JP3698473B2 - 経時安定性のよい透明な芳香ゲル組成物 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、経時安定性のよい透明な芳香ゲル組成物に関し、さらに詳しくはジェランガムと、単糖またはオリゴ糖を併用してなる透明な芳香ゲル組成物に関する。
【０００２】
【従来技術および発明が解決しようとする課題】
芳香剤は室内用，自動車用を始め、建築資材など種々の分野で利用され、その利用範囲はますます拡大している。主流を占めているのは固形状の芳香ゲル組成物であるが、最近ではその商品価値を高めるために透明性が要求されている。従来、芳香ゲル組成物のゲル化剤としてはカラギーナン、寒天が用いられてきたが、得られたゲル組成物は不透明であり、しかも高温では不安定でゲルの融解，離水等の現象が見られるという欠点があった。また、ゲル化剤としてジェランガムを用いた芳香ゲル組成物が知られているが（特開昭５５−７９３９７号公報、特開昭６３−２６７３６１号公報）、これらの方法では水不溶性の香料の影響により、白濁乳化状の不透明な組成物しか得られなかった。また、ジェランガムに界面活性剤を併用した芳香ゲル組成物が知られている（特開平１−７４２３９号公報）。しかしながら、この芳香ゲル組成物を容器に収納して使用する際、その収納容器の開口部が大きいと、揮発成分（香料，ゲル媒体など）の揮散に伴い次第に透明なゲル表面に凸凹や皺を生じ、表面の透明度が低下し、見た目の商品価値を著しく損ねてしまうという欠点があった。
【０００３】
本発明の目的は、ジェランガムを用いた芳香ゲル組成物であるが、収納容器の開口部の大きさに関係なく、揮発成分（香料，ゲル媒体等）の揮散に伴うゲル表面の凸凹や皺の発生を防止し、表面の透明度の低下をきたさない、経時安定性のよい透明な芳香ゲル組成物を提供することにある。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、シェランガムと、単糖またはオリゴ糖を併用することにより解決できることを見出した。本発明はジェランガムと、単糖またはオリゴ糖を併用してなる透明な芳香ゲル組成物に関する。さらに詳しく本発明を説明する。本発明の芳香ゲル組成物は、通常の芳香ゲル組成物の製造方法に準じて製造することができる。即ち、ジェランガムと必要に応じてその他の多糖類，単糖またはオリゴ糖，防腐剤などをゲル媒体（例えば水）に加え、加熱攪拌し、溶解させる。この溶液に金属イオン等のゲル化補助剤を添加し、次いで香料，界面活性剤，ゲル媒体（例えばアルコール類）などの混合溶液を加え、温時攪拌した後、容器に分注し、室温で静置して芳香ゲル組成物を製造することができる。
【０００５】
本発明で用いられる単糖としては、ブドウ糖，果糖，Ｄ−およびＬ−アラビノース，Ｄ−キシロース，Ｄ−リボース，Ｌ−キシルロース，Ｄ−リブロース，Ｄ−ソルビット，Ｄ−マンニット，Ｌ−イジット，ズルシットなどが挙げられ、また、本発明で用いられるオリゴ糖としては、ショ糖，マルトース，イソマルトース，トレハロースなどが挙げられる。これらの単糖またはオリゴ糖は通常単独に使用されるが、併用してもよい。単糖またはオリゴ糖の添加量は糖の種類，香料の量・種類によって異なるが、通常０．１〜３重量％である。
【０００６】
ジェランガムの添加量は通常０．３〜３重量％が好ましい。また、ジェランガムと他の多糖類、例えばローカストビーンガム，キサンタンガム，ゼラチン，カルボキシメチルセルロース，カラギーナンを併用してもよく、他の多糖類の添加量は通常０．０５〜６重量％である。
【０００７】
界面活性剤としては、特に限定はしないが、室温で透明であり、ＨＬＢ値が１０〜１９のノニオン性界面活性剤が好ましく、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル，ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル，ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル，ポリオキシエチレンアルキルフェニル縮合体，ポリオキシエチレンソルビタン誘導体などが挙げられ、これらの中１種または２種以上が用いられる。添加量は活性剤の種類，香料の量・種類によって異なるが、通常０．５〜３０重量％である。
【０００８】
ゲル媒体としては、一般的には水を用いるが、必要に応じてアルコール水溶液を用いることができる。アルコールとしては、一価〜三価アルコール，グリコール誘導体が挙げられる。特に好ましくは、エタノール水溶液で、ゲル強度を向上させ、芳香性を強め、香料の可溶化を促進する。アルコール類の添加量は、芳香ゲル組成物全体に対して、通常０．５〜２０重量％が適当である。
【０００９】
ゲル化補助剤としては、金属イオン，有機酸などを１種または２種以上用いることができる。金属イオンとしては、カリウムイオン，ナトリウムイオン，マグネシウムイオン，カルシウムイオン，アルミニウムイオンなどが挙げられる。有機酸としては、クエン酸，リンゴ酸，酒石酸などが挙げられる。
【００１０】
香料としては、キンモクセイ，レモンなどの香気を有する調合香料や芳香効果のある精油などが挙げられ、特に難溶性である、レモンなどのシトラス系の香料でも、本発明において用いられ得る。香料は通常１重量％以上添加される。
【００１１】
【発明の実施の形態】
本発明の芳香ゲル組成物は以下のようにして製造することができる。ジェランガムと必要に応じてその他の多糖類，単糖またはオリゴ糖および防腐剤を水に加え、85〜90℃で10分間加熱攪拌し、完全に溶解させる。この溶液にカルシウムイオンを添加した後、香料，界面活性剤およびアルコールの混合溶液を加え、55〜60℃で加熱攪拌する。この溶液を容器に分注し、室温で静置して芳香ゲル組成物を製造することができる。
【００１２】
【実施例】
（実施例１）：−
表１の処方で、ジェランガム，単糖またはオリゴ糖がブドウ糖，メチルパラベンおよび水をビーカーに入れ、85〜90℃で10分間加温し、完全に溶解させた。次に10％塩化カルシウム・２水和物水溶液を加え、55〜60℃に冷却した。更に、シトラス系香料，ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルとエタノールの混合物を添加し、加熱攪拌した。この溶液を容器に分注し室温で静置した。１日後該ゲルを容器から取り出しプラスチック板状に静置して、透明な芳香ゲル組成物を製造した。室温静置で１日後、１週間後および２週間後の芳香ゲルの透明性について、比較例１と比較した。その結果を表２に示す。
【００１３】
【表１】

