JP3697391B2 - 有機物処理システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、河川の水を上水にする際に排出される浄水場汚泥、生活廃水処理から排出される下水汚泥、パルプ、繊維、化学、食品などの工場排水処理から排出される有機性汚泥、畜産農場、魚介類の養殖場から屍骸、糞尿として排出される有機性汚泥、生ゴミなどのバイオマス廃棄物、あるいは廃プラスチックなどの廃棄物、あるいは種々の未利用可燃物などを、分解処理し、無害化および減量化する有機物処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
水と有機物を含むスラリー状の廃棄物として、パルプ、繊維、化学、食品などの工場廃水処理から排出される有機性汚泥や、生活排水処理から大量に排出される下水汚泥、河川の水を上水にする際に排出される浄水場汚泥などが考えられる。また、畜産農場、魚介類の養殖場から屍骸、糞尿として排出される有機性汚泥があげられる。これらの汚泥は、含水率が95重量%以上と高く、又膨大な量であり、年々増加の傾向にある。
【0003】
特に排出量が多い下水汚泥は、現在、そのほとんどが埋立て処分か、焼却処理されている。しかしながら、埋立て処分の場合には、埋め立て地確保の問題があり、近年、都市化が進むにつれて埋立地の確保は難しくなっている。さらに、こういった汚泥は、水分と共に蛋白質、脂肪及び炭水化物等の有機物を多量に含むために腐敗し易く、悪臭を発生させる。また、人畜に対して有害な物質が含まれる事があり、汚泥の安定化、無害化が求められている。
【0004】
一方、焼却処理は、汚泥の減容化という点からは有効な方法である。しかし、含水率が80%を超えるような汚泥では、乾燥に費やす熱エネルギーの方が、焼却して発生する熱エネルギーよりも大きくなり、このため大量の燃料が必要となる。さらに、灰分に加え、汚泥中の窒素分や硫黄分が酸化されて生成した窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)が排ガス中に含まれるため、脱硝設備、脱硫設備及び電気集塵機等の排ガス処理設備の設置が必要となり、設備コストが嵩む。
【0005】
こうした問題を解決するために、水分を含む有機性汚泥を脱水せずに温度200〜300℃、圧力2〜10Mpaの条件下で酸素により酸化分解する「湿式酸化法」(特許第2655006号)や、超臨界水あるいは亜臨界水中で物理化学的に汚泥中の有機物を酸化分解する「超(亜)臨界水酸化法」(特願平10−80700、特許第3036077号など)などが提案されている。
【0006】
これらの方法では、酸化反応に加水分解反応や熱分解反応といった水熱反応が加わり、比較的低い温度で殆どの難分解性有機物や有害有機物等を分解することができる。したがって、スラリーを容易に無害化および減量化することができ、かつクリーンな水を回収できる。しかも、事前に汚泥を脱水する必要がないので濾過助剤や濾過機も不要であり、やっかいな濾過操作を省くことができる。また、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、灰塵の発生がないので、排ガス処理設備が不要となり、設備コストを低下させることができる可能性がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した「湿式酸化法」や「超(亜)臨界水酸化法」では、高温高圧条件下で処理を行うので、大量の水分を含む有機性廃棄物を反応温度・反応圧力まで加熱・加圧したり、酸化剤として用いる空気もしくは酸素を圧縮機で反応圧力まで昇圧する必要がある。このため、加熱用の熱源を得るための燃料や、ポンプ・圧縮機用の電力が大量に必要で、結果的に運転コストが大きくなってしまうという課題がある。
【0008】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、汚泥などの有機物を含むスラリーを処理する有機物処理システムであって、燃料を効率良く利用して運転コストを低下させることができる有機物処理システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水と有機物を含むスラリーを高圧高温状態として有機物を分解する反応装置と、反応装置において生成された分解物を液体分解生成物と、気体分解生成物と、残固形分とに分離する分離装置と、発電機を有し、排ガスを放出する発電装置と、発電装置に接続され、発電装置からの排ガスを反応装置に導く排ガスダクトと、を備え、反応装置は、発電装置からの排ガスの熱を利用して、有機物を分解することを特徴とする有機物処理システムである。
