JP3698557B2 - 建設機械の作業装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として油圧ショベルなど建設機械に装着されている作業装置、例えば側辺掘削用作業装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10は、従来より多く使用されている油圧ショベル1の側面図である。図において、2は油圧ショベル1の上部旋回体、3は下部走行体、4は上部旋回体2のフロント部に装備している側辺掘りアタッチメント(以下、側辺掘削用作業装置という)、5は側辺掘削用作業装置4のリアブーム(以下、ロアブームという)、6はフロントブーム(以下、オフセットブームという)、7はアッパブーム、8はアーム、9はバケット、10はブームシリンダ、11はアームシリンダ、12はバケットシリンダ、13はオフセットシリンダである。
【0003】
図11は、実開平6−71988号公報に記載されている側辺掘削用作業装置4’の要部側面図である。図において、図10に示す側辺掘削用作業装置4と同一構成要素を使用しているものに対しては同符号を付す。5’はロアブーム、25は配管取付装置24のブラケット板、26a,26bはアームシリンダ11のヘッド側油室に通じる配管のうちのそれぞれ油圧ホース(弾性配管)、27a,27bはバケットシリンダ12のヘッド側油室に通じる配管のうちのそれぞれ油圧ホース、28a,28bはオフセットシリンダ13のヘッド側油室に通じる配管のうちのそれぞれ油圧ホースである。
【0004】
図12は、図11のA−Aより見た図である。図において、32はアームシリンダ11のヘッド側油室に通じる油路(油圧ホース26aと26bとを接続している中継パイプ32Bの管路)、33はバケットシリンダ12のヘッド側油室に通じる油路(油圧ホース27aと27bとを接続している中継パイプ33Bの管路)、34はオフセットシリンダ13のヘッド側油室に通じる油路(油圧ホース28aと28bとを接続している中継パイプ34Bの管路)、38はアームシリンダ11のロッド側油室に通じる油路(中継パイプ38Rに連通している管路)、39はバケットシリンダ12のロッド側油室に通じる油路(中継パイプ39Rに連通している管路)、40はオフセットシリンダ13のロッド側油室に通じる油路(中継パイプ40Rに連通している管路)である。
【0005】
従来より、油圧ショベルに装備している側辺掘削用作業装置では、ロアブーム5(図10に示す)の前部に連結されたオフセットブーム6が平行リンクを形成し、オフセットシリンダ13を伸縮操作することにより、アーム8及びバケット9を左右にオフセット移動させるようにしている。また図11に示す従来技術の一実施例側辺掘削用作業装置4’では、ロアブーム5’の側面に配管取付装置24を設け、アームシリンダ11,バケットシリンダ12,オフセットシリンダ13に接続される給排用の油圧配管を、整然かつ正確に配設するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術の側辺掘削用作業装置では、油圧ショベルの上部旋回体に搭載した油圧ポンプ(メインポンプであるが、図示していない)からの圧油を、給排回路を通じて、オフセットシリンダに供給するようにしている。しかし前記油圧ショベルの作業時に上部旋回体の旋回を行っているとき、例えば予期しない何らかの理由で前記給排回路の接続が外れて作動油が外部に放出された場合には、前記側辺掘削用作業装置のオフセット状態がフリーになって、振り回わされるおそれがある。本発明は、側辺掘削用作業装置のオフセットブームの内側に配設しているオフセットシリンダに対して、ヘッド側保持機能弁とロッド側保持機能弁とをコンパクトに設けるようにした建設機械の作業装置を提供することを目的とする。
【0007】
