JP3699201B2 - 写真乳剤 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は写真に関する。より詳細には、本発明は輻射線感性ハロゲン化銀写真乳剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
用語「平板状粒子」とは、平行な二つの主面を有し、アスペクト比が2以上であるハロゲン化銀粒子を意味する。
用語「平板状粒子乳剤」とは、全粒子投影面積の50%を上回る領域が平板状粒子によって占められている乳剤を意味する。
用語「平行主面」とは、平板状粒子の残るいずれの面よりも明らかに大きな平行な二つの面を意味する。
用語「アスペクト比」とは、平板状粒子の等価円直径(ECD)を平板状粒子の厚さ(t)で割った比率を意味する。
【0003】
用語「ECD」とは、ハロゲン化銀粒子の投影面積に等しい面積を有する円の直径を意味する。
二種以上のハロゲン化物を含有するハロゲン化銀粒子及び乳剤を称する場合、ハロゲン化物を濃度の昇順で命名する。
粒子や乳剤に対して使用する用語「高臭化物」とは、臭化物濃度が銀量を基準として70モル%以上であることを意味する。
【0004】
用語「低照度相反則不軌」は、本明細書では、露光量は同等であるがその露光時間が1/1000秒〜1秒の範囲で異なる場合に乳剤間に生じる写真スピードの変動を意味することとする。写真の相反則が成立する場合(すなわち、相反則不軌がまったくない場合)、写真乳剤の写真スピードは、I(露光強度)とti(露光時間)の各値に関係なくそれらの積が同じ値であれば一定になる。
元素の周期律表を参照する場合、American Chemical Societyによって採用されており、Chemical and Engineering Newsとして1985年2月4日に発行されているフォーマットを基準とする。
Research Disclosureは、Kenneth Mason Publications社(Dudley House,12 North St.,Emsworth,Hampshire PO10 7DQ,英国)の刊行物である。
【0005】
Kofronらの米国特許第4,439,520号明細書は現代の高性能ハロゲン化銀写真の時代の到来を告げるものである。Kofronらは、ECDが0.6μm以上であり且つ厚さが0.3μm未満の平板状粒子が8より高い平均アスペクト比を示し且つ全粒子投影面積の50%を上回る面積を占める化学及び分光増感された平板状粒子乳剤の顕著な写真的利点について開示、例示している。例示されている数多くの乳剤の中には、これらの数値パラメーターの一つ又は二つ以上が、記載されている要件をはるかに超えるものも多かった。Kofronらは、開示した化学及び分光増感済乳剤が、その各種形態の一つ又は二つ以上において、カラー写真及び白黒写真(間接放射線写真を含む)として有用であろうことを認識していた。白黒イメージング用途では、可視スペクトルの全領域及びより長波長側における分光増感が、オルソクロマチック及びパンクロマチック分光増感と同様に指向された。Kofronらは、一種又は二種以上の分光増感色素を中間カルコゲン(例、硫黄)及び/又は貴金属(例、金)による化学増感と組み合わせて使用しているが、さらに還元増感のような常用の増感についても開示している。その後、当該技術分野では、より小さい平均ECDとより小さい平均アスペクト比を有する顕著な平板状粒子が分類されている。
【0006】
カメラ用写真スピードを示す平板状粒子乳剤の大多数は、全銀量を基準として70モル%以上の臭化物を含有する。平板状粒子乳剤の写真スピード/粒状度の関係をさらに改良するために、少なくとも少量のヨウ化物を導入することが知られている。Kofronら、Wilgusら(米国特許第4,434,226号)及びSolbergら(米国特許第4,433,048号)は、ヨウ臭化銀平板状粒子乳剤の写真スピード/粒状度の関係について記載している。
Solbergら並びにPigginら(米国特許第5,061,609号及び同第5,061,616号)は、平板状粒子の主面を形成している厚さ35nm未満の薄層(laminae) 中により高濃度のヨウ化物が存在している高臭化物平板状粒子乳剤について記載している。Solbergらは、この構造が、粒状度を増大させることなく写真スピードを高めることに寄与しうることを例示している。Pigginらは、これらの薄層が、平板状粒子乳剤の局部加圧(例、キンキング(kinking) 又は曲げ)による写真応答の変動し易さを縮小しうることを示している。
【0007】
Johnsonら(米国特許第5,164,292号)は、低照度相反則不軌を縮小させるために平板状粒子乳剤にイリジウム系ドーパントを内蔵させたことに起因しうる写真スピードの低下を、セレンをドーパントとして内蔵させることによって埋め合わせられることを示している。平板状粒子がヨウ化物濃度の高い表面薄層を有する場合、これらのドーパントは低レベルの感圧性を維持することとの両立が可能である。
写真スピードを高める上での第8族金属(Fe、Ru、Os)の有用性については、Research Disclosure,Vol.365,1994年9月、Item 36544、セクションI.乳剤粒子及びその調製法、セクションD.粒子の変性条件及び調節、小パラグラフ(3)及び(4)並びにResearch Disclosure,Vol.367,1994年11月、Item 36736に記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
Johnsonらの乳剤は、粒状度が低く、低照度相反則不軌が少なく、しかも感圧性が低いという優れた組合せを示すが、イリジウムの内蔵に起因しうる写真スピードの低下を補償するのにセレンが有効であるとはいっても、実現可能な写真スピードの最高値に限界がある。さらに、知られているセレンの欠点を容認しなければ最高の写真スピードレベルを実現することはできない。具体的には、セレンは、ドーパントとして添加されるものであるが、大部分が粒子表面に位置するため、常用の表面化学増感剤と競争することになる。セレン自体には毒性がある。さらに、セレン系ドーパントは安定性に欠けるため、実際に乳剤へ添加するまでに特別な取扱いと周囲環境からの保護を必要とする。セレンは、カブリ量の増加を防止するため、その量と添加法に注意しなければならない。最後に、セレンは環境的に十分に許容されている物質ではなく、未使用セレン系ドーパント溶液の廃棄は厄介である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様は、(a)全粒子投影面積の50%以上を占め、(b)0.3μm未満の厚さを有し、(c)70モル%を上回る臭化物と0.25モル%以上のヨウ化物を含有し、(d){111}主面を有し、(e)前記{111}主面に隣接している薄層であって、各々、それらが付着している平板状粒子のホスト部分よりもヨウ化物含有量が1モル%以上高く、且つ35ナノメートル未満の厚さを有する薄層を含み、そして(f)低照度相反則不軌を縮小することができるイリジウム系ドーパントと写真スピード増加性ドーパントとを組み合わせて含有する平板状粒子を含む輻射線感性ハロゲン化銀粒子及び分散媒体を含む乳剤であって、
(g)前記写真スピード増加性ドーパントが、Fe+2、Ru+2及びOs+2の中から選ばれた第8族金属イオンとフッ化物イオンよりも高い電子求引性を示す少なくとも一種の配位子とを含み、
(h)前記第8族ドーパントが、前記平板状粒子のうち全銀量の最高で90%を占める内部領域に、20〜300モル部/百万部の濃度で存在し、そして
(i)前記イリジウム系ドーパントと前記第8族ドーパントの少なくとも20モル部/百万部とが、前記平板状粒子を形成している全銀量の10%以上を占める中間部分によって分離された前記平板状粒子の別々の部分に制限されていることを特徴とする乳剤に関する。
【0010】
平板状粒子の内部で粒子表面及びイリジウム系ドーパントに関して適切に配置されると、浅い電子捕捉部位(shallow electron trapping site)を提供するように選ばれた第8族金属の配位錯体は、セレンを使用することによって得られる場合よりも高い写真スピードを付与できることを発見した。セレンとは異なり、この第8族金属配位錯体は、ハロゲン化銀粒子の面心立方結晶格子構造の一部を形成し、移動性がない。このため、これらの配位錯体は粒子表面へ移行することがない。さらに、これらの配位錯体には上記のセレンの様々な欠点がない、或いは少ない。
本発明の乳剤は、カメラ用写真スピードを示す写真乳剤において従来より実現されている最高性能基準を満たし、またこれを上回ることができる。
【0011】
本発明の乳剤は、
(a)全粒子投影面積の50%以上を占め、
(b)0.3μm未満の厚さを有し、
(c)70モル%を上回る臭化物と0.25モル%以上のヨウ化物を含有し、
(d){111}主面を有し、そして
(e)前記{111}主面に隣接している薄層であって、各々、それらが付着している平板状粒子のホスト部分よりもヨウ化物含有量が1モル%以上高く、且つ35ナノメートル未満の厚さを有する薄層を含む、そのような常用の平板状粒子乳剤に、その析出工程中に、ドーピングを施すことによって得ることができる。
上記基準(a)〜(e)を満たす平板状粒子乳剤は、その他の平板状粒子乳剤の性能を満足し、しかも多くの状況においてこれを上回る性能を示す。これらの乳剤についてはSolbergら(米国特許第4,433,048号)、Pigginら(米国特許第5,061,609号及び同第5,061,616号)並びにChangら(米国特許第5,314,793号及び同第5,360,703号)に記載されている。
【0012】
(a)
基準(a)は全粒子投影面積の50%以上が平板状粒子によって占められなければならないという要件である。通常は、全粒子投影面積の70%以上、最も好ましくは90%以上が平板状粒子によって占められることが好ましい。十分に制御された条件下では、平板状粒子が全粒子投影面積の実質的にすべて(すなわち、97%以上)を占める平板状粒子乳剤を調製することができる。
(b)
基準(b)によると、基準(a)を満たす平板状粒子の各々が0.3μm未満、好ましくは0.2μm未満の平均厚さを有する。
【0013】
(c)
カメラ写真スピードのフィルムでは、平板状粒子がヨウ化物を0.25モル%以上(好ましくは1.0モル%以上)含有することが一般に考えられている。臭化銀結晶格子におけるヨウ化物の飽和レベルは一般に約40モル%とされており、通常はヨウ化物導入量の限界値とされるが、写真用途でヨウ化物濃度が20モル%を超えることは稀であり、典型的には約1〜12モル%の範囲にある。
