JP3696799B2 - 非磁性一成分現像方式用micr用トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真現像方式のプリンターや複写機において、磁気読み取りの印刷に用いられる非磁性一成分現像方式用MICR(Magnetic InkCharacter Recognition)用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気インキ文字認識(MICR)は、画像を磁化し磁気ヘッドにより読み出す方式であり、手形、小切手、有価証券、チケットなどにおいて、偽造・変造防止、または識別、分類等の処理を効率良く行うために考案された。磁気画像の作成は、通常、磁性インキを用いてオフセット印刷などでなされるので簡便ではない。小型の印刷機として感熱転写方式のものがあるが、この方式はMICR文字のみの印字を行う単機能機がほとんどであるために、MICR文字以外の文字やグラフィックスの印字を行うことができなかった。そこで近年、MICRに使われる書類を、特に小切手、手形を電子写真現像方式で簡単に作成することが行われるようになってきた。電子写真現像方式には、大別して二成分現像方式、磁性一成分現像方式及び非磁性一成分現像方式とがあるが、二成分現像方式は、一成分現像方式に比べ機械が大型になるので簡便とは言えない。
【0003】
そこでMICR用現像方式として、磁性又は非磁性一成分現像方式が注目されるようになった。
磁性一成分方式は、現像スリーブ上の磁界とトナーの帯電力のバランスによりトナーの現像性を制御する方式であり、磁性体を含んだ一般的な磁性一成分用トナーの改良で比較的容易にMICR用の印刷が可能であり、MICR読取りが可能な画像が得らるものの、グラフィック性等の一般書類に必要な画像を満足していないのが実状である。一方、非磁性一成分方式は、現像スリーブ上の帯電量のみでトナーの現像性を制御する方式であり、磁性体を含まない一般的な非磁性一成分用のトナーでは全くMICR用として機能しない。従って、先ず第一にトナーに磁性体を含有させることが必要となる。ここにスチレン/アクリル酸エステル共重合体やポリエステル樹脂等の結着樹脂にマグネタイト等の磁性体を40〜70%含有した従来技術による磁性トナーをMICR用として使うと、磁性体が帯電量に影響し、一般の非磁性一成分用トナーによる画像と比較して、カブリが多く、細線の周辺にトナーの飛び散りが多い等の現象が生じ、MICRシステムの読取機のリーダーソーターでの読取エラーの原因となるし、書類として必要な良好なグラフィック性を実現できない問題を有するものであった。また、非磁性一成分方式の現像スリーブ表面の材質はウレタンゴムなど軟質のものであるため、磁性体が現像スリーブ表面を傷付け、その傷の部分にトナーの成分が蓄積し、正常な画像を得られなくなり、現像スリーブを頻繁に交換しなければならないという問題が発生した。
特に、トナーの形状が角張っていると現像スリーブ表面を傷付けることも判明した。
また、MICR書類はその使用過程で、画像が磁気ヘッドで10回以上も摺擦されるので耐摺擦性も重要であり、MICR用トナー中に各種のワックス類を添加することが、特開平6−282100号、特開平6−43689号、特開平7−271085号に開示されているが、単なる画像としては問題なくても、磁気読み取りでは問題を起すことが多々あり、非磁性一成分現像方式のプリンターに使用可能なMICR用トナーは存在しなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、非磁性一成分現像方式のプリンターに使用しても、現像スリーブを傷付けず、磁気ヘッドに対する耐摺擦性を有し、適正な信号強度により読取りエラーを生ずることなく、しかも画像濃度やカブリなどの画質の点も問題ない非磁性一成分現像方式に使用可能なMICR用トナーを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、現像スリーブにトナーを供給し、層規制部材によりトナーの薄層を現像スリーブ上に形成するとともに、該トナーに電荷を与え、静電潜像を保持する感光体に移動させて静電潜像を現像し、次いで用紙に転写を行う非磁性一成分現像方式に使用されるトナーであって、結着樹脂、磁性体及びワックスを含有し、かつトナー中に該磁性体を15〜40重量%含有してなり、シリカを表面に付着してなるBET比表面積が0.95〜1.30m2/gのトナーであって、該シリカがBET比表面積100〜300m2/gの疎水性シリカ1とBET比表面積が30〜80m2/gの疎水性シリカ2であることを特徴とする非磁性一成分方式用MICR用トナーである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の非磁性一成分現像方式用MICR用トナーは、結着樹脂、磁性体、ワックス及び流動化剤を主成分とするものである。