶異方性エッチングを実施する方法を説明する。図4および図5にそのプロセスの例を示す。
【0039】
まず、図4(a)に示すように、強磁性薄膜パターン42が形成されたシリコン基板のマスター情報担体41に第1のレジスト層43を形成する。次に、フォトリソグラフィ法などを用いて、第1のレジスト層を露光・現像して、強磁性薄膜パターン42が形成された領域にのみ第1のレジスト層を残す(図4(b))。次に、CF などの反応性イオンガス44を用い、第1のレジスト層43が形成されていない部分のシリコンをイオンエッチングして(図4(c))、非パターン形成領域の表面高さをパターン形成領域のそれよりも低くした後、残留レジスト層を例えば薬液で除去する(図4(d))。
【0040】
次に、図5(e)に示すように、強磁性薄膜パターンが形成されている領域42の一部に第2のレジスト層45を形成する。面取り部を所定位置に形成し、また、後述する面取りの量を所定量とするために、レジスト層45はパターン形成領域の表面の外縁部の少なくとも一部にレジスト層で覆われていない領域が存在するように形成する必要がある。本発明においては、面取り部がパターン形成領域の外縁部の全体にわたって形成されることが好ましく、従って、レジスト層45はパターン形成領域42の全外縁部を除くように、パターン形成領域42の表面に形成することが好ましい。そのようなレジスト層45は、第1のレジスト層43を形成した方法と同様の方法、即ち、フォトリソグラフィ法等を用いてパターン形成領域42の外縁部にあるレジスト層を取り除くことによって形成することができる。
【0041】
次いで、図5(f)に示すように、これをエッチング液46に浸漬して、第2のレジスト層45が形成されていない部分のシリコンを結晶異方性エッチングする。結晶異方性エッチングで使用するエッチング液としては、KOHやヒドラジンなどのアルカリ系溶液のほか、エチレンジアミン、ピロカテコールおよび水をそれぞれ6:2:1(体積比の割合で混合した混合液(EPW溶液)を用いることができる。結晶異方性エッチングを実施するためのその他の条件は、一般に採用されている条件をそのまま適用できる。また、エッチング液への浸漬時間は、除去すべき基板材料の量に応じて異なるが、通常、10〜300秒程度とすればよい。
【0042】
結晶異方性エッチングが進行すると、レジスト層で覆われていないパターン形成領域の外縁部、パターン形成領域と非パターン形成領域を繋ぐ壁面の一部、非パターン形成領域の外縁部、および非パターン形成領域の表面(底面)がエッチングされることにより、パターン形成領域および非パターン形成領域の外縁部に面取り部47および48が形成され、図5(g)のようになる。基板は、後述する面取りの量が所定量となったときにエッチング液から取り出される。そして、レジスト層を例えばリムーバ等の薬液で除去すると、本発明のマスター情報担体が得られる(図5(h))。
【0043】
結晶異方性エッチングは、図5(h)に示すように、シリコン基板表面の結晶方位が(100)面であれば、エッチング面たる外縁部47および48は(111)面になるので、いずれも55°の傾斜角を持つように進行する。なお、本明細書において、傾斜角とは、図5(h)に示すように、面取り部47の傾斜面とパターン形成領域の表面49から広がる仮想的な面(破線で図示)との間に形成される角度θ1、および面取り部48の傾斜面と非パターン形成領域の表面50から広がる仮想的な面(破線で図示)との間に形成される角度θ2を指す。傾斜角θ1およびθ2が90°未満であれば、面取り部の傾斜面とパターン形成領域の表面49および非パターン形成領域の表面50とで形成される角度θ1’およびθ2’は、それぞれ鈍角となる。
【0044】
