JP3698660B2 - 発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体、その製造方法および発泡樹脂成形用金型 - Google Patents
発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体、その製造方法および発泡樹脂成形用金型 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品用等のカップ容器、包装容器、輸送容器、緩衝材、建築材、自動車用途の内装材、防露タンクの内装材等に用いられる、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体、その製造方法および発泡樹脂成形用金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ビーズ法型内発泡成形方法による発泡樹脂成形品の表皮に非発泡樹脂成形品を一体化させた積層体は、一対の金型から構成される発泡樹脂成形用金型の一方の型に、真空成形機等で成形された非発泡樹脂成形品を装着し、非発泡樹脂成形品と他方の金型との空間に発泡樹脂粒子を充填し、発泡樹脂粒子同士を加熱融着させるとともに非発泡樹脂成形品を加熱することにより、非発泡樹脂成形品と発泡樹脂成形品とを融着一体化する方法により得られることが知られている。
【0003】
例えば、特開平8−53190号公報には、ポリオレフィン系発泡樹脂成形品と、耐水性非発泡樹脂成形品および融着性非発泡樹脂成形品からなる少なくとも2層の非発泡樹脂成形品とを、ビーズ法型内発泡成形方法で一体化した積層体の製造方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような方法で得られた積層体は、従来のポリスチレン系発泡樹脂成形品とポリスチレン系非発泡樹脂成形品との積層体に比べて柔軟であるので、防露タンクの内装材として使用する場合、タンク内への取り付け作業性においては問題ないが、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との接着強度が不充分であり、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との接着面で剥がれやすいという問題があった。さらに、このような方法では、ビーズ法型内発泡成形方法において加熱温度を高くすると、金型に接する発泡樹脂粒子のみが融着して、蒸気が金型間内部の発泡樹脂粒子まで届き難いために、金型間(金型キャビティ)内部の発泡樹脂粒子が融着しないという問題があった。
【0005】
このような問題に対して、ビーズ法型内発泡成形方法における加熱温度を通常の成形温度より高くして、発泡樹脂成形体と非発泡樹脂成形体との接着強度を高めることが考えられるが、通常、加熱は蒸気を供給することにより行っていることから、従来の金型を利用した場合、高圧の蒸気が必要となり、金型の構造上および操作上において問題がある。
以上の問題に鑑みて、本発明は、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との接着強度の優れた積層体を効率よく得ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、一対の金型から構成される発泡樹脂成形用金型の一方の金型に非発泡樹脂成形品を装着し、発泡樹脂粒子を金型キャビティに充填した後、金型の成形表面に設けられた蒸気孔から金型キャビティに蒸気を導入することにより、発泡樹脂粒子同士を加熱融着させて発泡樹脂成形品を成形するとともに非発泡樹脂成形品を加熱して、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品とが一体化した積層体を製造する方法において、非発泡樹脂成形品を装着する側の金型に設けられた蒸気孔の金型成形表面における単位面積当たりの開口面積が、発泡樹脂粒子同士を加熱融着する側の金型に設けられた蒸気孔の金型成形表面における単位面積当たりの開口面積に対して1.5〜4.0倍である発泡樹脂成形用金型を用いることを特徴とする、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体の製造方法が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、上記の方法により得られた積層体が提供される。
さらに、本発明によれば、上記の方法で用いられる発泡樹脂成形用金型が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
図1に示すように、本発明の方法で用いられる発泡樹脂成形用金型は、凸金型2を固定した固定盤4と、凹金型1を固定した移動可能な移動盤5とから構成される。凹金型1と凸金型2とを型閉めすると、これら金型間に金型キャビティ3が形成される。凹金型1は、離型ピン9および内部に加熱室1aを有しており、蒸気および冷却水の供給口1b、ドレン排出口1c、発泡樹脂粒子を金型キャビティ3に充填するための充填装置(図示略)および/または排出エアー口(図示略)を備えている。また、凸金型2は、内部に加熱室2aを有しており、蒸気および冷却水の供給口2b、ドレン排出口2c、排出エアー口(図示略)を備えている。また、加熱室1aと加熱室2aには、金型成形表面(金型キャビティ3側)に複数の蒸気孔8を備えている。
