JP4956072B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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従来、電子写真法としては多数の方法が知られている。一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により像担持体(感光体)上に静電潜像を形成し、次いで該潜像をトナーで現像を行って可視像とし、必要に応じて紙の如き転写材にトナー像を転写した後、熱,圧力,熱圧等により転写材上にトナー画像を定着して複写物又はプリントを得るものである。
静電潜像を可視化する方法としては、カスケード現像法,磁気ブラシ現像法,加圧現像方法,一成分現像方法等が知られている。更には、磁性トナーを用い、磁石を内包した回転スリーブを用い感光体上とスリーブ上の間を電界にて飛翔させる方法も知られている。
また、近年半導電性の現像ローラー又は、表面に誘電層を形成した現像ローラーを用いて感光体表面層に押し当てる構成にて現像を行う所謂接触現像方法が提案されている。
一般に、感光体とトナー担持体が距離を持つと、感光体上の静電潜像のエッジ部に電気力線が集中し、電気力線に沿ってトナーが現像される為に画像のエッジ部にトナーが偏って現像されるエッジ効果によって画像の品位が低下し易くなる。そこで感光体とトナー担持体を非常に近づけることにより、このエッジ効果を防止することが考えられるが、感光体、トナー担持体間の隙間を機械的に設定する、つまり、トナー担持体上トナー層の厚みよりも隙間を小さく設定することは困難である。
従って、トナー担持体を感光体に押し当て現像を行なう接触現像方法を用いることによりエッジ効果を防止することが出来る。しかしながら、感光体表面移動速度に対し、トナー担持体表面移動速度が同じであると、感光体上潜像を可視化した場合、十分満足出来る画像は得られない。よって、接触現像方法においては、感光体表面移動速度に対する、トナー担持体表面移動速度に差を持たせることにより、感光体表面の潜像に対し、トナー担持体上の一部のトナーが現像され、別の一部のトナーが剥ぎ取られ、その結果、潜像に非常に忠実なエッジ効果のない現像画像が得られる。
この様な接触現像方法においては、感光体表面をトナー及びトナー担持体により摺擦する為、長期間使用によるトナー劣化、トナー担持体表面劣化、感光体表面劣化又は磨耗が生じ易いことから、耐久特性の劣化が問題点として残り、この改善方法が望まれていた。
感光体表面劣化を防ぐ手段としては、特許文献1〜11等にて示される様なトナー担持体表面に弾性層を設ける手段がある。確かにこれら弾性層を設けることにより、感光体劣化は大幅に軽減され好適であるものの、弾性層表面へのトナー固着等が懸念される。
非磁性一成分現像剤等を用いる場合においては、トナー自身、電子写真特性上最も重要な帯電特性において不十分な面があり、トナー担持体に接触する帯電付与の為の補助ローラー等が必要となる。
特許文献7、10及び11等においては、上記の様な帯電付与の為の補助ローラー等が用いられているが、トナー担持体と補助ローラーとの接触部及び摺擦部位においてトナー劣化や固着等の問題を生ずる恐れが考えられる。また、特にトナー担持体表面層が弾性層であることでトナー担持体へのトナー供給手段に制約があり、接触一成分現像方法においてはこれらの理由により、画像形成プロセスの耐久特性を改良する必要があり、更に装着により負荷のかかる高速化が難しいという本質的課題を有している。
非特許文献1に接触型一成分非磁性現像方式の検討がなされている。
特許文献12及び13には、一成分接触現像方法に関する技術が開示されているが、いずれも、その耐久特性や耐久性改善の為の技術は開示されていない。
非特許文献2には、一成分接触現像方法を用いたプリンターの概要が報告されている。しかしながら、その耐久特性については、更なる改善の余地がある。
一方で、用いる磁性トナーに関わる不安定要素がある。それは、トナー中に微粉末状の磁性粉体が相当量混合分散されており、該磁性体の一部がトナー粒子の表面に露出しているため、トナーの流動性及び摩擦帯電性が低下するというものである。そのため、長期間の使用においては、トナー同士あるいは規制部材との摺擦による磁性体の剥離に伴う画像濃度の低下やスリーブゴーストと呼ばれる濃淡ムラの発生など現像剤の劣化を引き起こしたり、トナー粒子の表面に露出した該磁性体により、感光体表面を磨耗するおそれがある。
このような磁性体の露出に伴う画像特性の劣化に関しては、従来トナー構造の面から多くの提案がなされている。
例えば、粒子内部の特定の部分のみに磁性体粒子が含有されている特殊なトナーについての報告がある。具体的には、コア粒子製造後磁性体を乾式付着させ、その後シェル層を形成すると言う2−3段の工程により製造される圧力定着用トナーであり、トナー中間層のみに磁性体が存在するものである(特許文献14〜15参照)。また、トナー粒子表面付近に磁性体粒子の存在しない樹脂層が一定量以上の厚みで形成されている構造のトナーについての報告もある(特許文献16参照)。
しかしながら、このような形態のトナーでは、例えば平均粒径が10μm以下と小さい場合、高画質化を達成する上でいくつか課題があることが分かってきた。まず一つは低温低湿環境下におけるチャージアップが生じやすいことが挙げられる。これは本発明者らの検討の結果によれば、上記のような粒子内部の特定の部分のみに磁性体粒子が含有されているトナーは、磁性体が本質的に表面に存在せず、樹脂からなっているため、表面が高抵抗且つ樹脂の帯電特性を直接反映することによると考えられている。このため粒径が小さくなり、トナー比表面積が大きくなるほどチャージアップが著しくなる。
なお、特許文献16には磁性体の種類/添加量とシェル部の厚さを調整することによってトナー表面層の最近傍に磁性体を存在させ、表面抵抗をある程度低下させることを開示しているが、コア表面に磁性体層が一層以下にしか存在出来ないという制限があるため低磁力である。このため10μm以下の小粒径トナーで一成分現像方式の磁力による規制に耐えられるほどの磁性体量を安定に含有させることが難しく、さらに内層をほぼ完全に磁性体で覆うために定着条件をかなり高圧力としないと離型剤などの染み出しが生じないため、熱圧力定着の構成には不向きとなる。
また別の課題は、耐久的な使用により粒径の大きいトナーが残りやすく、画像濃度及び画質の低下が生じやすいということである。これは、上記粒子内部の特定の部分のみに磁性体粒子が含有されているトナーは、例えば平均粒径が10μm以下と小さい場合、磁性体粒子が存在し得る容積が小さくなるため、十分な量の磁性体粒子を内包しにくいということに由来すると考えている。すなわち、トナーの粒度分布において粒径の大きいトナー粒子と小さいトナー粒子とでは、磁性体粒子の存在しない表面樹脂層の割合が異なってしまい、この相違に対応して内包される磁性体含有量も異なり、現像性や転写性も現像剤の粒径によって異なることになる。つまり粒径に依存する選択現像性が見られやすい。従って、粒径が均一でない磁性現像剤で長期に渡り印刷を行うと、磁性体を多く含み現像されにくい粒子、即ち粒径の大きな現像剤粒子が残りやすく、画像濃度及び画質の低下、さらには定着性の悪化にもつながる。
特公昭62−012510号公報 特開平4−118663号公報 特開平4−118664号公報 特開平4−118678号公報 特開平4−118679号公報 特開平4−247478号公報 特開平5−72883号公報 特開平5−118665号公報 特開平5−346751号公報 特開平9−68860号公報 特登録2598132号公報 特開平5−188765号公報 特開平5−188752号公報 特開昭60−3647号公報 特開昭63−89867号公報 特開平7−209904号公報 Japan Hardcopy’89論文集 25〜28頁 FUJITSU Sci.Tech.J.,28,4,pp.473−480(December l992)
本発明の目的は、上記の如き問題点を解決した画像形成方法を提供することにある。
本発明の目的は、接触現像の如きプロセス工程を持つ電子写真システムにおいて、エッジ効果による掃き寄せを防止すると共にトナー担持体上へのトナー融着を抑制し、長時間の使用においても画像濃度が高く、高画質が得られ、カブリの発生が抑制され、画像再現性に優れた画像形成方法を提供することにある。
本発明の更なる目的は、低温低湿度の環境下でも安定した静電潜像形成が可能であり、チャージアップや耐久時の帯電性低下に起因するカブリなどの画像欠陥が少ない画像形成方法を提供することにある。
本発明は、固定の磁場発生手段を内部に有すると共に表面に弾性層を有するトナー担持体を用い、該固定の磁場発生手段により磁性トナーを該トナー担持体表面に引き寄せ、規制ブレードにより該トナー担持体表面上の該磁性トナーを規制し、該トナー担持体を像担持体に押圧させながら回動し、該トナー担持体に現像バイアスを印加し、該磁性トナーを像担持体に転移させて、該像担持体上に形成された静電潜像を現像する磁性一成分現像方法を用いた画像形成方法であり、
(i)該磁性トナーは、結着樹脂と磁性酸化鉄とを含有する磁性トナー粒子を有し、
(i−i)該結着樹脂は、スチレンとアクリル酸アルキルエステルと(スチレンの質量:アクリル酸アルキルエステルの質量)=(82:18)〜(78:22)の質量比で重合して得られる共重合体を主成分として含み
(i−ii)該磁性酸化鉄は、該結着樹脂の主成分であるスチレンとアクリル酸アルキルエステルとを(スチレンの質量:アクリル酸アルキルエステルの質量)=(82:18)〜(78:22)の質量比で重合して得られる共重合体100質量部に対して、20〜80質量部含有され、且つ、疎水化処理前の磁性酸化鉄微粒子100質量部に対して0.1〜10質量部のカップリング剤で疎水化処理されており、
(ii)該磁性トナーの重量平均粒径が6.0乃至9.0μmであり、かつ、該磁性トナーの平均円形度が0.940以上であり、
(iii)X線光電子分光分析により測定される、該磁性トナー表面に存在する炭素元素の含有量(A(原子%))に対する鉄元素の含有量(B(原子%))の比(B/A)が0.0010未満であり、
