JP3699377B2 - 脱穀選別装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はコンバインなどの脱穀部に用いられる揺動選別盤など脱穀選別装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、特開平3−191715号公報に示す如く、金属製の支持フレームによって左右側壁を連結して揺動選別盤を形成する技術があるが、揺動選別盤の加工組立作業の簡略化及び製造コスト低減、構成部品数の削減及び軽量化などを容易に図り得ない等の問題がある。
【0003】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、扱胴下方に揺動選別盤を設置し、同揺動選別盤に設ける後方移送ラックをグレンシーブ前部に合成樹脂によって一体形成し、後方移送ラックに連結させるグレンシーブを揺動選の左右側壁に樹脂一体形成によって設けさせた脱穀機の選別装置において、揺動選別盤底面の左右支持アーム間に第1横リブを、またフィードパンと後方移送ラックとの間に形成される垂直壁面と支持アーム間に左右の縦サイドリブを突出形成すると共に、左右の縦サイドリブ間に平行な第2・第3・第4横リブを、また第1横リブと垂直壁面間に平行な第1・第2・第3中央縦リブをそれぞれ形成し、サイドリブより第1・第2・第3中央縦リブの高さを大に、また第1・第2・第3中央縦リブより前端側の第1・第2・第3横リブの高さを大に、さらに後端側の第4横リブを縦サイドリブの高さと略同一に形成したことを特徴とする脱穀選別装置を提供するものである。
【0004】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は揺動選別盤の成形加工状態の側面説明図、図2はコンバインの全体側面図、図3は同平面図であり、図中(1)は走行クローラ(2)を装設するトラックフレーム、(3)は前記トラックフレーム(1)上に架設する機台、(4)はフィードチェン(5)を左側に張架し扱胴(6)及び処理胴(7)を内蔵している脱穀部、(8)は刈刃(8a)及び穀稈搬送機構などを備える刈取部、(9)は前記脱穀部(4)の後側に取付けて、排藁チェン(10)及び排藁タイン(11)終端を臨ませる排藁処理部、(12)は運転席(13)及び運転操作部(14)を備える運転台、(15)は機台(3)の右側前部に配備してエンジン(16)を内設するエンジン部、(17)は前記エンジン部(15)後方に配設して脱穀部(4)からの穀粒を揚穀筒(18)を介し溜める穀粒タンクであり、連続的に刈取り・脱穀作業を行うように構成している。
【0005】
また、図4乃至図6に示す如く、図中(19)は機体の前後方向に軸架する軸流型の扱胴(6)を内設させる扱室、(20)は前記扱室(19)に穀稈を挿入する扱口、(21)は前記扱室(19)下方に張架させるクリンプ網、(22)は揺動リンク(23)及びガイドローラ(24)を介して前後方向に揺動自在に支持する揺動選別盤であり、前記クリンプ網(21)前部下方に位置させるフィードパン(25)と、前記クリンプ網(21)後部下方に位置させるチャフシーブ(26)と、該チャフシーブ(26)下方に配設するグレンシーブ(27)とで前記揺動選別盤(22)を構成すると共に、該揺動選別盤(22)の後方に上部及び下部篩い線(28)(29)を一体的に取付けている。
【0006】
さらに、図中(30)は前記選別盤(22)方向に選別風を送給する唐箕、(31)は揚穀筒(18)を介して前記穀粒タンク(17)に穀粒を取出す一番コンベア、(32)は二番物を還元筒(33)を介して前記揺動選別盤(22)前部に還元する二番コンベア、(34)は前記篩い線(28)上方で処理胴室後端の排塵口に対向させて脱穀左側壁に、吸引口(35)を臨ませる吸排塵ファンであり、前記扱胴(6)及び処理胴(7)により脱穀された穀粒を揺動選別盤(22)で選別し整粒のみを前記穀粒タンク(17)に取出すと共に、排藁を排藁チェン(10)及びタイン(11)を介し排藁カッタ(36)(37)を有する排藁処理部(9)に送り込んで切断後機外に排出させるように構成している。