【0014】
平板状粒子中のヨウ化物以外のハロゲン化物としては、臭化物だけであっても、また臭化物と塩化物の組合せであってもよい。臭化物は、いずれの場合でも、銀量を基準として70モル%以上の濃度で平板状粒子中に存在することが考えられる。Weyら(米国特許第4,414,306号)及びDelton(米国特許第5,372,927号)の各々に、高(>70モル%)臭化物平板状粒子に相当量の塩化物を導入する技法が記載されている。Weyらの平板状粒子調製技法を採用して平板状粒子を形成した後に薄層形成を行うことができるが、Deltonの技法は先に引用したPigginらの薄層形成技法との両立が可能である。臭化物とヨウ化物が共にそれらの許容可能な最低濃度にある場合、塩化物が当然にハロゲン化物の残部を形成する。しかしながら、塩化物イオン濃度は20モル%未満、最も好ましくは10モル%未満に維持することが好ましい。
【0015】
(d)
平板状粒子の主面が{100}結晶面に当たる平板状粒子乳剤は周知であるが、本発明との関連で研究された唯一の平板状粒子乳剤は{111}結晶面に主面が位置する乳剤である。
(e)
基準(a)〜(d)を満たす平板状粒子は、ヨウ化物濃度が高く、{111}主面を形成し、厚さが35nm未満(好ましくは25nm未満)である薄層をさらに含有する。この薄層は、平板状粒子のホスト部分よりも1モル%以上、好ましくは3モル%以上高いヨウ化物濃度を示す。各平板状粒子のホスト部分は、平板状粒子の薄層形成前に析出された部分であって、該薄層の付着支持体を形成する部分である。この薄層は、銀量を基準として約15モル%以下のヨウ化物を含有することが好ましい。
【0016】
先に引用したSolbergら及びPigginらは、この薄層を形成するための様々な技法を教示している。Solbergらによって採用されている技法は、代用可能な一つの態様として、急激な(例、投入)ヨウ化物の添加によって薄層を形成させて達成可能な最高写真スピードを得ることにより、写真スピード/粒状度の関係を改良する技法である。用語「投入」は、速度を意図的に制限することなくヨウ化物を添加することを意味する場合に用いられる。すなわち、ヨウ化物の投入添加はできるだけ迅速に行われ、通常はほとんど瞬時になされる。速度を調節してヨウ化物を添加する場合には、ヨウ化物の流入添加(run-iodide addition) と称する。
【0017】
Changら(米国特許第5,314,793号)が教示しているように、ヨウ化物の流入添加法で調製された平板状粒子乳剤と投入添加法で調製された平板状粒子乳剤とでは、結晶格子構造に差異が見られるという明白な証拠がある。全体をヨウ化物の流入添加法で調製したヨウ臭化銀平板状粒子を、<10°K(本明細書では具体的比較用として6°Kを選定した)に冷却して波長325nmの電磁輻射線(例、ヘリウム/カドミウム系レーザー)で励起すると、490〜650nmの波長領域に1本の励起発光ピークが観測される。極大発光の正確な波長はヨウ化物濃度によって多少は変動するが、その発光曲線の形状は極めて類似したものとなる。このことは、ヨウ化物の流入添加法により平板状粒子の結晶格子を形成する際に、ヨウ化物イオンが臭化銀結晶格子構造の内部に収容されていることを示唆している。
【0018】
一方、平板状粒子をヨウ化物の投入添加法で形成させた場合、上記の波長325nmにおける励起によって、ヨウ化物含有量に依存して、区別できる第二の波長の発光モードが得られる。一般に、325nmの輻射線と同等な励起に基づいて490〜560nmの波長領域における発光強度極大値の1/3以上である発光強度を575nmにおいて発生させるためには、平板状粒子中の全銀量を基準として1モル%以上のヨウ化物を占めるに十分量のヨウ化物投入量が必要である。換言すれば、このヨウ化物投入量では、平板状粒子の励起発光プロフィール上に見分けられる長波長側の肩部が認められる。ヨウ化物投入量が平板状粒子の全銀量を基準として3.5モル%以上になると、第二の励起発光ピークが575nmに又はその付近に存在し、その575nmにおける発光強度が490〜560nmの波長領域における発光ピーク強度の90%以上(該ピーク強度を上回る場合が多い)となる。この575nmにおける励起発光強度は、ヨウ化物投入法による結晶格子変化の明白な証拠となるものであり、画像化効率のより高い平板状粒子を同定することができる便利な分析手段を提供するものでもある。
【0019】
Solbergらによって得られたヨウ化物投入法による平板状粒子の構造に関する研究は、平板状粒子の縁部における結晶格子のディスロケーションが写真スピードの増加の主たる原因であることを示唆している。
Pigginらも効率的な写真スピード/粒状度の関係を得ることに関心があるが、Pigginらは、その中で記載したpAg及び温度の境界範囲内で薄層を形成させて、局部的に加わる圧力に対する平板状粒子の応答の一定性を向上させている。Pigginらの薄層技法は、平板状粒子の主面の結晶格子欠陥をアニーリングすることによって局部的に加わる圧力に対する感度の不変性を向上させると考えられる。
【0020】
平板状粒子における縁部のディスロケーションを高レベルに、また面部のディスロケーションを低レベルに維持することによって、平板状粒子乳剤において高いレベルの画像化効率と低いレベルの感圧性との両方を実現することが可能である。平均ECDが2.0μm以上である平板状粒子では感圧性が特に顕著になる。粒状度に対する高いレベルの写真スピードと局部的に加わる圧力に対する高いレベルの不変性とを兼ね備えた優れた平板状粒子乳剤は、平均ECDが2.0μm以上であり且つ下記の関係式(I)を満たすような乳剤である。
(P÷F)×ECD>5.0 (I)
上式中、Pは、平板状粒子の周辺領域に10個以上のディスロケーションを含む平板状粒子の割合(%)を表し、Fは、平板状粒子の中心領域に10個以上のディスロケーションを含む平板状粒子の割合(%)を表し、そしてECDは該粒子の平均等価円直径(μm)である。
【0021】
ドーパント
本発明の乳剤の平板状粒子には、低照度相反則不軌を縮小することができるイリジウム系ドーパントが内蔵されている。低照度相反則不軌を縮小するために用いられるイリジウム系ドーパントの具体例は、Kimの米国特許第4,449,751号及びJohnsonの米国特許第5,164,292号明細書に記載されている。相反則不軌を縮小するために及びその他の目的に用いられるイリジウム系ドーパントのさらに一般的な調査が、B.H.Carrollのイリジウム増感:文献検討、Photographic Science and Engineering,Vol.24,No.6,Nov/Dec 1980,pp.265−267に記載されている。相反則不軌を縮小するためのイリジウム系ドーパントをはじめとするドーパントのさらに一般的な調査が、Research Disclosure,Vol.365,1994年9月、Item 36544、セクションI.乳剤粒子及びその調製法、セクションD.粒子の変性条件及び調節、小パラグラフ(3)及び(4)に記載されている。本発明を実施する際には、低照度相反則不軌を縮小することが知られている常用のいずれのイリジウム系ドーパントでも、この目的にとって有用であることが知られているいずれの量においても使用することができる。
【0022】
特に好ましい態様では、イリジウム系ドーパントを、下式(II)を満たす六配位錯体の形態で、粒子の結晶格子構造中に内蔵させる。
〔Ir+3X5 L’〕m (II)
上式中、Xはハロゲン化物系配位子であり、L’は架橋性(bridging)配位子であり、そしてmは−2又は−3である。
【0023】
析出工程中にイリジウムを添加する際にはその六配位錯体にアンモニウム又はアルカリ金属のような便利な対イオンを組み合わせるが、結晶格子構造内に実際に取り込まれるのは式(II)のアニオン部分だけである。また、導入時には、例えばLeubnerらの米国特許第4,902,611号明細書に記載されているように、イリジウムは原子価+4の状態をとることもできる。しかしながら、この+4価のイリジウムは導入時に+3価の状態に戻る。塩化物及び臭化物が好適なハロゲン化物配位子である。架橋性配位子L’は、同様にハロゲン化物配位子であってもよいし、代わりに、McDugleらの米国特許第4,933,272号、同第4,981,781号及び同第5,037,732号、Marchettiらの米国特許第4,937,180号、Keevertらの米国特許第5,037,732号並びにOlmらの米国特許第5,360,712号明細書に記載されている個々の各種配位子形をはじめとする常用の便利ないずれの形態をとることもできる。
【0024】
イリジウム系ドーパントの導入時点は、平板状粒子を形成する銀の20%(最も好ましくは60%)以上を析出させた後で且つ平板状粒子を形成する銀の90%(最も好ましくは80%)が析出する前にすることが好ましい。イリジウム系ドーパントの理想的な所在は、平板状粒子のホスト部分と薄層との界面又は界面付近である。
イリジウム系ドーパントの好適な濃度は最高で約800(最も好ましくは140)モル部/十億部(mppb)までの範囲をとることができる。イリジウムの最低有効濃度として2.8mppbが報告されているが、通常は約15mppb以上の濃度を採用する方が便利である。
【0025】
イリジウムは低照度相反則不軌を縮小又は排除することができるが、それはまた写真スピードを相当に低下させる。しかし、乳剤の写真スピードを、ドーパントが存在しない場合よりも高いレベルにまで実際に高められることを発見した。
【0026】
これを達成するため、平板状粒子表面及びイリジウム系ドーパントに関連して、規定の濃度レベル及び平板状粒子位置の範囲内で、2価の第8族金属(すなわち、Fe+2、Ru+2又はOs+2)とフッ化物イオンよりも高い電子求引性を示す少なくとも一種の配位子とを含む写真スピード増加性第8族ドーパントを使用する。この写真スピード増加性第8族ドーパントは、下式(III)を満たす六配位錯体として導入することができる。
〔ML6 〕n (III)
上式中、Mは2価の第8族カチオン(すなわち、Fe+2、Ru+2又はOs+2)であり、Lは各々独立に選定可能な6個の配位錯体配位子を表すが、但し、該配位子のうち少なくとも4個はアニオン配位子であり且つ少なくとも1個はどのハロゲン化物配位子よりも電気陰性が強く(すなわち、最も電気陰性の強いハロゲン化物イオンであるフッ化物イオンよりも高い電子求引性を示し)、そしてnは、絶対値が5未満である負の整数である。
【0027】