(iv)該磁性トナーの5モル/リットル塩酸溶解時における、3分、15分及び30分時点での該磁性酸化鉄の総含有量に対する該磁性酸化鉄の溶解率S3、S15、S30(質量%)及び、15分から30分までの溶解量に対する3分から15分までの溶解量の割合Scが下記式を満足することを特徴とする画像形成方法に関する。
・0.5≦S3≦10
・40≦S15≦80
・S30≧80
・1.2≦Sc≦10
本発明によれば、接触現像の如きプロセス工程を持つ電子写真システムにおいて、エッジ効果による掃き寄せを防止すると共にトナー担持体上へのトナー融着を抑制し、長時間の使用においても画像濃度が高く、高画質が得られ、カブリの発生が抑制された画像が得られる。
本発明者らが検討したところ、接触現像においてトナー劣化はトナー担持体とそれに接するトナー供給部材との摺擦、及び、トナー担持体と静電荷像担持体との摺擦が支配的であることが分かった。
このため、現像器構成としてはトナー担持体に接するトナー供給部材がないことが好ましく、磁気搬送を用いることが長期使用には好ましいと考えられる。よって、本発明においてはトナー担持体上へのトナー補給手段としてトナー供給部材を用いず、トナー担持体内部に配置される永久磁石の磁気力のみでトナーを搬送することを特徴としている。
本発明の如き構成の現像装置におけるトナー性能としては、トナーの耐久性が優れ、帯電の立ち上がりが十分に早く、尚且つ十分なトナー搬送性を得るために流動性に優れていることが求められる。
そこで、本発明の特徴の一つは、磁性体のトナー表面への露出が無く、且つトナーの極めて表面近傍に磁性体が集中して存在する構造を有するトナーが一定量存在することである。
即ち、本発明のトナーは、
(i)該トナーの重量平均粒径が3乃至9μmであり、
(ii)X線光電子分光分析により測定される、トナー表面に存在する炭素元素の含有量(A)に対する鉄元素の含有量(B)の比(B/A)が0.0010未満であり、
(iii)該トナーの5モル/リットル塩酸溶解時における、3分、15分及び30分時点での磁性体総含有量に対する溶解率S3、S15、S30(質量%)及び、15分から30分までの溶解量に対する3分から15分までの溶解量の割合Scが下記式を満足することを特徴とする。
・0.5≦S3≦10
・40≦S15≦80
・S30≧80
・1.2≦Sc≦10
磁性トナーに5モル/リットル塩酸を加えた場合、トナー中に存在する塩酸に溶解される成分が塩酸中に抽出される。磁性体として磁性酸化鉄を含有するような磁性トナーにおいては、抽出される主成分は磁性酸化鉄であり、その他使用されている荷電制御剤及び着色剤が塩酸に可溶である場合はこれらも抽出されるが、通常磁性酸化鉄の含有量が他の成分と比較して極めて多いため、抽出成分はほとんどが磁性酸化鉄に由来するものである。
本発明においては塩酸で抽出する時間を変更することで、トナーの最表面から内部への磁性体の存在状態を推測することが出来る。このとき5モル/リットル塩酸3分で抽出されるのはトナーの最表面部分に存在する磁性体であり、15分及び30分で抽出される磁性体量は表面近傍からトナー中心に向けて存在する磁性体の存在状態を表すものと考えられる。
本発明において、磁性トナーを5モル/リットル塩酸で3分間抽出した磁性体量(S3)は0.5%以上10%以下、好ましくは5%以下である。このように極微量の磁性体のみが最表面に存在することで、磁性体による吸湿の影響がほとんどないために、環境安定性に優れた帯電特性を有することが出来る。更には、帯電部材や転写部材などによりトナーが静電荷像担持体表面に圧接されるような画像形成方法においても、静電荷像担持体表面を削ることはほとんどなく長期にわたって静電荷像担持体の磨耗やトナー融着を著しく低減させることが可能となる。
3が0.5%未満となると、低湿環境下でのチャージアップが起こりやすくなり、安定した帯電特性が得られなくなる。また10%より大きくなると、帯電量の低下、環境安定性及び遊離の磁性体量の増加を抑制するのが難しくなる。
本発明において、5モル/リットル塩酸で15分間及び30分間抽出した磁性体量(S15、S30)はそれぞれ40%以上80%以下、80%以上であり、好ましくは45%以上75%以下、85%以上である。このように表面近傍に向けて緩やかに磁性体量が多くなるように分布させることで、耐ストレス性と定着性の両立を達成することが可能となる。
15が40%未満となると、表面近傍に存在する磁性体量が少ないため、トナーの対ストレス性が低下し、長期使用によりトナー劣化を起こしやすくなる。また80%より大きくなると、表面近傍に磁性体が集中するために、離型剤などがトナー表面に染み出しにくくなり、低温定着性の悪化や離形性の悪化に伴う定着部材の汚染を発生しやすくなる。またS30が80%未満となると、磁性体がトナー中に均一に存在するようになり、本発明の効果を得ることが出来ない。
また、15分から30分までの溶解量に対する3分から15分までの溶解量の割合Scが1.2以上10以下、好ましくは1.5以上8以下を満足する時に良好な現像性および定着性を発現する。15分から30分までの溶解量に対する3分から15分までの溶解量の割合Scは表面近傍に存在する磁性体の存在状態、更に詳細には表層近傍から内部方向での分布状態を表している。Scが小さい場合は、磁性体が表面近傍で均一に分布している状態に対応する。一方、Scが大きい場合は、より表面部分に磁性体が局在化している状態に対応している。
c<1.2では、磁性体がトナー内部から表面まで均一に存在した状態となり、相対的にトナー表面近傍の磁性体量が減少し、ストレス性が低下し、耐久安定性が低下するおそれがある。また、Sc>10では、表面近傍に磁性体が集中するために、ストレス性は向上するものの、離型剤などが染み出しにくくなり低温定着性が悪化し易くなる。
本発明のトナーは、重量平均粒径が3〜9μmであることが好ましい。トナーの重量平均粒径が9μmを超えるような場合、微小ドット画像の再現性が低下する。一方、トナーの重量平均粒径が3μmより小さい場合には、流動性の低下に伴って外添剤の劣化等が生じ易く、帯電不良によるカブリ、濃度薄等の問題が発生しやすくなる。本発明のトナーにおいて帯電安定性や流動性の改善等の効果がより顕著に現れるのは、重量平均粒径3〜9μmの場合であり、さらに、より一層の高画質化という点では4〜8μmが好ましい。
また本発明においては、トナーの形状を制御することで更に安定した帯電能を有するトナーとなり得る。トナーが真球状に近くなる、つまりは円形度を上げることによりいくつかの効果が得られる。ひとつには、均一な帯電量分布を得られやすくなることで、環境変動及び繰り返しの使用に伴う選択的な帯電量成分を消費する、いわゆる選択現像を低減できることで、帯電量変化を抑制することが可能となる。更には磁性一成分現像方式において現像スリーブと規制部材間のストレスを受けた場合でも、粉砕されて発生する微粉及び遊離磁性体の量を軽減することで、この微粉によるトナー担持体への汚染を抑制することが可能となる。このような形状制御を行なうことで、上記の磁性体の存在状態を適正化することとあわせて、更に安定した帯電特性を有するトナーを得ることが可能となる。
本発明では、トナーの平均円形度が0.940以上、好ましくは0.950以上である。この範囲より低くなると、長期の繰り返し使用時において帯電量の低下及び現像スリーブの汚染といった現象を引き起こし、画像濃度の低下などの問題を起こしやすくなる。
また、本発明により得られる磁性体粒子は表面が均一に疎水化処理されているため、トナー材料として用いた場合、トナー中への分散性が非常に良好であり、加えて磁性体の凝集性が低い為、本発明のように表面近傍に磁性体が偏在するようなトナーにおいてもトナー表面からの露出が無い。従って、このような磁性体を用いることにより、X線光電子分光分析により測定される、トナーの表面に存在する炭素元素の含有量(A)に対する鉄元素の含有量(B)の比(B/A)が0.0010未満という本発明のトナーを得ることが可能となり、トナーの帯電の均一性及び安定化が達成でき、このトナーを用いることによって、高画質及び高耐久安定性が達成できる。更には、(B/A)を0.0005未満とすることで、帯電性及び安定性がより一層向上する。
次に本発明におけるトナーの製造方法を説明する。
本発明のトナーは、粉砕法によって製造することも可能であるが、粉砕法では本発明の磁性体の存在状態を満足させるためには多段階の工程を経る必要があるため、収率やコストの面から不利である。
これに対して水系媒体中で単量体系(重合性単量体組成物)を直接重合して得られるトナーの製造方法(以下、重合法と表記)においては、水系媒体との親和性の観点から極性−非極性成分との間に局在/分離が生じやすいため、本発明の磁性体構造を1段階で得ることが可能となり、好ましい。
水系媒体中での直接重合法によって製造する場合、磁性体として、均一且つ高度な疎水化処理を施した物を用い、トナー中における磁性体の所望の存在状態に容易に制御することが可能である。
本発明のトナーで使用される磁性体としては、従来公知の磁性材料が用いられる。磁性トナーに含まれる磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe、Co、Niのような金属あるいはこれらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vのような金属との合金;及びこれらの混合物等が挙げられる。
具体的には、四三酸化鉄(Fe34)、三二酸化鉄(γ−Fe23)、酸化鉄亜鉛(ZnFe24)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe512)、酸化鉄カドミニウム(CdFe24)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe512)、酸化鉄銅(CuFe24)、酸化鉄鉛(PbFe1219)、酸化鉄ニッケル(NiFe24)、酸化鉄ネオジム(NdFe23)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マグネシウム(MgFe24)、酸化鉄マンガン(MnFe24)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が挙げられる。本発明では磁性材料として、少なくとも磁性酸化鉄を含有し、必要に応じて一種又は二種以上の他の金属を任意に選択して使用することが可能である。