上記のように、傾斜角θ1およびθ2は、エッチングの方法および使用する基体の結晶方位によって所定値とすることができ、本発明において、傾斜角は20〜70°であることが好ましい。また、パターン形成領域の外縁部における傾斜角と、非パターン形成領域の外縁部における傾斜角とはそれぞれ異なっていてもよい。傾斜角が20°未満では、一定量の面取り部を形成するためにパターン形成領域の幅を広くするとともに非パターン形成領域の幅を狭くする必要があり、その結果、凹部の幅が狭くなり、磁気記録媒体との間で良好な密着状態が確保されないおそれがある。また、70°を超えると、磁気記録媒体の損傷の低減、および異物の滞留抑制といった本発明の効果が発揮されないおそれがある。なお、上記範囲の傾斜角を有する面取り部を形成するためには、表面の結晶方位が、結晶異方性エッチングの進行に伴って、上記範囲内にある傾斜角を有する傾斜面を形成するような結晶方位である材料から成る基板を基体として選択するとよい。
【0045】
本発明者らが鋭意検討した結果、パターン形成領域の表面高さと非パターン形成領域の表面高さとの差である段差(図2(b)においてdで示す)が3μm以上であれば、強磁性薄膜パターンと磁気ディスクとを均一に密着させることが可能であることが判った。より好ましい段差dは、10〜20μmである。段差dは、イオンエッチングの条件を適宜選択することによって所定の値とすることができるが、その選択に際しては、イオンエッチングの後、面取りのために実施する結晶異方性エッチングによって除去される非パターン形成領域の表面(底面)の量を考慮する必要がある。
【0046】
また、パターン領域および非パターン領域に形成される面取りの量は、パターン領域と非パターン領域との段差に応じて適宜選択できるが、少なくとも0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、1〜5μmであることが更に好ましい。なお、面取りの量とは、図2(b)においてt1およびt2で示すように、面取り部の幅に相当する。
【0047】
このように、図4および図5に示す方法においては、反応性ガスによるイオンエッチングにより、強磁性薄膜パターンが形成されていない非パターン形成領域の表面高さを強磁性薄膜パターンが形成されているパターン形成領域の表面高さよりも低くし、さらに、アルカリ系のエッチング液を用いた結晶異方性エッチングにより、パターン領域と非パターン領域の外縁部に面取りを施す。マスター情報担体の基体として表面の結晶方位が(100)面であるシリコン基板を用いれば、面取り部の結晶方位は(111)面になるので、傾斜角は約55°になる。
【0048】
イオンエッチング時には、パターン領域の外縁部にバリなどの突起物が発生するおそれがあるが、面取りのための結晶異方性エッチングを行うことにより、これらの突起部を除去し得るので、パターン領域が磁気ディスクと密着する際に、磁気ディスクが損傷されるおそれを少なくできる。さらに、非パターン領域の外縁部においても面取りが施されるので、非パターン領域の外縁部に異物がたまりにくくなり、異物がパターン領域に進入するおそれを少なくできる。その結果、信頼性の高いマスター情報担体が提供されることとなる。
【0049】
次に、本発明の第2のマスター情報担体について、図8を参照して説明する。図8に示すマスター情報担体71においては、パターン形成領域72の外縁部74に面取りが形成されているので、図2に示すマスター情報担体と同様に、磁気記録媒体の損傷を有効に防止することができる。このマスター情報担体においては、非パターン形成領域73の外縁部75には面取りが形成されていない。
【0050】
このマスター情報担体の製造方法を、適宜図面を参照して説明する。まず、マスター情報担体に強磁性薄膜パターンを形成し、次いで、非パターン形成領域の表面高さをパターン形成領域の表面高さよりも低くする必要があるが、その方法は図2〜図4を参照して先に説明したとおりであるから、ここではその詳細な説明を省略する。
【0051】
次に、図9(a)に示すように、強磁性薄膜パターンが形成されている領域82の一部に第2のレジスト層85を形成するとともに、非パターン形成領域83の表面を覆うように非パターン形成領域83の深さ方向の一部にもレジスト層85を形成する。レジスト層85は、パターン形成領域82の外縁部にレジスト層で覆われていない領域が存在するように形成する必要がある。この場合も、面取り部がパターン形成領域の外縁部の全体にわたって形成されることが望ましく、従って、レジスト層85は、パターン形成領域82の全外縁部を残して、パターン形成領域82の表面および非パターン形成領域83の深さ方向の一部に形成することが好ましい。そのようなレジスト層85は、例えば、レジスト層をマスター情報担体81の表面全体に形成した後、フォトリソグラフィ法等を用いて露光・現像してパターン形成領域82の外縁部のレジスト層を取り除くことによって形成できる。
