JP3541033B2 - 磁気記録再生装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高密度でかつ大容量の記憶が可能な磁気記録再生装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、磁気記録再生装置は、小型でかつ大容量のものを実現するために、高記録密度化の傾向にある。代表的な磁気記録再生装置であるハードディスクドライブの分野においては、すでに面記録密度が1Gbit/in2 を超える装置が商品化されており、数年後には、面記録密度が10Gbit/in2 の装置の実用化が議論されるほどの急激な技術の進歩が認められる。
【0003】
このような高記録密度化が可能となった技術的要因として、磁気記録媒体及びヘッド・ディスクインターフェースの性能の向上やパーシャルレスポンス等の新規な信号処理方式の出現による線記録密度の向上が挙げられる。しかし、近年では、トラック密度の増加傾向が線記録密度の増加傾向を大きく上回り、面記録密度の向上の主な要因となっている。これは、従来の誘導型磁気ヘッドに比べて再生出力性能がはるかに優れた磁気抵抗素子型ヘッドの実用化によるものである。現在、磁気抵抗素子型ヘッドの実用化により、わずか数μmのトラック幅信号を高いS/N比をもって再生することが可能となっている。一方、今後のさらなるヘッド性能の向上に伴い、近い将来には、トラックピッチがサブミクロン領域に達するものと予想されている。
【0004】
磁気ヘッドがこのような狭いトラックを正確に走査し、高いS/N比をもって信号を再生するためには、磁気ヘッドのトラッキングサーボ技術が重要な役割を果たす。このようなトラッキングサーボ技術に関しては、例えば、『山口:磁気ディスク装置の高精度サーボ技術、日本応用磁気学会誌、Vol.20,No.3,pp.771, (1996)』に詳細に記載されている。この文献によれば、現在のハードディスクドライブでは、ディスクの1周、すなわち角度にして360度中に、一定の角度間隔でトラッキング用サーボ信号やアドレス情報信号、再生クロック信号等が記録された領域(以下「プリフォーマット」という。)が設けられている。これにより、磁気ヘッドは、一定の間隔でこれらの信号を再生して自己の位置を確認し、磁気ディスクの径方向における変位を修正しながら正確にトラック上を走査することができる。
【0005】
上記したトラッキング用サーボ信号やアドレス情報信号、再生クロック信号等のプリフォーマット信号は、磁気ヘッドが正確にトラック上を走査するための基準信号となるものであるから、その記録時には、正確なトラック位置決め精度が要求される。例えば、『植松、他:メカ・サーボ、HDI技術の現状と展望、日本応用磁気学会第93回研究会資料、93-5, pp.35 (1996)』に記載された内容によれば、現在のハードディスクドライブでは、磁気ディスク及び磁気ヘッドをドライブ内に組み込んだ後、専用のサーボトラック記録装置を用いて、ドライブ内に組み込まれた固有の磁気ヘッドにより、トラッキング用サーボ信号やアドレス情報信号、再生クロック信号等の記録が行われている。この場合、ドライブ内に組み込まれた固有の磁気ヘッドを、サーボトラック記録装置に装備された外部アクチュエータによって精密に位置制御しながら記録を行うことにより、必要なトラック位置決め精度が実現されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
プリフォーマット記録される信号パターンに関しては、トラッキング用サーボ信号、アドレス情報信号、クロック信号といった用途に応じて、目的性能を最大限に発揮させるために、様々な好ましい構成を考案することが可能である。しかし、専用のサーボトラック記録装置を用いてプリフォーマット記録を行う従来の方法においては、ドライブ内に組み込まれた固有の磁気ヘッドによってプリフォーマット信号が記録されるため、プリフォーマット記録される信号の磁化パターンに大きな制約がある。
【0007】
例えば、ハードディスクドライブ等の磁気記録再生装置における磁気ヘッドの記録トラック幅は、通常、トラックピッチよりも狭く設定されており、隣接する記録トラックとの間には一定の幅のガードバンドが設けられている。上記の記録トラック幅及びガードバンド幅は、プリフォーマット記録する信号の種類によって任意に変化させることはできない。しかし、トラッキング用サーボ信号、アドレス情報信号、クロック信号といった用途に応じて、信号の記録トラック幅をより大きく、場合によっては複数のトラックを連続的に横断させた方が、優れた目的性能を発揮させることができる場合もある。また、隣接トラック間の磁化パターンの干渉が問題となるような類いの信号記録においては、逆に、記録トラック幅をより小さくして、より大きな幅のガードバンドを設ける方が好ましい。
【0008】
また、ビデオテープレコーダ等の磁気記録再生装置においては、記録ギャップをトラック幅方向に対して一定角度傾斜させた、いわゆる『アジマス記録方式』が採用されている。これにより、隣接トラックからのクロストークノイズを低減することができ、ガードバンドレス記録が可能になる等のメリットが得られる。磁気記録再生装置のプリフォーマット記録においても、上記のように磁化パターンをトラック幅方向に対して任意に傾斜させて記録することが可能であれば、より優れた性能を得るための様々な構成を考案することが可能である。しかし、ドライブ内に組み込まれた固有の磁気ヘッドによってプリフォーマット信号を記録する従来の方法においては、記録ギャップをトラック幅方向に対して任意に傾斜させることは不可能である。
