JP3698288B2 - 放電ランプ、照明装置および計器装置 - Google Patents

放電ランプ、照明装置および計器装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、希ガスを放電媒体として有する放電ランプ、この放電ランプを用いる照明装置、この照明装置を用いる計器装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、計器装置としては、例えば、特開平2−80916号公報に記載されているように、自動車の運転席の前方のインストルメントパネルに配設されるメータパネルユニットがある。
【0003】
このメータパネルユニットでは、1枚のパネルに速度計、回転計、燃料計および水温計などの計器が並設され、パネルの裏面側に配設される照明装置によって各計器の目盛などが明るく照明表示される。
【0004】
従来の照明装置では、速度計および回転計の裏面位置に対向して低圧水銀蒸気放電ランプが1本ずつ配置される。この低圧水銀蒸気放電ランプは、速度計および回転計の形状に合わせて湾曲形成されており、外径が約9.5mm、長さが約280mm、輝度が約6000cd/mで、水銀を主たる放電媒体として用いている。
【0005】
低圧水銀蒸気放電ランプの背面側には、パネルの裏面側ほぼ全域に向けて低圧水銀蒸気放電ランプの光を反射させるように全体として湾曲面形状の反射面を有する反射体が配設されている。
【0006】
そして、低圧水銀蒸気放電ランプの直接光または反射光がパネルを透過して各計器の目盛などが明るく照明表示される。燃料計および水温計の裏面側には低圧水銀蒸気放電ランプが対向配置されていないが、速度計および回転計の裏面側に配置される低圧水銀蒸気放電ランプの光で燃料計および水温計の目盛などが十分に明るく照明表示される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、低圧水銀蒸気放電ランプは、主たる放電媒体である水銀の蒸気圧が周囲温度に大きく影響するので、低温雰囲気では所望の条件を満たすように点灯しないことがある。
【0008】
一方、水銀を使用しない放電ランプとしては、希ガスとして例えばキセノン(Xe)を放電媒体として封入したキセノンランプがあり、このキセノンランプでは、低圧水銀蒸気放電ランプのように温度変化に伴って明るさが変化することもない。
【0009】
そこで、低圧水銀蒸気放電ランプに代わる光源として希ガス、例えばキセノンを使用することが検討されている。
【0010】
しかし、キセノンランプなどの希ガスを封入した放電ランプでは、希ガスの封入圧が所定値以下に低いと、バルブ内において両端の電極間で生じる陽光柱がバルブ内の全域に見かけ上拡散するが、長寿命化、高輝度化を目的として希ガスの封入圧を所定値以上に高くすると、バルブ内の陽光柱がバルブの内径よりも細く収縮し、バルブ内で陽光柱が動き回る現象(スネーキング現象)が発生しやすくなるなど不安定になり、明るさのちらつきが生じる問題がある。
【0011】
また、キセノンランプなどの希ガスを封入した放電ランプでは、低圧水銀蒸気放電ランプに比べて光束が約1/4程度しか得られず、そのため、この放電ランプをメータパネルユニットに用いると、放電ランプが対向配置しない燃料計および水温計では照明表示が暗くなり、しかも、放電ランプが対向配置される速度計および回転計でさえ十分な明るさが得られなくなる問題がある。
【0012】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、希ガスを放電媒体として有する放電ランプにおいて、バルブ内の陽光柱を安定させることを目的とし、さらに、この放電ランプを用いる照明装置、この照明装置を用いる計器装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の放電ランプは、放電路を有するバルブと;バルブ内に封入される希ガスを主体とした放電媒体と;バルブの両端に設けられた電極手段と;バルブの外面に放電路に沿って設けられた補助電極と;を具備し、常温における希ガスの封入圧がp〔torr〕、希ガスの分子の半径がrg〔オングストローム〕で、rg×p≧100の関係を有するとき、バルブは軟化温度が650℃以上のガラス材料で形成されているものである。