また、必要に応じて、電荷制御剤、着色剤、その他の添加剤を含有させてもよい。
【0007】
本発明の非磁性一成分現像方式用トナーの結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエン、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体等のスチレン並びにその置換体の単独重合体及びそれらの共重合体、;スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸−n−ブチル共重合体等のスチレンとアクリル酸エステルとの共重合体;スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸−n−ブチル共重合体等のスチレンとメタクリル酸エステルとの共重合体;スチレンとアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルとの多元共重合体;その他スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−アクリルニトリルインデン共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレンと他のビニル系モノマーとのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸フェノール樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、石油樹脂、塩素化パラフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、等が単独又は混合して使用できる。
本発明は、これらの中でもスチレンーアクリル酸エステル共重合体樹脂及びポリエステル樹脂が好ましく使用され、ポリエステル樹脂が特に好ましい。
【0008】
本発明の非磁性一成分現像方式用MICR用トナーに配合する磁性体は、特に限定されないが、MICRシステムの読取機で適正な信号強度を得られ、かつ、トナーの帯電性を損なわないよう選択する。好ましくはマグネタイト粒子であり、粒状マグネタイトと針状マグネタイトとを併用することが上記特性を満足するためにより好ましい。
なお、本発明でいう粒状マグネタイトとは、不定形、球形、六面体、八面体などを包含する。
さらに又、本発明のMICR用トナーに配合する磁性体の含有量がトナー中に15〜40重量%である。この場合、磁性体の含有量15重量%以下では、信号強度に必要な残留磁化が得られず、一方、40重量%を越えると定着強度が低下して耐摺擦性が低下したり、帯電性が不足気味になったり、信号強度が適正範囲の上限を越えるなどの問題を生じる。
本発明で使用する磁性体の残留磁化は、5〜50emu/gが好ましく、8〜40emu/gがより好ましい。残留磁化が50emu/gを越えると信号強度が過剰になり、一方、5emu/g未満であると信号強度が不足し、ともに読取りエラーの原因となる。 なお、必要に応じて、他の磁性体と併用することもできる。
【0009】
本発明はワックスを含有することが必要である。ワックスは現像スリーブの傷付き防止と、磁気ヘッドでの耐摺擦性、耐オフセット性に寄与する。