【0009】
上記の移動盤5は、横方向に移動して金型を開閉するものであってもよいし、上下方向に移動して金型を開閉するものであってもよいが、横方向に移動するものであれば、加熱室(1a、2a)に設けられるドレン排出口(1c、2c)を金型下部に設けることが容易であり、しかも金型内にドレンが残存し難いという点で好ましい。
【0010】
上記の凹金型1および凸金型2を構成する材料としては、例えば鉄、銅、黄銅、ニッケル、アルミニウムや、それらの合金等が挙げられる。上記の金型に加え、両金型は、加熱室1aおよび2aに連通する微細な通気孔を表面全体または任意の個所に有している通気性電鋳型[例えば、江南特殊産業株式会社製のポーラスデンチュウ(商品名)]、金属またはセラミック粒子を所定の条件で焼結して表面全体に微細な通気孔を形成した通気性金属型、通気性セラミック型[例えば、新東工業株式会社製のポーセラックス11(商品名)]等を金型として用いてもよい。
【0011】
なお、金型の形状は、凸型または凹型に限定されることなく、成形品の形状に合わせて適宜選択することができる。例えば、プレート状の成形品を得ようとする場合は凹凸のない平らな形状が採用される。
【0012】
上記の蒸気孔8の形状は、金型キャビティ3内に蒸気等の加熱媒体を導入できるものであれば特に限定されず、例えばコアベント型、キリ孔型、スリット型などのいずれでもよい。複数の蒸気孔8は、発泡樹脂粒子および非発泡樹脂成形品のそれぞれを均一に加熱するために、等間隔に配置されているのが好ましく、千鳥状に配置されているのがさらに好ましい。蒸気孔8の金型成形表面における単位面積当たりの開口面積の割合は、発泡樹脂粒子同士を加熱融着する側の金型で通常、0.4〜5.0%程度である。非発泡樹脂成形品を装着する側の金型に設けられた蒸気孔8の金型成形表面における単位面積当たりの開口面積が、発泡樹脂粒子同士を加熱融着する側の金型に設けられた蒸気孔8の金型成形表面における単位面積当たりの開口面積よりも大きくなされており、前者の開口面積は、後者の開口面積に対して1.5〜4.0倍程度であり、1.7〜3.5倍程度である発泡樹脂成形用金型を用いることが好ましい。これにより、非発泡樹脂成形品を装着する側の金型成形表面における単位面積当たりの非発泡樹脂成形品に与える熱量が、発泡樹脂粒子同士を加熱融着する側の金型成形表面における単位面積当たりの発泡樹脂粒子に与える熱量よりも大きくなる。前者の開口面積が、後者の開口面積の1.5倍を下回ると、非発泡樹脂成形品と発泡樹脂成形品との接着強度が低下する。また、前者の開口面積が、後者の開口面積の4.0倍を上回ると、成形時、非発泡樹脂成形品の表面が熱により融けて破損しているのに対して、発泡樹脂粒子同士がまだ融着していない現象が発生して好ましくない。
【0013】
なお、発泡樹脂成形用金型には、図示されていないが、通常、充填エアー弁、蒸気弁、ドレン弁、冷却水弁、排出エアー弁等の各種の減圧弁(レギュレーター)および電磁弁と、これらの弁を制御する制御盤とを備えている。
【0014】
本発明の方法では、先ず、一対の金型から構成される発泡樹脂成形用金型の凹金型1または凸金型2のいずれか一方の金型に非発泡樹脂成形品を装着する。
非発泡樹脂成形品の金型への装着は、通常手作業またはロボット等による機械作業により行われる。
【0015】
非発泡樹脂成形品は、例えばフィルム状あるいはシート状のものおよび成形品が用いられ、その表面にしぼ等の凹凸模様が形成されたものであってもよい。非発泡樹脂成形品は、単層または2層以上に積層したものであってもよいが、所望の強度を付与するためには積層したものが好ましい。非発泡樹脂成形品の肉厚は、0.05〜1.0mm程度が好ましく、0.1〜0.6mm程度がさらに好ましい。非発泡樹脂成形品の肉厚が0.05mmを下回ると、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体を成形するときに、非発泡樹脂成形品が熱で破損するおそれがあるので好ましくない。また、非発泡樹脂成形品の肉厚が1.0mmを上回ると、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との接着強度が低下するので好ましくない。
【0016】
非発泡樹脂成形品は、非発泡樹脂を、例えば真空成形、射出成形、ブロー成形、圧縮成形等の方法により成形したものが用いられる。
非発泡樹脂としては、例えばポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−無水マレイン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニール共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、アセテート、ビニル等が挙げられる。
【0017】
非発泡樹脂成形品を一方の金型に装着して所望の間隔(クラッキング)を残して金型を型閉めした後、いずれか一方の金型側から金型キャビティ3に発泡樹脂粒子を充填する。