【0052】
続いて、図9(b)に示すように、これをエッチング液86に浸漬して、第2のレジスト層85が形成されていない部分のシリコンを結晶異方性エッチングする。図5とは異なり、レジスト層85が非パターン形成領域83の表面を覆っているため、面取りは、専らパターン形成領域82の外縁部でのみ進行し、図9(c)のようになる。結晶異方性エッチングで使用するエッチング液としては、KOHやヒドラジンなどのアルカリ系溶液のほか、エチレンジアミン、ピロカテコールおよび水をそれぞれ6:2:1の割合で混合した混合液(EPW溶液)を用いることができる。所定量の基板がエッチングにより除去され、面取りの量が所定量となったときに、エッチング液86から基板を取り出し(図9(c))、レジスト層85をリムーバ等の薬液で除去する(図9(d))。この結晶異方性エッチングにおいても、その実施条件として常套の条件を適用でき、浸漬時間は、約10〜300秒である。
【0053】
結晶異方性エッチングは、図9(d)に示すように、シリコン基板表面の結晶方位が(100)面であれば、エッチング面87は(111)面になるので、図5を参照して説明した場合と同様に、55°の傾斜角φを持つように(面取り部87の傾斜面とパターン形成領域の表面88との間に形成される角φ’が125°となるように)進行する。
【0054】
なお、図8に示す形態のマスター情報担体における、傾斜角φ、パターン形成領域の表面高さと非パターン形成領域の表面高さの段差、および面取りの量の好ましい範囲については、図5を参照して説明したとおりであるから、ここではその詳細な説明を省略する。
【0055】
次に、本発明の第3のマスター情報担体の一例の構造を図6(a)および(b)に示す。図6(a)は本発明の第3のマスター情報担体の上面図であり、図6(b)は図6(a)において一点鎖線I−Iにおけるマスター情報担体の断面を示したものである。このマスター情報担体51は、基体の表面にプリフォーマット情報信号に対応する薄膜パターンが形成され、前記薄膜パターンが形成されていない領域53の少なくとも一部分の表面高さを、前記薄膜パターンが形成されている領域52の表面高さよりも低くしたものであって、前記薄膜パターンが形成されている領域52と前記薄膜パターンが形成されていない領域53を繋ぐ壁面54が傾斜壁面であり、傾斜壁面54の傾斜角が90°未満であるマスター情報担体である。
【0056】
このマスター情報担体においては、傾斜壁面54が、パターン形成領域52の外縁部55およびパターン非形成領域53の外縁部56を鈍角にしており、従って、図2に示すマスター情報担体と同様に、パターン形成領域52の角部55で磁気記録媒体の表面を損傷しにくく、また、非パターン形成領域53の隅部56に異物が溜まりにくくなるため、磁気記録媒体とマスター情報担体との密着性がより向上することとなる。
【0057】
図6に示す形態のマスター情報担体に強磁性薄膜パターンを形成する方法は、図2を参照して先に説明したとおりであるから、ここではその詳細な説明を省略する。
【0058】
図6に示す形態のマスター情報担体は、非パターン領域53の表面高さを、パターン領域52の表面高さよりも低くすると同時に、2つの面を繋ぐ傾斜壁面54を形成することによって製造できる。その方法を図7を参照して説明する。
【0059】
まず、図7(a)に示すように、強磁性薄膜パターン62が形成されたマスター情報担体61にレジスト層63を形成する。次に、フォトリソグラフィ法等を用いて、レジスト層を露光・現像して強磁性薄膜パターン62が形成された領域にのみレジスト層を残す(図7(b))。
【0060】