ワックスとしては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等のポリオレフィン系ワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックスなどがあげられる。そして、これらのワックスを単独又は混合して使用することができるが、それらの中でも請求項4にて特定するように本発明では、ポリオレフィン系ワックスが好ましく、特に低分子量ポリエチレンワックスが好ましい。低分子量ポリエチレンワックスは、磁性体が現像スリーブの表面を傷付けるのを防ぐ作用がもっとも顕著で、現像スリーブの汚染は少なく、現像スリーブの寿命は一般の非磁性一成分現像用トナーと同等であった。また転写効率も高く、OPC汚染(フィルミング)も発生せず、さらに磁気ヘッドでの耐摺擦性、耐オフセット性も良好であった。
ワックスの含有量は、トナー全体に対し、1.0〜15重量%が好ましく、1.5〜5.0重量%がより好ましい。ワックスが1.0重量%未満では離型剤としての効果が少なく、現像スリーブ表面の傷付きや転写効率,OPC汚染、耐オフセット性や耐摺擦性に問題を生じ、15重量%を越えると保存安定性に問題を生じる。
【0010】
また、本発明の非磁性一成分現像方式用MICR用トナーには、帯電制御剤を添加することが好ましい。正帯電性の帯電制御剤としては、例えばニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の第四級アンモニウム塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド、ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレートを単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。この中でも特にニグロシン系化合物、第四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。好ましい添加量は0.1〜5重量%である。
負帯電性の帯電制御剤としては、例えばアセチルアセトン金属錯体、モノアゾ金属錯体、ナフトエ酸あるいはサリチル酸系の金属錯体または塩等の有機金属化合物、キレート化合物、カリックスアレーン化合物、ホウ素含有有機物等を単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。この中でも特にサリチル酸系金属錯体、モノアゾ金属錯体が好ましく用いられる。好ましい添加量は0.1〜5重量%である。
また、これらを単独又は混合して使用してもかまわない。
なお、本発明のトナーは、負帯電性であることが好ましいが、上記帯電制御剤を適宜使用することで調整可能である。
【0011】
本発明の非磁性一成分現像方式用MICR用トナーは、マグネタイトのような黒色の磁性体を含有している場合、着色剤を使わなくても支障ないが、必要な場合、着色剤を使用できる。着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコオイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオクサレート、ランプブラック、ローズベンガル、ローダミン系染料、アントラキノン染料、モノアゾ及びジスアゾ系顔料、これらの混合物及びその他を挙げることができる。これらの着色剤は、十分な画像濃度の可視像が形成される割合で含有されることが必要であり、通常結着樹脂100重量部に対して20重量部以下の割合が好ましい。
【0012】
また、感光体を保護すると共に、現像特性を劣化させることなく、高品質の画像を得るために、本発明のトナーには高級脂肪酸、オレフィンー無水マレイン酸共重合体類などを適宜添加してもよい。
【0013】
上記材料からなる本発明の非磁性一成分現像方式用MICR用トナーは、BET比表面積が0.95〜1.30m2/gである。上記個数平均粒子径のトナーにおいて、BET比表面積が0.95〜1.30m2/gであるということは、形状が角張っていて、表面の凹凸が著しいため、現像スリーブ表面を傷付けるため現像スリーブが汚染するという問題がある。本発明は、以下に記載の通り、この問題を解決したものである。
【0014】
本発明の非磁性一成分現像方式用MICR用トナーは、トナー表面に、BET比表面積100〜300m2/gの疎水性シリカ1とBET比表面積が30〜80m2/gの疎水性シリカ2とを付着していることが必要である。この場合、疎水性シリカ1は、トナー表面の角張りやざらつきを緩和し表面を滑らかにすることにより、現像スリーブの表面を傷付けず、現像スリーブ融着を防止する機能を有する。しかし疎水性シリカ1のみでは、トナーの帯電性を低下させ画像濃度が不足し、連続プリントではさらに画像濃度が低下したり、余剰のシリカがOPC表面にフィルミングを起して黒点の発生の原因となりやすい。よって、本発明では、疎水性シリカ1に加えて疎水性シリカ2を併用する。疎水性シリカ2には、帯電性安定の効果があるので上記問題点が解消する。