【0014】
バルブ内に封入される希ガスがrg×p≧100の関係を有するとき、すなわち、バルブ内の希ガスの封入圧が高く、陽光柱が収縮する条件のとき、バルブの外面に補助電極が設けられているため、バルブ内の陽光柱をバルブ内壁に引き付け、陽光柱を安定させる。また、バルブは軟化温度が650℃以上のガラス材料で形成されているため、電極手段と補助電極との間で放電が生じ、その電極手段と補助電極との間に位置するバルブが加熱されても、バルブがリークするのを防止する。
【0015】
請求項2記載の放電ランプは、請求項1記載の放電ランプにおいて、バルブの内径2rが、2r≦5mmである。
【0016】
バルブの内径を5mm以下とするため、陽光柱が収縮してもバルブ内径が小さいことで、陽光柱がバルブ内で見かけ上拡散状態にあり、さらに陽光柱が安定する。
【0017】
求項記載の照明装置は、請求項または記載の放電ランプと;放電ランプを調光点灯させる高周波点灯装置と;を具備し、放電ランプの補助電極に対する接続は、バルブの一方の電極手段と同電位に接続、アースに接続または無接続のいずれかであるものである。
【0018】
放電ランプを高周波点灯装置によって調光点灯させるため、調光状況によって陽光柱が特に電極付近で収縮と拡散を繰り返して不安定になりやすくても、放電ランプの補助電極によって陽光柱を安定させる。
【0019】
請求項記載の照明装置は、請求項1または2記載の放電ランプと;放電ランプの出力光を導光する導光板と;を具備しているものである。
【0020】
放電ランプと導光板とを用いるため、例えば液晶ディスプレイなど各種の表示手段のバックライトとしても利用可能とする。
【0021】
請求項記載の照明装置は、請求項1または2記載の放電ランプと;放電ランプに光学的に対向される反射体と;を具備しているものである。
【0022】
反射体で放電ランプの光を集光し、計器の表示部を明るく照明表示する。
【0023】
求項記載の計器装置は、複数の計器が並設されるパネルと;パネルの裏面側に配置され、複数の計器にバルブの計器対向部が対向される請求項ないしいずれか一記載の照明装置と;を具備しているものである。
【0024】
複数の計器が並設されるパネルの裏面側に照明装置を配設するため、複数の計器の表示部を明るく照明表示する
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0026】
図1に本発明の前提となる構成を示す。
【0027】
図1は放電ランプの断面図である。
【0028】
放電ランプ21は、透光性を有する例えばガラス製のバルブ23を有し、このバルブ23内に例えばキセノン(Xe)ガスなどの放電媒体が封入されているとともに、バルブ23の内壁にキセノンガスなどの放電による紫外線放射によって励起、発光する蛍光体層が塗布されている。バルブ23の両端には、電極手段としての電極24が封止され、バルブ23の両端間に1本の放電路25が形成されている。
【0029】
バルブ23の両端の電極24には放電ランプ21を点灯させる高周波点灯装置51が接続されている。
【0030】
この実施の形態では、バルブ23の長さが約270mm、外径が約3mmで、バルブ23内には放電媒体の希ガスとしてキセノン(Xe)ガスが約80torr(約11kPa )の封入圧で封入されている。
【0031】
通常、このように希ガスの封入圧を高くすると、バルブ23内において両端の電極24間で生じる陽光柱が細く収縮し、バルブ23内で陽光柱が動き回る現象(スネーキング現象)が発生しやすくなるなど不安定になるが、バルブ23の外径を約3mm程度とすることで、陽光柱を安定させることができる。
【0032】