金型キャビティ3に発泡樹脂粒子を充填する時の間隙は、発泡樹脂粒子の発泡倍率、装着する非発泡樹脂成形品の肉厚などに応じて、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体肉厚にクラッキング量を加え、適宜設定される。
【0018】
発泡樹脂粒子は、揮発性発泡剤を含有する樹脂粒子を予備発泡することにより得られたものであり、その嵩倍率は通常3〜110倍程度、好ましくは10〜60倍程度であり、粒径は通常0.2〜1.7mm程度である。
樹脂粒子としては、揮発性発泡剤を含有でき、型内ビーズ発泡成形が可能なものであれば特に制限されず、例えばポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−無水マレイン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ポリエチレン共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニール共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、その他、共重合体系の各種合成樹脂等が挙げられる。
【0019】
揮発性発泡剤としては、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロブタン等の環状脂肪族炭化水素類;トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロジフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、メチルクロライド、メチレンクロライド、エチルクロライド等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。これらの発泡剤はそれぞれ単独で、または2種以上を組合わせて用いてもよい。
また、樹脂粒子には発泡助剤を含有させてもよく、発泡助剤としては、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン等の環状脂肪族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等が挙げられる。
【0020】
また、樹脂粒子には、発泡性の向上や発泡体の物性(例えば、発泡性、軟質性、引張強度、耐熱性、耐候性等)の改善を目的とした各種添加剤(例えば、核剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、無機添加剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、滑剤、顔料等)を含有してもよい。
【0021】
核剤としては、例えば酸化チタン、タルク、カオリン、クレー、珪酸カルシウム、シリカ、クエン酸ソーダ、炭酸カルシウム、珪藻土、焼成パーライト、ゼオライト、ベントナイト、ガラス、石灰石、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸第二鉄等が挙げられる。
【0022】
なお、発泡樹脂粒子を非発泡樹脂成形品に熱融着一体化させやすく、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との接着強度を向上させるために、発泡樹脂成形品の材料と非発泡樹脂成形品の材料とは同じ系統の材質であるのが好ましい。
具体的には、発泡樹脂成形品および非発泡樹脂成形品が、50%以上の共通樹脂成分からなることが好ましい。
発泡樹脂成形品および非発泡樹脂成形品の共通樹脂成分が50%を下回ると、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との接着強度が弱くなり、使用中簡単に剥離する点で問題がある。
【0023】
しかしながら、例外として、発泡樹脂成形品がポリスチレン50%以上とポリエチレン50%未満とのスチレン改質ポリエチレン系樹脂からなり、非発泡樹脂成形品がポリエチレンからなるものは、発泡樹脂成形品が上記と同じスチレン改質ポリエチレン系樹脂からなり、非発泡樹脂成形品がポリスチレンからなるものよりも、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との接着強度は大きいので好ましい。この理由としては、ポリスチレン50%以上とポリエチレン50%未満とのスチレン改質ポリエチレン系樹脂の表皮は、ポリエチレンで形成されているからと考えられる。
【0024】
次に、発泡樹脂粒子を金型キャビティに充填した後、金型を密閉し、金型の成形表面に設けられた蒸気孔から金型キャビティ3に蒸気等の加熱媒体を導入することにより、発泡樹脂粒子同士を加熱融着させて発泡樹脂成形品6を成形するとともに、非発泡樹脂成形品7を加熱して、加熱融着した発泡樹脂粒子と非発泡樹脂成形品とを加熱融着して、発泡樹脂成形品6と非発泡樹脂成形品7とが一体化した積層体を製造する。
【0025】
