JP3697077B2 - 電子写真装置、電子写真感光体及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真装置、電子写真感光体及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の帯電を行う電子写真装置、該電子写真装置に用いる特定の電子写真感光体、及び該電子写真感光体を有し特定の帯電を行うプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、電子写真装置(複写機やプリンタなど)や静電記録装置などの画像形成装置において、電子写真感光体及び静電記録誘電体などの像担持体(被帯電体)を所有の極性・電位に一様に帯電処理(除電処理も含む)する帯電装置としてはコロナ帯電器(コロナ放電器)がよく使用されていた。
【0003】
コロナ帯電器は非接触型の帯電装置であり、ワイヤ電極などの放電電極と該放電電極を囲むシールド電極を備え、放電開口部を被帯電体である像担持体に対向させて非接触に配設し、放電電極とシールド電極に高圧を印加することにより生じる放電電流(コロナシャワー)に像担持体面をさらすことで像担持体面を所定に帯電させるものである。
【0004】
近時は、中低速機種の画像形成装置にあっては、像担持体などの被帯電体の帯電装置として、コロナ帯電器に比べて低オゾンや低電力などの利点があることから接触帯電装置が多く提案され、また実用化されている。
【0005】
接触帯電装置は、像担持体などの被帯電体に、ローラ型(帯電ローラ)、ファーブラシ型、磁気ブラシ型及びブレード型などの導電性の帯電部材(接触帯電部材や接触帯電器)を接触させ、この接触帯電部材に所定の帯電バイアスを印加して被帯電体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0006】
接触帯電の帯電機構(帯電のメカニズムや帯電原理)には、▲1▼放電帯電系と▲2▼注入帯電系の2種類の帯電機構が混在しており、どちらが支配的であるかにより各々の特性が現れる。
【0007】
▲1▼.放電帯電系
接触帯電部材と被帯電体との微小間隙に生じる放電現象により被帯電体表面が帯電する系である。
【0008】
放電帯電系は接触帯電部材と被帯電体に一定の放電閾値を有するため、帯電電位より大きな電圧を接触帯電部材に印加する必要がある。また、コロナ帯電器に比べれば発生量は格段に少ないけれども放電生成物は生じることが原理的に避けられないため、オゾンなど活性イオンによる弊害は避けられない。
【0009】
▲2▼.注入帯電系
接触帯電部材から被帯電体に直接に電荷が注入されることで被帯電体表面が帯電する系である。注入帯電あるいは直接帯電と称される。より詳しくは、中抵抗の接触帯電部材が被帯電体表面に接触して、放電現象を介さずに、つまり放電を基本的に用いないで被帯電体表面に直接電荷注入を行うものである。よって、接触帯電部材への印加電圧が放電閾値以下の印加電圧であっても、被帯電体を印加電圧相当の電位に帯電することができる。
【0010】
この帯電系はイオンの発生を伴わないため放電生成物による弊害は生じない。しかし、接触帯電部材の被帯電体への接触性が帯電性に大きく効いてくる。そこで、接触帯電部材はより密に構成し、また被帯電体との速度差を多く持ち、より高い頻度で被帯電体に接触する構成をとる必要がある。
【0011】
代表的な接触帯電プロセスとしては以下のA)〜C)の方法などが提案され実用化されている。
【0012】
A)ローラ帯電
接触帯電装置は、接触帯電部材として導電ローラ(帯電ローラ)を用いたローラ帯電方式が帯電の安定性という点で好ましく、広く用いられている。
【0013】
このローラ帯電はその帯電機構は前記▲1▼の放電帯電系が支配的である。
【0014】
帯電ローラは、導電あるいは中抵抗のゴム材あるいは発泡体を用いて作成される。更に、これらを積層して所望の特性を得たものもある。
【0015】
帯電ローラは被帯電体(以下、感光体と記す)との一定の接触状態を得るために弾性を持たせているが、そのため摩擦抵抗が大きく、多くの場合感光体に従動あるいは若干の速度差をもって駆動される。従って、直接帯電しようとしても、絶対的帯電能力の低下や接触性の不足やローラ状のムラや感光体の付着物による帯電ムラは避けられないため、従来のローラ帯電ではその帯電機構は放電帯電系が支配的である。
【0016】
図6は接触帯電における帯電効率例を表わしたグラフである。横軸に接触帯電部材に印加したバイアス、縦軸にはその時得られた感光体帯電電位を表わすものである。ローラ帯電の場合の帯電特性はAで表わされる。即ち、凡そ−500Vの放電閾値を過ぎてから帯電が始まる。従って、−500Vに帯電する場合は−1000Vの直流電圧を印加するか、あるいは、−500V直流の帯電電圧に加えて、放電閾値以上の電位差を常に持つようにピーク間電圧1200Vの交流電圧を印加して感光体電位を帯電電位に収束させる方法が一般的である。
【0017】
より具体的に説明すると、厚さ25μmの有機感光体(OPC感光体)に対して帯電ローラを加圧当接させた場合には、約640V以上の電圧を印加すれば感光体の表面電位が上昇し始め、それ以降は印加電圧に対して傾き1で線形に感光体表面電位が増加する。この閾値電圧を帯電開始電圧Vthと定義する。
【0018】
つまり、電子写真に必要とされる感光体表面電位Vdを得るためには帯電ローラにはVd+Vthという必要とされる以上のDC電圧が必要となる。このようにしてDC電圧のみを接触帯電部材に印加して帯電を行う方法を「DC帯電方式」と称する。
【0019】
しかし、DC帯電においては環境変動などによって接触帯電部材の抵抗値が変動するため、また、感光体が削れることによって膜厚が変化するとVthが変動するため、感光体の電位を所望の値にすることが難しかった。
【0020】
このため、更なる帯電の均一化を図るために特開昭63−149669号公報に開示されるように、所望のVdに相当するDC電圧に2×Vth以上のピーク間電圧を持つAC成分を重畳した電圧を接触帯電部材に印加する「AC帯電方式」が用いられる。これは、ACによる電位のならし効果を目的としたものであり、被帯電体の電位はAC電圧のピークの中央であるVdに収束し、環境などの外乱には影響されることはない。
【0021】
ところが、このような接触帯電装置においても、その本質的な帯電機構は、接触帯電部材から感光体への放電現象を用いているため、先に述べたように接触帯電部材に印加する電圧は感光体表面電位以上の値が必要とされ、微量のオゾンは発生する。
【0022】
また、帯電均一化のためにAC帯電を行った場合には更なるオゾンの発生、AC電圧の電界による接触帯電部材と感光体の振動騒音(AC帯電音)の発生、また、放電による感光体表面の劣化などが顕著になり、新たな問題点となっていた。
【0023】
B)ファーブラシ帯電
ファーブラシ帯電は、接触帯電部材として導電性繊維のブラシ部を有する部材(ファーブラシ帯電器)を用い、その導電性繊維ブラシ部を被帯電体としての感光体に接触させ、所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0024】
このファーブラシ帯電もその帯電機構は前記▲1▼の放電帯電系が支配的である。
【0025】
ファーブラシ帯電器は固定タイプとロールタイプが実用化されている。中抵抗の繊維を基布に折り込みパイル状に形成したものを電極に接着したものが固定タイプで、ロールタイプはパイルを芯金に巻き付けて形成する。繊維密度としては100本/mm2 程度のものが比較的容易に得られるが、注入帯電により十分均一な帯電を行うにはそれでも接触性は不十分であり、注入帯電により十分均一な帯電を行うには感光体に対し機械構成としては困難なほどに速度差を持たせる必要があり、現実的ではない。
【0026】
このファーブラシ帯電の直流電圧印加時の帯電特性は図6のBに示される特性をとる。従って、ファーブラシ帯電の場合も、固定タイプ、ロールタイプどちらも多くは、高い帯電バイアスを印加し放電による帯電を用いて帯電を行っている。
【0027】
C)磁気ブラシ帯電
磁気ブラシ帯電は、接触帯電部材として導電性磁性粒子をマグネットロールなどで磁気拘束してブラシ状に形成した磁気ブラシ部を有する部材(磁気ブラシ帯電器)を用い、その磁気ブラシ部を被帯電体としての感光体に接触させ、所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0028】
この磁気ブラシ帯電の場合はその帯電機構は前記▲2▼の注入帯電系が支配的である。
【0029】
磁気ブラシ部を構成させる導電性磁性粒子として粒径5〜50μmのものを用い、感光体と十分速度差を設けることで、均一な注入帯電を可能にする。