本発明では、機体に上下方向に揺動自在に枢着されたロアブームと、前記ロアブームの先端に左右方向に揺動自在に枢着されたオフセットブームと、前記オフセットブームの先端に左右方向に揺動自在に枢着されたアッパブームと、前記アッパブームに前後方向に揺動自在に枢着されたアームと、側面視で前記オフセットブームから上下方向に突出しない状態で前記オフセットブームの側方に配置され、前記オフセットブームを左右方向に揺動させるオフセットシリンダとを有する建設機械において、前記オフセットシリンダのヘッド側油室及びロッド側油室の油密状態を保持可能な保持機能弁を有し、前記保持機能弁を、オフセットブームから上下方向に突出せず、かつ、前記オフセットシリンダを含む前記オフセットブームの全幅から側方に突出しないように、前記オフセットシリンダの下方あるいは上方の何れか一方に対して固定した。
【0008】
これにより、作業装置(側辺掘削用作業装置)のオフセットシリンダを操作して所要のオフセット量を設定した後には、前記オフセットシリンダのヘッド側油室及びロッド側油室はともに、前記保持機能弁によって油密状態に保持される。したがって前記油圧ショベルの作業時に上部旋回体の旋回を行っているとき、例えば予期しない何らかの理由で前記オフセットシリンダ用の給排回路の接続が外れて作動油が外部に放出された場合でも、オフセット状態は固定状態に保持され、フリー状態になるトラブルを防止することができる。また前記保持機能弁を前記オフセットシリンダに対して固定したので、前記保持機能弁の配置が、上部旋回体の狭隘なレイアウトスペースに悪影響を及ぼすことはない。また前記作業装置の組立時には、予め前記オフセットシリンダと前記保持機能弁を一体形にサブ組立し、能率的な組立を行うことができる。また作業装置に組付けられている前記オフセットシリンダ,前記保持機能弁などの点検,修理,或いは取付け替えなどを行うときには、前記作業装置のオフセットブームの先端側を地面近くまで降下させて容易に実施できるので、メンテナンス上、非常に便利である。
【0009】
更に、前記保持機能弁を、オフセットブームから上下方向に突出せず、かつ、前記オフセットシリンダを含む前記オフセットブームの全幅から側方に突出しないように、前記オフセットシリンダの下方あるいは上方の何れか一方に対して固定したので、平行リンクを形成している前記オフセットブームより外側に前記保持機能弁が突出しないので、外部の障害物に対して前記保持機能弁が衝突する事故を防止することができる。
【0010】
更に前記保持機能弁は、オフセットシリンダのヘッド側油室に連通するヘッド側保持機能弁と、オフセットシリンダのロッド側油室に連通するロッド側保持機能弁と、であり、前記オフセットシリンダの作動を制御する方向切換弁と、前記方向切換弁と前記保持機能弁を油路連通する弾性配管と、を有し、前記ヘッド側保持機能弁と前記ロッド側保持機能弁の前記方向切換弁側の配管接続ポートが機体側に向くように配置した。これにより、前記オフセットシリンダのヘッド側油室,ロッド側油室はそれぞれ前記ヘッド側保持機能弁,前記ロッド側保持機能弁によって確実に油密状態を保持できるとともに、前記両保持機能弁に対して前記弾性配管を効率的かつ整然と配管することができる。
【0011】
更に、ヘッド側保持機能弁と前記ロッド側保持機能弁は各々別体に構成されるとともに、同一の形状を有し、前記ヘッド側保持機能弁とロッド側保持機能弁の背面を合わせて、前記オフセットシリンダに取付けた。これにより、前記保持機能弁の製作を容易かつ安価にできるともに、前記保持機能弁の前記オフセットシリンダに対する組立性及びメンテナンス性の面で、非常に有利である。
【0012】
更に、前記ヘッド側保持機能弁と前記ロッド側保持機能弁は、前記オフセットシリンダに巻かれるバンド部材により、オフセットシリンダに対して着脱自在に取り付けられるようにした。これにより、前記両保持機能弁の前記オフセットシリンダに対する組立性とメンテナンス性を向上させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態の作業装置(側辺掘削用作業装置)4aを装備した油圧ショベル1aの一部切開側面図である。図において、2aは油圧ショベル1aの上部旋回体、3aは下部走行体、4aは上部旋回体2aのフロント部に装備している作業装置、5aは作業装置4aのロアブーム、6aはオフセットブーム、7aはアッパブーム、8aはアーム、9aはバケット、10aはブームシリンダ、11aはアームシリンダ、12aはバケットシリンダ、13aはオフセットシリンダである。
【0014】