【0010】
本発明によれば、発電装置の排熱を有効利用して水と有機物を含むスラリーを加熱し、分解することにより、スラリーを高効率で安価に、無害化、減量化でき、かつ、クリーンな水を回収できる有機物処理システムを提供できる。特に、供給した燃料を用いてオンサイト発電し、所内動力として使用すると共に、その排ガスが有する熱で反応処理を加熱するので、燃料の利用率が非常に高く、結果的に運転コスト、すなわち廃棄物処理コストを大きく低下させることができる。
【0011】
発明は、反応装置は、熱風用チャンバーと、熱風用チャンバー内の反応管とから構成され、スラリーは反応管内に導入され、発電装置からの排ガスは、熱風用チャンバー内に導入され、反応管の内側を流れるスラリーと、反応管の外側を流れる排ガスとが熱交換することを特徴とする有機物処理システムである。
【0012】
本発明によれば、反応装置において、排ガスの有する熱エネルギーを効率良くスラリーに供給でき、いっそう燃料の利用率が高くなり、結果的に運転コストすなわち廃棄物処理コストを大きく低下させることができる。
【0013】
発明は、反応装置の反応管に酸化剤を導入する第1酸化剤導入管が接続されていることを特徴とする有機物処理システムである。
【0014】
本発明によれば、スラリーを水熱分解すると共に酸化分解することができ、より低い温度(400−600℃)でスラリーに含まれる殆どの難分解性有機物や有害有機物等を分解することができる。この結果、排ガスの温度が低い発電装置であっても、スラリーを高効率で安価に、無害化、減量化でき、かつ、クリーンな水を回収できる有機物処理システムを提供できる。
【0015】
本発明は、反応装置の熱風用チャンバーに、補助燃料を導入する補助燃料導入管が接続され、熱風用チャンバー内で補助燃料を燃焼させることを特徴とする有機物処理システムである。
【0016】
本発明は、反応装置の熱風用チャンバーに、酸化剤を導入する第2酸化剤導入管が接続され、熱風用チャンバー内で補助燃料を燃焼させることを特徴とする有機物処理システムである。
【0017】
本発明によれば、発電装置の排ガスの温度より熱風用チャンバー内の温度を高くすることができ、排ガス温度が低い発電装置であっても、スラリー中の難分解性有機物や有害物等をほぼ完全に分解することが可能な有機物処理システムを提供できる。
【0018】
本発明は、分離装置は、反応装置で生成された分解物と、反応装置に導入されるスラリーとを熱交換する熱交換器を有することを特徴とする有機物処理システムである。
【0019】
本発明によれば、分解物の有する熱エネルギーをスラリーが回収するので、さらに熱効率を向上させることができる。
【0020】
本発明は、分離装置は、反応装置から排出される分解物を減圧して、気体成分と残固形分とに分離することを特徴とする有機物処理システムである。
【0021】
本発明によれば、分離装置において、加熱することなく、あるいは、わずかな加熱で水蒸気、分解ガスから成る気体成分と、油、水を含む残固形分とに容易に分離することができる。すなわち、スラリー中の有機物を分解し、無害化、減量化しながら、さらに低コストで脱水されて減容化できる有機物処理システムを提供できる。
【0022】
本発明は、分離装置の熱交換器は、気体成分を冷却して気体成分中に含まれる液体分解生成物を凝縮させ、液体分解生成物と気体分解生成物とに分離することを特徴とする有機物処理システムである。
【0023】
本発明によれば、有機物スラリーを分解した後に生成した気体成分を、スラリーが持つ冷熱を利用して、気体成分に含まれる水蒸気を凝縮させて水にすることにより、水と、分解ガスとに容易に気液分離できる。一方、気体成分が持つ熱を利用してスラリーは加熱されるため、スラリーを加熱する燃料が少なくて済む。これらの結果、有機物処理システムの設置コスト、運転コストを低減した有機物処理システムを提供できる。
【0024】
本発明は、反応装置におけるスラリーの圧力は0.9乃至40MPa、スラリーの温度は150乃至600℃であることを特徴とする有機物処理システムである。
【0025】