疎水性シリカ1のBET比表面積が100m2/g未満ではトナーの凹み部に入らないし、BET比表面積が300m2/gを越えると埋没してしまい効果が少ない。疎水性シリカ2のBET比表面積が、80m2/gを越えると本発明のトナーの帯電性を低下させ、30m2/g未満ではトナーの流動性保持に効果なく保存安定性に問題を生ずる。
疎水性シリカ1の付着量は、トナーに対して0.05〜0.80重量%が好ましく、0.10〜0.40重量%がより好ましい。0.05重量%未満では、トナーの形状を滑らかにする効果が出ない。0.40重量%を越えるとトナーの流動性が増し、トナー表面の摩擦性が低下し、帯電性が低下する、また、OPC等の感光体の表面にフィルミングなどを起して黒点を発生させたりする。
疎水性シリカ2の付着量は、トナーに対して、0.05〜1.50重量%が好ましく、0.30〜0.80%がより好ましい。0.05重量%未満ではトナーに帯電性を付与する効果が出ない。1.50重量%を越えると、流動性が上がり過ぎて帯電性が低下する。
【0015】
本発明のトナーは、シリカの付着前後の嵩密度の関係が、付着前の嵩密度をA(g/cm3)、付着後の嵩密度をB(g/cm3)としたとき、B/Aが、1.0<B/A≦1.4となることが好ましい。この場合、B/Aが1.0以下では流動性の不足のため安定した且つ十分なトナー層厚を得られず画像が不均一となる。一方、1.4超えると流動性が上がり、現像スリーブでの摩擦が低下し、帯電量が不足し、カブリや文字周り飛び散りなどの問題を発生する。
【0016】
又、本発明で使用する2種類の疎水性シリカは、請求項5で特定するように表面がシリコーンオイル処理されていることが好ましい。本発明は、上記B/Aを特定することによって疎水性シリカの添加量の上限が規制されるため転写効率が低い場合があるが、シリコーンオイル処理により防止できる。
【0017】
本発明の、表面処理後のトナーの嵩密度Bは、0.45〜0.55g/cm3が好ましい。0.45g/cm3未満では画像の追従性の不足のためトナー層が不均一になる。0.55g/cm3を越えると摩擦が少なくなり帯電量が減少するので、画像濃度が下がり、カブリや飛び散りが多くなり、感光体汚染による黒点も発生する。
【0018】
本発明の非磁性一成分現像方式用MICR用トナーの製造工程は、次の工程で構成されることが好ましい。▲1▼結着樹脂、磁性体及びワックスを含有し、個数平均粒子径7〜12μmであって、未処理のBET比表面積が0.95〜1.30m2/gであるトナーを作製する工程、▲2▼BET比表面積100〜300m2/gの疎水性シリカ1を付着させる工程、▲3▼BET比表面積が30〜80m2/gの疎水性シリカ2を付着させる工程。上記のように、先に疎水性シリカ1をトナー表面に付着させることでより効果的に表面を滑らかにする。その上に疎水性シリカ2が付着するので疎水性シリカ2もより効果的に作用する。
また、本発明は、必要に応じて疎水性シリカ以外の金属酸化物を付着させてもよいが、それらのBET比表面積は添加時点によって、疎水性シリカ1または疎水性シリカ2に合わせることが好ましい。
発明は、溶融混練・粉砕法のみならず、重合法にて作製するトナーにも適用できる。
本発明のトナーが適用される非磁性一成分現像方式は、例えば特開平11−202546号に記載のように、現像スリーブにトナーを供給し、層規制部材によりトナーの薄層を現像スリーブ上に形成するとともに該トナーに電荷を与え、静電潜像を保持する感光体ドラムに接触させて静電潜像を現像し、次いで用紙に転写を行う方法が挙げられる。
また、本発明はMICR用に限らず、一般の非磁性一成分方式のプリントにも使用可能である。
【0019】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を説明する。なお、配合部数は全て重量部を意味する。
<実施例1>
・ ポリエステル樹脂 75.0部
(三菱レイヨン社製 商品名:FC―664)