【0009】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、トラッキング用サーボ信号、アドレス情報信号、クロック信号といった用途に応じて、目的性能を最大限に発揮させることが可能なプリフォーマット記録磁化パターンを備えた磁気記録再生装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明に係る磁気記録再生装置の製造方法は、プリフォーマット情報信号に対応する強磁性材料の形状パターンを有するマスター情報担体の表面に磁気ディスクを接触させることにより、前記プリフォーマット情報信号に対応する磁化ビットパターンが予め記録された磁気ディスクを搭載する磁気記録再生装置の製造方法であって、
前記予め記録されたプリフォーマット情報信号に対応する磁化ビットパターンのうち、アドレス情報信号に対応する部分の前記磁気ディスクの径方向における記録幅が、磁気記録再生装置に搭載される磁気ヘッドによる前記磁気ディスクの径方向における記録トラック幅よりも小さくなるよう構成することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
【0012】
本発明の磁気記録再生装置の構成は、従来の装置と基本的に同様である。すなわち、磁気ディスクは、モータ等の回転軸に支持されており、所定の回転速度で回転することができる。磁気ディスクの記録面上には磁気ヘッドが組み込まれており、この磁気ヘッドにより、磁気ディスクに情報信号を記録し、かつ、磁気ディスクに記録された情報信号を再生することができる。磁気ヘッドには、磁気ヘッドを磁気ディスクの少なくとも径方向に移動させるための駆動機構が設けられている。以上のような構成を備えていることにより、磁気ヘッドは、磁気ディスクの径方向に移動しながら、磁気ディスク上に同心円状又はスパイラル状に記録されたすべての記録トラック上を走査することができる。前記駆動機構は、磁気ヘッドによって再生されたトラッキング用サーボ信号の検出器と連動して、磁気ヘッドが目的の記録トラック上を正確に走査するようにトラッキングを行う機能を有している。一般的に、この駆動機構には、ボイスコイルモータやリニアモータが用いられるが、さらにトラッキング性能を向上させるために、種々の微動用アクチュエータ機構と組み合わせて使用することもできる。
【0013】
尚、本発明の装置に搭載される磁気ディスクは1枚に限られず、必要に応じて複数枚を搭載してもよい。また、磁気ヘッドも同様に、磁気ディスクの枚数に応じて必要な数量を搭載することが可能である。また、磁気ディスクは、回転支持体に常に固定されている必要はなく、例えば、装置と着脱可能な可換ディスクであってもよい。
【0014】
本発明の磁気ディスクには、トラッキング用サーボ信号、アドレス情報信号、クロック信号といったプリフォーマット情報信号に対応する磁化ビットパターンが予め記録されている。この磁化ビットパターンは、基体の表面にプリフォーマット情報信号に対応する凹凸形状が形成され、凹凸形状の少なくとも凸部表面が強磁性材料によって構成されたマスター情報担体の表面を、磁気ディスクの表面に接触させることにより記録される。専用のサーボトラック記録装置を用いてドライブ内に組み込まれた固有の磁気ヘッドによってプリフォーマット情報信号を記録する従来の方法は、本発明の磁気記録再生装置においては用いることができない。
【0015】
以下、本発明の構成においてプリフォーマット記録を行う手段として用いられる、上記のマスター情報担体を用いた静的な一括面記録技術について、その概略を説明する。
【0016】
図10に、プリフォーマット記録技術に用いられるマスター情報担体表面の一構成例を示す。図10は、例えばディスク状磁気記録媒体(磁気ディスク)の周方向(すなわち、トラック長さ方向)において一定角度ごとに設けられるプリフォーマット領域に記録されるマスター情報パターンを、磁気ディスクの径方向(すなわち、トラック幅方向)に10トラック分のみ示したものである。尚、参考のために、マスター情報パターンが磁気ディスクに記録された後、磁気ディスク上でデータ領域となる記録トラック部分を破線で示した。実際のマスター情報担体の表面には、マスター情報パターンが記録される磁気ディスクの記録領域に対応して、磁気ディスクの周方向において一定角度ごとに、かつ磁気ディスクの径方向には全記録トラック分、図5に示すようなマスター情報パターンが形成されている。
【0017】
マスター情報パターンは、例えば図10に示すように、クロック信号、トラッキング用サーボ信号、アドレス情報信号等の各々の領域がトラック長さ方向に順次配列されて構成されている。本発明のマスター情報担体におけるマスター情報パターンは、情報パターンに対応する表面凹凸形状によって形成されている。例えば図10においては、ハッチングを施した部分が凸部となっており、その表面は強磁性材料によって構成されている。
【0018】
図10に示すような情報信号に対応する微細な凹凸形状パターンは、例えば光ディスク成形用マスタースタンパの形成プロセスや半導体プロセス等において用いられる様々な微細加工技術を用いて形成することができる。
【0019】
図11に、図10の一点鎖線A−A’におけるマスター情報担体のトラック長さ方向の断面を示す。
【0020】