【0030】
図6の帯電特性グラフのCにあるように、印加バイアスとほぼ比例した帯電電位を得ることが可能になる。
【0031】
しかしながら、磁気ブラシ部を構成している導電性粒子が脱落して感光体に付着するなど他の弊害もある。
【0032】
また更に、上記(A)〜(C)の代表的な接触帯電プロセスの他に、特公平7−99442号公報に接触帯電部材に対し粉末を塗布というものが開示されている。これは接触帯電装置について、帯電ムラを防止し安定した均一帯電を行うために、接触帯電部材に被帯電体面との接触面に粉末を塗布する構成であり、接触帯電部材が被帯電体に従動回転であり、スコロトロンなどのコロナ帯電器と比べるとオゾン生成物の発生は格段に少なくなっているものの、帯電原理は前述のローラ帯電の場合と同様に依然として放電による帯電を主としている。特に、より安定した帯電均一性を得るためにはDC電圧にAC電圧を重畳した電圧を印加するために、放電によるオゾン生成物の発生はより多くなってしまう。よって、長期に装置を使用した場合や、クリーナーレスの画像形成装置を長期に使用した場合において、オゾン生成物による画像流れなどの弊害が現れ易い。
【0033】
一方、電子写真感光体の方からも接触注入帯電を行えるようなアプロ−チが近年なされており、例えば特開平6−3921号公報などには感光体表面にあるトラップ準位または電荷注入層の導電粒子などの電荷保持部材に電荷を注入して接触注入帯電を行う方法が提案されている。放電現象を用いないため、帯電に必要とされる電圧は所望する感光体表面電位分のみであり、オゾンの発生もない。更に、AC電圧を印加しないので、帯電音の発生もなく、ローラ帯電方式と比べると、オゾンレス、低電力の優れた帯電方式である。
【0034】
しかし、これらは表面に電荷注入層としてアンチモンやインジウムなどをドーピングして導電処理したSnO2 などの導電性微粒子を含有した層を通常の感光体の上に更にもう一層設けなければならなく、生産性が悪くコストがかかってしまい、更には導電性微粒子を使用するために環境の変化による抵抗変動の制御が難しいという問題点があるのが実状である。
【0035】
また近年、環境問題が大きくクローズアップされてきており、電子写真装置より廃トナーを出さないシステムが数多く提案されている。これは通常トナーリサイクルプロセス(クリーナーレスシステム)と呼ばれており、例えば転写方式の画像形成装置においては、転写後の感光体(像担持体)に残存する転写残トナーはクリーナー(クリーニング装置)によって感光体面から除去されて廃トナーが生成するのに対し、そこでクリーナーをなくし、転写後の感光体上の転写残トナーは現像装置によって「現像同時クリーニング」で感光体上から除去し現像装置に回収・再利用する装置構成にしたトナーリサイクルプロセスの画像形成装置などが提案されている。
【0036】
この現像同時クリーニングとは、転写後に感光体上に残留したトナーを次工程以降の現像時にかぶり取りバイアス(現像装置に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vback)によって回収する方法である。この方法によれば、転写残トナーは現像装置に回収されて次工程以降に再用されるため、廃トナーをなくし、メンテナンスに手を煩わせることも少なくすることができる。また,クリーナーレスであることでスペース面での利点も大きく、画像形成装置を大幅に小型化できるようになり環境問題以外にも大きな利点がある。
【0037】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来の技術の項に記載したように、接触帯電において、接触帯電部材として帯電ローラやファーブラシを用いた簡易な構成で注入帯電をすることが難しく、画像形成装置にあっては絶対的帯電不良による画像のかぶり(反転現像の場合には白地部が現像される)や帯電ムラなどが生じる。
【0038】
接触帯電部材の被帯電体面との接触面に粉末を塗布し、接触帯電部材が従動で、放電帯電を主とする接触帯電装置構成では、長期に装置を使用した場合や、クリーナーレスの画像形成装置を長期に使用した場合に、オゾン生成物が蓄積することにより画像流れが生じ易くなる。
【0039】
ゆえに、従来では注入帯電を行う場合の接触帯電装置構成は磁気ブラシ帯電方式が一般的である。しかし、この方式においても下記に示すような幾つかの問題があった。
【0040】
a)電位的には確認しにくい、微視的な注入不良による画像欠陥の対策として、更なる注入性の向上が望まれる。
【0041】
b)注入帯電においては、被帯電体と帯電部材との接触が十分に行われる必要があり、接触性を向上させるために帯電磁性粒子を小さくして行くと、磁性粒子が被帯電体表面に付着する欠点があり、帯電磁性粒子を大きくして磁気拘束力を十分に与えると、磁性粒子と被帯電体の接触機会が少なくなり注入帯電能力が低下する。
【0042】
c)クリーナーレスの画像形成装置においては、転写残トナーが帯電部において帯電不良を引き起こしてしまう。
【0043】
d)あらゆる環境(低温〜高温/低湿〜高湿)で常に安定し均一な注入帯電を行うことが難しく、特に低湿下での帯電性に問題がある。
【0044】
従って、本発明の目的は、磁気ブラシ方式の接触帯電において、被帯電体である電子写真感光体と帯電部材の接触不足の問題及び帯電部材と電子写真感光体の間の注入性の問題を改善し、帯電均一性を向上させ、かついかなる環境下でも長期に渡り安定した注入帯電を実現する、即ち、低印加電圧でオゾンレスの注入帯電を可能にする電子写真装置、該電子写真装置に用いる電子写真感光体、及び該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを提供することにある。
【0045】
またこれにより、オゾン生成物による障害、帯電不良による障害などのない、クリ−ナ−レスのような簡易な構成、低コストな電子写真装置を得ることを目的とする。
【0046】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電子写真感光体、該電子写真感光体とニップ部を形成し、磁性粒子を磁気拘束させた磁気ブラシよりなる帯電部材に電圧を印加することにより該電子写真感光体を帯電する帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有する電子写真装置において、該電子写真感光体の表面層が下記一般式(1)、(2)、(3)または(4)で示される電荷輸送物質を含有し、かつ該帯電部材と該電子写真感光体との接触面に、主な粒径が10nm〜5μmの範囲である非磁性な帯電促進粒子としての導電性酸化亜鉛粒子を存在させて、該電子写真感光体表面に注入帯電することを特徴とする電子写真装置である。
一般式(1)
【0047】
【化9】
Figure 0003697077
一般式(2)
【0048】
【化10】
Figure 0003697077
一般式(3)
【0049】
【化11】
Figure 0003697077
一般式(4)
【0050】
【化12】
Figure 0003697077
[式中、Ar1 〜Ar4 及びAr6 は置換基を有してもよいアリール基を示す。Ar1 〜Ar4 及びAr6 は同一であっても異なっていてもよい。Ar5 及びAr7 〜Ar10は置換基を有してもよいアリーレン基を示す。Ar5 及びAr7 〜Ar10は同一であっても異なっていてもよい。R1 〜R9 は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいビニル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。R1 〜R9 は同一であっても異なっていてもよい。
【0051】
Xは置換基を有してもよいアルキレン、置換基を有してもよいアリーレン、CR10=CR11(R10及びR11は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または水素原子を示す)、C=O、S=O、SO2 、−NR12−(R12は置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す)、酸素原子及び硫黄原子より一つあるいは任意に組み合わされた有機残基を示す。
【0052】
ただし、R2 〜R5 のうち少なくとも2つ及びR6 〜R9 のうち少なくとも2つは置換基を有してもよいアリール基である。
【0053】
なお、Ar1 とAr2 またはR1 とAr4 またはR2 とR3 またはR4 とR5 またはR6 とR7 またはR8 とR9 は直接または他の有機残基を介して環を形成してもよく、Ar5 とAr6 またはAr7 とAr8 は他の有機残基を介して環を形成してもよい。]