これら配位子のうち少なくとも4個はアニオン性であって、平板状粒子の結晶格子構造内へのドーパントの導入を促進する必要がある。残りの2個の配位子は、同様にアニオン性であってもよいし、またカルボニル、アクオもしくはアミン形配位子のような周知の便利ないずれの中性形であってもよい。
これら配位子の1個だけがハロゲン化物イオンよりも強い電気陰性を示せばよいが、2個以上、さらにはすべての配位子が、ハロゲン化物イオンよりも強い電気陰性を示すこともできる。電子求引性の一般的な評価法は、Inorganic Chemistry: Principles of Structure and Reactivity(James E.Huheey,1972,Harper and Row, New York)及びAbsorption Spectra and Chemical Bonding in Complexes(C.K.Jorgensen,1962,Pergamon Press,London)に記載されている、金属イオン錯体の溶液中の吸収スペクトルから得られた配位子の分光化学系列を参照する方法である。これらの文献から、以下の分光化学系列における配位子の序列が明らかである
【0028】
【化1】
【0029】
使用した略号は以下の通り。ox=オキサレート、dipy=ジピリジン、phen=o−フェナントロリン、phosph=4−メチル−2,6,7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ〔2.2.2〕オクタン。
この分光化学系列は配位子をその電子求引性を基準に序列化したものである。この系列中、最初の(I- )配位子は電子求引性が最も低く、また最後の(CO)配位子は電子求引性が最も高い。下線部は、多価金属イオンに結合する配位子の部位を示している。写真スピードの増加に必要とされる電子求引性を付与する上での配位子の効率は、金属に結合した配位子原子がCl→S→O→N→Cと変化するにつれて向上する。このため、CN- 及びCOが特に好適な配位子である。その他の好適な配位子として、チオシアネート(NCS- )、セレノシアネート(NCSe- )、シアネート(NCO- )、テルロシアネート(NCTe- )及びアジド(N3 - )が挙げられる。
【0030】
六配位錯体中の金属MがFe+2である場合、配位子Lのうち少なくとも5個がハロゲン化物イオンよりも高い電子求引性を示すものであることが好ましい。六配位錯体中の金属MがOs+2である場合、ハロゲン化物イオンよりも電子求引性の高い配位子が1個だけあれば写真スピードは十分に増加するが、このような配位子が2個以上ある方が好ましい。Ru+2系の錯体の場合、配位子の少なくとも3個がハロゲン化物イオンよりも高い電子求引性を示すことが好ましい。
この第8族配位錯体は、上記のイリジウム錯体と同様に、導入時には対応する等電荷量の対イオンを伴うことができる。上記要件の下、配位子Lは上記配位子L’と同じ常用の配位子の中から(すなわち、McDugleらの米国特許第4,933,272号、同第4,981,781号及び同第5,037,732号、Marchettiらの米国特許第4,937,180号、Keevertらの米国特許第5,037,732号並びにOlmらの米国特許第5,360,712号に記載されている個々の各種配位子形の中から)選ぶことができる。
以下、イリジウム系ドーパントと一緒に使用した場合に写真スピードを増加させることができる第8族配位錯体ドーパントの具体例を挙げる。
【0031】
【化2】
【0032】
平板状粒子のうち全銀量の最高で90%を占める内部領域に、20〜300(好ましくは25〜100)モル部/百万部(mppm)の第8族ドーパントを使用することが考えられる。換言すると、上記濃度範囲を満たすに十分量の第8族ドーパントが、平板状粒子の表面部から全銀量の少なくとも10%分だけ分離されている。粒子内部での第8族ドーパントの埋め込まれる場所が深すぎると、特にドーパント濃度が高まるにつれ、最良の結果が実現されない。従って、第8族ドーパントの使用濃度が100mppmを超える場合には、平板状粒子を形成する全銀量の50%以上を析出させた後に第8族ドーパントを平板状粒子に導入することが好ましい。
【0033】
写真スピードの増加を担う第8族ドーパントは、イリジウム系ドーパントの導入前でも導入後でも導入することができる。本発明が意図する写真スピードの利点を実現するためには、第8族ドーパントの導入前にイリジウム系ドーパントの導入を完了してもよいし、またイリジウム系ドーパントの導入を開始する前に第8族ドーパントの導入を完了してもよく、そして、平板状粒子を形成する全銀量の10%以上(好ましくは20%以上)を、一方のドーパントの添加が完了してから他方のドーパントの導入を開始するまでの間に、析出させる。第8族ドーパントがイリジウム系ドーパントと重なる場合でもイリジウム系ドーパントの性能を損なうことはないが、重なり領域では第8族ドーパントの写真スピード増加性が無効となる。それゆえ、第8族ドーパントとイリジウム系ドーパントとがその粒子内位置によって完全に分離されていない場合でも、上記第8族ドーパントの少なくとも有効濃度分が、上記のように、全銀量の10%、好ましくは20%によってイリジウム系ドーパントと分離されることが考えられる。
このように、Johnsonらの米国特許第5,164,292号明細書には、セレン系ドーパントとイリジウム系ドーパントはハロゲン化銀粒子を形成する際の任意の時点で添加することができると記載されているが、第8族ドーパントの所在とそのイリジウム系ドーパントに対する適切な位置との両方が写真スピードを増加させるための必須条件である。
【0034】
上記していない平板状粒子乳剤の特徴としては、常用の便利ないずれの形態をとることもできる。例えば、乳剤粒子の平均ECDは写真的に有用な最高レベル(典型的には約10μmといわれている)までの範囲をとることができるが、実用上、平板状粒子写真乳剤の平均ECDが5μmを超えることは稀であり、最も典型的には3μm未満の平均ECDを示す。乳剤は多分散形であっても単分散形であってもよい。一般には、粒子ECDの変動係数(COV)が30%未満である比較的単分散形である乳剤を使用することが好ましい。ここで、COVは粒子の標準偏差(σ)を平均ECDで割り算し、その商に100を乗じた値である。
【0035】
本発明の平板状粒子乳剤には分散媒体が含まれる。この分散媒体として、典型的にはゼラチンやゼラチン誘導体のような親水性コロイド解こう剤が挙げられる。写真乳剤用の従来の分散媒体が先に引用したResearch Disclosure(Item 36544、セクションII.ベヒクル、ベヒクル増量剤、ベヒクル様添加剤及びベヒクル関連添加剤)に記載されている。常用の写真乳剤の特徴、写真要素の特徴、露光法及び処理法についての概要は、先に引用したResearch Disclosure(Item 36544)の分散媒体に記載されている。
【0036】
【実施例】
本発明を、以下の具体的実施例によりさらに説明する。
実施例1〜20
これら一連の実施例における各乳剤は、平均等価円直径2.7μm及び平均厚さ0.13μmを示すAgBr95.9I4.1 平板状粒子を含むものとした。これらの平板状粒子は全粒子投影面積の90%を上回る面積を占めた。形成された各平板状粒子はAgBr95.9I4.1 ホスト部分と、ヨウ化物の急激な(投入)添加によって形成されたヨウ臭化銀薄層とを有した。
下記表1に記載した水溶液を使用した。
【0037】
表1
溶液A:ゼラチン(骨)〔10g〕、NaBr〔30g〕、消泡剤〔1.3mL〕、H2 O〔全体を5000mLにする量〕
溶液B:0.393N AgNO3 〔534mL〕
溶液C:2N NaBr〔746mL〕
溶液D:(NH4 )2 SO4 〔5.95g〕、水〔全体を350mLにする量〕
溶液E:2.5N NaOH〔40mL〕
溶液F:4N HNO3 〔25mL〕
溶液G:ゼラチン(骨)〔140.14g〕、H2 O〔全体を1820mLにする量〕、界面活性剤
溶液H:2.709N NaBr〔3646mL〕、0.0413N KI
溶液I:2.75N AgNO3 〔4310mL〕
溶液J:NaBr〔154g〕、水〔全体を817mLにする量〕
溶液K:AgI〔0.36モル〕、ゼラチン(骨)〔14.4g〕、H2 O〔全体を753mLにする量〕
溶液L:ゼラチン(骨)〔301.2g〕、H2 O〔1186.4g〕、殺生剤
溶液M:K4 Ru(CN)6 〔所望のドーパント濃度を付与するのに必要な量に応じて5〜100mLのH2 Oとドーパント〕
溶液N:K2 IrCl6 〔所望のドーパント濃度を付与するのに必要な量に応じて硝酸で酸性にした5〜100mLのH2 Oとドーパント〕
【0038】
乳剤1(ドープされていない対照乳剤)を以下のように調製した。
溶液Aを反応容器に加えて温度を40℃に制御した。その反応容器に攪拌操作を加えた。反応容器内の溶液のpHを6に調整した。次いで、その温度を65℃に上昇させて溶液Bと溶液Cをそれぞれ64mL/分及び15.3mL/分の速度で1分間添加した。次いで、その反応容器に溶液Dを添加した。1分後、溶液Eを添加した。1分30秒後、溶液Fを添加した。1分後、溶液Gを添加した。溶液Gを添加してから5分後、溶液Bと溶液Hをそれぞれ87mL/分及び14.3mL/分の速度で5分間添加し、その間、pAgを9.07に制御しておいた。
溶液I及び溶液Hを添加する際、下記のようにpAgを連続制御した。
【0039】
【0040】
次いで、溶液Jを添加した。2分後、溶液Kを添加した。次いで、溶液Iを50mL/分の速度で24分間にわたり添加したが、その間、溶液Cを用いてpAgを8.17に制御した。乳剤を40℃に冷却し、そして濃縮時にpAgが8.22に到達するまで洗浄した。その後、溶液Lを添加し、そしてその乳剤を攪拌しながら硬化するまで冷却した。
この系列の残りの乳剤については、ドーパント溶液M及び/又はNを下記の方法の一つで添加したことを除き、乳剤1と同様に調製した。
【0041】
方法(1):各乳剤粒子の所望の部分をドープするのに必要な工程a及び/又はbの部分において、溶液Hの一部に添加した。*
方法(2):各乳剤の所望の体積部分を所望のドーパント濃度プロフィールでドープするのに必要な析出工程部分において、一定(c)又は上昇(r)のいずれかの流速で水溶液から添加した。
方法(3):溶液Kに用いたAgI種結晶内にx−y%で示した分率で導入した。
方法(4):溶液Jに添加した。
*ドープされた粒子の部分をx−y%で示す。ここで、xはドーパントの添加開始時点までに添加された全銀量に対する%であり、yはドーパントの添加終了時までに添加された全銀量に対する%である。