このような磁性酸化鉄は、窒素吸着法によるBET比表面積が好ましくは2〜30m2/g、特に3〜28m2/gであり、更にモース硬度が5〜7のものが好ましい。
また、磁性酸化鉄の形状としては、8面体、6面体、球状、針状、鱗片状などがあるが、8面体、6面体、球状、不定形の如き異方性の少ないものが画像濃度を高める上で好ましい。こういった形状は、SEMなどによって確認することができる。
なお、本発明において、磁性粉体の粒度分布については体積平均変動係数にて表すことができ、体積平均変動係数が30以下であることが好ましい。体積変動係数は値が小さいほど粒度分布がシャープであることを意味し、体積平均変動係数は次式により求めるものと定義する。
体積平均変動係数=磁性粉体の粒度分布の標準偏差/磁性粉体の体積平均粒径×100
次に磁性粉体の体積平均粒径(Dv)は0.15〜0.35μmであることが重要である。一般に磁性粉体の体積平均粒径(Dv)は小さいほうが着色力は上がるものの、磁性粉体が凝集しやすくなりトナー中での磁性粉体の均一分散性が劣るものとなり好ましくない。さらに、体積平均粒径(Dv)が小さい磁性粉体は残留磁化が大きくなる傾向にあるので0.15μm以上であることが重要である。
一方、体積平均粒径(Dv)が0.35μm超である磁性粉体では、残留磁化を低くすることができるものの飽和磁化も同時に低下してしまう。さらに、本発明の好適なトナーの製造方法である懸濁重合法においては均一分散が難しくなり好ましくない。このために磁性粉体の体積平均粒径(Dv)は0.15〜0.35μmであることが必須であり、より好ましくは0.15〜0.30μmである。
なお、磁性粉体の体積平均粒径(Dv)は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定でき、磁性粉体を透過型電子顕微鏡にて観察して体積平均粒径を求める、あるいは、トナーの断面写真から磁性粉体の体積平均粒径を求めることもできる。
具体的には、1万倍ないしは4万倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の磁性粉体の投影面積に等しい円の相当径を求め、それをもとに体積平均粒径の算出を行う。
また、トナーの断面写真から磁性粉体の体積平均粒径を求める具体的な方法としては、エポキシ樹脂中へ観察すべきトナー粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物をミクロトームにより薄片状のサンプルとして、透過型電子顕微鏡(TEM)にて写真撮影を行い、上記の方法にて体積平均粒径を求める。
本発明においては、前述の粒度分布の条件を満たすよう、酸化鉄製造条件を設定したり、予め粉砕及び分級の如き粒度分布の調整を行ったものを使用したりすることが好ましい。分級方法としては、例えば、遠心分離やシックナーといった沈降分離を利用したものや、例えばサイクロンを利用した湿式分級装置などの手段が好適である。
これらの磁性酸化鉄の79.58kA/m(1kエルステッド)印加での磁気特性は、抗磁力が1.5kA/m〜12kA/m、飽和磁化が30〜120Am2/kg(好ましくは40〜80Am2/kg)、残留磁化が1〜10Am2/kgのものが好ましい。本発明においては残留磁化を5Am2/kg以下とすることで、磁性酸化鉄の磁気凝集性が低減され、トナー製造時に磁性体の分散状態を制御しやすくなるためさらに好ましい。なお磁性体の磁気特性は、25℃、外部磁場79.6kA/mの条件下において振動型磁力計、例えばVSM P−1−10(東英工業社製)を用いて測定することができる。
また本発明においては、磁性体の内部及び/または表面に、ケイ素、亜鉛、チタン、リンなどの異種金属を含有させるとよい。これは磁気特性の調整しやすくなり、また磁気凝集性を低下させることができ、トナー中での磁性体の状態が制御しやすくなるためである。
本発明のトナーにおいて磁性体として使用される磁性酸化鉄微粒子は、疎水化処理されたものであることが好ましい。この疎水化処理を調整することで、磁性酸化鉄のトナー中での存在状態を厳密にコントロールできるようになり、本発明の特別な存在状態を満たすことができる。
磁性酸化鉄表面をカップリング剤で処理する方法としては、乾式処理と湿式処理の二つがある。本発明ではどちらの方法で行っても良いが、水系媒体中での湿式処理方法は、気相中での乾式処理に比べ、酸化鉄粒子同士の合一が生じにくく、また疎水化処理による磁性酸化鉄間の帯電反発作用が働き、磁性酸化鉄はほぼ一次粒子の状態でカップリング剤による表面処理されるようになるため好ましい。
本発明において磁性酸化鉄の表面処理に使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、一般式(A)
mSiYn (A)
[式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、メタクリル基、フェニル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又はこれらの誘導体を示し、nは1〜3の整数を示す。]
で示されるものである。例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシランを挙げることができる。
特に、式(B)
p2p+1−Si−(OCq2q+13 (B)
[式中、pは2〜20の整数を示し、qは1〜3の整数を示す]
で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用して磁性酸化鉄表面を疎水化処理するのが良い。
上記式におけるpが2より小さいと、疎水化処理は容易となるが、疎水性を十分に付与することが困難となることがあり、またpが20より大きいと、疎水性は十分になるが、磁性酸化鉄同士の合一が多くなり、トナー中へ磁性酸化鉄を十分に分散させることが困難となることがある。また、qが3より大きいと、シランカップリング剤の反応性が低下して疎水化が十分に行われにくくなることがある。
よって、式中のpが2〜20の整数(より好ましくは、3〜15の整数)を示し、qが1〜3の整数(より好ましくは、1又は2の整数)を示すアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用するのが好ましい。その処理量は処理前の磁性酸化鉄微粒子100質量部に対して、0.05〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部とするのが良い。
本発明において、磁性酸化鉄の疎水性を制御する方法として、上記のカップリング剤のpが異なる2種類以上のシランカップリング剤で処理する方法が挙げられる。このカップリング剤の種類及び処理量の割合を適宜調整することで、疎水化処理の程度に分布を有する磁性酸化鉄を得ることが可能となる。
磁性酸化鉄の表面処理として水系媒体中でカップリング剤により処理するには、水系媒体中で適量の磁性酸化鉄及びカップリング剤を撹拌する方法が挙げられる。
水系媒体とは、水を主要成分としている媒体である。具体的には、水系媒体として水そのもの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調整剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが挙げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコールの如きノンイオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、水に対して0.1〜5質量%添加するのが良い。pH調整剤としては、塩酸の如き無機酸が挙げられる。
撹拌は、例えば撹拌羽根を有する混合機(具体的には、アトライター、TKホモミキサーの如き高剪断力混合装置)で、酸化鉄微粒子が水系媒体中で、一次粒子になるように充分におこなうのが良い。
こうして得られる磁性酸化鉄は表面が均一に疎水化処理されているため、重合性単量体組成物中における分散性が非常に良好であり、磁性酸化鉄の含有率が揃ったトナー母粒子を得ることができるようになる。
本発明のトナーに用いられる磁性酸化鉄は、例えば下記方法で製造される。
硫酸第一鉄水溶液などの第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量又は当量以上の水酸化ナトリウムの如きアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHをpH7以上(好ましくはpH8〜10)に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性酸化鉄粒子の芯となる種晶をまず生成する。
次に、種晶を含むスラリー状の液に、前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを6〜10に維持しつつ空気を吹込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粒子を成長させる。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは6未満にしない方が好ましい。酸化反応の終期に液のpHを調整し、磁性酸化鉄が一次粒子になるよう十分に撹拌する。カップリング剤を添加して十分に混合撹拌し、撹拌後に濾過し、乾燥し、軽く解砕することで疎水化性処理磁性酸化鉄が得られる。あるいは、酸化反応終了後、洗浄、濾過して得られた酸化鉄を、乾操せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを調整し、十分撹拌しながらシランカップリング剤を添加し、カップリング処理を行っても良い。