このときの加熱条件は、例えば、発泡樹脂粒子がポリスチレン、非発泡樹脂成形品がハイインパクトポリスチレンの場合、金型表面温度は70〜125℃程度であり、加熱時間は30秒〜7分程度である。
加熱条件は、発泡樹脂粒子および非発泡樹脂成形品の材質、発泡樹脂成形品および非発泡樹脂成形品の肉厚により適宜調整される。
【0026】
次に、金型内部の加熱室に、冷却水等の冷却媒体を供給して金型を冷却した後、金型を開いて、金型キャビティ内から発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体を離型する。得られた積層体において、非発泡樹脂成形品の肉厚は、加熱成形する前と同一であった。
【0027】
発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体の肉厚は、通常0.5〜100mm程度である。
積層体における発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との接着強度は、0.5〜6.0N/cm程度であるが、1.0〜6.0N/cm程度が好ましい。接着強度が0.5N/cmを下回ると、接着強度が不充分で長期使用が難しいので好ましくない。接着強度が6.0N/cmを上回ると、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との接着面で剥離する前に発泡樹脂成形品が破壊され易くなるので好ましくない。
【0028】
接着強度の測定方法は、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体の各側面より1個、底面より1個の合計5個の20cm×3cmの試験片を切り出し、全ての試験片において、非発泡樹脂成形品を試験片の長手方向に11cm剥離した後、テンシロン(島津製作所製、AG−5000A)にて、試験片の両端をチャックで保持し、引っ張りスピード10cm/分で引っ張ったときの引っ張り荷重の平均値(N)を次式に代入することにより算出される。
接着強度(N/cm)= 引っ張り荷重の平均値(N)/3(cm)
【0029】
本発明の方法によれば、非発泡樹脂成形品を装着する側の金型の蒸気孔の金型成形表面における単位面積当たりの開口面積が、発泡樹脂粒子同士を融着する側の金型のそれよりも大きい発泡樹脂成形用金型を用いるので、発泡樹脂粒子同士の加熱融着と、加熱融着した発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との加熱融着が並行して効率よく行われ、成形時の加熱時間を短縮することができ、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品とが一体化した積層体を効率よく製造することができる。また、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との接着強度が優れ、外観の美麗な発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体を製造することができる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0031】
実施例1
図1に示すように、移動可能な移動盤5に固定された凹金型1と、固定盤4に固定された凸金型2とから構成される一対の金型である発泡樹脂成形用金型を用いて発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体を製造した。
【0032】
凹金型1は、内部に加熱室1aを有しており、蒸気および冷却水の供給口1bおよびドレン排出口1cを備えている。また、凸金型2は、内部に加熱室2aを有しており、蒸気および冷却水の供給口2bおよびドレン排出口2cを備えている。凹金型1と凸金型2を型閉めすると、両金型間に金型キャビティ3が形成される。金型キャビティ3の寸法は、長辺が300mm、短辺が180mm、深さが350mm、肉厚が15mmであり、金型キャビティ3の内容積は、5333ccである。凹金型1と凸金型2には、それぞれ金型キャビティ3側に蒸気孔8が設けられている。非発泡樹脂成形品を装着する凸金型2の蒸気孔8の金型成形表面における単位面積当たりの開口面積は、凹金型1のそれに対して1.8倍である。
【0033】
先ず、凹金型1と凸金型2とを完全に型閉めした後、両金型内部の加熱室に蒸気を導入して両金型の成形面側表面温度が100℃になるまで15秒間予備加熱した。次に、金型を開いて、予め真空成形した非発泡樹脂成形品7(ポリスチレン90%およびゴム10%のハイインパクトポリスチレン成形品、寸法:長辺270mm、短辺150mm、深さ335mm、肉厚0.3mm)を、図1に示すように一方の金型である凸金型2に装着した。
【0034】
次に、凹金型1と凸金型2を、金型キャビティ3の厚みがクラッキング2mmになるように型閉めした後、充填エアー弁(図示略)を開いて金型キャビティ3に発泡樹脂粒子を充填した。この発泡樹脂粒子は、発泡剤を含有した発泡性ポリスチレン樹脂粒子[積水化成品工業(株)製、商品名:エスレンビーズHEM]を嵩倍率で30倍に予備発泡したものである。
【0035】