図2は、前記油圧ショベル1aに装備した作業装置4a用の要部油圧回路図である。図において、14は前記上部旋回体2aに搭載されている動力源であるエンジン、15はエンジン14によって回転駆動されメイン圧油を吐出する油圧ポンプ、16はパイロット一次圧を吐出するパイロットポンプ、29は作動油タンク、30はオフセットシリンダ13a制御用の方向切換弁であるオフセット用パイロット切換弁(以下、オフセット用方向切換弁という)、31,31’はオフセット用方向切換弁30のそれぞれパイロットポート、35H,35Rはオフセットシリンダ13aのそれぞれヘッド側油室,ロッド側油室、36H,36Rは前記ヘッド側油室35H,ロッド側油室35Rをそれぞれ油密状態に保持可能なそれぞれヘッド側保持機能弁,ロッド側保持機能弁(保持機能弁は、ホールディングバルブとも呼ばれている)、37H,37Rはヘッド側保持機能弁36H,ロッド側保持機能弁36Rにそれぞれそなえられメイン圧油の通過油路を遮断又は開通するロジック弁、41H,41Rはロジック弁37H,37Rのそれぞれ作動を制御する各パイロット開閉弁、42はオフセット用方向切換弁30と前記パイロット開閉弁41H,41Rを連動切換操作するオフセット用油圧リモコン弁(レバー操作式,ペダル操作式のものがある)、43H,43Rはオフセット用方向切換弁30とヘッド側保持機能弁36H,ロッド側保持機能弁36Rとをそれぞれ連通している給排管路(弾性配管である油圧ホースを使用している)、44Hは給排管路43Hが接続されているヘッド側保持機能弁36Hの配管接続ポート、44Rは給排管路43Rが接続されているロッド側保持機能弁36Rの配管接続ポートである。
【0015】
図3は、図1におけるオフセットシリンダ13a付近の点検等を行うために、アーム8aを引込操作して、オフセットブーム6aの先端側を地面(G.L.)近くまで降下させた状態を示す油圧ショベル1aの正面図である。
【0016】
図4は、図1のB部拡大図である。図において、36H,(36R)はそれぞれヘッド側保持機能弁,ロッド側保持機能弁(ロッド側保持機能弁36Rはヘッド側保持機能弁36Hの向う側にあるので、図示では見えない)、44H,(44R)はそれぞれヘッド側保持機能弁36H,(ロッド側保持機能弁36R)の配管接続ポート(配管接続ポート44Rは配管接続ポート44Hの向う側にあるので、図示では見えない)、43H,(43R)はそれぞれ配管接続ポート44H,(44R)に接続されている給排管路(給排管路43H,43Rには油圧ホースを使用しているが、給排管路43Rは給排管路43Hの向う側にあるので、図示では見えない)、45はオフセットシリンダ13aに対してヘッド側保持機能弁36Hとロッド側保持機能弁36Rを着脱自在(ボルト締付けによる)に取り付けているバンド部材(本実施形態におけるバンド部材45の材料は帯状薄厚綱板を使用している。
【0017】
図5は、図4のC−Cより見た要部断面図である。図6は、図4のD−Dより見た要部平面図である。
【0018】
次に、本実施形態の作業装置4aの構成及び作用を図1〜図6について述べる。本実施形態では、図1に示すように、上部旋回体2aに上下方向に揺動自在に枢着されたロアブーム5aと、前記ロアブーム5aの先端に左右方向に揺動自在に枢着され、平行リンク(この平行リンクの形状は図3に示している)を形成する左右一対のオフセットブーム6aと、前記オフセットブーム6aの先端に左右方向に揺動自在に枢着されたアッパブーム7aと、前記アッパブーム7aに前後方向に揺動自在に枢着されたアーム8aと、前記オフセットブーム6aの側方に側面視で上下方向に突出しないように、かつ前記左右一対のオフセットブーム6aの間に配置され、前記オフセットブーム6aを左右方向に揺動させるオフセットシリンダ13aとを有する油圧ショベル1aにおいて、前記オフセットシリンダ13aのヘッド側油室35H(図2に示す)及びロッド側油室35Rの油密状態をそれぞれ保持可能な保持機能弁36H,36R(後述するヘッド側保持機能弁36Hとロッド側保持機能弁36Rである)を有し、前記保持機能弁36H,36Rを前記オフセットシリンダ13aに対して固定した。
【0019】