いずれにせよ、水溶液中で生成した未処理の磁性酸化鉄を、乾燥工程を経る前の含水スラリーの状態で疎水化することが好ましい。これは、未処理の磁性酸化鉄をそのまま乾燥してしまうと粒子同士の凝集による合一が避けられず、こういった凝集状態の粉末にたとえ湿式疎水化処理を行っても均一な疎水化処理が難しいためである。
磁性酸化鉄微の製造の際に第一鉄塩水溶液に用いる第一鉄塩としては、一般的に硫酸法チタン製造に副生する硫酸鉄、鋼板の表面洗浄に伴って副生する硫酸鉄の利用が可能であり、硫酸第一鉄以外には更に塩化鉄等が可能である。
水溶液法による磁性酸化鉄の製造方法では一般に反応時の粘度の上昇を防ぐこと、及び、硫酸鉄の溶解度から鉄濃度0.5〜2mol/リットルの硫酸第一鉄水溶液が用いられる。硫酸鉄の濃度は一般に薄いほど製品の粒度が細かくなる傾向を有する。また、反応に際しては、空気量が多い程、そして反応温度が低いほど微粒化しやすい。
本発明においては、このようにして製造された疎水性磁性酸化鉄を使用することが好ましい。
本発明のトナーに用いる磁性酸化鉄は、結着樹脂100質量部に対して、10〜200質量部用いることが好ましく、より好ましくは20〜180質量部、更に好ましくは40〜160質量部である。磁性酸化鉄の配合量が10質量部未満では現像剤の着色力が乏しく、カブリの抑制も困難であり、一方、200質量部を超えると、トナー担持体への磁力による保持が強まり現像性が低下したり、個々のトナー粒子への磁性酸化鉄の均一な分散が難しくなったりするだけでなく、定着性が低下してしまうことがある。
トナー粒子中の磁性酸化鉄の平均粒径及び粒度分布を決定する場合には、以下の測定方法により行う。
エポキシ樹脂中へ観察すべきトナー母粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を、ミクロトームにより薄片状のサンプルとして、透過型電子顕微鏡(TEM)において1万〜4万倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の酸化鉄の粒子径のそれぞれ投影面積を測定し、測定された各粒子の投影面積に等しい円の相当径を磁性酸化鉄の粒子径として求めた。さらに、その結果を基に、0.03〜0.1μmの粒子と、0.3μm以上の粒子の個数%を計算した。また、画像解析装置により粒子径を測定することも可能である。
本発明に使用される重合性単量体系を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレンの如きスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドが挙げられる。
これらの単量体は単独または混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、あるいはほかの単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
本発明のトナーに使用可能な離型剤としては、公知のワックスが使用できる。例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタムの如き石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスの如き天然ワックス及びその誘導体などが含まれる。ここでの誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物が含まれる。ワックスの酸価や、変性度などを調整することによって、トナー中での酸化鉄の分散状態を制御することも可能である。さらに、高級脂肪族アルコール、高級脂肪酸またはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックスも使用できる。
その中でも、DSC測定において、30〜100℃の領域に吸熱ピークのピークトップを示すものが好ましく、35〜90℃の領域に吸熱を示すものが更に好ましい。DSC測定において吸熱が30℃未満の領域に存在すると、常温においてもワックス成分の染み出しが起こるようになり、保存性が悪くなる。一方、吸熱が100℃を超えた領域に存在すると定着温度が高くなり低温オフセットが発生しやすくなるので好ましくない。さらに、水系媒体中で重合法により直接トナーを得る場合、吸熱領域の温度が高いと、多量に添加する場合造粒中にワックス成分が析出する等の問題が生じるため好ましくない。
さらに、上記の離型剤は、DSC測定における吸熱ピークの半値幅が10℃以上であることが好ましい。低温から高温まで広範囲な吸熱成分を有することにより、低温定着に大きく貢献しつつ、離型性をも効果的に発現することができる。
ワックス成分の最大吸熱ピーク温度の測定は、「ASTM D 3418−8」に準じて行う。測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行う。
本発明のトナーには、荷電特性を安定化するために荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に帯電スピードが速く、且つ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。
さらに、トナーを直接重合法を用いて製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料もしくはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。ポジ系荷電制御剤として四級アンモニウム塩、その四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。これらの荷電制御剤は、重合性単量体100質量部に対して0.5〜10質量部使用することが好ましい。しかしながら、本発明の画像形成方法に関わる現像剤は、荷電制御剤の添加は必須ではなく、トナー規制ブレードトナー担持体との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
さらにまた、酸化鉄以外に他の着色剤を併用して含有しても良い。併用し得る着色材料としては、磁性あるいは非磁性無機化合物、公知の染料及び顔料が挙げられる。具体的には、例えば、コバルト、ニッケルの如き強磁性金属粒子、またはこれらにクロム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウム、希土類元素を加えた合金、ヘマタイト、チタンブラック、ニグロシン染料/顔料、カーボンブラック、フタロシアニンが挙げられる。これらもまた、表面を処理して用いても良い。
本発明のトナーを重合法で製造する際には、重合反応時に半減期0.5〜30時間である重合開始剤を、重合性単量体の0.5〜20質量%の添加量で用いて重合反応を行うと、分子量1万〜10万の間に極大を有する重合体を得、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることができる。重合開始剤の例としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドの如き過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
本発明では、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、重合性単量体の0.001〜15質量%である。
上記重合法のうち、懸濁重合法によるトナーの製造では、一般に上述のトナー組成物、すなわち重合性単量体中に、酸化鉄、着色剤、離型剤、可塑剤、結着剤、荷電制御剤、架橋剤等トナーとして必要な成分及びその他の添加剤、例えば重合反応で生成する重合体の粘度を低下させるために入れる有機溶媒、分散剤等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機に依って均一に溶解または分散させる。こうして得られた単量体系を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行なえば良い。なお、本発明の極性化合物を用いて酸化鉄を適度に表面近傍に偏析させるためには、単量体系を添加する前の水系媒体中のpHが重要であり、本発明の磁性体構成を有するトナーを得るためにはpH4〜10.5であることが好ましい。pHが4未満であると、該極性化合物の効果がほぼ消失してしまうため多量の極性物質添加が必要となり、帯電量の低下や粒度分布の広がり等の影響が出る。またpHが10.5を超えると極性化合物の添加によってむしろ一部の磁性体の露出が促進され、本発明の磁性体構造を維持することが困難となる。
本発明の懸濁重合法においては、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機・無機分散剤が使用でき、中でも無機分散剤が有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛の如き燐酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩;メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナの如き無機酸化物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2〜20質量部を単独でまたは2種類以上組み合わせて使用することが好ましい。平均粒径が5μm以下である様な、より微粒化されたトナーを目的とする場合には、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムが挙げられる。
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させることができる。例えば、燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。但し、この塩化ナトリウム塩は重合反応終期に残存重合性単量体を除去する時には障害となることから、水系媒体を交換するか、イオン交換樹脂で脱塩したほうが良い。無機分散剤は、重合終了後酸あるいはアルカリで溶解して、ほぼ完全に取り除くことができる。