表2に、この系列の各乳剤の調製に用いられたドーパントの添加量、所在及び添加方法を示す。
【0042】
* ドーパント所在の種類:host=ホスト成長中に添加、betw=ホスト成長と薄層成長の間に添加、lam =薄層成長中に添加
【0043】
乳剤21
この乳剤は、[Ru(CN)]4-の代わりに[SeCN]1-をカリウム塩として添加したことを除き、乳剤16と同様に調製した。このセレン系ドーパントの濃度は1.42 mppm とし、その公称所在は、添加場所に基づき、Johnson らの米国特許第5,164,292号明細書に記載されている。
増感及び評価
以下の増加色素を使用して増感した。
色素1:アンヒドロ−5,5’−ジクロロ−9−エチル−3,3’−ビス(3−スルホプロピル)チアカルボシアニンヒドロキシド、トリエチルアンモニウム塩
色素2:アンヒドロ−9−エチル−5,5’−ジメチル−3,3’−ビス(3−スルホプロピル)チアカルボシアニンヒドロキシド、トリエチルアンモニウム塩
これらの乳剤と共に以下のカプラー1を塗布した。
【0044】
【化3】
【0045】
乳剤を以下のように増感した。乳剤試料0.25モルを40℃で溶融させた。骨ゼラチンと水を加えて乳剤の全ゼラチン量を65g/Agモルとした。次いで、その乳剤に、チオシアン酸ナトリウムを120mg/Agモル含有する水溶液を添加した。次いで、その乳剤に、攪拌しながら、色素1及び色素2をモル比9:1で添加し、粒子表面の90%単層被覆を提供し、そしてその乳剤を30分間保持した。
【0046】
次いで、金及び硫黄含有化学増感剤、ジチオ硫酸金カリウム二水和物及びチオ硫酸ナトリウム五水和物を、実質的に最適な増感を付与するように選ばれた量で添加した。次いで、20mg/Agモルのベンゾチアゾリウムテトラフルオロボレートを添加し、そしてその乳剤を小分けし、これらを60℃で5〜20分間消化した。その乳剤を40℃に冷却し、さらにゼラチンと水を4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン(Na+ 塩)と一緒に添加した。
【0047】
上記のように増感した乳剤を、ハレーション防止裏層とゼラチン下塗層を有する酢酸セルロース系写真フィルム用支持体の上に塗布した。乳剤塗布量は1.076g Ag/m2 とした。この層はまた、0.969g/m2 のカプラー1と、界面活性剤と、全含有量3.23g/m2 のゼラチンとを含有した。この乳剤層には、界面活性剤と(全ゼラチン塗布量を基準として)1.75重量%のビス(ビニルスルホニル)メタン硬膜剤とをさらに含むゼラチン層2.15g/m2 を上塗りした。
このように塗布した乳剤に、検量済中性ステップタブレット(濃度範囲0〜4)及びラッテン(商標)23Aフィルター(>560透過)を介して5500°K昼光バランス露光を与えた。
【0048】
次いで、これらの乳剤を、コダック社製Flexicolor(商標)C41カラーネガ処理で2分15秒間現像した。
これらの写真応答を表3に報告した。写真スピードは相対logスピード単位で報告した。相対スピードの各単位差は0.01logEを表す。ここで、Eは露光量(ルクス−秒)を表す。写真スピードの測定は0.01秒間露光した試料に基づいたが、スピードはコントラスト補正、すなわち足濃度Ds において測定した。ここで、Ds −Dmin は、特性曲線上のDs から0.6logE分ずれた点D’とDs の間に引いた線の傾きの20%と等価である。
低照度相反則不軌(LIRF)は、露光量は同等であるが露光時間を0.0001秒〜1秒の間で変化させて得られたDmin より0.15高い濃度において測定した写真スピードの差に基づくものとした。
【0049】
表3
乳剤 相対logスピード/D min LIRF
1 240/07 −15
2 246/08 −20
3 250/07 −11
4 245/07 −28
5 250/08 −12
6 245/08 −12
7 236/10 +1
8 239/09 −2
9 241/09 +3
10 242/08 −2
11 239/10 −3
12 241/09 +3
13 239/09 −2
14 240/08 −1
15 250/09 −4
16 240/09 +3
17 246/09 −5
18 242/08 −9
19 236/10 0
20 254/09 −7
21 239/08 +3
【0050】
乳剤1はドープされていない乳剤であって、残りの乳剤中に存在するドーパントの写真スピード及びLIRFに対する効果を判断するための基準となる。
乳剤2〜6はルテニウムだけをドープした乳剤である。どの場合も、乳剤の写真スピードは乳剤1と比べて改良されているが、LIRFは高い値のままである。LIRFの平均値は−16.6であった。このように、第8族ドーパントはLIRFの縮小には有効ではない。
【0051】
乳剤7はイリジウムだけをドープした乳剤である。LIRFは縮小したが、同時に写真スピードも低下した。
乳剤8〜14はルテニウムとイリジウムをドープした乳剤であって、これらドーパントの粒子内所在に重なりがある乳剤である。LIRFは縮小したが、写真スピードは乳剤1の場合と本質的に同等に保たれた。換言すれば、イリジウム系ドーパントによる写真スピードの低下をルテニウム系ドーパントが埋め合わせをしたが、写真スピードの有意な増加は実現されていない。
【0052】
乳剤16〜19はルテニウムとイリジウムを逐次的にドープした乳剤であるが、これらドーパントの添加を分離するための析出銀量を1.5〜5.5%とした乳剤である。報告した性能は、上記のドーパント添加に重なりがある場合と本質的に同等であった。
乳剤15は、イリジウム系ドーパントとルテニウム系ドーパントとを、全銀量の31%に当たる析出部分を介在させることによって分離したものである。LIRFは小さく、また乳剤の写真スピードは、イリジウムをドーパントとして含有するように調製されたその他のいずれの乳剤と比べても、有意に高くなった。乳剤15は、本発明の規定による第8族ドーパントが、イリジウムのドーピングにより付与されるLIRFの縮小という利益を実現しつつ、本発明による平板状粒子乳剤の写真スピードを有意に増加させることができることを例示するものである。
【0053】
乳剤20は、イリジウム系ドーパントがルテニウム系ドーパントで完全にオーバーラップされているが、有効量のルテニウムがイリジウムから分離されている乳剤である。LIRFが縮小すると共に、乳剤15と同等の写真スピードの増加が実現された。
乳剤21は、乳剤15におけるルテニウム系ドーパントの代わりにセレンをドーパントとして使用したものである。イリジウムに起因しうるLIRFの改良は維持されたが、本発明の乳剤15によって実現された写真スピードの増加は失われた。このことは、セレンのドーパントとしての価値が限られていること、そして本発明が要求するように結晶格子内部に配置された場合に第8族ドーパントよりも明らかに劣っていることを例示するものである。さらに、第8族ドーパントの写真スピード増加効果はセレン及びイリジウムのドーパントの組合せの観測からは予測できなかったことを例示している。
【0054】
以下、本発明の好ましい実施態様を項分け記載する。
〔1〕(a)全粒子投影面積の50%以上を占め、
(b)0.3μm未満の厚さを有し、
(c)70モル%を上回る臭化物と0.25モル%以上のヨウ化物を含有し、
(d){111}主面を有し、
(e)前記{111}主面に隣接している薄層であって、各々、それらが付着している平板状粒子のホスト部分よりもヨウ化物含有量が1モル%以上高く、且つ35ナノメートル未満の厚さを有する薄層を含み、そして
(f)低照度相反則不軌を縮小することができるイリジウム系ドーパントと写真スピード増加性ドーパントとを組み合わせて含有する平板状粒子を含む輻射線感性ハロゲン化銀粒子及び分散媒体を含む乳剤であって、
(g)前記写真スピード増加性ドーパントが、Fe+2、Ru+2及びOs+2の中から選ばれた2価の第8族ドーパントとフッ化物イオンよりも高い電子求引性を示す少なくとも一種の配位子とを含み、
(h)前記第8族ドーパントが、前記平板状粒子のうち全銀量の最高で90%を占める内部領域に、20〜300モル部/百万部の濃度で存在し、そして
(i)前記イリジウム系ドーパントと前記第8族ドーパントの少なくとも20モル部/百万部とが、前記平板状粒子のうち前記平板状粒子を形成している全銀量の10%以上を占める中間部分によって分離された別々の部分に制限されていることを特徴とする乳剤。
【0055】
〔2〕前記イリジウム系ドーパントが、銀の最初の20%が析出した後で且つ銀の最後の10%が析出する前に形成された平板状粒子の領域に存在することをさらに特徴とする、〔1〕項に記載の乳剤。
〔3〕前記イリジウム系ドーパントが、銀の最初の60%が析出した後で且つ銀の最後の20%が析出する前に形成された平板状粒子の領域に存在することをさらに特徴とする、〔2〕項に記載の乳剤。
〔4〕前記写真スピード増加性ドーパントが銀量を基準として25〜100モル部/百万部の濃度で存在することをさらに特徴とする、〔1〕〜〔3〕項のいずれか一項に記載の乳剤。
【0056】
〔5〕前記中間部分が、平板状粒子を形成している全銀量の20%以上を占めることをさらに特徴とする、〔1〕〜〔4〕項のいずれか一項に記載の乳剤。
〔6〕平板状粒子を形成しているハロゲン化銀が本質的にヨウ臭化銀から成ることをさらに特徴とする、〔1〕〜〔5〕項のいずれか一項に記載の乳剤。
〔7〕前記写真スピード増加性ドーパントがOs+2と少なくとも1個のシアノ配位子とを含むことをさらに特徴とする、〔1〕〜〔6〕項のいずれか一項に記載の乳剤。
【0057】
〔8〕前記写真スピード増加性ドーパントがRu+2又はOs+2と少なくとも3個のシアノ配位子とを含むことをさらに特徴とする、〔1〕〜〔6〕項のいずれか一項に記載の乳剤。
〔9〕前記写真スピード増加性ドーパントがFe+2、Ru+2又はOs+2と少なくとも5個のシアノ配位子とを含むことをさらに特徴とする、〔1〕〜〔6〕項のいずれか一項に記載の乳剤。
【発明の属する技術分野】
本発明は写真に関する。より詳細には、本発明は輻射線感性ハロゲン化銀写真乳剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
用語「平板状粒子」とは、平行な二つの主面を有し、アスペクト比が2以上であるハロゲン化銀粒子を意味する。
用語「平板状粒子乳剤」とは、全粒子投影面積の50%を上回る領域が平板状粒子によって占められている乳剤を意味する。
用語「平行主面」とは、平板状粒子の残るいずれの面よりも明らかに大きな平行な二つの面を意味する。
用語「アスペクト比」とは、平板状粒子の等価円直径(ECD)を平板状粒子の厚さ(t)で割った比率を意味する。