図11に示す構成においては、まず、平面状の基体11の表面に強磁性薄膜12を堆積し、その表面に塗布したレジスト膜を露光、現像してディジタル情報信号に対応する凹凸形状をパターニングした後、イオンミリング等のドライエッチング技術によって強磁性薄膜12に微細な凹凸形状パターンを形成した。この場合、凹部のエッチング深さを基体11内にまで至らせ、凸部表面のみに強磁性薄膜12を残留させているが、エッチング深さを強磁性薄膜12の膜厚以下にとどめ、凹部、凸部ともに強磁性薄膜12を残留させた構成としてもよい。
【0021】
図10及び図11に示すマスター情報担体を用いた磁気ディスク等の磁気記録媒体へのプリフォーマット記録は、次のようにして行われる。すなわち、マスター情報担体の凹凸表面を磁気記録媒体の表面に接触させ、例えば面内磁気記録ディスク媒体の場合には、ディスクの面内方向に直流励磁磁界を印加してマスター情報担体の凸部の強磁性薄膜12を磁化し、凹凸形状パターンに応じたプリフォーマット情報信号を記録する。この場合、プリフォーマット情報信号を記録する前に、磁気ディスクを予め一様に直流消去しておくことにより、飽和記録に近い十分な記録を容易に行うことができる。
【0022】
上記したプリフォーマット記録方法は、専用のサーボ記録装置を用いた従来の方法に比べて、プリフォーマット記録に要する時間が非常に短く、かつ安価である。また、記録されたトラック端部の磁化遷移が急峻性に優れ、より正確なトラッキングが可能となる。
【0023】
図10に示す構成においては、プリフォーマット情報信号に対応するマスター情報担体の凹凸形状パターンの磁気ディスクの径方向における凸部の幅が磁気ヘッドの記録トラック幅と同一となるように設計されている。従って、図10に示すマスター情報担体を用いて磁気ディスクにプリフォーマット記録を行う場合、記録される磁化ビットパターンの磁気ディスクの径方向における記録幅は、磁気ヘッドの記録トラック幅と同一になる。このように、図10に示す構成のマスター情報担体を用いて磁気ディスクに記録される磁化ビットパターンと、従来の専用のサーボトラック記録装置を用いてドライブ内に組み込まれた磁気ヘッドによって磁気ディスクに記録される磁化ビットパターンとは基本的に同様の形状パターンとなる。
【0024】
一方、上記したマスター情報担体を用いたプリフォーマット記録技術においては、従来の専用のサーボトラック記録装置を用いてドライブ内に組み込まれた磁気ヘッドによってプリフォーマット情報信号を記録する従来の方法では実現し得なかった磁化ビットパターンを記録することが可能となる。すなわち、上記したマスター情報担体を用いたプリフォーマット技術においては、マスター情報担体表面の凹凸形状パターンが、プリフォーマット記録される信号の磁気ディスク上における磁化ビットパターンにほぼ対応する。このため、従来のサーボトラック記録装置を用いたプリフォーマット記録のようにプリフォーマット記録される信号の磁化パターンが制約を受けることはなく、マスター情報担体の表面の凹凸形状を任意に考案して形成することにより、プリフォーマット記録される信号の磁化パターンをも任意に設計することが可能となる。これにより、トラッキング用サーボ信号、アドレス情報信号、クロック信号といった用途に応じて、目的性能を最大限に発揮させることが可能な好ましい磁化パターンをプリフォーマット記録することができる。
【0025】
以下に、プリフォーマットされる信号の用途に応じて考案された本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
[第1の実施の形態]
図1及び図2に、本発明の第1の実施の形態における磁気記録再生装置に搭載される磁気ディスク上に予めプリフォーマット記録された信号の磁化パターンの構成例を示す。
【0027】
図1及び図2に示す磁化パターンは、同様のパターンが表面の凹凸形状によって形成され、凹凸形状の少なくとも凸部表面が強磁性材料によって構成されたマスター情報担体を、磁気ディスクの表面に接触させることにより記録される。
【0028】
一方、図3には、専用のサーボトラック記録装置を用いてドライブ内に組み込まれた固有の磁気ヘッドによって磁気ディスク上にプリフォーマット記録された従来の磁化パターンの構成例を、図1及び図2に対応させて示した。
【0029】
図1〜図3は、例えば磁気ディスクの周方向(すなわち、トラック長さ方向)において一定角度ごとに設けられるプリフォーマット領域に記録される各種のプリフォーマット信号のうち、トラッキング用サーボ信号、同期をとるためのクロック信号及びアンプゲインコントロールのための基準信号となるシンクロナス信号の磁化パターンの構成例を、磁気ディスクの径方向(すなわち、トラック幅方向)に5トラック分のみ示したものである。尚、参考のために、装置に搭載される磁気ヘッド1の記録トラックに相当する部分を破線で示した。
【0030】
図3に示す従来例では、ドライブ内に組み込まれた固有の磁気ヘッドによってプリフォーマット信号が記録されるため、その記録トラック幅をプリフォーマット記録する信号の種類によって任意に変化させることはできない。従って、記録されたトラッキング用サーボ信号、クロック信号及びシンクロナス信号の記録幅はすべて同じである。また、磁気ヘッド1の記録トラック幅5は、通常、トラックピッチ4よりも狭く設定されているため、隣接する記録トラックとの間には一定の幅を有するガードバンド6が設けられている。
【0031】