なお上述のように前記オフセットシリンダ13aに対し前記保持機能弁36H,36Rが設けられているが、作業装置4aをオフセット作動させるときには、図2に示すオフセット用油圧リモコン弁42の操作レバー46を中立位置Nより、所要の左方又は右方に操作する。オフセット用油圧リモコン弁42か導出されるパイロット二次圧が、前記保持機能弁36H,36Rのパイロットポート47H又は47Rに作用する。前記保持機能弁36H,36R内のパイロット開閉弁41H,又は41Rが遮断油路位置から絞り部付き開通油路位置に切換わるとともに、オフセット用方向切換弁30はイ位置又はロ位置に切換わるので、オフセットシリンダ13aが伸長又は縮小作動し、支障なく作業装置4aのオフセット操作を行うことができる。
【0020】
これにより、作業装置4aのオフセットシリンダ13aを操作して所要のオフセット量を設定した後(図2に示すオフセット用油圧リモコン弁42の操作レバー46は中立位置Nに戻されているので、前記保持機能弁36H,36R内の各パイロット開閉弁41H,41R、各ロジック弁37H,37Rはすべて油路遮断状態にある)には、前記オフセットシリンダ13aのヘッド側油室35H及びロッド側油室35Rはともに、前記保持機能弁36H,36Rによって油密状態に保持される。したがって前記油圧ショベル1aの作業時に上部旋回体2aの旋回を行っているとき、例えば予期しない何らかの理由で前記オフセットシリンダ13aの給排管路43H,43R(図2に示す)の少くとも一方の接続が外れて作動油が外部に放出された場合でも、オフセット状態は固定状態に保持され、フリー状態になるトラブルを防止することができる。また前記保持機能弁36H,36Rを前記オフセットシリンダ13aに対して固定したので、前記保持機能弁36H,36Rの配置が、上部旋回体2aの狭隘なレイアウトスペースに悪影響を及ぼすことはない。また前記作業装置4aの組立時には、予め前記オフセットシリンダ13aと前記保持機能弁36H,36Rを一体形にサブ組立し、能率的な組立を行うことができる。また作業装置4aに組付けられている前記オフセットシリンダ13a、前記保持機能弁36H,36Rなどの点検,修理、或いは取付け替えなどを行うときには、図3に示すように前記作業4aのオフセットブーム6aの先端側を地面近くまで降下させて容易に実施できるので、メンテナンス上、非常に便利である。
【0021】
更に、前記保持機能弁36H,36Rは、前記オフセットシリンダ13aに対して前記オフセットブーム6aから上下方向に略突出しないように固定した。これにより、平行リンクを形成している前記オフセットブーム6aの上面ハ(図5に示す)、下面ニより外側に前記保持機能弁36H,36Rが突出しないので、外部の障害物に対して前記保持機能弁36H,36Rが衝突する事故を防止することができる。
【0022】
更に前記保持機能弁(36H,36R)は、オフセットシリンダ13aのヘッド側油室35Hに連通するヘッド側保持機能弁36Hと、オフセットシリンダ13aのロッド側油室35Rに連通するロッド側保持機能弁36Rと、であり、前記オフセットシリンダ13aの作動を制御するオフセット用方向切換弁30と、前記オフセット用方向切換弁30と前記保持機能弁36H,36Rを油路連通する弾性配管(油圧ホースであるが、給排管路43H,43Rをいう)と、を有し、前記ヘッド側保持機能弁36Hと前記ロッド側保持機能弁36Rのオフセット用方向切換弁30側の配管接続ポート44H,44Rが機体側(すなわち上部旋回体2a側)に向くように配置した。これにより、前記オフセットシリンダ13aのヘッド側油室35H,ロッド側油室35Rはそれぞれ前記ヘッド側保持機能弁36H,前記ロッド側保持機能弁36Rによって確実に油密状態を保持できるとともに、前記両保持機能弁36H,36Rに対して前記弾性配管(油圧ホースである給排管路43H,43Rを効率的かつ整然と配管することができる。
【0023】
更に、前記ヘッド側保持機能弁36Hと前記ロッド側保持機能弁36Rは各々別体に構成されるとともに、同一の形状を有し、前記ヘッド側保持機能弁36Hとロッド側保持機能弁36Rの背面を合わせて、前記オフセットシリンダ13aの下方に取付けた。これによれば、前記保持機能弁36H,36Rを汎用の保持機能弁で構成できるため、特別な保持機能弁を設定する必要がなく、安価に製作できるとともに部品管理が容易であり、またオフセットシリンダ13aに対する組立性が良好であるが、保持機能弁36H,36Rを1体的に形成した場合であっても、この他の作用は有することができるものであり、本発明全体がこれに限られるものではない。