・ 負帯電性帯電制御剤 0.5部
(オリエント化学工業社製 商品名:ボントロンS−44)
・ マグネタイト 22.5部
((チタン工業社製 商品名:BL−500、残留磁化8.5emu/g、飽和磁化75emu/g)と(関東電化工業社製 商品名:CJ−3000B、残留磁化34.3emu/g、飽和磁化83.2emu/g)の併用)
・ ポリエチレンワックス 2.0部
(ヘキスト社製 商品名:PE−190)
上記原料をスーパーミキサーで乾式混合し、二軸押出混練機で熱溶融混練して混練物を得た後、ジェットミルで粉砕、乾式気流分級機で分級して個数平均粒子径が9.5μm、BET比表面積が1.20m2/gのトナーを得た。このトナー粒子は角張っており、表面に凸凹が確認された。
上記トナー100部に対し、BET比表面積が120m2/gでシリコーンオイル処理された疎水性シリカ1を0.40重量%添加し、ヘンシェルミキサー内で5分間攪拌し、トナー表面に付着させた後、BET比表面積が50m2/gでシリコーンオイル処理された疎水性シリカ2を0.40重量%を添加しヘンシェルミキサー内でさらに5分間攪拌し、トナー表面に付着させ本発明の非磁性一成分現像方式用MICR用トナーを作製した。このトナーのシリカ付着前の嵩密度Aは0.37cm3、付着後のトナーの嵩密度Bは0.47g/cm3であるから、B/Aは1.27であった。
<実施例2>
疎水性シリカ1としてBET比表面積を200m2/gのものを使い、添加量を0.30重量%とした以外は実施例1と同様に本発明の非磁性一成分現像方式用MICR用トナーを作製した。このトナーの嵩密度Bは0.49/cm3であるからB/Aは、1.32であった。
<実施例3>
疎水性シリカ1としてBET比表面積を280m2/gのものを使い、添加量を0.20重量%とした以外は実施例1と同様に本発明の非磁性一成分現像方式用MICR用トナーを作製した。このトナーの嵩密度Bは0.51/cm3であるからB/Aは1.38であった
【0020】
<比較例1>
粉砕条件を調整し、BET比表面積を0.90m2/g、嵩密度Aを0.40g/cm3とした以外は実施例1と同様にして、比較用のトナー粒子を得た。このトナー粒子は丸みを帯びており、表面は滑らかだった。このトナー粒子に対して実施例1と同様にしてシリカを付着して比較用のトナーを得た。シリカ付着後のトナーの嵩密度Bは0.53g/cm3であるからB/Aは1.33であった。
<比較例2>
粉砕条件を調整し、BET比表面積を1.38m2/g、嵩密度Aを0.35m3とした以外は実施例1と同様にして、比較用のトナー粒子を得た。このトナー粒子に対して実施例1と同様にしてシリカを付着して比較用のトナーを得た。シリカ付着後のトナーの嵩密度Bは0.39g/cm3であるからB/Aは1.11であった。
<比較例3>
疎水性シリカ1を疎水性シリカ2に代えて疎水性シリカ1を併用しないこと以外は実施例1と同様にして、比較用トナーを得た。シリカ付着後のトナーの嵩密度Bは0.38g/cm3であって、B/Aは1.03であった。
<比較例4>
疎水性シリカ2を疎水性シリカ1に代えて、疎水性シリカ2を併用しないこと以外は実施例1と同様にして、比較用トナーを得た。シリカ付着後のトナーの嵩密度Bは0.51g/cm3であってB/Aは1.38であった。
<比較例5>
疎水性シリカ1をBET比表面積が450m2/gのものに代えた以外は実施例1と同様にして、比較用トナーを得た。シリカ付着後のトナーの嵩密度Bは0.52g/cm3であって、B/Aは1.41であった。
<比較例6>
疎水性シリカ2をBET比表面積が25m2/gのものに代えた以外は実施例1と同様にして、比較用トナーを得た。シリカ付着後のトナーの嵩密度Bは0.40g/cm3であって、B/Aは1.08であった。
【0021】
<評価試験>
市販の非磁性一成分方式のプリンター(プリント速度 A4:16枚/分)を用いて実施例、比較例のトナーでプリントし、画像濃度、カブリ、文字周り飛び散り、文字中抜け、転写効率、信号強度、感光体(OPC)及び現像スリーブ汚染を評価した。
*評価方法は下記のとおりである。
1) 画像濃度:マクベス社の反射濃度計(RD914)で25mm×25mmのベタ画像の濃度を測定した。
2) カブリ:非画像部の白色度を日本電色社製色差計ZE2000で測定し、(プリント前の白色度−プリント後の白色度)をカブリの値とした。