本発明は、反応装置において、スラリーに含まれる水を、加圧熱水、超臨界水または亜臨界水のいずれかの状態とすることを特徴とする有機物処理システムである。
【0026】
本発明によれば、酸化反応に加水分解反応や熱分解反応が加わり、比較的低い温度で殆どの難分解性有機物や有害有機物等を分解することができる有機物処理システムを提供できる。
【0027】
本発明は、発電装置は、ガスタービン発電装置、マイクロガスタービン発電装置、ガスエンジン発電装置、ディーゼル発電装置、または燃料電池のいずれかであることを特徴とする有機物処理システムである。
【0028】
本発明によれば、該発電装置として種々の発電装置が利用できるので、必要な電力量や条件に適した発電装置を選択することが出来る。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明による有機物処理システムの構成概略図である。
図1に示すように、有機物処理システム1は、水と有機物を含むスラリー2と、酸化剤の空気3とを高圧高温水下に置き、スラリー2に含まれている有機物等の成分を水熱分解するとともに酸化分解する反応装置4と、反応装置4より排出される分解物5を、水(液体分解生成物)6と、分解ガス7(気体分離生成物)と、残固形分8とに分離する分離装置9と、ガスタービン発電装置10とを備えている。このうち分解ガス7は、有機性ガス、炭酸ガス、空気中の窒素等を含む混合物からなっている。
【0030】
また反応装置4には、スラリー2を導入する配管11と、ガスタービン発電装置10からの高温排ガス10aを反応装置4に導く排ガスダクト12と、反応装置4において有機物を分解して生成された分解物5を分離装置9に導く接続管13とが接続されている。なお、スラリー2を導入する配管11には高圧ポンプ14が設けられ、この配管11は後述のように分離装置9を通過するようになっている。
【0031】
さらにガスタービン発電装置10は、圧縮機10bと、燃焼器10cと、ガスタービン10dと、発電機10eとを有し、このうちガスタービン10dは、回転軸10f、10gを介して圧縮機10bと発電機10eに接続されている。また、排ガスダクト12はガスタービン10dと反応装置4とを接続するものであり、ガスタービン10dからの高温排ガス10aが、高温のまま反応装置4に送られるようになっている。
【0032】
また反応装置4は、補助燃料4dを燃焼するための燃焼装置4aと、熱交換のために表面積を増大するよう設けられた複数の反応管4bと、その周囲に形成された熱風用チャンバー4cとを有している。ガスタービン10dから排出された高温排ガス10aは排ガスダクト12を介して、燃焼装置4aに導入され、また、燃焼装置4aには、補助燃料4dおよび空気(酸化剤)4eが補助燃料導入管21および第2酸化剤導入管22を経て供給され、補助燃料4dを高温排ガス10a中の残存酸素と空気4eとで燃焼させるようになっている。また燃焼装置4aからの燃焼ガス4fと高温排ガス10aは、次に熱風用チャンバー4cに導入されるようになっている。
【0033】
また、配管11内のスラリー2は高圧ポンプ14において反応圧力になるまで加圧される。さらに空気(酸化剤)3が圧縮機15において、反応圧力まで加圧され、加圧空気3は第1酸化剤導入管20を経て配管11へ送られ、配管11でスラリー2と、混合して反応管4bに送られるようになっている。
【0034】
反応装置4は、反応圧4b内でスラリー2を150−600℃の温度、好ましくは400−550℃程度まで加熱し、0.9−40Mpaの圧力、好ましくは20−30Mpa程度で、数分間反応させるようになっている。また、反応管4bでは、スラリー2に含まれる水を加圧熱水、亜臨界水、または超臨界水の状態とすることが可能となっている。
【0035】
また反応装置4から排出された分解物5は、反応装置4における反応条件に近い高温高圧のまま接続管13により分離装置9へ導かれるようになっている。分離装置9は導入された分解物5を1Mpa以下、好ましくは0.1−0.2Mpaに急激に減圧する減圧バルブ9aと、分解物5を水蒸気6aおよび分解ガス7から成る気体成分9bと、油および水を含む残固形分8に分離する気固分離器9cと、気体成分9bを冷却して気体成分9b中の水蒸気6aを凝縮させ水6にする熱交換器16と、この水6と分解ガス7とを分離する気液分離器9dとを有している。
【0036】