これをエッチング液64に浸漬して、レジスト層63が形成されていない部分のシリコンを結晶異方性エッチングする(図7(c))。結晶異方性エッチングにおけるエッチング液としては、KOHやヒドラジンなどのアルカリ系溶液のほか、エチレンジアミン、ピロカテコールおよび水をそれぞれ6:2:1の割合で混合した混合液(EPW溶液)を用いることができる。基板は所定の量の基板がエッチングにより除去されたときにエッチング液から引き上げる(図7(d)。その後、リムーバ等の薬液を用いて残留したレジスト層63を剥離する(図7(e))。この場合においても、結晶異方性エッチングは、一般に採用されている条件を適用して実施できるが、図5および図9を参照して説明した場合と異なり、結晶異方性エッチングによって、非パターン形成領域の表面高さをより低くする必要があり、従って、結晶異方性エッチングにより除去すべき基板の量が多くなる。そのため、浸漬時間は、一般に約5〜30分程度とやや長くする必要がある。
【0061】
結晶異方性エッチングは、図7(e)に示すように、シリコン基板表面の結晶方位が(100)面であれば、エッチング面は(111)面になるので、傾斜壁面65とパターン形成領域の表面66から広がる仮想面(破線で図示)との間で形成される傾斜角γが55°(即ち、傾斜壁面65とパターン形成領域の表面66および非パターン形成領域67の表面との間に形成される角度γ1およびγ2が125°)となるように進行する。
【0062】
上記のように、傾斜角は、エッチングの方法および使用する基体の表面の結晶方位によって所定値をとる場合があるが、本発明において傾斜角は20〜70°であることが好ましい。傾斜角が20°未満の傾斜壁面を形成するには、パターン形成領域の幅を広くするとともに非パターン形成領域の幅を狭くする必要があり、その結果、凹部の幅が狭くなり、磁気記録媒体との間で良好な密着状態が確保されないおそれがある。また、70°を超えると、磁気記録媒体の損傷の低減、および異物の滞留抑制といった本発明の効果が発揮されないおそれがある。このような傾斜角を形成するためには、図4および図5を参照して説明したように、結晶異方性エッチングによって上記範囲にある角度の傾斜面を形成するような結晶方位を表面に有する基板を基体として選択する必要がある。
【0063】
本形態のマスター情報担体においても、パターン形成領域と非パターン形成領域との段差dが3μm以上であれば、強磁性薄膜パターンと磁気ディスクとを均一に密着させることが可能である。より好ましい段差は、10〜20μmである。
【0064】
このように、図6に示す形態のマスター情報担体においては、アルカリ系のエッチング液を用いた結晶異方性エッチングにより、非パターン形成領域の表面高さをパターン形成領域の高さよりも低くするとともに、両領域を繋ぐ壁面を傾斜面としている。したがって、本形態によれば、図2に示す形態のマスター情報担体よりも少ない工程で、パターン形成領域および非パターン形成領域の外縁部を構成する角部および隅部を鈍角にすることができる。
【0065】
以上、本発明のマスター情報担体の構造について説明したが、本発明のマスター情報担体を用いて、例えばハードディスクであるディスク形状の磁気記録媒体即ち、磁気ディスクにプリフォーマット情報信号を記録する際には、マスター情報担体上に形成された強磁性薄膜パターンを磁気記録媒体に密着させた状態で、磁気ディスクの円周方向に直流励磁磁界を印加し、マスター情報担体上の強磁性薄膜パターンを磁化することによって、プリフォーマット情報信号を記録する。この際、好ましくは、プリフォーマット情報信号の記録前に予め磁気ディスクを円周方向に一様に直流消去しておくことにより、飽和記録に近い十分な記録が行われやすい。なお、直流消去磁化の向きは、プリフォーマット情報信号記録時の強磁性薄膜パターンの磁化方向とは逆の向きとする。
【0066】
本発明のマスター情報担体において、強磁性薄膜パターンが形成されたパターン形成領域の少なくとも一部は凸部であり、強磁性薄膜パターンが形成されていない非パターン形成領域の少なくとも一部は凹部である。そして、マスター情報担体と磁気ディスクを当接させた後、凹部である非パターン領域と磁気ディスクとの間にできる空隙の気体を排気して、マスター情報担体と磁気ディスクに大気圧を作用させると、両者は凸部表面において均一に密着した状態となる。