前記重合工程においては、重合温度は40℃以上、一般には50〜90℃の温度に設定して重合を行なう。この温度範囲で重合を行なうと、内部に封じられるべき離型剤やワックスの類が、相分離により析出して内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜150℃にまで上げることは可能である。
また、本発明のトナーには、流動性向上剤として、無機微粉体または疎水性無機微粉体がトナー粒子に外部添加されて混合されることが好ましい。例えば、酸化チタン微粉末、シリカ微粉末、アルミナ微粉末を添加して用いることが好ましく、特にシリカ微粉末を用いることが好ましい。
本発明のトナーに用いられる無機微粉体は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上のもの、特に50〜400m2/gの範囲のものが良好な結果を与えることができるため好ましい。
さらに、本発明中のトナーには、必要に応じて流動性向上剤以外の外部添加剤を添加してもよい。
例えば、クリーニング性を向上させる等の目的で、一次粒径が30nmを超える(好ましくは比表面積が50m2/g未満)微粒子、より好ましくは一次粒径が50nm以上(好ましくは比表面積が30m2/g未満)で球状に近い無機微粒子または有機微粒子をさらにトナー粒子に添加することも好ましい形態の一つである。例えば球状のシリカ粒子、球状のポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状の樹脂粒子を用いるのが好ましい。
更に他の添加剤、例えばポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;または酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末の如き研磨剤;ケーキング防止剤;または例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末の如き導電性付与剤;また、逆極性の有機微粒子、及び無機微粒子を現像性向上剤として少量加えることもできる。これらの添加剤も、その表面を疎水化処理して用いることも可能である。
上述の如き外添剤は、トナー100質量部に対して0.1〜5質量部(好ましくは0.1〜3質量部)使用するのが良い。
本発明のトナーを粉砕法により製造する場合は、公知の方法が用いることができる。公知の方法としては、例えば、結着樹脂、離型剤、荷電制御剤、場合によっては着色剤等のトナーとして必要な成分及びその他の添加剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器中で十分混合した後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練して、樹脂類をお互いに相溶させる。その中に酸化鉄等の他のトナー材料を分散又は溶解させ、冷却固化、粉砕後に、分級、加えて磁性体による表面処理を行い、さらに樹脂粒子等で表面処理するという多段階の工程によってトナー粒子を得る。得られたトナー粒子に必要に応じて微粉体等を添加して混合することによって現像剤を得ることが出来る。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率の点からは、多分割分級機を用いることが好ましい。
粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式等の公知の粉砕装置を用いて行うことができる。本発明に係わる特定の円形度を有する現像剤を得るためには、さらに熱をかけて粉砕したり、または補助的に機械的衝撃を加える処理をすることが好ましい。また、微粉砕(必要に応じて分級)されたトナー粒子を熱水中に分散させる湯浴法,熱気流中を通過させる方法などを用いてもよい。
機械的衝撃力を加える方法としては、例えば川崎重工社製のクリプトロンシステムやターボ工業社製のターボミル等の機械衝撃式粉砕機を用いる方法がある。また、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム等の装置のように、高速回転する羽根によりトナーをケーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力、摩擦力等の力によりトナーに機械的衝撃力を加える方法を用いてもよい。
機械的衝撃を加える処理をする場合には、処理時の雰囲気温度をトナーのガラス転移点Tg付近の温度(すなわち、ガラス転移点Tgの±30℃の範囲の温度)とすることが、凝集防止と生産性の観点から好ましい。さらに好ましくは、トナーのガラス転移点Tgの±20℃の範囲の温度で処理を行うことが、転写効率を向上させるのに特に有効である。
さらにまた、本発明のトナーは、ディスク又は多流体ノズルを用いて溶融混合物を空気中に霧化し球状トナーを得る方法や(例えば特許文献17)、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用いて直接トナーを生成する分散重合方法、又は水溶性の極性重合開始剤の存在下で直接重合させてトナーを生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法等を用いてトナーを製造する方法でも製造が可能である。
特開昭56−13945号広報
次に、本発明の現像方法についてであるが、本発明に用いられる現像工程として、現像剤と感光体表面が接触していることも特徴の一つである。
トナー担持体は実質的に感光体表面と接触しているが、これは、トナー担持体からトナーを除いたときに該トナー担持体が感光体と接触しているということを意味する。
図1において、26は被現像体である感光ドラムであり、この感光ドラム26は矢印の時計方向に一定速度をもって回転駆動される。
32は帯電ローラである。この帯電ローラ32は導電性の弾性ローラであり、感光ドラム26に所定の押圧力で圧接させて感光ドラム26との間に帯電部nを形成させてある。本例では帯電ローラの駆動を行っている。帯電ローラの表面の速度と感光ドラムの表面速度(プロセススピード)が同じになるように帯電ローラの回転数を調整する。
Vは帯電ローラ32に帯電バイアスを印加する帯電電源である。本例ではこの帯電電源S1から帯電ローラ32との間の接触部に放電開始電圧以上の直流電圧を印加する。
20はレーザダイオード・ポリゴンミラー等を含むレーザビームスキャナ(露光装置)である。レーザビームスキャナは目的の画像情報の時系列電気ディジタル画素信号に対応して強度変調されたレーザ光を出力し、該レーザ光で上記回転感光ドラム26の一様帯電面を走査露光する。この走査露光により回転感光ドラム26の面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
27は接触転写手投としての中抵抗の転写ローラであり、感光ドラム26に所定に圧接させて転写ニップ部を形成させてある。この転写ニップ部に給紙部から所定のタイミングで被記録体としての転写材28が給紙され、かつ転写ローラ27に転写バイアス印加電源29から所定の転写バイアス電圧が印加されることで、感光ドラム26側のトナー像が転写ニップ部に給紙された転写材28の面に順次に転写されていく。
本例で使用の転写ローラ27は、例えば芯金に中抵抗発泡層を形成したものである。転写ニップ部に導入された転写材28はこの転写ニップ部を挟持搬送されて、その表面側に回転感光ドラム26の表面に形成担持されているトナー画像が順次に静電気力と押圧力にて転写されていく。
31は熱定着方式等の定着装置である。転写ニップ部に給紙されて感光ドラム26側のトナー画像の転写を受けた転写材28は回転感光ドラム26の面から分離されてこの定着装置31に導入され、トナー画像の定着を受けて画像形成物(プリントコピー)として装置外へ排出される。また一部感光体上に残されたトナーはクリーニング手段34によりクリーニングされる。
そして、感光ドラム26は再度帯電装置32により帯電され、繰り返して画像形成に用いられる。
22は現像装置(現像器)である。24は一定の摩擦帯電を帯び、現像バイアス印加電源30によりトナー担持体と感光ドラム26との間に印加された現像バイアスにより現像領域において感光ドラム26上の静電潜像を顕像化する。
24はマグネットロールを内包させた、現像剤担持搬送部材としての現像スリーブである。現像スリーブ24はアルミシリンダー上に非磁性の導電弾性層を形成して構成され、感光ドラム26に対し一定の加圧量をもって当接されている。感光ドラムと現像スリーブ間の圧力は、引抜き圧で制御した。引抜き圧とは、現像スリーブと感光ドラムとの間に、厚さ30μmの2枚の板で挟んだ同じく30μmのSUS板を挟み、そのSUS板を引抜くときの力をSUS板の長さ1mあたりに換算した線圧相当値である。現像スリーブ24の製造方法は、材料を混練し、押出し成形して作製した。
ここで、現像スリーブ24のマイクロ硬度は40未満では、規制部材、像担持体等との摺接により弾性層の表面の削れや傷跡が著しく現れ、ガサツキなどの画像不良が生じやすい。さらに、長期間の押圧によりセット跡も発生しやすく、40以上が好ましい。一方、95を超えると、感光ドラムとの摺接により今度は像担持体の削れや傷跡が発生し、ベタ白画像不良などを生じやすくなる。また、現像スリーブ軸方向に均一に当接させることも難しくなり、画像上左右の濃度差が発生しやすいため、95以下が好ましい。
また、弾性層の厚みは50μm以上2000μm以下が好ましく、従来のものと比較してかなり薄いものを使用している。但し、50μm未満では像担持体と押圧し接触する際に像担持体表面の削れ、傷つき等が生じ、画像不良が発生する場合があり、場合によっては、長い磁気穂の摩擦帯電量が高くなりガサツキを生じることがある。一方、2000μmを超えると、内包する固定の磁界発生装置からの像担持体表面に及ぼす磁力が弱まり、カブリに不利な傾向となったり、良好な画像を形成するのに十分な現像剤の供給性を満足することが出来ない場合もある。