【００１４】
（実施例２〜８） 各種の芳香ゲル組成物：−
実施例１と同様にして表１の処方で、実施例２〜８の芳香ゲル組成物を製造した。表１の処方で単糖またはオリゴ糖が、実施例２では果糖、実施例３ではＤ−ソルビット、実施例４ではショ糖、実施例５ではＤ−マンニット、実施例６ではトレハロース、実施例７ではショ糖／Ｄ−ソルビット（１／１）、実施例８では果糖／トレハロース（１／１）である。実施例２〜８で製造された芳香ゲル組成物の透明性について、実施例１と同様にして、比較例１と比較した。その結果を表２に示す。
【００１５】
（比較例１）：−
単糖またはオリゴ糖を含有しない表１の処方で、実施例１と同様にして芳香ゲル組成物を製造した。
【００１６】
【表２】

【００１７】
実施例１〜８で製造された透明な芳香ゲル組成物は、比較例１が１週間経ると揮発成分の揮散に伴いゲル表面に凸凹や皺を生じ、表面の透明度が低下するのに比べ、いずれも透明性が保持され経時安定性に優れていた。
【００１８】
【発明の効果】
本発明の透明な芳香ゲル組成物は、長期間使用しても、揮発成分（香料，ゲル媒体等）の揮散によるゲル表面の凸凹や皺の発生を防止でき、表面の透明度を失わなず、経時安定性に優れている。

Claims (4)

1. ジェランガムと、単糖またはオリゴ糖を併用してなる経時安定性のよい透明な芳香ゲル組成物。
2. ジェランガム，単糖またはオリゴ糖，ゲル化補助剤，香料，界面活性剤およびゲル媒体からなる経時安定性のよい透明な芳香ゲル組成物。
3. 単糖がブドウ糖，果糖，Ｄ−およびＬ−アラビノース，Ｄ−キシロース，Ｄ−リボース，Ｌ−キシルロース，Ｄ−リブロース，Ｄ−ソルビット，Ｄ−マンニット，Ｌ−イジットまたはズルシットである請求項１または２記載の経時安定性のよい透明な芳香ゲル組成物。
4. オリゴ糖がショ糖，マルトース，イソマルトースまたはトレハロースである請求項１または２記載の経時安定性のよい透明な芳香ゲル組成物。