【0024】
更に、前記ヘッド側保持機能弁36Hと前記ロッド側保持機能弁36Rは、前記オフセットシリンダ13aに巻かれるバンド部材45(本実施形態では帯状薄厚綱板を用いて形成)により、オフセットシリンダ13aに対して着脱自在(符号を付していないボルト締けによる)に取り付けられるようにした。これにより、前記両保持機能弁36H,36Rの前記オフセットシリンダ13aに対する組立性とメンテナンス性を向上させることができる。
【0025】
なお図4〜図6に示す本実施形態における前記保持機能弁36H,36Rは前記オフセットシリンダ13aの下方に取付けているが、下方にだけ取付け可能であるとは限らない。図7は、他実施例保持機能弁36’H,36’Rのオフセットシリンダ13b(図をわかりやすくするために、オフセットシリンダ13bは仮想線で示す)に対する取付状態を示す要部側面図である。図において、44’H,44’Rはそれぞれ保持機能弁36’H,36’Rの各配管接続ポート、43’H,43’Rはそれぞれ配管接続ポート44’H,44’Rに接続されている各給排管路(弾性配管としての油圧ホースである)、45’はバンド部材(材料は帯状薄厚綱板を使用)である。
【0026】
図8は、図7のE−Eより見た図である。図9は、図7のFより見た要部平面図である。図7〜図9に示すように他実施例では、保持機能弁36’H,36’Rをオフセットシリンダ13bの上方に取付けている。なおオフセットシリンダ13bが取付けられているオフセットブームは図示していないが、前記保持機能弁36’H,36’R、或いは上方のアームシリンダに衝突するおそれはない。
【0027】
【発明の効果】
本発明では、側辺掘削用の作業装置を装備した油圧ショベル(建設機械)において、前記作業装置のオフセットブームの内側に配設しているオフセットシリンダに対して、前記オフセットシリンダのヘッド側油室及びロッド側油室の油密状態を保持可能な保持機能弁を固定して取付けた。これによれば、前記オフセットシリンダを操作して所要のオフセット量を設定した後には、前記オフセットシリンダのヘッド側油室及びロッド側油室はともに、前記保持機能弁によって油密状態に保持される。したがって前記油圧ショベルの作業時に上部旋回体の旋回を行っているとき、例えば予期しない何らかの理由で前記オフセットシリンダ用の給排回路の接続が外れて作動油が外部に放出された場合でも、オフセット状態は固定状態に保持され、フリー状態になるトラブルを防止することができる。また前記保持機能弁を前記オフセットシリンダに対して固定したので、前記保持機能弁の配置が、上部旋回体の狭隘なレイアウトスペースに悪影響を及ぼすことはない。また前記作業装置の組立時には、予め前記オフセットシリンダと前記保持機能弁を一体形にサブ組立し、能率的な組立を行うことができる。また作業装置に組付けられている前記オフセットシリンダ,前記保持機能弁などの点検,修理、或いは取付け替えなどを行うときには、前記作業装置のオフセットブームの先端側を地面近くまで降下させて容易に実施できるので、メンテナンス上、非常に便利である。
【0028】
更に前記保持機能弁は、前記オフセットシリンダに対して前記オフセットブームから上下方向に略突出しないように固定したので、前記保持機能弁が外部の障害物に対して衝突する事故を防止することができる。
更に前記保持機能弁は、オフセットシリンダのヘッド側油室に連通するヘッド側保持機能弁と、オフセットシリンダのロッド側油室に連通するロッド側保持機能弁とであって、また前記オフセットシリンダの作動を制御する方向切換弁と、前記保持機能弁とを連通する油路として弾性配管(油圧ホース)を配管し、また前記ヘッド側保持機能弁と前記ロッド側保持機能弁の前記方向切換弁側の配管接続ポートが機体側に向くように配置したので、前記オフセットシリンダのヘッド側油室、ロッド側油室はそれぞれ前記ヘッド側保持機能弁、前記ロッド側保持機能弁によって確実に油密状態を保持できるとともに、前記両保持機能弁に対して前記弾性配管を効率的かつ整然と配管することができる。
【0029】