すなわち、陽光柱の収縮についての実験を行なったところ、放電ランプ21のバルブ23内に封入される希ガスの封入圧と、希ガスのガス分子(ガス原子)の半径の2乗との積がある一定値(100)を越えると、つまり、ガス分子の半径rg〔オングストローム〕×封入圧p〔torr〕≧100の関係にあると、バルブ23内の陽光柱が収縮することが確かめられた。そのため、rg×p≧100の関係にある場合には、放電ランプ21のバルブ23の内径を収縮する陽光柱の径にできるだけ近付けるか小さくすることにより、陽光柱を安定させることが可能となることが確認できた。
【0033】
ガス種類、原子半径、封入圧(陽光柱が収縮するガス圧の下限値)の関係を表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0003698288
【0035】
このような種類の希ガスでは、rg×p≧100の関係にある場合、陽光柱の収縮半径が約2〜3mm程度となる。
【0036】
そこで、収縮したときの陽光柱の径に対応して、バルブ23の内径2rを、2r≦5mmとすることにより、陽光柱がバルブ23内で見かけ上は拡散状態となるため、壁不安定性を示さなくなり、安定状態となる。
【0037】
したがって、前述した放電ランプ21を高周波点灯装置51で点灯させると、rg×p≧100の関係にあるので陽光柱が収縮するが、陽光柱が収縮してもバルブ23の内径が小さいことで、陽光柱がバルブ23内で見かけ上は拡散状態にあり、陽光柱が安定した状態で放電を生起できる。
【0038】
なお、陽光柱は、高輝度化のためにランプ電流が5mA以上と大きいときに、著しく収縮することも実験により確かめられたが、バルブ23の内径を5mm以下とすることで陽光柱が安定することも確認された。
【0039】
次に、図2に本発明の第の実施の形態を示す。
【0040】
なお、上述した前提となる構成と同一構造および作用効果については、同一符号を用いてその説明を省略する。
【0041】
図2は放電ランプの断面図である。
【0042】
放電ランプ21は、バルブ23の長さが約500mm、外径が約3mm、肉厚が約0.5mm、材質が例えば軟化温度約705℃のホウ珪酸ガラス(半硬質ガラス)で、バルブ23の内面に約20μmの蛍光体層が形成され、バルブ23の外面に補助電極61が配設され、バルブ23内には希ガスとしてキセノン(Xe)ガスが約80torr(約11kPa )の封入圧で封入されている。この放電ランプ21のランプ電力は5W、ランプ輝度は7000cd/m(白色)である。
【0043】
補助電極61は、バルブ23の外面に貼り合わされた例えばアルミ泊で、幅が約0.5mmで、バルブ23の管軸方向に沿って配設されているとともにバルブ23の両端の電極24の位置よりも端部側まで延長されている。この補助電極61には、バルブ23の一方の電極24と同電位に接続するか、アースに接続するか、電気的に接続しないかのいずれかとされる。なお、図2には、こうした補助電極61の配線は省略している。
【0044】
バルブ23の両端の電極24には、放電ランプ21をPWM調光点灯させる高周波点灯装置51が接続されている。この高周波点灯装置51では、30kHzの周波数で放電ランプ21を点灯させ、100kHzのPWM調光周波数で調光するように構成されている。
【0045】
そして、放電ランプ21の点灯時にPWM調光させると、バルブ23内で陽光柱の拡散状態と収縮状態を繰り返し、陽光柱が不安定となってちらつきが生じやすくなるが、補助電極61によりバルブ23内の陽光柱をバルブ23の内壁に引き付けることにより、陽光柱を安定させ、ちらつきを抑制することができる。
【0046】
なお、特に、点灯周波数30kHz、PWM調光周波数100kHzにて調光すると、電極24の付近で陽光柱の拡散状態と収縮状態を繰り返し、陽光柱が不安定となってちらつきが生じるが、この場合には、例えばバルブ23の内径2rと同程度の広い幅の補助電極61を用いることにより、陽光柱をバルブ23の内壁に引き付けて収縮状態で安定させることができる。
【0047】
また、このような放電ランプ21で、バルブ23の材料のみを通常の照明用ランプで用いられる軟質ガラス(ソーダライムガラス)によって試作し、ランプ電流6mAで70%調光を行なった点灯試験を行なったところ、数100時間を経過した時点から確率的には1%程度ではあるがリークが確認された。リークの状況を確認すると、バルブ23の電極24の近傍に0.5mm程度の穴があいており、この穴からのリークであった。穴は極めて均一な形状で放電の衝撃によるものでは無く、熱的な影響を経て生じたものであることが判明した。