【0056】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係わる電子写真感光体について詳しく説明する。
【0057】
本発明の電子写真感光体は、一般式(1)、(2)、(3)または(4)で示される特定のアミン化合物からなる電荷輸送物質と適当な電荷発生物質を組み合わせて基本的に構成される。
【0058】
また、上記表現のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラセニル及びピレニルなどの芳香族炭化水素基、更にはピリジル、キノリル、チエニル、フリル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル及びベンゾチアゾリルなどの複素環基が挙げられる。アリーレン基としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン及びピレンなどの芳香族炭化水素から2個の水素原子を除いた2価の芳香族炭化水素基、更にはピリジン、キノリン、チオフェン及びフランなどの複素環から2個の水素原子を除いた2価の複素環基が挙げられる。アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル及びヘキシルなどの基が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル、フェネチル、ナフチルメチル及びフルフリルなどの基が挙げられる。アルキレン基としてはメチレン、エチレン、プロピレン及びブチレンなどのC1 〜C10のアルキレン基が挙げられる。
【0059】
また、これらの基が有してもよい置換基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル及びヘキシルなどのアルキル基、メトキシ、エトキシ及びブトキシなどのアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素などのハロゲン原子、フェニル及びナフチルなどの芳香族炭化水素基、ピリジル、キノリル、チエニル及びフリルなどの複素環基、アセチル及びベンジルなどのアシル基、ジメチルアミノなどのアルキルアミノ基、トリフルオロメチルなどのハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、フェニルカルバモイル基、カルボキシル基及びヒドロキシル基などがある。
【0060】
なお、上記一般式(2)〜(4)のR1 〜R9 が全てアリール基である場合は特に好ましい。
【0061】
また、上記一般式(1)〜(4)において、Ar1 とAr2 またはR1 とAr4 またはR2 とR3 またはR4 とR5 またはR6 とR7 またはR8 とR9 が環を形成する場合に間に介する他の有機残基としては−CH2 −、−CH2 CH2 −、−CH=CH−、−O−及び−S−などが好ましく、Ar5 とAr6 またはAr7 とAr8 が環を形成する場合に間に介する他の有機残基としては−O−、−S−、−SO2 −、−NR13−、−CR14=CR15−及び−CR1617−などが好ましい(R13〜R17は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基または水素原子を示す)。
【0062】
以下に一般式(1)〜(4)で示される化合物についてその代表例を以下の表1に挙げる。但し、これらの化合物に限定されるものではない。
【0063】
【表1】
Figure 0003697077
【0064】
【表2】
Figure 0003697077
【0065】
【表3】
Figure 0003697077
【0066】
【表4】
Figure 0003697077
【0067】
【表5】
Figure 0003697077
【0068】
【表6】
Figure 0003697077
【0069】
【表7】
Figure 0003697077
【0070】
【表8】
Figure 0003697077
【0071】
【表9】
Figure 0003697077
【0072】
【表10】
Figure 0003697077
【0073】
【表11】
Figure 0003697077
【0074】
【表12】
Figure 0003697077
【0075】
【表13】
Figure 0003697077
【0076】
【表14】
Figure 0003697077
【0077】
【表15】
Figure 0003697077
【0078】
【表16】
Figure 0003697077
【0079】
【表17】
Figure 0003697077
【0080】
【表18】
Figure 0003697077
【0081】
【表19】
Figure 0003697077
【0082】
【表20】
Figure 0003697077
【0083】
【表21】
Figure 0003697077
【0084】
【表22】
Figure 0003697077
【0085】
【表23】
Figure 0003697077
【0086】
【表24】
Figure 0003697077
【0087】
【表25】
Figure 0003697077
【0088】
【表26】
Figure 0003697077
【0089】
【表27】
Figure 0003697077
【0090】
【表28】
Figure 0003697077
【0091】
【表29】
Figure 0003697077
【0092】
【表30】
Figure 0003697077
【0093】
【表31】
Figure 0003697077
【0094】
【表32】
Figure 0003697077
【0095】
【表33】
Figure 0003697077
【0096】
【表34】
Figure 0003697077
【0097】
【表35】
Figure 0003697077
【0098】
【表36】
Figure 0003697077
【0099】
【表37】
Figure 0003697077
【0100】
【表38】
Figure 0003697077
【0101】
【表39】
Figure 0003697077
【0102】
また、感光体の構成としては、支持体の上に単一の感光層を設けた単層型、及び電荷発生と電荷輸送の機能を別々の層に分担させた積層型など、例えば以下の形態が挙げられる。
(1)電荷発生物質を含有する層/電荷輸送物質を含有する層
(2)電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する層
(3)電荷発生物質を含有する層/電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する層
【0103】
支持体と感光層の間にバリヤー機能や接着機能を有する下引き層を設けたりしてもよい。これらの構成の中で、支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層がこの順に積層された構成を有する積層型(上記形態の(1)、(3)の構成)が感度や耐久性の面などより特に好ましい。
【0104】
以下に支持体上に電荷発生層と電荷輸送層を積層した機能分離型感光体についてその作成方法を述べる。
【0105】
本発明における支持体としては、導電性を有し例えば以下に示した形態のものを挙げることができる。
(1)アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス及び銅などの金属を板形状またはドラム形状にしたもの。
(2)ガラス、樹脂及び紙などの非導電性支持体や前記(1)の導電性支持体上にアルミニウム、パラジウム、ロジウム、金及び白金などの金属を蒸着またはラミネートすることにより薄膜形成したもの。
(3)ガラス、樹脂及び紙などの非導電性支持体や前記(1)の導電性支持体上に導電性高分子、酸化ズズ及び酸化インジウムなどの導電性化合物の層を蒸着あるいは塗布することにより形成したもの。
【0106】
本発明に用いられる有効な電荷発生物質としては、例えば以下のような物質が挙げられる。これらの電荷発生物質は単独で用いてもよく、2種類以上組み合わせてもよい。
(1)モノアゾ、ビスアゾ及びトリスアゾなどのアゾ系顔料
(2)インジゴ及びチオインジゴなどのインジゴ系顔料
(3)金属フタロシアニン及び非金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系
(4)ペリレン酸無水物及びペリレン酸イミドなどのペリレン系顔料
(5)アンスラキノン及びピレンキノンなどの多環キノン系顔料