熱交換器16には配管11が接続され、反応装置4に送られる途中の配管11中のスラリー2と気体成分9bとが熱交換器16で熱交換できるようになっており、この熱交換によって、スラリー2は予熱され、気体成分9bは冷却される。気液分離器9dでは、上部から分解ガス7が排出され、下方から水6が排出される。
【0037】
本実施の形態では、スラリー2は、河川の水を上水にする際に排出される浄水場汚泥、生活排水処理から排出される下水汚泥、パルプ、繊維、化学、食品などの工場廃水処理から排出される有機性汚泥、畜産農場、魚介類の養殖場から屍骸、糞尿として排出される有機性汚泥、あるいは粉砕化した生ゴミ、廃プラスチックなどをスラリーにしたものである。
【0038】
すなわち、水を含む上記の汚泥の場合は、さらに水を加えるか、または一部の水を脱水してスラリー2を生成する。生ゴミ、廃プラスチックなどの場合は、水を加えて含水率を調整した上で、含有固形物の大きさを粉砕機で適度な大きさにすることによってスラリー2を生成する。この時、水熱反応に適した含水率の範囲は、90−98重量%、好ましくは95重量%程度である。
【0039】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
図1においてスラリー2は、高圧ポンプ14によって0.9−40MPa、好ましくは20−30MPa程度の圧力まで加圧され、配管11を介して反応装置4の反応管4bへ送られる。スラリー2は、配管11を通過する際に熱交換器16で分離装置9内の気体成分9bにより予熱される。一方、酸化剤としての空気3が圧縮機15によってスラリー2と同程度の圧力まで加圧され、この空気3が配管11内へ送られ配管11においてスラリー2と混合されて反応装置4の反応管4bに送られる。
【0040】
ガスタービン発電装置10では、空気10iが圧縮機10bで加圧され、空気10iは燃焼器10cにおいて燃料10hと爆発燃焼してガスタービン10dを回転させる。ガスタービン10dのエネルギーは圧縮機10bと発電機10eの動力となり、発電機10eにおいて電気エネルギーに変換される。爆発燃焼後の高温排ガス10aは、ガスタービン10dから排出され、排ガスダクト12を介して、高温のまま反応装置4内部の燃焼装置4aに送られる。
【0041】
この間、補助燃料4dおよび酸化剤として空気4eが反応装置4の燃焼装置4aへ供給される。補助燃料4dは高温排ガス10a中の未燃の酸素と空気4eとで燃焼され、燃焼装置4a内で生成した燃焼ガス4fと高温排ガス10aの温度は600℃以上になる。
【0042】
次に燃焼ガス4fと高温排ガス10aが熱風用チャンバ4cに導入され、反応管4bには、スラリー2と酸化剤の空気3が高圧で導入される。この場合、熱風用チャンバー4c内に充満する高温排ガス10aと燃焼ガス4fの熱を利用して、スラリー2と空気3とが加熱され、スラリー2は水熱反応と酸化反応とにより分解する。
【0043】
この時、高温排ガス10aと燃焼ガス4fの熱(温度600℃以上)によって、スラリー2と空気3が、400−550℃の温度まで加熱され、スラリー2に含まれる水が、加圧熱水、亜臨界水、超臨界水の状態となって、スラリーが水熱分解される。また空気3により、水熱分解と同時にスラリー2が酸化分解されるか、あるいはスラリー2が水熱分解された成分が酸化分解される。
【0044】
このように、水熱分解と酸化分解が同時に行われるため、比較的低い温度(400−550℃)でスラリー2に含まれるほとんどの難分解性有機物や有害有機物等を分解することができる。なお、補助燃料4dおよび空気4eの供給量を調整することにより、反応管4bに供給される熱量が調製される。またガスタービン発電装置10あるいは反応装置4の運転条件、例えばガスタービン発電装置10から排出される高温排ガス10aの温度が高く、しかもその排出量が多い(熱量が多い)場合は、補助熱料4dと空気4eの供給は不要となる。
【0045】
この場合は、燃焼装置4aも不要となり、高温排ガス10aを直接、熱風用チャンバ10cに導入してもよい。ここで、本実施の形態における水熱分解とは、高温高圧水により、加水分解と、熱分解が同時に起こることを意味する。
【0046】
このように、反応装置4では、スラリー2を水熱分解および酸化分解することにより、二酸化炭素を主成分とする分解ガス7と、残固形物8(スラリー2に含まれている金属の酸化物など)と、水(加圧熱水、亜臨界水、超臨界水の状態)とからなる分解物5が生成する。この分解物5は、その後高温高圧の状態で反応装置4の反応管4bから接続管13を経て分離装置9に送られる。