【0048】
すなわち、電流を3倍に増やして強制試験を行なったところ、電極24と補助電極61との間でまず放電が起き、これが長時間続くと、電極24と補助電極61との間に位置するバルブ23の管壁が加熱され、ついには極めて局部的にガラスの軟化温度以上となって穴があくことが分かった。
【0049】
一般に、キセノンガスを封入した放電ランプでは電流値がある値を越えると、陽光柱が収縮状態になるためにこうした問題が生じる確率が高くなるもので、水銀が入っている低圧水銀蒸気放電ランプでは陽光柱が通常の使用では拡散状態にあるためにこうした問題が生じなかった。
【0050】
なお、補助電極61の幅が広くなるほどこうした問題は軽減される方向だと考えられるが、キセノンガスを封入した放電ランプで陽光柱が収縮状態の場合、調光時に放電を維持させようとしても、補助電極61の幅が広くなるとその近傍の電極24の部分で収縮した陽光柱にゆれが生じて消弧しやすく、本来の調光時における放電の維持という目的が損なわれてしまう。
【0051】
また、種々のガラス材料を用いて試験したところ、軟化点650℃以上のガラスでは、この現象は見られなかった。
【0052】
したがって、前述した放電ランプ21では、バルブ23が軟化温度650℃以上のホウ珪酸ガラス(半硬質ガラス)、または軟化温度約820℃のパイレックスガラス(商品名)などで形成されているため、電極24と補助電極61との間で放電が生じ、その電極24と補助電極61との間に位置するバルブ23が加熱されても、バルブ23がリークするのを防止できる。
【0053】
次に、図3ないし図5に第の実施の形態を示す。
【0054】
なお、前記実施の形態と同一構造および作用効果については、同一符号を用いてその説明を省略する。
【0055】
図3は放電ランプの正面図、図4はパネルの正面図、図5は反射体の正面図である。
【0056】
1は計器装置としての自動車のメータパネルユニットで、このメータパネルユニット1は、パネル2、複数の計器4、照明装置5を有している。
【0057】
パネル2は、横長に形成され、光を透過する例えばアクリル製やガラス製の透明または半透明の透光板を有し、この透光板の表面には、各計器4の位置に対応して形成される目盛、数字および記号などの光が透光する表示部(透光部)11の部分を除いて、光を遮蔽する例えば黒色の遮光膜が形成されている。表示部11の目盛は円弧状に配置され、この目盛に沿って数字や記号が配置される。
【0058】
計器4は、アナログ式で、パネル2の中央に配設される速度計4aおよび回転計4b、パネル2の両端に配設される燃料計4cおよび水温計4dを有し、これら各計器4に対応して表示部11が形成されている。各計器4のほぼ中央にはパネル2の後方に配置される図示しない計器本体の計器軸12がパネル2の裏面側から前面側に突出され、各計器軸12に目盛に沿って回動する指針13が取り付けられる。なお、指針13は、通電を受けて発光するように、指針13自体が放電管などで構成されている。
【0059】
照明装置5は、各計器4ごとに対応して第1の実施の形態の放電ランプ21を1本ずつ有しているとともに、1つの反射体22を有している。
【0060】
計器4のうち速度計4aおよび回転計4bの表示部11にそれぞれ対応する放電ランプ21は、ほぼC字形に曲成形成されて計器対向部26が形成されている。燃料計4cおよび水温計4dの表示部11に対応する放電ランプ21は、半環状に曲成形成されて計器対向部27が形成されている。
【0061】
反射体22は、パネル2とほぼ同一外形状に形成され、前面にパネル2の裏面に接合される接合面31が形成され、この接合面31には各放電ランプ21で照明表示される各計器4の表示部11の形状すなわち各放電ランプ21の形状に沿って対向される反射凹部32が形成されている。
【0062】