(6)スクアリリウム色素
(7)ピリリウム塩及びチオピリリウム塩類
(8)トリフェニルメタン系色素
(9)セレン及び非晶質シリコンなどの無機物質
【0107】
電荷発生物質を含有する層、即ち電荷発生層は前記のような電荷発生物質を適当な結着剤に分散し、これを導電性支持体上に塗工することにより形成することができる。また、導電性支持体上に蒸着、スパッタ及びCVDなどの乾式法で薄膜を形成することによっても形成することができる。
【0108】
上記結着剤としては広範囲な結着性樹脂から選択でき、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレンーブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂及び塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独または共重合体ポリマーとして1種または2種以上混合して用いてもよい。
【0109】
電荷発生層中に含有する樹脂は、好ましくは80重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。また、電荷発生層の膜厚は好ましくは5μm以下、より好ましくは0.01〜2μmを持つ薄膜層とすることが好ましい。また、電荷発生層には種々の増感剤を添加してもよい。
【0110】
電荷輸送物質を含有する層、即ち電荷輸送層は、先に述べたように少なくとも前記一般式(1)、(2)、(3)または(4)で示される特定のアミン化合物の電荷輸送物質と適当な結着剤(結着性樹脂)とを組み合わせて形成することができる。ここで、電荷輸送層に用いられる結着剤としては、前記電荷発生層に用いられているものが挙げられ、更にポリビニルカルバゾール及びポリビニルアントラセンなどの光導電性高分子などが挙げられる。
【0111】
電荷輸送物質としては、前記特定のアミン化合物を1種類単独で用いても2種類以上組み合わせてもよく、また他の構造の電荷輸送物質〔例えばピレン及びアントラセンなどの多環芳香族化合物、カルバゾール系、インドール系、オキサゾール系、チアゾール系、オキサジアゾール系、ピラゾール系、ピラゾリン系、チアジアゾール系及びトリアゾール系などの複素環化合物、トリアリールメタン系化合物、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖または側鎖に有するポリマー(例えばポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリビニルアントラセンなど)〕などと組み合わせてもよい。
【0112】
電荷輸送物質と結着樹脂との配合割合は、結着樹脂100重量部あたり電荷輸送物質を10〜500重量部とすることが好ましい。電荷輸送層は、上述の電荷発生層と電気的に接続されており、電界の存在下で電荷発生層から注入された電荷キヤリアを受け取ると共に、これらの電荷キヤリアを表面まで輸送できる機能を有している。この電荷輸送層は電荷キヤリアを輪送できる限界があるので、必要以上に膜厚を厚くすることができないが、好ましくは5〜40μm、より好ましくは10〜30μmである。
【0113】
更に、電荷輸送層中に酸化防止剤、紫外線吸収剤及び可塑剤などの添加剤を必要に応じ添加することもできる。
【0114】
このような電荷輸送層を形成する際は、適当な有機溶媒を用い、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法及びブレードコーティング法などのコーティング法を用いて行うことができる。
【0115】
【作用】
即ち、本発明は、表面層が前記一般式(1)、(2)、(3)または(4)で示される特定のアミン化合物の電荷輸送物質を含有した電子写真感光体の表面と磁気ブラシ帯電部材との相互接触面に、主な粒径が10nm〜5μmの範囲である非磁性な帯電促進粒子としての導電性酸化亜鉛粒子を存在させた状態で、電子写真感光体の接触帯電を行わせるものである。また、帯電部材は電子写真感光体に周速差を持たせて接触させて電子写真感光体の接触帯電を行わせることもできる。
【0116】
帯電促進粒子としての導電性酸化亜鉛粒子の存在により、電子写真感光体と接触帯電部材との相互接触面において、接触帯電部材は密に電子写真感光体と接触して、その導電性酸化亜鉛粒子が電子写真感光体表面を隙間なく摺擦することで、電子写真感光体に接触確率の点から高効率に電荷を直接注入でき、かつ電子写真感光体の表面層が本発明の特定のアミン化合物からなる電荷輸送物質を含有していることにより、注入性の点から、より高効率に電荷注入を行うことができる。かかる導電性酸化亜鉛粒子は、異種無機物がドープされた酸化亜鉛粒子である。
【0117】
本発明の導電性酸化亜鉛粒子は、主な粒径が10nm〜5μmの範囲内のものを用いる。粒径が5μmを超えた場合、感光体との接触頻度が少なくなるため、電荷注入が不均一なものとなってしまい、画像上の不良が生じる。粒径が10nm未満の場合、導電性酸化亜鉛粒子の飛散が著しく多くなり、帯電器上や感光体上に存在する導電性酸化亜鉛粒子の分布が安定せず、不均一になってしまい、これも画像上の不良が生じてしまう。
【0118】
また、本発明の導電性酸化亜鉛粒子は非磁性である。先記したように本発明の帯電部材は磁気ブラシを用いている。これに磁性の帯電促進粒子を用いた場合、帯電部材のブラシを形成している、磁性体よりなる穂と穂の間に帯電促進粒子が蓄積し、穂がブロッキングしてしまい柔軟性が失われ、磁気ブラシ全体が硬くなるため、感光体の削れ量が大きくなり、また傷なども入り易くなる。また、現像手段として、磁性の現像剤を用いた、1成分非接触現像や2成分現像が適用された場合、磁性の帯電促進粒子が現像器内に取り込まれることにより、現像設定条件が乱れ、画像不良が生ずるなどの問題が発生する。
【0119】
本発明においては、帯電部材が電子写真感光体と周速差を持つと、接触頻度をより高くすることができ、更に高効率に電荷を注入できる。
【0120】
即ち、接触帯電部材による感光体の帯電は上記物性範囲内に規定された導電性酸化亜鉛粒子と本発明の特定のアミン系化合物からなる電荷輸送物質を含有している感光体表面層により、帯電部材の接触不足、帯電部材と感光体の間の注入性の問題が改善され、帯電均一性が飛躍的に向上することになり、非常に高効率で均一な注入帯電がいかなる環境でも長期に渡り安定して行うことが可能となった。
【0121】
更に、従来の磁性微粒子を混入させる磁気ブラシ帯電方式にみられた、被帯電体である感光体に付着してしまうことによる、注入性のダウンなどの弊害は生じず、非常に高効率で均一な注入帯電を行うことが可能となった。
【0122】
かくして、注入帯電に必要な印加バイアスは感光体に必要な電位相当の電圧で十分であるため、放電現象を用いない安定かつ安全な帯電方式を実現することができる。
【0123】
また、これにより、均一な帯電性を与えることができ、オゾン生成物による障害や帯電不良による障害などのない、簡易な構成、低コストな電子写真装置、導電性酸化亜鉛粒子を供給する手段を持つことにより、装置を長期に使用した場合においても帯電を安定して行うことができる。
【0124】
導電性酸化亜鉛粒子は、100個/mm2以上存在させることが好ましく、抵抗値は好ましくは1×1012Ω・cm以下、より好ましくは1×1010Ω・cm以下であることにより、注入帯電において更に均一でかつ安定した帯電が可能となる。
【0125】
【実施例】
〈実施例1、装置形態例−1〉
図1は本発明に従う接触帯電装置を具備した画像形成装置の一例の概略構成模型図である。本例の画像形成装置は、転写方式電子写真プロセス利用、プロセスカートリッジ着脱方式のレーザービームプリンタである。
【0126】
(1)本例プリンタの全体的概略構成
1は像担持体(被帯電体)としての回転ドラム型の電子写真感光体である。本例は直径30mmの負帯電のOPC感光体であり、矢示の時計方向に回転駆動される。
【0127】
2は感光体1に当接させた接触帯電部材としての磁気ブラシ帯電器であり、感光体1と3mm幅の帯電ニップ部nを形成して接し、帯電ニップ部nにおいて感光体1の回転方向と同じ方向に回転(X方向に回転)、あるいは逆方向に回転(Y方向に回転)して回転駆動される。即ち、接触帯電部材としての磁気ブラシ2は感光体1に接触し感光体1を摺擦する。そして、帯電バイアス印加電源S1からDC帯電バイアスが印加されて、感光体1が注入帯電される。
【0128】
この回転感光体1の帯電面に対してレーザーダイオード及びポリゴンミラーなどを含むレーザービームスキャナ3から出力される目的の画像情報の時系列電気ディジタル画素信号に対応して強度変調されたレーザービームによる走査露光Lがなされ、回転感光体1の周面に対して目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0129】