【0003】
用語「ECD」とは、ハロゲン化銀粒子の投影面積に等しい面積を有する円の直径を意味する。
二種以上のハロゲン化物を含有するハロゲン化銀粒子及び乳剤を称する場合、ハロゲン化物を濃度の昇順で命名する。
粒子や乳剤に対して使用する用語「高臭化物」とは、臭化物濃度が銀量を基準として70モル%以上であることを意味する。
【0004】
用語「低照度相反則不軌」は、本明細書では、露光量は同等であるがその露光時間が1/1000秒〜1秒の範囲で異なる場合に乳剤間に生じる写真スピードの変動を意味することとする。写真の相反則が成立する場合(すなわち、相反則不軌がまったくない場合)、写真乳剤の写真スピードは、I(露光強度)とti(露光時間)の各値に関係なくそれらの積が同じ値であれば一定になる。
元素の周期律表を参照する場合、American Chemical Societyによって採用されており、Chemical and Engineering Newsとして1985年2月4日に発行されているフォーマットを基準とする。
Research Disclosureは、Kenneth Mason Publications社(Dudley House,12 North St.,Emsworth,Hampshire PO10 7DQ,英国)の刊行物である。
【0005】
Kofronらの米国特許第4,439,520号明細書は現代の高性能ハロゲン化銀写真の時代の到来を告げるものである。Kofronらは、ECDが0.6μm以上であり且つ厚さが0.3μm未満の平板状粒子が8より高い平均アスペクト比を示し且つ全粒子投影面積の50%を上回る面積を占める化学及び分光増感された平板状粒子乳剤の顕著な写真的利点について開示、例示している。例示されている数多くの乳剤の中には、これらの数値パラメーターの一つ又は二つ以上が、記載されている要件をはるかに超えるものも多かった。Kofronらは、開示した化学及び分光増感済乳剤が、その各種形態の一つ又は二つ以上において、カラー写真及び白黒写真(間接放射線写真を含む)として有用であろうことを認識していた。白黒イメージング用途では、可視スペクトルの全領域及びより長波長側における分光増感が、オルソクロマチック及びパンクロマチック分光増感と同様に指向された。Kofronらは、一種又は二種以上の分光増感色素を中間カルコゲン(例、硫黄)及び/又は貴金属(例、金)による化学増感と組み合わせて使用しているが、さらに還元増感のような常用の増感についても開示している。その後、当該技術分野では、より小さい平均ECDとより小さい平均アスペクト比を有する顕著な平板状粒子が分類されている。
【0006】
カメラ用写真スピードを示す平板状粒子乳剤の大多数は、全銀量を基準として70モル%以上の臭化物を含有する。平板状粒子乳剤の写真スピード/粒状度の関係をさらに改良するために、少なくとも少量のヨウ化物を導入することが知られている。Kofronら、Wilgusら(米国特許第4,434,226号)及びSolbergら(米国特許第4,433,048号)は、ヨウ臭化銀平板状粒子乳剤の写真スピード/粒状度の関係について記載している。
Solbergら並びにPigginら(米国特許第5,061,609号及び同第5,061,616号)は、平板状粒子の主面を形成している厚さ35nm未満の薄層(laminae) 中により高濃度のヨウ化物が存在している高臭化物平板状粒子乳剤について記載している。Solbergらは、この構造が、粒状度を増大させることなく写真スピードを高めることに寄与しうることを例示している。Pigginらは、これらの薄層が、平板状粒子乳剤の局部加圧(例、キンキング(kinking) 又は曲げ)による写真応答の変動し易さを縮小しうることを示している。
【0007】
Johnsonら(米国特許第5,164,292号)は、低照度相反則不軌を縮小させるために平板状粒子乳剤にイリジウム系ドーパントを内蔵させたことに起因しうる写真スピードの低下を、セレンをドーパントとして内蔵させることによって埋め合わせられることを示している。平板状粒子がヨウ化物濃度の高い表面薄層を有する場合、これらのドーパントは低レベルの感圧性を維持することとの両立が可能である。
写真スピードを高める上での第8族金属(Fe、Ru、Os)の有用性については、Research Disclosure,Vol.365,1994年9月、Item 36544、セクションI.乳剤粒子及びその調製法、セクションD.粒子の変性条件及び調節、小パラグラフ(3)及び(4)並びにResearch Disclosure,Vol.367,1994年11月、Item 36736に記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
Johnsonらの乳剤は、粒状度が低く、低照度相反則不軌が少なく、しかも感圧性が低いという優れた組合せを示すが、イリジウムの内蔵に起因しうる写真スピードの低下を補償するのにセレンが有効であるとはいっても、実現可能な写真スピードの最高値に限界がある。さらに、知られているセレンの欠点を容認しなければ最高の写真スピードレベルを実現することはできない。具体的には、セレンは、ドーパントとして添加されるものであるが、大部分が粒子表面に位置するため、常用の表面化学増感剤と競争することになる。セレン自体には毒性がある。さらに、セレン系ドーパントは安定性に欠けるため、実際に乳剤へ添加するまでに特別な取扱いと周囲環境からの保護を必要とする。セレンは、カブリ量の増加を防止するため、その量と添加法に注意しなければならない。最後に、セレンは環境的に十分に許容されている物質ではなく、未使用セレン系ドーパント溶液の廃棄は厄介である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様は、(a)全粒子投影面積の50%以上を占め、(b)0.3μm未満の厚さを有し、(c)70モル%を上回る臭化物と0.25モル%以上のヨウ化物を含有し、(d){111}主面を有し、(e)前記{111}主面に隣接している薄層であって、各々、それらが付着している平板状粒子のホスト部分よりもヨウ化物含有量が1モル%以上高く、且つ35ナノメートル未満の厚さを有する薄層を含み、そして(f)低照度相反則不軌を縮小することができるイリジウム系ドーパントと写真スピード増加性ドーパントとを組み合わせて含有する平板状粒子を含む輻射線感性ハロゲン化銀粒子及び分散媒体を含む乳剤であって、
(g)前記写真スピード増加性ドーパントが、Fe+2、Ru+2及びOs+2の中から選ばれた第8族金属イオンとフッ化物イオンよりも高い電子求引性を示す少なくとも一種の配位子とを含み、
(h)前記第8族ドーパントが、前記平板状粒子のうち全銀量の最高で90%を占める内部領域に、20〜300モル部/百万部の濃度で存在し、そして
(i)前記イリジウム系ドーパントと前記第8族ドーパントの少なくとも20モル部/百万部とが、前記平板状粒子を形成している全銀量の10%以上を占める中間部分によって分離された前記平板状粒子の別々の部分に制限されていることを特徴とする乳剤に関する。
【0010】
平板状粒子の内部で粒子表面及びイリジウム系ドーパントに関して適切に配置されると、浅い電子捕捉部位(shallow electron trapping site)を提供するように選ばれた第8族金属の配位錯体は、セレンを使用することによって得られる場合よりも高い写真スピードを付与できることを発見した。セレンとは異なり、この第8族金属配位錯体は、ハロゲン化銀粒子の面心立方結晶格子構造の一部を形成し、移動性がない。このため、これらの配位錯体は粒子表面へ移行することがない。さらに、これらの配位錯体には上記のセレンの様々な欠点がない、或いは少ない。
本発明の乳剤は、カメラ用写真スピードを示す写真乳剤において従来より実現されている最高性能基準を満たし、またこれを上回ることができる。
【0011】
本発明の乳剤は、
(a)全粒子投影面積の50%以上を占め、
(b)0.3μm未満の厚さを有し、
(c)70モル%を上回る臭化物と0.25モル%以上のヨウ化物を含有し、
(d){111}主面を有し、そして
(e)前記{111}主面に隣接している薄層であって、各々、それらが付着している平板状粒子のホスト部分よりもヨウ化物含有量が1モル%以上高く、且つ35ナノメートル未満の厚さを有する薄層を含む、そのような常用の平板状粒子乳剤に、その析出工程中に、ドーピングを施すことによって得ることができる。
上記基準(a)〜(e)を満たす平板状粒子乳剤は、その他の平板状粒子乳剤の性能を満足し、しかも多くの状況においてこれを上回る性能を示す。これらの乳剤についてはSolbergら(米国特許第4,433,048号)、Pigginら(米国特許第5,061,609号及び同第5,061,616号)並びにChangら(米国特許第5,314,793号及び同第5,360,703号)に記載されている。
【0012】
(a)
基準(a)は全粒子投影面積の50%以上が平板状粒子によって占められなければならないという要件である。通常は、全粒子投影面積の70%以上、最も好ましくは90%以上が平板状粒子によって占められることが好ましい。十分に制御された条件下では、平板状粒子が全粒子投影面積の実質的にすべて(すなわち、97%以上)を占める平板状粒子乳剤を調製することができる。
(b)
基準(b)によると、基準(a)を満たす平板状粒子の各々が0.3μm未満、好ましくは0.2μm未満の平均厚さを有する。
【0013】
(c)
カメラ写真スピードのフィルムでは、平板状粒子がヨウ化物を0.25モル%以上(好ましくは1.0モル%以上)含有することが一般に考えられている。臭化銀結晶格子におけるヨウ化物の飽和レベルは一般に約40モル%とされており、通常はヨウ化物導入量の限界値とされるが、写真用途でヨウ化物濃度が20モル%を超えることは稀であり、典型的には約1〜12モル%の範囲にある。
【0014】
平板状粒子中のヨウ化物以外のハロゲン化物としては、臭化物だけであっても、また臭化物と塩化物の組合せであってもよい。臭化物は、いずれの場合でも、銀量を基準として70モル%以上の濃度で平板状粒子中に存在することが考えられる。Weyら(米国特許第4,414,306号)及びDelton(米国特許第5,372,927号)の各々に、高(>70モル%)臭化物平板状粒子に相当量の塩化物を導入する技法が記載されている。Weyらの平板状粒子調製技法を採用して平板状粒子を形成した後に薄層形成を行うことができるが、Deltonの技法は先に引用したPigginらの薄層形成技法との両立が可能である。臭化物とヨウ化物が共にそれらの許容可能な最低濃度にある場合、塩化物が当然にハロゲン化物の残部を形成する。しかしながら、塩化物イオン濃度は20モル%未満、最も好ましくは10モル%未満に維持することが好ましい。