各反射凹部32内には放電ランプ21のバルブ23の中間部を着脱可能に挟持するホルダ71が配設されている。このホルダ71は、第の実施の形態の放電ランプ21を用いる場合、補助電極61に電気的に接続される電気接続手段としても兼用される。
【0063】
速度計4aおよび回転計4bに対応する各反射凹部32の中央に計器装着部36が形成されとともに、燃料計4cおよび水温計4dに対応する各反射凹部32の湾曲中心側に計器装着部37が形成されている。これら各計器装着部36,37の裏側に各計器4の計器本体が取り付けられるとともに、各計器装着部36,37に計器軸12が挿通される。
【0064】
そして、第1の実施の形態の放電ランプ21は、上述したように、バルブ23内の陽光柱が安定した状態で放電を生起するため、計器4の明るさのちらつきが少なく、安定した明るさを確保できる。
【0065】
なお、放電ランプ21の形状は、計器4の表示部11の形状に対応していればよい。
【0066】
また、昼夜で照度を切り換えたり、照度を任意に調整できる調光機能を有する場合、照度を絞ったときに陽光柱が壁不安定性を示すようであれば、第の実施の形態の補助電極61を有する放電ランプ21を用いることで、計器4の明るさのちらつきを少なくして安定した表示を行なうことができる。
【0067】
次に、図6ないし図11に第の実施の形態を示す。
【0068】
なお、前記各実施の形態と同一構造および作用効果については、同一符号を用いてその説明を省略する。
【0069】
図6は放電ランプの正面図、図7はパネルの正面図、図8は反射体の正面図、図9は図8のA−A断面図、図10は反射体の光反射作用を説明する説明図、図11は放電ランプのランプ電流と相対輝度との関係を示すグラフである。
【0070】
図7および図10において、1は計器装置としての自動車のメータパネルユニットで、このメータパネルユニット1は、パネル2、複数の計器4、照明装置5を有している。
【0071】
パネル2は、横長に形成され、光を透過する例えばアクリル製やガラス製の透明または半透明の透光板を有し、この透光板の表面には、各計器4の位置に対応して形成される目盛、数字および記号などの光が透光する表示部(透光部)11の部分を除いて、光を遮蔽する例えば黒色の遮光膜が形成されている。表示部11の目盛は円弧状に配置され、この目盛に沿って数字や記号が配置される。
【0072】
計器4は、アナログ式で、パネル2の中央に配設される速度計4aおよび回転計4b、パネル2の両端に配設される燃料計4cおよび水温計4dを有し、これら各計器4に対応して表示部11が形成されている。各計器4のほぼ中央にはパネル2の後方に配置される図示しない計器本体の計器軸12がパネル2の裏面側から前面側に突出され、各計器軸12に目盛に沿って回動する指針13が取り付けられる。なお、指針13は、通電を受けて発光するように、指針13自体が放電管などで構成されている。
【0073】
照明装置5は、第1の実施の形態と同様の放電ランプ21を速度計4aおよび燃料計4c用と回転計4bおよび水温計4d用とに2本有しているとともに、1つの反射体22を有している。放電ランプ21は、図6に示すように、透光性を有する例えばガラス製のバルブ23を有し、このバルブ23内に放電媒体としてのキセノン(Xe)ガスが約80torr封入され、バルブ23の内壁にキセノンの紫外線放射によって励起、発光する蛍光体層が塗布され、バルブ23の両端に電極手段としての電極24が封止され、バルブ23の両端間に1本の放電路25が形成されている。
【0074】
そして、この放電ランプ21は、ランプ電力が5W、外径が約3mm、長さが約500mm、輝度が約7000cd/mとされ、この放電ランプ21で照明表示される表示部11の輝度は1500cd/mとされる。さらに、図11に放電ランプ21のランプ電流と相対輝度との関係を示すように、水銀を使用しないキセノンランプでは、ランプ電流の増加に対してほとんど光出力が増加せず、水銀を使用する低圧放電ランプに比べて、輝度は変わりないが、光束は約1/4程度となっている。
【0075】