その静電潜像は本例の場合は磁性一成分絶縁トナー(ネガトナー)tを用いた反転現像装置4によりトナー像として現像される。
【0130】
4a はマグネット4bを内包させた、現像剤担持搬送部材として直径16mmの非磁性現像スリーブである。この現像スリーブ4aは感光体1に対して300μmの離間距離をあけて対向配設し、感光体1との対向部である現像部(現像領域部)aにて感光体1の回転方向と順方向に感光体1と等速で回転させた。
【0131】
この回転現像スリーブ4aに規制ブレード4cで現像剤(トナー)tが薄層にコートされる。現像剤は規制ブレード4cで回転現像スリーブ4aに対する層厚が規制され、また電荷付与される。回転現像スリーブ4aにコートされた現像剤はスリーブ4aの回転により、感光体1とスリーブ4aの対向部である現像部aに搬送される。またスリーブ4aには現像バイアス印加電源S2より現像バイアス電圧が印加され、現像スリーブ4aと感光体1の間で1成分ジャンピング現像を行わせた。
【0132】
現像剤(トナー)tは、公知の結着樹脂、磁性体粒子及び電荷制御剤を混合し、混練、粉砕及び分級の各行程を経て作成されたものである。本例において、トナーtの重量平均粒径(D4)は7μmである。
【0133】
一方、不図示の供給部から記録媒体としての転写材Pが供給されて、回転感光体1と、これに所定の押圧力で当接させた接触転写手段としての、中抵抗の転写ローラ5との圧接ニップ部(転写部)bに所定のタイミングにて導入される。転写ローラ5には転写バイアス印加電源S3から所定の転写バイアス電圧が印加される。
【0134】
転写部bに導入された転写材Pはこの転写部bを挟持搬送されて、その表面側に回転感光体1の表面に形成担持されているトナー画像が順次に静電気力と押し圧力にて転写されていく。
【0135】
トナー画像の転写を受けた転写材Pは感光体1の面から分離されて熱定着方式などの定着装置6へ導入されてトナー画像の定着を受け、画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出される。
【0136】
また、転写材Pに対するトナー画像転写後の感光体1面はクリーニング装置7により残留トナーなどの付着汚染物の除去を受けて清掃され繰り返して作像に供される。
【0137】
8は感光体1面に対する導電性酸化亜鉛粒子塗布装置であり、クリーニング装置7と磁気ブラシ2との間位置において感光体1面に所定量の導電性酸化亜鉛粒子(帯電補助粒子)mを塗布する。この装置8により感光体1面に塗布された導電性酸化亜鉛粒子mは感光体1の回転に伴い感光体1と接触帯電部材としての磁気ブラシ2との接触部である帯電部nに持ち運ばれて帯電部nに導電性酸化亜鉛粒子mが存在した状態で磁気ブラシ2による感光体1の接触帯電処理がなされる。
【0138】
本例のプリンタは、感光体1、磁気ブラシ2、現像装置4、クリーニング装置7及び導電性酸化亜鉛粒子塗布装置8の5つのプロセス機器をカートリッジPCに包含させてプリンタ本体に対して一括して着脱交換自在のカートリッジ方式の装置である。プロセスカートリッジ化するプロセス機器の組み合わせなどは上記に限られるものではなく任意である。9,9はプロセスカートリッジPCの着脱案内・保持部材である。なお、本発明において電子写真装置はカートリッジ方式の装置に限られるものではない。
【0139】
(2)感光体1
本例の負帯電のOPC感光体1は、図2に層構成模型図を示したように、φ30mmのアルミニウム製のドラム支持体(アルミ支持体)11上に4層の機能層12〜15を下から順に設けたものである。
【0140】
(3)磁気ブラシ2
本例で用いた接触帯電部材としての磁気ブラシ2はスリ−ブ回転タイプのものであり、非磁性導電性スリ−ブ(帯電スリ−ブ)2cと、この帯電スリ−ブ2c内に固定配置された磁界発生手段としてのマグネットロール2dと帯電スリ−ブ2cの外周面に内部のマグネットロ−ル2dの磁力で磁気吸着させて保持させた帯電磁性粒子(導電性磁性粒子、磁性キャリア)の磁気ブラシ部2eからなり、磁気ブラシ部2eを感光体1面に所定幅で接触させて帯電部nを形成させて配設してある。
【0141】
帯電スリ−ブ2cは感光体1との接触部nにおいて感光体1の回転方向と同じ方向、あるいは逆方向に回転駆動される。これにより、磁気ブラシ部2eも回転搬送されて感光体1面が磁気ブラシ2eで摺擦される。
【0142】
そして、帯電スリ−ブ2cに対して、帯電バイアス印加電源S1により所定の帯電バイアス電圧が印加されることで、印加帯電バイアスDC電圧にほぼ対応した極性電位に回転感光体1が注入帯電される。
【0143】
磁気ブラシの磁性粒子としては樹脂とマグネタイトなどの磁性粉体を混練して粒子に成型したもの、もしくはこれに抵抗値調節のために導電カーボンなどを混ぜたもの、焼結したマグネタイト、フェライト、もしくはこれらを還元または酸化処理して抵抗値を調節したもの、上記の磁性粒子を抵抗調整をしたコート材(フェノール樹脂にカーボンを分散したものなど)でコートまたはNiなどの金属でメッキ処理して抵抗値を適当な値にしたものなどが挙げられる。
【0144】
これら磁性粒子の抵抗値としては、高過ぎると感光ドラムに電荷が均一に注入できず、微小な帯電不良によるカブリ画像となってしまう。低過ぎると感光ドラム表面にピンホールがあったとき、ピンホールに電流が集中して帯電電圧が降下し感光ドラム表面を帯電することができず、帯電ニップ状の帯電不良となる。よって、磁性粒子の抵抗値としては、1×104 〜1×107 Ωが望ましい。
【0145】
磁性粒子の抵抗値は、電圧が印加できる金属セル(底面積228mm2 )に磁性粒子を2g入れた後6.6kg/cm2 で加重し、電圧を1〜1000V印加して測定した。
【0146】
磁性粒子の磁気特性としては、ドラムへの磁性粒子付着をできるだけ抑えるために磁気力を高くする方がよく、飽和磁化が50(A・m2 /kg)以上であることが望ましい。
【0147】
実際に、本実施例で用いた磁性粒子は、平均粒径が50μmで、抵抗値が1×105 Ω、飽和磁化が58(A・m2 /kg)であった。
【0148】
本例では、磁気ブラシ2が感光体表面の移動方向と同じ方向に移動、あるいは逆方向に移動してもよいが、回転数及び回転方向は磁気ブラシ2と感光体1の帯電ニップ部nの太さ、磁気ブラシの密度、感光体の表面抵抗、またプロセススピード(感光体周速)などの条件が変れば、最適な磁気ブラシ帯電器の回転数も変わる。
【0149】
ここで記述した周速比は
周速比(%)=[(帯電ブラシ周速−感光体周速)/感光体周速]×100
であり、帯電ブラシ周速は感光体表面と同じ方向に移動するとき正の値となる。
【0150】
(4)導電性酸化亜鉛粒子mと電荷注入帯電は、中抵抗の接触帯電部材で、放電現像を介さずに感光体表面に直接電荷注入を行うものである。よって、接触帯電部材への印加電圧が放電閾値以下の印加電圧であっても、被帯電体としての感光体を印加電圧相当の電位に帯電することができる。
【0151】
既に説明したように接触帯電部材として磁気ブラシを用いた場合でも、更なる高効率な注入帯電が望まれていた。ゆえに、本発明では、接触確率のアップ、注入性のアップにより、これを達成するに至った。
【0152】
つまり、接触確率のアップに関しては、本実施例の図1に示すように被帯電体としての感光体1の表面に導電性酸化亜鉛粒子mを塗布する装置8を設け、感光体表面に導電性酸化亜鉛粒子mを102個/mm2以上塗布することで、達成することが可能となった。導電性酸化亜鉛粒子塗布装置8は、粉体粒子を塗布する一般的な手段、例えば塗布ローラー8a上に一度均一に塗布した後、感光体上に接触または電界で飛翔させることなどにより塗布する構成を用いることができる。
【0153】
図3に導電性酸化亜鉛粒子mが感光体上に存在したときに、帯電部材(この場合は磁気ブラシ)の接触機会を改善しているモデル図を示す。
【0154】
この導電性酸化亜鉛粒子mをどれくらいの密度で感光体1上に塗布することで均一帯電性の効果が得られるかを、人間の視覚特性を考慮した考察と、それに基づく実験より求めた値が本発明の導電性酸化亜鉛粒子塗布密度範囲である。
【0155】
即ち、レーザービームプリンタの記録解像度は近年300dpiから600dpiと高解像度化が進んでいるが、帯電時は少なくともこの記録解像度よりは均一な接触帯電が必要なことは言うまでもない。
【0156】
また、人間の目の視覚特性に関して、図4の特性グラフのように、空間周波数が10(cycles/mm)以上では、画像上の識別諧調数が限りなく1に近づいていく、即ち濃度ムラを識別できなくなる。
【0157】