【0015】
(d)
平板状粒子の主面が{100}結晶面に当たる平板状粒子乳剤は周知であるが、本発明との関連で研究された唯一の平板状粒子乳剤は{111}結晶面に主面が位置する乳剤である。
(e)
基準(a)〜(d)を満たす平板状粒子は、ヨウ化物濃度が高く、{111}主面を形成し、厚さが35nm未満(好ましくは25nm未満)である薄層をさらに含有する。この薄層は、平板状粒子のホスト部分よりも1モル%以上、好ましくは3モル%以上高いヨウ化物濃度を示す。各平板状粒子のホスト部分は、平板状粒子の薄層形成前に析出された部分であって、該薄層の付着支持体を形成する部分である。この薄層は、銀量を基準として約15モル%以下のヨウ化物を含有することが好ましい。
【0016】
先に引用したSolbergら及びPigginらは、この薄層を形成するための様々な技法を教示している。Solbergらによって採用されている技法は、代用可能な一つの態様として、急激な(例、投入)ヨウ化物の添加によって薄層を形成させて達成可能な最高写真スピードを得ることにより、写真スピード/粒状度の関係を改良する技法である。用語「投入」は、速度を意図的に制限することなくヨウ化物を添加することを意味する場合に用いられる。すなわち、ヨウ化物の投入添加はできるだけ迅速に行われ、通常はほとんど瞬時になされる。速度を調節してヨウ化物を添加する場合には、ヨウ化物の流入添加(run-iodide addition) と称する。
【0017】
Changら(米国特許第5,314,793号)が教示しているように、ヨウ化物の流入添加法で調製された平板状粒子乳剤と投入添加法で調製された平板状粒子乳剤とでは、結晶格子構造に差異が見られるという明白な証拠がある。全体をヨウ化物の流入添加法で調製したヨウ臭化銀平板状粒子を、<10°K(本明細書では具体的比較用として6°Kを選定した)に冷却して波長325nmの電磁輻射線(例、ヘリウム/カドミウム系レーザー)で励起すると、490〜650nmの波長領域に1本の励起発光ピークが観測される。極大発光の正確な波長はヨウ化物濃度によって多少は変動するが、その発光曲線の形状は極めて類似したものとなる。このことは、ヨウ化物の流入添加法により平板状粒子の結晶格子を形成する際に、ヨウ化物イオンが臭化銀結晶格子構造の内部に収容されていることを示唆している。
【0018】
一方、平板状粒子をヨウ化物の投入添加法で形成させた場合、上記の波長325nmにおける励起によって、ヨウ化物含有量に依存して、区別できる第二の波長の発光モードが得られる。一般に、325nmの輻射線と同等な励起に基づいて490〜560nmの波長領域における発光強度極大値の1/3以上である発光強度を575nmにおいて発生させるためには、平板状粒子中の全銀量を基準として1モル%以上のヨウ化物を占めるに十分量のヨウ化物投入量が必要である。換言すれば、このヨウ化物投入量では、平板状粒子の励起発光プロフィール上に見分けられる長波長側の肩部が認められる。ヨウ化物投入量が平板状粒子の全銀量を基準として3.5モル%以上になると、第二の励起発光ピークが575nmに又はその付近に存在し、その575nmにおける発光強度が490〜560nmの波長領域における発光ピーク強度の90%以上(該ピーク強度を上回る場合が多い)となる。この575nmにおける励起発光強度は、ヨウ化物投入法による結晶格子変化の明白な証拠となるものであり、画像化効率のより高い平板状粒子を同定することができる便利な分析手段を提供するものでもある。
【0019】
Solbergらによって得られたヨウ化物投入法による平板状粒子の構造に関する研究は、平板状粒子の縁部における結晶格子のディスロケーションが写真スピードの増加の主たる原因であることを示唆している。
Pigginらも効率的な写真スピード/粒状度の関係を得ることに関心があるが、Pigginらは、その中で記載したpAg及び温度の境界範囲内で薄層を形成させて、局部的に加わる圧力に対する平板状粒子の応答の一定性を向上させている。Pigginらの薄層技法は、平板状粒子の主面の結晶格子欠陥をアニーリングすることによって局部的に加わる圧力に対する感度の不変性を向上させると考えられる。
【0020】
平板状粒子における縁部のディスロケーションを高レベルに、また面部のディスロケーションを低レベルに維持することによって、平板状粒子乳剤において高いレベルの画像化効率と低いレベルの感圧性との両方を実現することが可能である。平均ECDが2.0μm以上である平板状粒子では感圧性が特に顕著になる。粒状度に対する高いレベルの写真スピードと局部的に加わる圧力に対する高いレベルの不変性とを兼ね備えた優れた平板状粒子乳剤は、平均ECDが2.0μm以上であり且つ下記の関係式(I)を満たすような乳剤である。
(P÷F)×ECD>5.0 (I)
上式中、Pは、平板状粒子の周辺領域に10個以上のディスロケーションを含む平板状粒子の割合(%)を表し、Fは、平板状粒子の中心領域に10個以上のディスロケーションを含む平板状粒子の割合(%)を表し、そしてECDは該粒子の平均等価円直径(μm)である。
【0021】
ドーパント
本発明の乳剤の平板状粒子には、低照度相反則不軌を縮小することができるイリジウム系ドーパントが内蔵されている。低照度相反則不軌を縮小するために用いられるイリジウム系ドーパントの具体例は、Kimの米国特許第4,449,751号及びJohnsonの米国特許第5,164,292号明細書に記載されている。相反則不軌を縮小するために及びその他の目的に用いられるイリジウム系ドーパントのさらに一般的な調査が、B.H.Carrollのイリジウム増感:文献検討、Photographic Science and Engineering,Vol.24,No.6,Nov/Dec 1980,pp.265−267に記載されている。相反則不軌を縮小するためのイリジウム系ドーパントをはじめとするドーパントのさらに一般的な調査が、Research Disclosure,Vol.365,1994年9月、Item 36544、セクションI.乳剤粒子及びその調製法、セクションD.粒子の変性条件及び調節、小パラグラフ(3)及び(4)に記載されている。本発明を実施する際には、低照度相反則不軌を縮小することが知られている常用のいずれのイリジウム系ドーパントでも、この目的にとって有用であることが知られているいずれの量においても使用することができる。
【0022】
特に好ましい態様では、イリジウム系ドーパントを、下式(II)を満たす六配位錯体の形態で、粒子の結晶格子構造中に内蔵させる。
〔Ir+3X5 L’〕m (II)
上式中、Xはハロゲン化物系配位子であり、L’は架橋性(bridging)配位子であり、そしてmは−2又は−3である。
【0023】
析出工程中にイリジウムを添加する際にはその六配位錯体にアンモニウム又はアルカリ金属のような便利な対イオンを組み合わせるが、結晶格子構造内に実際に取り込まれるのは式(II)のアニオン部分だけである。また、導入時には、例えばLeubnerらの米国特許第4,902,611号明細書に記載されているように、イリジウムは原子価+4の状態をとることもできる。しかしながら、この+4価のイリジウムは導入時に+3価の状態に戻る。塩化物及び臭化物が好適なハロゲン化物配位子である。架橋性配位子L’は、同様にハロゲン化物配位子であってもよいし、代わりに、McDugleらの米国特許第4,933,272号、同第4,981,781号及び同第5,037,732号、Marchettiらの米国特許第4,937,180号、Keevertらの米国特許第5,037,732号並びにOlmらの米国特許第5,360,712号明細書に記載されている個々の各種配位子形をはじめとする常用の便利ないずれの形態をとることもできる。
【0024】
イリジウム系ドーパントの導入時点は、平板状粒子を形成する銀の20%(最も好ましくは60%)以上を析出させた後で且つ平板状粒子を形成する銀の90%(最も好ましくは80%)が析出する前にすることが好ましい。イリジウム系ドーパントの理想的な所在は、平板状粒子のホスト部分と薄層との界面又は界面付近である。
イリジウム系ドーパントの好適な濃度は最高で約800(最も好ましくは140)モル部/十億部(mppb)までの範囲をとることができる。イリジウムの最低有効濃度として2.8mppbが報告されているが、通常は約15mppb以上の濃度を採用する方が便利である。
【0025】
イリジウムは低照度相反則不軌を縮小又は排除することができるが、それはまた写真スピードを相当に低下させる。しかし、乳剤の写真スピードを、ドーパントが存在しない場合よりも高いレベルにまで実際に高められることを発見した。
【0026】
これを達成するため、平板状粒子表面及びイリジウム系ドーパントに関連して、規定の濃度レベル及び平板状粒子位置の範囲内で、2価の第8族金属(すなわち、Fe+2、Ru+2又はOs+2)とフッ化物イオンよりも高い電子求引性を示す少なくとも一種の配位子とを含む写真スピード増加性第8族ドーパントを使用する。この写真スピード増加性第8族ドーパントは、下式(III)を満たす六配位錯体として導入することができる。
〔ML6 〕n (III)
上式中、Mは2価の第8族カチオン(すなわち、Fe+2、Ru+2又はOs+2)であり、Lは各々独立に選定可能な6個の配位錯体配位子を表すが、但し、該配位子のうち少なくとも4個はアニオン配位子であり且つ少なくとも1個はどのハロゲン化物配位子よりも電気陰性が強く(すなわち、最も電気陰性の強いハロゲン化物イオンであるフッ化物イオンよりも高い電子求引性を示し)、そしてnは、絶対値が5未満である負の整数である。
【0027】
これら配位子のうち少なくとも4個はアニオン性であって、平板状粒子の結晶格子構造内へのドーパントの導入を促進する必要がある。残りの2個の配位子は、同様にアニオン性であってもよいし、またカルボニル、アクオもしくはアミン形配位子のような周知の便利ないずれの中性形であってもよい。
これら配位子の1個だけがハロゲン化物イオンよりも強い電気陰性を示せばよいが、2個以上、さらにはすべての配位子が、ハロゲン化物イオンよりも強い電気陰性を示すこともできる。電子求引性の一般的な評価法は、Inorganic Chemistry: Principles of Structure and Reactivity(James E.Huheey,1972,Harper and Row, New York)及びAbsorption Spectra and Chemical Bonding in Complexes(C.K.Jorgensen,1962,Pergamon Press,London)に記載されている、金属イオン錯体の溶液中の吸収スペクトルから得られた配位子の分光化学系列を参照する方法である。これらの文献から、以下の分光化学系列における配位子の序列が明らかである