放電ランプ21は、隣接した計器4、すなわち速度計4aと燃料計4c、または回転計4bと水温計4dの表示部11を1本で照明表示させるもので、それら速度計4aと燃料計4c、または回転計4bと水温計4dの表示部11の形状に対応して形成されている。放電ランプ21の一端側には速度計4aまたは回転計4bの表示部11に沿って対向される計器対向部26がほぼ円弧状に湾曲形成され、他端側には燃料計4cまたは水温計4dの表示部11に沿って対向される計器対向部27がほぼ円弧状に湾曲形成され、両計器対向部26,27間に接続部28が形成されている。両計器対向部26,27の湾曲方向は互いに対向する方向とされている。
【0076】
そして、図1に示す放電ランプ21の状態で速度計4aと燃料計4cの表示部11の照明表示に使用でき、放電ランプ21を裏返すことで回転計4bと水温計4dの表示部11の照明表示に使用でき、放電ランプ21を共通に使用できる。
【0077】
反射体22は、図8および図9に示すように、パネル2とほぼ同一外形状に形成され、前面にパネル2の裏面に接合される接合面31が形成され、この接合面31には各放電ランプ21で照明表示される隣接した計器4の表示部11の形状すなわち各放電ランプ21の形状に沿って対向される反射凹部32が形成されている。
【0078】
この反射凹部32は、速度計4aまたは回転計4bの表示部11すなわち放電ランプ21の計器対向部26に沿って対向する環状の反射面部33、燃料計4cまたは水温計4dの表示部11すなわち放電ランプ21の計器対向部27に沿って対向する湾曲状の反射面部34、放電ランプ21の接続部28に沿って対向して反射面部33と反射面部34を接続する直線状の反射面部35を有する。
【0079】
各計器4の中央部に対応して、つまり各反射凹部32の各反射面部33の中央に計器装着部36が形成されているとともに、各反射面部34の湾曲中心側に計器装着部37が形成されている。これら各計器装着部36,37の裏側に各計器4の計器本体が取り付けられるとともに、各計器装着部36,37に計器軸12が挿通される。
【0080】
なお、図10に示すように、パネル2と照明装置5との間には白濁した半透明な樹脂製の拡散板41が配設されている。また、パネル2の前方には例えば黒色で透光性を有するカバー42が配設されている。
【0081】
そして、パネル2、計器4および照明装置5などによってメータパネルユニットを組み立てた状態では、隣接する各計器4、すなわち速度計4aと燃料計4c、および回転計4bと水温計4dの表示部11に沿って各放電ランプ21の計器対向部26,27がそれぞれ対向される。さらに、反射体22の反射凹部32が放電ランプ21の計器対向部26,27に沿って対向される。反射体22は、前面の接合面31が拡散板41を介してパネル2の裏面に接合固定される。
【0082】
そして、放電ランプ21の点灯により、放電ランプ21の直接光、反射体22の反射凹部32で反射した反射光が拡散板41を通じてパネル2に形成された計器4の表示部11を透過し、計器4の表示部11を明るく照明表示する。このとき、パネル2と照明装置5との間に拡散板41を配設しているため、拡散板41による光拡散作用により表示部11の光むらを防止できる。
【0083】
以上のように、隣接する各計器4、すなわち速度計4aと燃料計4c、および回転計4bと水温計4dの表示部11に沿って各放電ランプ21の計器対向部26,27がそれぞれ対向されるため、放電ランプ21がキセノンランプで光束が低くても、各計器4の表示部11を十分に明るく照明表示できる。しかも、1本の放電ランプ21で2つの計器4の表示部11を照明表示できるため、計器4が4つあっても2灯の放電ランプ21を用いるだけですみ、配線などの組立性を向上できる。
【0084】
また、反射体22は放電ランプ21の計器対向部26,27に沿って対向される反射凹部32を有するため、放電ランプ21の光を計器4の表示部11に集中でき、計器4の表示部11をより明るく照明表示できる。
【0085】
また、反射体22は反射凹部32に隣接して計器装着部36,37を有するため、この計器装着部36,37を利用して各計器4を装着できる。
【0086】
次に、図12に第の実施の形態である放電ランプの正面図を示す。
【0087】
なお、前述した各実施の形態と同一構造および作用効果については、同一符号を用いてその説明を省略する。