【0007】
図7乃至図9に示す如く、前記選別盤(22)はポリプロピレンなど合成樹脂で上面及び後面を開放した凵形の受皿状に成形された樹脂一体成形品であり、フィードパン(25)と、フィードパン(25)後部に連設する後方移送ラック(38)と、グレンシーブ(27)と、左右側壁(39)(40)とを一体形成すると共に、前端底面に前記揺動リンク(23)に連結させる左右一対の支持アーム(41)を一体形成している。このように、少なくとも上面及び後面を開放した受皿状に成形された樹脂一体成形品によって揺動選別盤(22)を形成し、揺動選別盤(22)の成形加工の簡略化並びに製造コストの低減などを行い、かつ揺動選別盤(22)の構成部品数の削減並びに軽量化を行う。
【0008】
上記から明らかなように、扱胴(6)下方に揺動選別盤(22)を設置させる脱穀機の選別装置において、揺動選別盤(22)のグレンシーブ(27)及び左右側壁(39)(40)を合成樹脂で成形加工し、左右側壁(39)(40)間にグレンシーブ(27)を一体形成によって連結させて左右側壁(39)(40)間にグレンシーブ(27)を一体形成し、グレンシーブ(27)のための特別の固定部材を不要にして軽量化並びに加工組立の簡略化を行い、揺動選別盤(22)の製造コスト低減などを図ると共に、扱胴(6)下方に揺動選別盤(22)を設置させる脱穀機の選別装置において、揺動選別盤(22)に設ける後方移送ラック(38)をグレンシーブ(27)前部に合成樹脂形成によって一体形成し、後方移送ラック(38)に連結させるグレンシーブ(27)を揺動選別盤(22)の左右側壁(39)(40)に樹脂一体形成によって設け、揺動選別盤(22)の左右側壁(39)(40)間のグレンシーブ(27)前部構造の簡略化及び強度向上などを後方移送ラック(38)の一体形成によって行う。
【0009】
また、前記チャフシーブ(26)は、選別盤(22)の左右側壁(39)(40)間に断面が逆T字形の9枚のチャフシーブフィン(42)を前後方向に一定の間隔を設けて前低後高の傾斜姿勢にして横架させたもので、このフィン(42)と、このフィン(42)の左右端面に設ける左右フランジ(43)と、フランジ(43)の外側両端に設ける平行な二軸である回動支点軸(44)及び回動量規制軸(45)からチャフシーブ(26)は成り、前記フィン(42)もまた選別盤(22)と同様にポリプロピレンなど合成樹脂で一体成形加工したものである。
【0010】
さらに、前記選別盤(22)の左側壁(39)には、フィン(42)を左側方から抜差しするためのフィン出入口(46)を開設し、該出入口(46)を塞ぐ閉塞板(47)を左側壁(39)の外面にボルトで脱着自在に固着する一方、前記閉塞板(47)と右側壁(40)にはフィン(42)の9個の回動支点孔(48)と、この孔(48)を中心とする9個の円弧長孔(49)を形成して、前記閉塞板(47)と右側壁(40)間でフィン(42)両端の支点軸(44)及び規制軸(45)を支点孔(48)及び長孔(49)に嵌合させて、支点軸(44)を中心に長孔(49)の範囲内でフィン(42)の傾斜角を調節自在とするように構成している。
【0011】
またさらに、選別盤(22)の左右側壁(39)(40)と脱穀機筐の左右側壁(50)(51)との隙間を埋めるシール材(52)を設けると共に、このシール材(52)を取付けるためのシール溝(53)を選別盤(22)の左右側壁(39)(40)の上部外面に全長に亘って形成させるもので、左右側壁(39)(40)の上端外側に上下の突出縁(54)(55)を水平方向に突出させて断面コ形状に形成し、これら突出縁(54)(55)で囲まれる内側をシール溝(53)に形成すると共に、該シール溝(53)にシール材(52)を嵌入させ、シール溝(53)奥部の側壁(39)(40)に開設する円形嵌着孔(56)にシール材(52)の抜止め部(52a)を嵌着させ、リップ部(52b)先端を側壁(50)(51)内側面に摺接させて、選別盤(22)と側壁(50)(51)間の隙間よりの漏下を防止するように構成している。