図3に示すような従来例では、クロック信号及びシンクロナス信号を再生する磁気ヘッド1が本来走査すべき記録トラックをわずかに外れてガードバンド6を含む領域を走査した場合、再生信号振幅の低下が生じる。クロック信号及びシンクロナス信号は、記録再生系を制御するための基準信号となるものであるから、このような再生信号振幅の低下が生じるのは好ましくない。従って、本来、クロック信号及びシンクロナス信号のプリフォーマット記録領域においては、ガードバンド6の幅を極力小さくする方が好ましいが、従来技術においては、これを実現することはできなかった。
【0032】
一方、本発明の構成の場合には、従来技術のようにプリフォーマット記録される信号の磁化パターンが制約を受けることはないので、クロック信号及びシンクロナス信号のプリフォーマット記録領域において、ガードバンド6の幅を極力小さくすることが可能である。
【0033】
図1に示す本発明の構成においては、図に示された各種のプリフォーマット信号のうち、クロック信号及びシンクロナス信号の磁気ディスクの径方向(すなわち、トラック幅方向)における記録幅が、磁気ヘッド1の記録トラック幅5よりも大きく設定されている。このような構成を採用することにより、同領域におけるガードバンド6の幅を極力小さくすることができるので、磁気ヘッド1が本来走査すべき記録トラックをわずかに外れて走査した場合でも、再生信号振幅の低下を抑制することができる。
【0034】
一方、図2に示す本発明の構成においては、図に示された各種のプリフォーマット信号のうち、クロック信号及びシンクロナス信号の記録領域が、磁気ディスクの径方向において複数の記録トラックを連続的に横断するようにされている。このような構成の場合、クロック信号及びシンクロナス信号の記録領域にガードバンド6は存在しない。従って、磁気ヘッド1が本来走査すべき記録トラックをわずかに外れて走査した場合の再生信号振幅の低下をほとんど皆無とすることが可能となり、図1の構成よりもさらに好ましい。但し、磁気ディスクの周方向(すなわち、トラック長さ方向)の信号ビット長に比べて径方向の記録幅が大きくなりすぎ、記録ビット形状に伴う反磁界の影響のために、十分な記録信号強度が得られない場合があるので、記録信号パターンに応じて適切な構成を選択するのが好ましい。
【0035】
尚、図1及び図2に示す構成においては、トラッキング用サーボ信号の磁気ディスクの径方向における記録幅が、磁気ヘッド1の記録トラック幅5と同じ幅に設定されているが、必ずしもこの構成に限定されるものではなく、トラッキング用サーボ信号領域においても、その記録幅が磁気ヘッド1の記録トラック幅5よりも大きい構成としてもよい。
【0036】
また、図2の構成においては、クロック信号及びシンクロナス信号の記録領域が、磁気ディスクの径方向におけるすべての記録トラックを連続的に横断する構成としてもよいし、磁気ディスクの径方向において一定の領域に分断し、その領域の記録トラックのみを連続的に横断する構成としてもよい。後者の場合には、分断された領域間にのみガードバンド6が生じることになるが、図3に示す従来例に比べるとその影響は十分に小さく、本発明の効果を十分に発揮することができる。また、後者の構成は、上記した反磁界の影響を低減することができるという観点からも有効である。
【0037】
[第2の実施の形態]
図4に、本発明の第2の実施の形態における磁気記録再生装置に搭載される磁気ディスク上に予めプリフォーマット記録された信号の磁化パターンの構成例を示す。
【0038】
図4に示す磁化パターンは、同様のパターンが表面の凹凸形状によって形成され、凹凸形状の少なくとも凸部表面が強磁性材料によって構成されたマスター情報担体を、磁気ディスクの表面に接触させることにより記録される。
【0039】
一方、図5には、例えば図10に示すような磁気ディスクの径方向における凸部の幅が磁気ヘッド1の記録トラック幅5と同一となるように設計されたマスター情報担体を用いて磁気ディスク上にプリフォーマット記録された磁化パターンの構成例を、図4に対応させて示した。
【0040】
図4及び図5は、例えば磁気ディスクの周方向(すなわち、トラック長さ方向)において一定角度ごとに設けられるプリフォーマット領域に記録される各種のプリフォーマット信号のうち、トラッキング用サーボ信号、クロック信号及びアドレス情報信号の磁化パターンの構成例を、磁気ディスクの径方向(すなわち、トラック幅方向)に4トラック分のみ示したものである。尚、参考のために、装置に搭載される磁気ヘッド1の記録トラックに相当する部分を破線で示した。
【0041】
図5に示す構成例においては、プリフォーマット信号の記録幅が磁気ヘッド1の記録トラック幅5と同一に設定されている。従って、プリフォーマット記録されたトラッキング用サーボ信号、クロック信号及びアドレス情報信号の記録幅はすべて同じである。また、専用のサーボトラック記録装置を用いてドライブ内に組み込まれた固有の磁気ヘッドによってプリフォーマット信号を記録する場合と同様に、隣接する記録トラックとの間に設けられるガードバンド6の幅も、すべての信号領域において同じである。
【0042】