【0088】
この第の実施の形態では、放電ランプ21が、第の実施の形態の放電ランプ21に対して、計器対向部26を反対方向に湾曲させたもので、すなわち両計器対向部26,27の湾曲方向が互いに反対方向とされる。
【0089】
そして、この放電ランプ21を用いても、第の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0090】
次に、図13および図14に第の実施の形態を示は、図13は放電ランプの正面図、図14は反射体の正面図である。
【0091】
なお、前記各実施の形態と同一構造および作用効果については、同一符号を用いてその説明を省略する。
【0092】
この第の実施の形態では、1灯の放電ランプ21で4つの計器4の表示部11の照明表示を行なうもので、放電ランプ21には、中央に2つの計器対向部26をそれぞれ形成するとともに、両端に計器対向部27をそれぞれ形成し、隣接する各計器対向部26,27間を接続部28で接続する。
【0093】
また、反射体22には、放電ランプ21の形状に対応して1本の連続した反射凹部32を形成する。
【0094】
したがって、1本の放電ランプ21で4つの計器4の表示部11を照明表示できるため、計器4が4つあっても1灯の放電ランプ21を用いるだけですみ、配線などの組立性を向上できる。
【0095】
なお、前記各実施の形態では、1本の放電ランプ21で2つまたは4つの計器4に対応するようにしたが、3つまたは5つ以上の計器4に対応できるようにしてもよい。
【0096】
次に、図15に第の実施の形態である液晶表示装置の一部の断面図である。
【0097】
なお、前記各実施の形態と同一構造および作用効果については、同一符号を用いてその説明を省略する。
【0098】
この第の実施の形態では、前述した第1の実施の形態の放電ランプ21を、液晶表示ユニット81のバックライトユニット82に用いたものである。
【0099】
バックライトユニット82は、液晶表示ユニット81の照明領域の形状に対応して開口部83が形成されたケース84を有し、このケース84内には、開口部83に対向して例えばアクリル製の導光板85が配設され、この導光板85の光入射面としての端面に沿って平行に放電ランプ21が配設されている。放電ランプ21の周囲には、導光板85の端面に放電ランプ21の光を導く反射板86が配設されている。開口部83と反対の導光板85の背面には導光された光を開口部83の方向へ反射させる反射シート87が配設され、開口部83に対向する導光板85の光出射面としての前面には集光シート88および拡散シート89が配設されている。
【0100】
そして、放電ランプ21の光は、導光板85の端面から導光板85内に入射し、導光板85内を導光されて、一部は反射シート87で反射されて、導光板85の前面から出射し、集光シート88および拡散シート89を通じて、液晶表示ユニット81の背面から照明する。
【0101】
なお、放電ランプ21の形状は、導光板85の1辺に沿った直線状、導光板85の隣接する2辺に沿ったほぼL字形、導光板85の3辺に沿ったほぼコ字形などでもよい。さらに、放電ランプ21の使用本数は、導光板85や放電ランプ21の形状などに応じて、1本または複数本を用いてもよい。
【0102】
また、第1の実施の形態の放電ランプにおいて、放電によって赤色可視光を放射するネオン(Ne)ガスを封入することにより、この放電ランプを自動車のストップランプとして適用することができる。
【0103】
【発明の効果】
請求項1記載の放電ランプによれば、バルブ内に封入される希ガスがrg×p≧100の関係を有するとき、すなわち、バルブ内の希ガスの封入圧が高く、陽光柱が収縮する条件のとき、バルブの外面に補助電極が設けられているため、バルブ内の陽光柱をバルブ内壁に引き付け、陽光柱が安定した状態で放電を生起でき、安定した明るさを確保できる。また、バルブは軟化温度が650℃以上のガラス材料で形成されているため、電極手段と補助電極との間で放電が生じ、その電極手段と補助電極との間に位置するバルブが加熱されても、バルブがリークするのを防止できる。
【0104】