この特性を積極的に利用すると、感光体1上に導電性酸化亜鉛粒子mを付着させた場合、少なくとも感光体1で10(cycles/mm)以上の密度で導電性酸化亜鉛粒子mを存在させ、この粒子mを基に接触注入帯電を行えばよいことになる。
【0158】
例え粒子mの存在しない所に帯電不良が発生したとしても、その帯電不良によって発生する画像上の濃度ムラは、人間の視覚特性を越えた空間周波数領域に発生するため、画像上なんら問題はないことになる。
【0159】
表2に導電性酸化亜鉛粒子mの塗布密度を変えたときに、画像上に濃度ムラとしての帯電不良が認知されるかどうかの結果を示す。
【0160】
Figure 0003697077
【0161】
導電性酸化亜鉛粒子mの塗布密度は、光学あるいは電子顕微鏡による観察から、感光体上の塗布密度を測定した。
【0162】
具体的には、帯電バイアスを印加しない状態で感光体1及び帯電部材2の回転を停止し、感光体1の表面をビデオマイクロスコープ(OLYMPUS製OVM1000N)及びデジタルスチルレコーダ(DELTIS製SR−3100)で撮影した。その方法はビデオマイクロスコープにて表面を1000倍の対物レンズで10箇所以上撮影した。得られたデジタル画像から個々の粒子を領域分離するため、ある閾値を持って2値化処理し、粒子の存在する領域の数を所望の画像処理ソフトを用いて計測した。
【0163】
表2から分かるように、導電性酸化亜鉛粒子mをわずかにでも塗布すれば(例えば10個/mm2)、帯電ムラ発生の抑制に効果が認められるが、画像上の濃度ムラが人間にとって許容可能かどうかと言う点においてはまだ不十分である。
【0164】
ところが、その塗布量を102 個/mm2 以上すると、画像の主観評価において急激に好ましい結果が得られるようになる。
【0165】
更に、塗布量を103 個/mm2 以上増加させていくことにより、帯電不良に起因する画像上の問題点は皆無となる。
【0166】
注入帯電方式による帯電では、放電帯電方式とは根本的に異なり、帯電部材が感光体に確実に接触することで帯電が行われている訳であるが、例え導電性酸化亜鉛粒子mが感光体1上に塗布したとしても、接触できない部分は必ず存在する。ところが、本発明の人間の視覚特性を積極的に利用した導電性酸化亜鉛粒子塗布を行うことで、実用上この問題点を解決することが可能となった。
【0167】
また、粒子mの塗布量の上限値は、粒子mが感光体1上に1層均一に塗布されるまでであり、それ以上塗布されても効果が向上するわけではなく、逆に露光光源を遮ったり、散乱させたりという弊害が生じる。
【0168】
塗布密度上限値は粒子mの粒径によっても変わってくるために、一概にはいえないが、強いて記述するならば、粒子mが感光体1上に1層均一に塗布される量が上限である。
【0169】
例えば本例において、導電性酸化亜鉛粒子の量は、5×105個/mm2を超えると、粒子自体の光透過性を問わず、感光体1への露光量不足が生じる。5×105個/mm2以下では悪影響を改善できる。ゆえに導電性酸化亜鉛粒子の塗布密度は、画像上の評価と露光量の関係から102〜5×105個/mm2であることが好ましい。
【0170】
本例では、導電性酸化亜鉛粒子mとして比抵抗が106Ω・cm、二次凝集体を含めた平均粒径3μmの導電性酸化亜鉛粒子を用いた。
【0172】
磁性粒子であるFe23 は電気陰性度は13程度であり、電荷注入性に関しては特に問題は生じない。しかし、先記したように、本実施例の磁性1成分現像装置を用いた場合、現像器内に帯電促進粒子が蓄積し、画像不良が生じてしまう。また、非磁性現像方式の場合においても、この装置で画像をとり続けると、帯電部材である磁気ブラシ中に、蓄積した帯電促進粒子により、磁気ブラシがブロッキングしてしまい、感光体の表面に深い傷が入り、画像不良が生ずるなどの問題が発生する。
【0173】
粒子抵抗は粒子を介した電荷の授受を行うため比抵抗としては1012Ω・cm以下が望ましく、更には1010Ωcm以下がより望ましい。抵抗測定は、錠剤法により測定し正規化して求めた。底面積2.26cm2 の円筒内に凡そ0.5gの粉体試料を入れ上下電極に15kgの加圧を行うと同時に100Vの電圧を印加し抵抗値を計測、その後正規化して比抵抗を算出した。
【0174】
また、粒径は良好な帯電均一性を得るために50μm以下において効果が現れるが、人の視覚特性を考慮すると、約5μm以下の細かい粒子を用いることで、帯電時に発生する帯電不良部分の画像への影響を、視覚的に認識されにくい状態が得られる。
【0175】
本発明において、粒子が凝集体として構成されている場合の粒径は、その凝集体としての平均粒径として定義した。粒径の測定には、光学あるいは電子顕微鏡による観察から、100個以上抽出し、水平方向最大弦長を測って体積粒度分布を算出しその50%平均粒径をもって決定した。
【0176】
以上述べたように導電性酸化亜鉛粒子mは、一次粒子の状態で存在するばかりではく二次粒子の凝集した状態で存在することもなんら問題はない。どのような凝集状態であれ、凝集体として帯電促進粒子としての機能が実現できればその形態は重要ではなく、重要なのはその粒子密度である。
【0177】
一方、磁気ブラシ帯電では、磁気ブラシ部2eを構成している磁性粒子が帯電時に少しづつ感光体1に付着するという課題があり、磁性粒子を帯電性向上のために積極的に微粒子化することができないという問題があった。
【0178】
ところが、本発明によれば、帯電均一性は導電性酸化亜鉛粒子の存在密度により、ほぼ決まるため、磁気ブラシ部2eを構成させる導電性酸化亜鉛粒子をむやみに微粒子化する必要が無くなった。そのため、使用する磁性粒子を比較的大きい粒子。例えば従来用いられてきた、20〜50μm径の磁性粒子に対して、50〜100μm径程度の粒子まで粒径を大きくして磁気拘束力を大きくすることで、感光体に対する磁性粒子付着の問題をほぼ解決することが可能となった。
【0179】
〈実施例2、装置形態例−2〉
図5は本例の画像形成装置の概略構成図である。本例の画像形成装置は上述の実施形態例のプリンタ(図1)において、クリーニング装置7をなくしてクリーナーレスシステムとし、また導電性酸化亜鉛粒子塗布装置8をなくし、その代わりに現像装置4の現像剤(トナー)tに導電性酸化亜鉛粒子mを外添することで、現像装置4に感光体1に対する導電性酸化亜鉛粒子供給と塗布手段を兼ねさせたものである。
【0180】
トナーtは公知の結着樹脂、磁性体粒子及び電荷制御剤を混合し、混練、粉砕及び分級の各行程を経て作成し、更に前述の導電性酸化亜鉛粒子mを外添剤としてトナーに添加し作成されたものである。トナーtの重量平均粒径(D4)は7μmであり、これに対し導電性酸化亜鉛粒子の粒径は3μmであった。
【0181】
導電性酸化亜鉛粒子mの粒径を10nm以上トナー粒径以下に構成することで、トナーtの流動化剤として機能させることが可能になる。
【0182】
トナーtに対する導電性酸化亜鉛粒子mの配合量は、一般には、トナー100重量部に対して0.01〜20重量部の範囲で設定される。
【0183】
クリーナーレスシステムの場合は、転写剤Pに対するトナー像転写後の回転感光体1面に残留の転写残トナーはクリーナーで除去されることなく、感光体1の回転にともない帯電部nを経由して現像部aに至り、現像装置4において現像同時クリーニング(回収)される(トナーリサイクルプロセス)。
【0184】
現像同時クリーニングは前述したように、転写後に感光体1上に残留したトナーを引き続く画像形成工程の現像時、即ち引き続き感光体を帯電し、露光して潜像を形成し、その潜像の現像時において、現像装置のかぶり取りバイアス、即ち現像装置に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vbackによって回収するものである。本実施例におけるプリンタのように反転現像の場合では、この現像同時クリーニングは、感光体の暗部電位から現像スリーブにトナーを回収する電界と、現像スリーブから感光体の明部電位へトナーを付着させる電界の作用でなされる。
【0185】
現像装置4の現像剤tに混入させた導電性酸化亜鉛粒子mは、現像装置4による感光体1側の静電潜像のトナー現像時にトナーとともに適当量が感光体1側に移行する。
【0186】
感光体1上のトナー画像は転写部bにおいて転写バイアスの影響で記録媒体である転写材P側に引かれて積極的に転移するが、感光体1上の導電性酸化亜鉛粒子mは導電性であることで転写材P側には積極的には転移せず、感光体1上に実質的に付着保持されて残留する。
【0187】
そして、クリーニング装置はないので、転写後の感光体1面に残存の転写残トナー及び上記の残存導電性酸化亜鉛粒子mは感光体1と接触帯電部材である磁気ブラシ2の接触部である帯電部nに感光体1面の移動でそのまま持ち運ばれる。従って、感光体1と磁気ブラシ2との相互接触面部nにこの導電性酸化亜鉛粒子mが存在した状態で感光体1の接触帯電が行われる。