3) 文字周り飛び散り:文字の周りのトナーの飛び散りをルーペで観察した。
○ 飛び散りなし、× 飛び散りあり 4) 文字中抜け:文字でのトナーの抜けを目視で観察した。
○ 抜けなし、× 抜けあり
5) 転写効率:耐刷テスト前後で、トナーカートリッジ重量とトナー回収部重量とを測定し、トナーカートリッジの重量減少量をトナー消費量aとし、トナー回収部の重量増加量をトナー回収量bとし、(a−b)/a×100を転写効率とした。
6) 信号強度(%) :MICR文字のリーダーにMagtek社MINI
MICR RS232を使用して、5000枚コピーの最初と1000枚毎の信号強度を測定した。この信号強度は70〜200%であればMICRシステムの読取機のリーダーソーターで読取りエラーを生じないとされている。
7) 感光体(OPC)及び現像スリーブの汚染発生枚数:汚染を目視で観察し、発生し始めた枚数を記録した。
【0022】
評価結果を表1に示した。
【表1】
実施例1,2、3は、画像濃度、カブリ、文字周り飛び散り、文字中抜け、転写効率、信号強度とも問題なかった。
比較例1は、トナーのBET比表面積が小さく、丸みを帯びているので、初期の画像濃度が低くカブリが高かった。また、1000枚でOPC上に黒点が発生した。
比較例2は、トナーのBET比表面積が大きく、角張りや表面のざらつきが過剰で、文字中抜けがあり、転写効率が低目で、耐刷テスト2000枚で現像スリーブ融着による画像濃度低下が発生した。
比較例3は、疎水性シリカ1のBET比表面積が小さく粒径が大きいため、流動性が低く、画像が不均一になる結果、画像濃度が低目で、カブリもあり、4000枚で現像スリーブ上にトナー融着が発生した。
比較例4は、疎水性シリカ2のBET比表面積が大きく粒径が小さいため、流動性が高すぎ、画像濃度が低目で、カブリ、文字周り飛び散り、文字中抜けが問題となると共に、耐刷テスト3000枚でOPC汚染が発生した。
比較例5は、疎水性シリカ1のBET比表面積が大きすぎるため、流動性が高すぎ、画像濃度が低目で、カブリ、文字周り飛び散り、文字中抜けが問題となると共に、耐刷テスト3000枚でOPC汚染が発生した。
比較例6は、疎水性シリカ2のBET比表面積が小さすぎるため、シリカ粒子自体が現像スリーブと帯電ブレードの間に挟まり、その部分の画像が白スジ状に抜ける問題が発生した。
【0023】
【発明の効果】
本発明の効果は、形状が角張っているにもかかわらず、非磁性一成分現像方式のプリンターに使用しても、現像スリーブを傷つけず、磁気ヘッドに対する耐摺擦性を有し、適正な信号強度により読取りエラーを生ずることなく、しかも画像濃度やカブリなどの画質の点も問題ない非磁性一成分現像方式のプリンターに使用可能なMICR用トナーを提供できることにある。
Claims (5)
- 現像スリーブにトナーを供給し、層規制部材によりトナーの薄層を現像スリーブ上に形成するとともに、該トナーに電荷を与え、静電潜像を保持する感光体に移動させて静電潜像を現像し、次いで用紙に転写を行う非磁性一成分現像方式に使用されるトナーであって、結着樹脂、磁性体及びワックスを含有し、かつトナー中に該磁性体を15〜40重量%含有してなり、シリカを表面に付着してなるBET比表面積が0.95〜1.30m2/gのトナーであって、該シリカがBET比表面積100〜300m2/gの疎水性シリカ1とBET比表面積が30〜80m2/gの疎水性シリカ2であることを特徴とする非磁性一成分現像方式用MICR用トナー。
- シリカの付着前の嵩密度をA(g/cm3)、シリカ付着後の嵩密度をB(g/cm3)としたとき、B/Aが、1.0<B/A≦1.4であることを特徴とする請求項1に記載の非磁性一成分現像方式用MICR用トナー。
- 個数平均粒子径が7〜12μmであることを特徴とする請求項1に記載の非磁性一成分現像方式用MICR用トナー。
- ワックスが低分子量ポリエチレンワックスであることを特徴とする請求項1に記載の非磁性一成分現像方式用MICR用トナー。
- 前記疎水性シリカ1と疎水性シリカ2の表面が、シリコーンオイルで処理されていることを特徴とする請求項1に記載の非磁性一成分現像方式用MICR用トナー。
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