【0012】
ところで、図1に示す如く、前記選別盤(22)を成形加工する成形用金型は上型(57)及び下型(58)と、前記シール溝(53)を成形するサイドコアと呼ばれる側型(59)とを用いたもので、側型(59)には前記シール溝(53)を形成するコア部(59a)を内側方向に突出形成して、上型(57)及び下型(58)及び左右側型(59)を合体させたとき内側に形成される隙間に溶融樹脂を充填させて選別盤(22)本体の成形加工を行うように構成している。
【0013】
そして成形加工後、前記側型(59)を最初に取外し、次に上型(57)及び下型(58)を分割することによって成形品である選別盤(22)の金型よりの取出しを行うもので、この際選別盤(22)左右両側の上部突出縁(54)の上面に一体形成する前後方向にそれぞれ5つのストッパピン部(54a)を上型(57)に食い込ませる状態とさせて、側型(59)を横方向に取外す場合にも、コア部(59)を包む突出縁(54)(55)を追従移動させることなくピン部(54a)によってその動きを規制して、適正形状を保持するように構成したものである。
【0014】
図7、図9に示す如く、選別盤(22)底面の左右支持アーム(41)(41)間に第1横リブ(60a)を、またフィードパン(25)と後方移送ラック(38)との間に形成される垂直壁面(61)と支持アーム(41)間に左右の縦サイドリブ(62)(62)を突出形成すると共に、左右の縦サイドリブ(62)(62)間に3本の平行な第2・第3・第4横リブ(60b)(60c)(60d)を、また第1横リブ(60a)と垂直壁面(61)間に3本の平行な第1・第2・第3中央縦リブ(63a)(63b)(63c)をそれぞれ形成し、サイドリブ(62)より第1・第2・第3中央縦リブ(63a)(63b)(63c)の高さを大に、また第1・第2・第3中央縦リブ(63a)(62b)(63c)より前端側3本の第1・第2・第3横リブ(60a)(60b)(60c)の高さを大に、さらに後端側の第4横リブ(60d)を縦サイドリブ(62)の高さと略同一に形成している。そしてリブ高さの高い第2・第3横リブ(60b)(63c)の略中央位置(a)(b)の2箇所にゲート(湯口)を設けると共に、これらのリブ(60a)〜(60d)(62)(63a)〜(63c)を多数とし、高さを大とさせることによって、樹脂を流しこむ時の流量を増大させて樹脂がすみずみまでいきわたることを助長させ成形をスムーズに行わしめるように構成している。(なお、成形時には図1とは上下逆に下型(58)を上とするため、第2横リブ(60b)と第3中央縦(63c)にゲートを設けるものである。)この結果選別盤(22)の成形品に、樹脂の途切れ箇所や一体溶融化しない非融合部分など発生するのが防止できて、強度及び耐久性を高めて品質を安定向上させることができるものである。
【0015】
また、各リブ(60a)〜(60d)(62)(63a)〜(63c)と、フィードパン(25)底面及び垂直壁面(61)との各コーナ部(R1)・(R2)(R3)を小さな円弧面や傾斜(全てのコーナにRをつける)に形成して、作業中これらコーナ部(R1)・(R2)(R3)にかかる応力の集中化を防止し、力の分散化を図って耐久性を向上させるように構成している。
【0016】
さらに図7、図11にも示す如く、前記グレンシーブ(27)は孔部(64)と孔部(64)との間の肉部(65)の高さ寸法(B)を巾寸法(A)より大(B>A)に形成して、成形時における湯回りを向上させると共に、強度及び選別性能も向上させるように構成している。
【0017】
図10に示す如く、前記フランジ(43)に全端面を連結させる支点軸(44)に対し、部分的に連結させる規制軸(45)側にリブ(66)を設けるもので、前記フィン(42)と規制軸(45)との間の連結コーナ部に三角形状のリブ(66)を設ける如く一体成形して、この部分での湯回りを向上させて、ひけ巣(収縮巣)などの発生を防止するように構成している。特にフィン(42)の長さ(L1)に対し支点軸(44)及び規制軸(45)の軸芯間の長さ(L2)が大(L2>L1)の場合にリブ(66)の設置を必要とする。また前記支点軸(44)及び規制軸(45)の先端形状を従来より傾斜(α)の緩やか(α≒30°)で長さ(C)の長いテーパ形状に形成して、組付作業での容易化を図るように設けたものである。