【0188】
帯電部nを通過した転写残トナー及び導電性酸化亜鉛粒子m、また磁気ブラシ2に付着・混入した転写残トナー及び導電性酸化亜鉛粒子mは磁気ブラシ2から徐々に感光体1上に吐き出されて、感光体1面の移動と共に現像部aに至り、現像装置4において現像同時クリーニング(回収)される。
【0189】
また、クリーナーレスシステムの画像形成装置の場合は、装置が稼動されることで、現像装置4の現像剤tに混入させてある導電性酸化亜鉛粒子mが現像部aで感光体1面に移行し該像担持面の移動により転写部bを経て帯電部nに持ち運ばれて帯電部nに新しい粒子mが逐次に供給され続けるため、帯電部nにおいて導電性酸化亜鉛粒子mが脱落などで減少したり、該粒子mが劣化するなどしても、帯電性の低下が生じることが防止されて良好な帯電性が安定して維持される。感光体に塗布された導電性酸化亜鉛粒子がクリーニング装置により除去されることが無くなったために、感光体表面には常に十分な導電性酸化亜鉛粒子mが存在することが可能となり、少量の導電性酸化亜鉛粒子mをトナーtに外添するだけで、帯電性を飛躍的に向上することが可能になった。
【0190】
また、当然ながら転写残トナーも再利用されることになり、トナーの有効利用が可能になる。
【0191】
なお、印字初期においては磁気ブラシ2と感光体1の接触部nには導電性酸化亜鉛粒子が供給されないので接触部nには適当量の導電性酸化亜鉛粒子を予め介在させておくことがよい。
【0192】
〈実施例3、感光体の評価例〉
以下、部は重量部を表わす。
【0193】
10%酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した酸化チタン粉体50部、レゾール型フェノール樹脂25部、メチルセルソルブ30部、メタノール30部及びシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、重量平均分子量3000)0.002部を1mmΦガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して導電層用の塗料を調製し、この塗料を30mmΦのアルミニウムシリンダー上に浸漬塗布し、140℃で30分乾燥させ、膜厚20μmの導電層を形成した。
【0194】
次に、6−66−610−12四元系ポリアミド共重合体5部を、メタノール70部とブタノール25部の混合溶媒に溶解した溶液を上記導電層上に浸漬塗布し、乾燥して膜厚1μmの下引き層を形成した。
【0195】
次に、電荷発生物質として、オキシチタニウムフタロシアニン10部を用い、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学(株)製)10部をシクロヘキサノン400部に溶解した液と共に、1mmΦガラスビーズ400部を用いてサンドミル装置で5時間分散した後、酢酸エチル400部を加えて電荷発生層用の塗布液を調製した。この塗布液を上記下引き層上に浸漬塗布し、80℃で10分間乾燥して膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0196】
次に、電荷輸送物質として、アミン系化合物例No.105を10部用い、ポリカーボネート(重量平均分子量46000)10部と共にジクロロメタン20部とモノクロロベンゼン50部の混合溶媒に溶解し、この液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し110℃で60分乾燥し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作成した。
【0197】
一方、装置形態例−1の装置において、反転現像装置4を取り外し電位測定プローブを取り付け改造した。
【0198】
これに前記電子写真感光体を取り付けて、下記測定条件で帯電ブラシにDC電圧を0Vから800Vまで印加し感光体の帯電電位を測定した。
【0199】
[測定条件]
・感光体の周速度;100mm/sec
・感光体と磁気ブラシの周速比;−150%(磁気ブラシがY方向に50mm/secで回転)
・感光体と磁気ブラシのニップ幅;3mm
導電性酸化亜鉛粒子の塗布量;102個/mm2
【0200】
〈比較例1〜4〉
アミン系化合物例No.105に代えて、下記構造式で示される比較CTM1、比較CTM2、比較CTM3及び比較CTM4を用いた他は、実施例3と同様に電子写真感光体を作成し同様な評価を行った。
【0201】
これらの結果を図7に示す。
【0202】
比較CTM1
【0203】
【化13】
Figure 0003697077
比較CTM2
【0204】
【化14】
Figure 0003697077
比較CTM3
【0205】
【化15】
Figure 0003697077
比較CTM4
【0206】
【化16】
Figure 0003697077
【0207】
図7のグラフの結果から、本発明で用いる帯電方法は、磁気ブラシへの印加電圧が放電閾値以下の印加電圧であっても感光体がリニアに帯電できることが分る。更に、本発明の感光体は比較感光体と比べ注入帯電性に優れ、印加電圧相当の電位に帯電できることが分る。
【0208】
〈実施例4〉
アミン系化合物例No.41を10部とポリカーボネート(重量平均分子量46000)10部をモノクロロベンゼン100部に溶解した。この液を片面アルミ蒸着マイラー(膜厚12μm)のマイラー面上に塗布し、110℃で60分乾燥し、20μmの電荷輸送層を形成し、30mmΦのアルミニウムシリンダーに巻き付けた。
【0209】
これを、実施例3で用いた装置形態例−1の装置の改造機に取り付けて、下記測定条件で帯電効率を常温/常湿=23℃/50%RH(N/N)下、高温/高湿=35℃/85%RH(H/H)下及び低温/低湿=15℃/10%RH(L/L)下で測定した。結果を表3に示す。
【0210】
[測定条件]
・巻き付けアルミニウムシリンダーの周速度;100mm/sec
・巻き付けアルミニウムシリンダーと磁気ブラシの周速比;0%(磁気ブラシがX方向に100mm/secで回転) 及び−150%(磁気ブラシがY方向に50mm/secで回転)
・巻き付けアルミニウムシリンダーと磁気ブラシのニップ幅;3mm
導電性酸化亜鉛粒子の塗布量;102個/mm2
・帯電効率(%)=[1回転目の帯電電位(―V)/印加電圧(―700V)]×100
【0211】
〈比較例5〜8〉
アミン系化合物例No.41に代えて、前記比較CTM1、比較CTM2、比較CTM3及び比較CTM4を用いた他は、実施例4と同様にサンプルを作成し同様な評価を行った。結果を表3に示す。
【0212】
〈実施例5〜13〉
アミン系化合物例No.41に代えて、アミン系化合物例No.1、No26、No.59、No.77、No.107、No.139、No.144、No.167及びNo.188を用いた他は、実施例4と同様にサンプルを作成し同様な評価を行った。結果を表3に示す。
【0213】
Figure 0003697077
【0214】
〈実施例14〉
実施例3で用いた電子写真感光体を、装置形態例−2の画像形成装置に取り付け、ベタ白画像及びハーフトーン画像を評価した。
下記測定条件で、N/N下で初期及び1000枚耐久後の画像評価を行った。結果を表4に示す。
【0215】
[測定条件]
・感光体の周速度;100mm/sec
・感光体と磁気ブラシの周速比;−200%(磁気ブラシがY方向に100mm/secで回転)
・感光体と磁気ブラシのニップ幅;3mm
・トナーに対する導電性酸化亜鉛粒子の配合量;2重量%
【0216】
〈比較例9〜12〉
比較例1、2、3及び4で用いた電子写真感光体を、実施例14と同様に評価した。結果を表4に示す。
【0217】
〈実施例15〜20〉
電荷輸送物質としてアミン系化合物例No.105を、アミン系化合物例No.4、No.41、No.73,No.106、No.122及びNo.137に代えた他は、実施例3と同様に電子写真感光体を作成し、実施例14と同様に評価した。結果を表4に示す。
【0218】
Figure 0003697077
【0219】
表4の結果から、本発明の感光体は帯電均一性に優れ、帯電不良や帯電ムラに起因する画像欠陥がない良好な画像が得られ、耐久特性も優れている。
【0220】
〈実施例21〉
電荷輸送物質としてアミン系化合物例No.105を用い、実施例3と同様に電子写真感光体を作成した。これを実施例3で用いた装置形態例−1の装置の改造機に取り付けて、下記測定条件で帯電効率をN/N下、H/H下及びL/L下で測定した。結果を表5に示す。
【0221】
[測定条件]
・感光体の周速度;100mm/sec