請求項2記載の放電ランプによれば、請求項1記載の放電ランプの効果に加えて、バルブの内径を5mm以下とするため、陽光柱が収縮してもバルブ内径が小さいことで、陽光柱がバルブ内で見かけ上拡散状態にあり、さらに陽光柱が安定させることができる。
【0105】
求項記載の照明装置によれば、請求項または記載の放電ランプを高周波点灯装置によって調光点灯させるため、調光状況によって陽光柱が特に電極付近で収縮と拡散を繰り返して不安定になりやすくても、放電ランプの補助電極によって陽光柱を安定させることができる。
【0106】
請求項記載の照明装置によれば、請求項1または2記載の放電ランプと導光板を用いるため、例えば液晶ディスプレイなど各種の表示手段のバックライトとしても利用できる。
【0107】
請求項記載の照明装置によれば、請求項1または2記載の放電ランプと反射体を用いるため、計器の表示部を十分に明るく照明表示できる。
【0108】
求項記載の計器装置によれば、複数の計器が並設されるパネルの裏面側に請求項ないしいずれか一記載の照明装置を配設するため、複数の計器の表示部を十分に明るく照明表示できる
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の前提となる放電ランプの断面図である。
【図2】 本発明の第の実施の形態を示す放電ランプの断面図である。
【図3】 本発明の第の実施の形態を示す放電ランプの正面図である。
【図4】 同上パネルの正面図である。
【図5】 同上反射体の正面図である。
【図6】 本発明の第の実施の形態を示す放電ランプの正面図である。
【図7】 同上パネルの正面図である。
【図8】 同上反射体の正面図である。
【図9】 同上図8のA−A断面図である。
【図10】 同上反射体の光反射作用を説明する説明図である。
【図11】 同上放電ランプのランプ電流と相対輝度との関係を示すグラフである。
【図12】 本発明の第の実施の形態を示す放電ランプの正面図である。
【図13】 本発明の第の実施の形態を示す放電ランプの正面図である。
【図14】 同上反射体の正面図である。
【図15】 本発明の第の実施の形態を示す液晶表示装置の一部の断面図である。
【符号の説明】
1 計器装置としてのメータパネルユニット
2 パネル
4 計器
5 照明装置
21 放電ランプ
22 反射体
23 バルブ
24 電極手段としての電極
25 放電路
26,27 計器対向部
41 拡散板
51 高周波点灯装置
61 補助電極
85 導光板

Claims (6)

  1. 放電路を有するバルブと;
    バルブ内に封入される希ガスを主体とした放電媒体と;
    バルブの両端に設けられた電極手段と;
    バルブの外面に放電路に沿って設けられた補助電極と;
    を具備し、常温における希ガスの封入圧がp〔torr〕、希ガスの分子の半径がrg〔オングストローム〕で、rg×p≧100の関係を有するとき、バルブは軟化温度が650℃以上のガラス材料で形成されていることを特徴とする放電ランプ。
  2. バルブの内径2rが、2r≦5mmであることを特徴とする請求項1記載の放電ランプ。
  3. 請求項または記載の放電ランプと;
    放電ランプを調光点灯させる高周波点灯装置と;
    を具備し、放電ランプの補助電極に対する接続は、バルブの一方の電極手段と同電位に接続、アースに接続または無接続のいずれかであることを特徴とする照明装置。
  4. 請求項1または2記載の放電ランプと;
    放電ランプの出力光を導光する導光板と;
    を具備していることを特徴とする照明装置。
  5. 請求項1または2記載の放電ランプと;
    放電ランプに光学的に対向される反射体と;
    を具備していることを特徴とする照明装置。
  6. 複数の計器が並設されるパネルと;
    パネルの裏面側に配置され、複数の計器にバルブの計器対向部が対向される請求項ないしいずれか一記載の照明装置と;
    を具備していることを特徴とする計器装置。
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