次に、完全に金型を型閉めした後、両金型内部の加熱室のドレン排出口1c、2cを開いた状態で蒸気および冷却水の供給口1b、2bを開き、蒸気を導入させて、両金型の成形面側表面温度が110℃になるまで10秒間加熱した。次に、ドレン排出口1c、2cを閉じ、両金型の成形面側表面温度が115℃になるまで30秒間加熱して、発泡樹脂粒子を型内ビーズ発泡成形方法により、発泡樹脂粒子同士を加熱融着させて発泡樹脂成形品を成形するとともに、非発泡樹脂成形品を加熱させた。
【0036】
次に、ドレン排出口1c、2cを開いた後、加熱室の蒸気および冷却水の供給口1b、2bより、冷却水を金型に向けて10秒間散水して両金型を冷却し、さらに真空放冷した。次に、金型を開き、離型ピン9を用いて金型キャビティ3から積層体を離型することにより、発泡樹脂成形品内部の融着が80%で、非発泡樹脂成形品の肉厚が0.3mmであり、かつ肉厚14.7mmの発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品とが融着一体化した長辺270mm、短辺150mm、深さ335mm、肉厚15mmの寸法の表面が美麗な積層体を得た。
なお、発泡樹脂粒子充填後の型閉めから離型までに要した時間は350秒であった。
【0037】
得られた積層体の、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との接着強度を、テンシロン(島津製作所社製、商品名:AG−5000A)を用いて、上記の測定方法により測定した。その測定結果と、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体の外観並びに発泡樹脂成形品内部の融着を評価した総合評価を表1に示す。
なお、積層体の外観は、目視することにより評価し、発泡樹脂成形品内部の融着は、発泡樹脂成形品を割って目視することにより評価した。
接着強度が0.5N/cm以上であり、外観がよく、発泡樹脂成形品内部の融着が70%以上である積層体を○とし、それ以外を×とした。
【0038】
実施例2
凸金型の蒸気孔の金型成形表面における単位面積当たりの開口面積が、凹金型のそれに対して3.6倍である以外は、実施例1と同様にして発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体を得た。積層体の接着強度と総合評価を表1に示す。
【0039】
実施例3
非発泡樹脂成形品の肉厚を0.8mmにした以外は、実施例1と同様にして発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体を得た。積層体の接着強度と総合評価を表1に示す。
【0040】
実施例4
実施例1に記載の発泡樹脂成形用金型を用いて発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体を製造した。
先ず、凹金型1と凸金型2とを完全に型閉めした後、両金型内部の加熱室に蒸気を導入して両金型の成形面側表面温度を100℃になるまで15秒間予備加熱した。次に、金型を開いて、予め真空成形した非発泡樹脂成形品(ポリエチレン成形品、寸法:長辺270mm、短辺150mm、深さ335mm、肉厚0.8mm)を、図1に示すように凸金型2に装着した。
【0041】
次に、金型キャビティ3の厚みが、クラッキング5mmになるように型閉めした後、充填エアー弁(図示略)を開いて金型キャビティ3に発泡樹脂粒子を充填した。この発泡樹脂粒子は、発泡剤を含有したポリスチレン約60%とポリエチレン約40%とのスチレン改質ポリエチレン系樹脂[積水化成品工業(株)製、商品名:ピオセランPOOP]を嵩倍率で30倍に予備発泡したものである。
【0042】
次に、完全に金型を型閉めした後、両金型内部の加熱室のドレン排出口1c、2cを開いた状態で蒸気および冷却水の供給口1b、2bを開き、蒸気を導入させて、両金型の成形面側表面温度が115℃になるまで10秒間加熱した。その後、ドレン排出口1c、2cを閉じ両金型の成形面側表面温度が125℃になるまで45秒間加熱して、発泡樹脂粒子を型内ビーズ発泡成形方法により発泡樹脂粒子同士を加熱融着させて発泡樹脂成形品を成形するとともに非発泡樹脂成形品を加熱させた。
【0043】
次に、ドレン排出口1c、2cを開いた後、加熱室の蒸気および冷却水の供給口1b、2bより、金型に向けて冷却水を15秒間散水して両金型を冷却し、さらに真空放冷した。次に、金型を開き、離型ピン9を用いて金型キャビティ3から積層体を離型して、発泡樹脂成形品内部の融着が80%で、非発泡樹脂成形品の肉厚が0.8mmであり、かつ肉厚14.2mmの発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品とが融着一体化した長辺270mm、短辺150mm、深さ335mm、肉厚15mmの寸法の表面が美麗な積層体を得た。
なお、発泡樹脂粒子充填後の型閉めから離型までに要した時間は400秒であった。
【0044】
得られた発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体の、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との接着強度を、テンシロン(島津製作所社製、商品名:AG−5000A)を用いて、上記の測定方法により測定した。その測定結果と積層体の総合評価を表1に示す。