更に、前記ヘッド側保持機能弁と前記ロッド側保持機能弁は各々別体に構成されるとともに、同一の形状を有し、前記ヘッド側保持機能弁とロッド側保持機能弁の背面を合わせて、前記オフセットシリンダに取付けたので、前記保持機能弁の製作を容易かつ安価にできるともに、前記保持機能弁の前記オフセットシリンダに対する組立性及びメンテナンス性の面で、非常に有利である。
【0030】
更に、前記ヘッド側保持機能弁と前記ロッド側保持機能弁は、前記オフセットシリンダに巻かれるバンド部材により、オフセットシリンダに対して着脱自在に取り付けられるようにしたので、前記両保持機能弁の前記オフセットシリンダに対する組立性とメンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の作業装置を装備した油圧ショベルの一部切開側面図である。
【図2】図1に示す油圧ショベルに装備した作業装置用の要部油圧回路図である。
【図3】図1におけるオフセットブームの先端側を地面近くまで降下させた状態を示す油圧ショベルの正面図である。
【図4】図1のB部拡大図である。
【図5】図4のC−Cより見た要部断面図である。
【図6】図4のD−Dより見た要部平面図である。
【図7】本実施形態における他実施例保持機能弁のオフセットシリンダに対する取付状態を示す要部側面図である。
【図8】図7のE−Eより見た図である。
【図9】図7のFより見た要部平面図である。
【図10】従来より多く使用されている油圧ショベルの側面図である。
【図11】従来技術の一実施例側辺掘削用作業装置の要部側面図である。
【図12】図11のA−Aより見た図である。
【符号の説明】
1,1a 油圧ショベル
4,4’,4a 作業装置(側辺掘削用作業装置)
5,5’,5a ロアブーム
6,6a オフセットブーム
7,7a アッパブーム
8,8a アーム
13,13a,13b オフセットシリンダ
30 オフセット用方向切換弁
35H ヘッド側油室
35R ロッド側油室
36H,36R,36’H,36’R 保持機能弁
43H,43R,43’H,43’R 給排管路(弾性配管)
44H,44R,44’H,44’R 配管接続ポート
45,45’ バンド部材
Claims (4)
- 機体に上下方向に揺動自在に枢着されたロアブームと、
前記ロアブームの先端に左右方向に揺動自在に枢着されたオフセットブームと、
前記オフセットブームの先端に左右方向に揺動自在に枢着されたアッパブームと、
前記アッパブームに前後方向に揺動自在に枢着されたアームと、
側面視で前記オフセットブームから上下方向に突出しない状態で前記オフセットブームの側方に配置され、前記オフセットブームを左右方向に揺動させるオフセットシリンダと、
を有する建設機械において、
前記オフセットシリンダのヘッド側油室及びロッド側油室の油密状態を保持可能な保持機能弁を有し、
前記保持機能弁を、
オフセットブームから上下方向に突出せず、
かつ、前記オフセットシリンダを含む前記オフセットブームの全幅から側方に突出しないように、
前記オフセットシリンダの下方あるいは上方の何れか一方に対して固定したことを特徴とする建設機械の作業装置。 - 前記保持機能弁は、オフセットシリンダのヘッド側油室に連通するヘッド側保持機能弁と、オフセットシリンダのロッド側油室に連通するロッド側保持機能弁と、であり、前記オフセットシリンダの作動を制御する方向切換弁と、前記方向切換弁と前記保持機能弁を油路連通する弾性配管と、を有し、前記ヘッド側保持機能弁と前記ロッド側保持機能弁の前記方向切換弁側の配管接続ポートが機体側に向くように配置したことを特徴とする請求項1記載の建設機械の作業装置。
- 前記ヘッド側保持機能弁と前記ロッド側保持機能弁は各々別体に構成されるとともに、同一の形状を有し、前記ヘッド側保持機能弁とロッド側保持機能弁の背面を合わせて、前記オフセットシリンダに取付けたことを特徴とする請求項2記載の建設機械の作業装置。
- 前記ヘッド側保持機能弁と前記ロッド側保持機能弁は、前記オフセットシリンダに巻かれるバンド部材により、オフセットシリンダに対して着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項2或いは3記載の建設機械の作業装置。
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