プリフォーマット信号のうち、アドレス情報信号は、磁気ディスクの面上の位置を、磁気ディスクの径方向におけるトラック番号や磁気ディスクの周方向におけるセクタ番号によって示すものである。従って、磁気ディスクのアドレス情報信号記録部分には、トラッキング用サーボ信号やシンクロナス信号といった他のプリフォーマット信号のような単純な繰り返し周期信号とは異なり、複雑なビットパターンが記録されることになる。図5に示す構成例においては、このような複雑なビットパターンを記録した場合、隣接トラック間のビットが干渉を受け、ガードバンド6を介して記録磁化が複雑に揺らいだ磁化干渉領域7が生じてしまう。このような隣接ビットとの磁化干渉領域7は、再生時においてノイズを生じさせ、アドレス検出エラーやシーク速度低下の原因となり、好ましくない。このような隣接ビットとの磁化干渉領域7が生じる現象は、専用のサーボトラック記録装置を用いてドライブ内に組み込まれた固有の磁気ヘッドによってプリフォーマット信号を記録する従来のプリフォーマット記録方法においても同様に認められ、磁気記録再生装置の高トラック密度記録化を今後さらに進める上で、深刻な問題となっている。
【0043】
上記のような隣接ビットとの干渉を低減するためには、アドレス情報信号のプリフォーマット記録領域においてガードバンド6の幅を極力大きくするのが好ましい。一方、上記したように、クロック信号やシンクロナス信号のプリフォーマット記録領域においては、ガードバンド6の幅を大きくするのは好ましくない。つまり、磁気ヘッド1の記録トラック幅5及びガードバンド6の幅を任意に変化させることができない従来のプリフォーマット記録方法においては、両者はトレードオフの関係になっていた。
【0044】
一方、本発明の構成の場合には、従来技術のようにプリフォーマット記録される信号の磁化パターンが制約を受けることはないので、アドレス情報信号、クロック信号及びシンクロナス信号等の各々のプリフォーマット記録領域において、ガードバンド6の幅を個々に最適に設定することが可能である。
【0045】
図4に示す本発明の構成においては、図に示された各種のプリフォーマット信号のうち、クロック信号の磁気ディスクの径方向(すなわち、トラック幅方向)における記録幅が、磁気ヘッド1の記録トラック幅5よりも大きく設定され、かつ、アドレス情報信号の磁気ディスクの径方向における記録幅が、磁気ヘッド1の記録トラック幅5よりも小さく設定されている。このような構成を採用することにより、クロック信号領域におけるガードバンド6の幅を極力小さくすることができると共に、アドレス情報信号領域におけるガードバンド6の幅を極力大きくすることができる。すなわち、クロック信号領域においては、磁気ヘッド1が本来走査すべき記録トラックをわずかに外れて走査した場合でも、再生信号振幅の低下を抑制することができる。一方、アドレス情報信号領域においては、図5に示すような隣接ビットとの磁化干渉領域7が生じることはない。
【0046】
この場合、アドレス情報信号領域における磁化ビットパターンの記録幅を小さくしすぎると、同信号の再生出力振幅が小さくなってしまうことがあるので、留意する必要がある。しかし、近年の磁気記録再生装置に搭載されている誘導型記録素子と磁気抵抗型再生素子とを有するデュアルエレメント型磁気ヘッドにおいては、記録素子部の記録トラック幅がトラックピッチに比べて小さく、再生素子部の再生トラック幅が記録トラック幅よりもさらに小さい構成となっている。このため、上記した本発明の効果が十分に得られる範囲において、アドレス情報信号領域における磁化ビットパターンの記録幅を適度に小さくしても、同信号の再生出力振幅が極端に減少することはない。むしろ、上記した磁化干渉領域7に起因して生じるするノイズを低減することにより、高い再生S/N比を得ることが可能となる。
【0047】
尚、図4に示す構成においては、クロック信号の記録領域が、図2に示す構成と同様に、磁気ディスクの径方向における複数の記録トラックを連続的に横断する構成としてもよい。
【0048】
また、図4に示す構成においては、トラッキング用サーボ信号の磁気ディスクの径方向における記録幅が、磁気ヘッド1の記録トラック幅5と同じ幅に設定されているが、必ずしもこの構成に限定されるものではなく、トラッキング用サーボ信号領域においても、その記録幅が磁気ヘッド1の記録トラック幅5よりも大きい構成としてもよい。
【0049】
[第3の実施の形態]
図6及び図7に、本発明の第3の実施の形態における磁気記録再生装置に搭載される磁気ディスク上に予めプリフォーマット記録された信号の磁化パターンの構成例を示す。
【0050】
図6及び図7に示す磁化パターンは、同様のパターンが表面の凹凸形状によって形成され、凹凸形状の少なくとも凸部表面が強磁性材料によって構成されたマスター情報担体を、磁気ディスクの表面に接触させることにより記録される。
【0051】
一方、図8には、専用のサーボトラック記録装置を用いてドライブ内に組み込まれた固有の磁気ヘッドによって磁気ディスク上にプリフォーマット記録された従来の磁化パターンの構成例を、図6及び図7に対応させて示した。
【0052】
図6〜図8は、例えば磁気ディスクの周方向(すなわち、トラック長さ方向)において一定角度ごとに設けられるプリフォーマット領域に記録される各種のプリフォーマット信号のうち、クロック信号及びトラッキング用サーボ信号の磁化パターンの構成例を、磁気ディスクの径方向(すなわち、トラック幅方向)に4トラック分のみ示したものである。尚、参考のために、磁気ディスク上でトラックピッチ4に相当する部分を破線で示すと共に、図示された4つのトラックには便宜上のトラック番号1〜4を付して、記録トラックの位置を明確に示した。
【0053】