【0047】
分離装置9に導入された分解物5は、まず減圧バルブ9aによって1MPa以下、好ましくは0.1MPa以上0.2MPa以下までに急激に減圧されて、気固分離器9cにおいて水蒸気6aおよび分解ガス7から成る気体成分9bと、油、水を含む残固形分とに気固分離される。気固分離器9c内で気固分離された気体成分9bと残固形分8とは、それぞれ、気固分離器9cの上部と下部とから排出される。
【0048】
気固分離器9cにより排出された気体成分9bは、熱交換器16によって反応装置4に導入される前のスラリー2と熱交換して冷却される。この結果、気体成分9b内の水蒸気6aは凝縮されて水となり、気液分離器9dにおいて水6と分解ガス7とに気液分離される。気液分離器9d内で気液分離された分解ガス7と水6のうち、分離ガスが気液分離器9dの上方から排出され、水6が気液分離器9dの下方から排出される。
【0049】
上述のように反応装置4では、スラリー2に含まれる水を加圧熱水、亜臨界水、超臨界水の状態にすることにより、スラリー2が水熱分解される。また、空気3により、前記の水熱分解と同時に、スラリー2が酸化分解されるか、あるいは、スラリー2が水熱分解された成分が酸化分解される構成となっている。このため、スラリー2に含まれるほとんどの難分解性有機物や有害有機物等をほぼ完全に分解することができる。
【0050】
このような水熱分解と酸化分解を行うためには、多量の水を含むスラリー2を20−30MPaに昇圧し、400−550℃に加熱する必要がある。また、酸化剤として用いる空気を圧縮機15で反応圧力まで昇圧する必要があり、大きな所内動力と熱エネルギーを消費する。
【0051】
本実施の形態によれば、都市ガスなどを燃料としてガスタービン発電装置10で発電し、生成した電力を高圧ポンプ14や圧縮機15などの所内動力として用いるとともに、ガスタービン発電装置10から排出される高温排ガス10aが有する熱エネルギーを反応装置での熱源として利用することができる。このため消費している燃料の利用率80%程度と高く、所内動力としての電力を外部から購入して使う場合に比べ、運転コストは大きく低下する。
【0052】
さらに、本実施の形態によれば、ガスタービン10dからの高温排ガス10の熱量の不足分を補うため、あるいは高い温度を得るために、高温排ガス10a中の未然の酸素と空気4eにより補助燃料4dを燃焼装置4aで燃焼させ、発生した燃焼熱を利用している。この結果として、スラリー2を加熱するための燃料コストを最小限に抑ながら、スラリー2に含まれるほとんどの難分解性有機物や有害有機物等を分解することができる。すなわち、スラリー2を高効率で安価に、無害化および減量化でき、かつ、クリーンな水を回収できる有機物処理システムを提供できる。なお、燃焼装置4aの燃焼熱の利用の態様は、例えば他の熱媒を用いた種々の態様を採用してもよい。
【0053】
また、本実施の形態によれば、反応装置4の反応管4bを複数の管状部材で構成することにより、反応装置4の熱交換効率を高め、結果的に高効率な廃棄物処理を行なうことができる。このように反応管4b内は亜臨界水あるいは超臨界水の状態となり得るため、反応管4bおよび接続管13、減圧バルブ9a等は、そのような過酷な条件に耐え得るように構成されている。
【0054】
また、分離装置9では、上述のように反応装置4から排出される高温高圧の分解物5を急激に減圧して、水蒸気6aおよび分解ガス7から成る気体成分9bと、分解油、残水を含む残固形分8に分離し、また、気体成分9bは、熱交換器16によって反応装置4に導入される前のスラリー2と熱交換して冷却され、気体成分9bの中の水蒸気6aは凝縮して水6となる。さらに、この水6と分解ガス7は、気液分離器9dにて分離される。このため、分離装置9において、特に加熱する事なく、あるいは、わずかな加熱で水6、分解ガス7と残固形分8とに分離することができる。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態では、スラリー中に含まれる有機物を分解、無害化減量化しながら、さらに脱水できる有機物処理システムを提供できる。しかも、オンサイトのガスタービン発電装置10で発電した電力とその排ガス熱を、所内動力と反応装置用の熱源として効率良く利用するので、廃棄物処理費を大きく低下させることができる。