本発明のマスター情報担体を用いれば、凸部領域の外縁部が鈍角であるため、磁気記録媒体を損傷することなく均一な密着状態を維持することができ、また、非パターン形成領域の外縁部の隅部が鈍角である場合には異物の滞留が防止され、異物が凸部領域の表面へ移動することを避けることができるので、密着の均一性をより向上させることができる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のマスター情報担体は、強磁性薄膜パターンが形成されている凸部領域の外縁部に面取りを施したものであるから、マスター情報担体と磁気記録媒体が密着する際に、磁気記録媒体に損傷を与えることがない。さらに、強磁性薄膜パターンが形成されていない凹部領域の外縁部に面取りを施すことにより、凹部領域の外縁部に異物が滞留しにくくなり、異物の存在量を減少させることができるので、マスター情報担体と磁気記録媒体が密着する際に、凸部領域と磁気記録媒体との間に異物が存在し、それにより均一な密着が妨げられるというおそれを少なくできる。従って、本発明によれば、信頼性の高いマスター情報担体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1の(a)は、従来のマスター情報担体の構造の模式的平面図、(b)は、(a)の一点鎖線A−Aに沿って切断した模式的断面図である。
【図2】図2の(a)は、本発明のマスター情報担体の構造の一例の模式的平面図、(b)は、(a)の一点鎖線I−Iに沿って切断した模式的断面図である。
【図3】図3は、マスター情報担体の表面に形成されたプリフォーマット情報信号に対応する強磁性薄膜パターンの一例を示す構成図である。
【図4】図4の(a)〜(d)は、図1に示すマスター情報担体の製造方法における工程を示す模式図である。
【図5】図5の(e)〜(h)は、図1に示すマスター情報担体の製造方法における工程を示す模式図である。
【図6】図6の(a)は、本発明のマスター情報担体の構造の一例の模式的平面図、(b)は、(a)の一点鎖線I−Iに沿って切断した模式的断面図である。
【図7】図7の(a)〜(e)は、図6に示すマスター情報担体の製造方法における工程を示す模式図である。
【図8】図8は、本発明のマスター情報担体の構造の一例の模式的断面図である。
【図9】図9の(a)〜(d)は、図8に示すマスター情報担体の製造方法における工程を示す模式図である。
【符号の説明】
11、21、41、51、61、71、81 マスター情報担体
12、22、42、52、62、72、82 強磁性薄膜パターンが形成されている領域(パターン形成領域)
13、23、53、73、83 強磁性薄膜パターンが形成されていない領域(非パターン形成領域)
14 強磁性薄膜パターンが形成されている領域の外縁部
15、75 強磁性薄膜パターンが形成されていない領域の外縁部
24、47、74、87 パターン形成領域の外縁部に施された面取り部
25、48 非パターン形成領域の外縁部に施された面取り部
43、45、63、85 レジスト層
44 反応性イオンガス
46、64、86 エッチング液
49、66、88 パターン形成領域の表面
50、67 非パターン形成領域の表面
54、65 傾斜壁面
55 パターン形成領域の外縁部
56 非パターン形成領域の外縁部

Claims (11)

  1. 磁気記録媒体の表面に接触させることによって、プリフォーマット信号を記録するマスター情報担体であって、
    基体の表面にプリフォーマット情報信号に対応する強磁性材料の薄膜パターンが形成され、
    基体において、前記薄膜パターンが形成されていない領域の少なくとも一部分の表面高さを、前記薄膜パターンが形成されている領域の表面高さよりも低くすることによって形成された、前記磁気記録媒体を接触させたときに磁気記録媒体と基体との間に空隙を形成する凹部と前記薄膜パターンが形成されている領域を含む凸部とを備え、
    前記凸部の外縁部の少なくとも一部分および前記凹部の外縁部の少なくとも一部分が面取りされていることを特徴とするマスター情報担体。
  2. 磁気記録媒体の表面に接触させることによって、プリフォーマット信号を記録するマスター情報担体であって、
    基体の表面にプリフォーマット情報信号に対応する強磁性材料の薄膜パターンが形成され、