【0028】
【化1】
【0029】
使用した略号は以下の通り。ox=オキサレート、dipy=ジピリジン、phen=o−フェナントロリン、phosph=4−メチル−2,6,7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ〔2.2.2〕オクタン。
この分光化学系列は配位子をその電子求引性を基準に序列化したものである。この系列中、最初の(I- )配位子は電子求引性が最も低く、また最後の(CO)配位子は電子求引性が最も高い。下線部は、多価金属イオンに結合する配位子の部位を示している。写真スピードの増加に必要とされる電子求引性を付与する上での配位子の効率は、金属に結合した配位子原子がCl→S→O→N→Cと変化するにつれて向上する。このため、CN- 及びCOが特に好適な配位子である。その他の好適な配位子として、チオシアネート(NCS- )、セレノシアネート(NCSe- )、シアネート(NCO- )、テルロシアネート(NCTe- )及びアジド(N3 - )が挙げられる。
【0030】
六配位錯体中の金属MがFe+2である場合、配位子Lのうち少なくとも5個がハロゲン化物イオンよりも高い電子求引性を示すものであることが好ましい。六配位錯体中の金属MがOs+2である場合、ハロゲン化物イオンよりも電子求引性の高い配位子が1個だけあれば写真スピードは十分に増加するが、このような配位子が2個以上ある方が好ましい。Ru+2系の錯体の場合、配位子の少なくとも3個がハロゲン化物イオンよりも高い電子求引性を示すことが好ましい。
この第8族配位錯体は、上記のイリジウム錯体と同様に、導入時には対応する等電荷量の対イオンを伴うことができる。上記要件の下、配位子Lは上記配位子L’と同じ常用の配位子の中から(すなわち、McDugleらの米国特許第4,933,272号、同第4,981,781号及び同第5,037,732号、Marchettiらの米国特許第4,937,180号、Keevertらの米国特許第5,037,732号並びにOlmらの米国特許第5,360,712号に記載されている個々の各種配位子形の中から)選ぶことができる。
以下、イリジウム系ドーパントと一緒に使用した場合に写真スピードを増加させることができる第8族配位錯体ドーパントの具体例を挙げる。
【0031】
【化2】
【0032】
平板状粒子のうち全銀量の最高で90%を占める内部領域に、20〜300(好ましくは25〜100)モル部/百万部(mppm)の第8族ドーパントを使用することが考えられる。換言すると、上記濃度範囲を満たすに十分量の第8族ドーパントが、平板状粒子の表面部から全銀量の少なくとも10%分だけ分離されている。粒子内部での第8族ドーパントの埋め込まれる場所が深すぎると、特にドーパント濃度が高まるにつれ、最良の結果が実現されない。従って、第8族ドーパントの使用濃度が100mppmを超える場合には、平板状粒子を形成する全銀量の50%以上を析出させた後に第8族ドーパントを平板状粒子に導入することが好ましい。
【0033】
写真スピードの増加を担う第8族ドーパントは、イリジウム系ドーパントの導入前でも導入後でも導入することができる。本発明が意図する写真スピードの利点を実現するためには、第8族ドーパントの導入前にイリジウム系ドーパントの導入を完了してもよいし、またイリジウム系ドーパントの導入を開始する前に第8族ドーパントの導入を完了してもよく、そして、平板状粒子を形成する全銀量の10%以上(好ましくは20%以上)を、一方のドーパントの添加が完了してから他方のドーパントの導入を開始するまでの間に、析出させる。第8族ドーパントがイリジウム系ドーパントと重なる場合でもイリジウム系ドーパントの性能を損なうことはないが、重なり領域では第8族ドーパントの写真スピード増加性が無効となる。それゆえ、第8族ドーパントとイリジウム系ドーパントとがその粒子内位置によって完全に分離されていない場合でも、上記第8族ドーパントの少なくとも有効濃度分が、上記のように、全銀量の10%、好ましくは20%によってイリジウム系ドーパントと分離されることが考えられる。
このように、Johnsonらの米国特許第5,164,292号明細書には、セレン系ドーパントとイリジウム系ドーパントはハロゲン化銀粒子を形成する際の任意の時点で添加することができると記載されているが、第8族ドーパントの所在とそのイリジウム系ドーパントに対する適切な位置との両方が写真スピードを増加させるための必須条件である。
【0034】
上記していない平板状粒子乳剤の特徴としては、常用の便利ないずれの形態をとることもできる。例えば、乳剤粒子の平均ECDは写真的に有用な最高レベル(典型的には約10μmといわれている)までの範囲をとることができるが、実用上、平板状粒子写真乳剤の平均ECDが5μmを超えることは稀であり、最も典型的には3μm未満の平均ECDを示す。乳剤は多分散形であっても単分散形であってもよい。一般には、粒子ECDの変動係数(COV)が30%未満である比較的単分散形である乳剤を使用することが好ましい。ここで、COVは粒子の標準偏差(σ)を平均ECDで割り算し、その商に100を乗じた値である。
【0035】
本発明の平板状粒子乳剤には分散媒体が含まれる。この分散媒体として、典型的にはゼラチンやゼラチン誘導体のような親水性コロイド解こう剤が挙げられる。写真乳剤用の従来の分散媒体が先に引用したResearch Disclosure(Item 36544、セクションII.ベヒクル、ベヒクル増量剤、ベヒクル様添加剤及びベヒクル関連添加剤)に記載されている。常用の写真乳剤の特徴、写真要素の特徴、露光法及び処理法についての概要は、先に引用したResearch Disclosure(Item 36544)の分散媒体に記載されている。
【0036】
【実施例】
本発明を、以下の具体的実施例によりさらに説明する。
実施例1〜20
これら一連の実施例における各乳剤は、平均等価円直径2.7μm及び平均厚さ0.13μmを示すAgBr95.9I4.1 平板状粒子を含むものとした。これらの平板状粒子は全粒子投影面積の90%を上回る面積を占めた。形成された各平板状粒子はAgBr95.9I4.1 ホスト部分と、ヨウ化物の急激な(投入)添加によって形成されたヨウ臭化銀薄層とを有した。
下記表1に記載した水溶液を使用した。
【0037】
表1
溶液A:ゼラチン(骨)〔10g〕、NaBr〔30g〕、消泡剤〔1.3mL〕、H2 O〔全体を5000mLにする量〕
溶液B:0.393N AgNO3 〔534mL〕
溶液C:2N NaBr〔746mL〕
溶液D:(NH4 )2 SO4 〔5.95g〕、水〔全体を350mLにする量〕
溶液E:2.5N NaOH〔40mL〕
溶液F:4N HNO3 〔25mL〕
溶液G:ゼラチン(骨)〔140.14g〕、H2 O〔全体を1820mLにする量〕、界面活性剤
溶液H:2.709N NaBr〔3646mL〕、0.0413N KI
溶液I:2.75N AgNO3 〔4310mL〕
溶液J:NaBr〔154g〕、水〔全体を817mLにする量〕
溶液K:AgI〔0.36モル〕、ゼラチン(骨)〔14.4g〕、H2 O〔全体を753mLにする量〕
溶液L:ゼラチン(骨)〔301.2g〕、H2 O〔1186.4g〕、殺生剤
溶液M:K4 Ru(CN)6 〔所望のドーパント濃度を付与するのに必要な量に応じて5〜100mLのH2 Oとドーパント〕
溶液N:K2 IrCl6 〔所望のドーパント濃度を付与するのに必要な量に応じて硝酸で酸性にした5〜100mLのH2 Oとドーパント〕
【0038】
乳剤1(ドープされていない対照乳剤)を以下のように調製した。
溶液Aを反応容器に加えて温度を40℃に制御した。その反応容器に攪拌操作を加えた。反応容器内の溶液のpHを6に調整した。次いで、その温度を65℃に上昇させて溶液Bと溶液Cをそれぞれ64mL/分及び15.3mL/分の速度で1分間添加した。次いで、その反応容器に溶液Dを添加した。1分後、溶液Eを添加した。1分30秒後、溶液Fを添加した。1分後、溶液Gを添加した。溶液Gを添加してから5分後、溶液Bと溶液Hをそれぞれ87mL/分及び14.3mL/分の速度で5分間添加し、その間、pAgを9.07に制御しておいた。
溶液I及び溶液Hを添加する際、下記のようにpAgを連続制御した。
【0039】
【0040】
次いで、溶液Jを添加した。2分後、溶液Kを添加した。次いで、溶液Iを50mL/分の速度で24分間にわたり添加したが、その間、溶液Cを用いてpAgを8.17に制御した。乳剤を40℃に冷却し、そして濃縮時にpAgが8.22に到達するまで洗浄した。その後、溶液Lを添加し、そしてその乳剤を攪拌しながら硬化するまで冷却した。
この系列の残りの乳剤については、ドーパント溶液M及び/又はNを下記の方法の一つで添加したことを除き、乳剤1と同様に調製した。
【0041】
方法(1):各乳剤粒子の所望の部分をドープするのに必要な工程a及び/又はbの部分において、溶液Hの一部に添加した。*
方法(2):各乳剤の所望の体積部分を所望のドーパント濃度プロフィールでドープするのに必要な析出工程部分において、一定(c)又は上昇(r)のいずれかの流速で水溶液から添加した。
方法(3):溶液Kに用いたAgI種結晶内にx−y%で示した分率で導入した。
方法(4):溶液Jに添加した。
*ドープされた粒子の部分をx−y%で示す。ここで、xはドーパントの添加開始時点までに添加された全銀量に対する%であり、yはドーパントの添加終了時までに添加された全銀量に対する%である。
表2に、この系列の各乳剤の調製に用いられたドーパントの添加量、所在及び添加方法を示す。
【0042】
* ドーパント所在の種類:host=ホスト成長中に添加、betw=ホスト成長と薄層成長の間に添加、lam =薄層成長中に添加
【0043】
乳剤21
この乳剤は、[Ru(CN)]4-の代わりに[SeCN]1-をカリウム塩として添加したことを除き、乳剤16と同様に調製した。このセレン系ドーパントの濃度は1.42 mppm とし、その公称所在は、添加場所に基づき、Johnson らの米国特許第5,164,292号明細書に記載されている。
増感及び評価
以下の増加色素を使用して増感した。
色素1:アンヒドロ−5,5’−ジクロロ−9−エチル−3,3’−ビス(3−スルホプロピル)チアカルボシアニンヒドロキシド、トリエチルアンモニウム塩