【0045】
比較例1
凸金型の蒸気孔の金型成形表面における単位面積当たりの開口面積が、凹金型のそれに対して1.0倍である以外は、実施例1と同様にして発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体を得た。積層体の接着強度と総合評価を表1に示す。
【0046】
比較例2
凸金型の蒸気孔の金型成形表面における単位面積当たりの開口面積が、凹金型のそれに対して4.5倍である以外は、実施例1と同様にして発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体を得た。この積層体は、非発泡樹脂成形品の一部が溶けて破損し、発泡樹脂成形品の中心部には融着30%以下の部分があった。積層体の接着強度と総合評価を表1に示す。
【0047】
【表1】
* A/B = 非発泡樹脂成形品を装着した凸金型の蒸気孔の金型成形表面における単位面積当たりの開口面積/凹金型の蒸気孔の金型成形表面における単位面積当たりの開口面積
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、非発泡樹脂成形品を装着する側の金型に設けられた蒸気孔の金型成形表面における単位面積当たりの開口面積を、他方の金型のそれに対して1.5〜4.0倍としたので、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との接着強度が優れた積層体を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に使用される発泡樹脂成形用金型の要部概略断面図である。
【符号の説明】
1 凹金型
2 凸金型
1a、2a 加熱室
1b、2b 蒸気および冷却水の供給口
1c、2c ドレン排出口
3 金型キャビティ
4 固定盤
5 移動盤
6 発泡樹脂成形品
7 非発泡樹脂成形品
8 蒸気孔
9 離型ピン
Claims (7)
- 一対の金型から構成される発泡樹脂成形用金型の一方の金型に非発泡樹脂成形品を装着し、発泡樹脂粒子を金型キャビティに充填した後、金型の成形表面に設けられた蒸気孔から金型キャビティに蒸気を導入することにより、発泡樹脂粒子同士を加熱融着させて発泡樹脂成形品を成形するとともに非発泡樹脂成形品を加熱して、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品とが一体化した積層体を製造する方法において、
非発泡樹脂成形品を装着する側の金型に設けられた蒸気孔の金型成形表面における単位面積当たりの開口面積が、発泡樹脂粒子同士を加熱融着する側の金型に設けられた蒸気孔の金型成形表面における単位面積当たりの開口面積に対して1.5〜4.0倍である発泡樹脂成形用金型を用いることを特徴とする、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体の製造方法。 - 非発泡樹脂成形品を装着する側の金型成形表面における単位面積当たりの非発泡樹脂成形品に与える熱量が、発泡樹脂粒子同士を加熱融着する側の金型成形表面における単位面積当たりの発泡樹脂粒子に与える熱量よりも大きい請求項1に記載の積層体の製造方法。
- 請求項1または2に記載の製造方法により得られ、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との接着強度が0.5〜6.0N/cmである、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体。
- 請求項1または2に記載の製造方法により得られ、非発泡樹脂成形品の肉厚が0.05〜1.0mmである、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品との積層体。
- 発泡樹脂成形品および非発泡樹脂成形品が、50%以上の共通樹脂成分からなる請求項3または4に記載の積層体。
- 発泡樹脂成形品が、ポリスチレン50%以上とポリエチレン50%未満とのスチレン改質ポリエチレン系樹脂からなり、非発泡樹脂成形品が、ポリエチレンからなる請求項3または4に記載の積層体。
- 一対の金型から構成される発泡樹脂成形用金型の一方の金型に非発泡樹脂成形品を装着し、発泡樹脂粒子を金型キャビティに充填した後、金型の成形表面に設けられた蒸気孔から金型キャビティに蒸気を導入することにより、発泡樹脂粒子同士を加熱融着させて発泡樹脂成形品を成形するとともに非発泡樹脂成形品を加熱して、発泡樹脂成形品と非発泡樹脂成形品とが一体化した積層体を製造する発泡樹脂成形用金型において、
非発泡樹脂成形品を装着する側の金型に設けられた蒸気孔の金型成形表面における単位面積当たりの開口面積が、発泡樹脂粒子同士を加熱融着する側の金型に設けられた蒸気孔の金型成形表面における単位面積当たりの開口面積に対して1.5〜4.0倍であることを特徴とする発泡樹脂成形用金型。
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