    基体において、前記薄膜パターンが形成されていない領域の少なくとも一部分の表面高さを、前記薄膜パターンが形成されている領域の表面高さよりも低くすることによって形成された、前記磁気記録媒体を接触させたときに磁気記録媒体と基体との間に空隙を形成する凹部と前記薄膜パターンが形成されている領域を含む凸部とを備え、
    前記凸部の外縁部において、少なくとも一部分が面取りされていることを特徴とするマスター情報担体。
  3. 面取りされている部分の傾斜角が20〜70°である請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のマスター情報担体。
  4. 基体の表面にプリフォーマット情報信号に対応する強磁性材料の薄膜パターンが形成され、前記薄膜パターンが形成されていない領域の少なくとも一部分の表面高さを、前記薄膜パターンが形成されている領域の表面高さよりも低くしたマスター情報担体において、前記薄膜パターンが形成されている領域と前記薄膜パターンが形成されていない領域を繋ぐ壁面が傾斜壁面であり、傾斜壁面の傾斜角が90°未満であるマスター情報担体。
  5. 傾斜壁面の傾斜角が20〜70°である請求項4に記載のマスター情報担体。
  6. 基体が、表面の結晶方位が(100)またはそれらと等価な方位であるシリコン基板である請求項1〜5のいずれか1項に記載のマスター情報担体。
  7. 請求項1に記載のマスター情報担体の製造方法であって、
    1)基体に強磁性材料の薄膜パターンを形成する工程、
    2)薄膜パターンが形成されている領域の基体表面に第1のレジスト層を形成する工程、
    3)前記第1のレジスト層をエッチングマスクとして、反応性ガスによる反応性イオンエッチングを行い、薄膜パターンが形成されていない領域である凹部領域、および薄膜パターンが形成されている領域である凸部領域を形成する工程、
    4)前記第1のレジスト層を除去する工程、
    5)第2のレジスト層を、凸部領域の表面の少なくとも一部の外縁部を除く領域に形成する工程、ならびに
    6)前記第2のレジスト層をエッチングマスクとしてエッチング液による結晶異方性エッチングを行う工程
    を含むマスター情報担体の製造方法。
  8. 請求項2に記載のマスター情報担体の製造方法であって、
    1)基体に強磁性材料の薄膜パターンを形成する工程、
    2)薄膜パターンが形成されている領域の基体表面に第1のレジスト層を形成する工程、
    3)前記第1のレジスト層をエッチングマスクとして、反応性ガスによる反応性イオンエッチングを行い、薄膜パターンが形成されていない領域である凹部領域、および薄膜パターンが形成されている領域である凸部領域を形成する工程、
    4)前記第1のレジスト層を除去する工程、
    5)第2のレジスト層を、凸部領域の表面の少なくとも一部の外縁部を除く領域、および凹部領域の表面を覆うように凹部領域の深さの一部に形成する工程、ならびに
    6)前記第2のレジスト層をエッチングマスクとしてエッチング液による結晶異方性エッチングを行う工程
    を含むマスター情報担体の製造方法。
  9. 請求項4に記載のマスター情報担体の製造方法であって、
    1)基体に強磁性材料の薄膜パターンを形成する工程
    2)薄膜パターンが形成されている領域の基体表面にレジスト層を形成する工程、および、
    3)前記レジスト層をエッチングマスクとしてエッチング液による結晶異方性エッチングを行う工程
    を含むマスター情報担体の製造方法。
  10. エッチング液が、KOH(水酸化カリウム)水溶液、EPW(エチレンジアミン−ピロカテコール−水)、ヒドラジンおよびTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)から選択される少なくとも1種の液である請求項7〜9のいずれか一項に記載のマスター情報担体の製造方法。
  11. 基体が、表面の結晶方位が(100)またはそれらと等価な方位であるシリコン基板である請求項7〜10のいずれか一項に記載のマスター情報担体の製造方法。
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