・感光体と磁気ブラシの周速比;−150%(磁気ブラシがY方向に50mm/secで回転)
・感光体と磁気ブラシのニップ幅;3mm
・帯電促進粒子の塗布量;102 個/mm2
・帯電促進粒子;ZnO(比抵抗106 Ω・cm、平均粒径3μm、電気陰性度=8.0)
・帯電効率(%)=[1回転目の帯電電位(―V)/印加電圧(―700V)]×100
【0225】
【外1】
Figure 0003697077
【0227】
その他に、
1)被帯電体1や接触帯電部材2に対する導電性酸化亜鉛粒子供給・塗布手段8は実施例に限られるものではなく、その他、例えば、導電性酸化亜鉛粒子mを含ませた発泡体あるいはファーブラシを被帯電体1や接触帯電部材2に当接させて配設する手段構成とするなど任意である。
【0228】
2)接触帯電部材2や現像スリーブ4aに対する印加帯電バイアスあるいは印加現像バイアスは直流電圧に交番電圧(交流電圧)を重畳してもよい。
【0229】
交番電圧の波形としては、正弦波、矩形波及び三角波など適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成された矩形波であってもよい。このように交番電圧の波形として周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0230】
3)静電潜像形成のための画像露光手段としては、実施例のようにデジタル的な潜像を形成するレーザー走査露光手段に限定されるものではなく、通常のアナログ的な画像露光やLEDなどの他の発光素子でもさしつかえないし、蛍光燈などの発光素子と液晶シャッターなどの組み合わせによるものなど、画像情報に対応した静電潜像を形成できるものであるならさしつかえない。
【0231】
感光体1は静電記録誘電体などであってもよい。この場合は、該誘電体面を所定の極性・電位に一様に一次帯電した後、除電針ヘッドや電子銃などの除電手段で選択的に除電して目的の静電潜像を書き込み形成する。
【0232】
4)実施例では現像装置4は、磁性の現像剤を用いた1成分非接触型現像装置であるが、2成分現像剤や、非磁性の現像剤を用いる非接触型現像装置でもさしつかえない。1成分または2成分の接触型現像装置であってもよい。
【0233】
5)感光体1からトナー画面の転写を受ける記録媒体は転写ドラムなどの中間転写体であってもよい。
【0234】
6)トナー粒度の測定方法の1例を述べる。測定装置としては、コールターカウンターTA−2型(コールター社製)を用い、個数平均分布及び体積平均分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びCX−1パーソナルコンピュータ(キヤノン製)を接続し、電解液は一級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。
【0235】
測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくは、アルキルバンゼンスルホン酸塩0.1〜5ml加え、更に測定試料を0.5〜50mg加える。
【0236】
試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−2型により、アパーチャーとして100μアパーチャーを用いて2〜40μmの粒子の粒度分布を測定して、体積平均分布を求める。これらの求めた体積平均分布より体積平均粒径を得る。
【0237】
【発明の効果】
本発明の電子写真装置によれば、良好に電荷を感光体表面に注入帯電することができ、かついかなる環境でも安定した注入帯電を実現でき、画像欠陥のない、 高品質な画像を提供できる。
【0238】
また、オゾン生成物による障害、帯電不良による障害などがない、簡易な構成、低コストな電子写真装置、該電子写真装置に用いる電子写真感光体及び該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の画像形成装置の概略構成図。
【図2】感光体の層構成模型図。
【図3】 導電性酸化亜鉛粒子が存在する場合における帯電ブラシの感光体との接触状態のモデル図。
【図4】人間の目の視覚特性を説明する図。
【図5】実施形態例2の画像形成装置の概略構成図。
【図6】ローラ帯電、ファーブラシ帯電及び磁気ブラシ帯電の各場合の帯電特性グラフ。
【図7】印加DC電圧と感光体電位の関係を説明する図。
【符号の説明】
1 感光体(像担持体、被帯電体)
2 接触帯電部材(帯電ブラシまたは帯電ローラ)
4 現像装置
導電性酸化亜鉛粒子塗布装置
導電性酸化亜鉛粒子
P 転写材

Claims (9)

  1. 電子写真感光体、該電子写真感光体とニップ部を形成し、磁性粒子を磁気拘束させた磁気ブラシよりなる帯電部材に電圧を印加することにより該電子写真感光体を帯電する帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有する電子写真装置において、該電子写真感光体の表面層が下記一般式(1)、(2)、(3)または(4)で示される電荷輸送物質を含有し、かつ該帯電部材と該電子写真感光体との接触面に、主な粒径が10nm〜5μmの範囲である非磁性な帯電促進粒子としての導電性酸化亜鉛粒子を存在させて、該電子写真感光体表面に注入帯電することを特徴とする電子写真装置。
    一般式(1)
    Figure 0003697077
    一般式(2)
    Figure 0003697077
    一般式(3)
    Figure 0003697077
    一般式(4)
    Figure 0003697077
    [式中、Ar〜Ar及びArは置換基を有してもよいアリール基を示す。Ar〜Ar及びArは同一であっても異なっていてもよい。Ar及びAr〜Ar10は置換基を有してもよいアリーレン基を示す。Ar及びAr〜Ar10は同一であっても異なっていてもよい。R〜Rは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいビニル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。R〜Rは同一であっても異なっていてもよい。Xは置換基を有してもよいアルキレン、置換基を有してもよいアリーレン、CR10=CR11(R10及びR11は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または水素原子を示す)、C=O、S=O、SO、−NR12−(R12は置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す)、酸素原子及び硫黄原子より一つあるいは任意に組み合わされた有機残基を示す。ただし、R〜Rのうち少なくとも2つ及びR〜Rのうち少なくとも2つは置換基を有してもよいアリール基である。なお、ArとArまたはRとArまたはRとRまたはRとRまたはRとRまたはRとRは直接または他の有機残基を介して環を形成してもよく、ArとArまたはArとArは他の有機残基を介して環を形成してもよい。]
  2. 該導電性酸化亜鉛粒子が、該帯電部材と該電子写真感光体との接触面に少なくとも100個/mm以上存在する請求項1に記載の電子写真装置。
  3. 該帯電部材が該電子写真感光体面に対して周速差を持っている請求項1または2に記載の電子写真装置。
  4. 該導電性酸化亜鉛粒子の主な粒子抵抗が1×1012Ω・cm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真装置。
  5. 該電子写真感光体が電荷発生層及び電荷輸送層を支持体側からこの順に有する請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真装置。
  6. 該導電性酸化亜鉛粒子を該帯電部材と該電子写真感光体との接触面に供給する導電性酸化亜鉛粒子供給手段を有する請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真装置。
  7. 該導電性酸化亜鉛粒子供給手段が該電子写真感光体に該導電性酸化亜鉛粒子を直接塗布することにより行うものである請求項6に記載の電子写真装置。
  8. 該導電性酸化亜鉛粒子供給手段が該帯電部材に該導電性酸化亜鉛粒子を混入させて行うものである請求項6に記載の電子写真装置。
  9. 現像手段及びクリーニング手段の少なくとも一方を有する請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真装置。
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