現在のトラッキングサーボ技術は、一般に、複数の隣接するトラック及びトラック間に記録されたトラッキング用サーボ信号からの再生信号振幅に基づいて、予め決められたトラック中心線からの磁気ヘッド1の磁気ディスクの径方向への変位を検出して、磁気ヘッド1の磁気ディスクの径方向への変位を制御するものである。例えば、図1〜図5、及び図10に示すようなトラッキング用サーボ信号パターンは、上記のような再生信号振幅に基づいて磁気ヘッド1の磁気ディスクの径方向への変位を制御するトラッキングサーボ技術において用いられるものである。しかし、この技術には、トラック密度が増すにしたがって位置信号の検出回路の周波数帯域が高くなり、また、ノイズの影響がトラッキング精度に影響を及ぼすという問題点があった。
【0054】
これに対する解決策として、特開昭60−10472号公報においては、再生信号の位相検出に基づくトラッキングサーボ技術が開示されている。図8に、同公報に開示された位相検出に基づくトラッキングサーボ技術において用いられているトラッキング用サーボ信号の磁化パターンの構成例を示す。同公報に開示されたトラッキングサーボ技術では、例えば図8に示すように、磁気ディスク上に半トラックごとに一定の位相変化を生じる磁化ビットパターンが記録される。このようなトラッキング用サーボ信号を、磁気ディスクの径方向においてトラックピッチの半分よりも大きい再生トラック幅を有する磁気ヘッド1を用いて再生すると、磁気ヘッド1は磁気ディスクの径方向への自己の変位に対応した再生信号の位相変化に出会う。同技術によれば、このような再生信号の位相変化を検出することにより、磁気ヘッド1の磁気ディスクの径方向への変位を検出して、磁気ヘッド1が目的の記録トラック上を正確に走査するようにトラッキングを行うことが可能である。
【0055】
上記した再生信号の位相検出に基づくトラッキングサーボ技術の効果を最大限に発揮させるためには、再生されたサーボ信号の位相変化が、磁気ヘッド1の磁気ディスクの径方向への変位と共に連続的かつ直線的に変化するのが好ましい。この観点から、磁気ディスクに記録されるトラッキング用サーボ信号の磁化パターンは、本来、図8に示すような半トラックごとに一定の位相変化を生じるパターンではなく、単一のトラック内及び隣接トラック間との関連において、連続的かつ直線的に位相変化を生じるものであるのが好ましい。
【0056】
しかし、専用のサーボトラック記録装置を用いてプリフォーマット記録を行う従来の方法においては、ドライブ内に組み込まれた固有の磁気ヘッドによってプリフォーマット信号を記録するという構成の制約上、位相検出に基づくトラッキングサーボ技術において本来好ましいと考えられる連続的かつ直線的に位相変化を生じる磁化パターンをプリフォーマット記録することはできない。このため、図8に示すように、段階的に位相変化を生じる磁化パターンを記録することにより、磁気ヘッド1の変位に伴う位相変化を近似的に生じさせる構成とせざるを得ない。
【0057】
図8に示すような段階的に位相変化を生じる磁化パターンを用いる場合には、再生信号の位相検出に基づくトラッキングサーボ技術が本来有する優れたトラッキング精度を十分に発揮させることはできない。また、図8に示す磁化パターンを記録するためには、装置に搭載される磁気ヘッド1の記録トラック幅をトラックピッチ4の半分程度以下とする必要がある。この磁気ヘッド1は、通常のデータ信号を記録する際にも用いられるので、データ信号の記録トラック幅がトラックピッチ4の半分程度以下となり、同信号の再生出力振幅を必要以上に低下させることになる。さらに、専用のサーボトラック記録装置を用いてプリフォーマット記録を行う従来の方法においては、1つのトラック当たりに2段階のビットパターンを記録することになるため、プリフォーマット記録に要する時間が非常に長くなると共に、記録信号の位相制御や外部アクチュエータによる磁気ヘッド1の位置制御が極めて困難になる。
【0058】
以上のような背景から、再生信号の位相検出に基づくトラッキングサーボ技術の提案から10年余りを経過してなお、磁気記録再生装置では、再生信号の振幅検出に基づくトラッキングサーボ技術が主流となっている。
【0059】
一方、本発明の構成の場合には、従来技術のようにプリフォーマット記録される信号の磁化パターンが制約を受けることはないので、再生信号の位相検出に基づくサーボトラッキング技術に本来適した連続的かつ直線的に位相変化を生じる磁化パターンを記録することが可能である。
【0060】
図6及び図7に示す本発明の構成においては、磁気ディスクに記録された各種のプリフォーマット信号のうち、トラッキング用サーボ信号に対応するビットパターンにおいて、ビット間の磁化遷移領域が磁気ヘッド1の再生ギャップ8との間に傾斜角10を有している。ここで、ビット間の磁化遷移領域とは、磁気ディスクの周方向において逆の磁化極性を有する隣接ビット間の境界部分のことである。図6及び図7においては、ハッチングを施した部分のビットとハッチングを施していない部分のビットとの境界線(例えば、aで示す部分)が磁化遷移領域となる。この領域は、ハッチングを施した部分の磁化の極性2とハッチングを施していない部分の磁化の極性3が互いに反対に突き合う部分である。実際には、有限の狭い領域において磁化の極性2が反対極性3に徐々に遷移している部分であるので、磁化遷移領域と呼ばれる。
【0061】
図6及び図7に示すようなトラッキング用サーボ信号を、磁気ディスクの径方向とほぼ平行な再生ギャップ方向9を有する磁気ヘッド1を用いて再生すると、磁気ヘッド1は磁気ディスクの径方向への自己の変位に対応した再生信号の位相変化に出会う。従って、本発明の磁気記録再生装置によれば、このような再生信号の位相変化を検出することにより、磁気ヘッド1の磁気ディスクの径方向への変位を検出して、磁気ヘッド1が目的の記録トラック上を正確に走査するようにトラッキングを行うことが可能となる。