本発明において、マイクロ硬度計によって測定される表面硬度の測定は、マイクロ硬度計(アスカーMD−1 F360A:高分子株式会社製)を用いて行った。表面粗さの測定器には小坂研究所(株)製、サーフコーダSE3400に接触検出ユニットPU−DJ2Sを用い、測定条件は測定長2.5mm、垂直方向倍率2000倍、水平方向倍率100倍、カットオフ0.8mm、フィルタ設定2CR、レベリング設定をフロントデータで行った。
マグネットはスリーブ上の各場所における磁力を発生するための磁場発生手段としての固定磁石である。現像部、層規制部、供給部、捕集部の各場所にピーク密度の絶対値で、500Gの磁束密度を発生する。本発明における磁束密度の測定はベル社製のガウスメータのシリーズ9900、プローブA−99−153を用いて行った。同ガウスメータはガウスメータ本体に接続された棒状のアキシャルプローブを有する。現像スリーブを水平に固定し、内部のマグネットは回転自在に取付ける。この現像スリーブに対し若干の間隔を開けて水平姿勢のプローブを直角に配置し、現像スリーブの中心とプローブの中心が略同一水平面上に位置するようにして固定し、その状態で磁束密度を測定する。マグネットは現像スリーブと略同心の円筒体であり、現像スリーブとマグネットとの間の間隔はどこでも等しいと考えてよい。従って磁石ローラを回転しながら、現像スリーブの表面位置及び表面位置における法線方向の磁束密度を測定することにより、現像スリーブの周方向について全ての位置で測定したものに代えることができる。得られた周方向の磁束密度データより各位置のピーク強度を求めた。
トナーは、マグネットロールによる磁気力を受けながら現像スリーブ24上を搬送される過程において、規制ブレード23で層厚規制及び電荷付与を受ける。21は現像容器33内のトナーの循環を行い順次スリーブ周辺の磁力到達範囲内にトナーを搬送する撹拌部材である。
本現像装置では現像スリーブの表面粗さ、現像ロールと規制ブレード23間の引抜き圧、及びブレード長を適切に設定し、本発明の特徴の1つである現像スリーブ上のトナーコート量Mの厳密な制御を行っている。なお、ブレード自由長とは、ブレードとスリーブの接触部を支点とした時の自由端の長さを意味する。本発明でのトナーコート量Mは5.0g/m2以上14.0g/m2以下に制御される必要がある。5.0g/m2未満では充分な画像濃度が得られない。一方、14.0g/m2を超えると、トナーの磁気穂が長くなり、ガサツキが目立つと共に、感光体と現像スリーブ間で強く押圧されるため、ベタ白中画像不良を生じる。
スリーブとブレード間の引抜き圧は50〜150N/mであることが好ましい。
50N/m未満では、十分な規制と電荷付与が出来ないためであり、150N/m超では像担持体の著しい削れを生じ、現像剤の著しい劣化も生じる。
ここでの引く抜き圧はドラムとスリーブ間の引き抜き圧を測定した方法と同様である。
現像スリーブ24にコートされたトナーはスリーブの回転により、感光ドラム26とスリーブ24の対向部である現像部位(現像領域部)に搬送される。またスリーブ24には現像バイアス印加電源30よりDC電圧にAC電圧を重畳した現像バイアス電圧が印加される。
この現像バイアスVの絶対値の最大値を|V|max、帯電手段により像担持体表面を一様に帯電する所定の電圧値(暗電位)をVdとし、
|V|max≦|Vd|
を満たすことが好ましい。
現像バイアスVを|V|max≦|Vd|とすることで、カブリ量を著しく抑制し、本来印字しない白部(未露光部)に現像剤がわずかに現像され地汚れのように現れる画像不良を抑制することができる。また、リークを抑制し、リークによるベタ黒中の白の斑点が生じる画像不良を抑制することができる。また、リークが発生してもリークによるベタ黒中の白の斑点の径を小さく目立たなくすることができる。また、高濃度部のエッジ、特にプロセス下流側が濃く現像され、また、高濃度部に隣接する中間調部分のエッジが薄く現像され画像エッジ不良を抑制することができる。また、均一に均し良好な画像をえることができる。さらに、多枚数印字後の中間調濃度ムラを抑制することができる。
|V|max>|Vd|では、カブリ、地汚れ、画像エッジ不良などが悪化しやすくなり、良好な画像を得にくくなる。
本実施例において、感光ドラム周速に対する現像スリーブ周速の周速比は、1.01以上2.00以下で駆動されることが好ましい。1.01未満では現像スリーブから感光ドラムへと転移するトナーの絶対量が少ないため、十分な画像濃度が得にくい場合がある。また、2.00を超えると、耐久と共に現像剤の劣化による画像濃度低下やカブリの悪化が顕著となる。後に述べる本実施例においては、この条件で感光ドラム26側の静電潜像がトナーにより反転現像される。
本発明における各種物性データの測定法を以下に詳述する。
(1)磁性体溶解率の測定方法
本発明において、5モル/リットル塩酸溶解時の磁性体溶解量は下記のようにして測定する。
1)トナー25mg(4回分)を精秤する。
2)サンプルビンに試料を入れ、5モル/リットル塩酸100mlを加えたものを4サンプル準備する。それぞれをスターラーで撹拌しながらそれぞれ3分、15分、30分、一晩溶解させる。
3)溶解後の溶液をそれぞれサンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2〜0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)が使用できる。)でろ過した後、そのろ液を分光光度計により波長338nmにおける吸光度を測定する(例えば、島津製作所 UV−3100PC)。また、このとき対照セルにはトナーを溶解していない5モル/リットル塩酸を入れておく。なお本発明の吸光度とは、試料セルに光を入射させたときの入射光の強さI0と、透過光の強さIの比である透過率I/I0の逆数の常用対数、すなわちlog(I0/I)で表される。
・測定条件:スキャン速度(中速),スリット幅(0.5nm),サンプリングピッチ(2nm),測定範囲(600〜250nm)
本発明において、磁性体総含有量に対する3分、15分、30分での溶解量は、一晩放置後(磁性体が完全に溶解している)の吸光度に対する、3分、15分、30分時点でサンプリングした溶液の吸光度の割合によって算出される。
(2)トナーの平均円形度
本発明における円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明では東亜医用電子社製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000を用いて粒子形状の測定を行い、円形度を下記式により求める。更に下式で示すように、測定された全粒子の円形度の総和を全粒子数で除した値を平均円形度と定義する。
Figure 0004956072
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−1000」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度の算出に当たって、粒子を得られた円形度によって、円形度0.400〜1.000を0.010間隔で、0.400以上0.410未満、0.410以上0.420未満・・・0.990以上1.000未満及び1.000の如くに61分割した分割範囲に分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度の算出を行う算出法を用いている。
この算出法で算出される平均円形度の各値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度の各値との誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度であるため、本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこの様な算出法を用いている。
本発明における円形度は、粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
円形度の具体的な測定方法としては、ノニオン型界面活性剤約0.1mgを溶解している水10mlにトナー約5mgを分散させ分散液を調整し、超音波(20kHz、50W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5000〜20000個/μlとして、上記フロー式粒子像測定装置を用い、3μm以上の円相当径を有する粒子の円形度分布を測定する。
測定の概略は、東亜医用電子社(株)発行のFPIA−1000のカタログ(1995年6月版)、測定装置の操作マニュアル及び特開平8−136439号公報に記載されているが、以下の通りである。
試料分散液は、フラットで扁平な透明フローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するように、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子はフローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。それぞれの粒子の2次元画像の投影面積及び投影像の周囲長から上記の円形度算出式を用いて各粒子の円形度を算出する。
(3)トナーの粒度分布
測定装置としてはコールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びCX−1パーソナルコンピュータ(キヤノン製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)を使用できる。測定法としては前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパチャーとして100μmアパチャーを用いて、トナーの体積、個数を測定して2〜40μmの粒子の体積分布と個数分布とを算出する。それから数平均粒径(D1)体積分布から求めた重量基準の重量平均径D4(各チャンネルの中央値をチャンネルごとの代表値とする)、体積分布から求めた重量基準の12.7μm以上の重量分布を求める。
(4)トナー表面に存在する炭素元素の含有量(A)に対する鉄元素の含有量(B)の比(B/A)