【0018】
図7、図11に示す如く、前記フィードパン(25)の後部に鉄板製のグレンパン(67)を別途取付けるもので、フィードパン(25)の後部を段差を有する高さの低いグレンパン取付部(25a)に形成して、該取付部(25a)にグレンパン(67)取付時にあってはフィードパン(25)とグレンパン(67)の上面が略面一に揃う状態とさせる一方、これらパン(25)(67)の継ぎ目となるフィードパン(25)の段差部(25b)前側をグレンパン(67)の厚み(e)より大とさせる段差寸法(f)に形成し、フィードパン(25)を段差部(25b)前側で緩やかに盛上げる状態とさせて、フィードパン(25)よりグレンパン(67)への被選別物のひっかかることのないスムーズな流下を促進させるように構成している。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、本発明では、揺動選別盤底面の左右支持アーム間に第1横リブを、またフィードパンと後方移送ラックとの間に形成される垂直壁面と支持アーム間に左右の縦サイドリブを突出形成すると共に、左右の縦サイドリブ間に平行な第2・第3・第4横リブを、また第1横リブと垂直壁面間に平行な第1・第2・第3中央縦リブをそれぞれ形成し、サイドリブより第1・第2・第3中央縦リブの高さを大に、また第1・第2・第3中央縦リブより前端側の第1・第2・第3横リブの高さを大に、さらに後端側の第4横リブを縦サイドリブの高さと略同一に形成している。
このようにして、揺動選別盤の成形品に、樹脂の途切れ箇所や一体溶融化しない非融合部分などが発生するのを防止することができて、強度及び耐久性を高めて品質を安定向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】揺動選別盤の成形加工状態を示す説明図。
【図2】コンバインの全体側面図。
【図3】コンバインの全体平面図。
【図4】脱穀部の断面説明図。
【図5】揺動選別盤の側面図。
【図6】揺動選別盤の断面説明図。
【図7】揺動選別盤の断面側面図。
【図8】揺動選別盤の平面説明図。
【図9】揺動選別盤の底面説明図。
【図10】揺動選別盤の部分説明図。
【図11】揺動選別盤の部分拡大図。
【符号の説明】
(6) 扱胴
(22) 揺動選別盤
(27) グレンシーブ
(38) 後方移送ラック
(39)(40) 側壁
Claims (1)
- 扱胴(6)下方に揺動選別盤(22)を設置し、同揺動選別盤(22)に設ける後方移送ラック(38)をグレンシーブ(27)前部に合成樹脂によって一体形成し、後方移送ラック(38)に連結させるグレンシーブ(27)を揺動選別盤(22)の左右側壁(39)(40)に樹脂一体形成によって設けさせた脱穀機の選別装置において、
揺動選別盤(22)底面の左右支持アーム(41)(41)間に第1横リブ(60a)を、またフィードパン(25)と後方移送ラック(38)との間に形成される垂直壁面(61)と支持アーム(41)間に左右の縦サイドリブ(62)(62)を突出形成すると共に、左右の縦サイドリブ(62)(62)間に平行な第2・第3・第4横リブ(60b)(60c)(60d)を、また第1横リブ(60a)と垂直壁面(61)間に平行な第1・第2・第3中央縦リブ(63a)(63b)(63c)をそれぞれ形成し、サイドリブ(62)より第1・第2・第3中央縦リブ(63a)(63b)(63c)の高さを大に、また第1・第2・第3中央縦リブ(63a)(62b)(63c)より前端側の第1・第2・第3横リブ(60a)(60b)(60c)の高さを大に、さらに後端側の第4横リブ(60d)を縦サイドリブ(62)の高さと略同一に形成したことを特徴とする脱穀選別装置。
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