【0062】
図8に示す従来の構成とは異なり、図6及び図7に示す構成においては、磁気ヘッド1は磁気ディスクの径方向への自己の変位に対応して、真に連続的かつ直線的な再生信号の位相変化を検出することができる。これにより、再生信号の位相検出に基づくサーボトラッキング技術が本来有する優れたトラッキング精度を発揮させることが可能となる。また、本発明の構成は、上記したように、マスター情報担体を用いてプリフォーマット信号を一括面記録するものであるため、専用のサーボトラック記録装置を用いてプリフォーマット記録を行う図8の構成で問題となっている様々な課題を解決することもできる。従って、本発明の構成を備えた磁気記録再生装置は、従来の磁気記録再生装置に比べて非常に安価なものとなる。
【0063】
本発明の構成においては、図6に示すように、クロック信号及びトラッキング用サーボ信号の記録領域が各隣接トラックごとにガードバンドを介して分割された構成としてもよいし、図7に示すように、クロック信号及びトラッキング用サーボ信号の記録領域が磁気ディスクの径方向における複数の記録トラックを連続的に横断する構成としてもよい。前者の場合には、図6に示すように、ガードバンドの幅を極力小さくし、磁気ディスクの径方向におけるクロック信号及びトラッキング用サーボ信号の記録幅が、再生ヘッドの再生トラック幅もしくは記録ヘッドの記録トラック幅よりも大きい構成とする方が好ましい。
【0064】
上記したようなビット間の磁化遷移領域が磁気ヘッド1の再生ギャップ8との間に傾斜角10を有する本発明の構成は、トラッキング用サーボ信号だけではなく、多様な信号に適用可能である。すなわち、クロック信号、アドレス情報信号及びシンクロナス信号といった他のプリフォーマット信号を記録する場合においても、ビット間の磁化遷移領域が磁気ヘッド1の再生ギャップ8との間に傾斜角を有する本発明の構成を応用することにより、各々の信号の用途に応じた最適な磁化ビットパターンを考案し、目的性能を向上させることが可能となる。この場合、信号の用途と磁化パターンに応じて、図4に示すアドレス情報信号の構成例と同様に、信号の磁気ディスクの径方向における記録幅が磁気ヘッド1の記録トラック幅5よりも小さい構成を併用してもよい。
【0065】
[第4の実施の形態]
図9に、本発明の第4の実施の形態における磁気記録再生装置に搭載される磁気ディスク上に予めプリフォーマット記録された信号の磁化パターンの構成例を示す。
【0066】
図9に示す磁化パターンの形状は、基本的には図2に示す磁化パターンの形状と同様である。しかし、図2に示す構成では、プリフォーマット情報に対応する磁化ビットが磁気ディスクの周方向に磁化されているのに対して、図9に示す構成では、プリフォーマット情報に対応する磁化ビットが磁気ディスクの径方向に略平行に磁化されている。すなわち、図2に示す構成では、ハッチングを施した部分の磁化の極性2とハッチングを施していない部分の磁化の極性3が、磁気ディスクの周方向において互いに逆極性となるが、図9に示す構成では、ハッチングを施した部分の磁化の極性2とハッチングを施していない部分の磁化の極性3が、磁気ディスクの径方向において互いに逆極性となる。
【0067】
図2及び図9に示す磁化パターンは、いずれも同様のパターンが表面の凹凸形状によって形成され、凹凸形状の少なくとも凸部表面が強磁性材料によって構成されたマスター情報担体を、磁気ディスクの表面に接触させることにより記録される。但し、図2に示す磁化パターンを記録する場合には、凸部を構成する強磁性材料が磁気ディスクの周方向に磁化されたマスター情報担体が用いられ、図9に示す磁化パターンを記録する場合には、凸部を構成する強磁性材料が磁気ディスクの径方向に磁化されたマスター情報担体が用いられる。
【0068】
図9に示す構成は、磁気ディスクの周方向の信号ビット長に比べて径方向の記録幅が大きい場合にも、十分な記録信号強度が得られ易い等といった利点を有する。上記第1の実施の形態において図2を参照しながら説明したように、磁気ディスクの周方向の信号ビット長が小さく、これに比べて径方向の記録幅が大きい場合には、記録ビット形状に伴う反磁界の影響のために減磁損失が生じ、十分な記録信号強度が得られない場合がある。一方、図9に示す構成においては、同じ記録ビット形状であっても、反磁界による減磁損失を生じ難い方向に磁化が残留するため、上記損失を生じることなく十分な記録信号強度を容易に得ることができる。このように、本発明の構成においては、プリフォーマット情報信号パターンに応じて適切な記録磁化方向を設定することも可能である。
【0069】
尚、図9に示す構成を有する本発明の磁気記録再生装置に搭載される磁気ヘッド1においては、磁気ディスクの径方向に記録された磁化の極性変化を検出することができるように、適切なギャップ構成を具備することが必要となる。
【0070】
以上、4つの実施の形態を挙げて本発明を説明してきたが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、他の様々な実施の形態にも適用可能である。
【0071】