本発明におけるトナー表面に存在する炭素元素の含有量(A)に対する鉄元素の含有量(B)の比(B/A)は、ESCA(X線光電子分光分析)により表面組成分析を行い算出した。
本発明では、ESCAの装置および測定条件は、下記の通りである。
使用装置:PHI社(Physical Electronics Industries,Inc.)製 1600S型 X線光電子分光装置
測定条件:X線源 MgKα(400W)
分光領域800μmφ
本発明では、測定された各元素のピーク強度から、PHI社提供の相対感度因子を用いて表面原子濃度(原子%)を算出した。
測定試料としては、トナーを用いるが、トナーに外添剤が添加されている場合には、イソプロパノールの如きトナーを溶解しない溶媒を用いて、トナーを洗浄し、外添剤を取り除いた後に測定を行う。
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。尚、以下の配合における部数は全て質量部である。
<磁性粉体1の製造>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄イオンに対して1.0〜1.1当量の苛性ソーダ溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液をpH9に維持しながら、空気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9〜1.2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH8に維持して、空気を吹込みながら酸化反応を進め、酸化反応の終期にpHを約6に調整し、磁性酸化鉄100部に対し、シランカップリング剤[n−C49Si(OCH33]を0.6部および[n−C817Si(OCH33]を0.9部添加し、十分撹拌した。生成した疎水性酸化鉄粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥し、次いで凝集している粒子を解砕処理し、磁性粉体1を得た。得られた粒子の体積平均粒子径(Dv)は0.25μm、磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における飽和磁化及び残留磁化が68.6Am2/kg(emu/g)、3.7Am2/kg(emu/g)であった。得られた磁性粉体1の物性を表1に示す。
<磁性粉体2の製造>
磁性粉体1の製造において、用いるシランカップリング剤を[n−C49Si(OCH33]を0.9部および[n−C817Si(OCH33]を0.6部に変更すること以外は磁性粉体1の製造と同様にして磁性粉体2を得た。
<磁性粉体3の製造>
磁性粉体1の製造において、用いるシランカップリング剤を[n−C613Si(OCH33]を0.9部および[n−C817Si(OCH33]を0.6部に変更すること以外は磁性粉体1の製造と同様にして磁性粉体3を得た。
<磁性粉体4の製造>
磁性粉体1の製造において、用いるシランカップリング剤を[n−C49Si(OCH33]を0.6部および[n−C613Si(OCH33]を0.9部に変更すること以外は磁性粉体1の製造と同様にして磁性粉体4を得た。
<磁性粉体5の製造>
磁性粉体1の製造において、用いるシランカップリング剤を[n−C49Si(OCH33]を0.3部および[n−C817Si(OCH33]を1.2部に変更すること以外は磁性粉体1の製造と同様にして磁性粉体5を得た。
<磁性粉体6の製造>
磁性粉体1の製造において、用いるシランカップリング剤を[n−C49Si(OCH33]のみを1.5部添加すること以外は磁性粉体1の製造と同様にして磁性粉体6を得た。
<磁性粉体7の製造>
磁性粉体1の製造において、用いるシランカップリング剤を[n−C1021Si(OCH33]のみを1.5部添加すること以外は磁性粉体1の製造と同様にして磁性粉体7を得た。
<磁性粉体8の製造>
磁性粉体1の製造において、用いるシランカップリング剤を[n−C49Si(OCH33]のみを0.3部添加すること以外は磁性粉体1の製造と同様にして磁性粉体8を得た。
<磁性粉体9の製造>
磁性粉体1の製造において、用いるシランカップリング剤を[n−C49Si(OCH33]を0.75部および[n−C817Si(OCH33]を0.75部に変更し、さらに酸化反応の際の空気の吹込み量を35%低減すること以外は磁性粉体1の製造と同様にして磁性粉体9を得た。
<磁性粉体10の製造>
磁性粉体1の製造例と同様に、酸化反応を進め、酸化反応終了後に生成した磁性体を洗浄、濾過、乾燥し、凝集している粒子を解砕し、磁性粉体10を得た。
Figure 0004956072
[トナーの製造例]
本発明のトナーの製造例について述べる。
<磁性トナーAの製造>
イオン交換水709部に0.1mol/リットル−Na3PO4水溶液451部を投入し60℃に加温した後、1.0mol/リットル−CaCl2水溶液67.7部を徐々に添加してCa3(PO42を含む水系媒体を得た。
一方、
スチレン 82部
n−ブチルアクリレート 18部
ポリエステル樹脂 5部
負荷電性制御剤(モノアゾ染料のFe化合物) 2部
磁性粉体1 80部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を60℃に加温し、そこにエステルワックス(融点:72℃)10部を混合溶解し、これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル[t1/2=140分、60℃条件下]5部を溶解した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃,N2雰囲気下においてクレアミックス(エム・テクニック社製)にて10,000rpmで15分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ60℃で6時間反応させた。その後、液温を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥してトナー粒子を得た。
このトナー粒子100部と、ヘキサメチルジシラザン処理した後シリコーンオイルで処理した、処理後のBET比表面積が120m2/gの疎水性シリカ微粉体1.4部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、磁性トナーA(重量平均粒径6.0μm)を調製した。磁性トナーAの物性を表2に示す。
<磁性トナーBの製造>
トナーAの製造において、磁性粉体1の代わりに磁性粉体2を用いたこと以外は磁性トナーAの製造と同一として磁性トナーBを得た。磁性トナーBの物性を表2に示す。
<磁性トナーCの製造>
トナーAの製造において、磁性粉体1の代わりに磁性粉体3を用いたこと以外は磁性トナーAの製造と同一として磁性トナーCを得た。磁性トナーCの物性を表2に示す。
<磁性トナーDの製造>
トナーAの製造において、磁性粉体1の代わりに磁性粉体4を用いたこと以外は磁性トナーAの製造と同一として磁性トナーDを得た。磁性トナーDの物性を表2に示す。
<磁性トナーEの製造>
トナーAの製造において、磁性粉体1の代わりに磁性粉体5を用いたこと以外は磁性トナーAの製造と同一として磁性トナーEを得た。磁性トナーEの物性を表2に示す。
<磁性トナーFの製造>
トナーAの製造において、磁性粉体1の代わりに磁性粉体6を用いたこと以外は磁性トナーAの製造と同一として磁性トナーFを得た。磁性トナーFの物性を表2に示す。
<磁性トナーGの製造>
トナーAの製造において、イオン交換水709部に0.1mol/リットル−Na3PO4水溶液360部を投入し60℃に加温した後、1.0mol/リットル−CaCl2水溶液54.2部を徐々に添加してCa3(PO42を含む水系媒体に変更し、さらに磁性粉体1の代わりに磁性粉体7を用いたこと以外は磁性トナーAの製造と同一として磁性トナーGを得た。磁性トナーGの物性を表2に示す。
<磁性トナーHの製造>
スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体(質量比78/22)
(Mn=24300、Mw/Mn=3.0) 100部
飽和ポリエステル樹脂(酸価:8、Mp:12000) 5部
負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物) 2部
磁性粉体1 20部
磁性トナーAの製造で用いたエステルワックス 5部
上記材料をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した2軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をターボミル(ターボ工業社製)で微粉砕し、得られた微粉砕物を風力分級して重量平均粒径6.0μmのトナー粒子を得た。その後該トナー粒子100部に対して磁性粉体1を60部外添し、衝撃式表面処理装置(処理温度55℃、回転式処理ブレード周速90m/sec)を用いて磁性体を表面に固着させて磁性体固着トナー粒子を得た。
さらに磁性体固着トナー粒子100部に対して乳化粒子(スチレン−メタクリル酸、粒径0.05μm)8部を外添した後、衝撃式表面処理装置(処理温度50℃、回転式処理ブレード周速90m/sec)を用いて固着・皮膜形成化を行い、被膜トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100部に磁性トナーAの製造と同様にして、疎水性シリカ微粉体1.4部を外添し、磁性トナーHを調製した。得られた磁性トナーHの物性を表1に示す。
<磁性トナーaの製造>
トナーAの製造において、磁性粉体1の代わりに磁性粉体8を用いたこと以外は磁性トナーAの製造と同一として磁性トナーaを得た。磁性トナーaの物性を表2に示す。
<磁性トナーbの製造>
トナーAの製造において、磁性粉体1の代わりに磁性粉体bを用いたこと以外は磁性トナーAの製造と同一として磁性トナーbを得た。磁性トナーbの物性を表2に示す。
<磁性トナーcの製造>
スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体(質量比78/22)
(Mn=24300、Mw/Mn=3.0) 100部
飽和ポリエステル樹脂(酸価:8、Mp:12000) 5部
負荷電性制御剤(モノアゾ染料系のFe化合物) 2部
磁性粉体10 80部
磁性トナーAの製造で用いたエステルワックス 5部
上記材料をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した2軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をターボミル(ターボ工業社製)で微粉砕し、得られた微粉砕物を風力分級して重量平均粒径6.3μmのトナー粒子を得た。得られたトナー粒子100部に磁性トナーAの製造と同様にして、疎水性シリカ微粉体1.4部を外添し、磁性トナーcを調製した。得られた磁性トナーcの物性を表2に示す。
Figure 0004956072
<実施例1>
本実施例の画像形成装置の概略構成としては、図1に示したものであり、市販のレーザープリンターLBP‐1760(キヤノン社製)を改造し用いた。
感光ドラム26としては、回転ドラム型の負極性OPC感光ドラムを用いた。この感光ドラム1は矢印の時計方向に周速度96mm/sec(=プロセススピードPS、印字速度)の一定速度をもって回転駆動される。
帯電バイアスとしては−680Vdcに交流電圧2.1kVppを重畳したバイアスを印加し、感光ドラム26面を帯電電位(暗部電位)−600Vに一様に接触帯電させている。
また本実施例においては、感光ドラム26の一様帯電処理面をレーザ光で全面露光した場合、感光ドラム面の電位が−150Vになるようにレーザーパワーは調整されている。
転写ローラ27としては、ローラ抵抗値が5×108Ωのものを用い、+2.0kVの電圧を芯金に印加して転写を行なった。
感光ドラムと現像スリーブ間の圧力は、引抜き圧で200N/mになるよう調整した。
現像スリーブ24は、厚さ500μmの導電弾性層をアルミスリーブ上に接着後研摩して作製した。また、マイクロ硬度は90度であり、表面粗さはRzで3.8μm、Raで0.6μmであった。
またスリーブ24には現像バイアス印加電源30よりDC電圧―450VにAC電圧として、1.4kHz、矩形波、Vpp300Vを重畳した現像バイアス電圧を印加している。
さらに本実験においては、現像スリーブは、感光ドラムに対し1.20倍の周速度で駆動されている。
本実施例においては磁性トナーとしてトナーAを用い、本現像装置において所望のトナーコート量を得るため、規制ブレード23を引抜き圧約100(N/m)、ブレード自由長約0.5mmに設定している。その結果、トナーコート量Mは10.0g/m2に制御されている。
この条件において、本現像装置にトナーAを300g充填し、常温常湿環境下(23℃/60%RH)および低温低湿環境下(15℃/10%RH)において、8ポイントのA文字を用い印字率を2%とした画像にて間欠モードで3000枚の画出し試験を行った。その結果、両環境下にて耐久前後で非画像部へのカブリはなく、画像濃度が1.4以上でありハーフトーンムラのない高精細な画像を得ることができた。また、感光体ドラムのキズも観察されなかった。結果を表3および表4に示す。
各実施例及び比較例の評価方法
以下の各種画像評価a)乃至d)は、初期、および3000枚印字後に行った。測定e)のみ初期から100枚印字後に行った。
a)カブリ評価
白画像を出力し紙上カブリの測定を行い、以下の基準で判断した。なお、カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用い、カブリは下式より算出した。
カブリ(反射率)(%)=標準紙の反射率(%)−サンプル非画像部の反射率(%)
なお、カブリの判断基準は以下の通りである。
A:非常に良好(1.5%未満)
B:良好(1.5%以上、2.5%未満)
C:普通(2.5%以上、4.0%未満)
D:悪い(4%以上)
b)画像濃度
全面に黒を印字するベタ黒画像を出力し、マクベス社製濃度計RD−1255により光学反射濃度を測定した。画像濃度は1.3以上であれば問題無い。
c)ハーフトーンの均一性
1dot−2spaceのハーフトーン画像を用い、以下の基準で目視判断した。
A:ムラは生じておらず、均一性に優れたハーフトーン画像
B:若干ムラは生じているものの、均一なハーフトーン画像
C:ムラは生じているものの、実用上問題ないレベルのハーフトーン画像
D:ハーフトーンムラが生じており、実用上好ましくない画像
d)感光体ドラムのキズ評価
プリントアウト試験終了後、感光体ドラム表面のキズの様子とプリントアウト画像への影響を目視で評価した。
A:キズは未発生
B:キズは殆ど発生せず
C:キズがあるが、画像への影響が少ない
D:キズが多く、画像欠陥を生じる
e)現像スリーブ上のトナーコート量Mの測定
現像スリーブ上のトナーコート量の測定には、概ね図3に示すように構成された吸引装置を用いた。吸引口m1を現像ローラに押し当てながらトナーを吸引し、内筒のフィルタm2にトナーを採集する。このとき内筒は絶縁性であり、静電気によるトナー飛散などを防ぐためアースに接続されている。吸引された現像剤の質量mをフィルタの質量増加分より算出し、吸引した面積:s(m2)も計測する。このときスリーブ上の現像剤のコート量M(g/m2)はm/sより求まる。測定は、ベタ白印字中に記録装置本体を停止し、現像前の現像ローラ上のトナーについて行った。
<実施例2乃至8>
トナーB、C、D、E、F、GおよびHを用いて実施例1と同様の評価を行った。結果を表3および表4に示す。
<比較例1乃至3>
トナーa、bおよびcを用いて実施例1と同様の評価を行った。結果を表3および表4に示す。
Figure 0004956072
Figure 0004956072
<実施例9〜12>
トナーAを用い、規制ブレードの引抜き圧及びブレード自由長を適宜調整して、実施例1と同様の評価を行った。結果を表5および表6に示す。
Figure 0004956072
Figure 0004956072
本発明に好適な磁気搬送を用いた画像形成装置の概略的説明図である。 本発明に好適な磁気搬送を用いた現像装置の要部の拡大横断面図である。 本発明に好適な現像剤量測定工具図である。
符号の説明
21 撹拌羽根
22 現像容器
23 トナー規制ブレード
24 トナー担持体(弾性ローラー)
25 トナー塗布ローラー
26 感光ドラム
27 転写ローラー
28 転写材
29、30 バイアス印加手段
31 定着機
32 帯電ローラー
33 トナー
34 クリーニングブレード
35 マグネット
m1 吸引口
m2 フィルタ

Claims (4)

  1. 固定の磁場発生手段を内部に有すると共に表面に弾性層を有するトナー担持体を用い、該固定の磁場発生手段により磁性トナーを該トナー担持体表面に引き寄せ、規制ブレードにより該トナー担持体表面上の該磁性トナーを規制し、該トナー担持体を像担持体に押圧させながら回動し、該トナー担持体に現像バイアスを印加し、該磁性トナーを像担持体に転移させて、該像担持体上に形成された静電潜像を現像する磁性一成分現像方法を用いた画像形成方法であり、
    (i)該磁性トナーは、結着樹脂と磁性酸化鉄とを含有する磁性トナー粒子を有し、
    (i−i)該結着樹脂は、スチレンとアクリル酸アルキルエステルと(スチレンの質量:アクリル酸アルキルエステルの質量)=(82:18)〜(78:22)の質量比で重合して得られる共重合体を主成分として含み
    (i−ii)該磁性酸化鉄は、該結着樹脂の主成分であるスチレンとアクリル酸アルキルエステルとを(スチレンの質量:アクリル酸アルキルエステルの質量)=(82:18)〜(78:22)の質量比で重合して得られる共重合体100質量部に対して、20〜80質量部含有され、且つ、疎水化処理前の磁性酸化鉄微粒子100質量部に対して0.1〜10質量部のカップリング剤で疎水化処理されており、
    (ii)該磁性トナーの重量平均粒径が6.0乃至9.0μmであり、かつ、該磁性トナーの平均円形度が0.940以上であり、
    (iii)X線光電子分光分析により測定される、該磁性トナー表面に存在する炭素元素の含有量(A(原子%))に対する鉄元素の含有量(B(原子%))の比(B/A)が0.0010未満であり、
    (iv)該磁性トナーの5モル/リットル塩酸溶解時における、3分、15分及び30分時点での該磁性酸化鉄の総含有量に対する該磁性酸化鉄の溶解率S3、S15、S30(質量%)及び、15分から30分までの溶解量に対する3分から15分までの溶解量の割合Scが下記式を満足することを特徴とする画像形成方法。
    ・0.5≦S3≦10
    ・40≦S15≦80
    ・S30≧80
    ・1.2≦Sc≦10
  2. 該磁性トナーの5モル/リットル塩酸溶解時における、3分、15分及び30分時点での該磁性酸化鉄の総含有量に対する該磁性酸化鉄の溶解率S3、S15、S30(質量%)及び、15分から30分までの溶解量に対する3分から15分までの溶解量の割合Scが下記式を満足することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
    ・0.5≦S3≦5
    ・45≦S15≦75
    ・S30≧85
    ・1.5≦Sc≦8
  3. 該規制ブレードにより該トナー担持体表面上に規制された該磁性トナーの単位面積当たりのコート量が5.0〜14.0g/m2であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
  4. 前記現像バイアスが交番電圧に直流電圧を重畳したものであり、前記現像バイアスVの絶対値の最大値を|V|max、帯電手段により像担持体表面を一様に帯電する所定の電圧値(暗電位)をVdとし、(1)式を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成方法。
    |V|max≦|Vd| (1)
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