【0056】
なお、上記実態の形態において、ガスタービン発電装置10を設けた例について説明したが、ガスタービン発電装置10の代りに、マイクロガスタービン発電装置、ガスエンジン発電装置、ディーゼル発電装置、燃料電池などを用いても、ガスタービン発電装置10を用いた場合と同様の効果が得られる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、水と有機物を含むスラリーを高温高圧下で水熱分解および酸化分解させることにより処理する有機物処理システムにおいて、発電装置で発生した排ガス熱を反応装置用の熱源として効率良く利用することができる。このため、スラリーを無害化および減量化できるとともに、運転コストを大幅に減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による有機物処理システムの実態の形態を示す概略図
【符号の説明】
1 有機物処理システム
2 スラリー
3、4e、10i 空気
4 反応装置
4a 燃焼装置
4b 反応管
4c 熱風用チャンバ
4d 補助燃料
4f 燃焼ガス
4g、9a 減圧バルブ
4h 酸化反応管
5 分解物
6 水
6a 水蒸気
7 分解ガス
8 残固形物
9 分離装置
9b 気体成分
9c 気固分離器
9d 気液分離器
10 ガスタービン発電装置
10a 高温排ガス
10b、15 圧縮機
10c 燃焼器
10d ガスタービン
10e 発電機
10f、10g 回転軸
10h 燃料
11 配管
12 排ガスダクト
13 接続管
14 高圧ポンプ
16 熱交換器

Claims (7)

  1. 水と有機物を含むスラリーを高圧高温状態として有機物を分解する反応装置と、
    反応装置において生成された分解物を液体分解生成物と、気体分解生成物と、残固形分とに分離する分離装置と、
    発電機を有し、排ガスを放出する発電装置と、
    発電装置に接続され、発電装置からの排ガスを反応装置に導く排ガスダクトと、
    を備え、
    反応装置は、発電装置からの排ガスの熱を利用して、有機物を分解し、
    反応装置の反応管に酸化剤を導入する第1酸化剤導入管が接続され、
    反応装置において、スラリーに含まれる水を、加圧熱水、超臨界水または亜臨界水のいずれかの状態とすることを特徴とする有機物処理システム。
  2. 反応装置は、熱風用チャンバーと、熱風用チャンバー内の反応管とから構成され、
    スラリーは反応管内に導入され、発電装置からの排ガスは、熱風用チャンバー内に導入され、
    反応管の内側を流れるスラリーと、反応管の外側を流れる排ガスとが熱交換することを特徴とする請求項1に記載の有機物処理システム。
  3. 反応装置の熱風用チャンバーに、補助燃料を導入する補助燃料導入管が接続され、熱風用チャンバー内で補助燃料を燃焼させることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の有機物処理システム。
  4. 反応装置の熱風用チャンバーに、酸化剤を導入する第2酸化剤導入管が接続され、熱風用チャンバー内で補助燃料を燃焼させることを特徴とする請求項3に記載の有機物処理システム。
  5. 反応装置におけるスラリーの圧力は0.9乃至40MPa、スラリーの温度は150乃至600℃であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の有機物処理システム。
  6. 分離装置は、反応装置で生成された分解物と、反応装置に導入されるスラリーとを熱交換する熱交換器を有し、
    分離装置は、反応装置から排出される分解物を減圧して、気体成分と残固形分とに分離し、
    分離装置の熱交換器は、気体成分を冷却して気体成分中に含まれる液体分解生成物を凝縮させ、液体分解生成物と気体分解生成物とに分離することを特徴とする請求項1に記載の有機物処理システム。
  7. 発電装置は、ガスタービン発電装置、マイクロガスタービン発電装置、ガスエンジン発電装置、ディーゼル発電装置、または燃料電池のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の有機物処理システム。
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