例えば、上記実施の形態においては、磁気記録再生装置としてハードディスクドライブに主眼をおいて説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ディスク可換性を有するフレキシブル磁気ディスク装置等の磁気記録再生装置に適用することも可能であり、この場合にも、上記と同様の効果が得られる。
【0072】
また、上記実施の形態においては、磁気記録媒体として面内磁気記録ディスクを用いる装置に主眼をおいて説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、垂直磁気記録ディスクを用いる装置に適用することも可能であり、この場合にも上記と同様の効果が得られる。
【0073】
また、上記実施の形態においては、磁気ディスクに記録される情報信号としてトラッキング用サーボ信号やアドレス情報信号、クロック信号、シンクロナス信号等のプリフォーマット情報信号に主眼をおいて説明してきたが、本発明において応用可能な情報信号も、これらの信号に限定されるものではない。例えば、本発明の構成を適用することにより、様々なデータ信号やオーディオ、ビデオ信号等が予め一括面記録された磁気記録再生装置を実現し、安価に提供することも原理的に可能である。この場合、プリフォーマット記録を行う場合にも増して、各信号用途に応じて適切な記録磁化パターンを考案し、目的性能の向上を図る余地が大きくなる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、磁気記録再生装置のプリフォーマット記録において、各信号用途に応じて目的性能を最大限に発揮させることができるように最適設計された磁化パターンを実現することが可能である。従って、トラッキング性能、シーク性能、信頼性等の目的性能に優れた磁気記録再生装置を、従来よりも安価に提供することが可能となる。また、本発明によれば、磁気記録再生装置のさらなる高トラック密度化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における磁気記録再生装置に搭載される磁気ディスク上に予めプリフォーマット記録された信号の磁化パターンの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における磁気記録再生装置に搭載される磁気ディスク上に予めプリフォーマット記録された信号の磁化パターンの他の構成例を示す図である。
【図3】専用のサーボトラック記録装置を用いてドライブ内に組み込まれた固有の磁気ヘッドによって磁気ディスク上にプリフォーマット記録された従来の磁化パターンの構成例を、図1及び図2に対応させて示した図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態における磁気記録再生装置に搭載される磁気ディスク上に予めプリフォーマット記録された信号の磁化パターンの構成例を示す図である。
【図5】磁気ディスクの径方向における凸部の幅が磁気ヘッドの記録トラック幅と同一となるように設計されたマスター情報担体を用いて磁気ディスク上にプリフォーマット記録された磁化パターンの構成例を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態における磁気記録再生装置に搭載される磁気ディスク上に予めプリフォーマット記録された信号の磁化パターンの構成例を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態における磁気記録再生装置に搭載される磁気ディスク上に予めプリフォーマット記録された信号の磁化パターンの他の構成例を示す図である。
【図8】専用のサーボトラック記録装置を用いてドライブ内に組み込まれた固有の磁気ヘッドによって磁気ディスク上にプリフォーマット記録された従来の磁化パターンの構成例を、図6及び図7に対応させて示した図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態における磁気記録再生装置に搭載される磁気ディスク上に予めプリフォーマット記録された信号の磁化パターンの構成例を示す図である。
【図10】プリフォーマット記録技術に用いられるマスター情報担体表面の一構成例を示す図である。
【図11】図10の一点鎖線A−A’におけるマスター情報担体のトラック長さ方向の断面図である。
【符号の説明】
1 磁気ヘッド
2 ハッチングを施した部分の磁化の極性
3 ハッチングを施していない部分の磁化の極性
4 トラックピッチ
5 磁気ヘッドの記録トラック幅
6 ガードバンド
7 隣接ビットとの磁化干渉領域
8 磁気ヘッドの再生ギャップ
9 再生ギャップの方向
10 傾斜角
11 基体
12 強磁性薄膜

Claims (1)

  1. プリフォーマット情報信号に対応する強磁性材料の形状パターンを有するマスター情報担体の表面に磁気ディスクを接触させることにより、前記プリフォーマット情報信号に対応する磁化ビットパターンが予め記録された磁気ディスクを搭載する磁気記録再生装置の製造方法であって、
    前記予め記録されたプリフォーマット情報信号に対応する磁化ビットパターンのうち、アドレス情報信号に対応する部分の前記磁気ディスクの径方向における記録幅が、磁気記録再生装置に搭載される磁気ヘッドによる前記磁気ディスクの径方向における記録トラック幅よりも小さくなるよう構成することを特徴とする磁気記録再生装置の製造方法。
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