色素2:アンヒドロ−9−エチル−5,5’−ジメチル−3,3’−ビス(3−スルホプロピル)チアカルボシアニンヒドロキシド、トリエチルアンモニウム塩
これらの乳剤と共に以下のカプラー1を塗布した。
【0044】
【化3】
【0045】
乳剤を以下のように増感した。乳剤試料0.25モルを40℃で溶融させた。骨ゼラチンと水を加えて乳剤の全ゼラチン量を65g/Agモルとした。次いで、その乳剤に、チオシアン酸ナトリウムを120mg/Agモル含有する水溶液を添加した。次いで、その乳剤に、攪拌しながら、色素1及び色素2をモル比9:1で添加し、粒子表面の90%単層被覆を提供し、そしてその乳剤を30分間保持した。
【0046】
次いで、金及び硫黄含有化学増感剤、ジチオ硫酸金カリウム二水和物及びチオ硫酸ナトリウム五水和物を、実質的に最適な増感を付与するように選ばれた量で添加した。次いで、20mg/Agモルのベンゾチアゾリウムテトラフルオロボレートを添加し、そしてその乳剤を小分けし、これらを60℃で5〜20分間消化した。その乳剤を40℃に冷却し、さらにゼラチンと水を4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデン(Na+ 塩)と一緒に添加した。
【0047】
上記のように増感した乳剤を、ハレーション防止裏層とゼラチン下塗層を有する酢酸セルロース系写真フィルム用支持体の上に塗布した。乳剤塗布量は1.076g Ag/m2 とした。この層はまた、0.969g/m2 のカプラー1と、界面活性剤と、全含有量3.23g/m2 のゼラチンとを含有した。この乳剤層には、界面活性剤と(全ゼラチン塗布量を基準として)1.75重量%のビス(ビニルスルホニル)メタン硬膜剤とをさらに含むゼラチン層2.15g/m2 を上塗りした。
このように塗布した乳剤に、検量済中性ステップタブレット(濃度範囲0〜4)及びラッテン(商標)23Aフィルター(>560透過)を介して5500°K昼光バランス露光を与えた。
【0048】
次いで、これらの乳剤を、コダック社製Flexicolor(商標)C41カラーネガ処理で2分15秒間現像した。
これらの写真応答を表3に報告した。写真スピードは相対logスピード単位で報告した。相対スピードの各単位差は0.01logEを表す。ここで、Eは露光量(ルクス−秒)を表す。写真スピードの測定は0.01秒間露光した試料に基づいたが、スピードはコントラスト補正、すなわち足濃度Ds において測定した。ここで、Ds −Dmin は、特性曲線上のDs から0.6logE分ずれた点D’とDs の間に引いた線の傾きの20%と等価である。
低照度相反則不軌(LIRF)は、露光量は同等であるが露光時間を0.0001秒〜1秒の間で変化させて得られたDmin より0.15高い濃度において測定した写真スピードの差に基づくものとした。
【0049】
表3
乳剤 相対logスピード/D min LIRF
1 240/07 −15
2 246/08 −20
3 250/07 −11
4 245/07 −28
5 250/08 −12
6 245/08 −12
7 236/10 +1
8 239/09 −2
9 241/09 +3
10 242/08 −2
11 239/10 −3
12 241/09 +3
13 239/09 −2
14 240/08 −1
15 250/09 −4
16 240/09 +3
17 246/09 −5
18 242/08 −9
19 236/10 0
20 254/09 −7
21 239/08 +3
【0050】
乳剤1はドープされていない乳剤であって、残りの乳剤中に存在するドーパントの写真スピード及びLIRFに対する効果を判断するための基準となる。
乳剤2〜6はルテニウムだけをドープした乳剤である。どの場合も、乳剤の写真スピードは乳剤1と比べて改良されているが、LIRFは高い値のままである。LIRFの平均値は−16.6であった。このように、第8族ドーパントはLIRFの縮小には有効ではない。
【0051】
乳剤7はイリジウムだけをドープした乳剤である。LIRFは縮小したが、同時に写真スピードも低下した。
乳剤8〜14はルテニウムとイリジウムをドープした乳剤であって、これらドーパントの粒子内所在に重なりがある乳剤である。LIRFは縮小したが、写真スピードは乳剤1の場合と本質的に同等に保たれた。換言すれば、イリジウム系ドーパントによる写真スピードの低下をルテニウム系ドーパントが埋め合わせをしたが、写真スピードの有意な増加は実現されていない。
【0052】
乳剤16〜19はルテニウムとイリジウムを逐次的にドープした乳剤であるが、これらドーパントの添加を分離するための析出銀量を1.5〜5.5%とした乳剤である。報告した性能は、上記のドーパント添加に重なりがある場合と本質的に同等であった。
乳剤15は、イリジウム系ドーパントとルテニウム系ドーパントとを、全銀量の31%に当たる析出部分を介在させることによって分離したものである。LIRFは小さく、また乳剤の写真スピードは、イリジウムをドーパントとして含有するように調製されたその他のいずれの乳剤と比べても、有意に高くなった。乳剤15は、本発明の規定による第8族ドーパントが、イリジウムのドーピングにより付与されるLIRFの縮小という利益を実現しつつ、本発明による平板状粒子乳剤の写真スピードを有意に増加させることができることを例示するものである。
【0053】
乳剤20は、イリジウム系ドーパントがルテニウム系ドーパントで完全にオーバーラップされているが、有効量のルテニウムがイリジウムから分離されている乳剤である。LIRFが縮小すると共に、乳剤15と同等の写真スピードの増加が実現された。
乳剤21は、乳剤15におけるルテニウム系ドーパントの代わりにセレンをドーパントとして使用したものである。イリジウムに起因しうるLIRFの改良は維持されたが、本発明の乳剤15によって実現された写真スピードの増加は失われた。このことは、セレンのドーパントとしての価値が限られていること、そして本発明が要求するように結晶格子内部に配置された場合に第8族ドーパントよりも明らかに劣っていることを例示するものである。さらに、第8族ドーパントの写真スピード増加効果はセレン及びイリジウムのドーパントの組合せの観測からは予測できなかったことを例示している。
【0054】
以下、本発明の好ましい実施態様を項分け記載する。
〔1〕(a)全粒子投影面積の50%以上を占め、
(b)0.3μm未満の厚さを有し、
(c)70モル%を上回る臭化物と0.25モル%以上のヨウ化物を含有し、
(d){111}主面を有し、
(e)前記{111}主面に隣接している薄層であって、各々、それらが付着している平板状粒子のホスト部分よりもヨウ化物含有量が1モル%以上高く、且つ35ナノメートル未満の厚さを有する薄層を含み、そして
(f)低照度相反則不軌を縮小することができるイリジウム系ドーパントと写真スピード増加性ドーパントとを組み合わせて含有する平板状粒子を含む輻射線感性ハロゲン化銀粒子及び分散媒体を含む乳剤であって、
(g)前記写真スピード増加性ドーパントが、Fe+2、Ru+2及びOs+2の中から選ばれた2価の第8族ドーパントとフッ化物イオンよりも高い電子求引性を示す少なくとも一種の配位子とを含み、
(h)前記第8族ドーパントが、前記平板状粒子のうち全銀量の最高で90%を占める内部領域に、20〜300モル部/百万部の濃度で存在し、そして
(i)前記イリジウム系ドーパントと前記第8族ドーパントの少なくとも20モル部/百万部とが、前記平板状粒子のうち前記平板状粒子を形成している全銀量の10%以上を占める中間部分によって分離された別々の部分に制限されていることを特徴とする乳剤。
【0055】
〔2〕前記イリジウム系ドーパントが、銀の最初の20%が析出した後で且つ銀の最後の10%が析出する前に形成された平板状粒子の領域に存在することをさらに特徴とする、〔1〕項に記載の乳剤。
〔3〕前記イリジウム系ドーパントが、銀の最初の60%が析出した後で且つ銀の最後の20%が析出する前に形成された平板状粒子の領域に存在することをさらに特徴とする、〔2〕項に記載の乳剤。
〔4〕前記写真スピード増加性ドーパントが銀量を基準として25〜100モル部/百万部の濃度で存在することをさらに特徴とする、〔1〕〜〔3〕項のいずれか一項に記載の乳剤。
【0056】
〔5〕前記中間部分が、平板状粒子を形成している全銀量の20%以上を占めることをさらに特徴とする、〔1〕〜〔4〕項のいずれか一項に記載の乳剤。
〔6〕平板状粒子を形成しているハロゲン化銀が本質的にヨウ臭化銀から成ることをさらに特徴とする、〔1〕〜〔5〕項のいずれか一項に記載の乳剤。
〔7〕前記写真スピード増加性ドーパントがOs+2と少なくとも1個のシアノ配位子とを含むことをさらに特徴とする、〔1〕〜〔6〕項のいずれか一項に記載の乳剤。
【0057】
〔8〕前記写真スピード増加性ドーパントがRu+2又はOs+2と少なくとも3個のシアノ配位子とを含むことをさらに特徴とする、〔1〕〜〔6〕項のいずれか一項に記載の乳剤。
〔9〕前記写真スピード増加性ドーパントがFe+2、Ru+2又はOs+2と少なくとも5個のシアノ配位子とを含むことをさらに特徴とする、〔1〕〜〔6〕項のいずれか一項に記載の乳剤。
Claims (1)
- (a)全粒子投影面積の50%以上を占め、
(b)0.3μm未満の厚さを有し、
(c)70モル%を上回る臭化物と0.25モル%以上のヨウ化物を含有し、
(d){111}主面を有し、
(e)前記{111}主面に隣接している薄層であって、各々、それらが付着している平板状粒子のホスト部分よりもヨウ化物含有量が1モル%以上高く、且つ35ナノメートル未満の厚さを有する薄層を含み、そして
(f)低照度相反則不軌を縮小することができるイリジウム系ドーパントと写真スピード増加性ドーパントとを組み合わせて含有する平板状粒子を含む輻射線感性ハロゲン化銀粒子及び分散媒体を含む乳剤であって、
(g)前記写真スピード増加性ドーパントが、Fe+2、Ru+2及びOs+2の中から選ばれた2価の第8族ドーパントとフッ化物イオンよりも高い電子求引性を示す少なくとも一種の配位子とを含み、
(h)前記第8族ドーパントが、前記平板状粒子のうち全銀量の最高で90%を占める内部領域に、20〜300モル部/百万部の濃度で存在し、そして
(i)前記イリジウム系ドーパントと前記第8族ドーパントの少なくとも20モル部/百万部とが、前記平板状粒子を形成している全銀量の10%以上を占める中間部分によって分離された前記平板状粒子の別々の部分に制限されていることを特徴とする乳剤。
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