JP3696475B2 - 無段変速機用ベルトにおける金属エレメントの組み合わせ方法 - Google Patents

無段変速機用ベルトにおける金属エレメントの組み合わせ方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無端状の金属リングを複数枚積層した金属リング集合体と、金属リング集合体に積層状態で支持された多数の金属エレメントとから構成され、ドライブプーリおよびドリブンプーリに巻き掛けられて両プーリ間で駆動力の伝達を行う無段変速機用ベルトにおける金属エレメントの組み合わせ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
無段変速機用ベルトにおいて、厚さの異なる複数種類の金属エレメントを準備し、これら複数種類の金属エレメントを所定の個数比率でランダムに組み合わせることにより運転時の騒音を低減するものが、特許第2532253号公報により公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、かかる無段変速機用ベルトの金属エレメントは金属板をファインブランキングして製造されるが、その金属エレメントの厚さ、特に金属エレメントの左右のプーリ当接面の厚さは製品のロット毎に異なっている。すなわち、同一ロット内の金属エレメントの左右のプーリ当接面の厚さの偏差には共通の特徴があり、ロット毎に金属エレメントの左側のプーリ当接面が右側のプーリ当接面よりも厚い場合と、右側のプーリ当接面が左側のプーリ当接面よりも厚い場合とがある。
【0004】
金属エレメントのプーリ当接面がドライブプーリあるいはドリブンプーリのV面に係合しているとき、その金属エレメントがヨーイングするとプーリ当接面の前後のエッジがプーリのV面にエッジコンタクトし、プーリのV面に異常摩耗が発生して変速特性や耐久性に悪影響が及ぶことになる。
【0005】
金属ベルトに含まれる多数の金属エレメントが全て同一ロットのものから構成されている場合、多数の金属エレメントが強い押し力で相互に密着すると、それぞれの金属エレメントの左右のプーリ当接面の厚さの偏差が累積されるため、金属エレメントが大きくヨーイングしてプーリへの巻きつき部分において前記エッジコンタクトが発生する可能性がある。
【0006】
かかる不具合は、左右のプーリ当接面の厚さの偏差が小さい金属エレメントだけを選択して使用すれば解決されるが、このようにすると金属エレメントの歩留りが低下してコストアップの要因となる問題が発生する。
【0007】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、左右のプーリ当接面の厚さに偏差を有する金属エレメントを使用しても、プーリのV面との間にエッジコンタクトが発生しないようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、無端状の金属リングを複数枚積層した金属リング集合体と、金属リング集合体に積層状態で支持された多数の金属エレメントとから構成され、ドライブプーリおよびドリブンプーリに巻き掛けられて両プーリ間で駆動力の伝達を行う無段変速機用ベルトにおいて、金属エレメントの左右のプーリ当接面の厚さを測定する工程と、変速比がTOP状態のときにドライブプーリ内で押し力が作用する金属エレメントの個数である所定個数の金属エレメントの左右のプーリ当接面の厚さの偏差の総和が所定範囲となるように前記所定個数の金属エレメントを選択する工程と、前記選択した金属エレメントをランダムに組み合わせて金属リング集合体に組み付ける工程とを含むことを特徴とする無段変速機用ベルトにおける金属エレメントの組み合わせ方法が提案される。
【0009】
上記構成によれば、金属エレメントの左右のプーリ当接面の厚さを測定し、変速比がTOP状態のときにドライブプーリ内で押し力が作用する金属エレメントの個数である所定個数の金属エレメントの左右のプーリ当接面の厚さの偏差の総和が所定範囲となるように前記所定個数の金属エレメントを選択して、それらの金属エレメントをランダムに組み合わせて金属リング集合体に組み付けるので、変速比がTOP状態のときにドライブプーリの出口付近で強い押し力を受けた金属エレメントがヨーイングしても、そのプーリ当接面がドライブプーリのV面にエッジコンタクトするのが防止される。これにより、ドライブプーリのV面の損傷を防止して耐久性の向上を図りながら、左右のプーリ当接面の厚さに偏差がある金属エレメントを使用することを可能とし、金属エレメントの歩留りを向上させてコストダウンを図ることができる。
【0010】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記所定個数の金属エレメントからなるグループを更に複数グループ直列に接続することを特徴とする無段変速機用ベルトにおける金属エレメントの組み合わせ方法が提案される。
【0011】
上記構成によれば、所定個数の金属エレメントをランダムに組み合わせたグループを更に複数グループ直列に接続するので、全ての金属エレメントの配列のランダム性を高めてエッジコンタクトを一層確実に防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。 図1〜図8は本発明の一実施例を示すもので、図1は無段変速機を搭載した車両の動力伝達系のスケルトン図、図2は金属ベルトの部分斜視図、図3はドライブプーリの出口付近における金属エレメントの整列状態を示す図、図4はドライブプーリおよびドリブンプーリに巻き掛けられた金属ベルトの金属エレメント間の押し力の分布を示す図、図5は金属エレメントのプーリ当接面の総合偏差とドライブプーリのV面の摩耗量との関係を示すグラフ、図6はドライブプーリおよび金属エレメントの模式的な部分正面図、図7は図6の7−7線断面図、図8は2つのロットの金属エレメントを組み合わせてエッジコンタクトを回避した状態を示す図である。
【0013】
尚、本実施例で用いる金属エレメントの前後方向、左右方向、半径方向の定義は図2に示されている。半径方向はその金属エレメントが当接するプーリの半径方向として定義されるもので、プーリの回転軸に近い側が半径方向内側であり、プーリの回転軸に遠い側が半径方向外側である。また左右方向は金属エレメントが当接するプーリの回転軸に沿う方向として定義され、前後方向は金属エレメントの車両の前進走行時における進行方向に沿う方向として定義される。
【0014】
図1は自動車に搭載された金属ベルト式無段変速機Tの概略構造を示すもので、エンジンEのクランクシャフト1にダンパー2を介して接続されたインプットシャフト3は発進用クラッチ4を介して金属ベルト式無段変速機Tのドライブシャフト5に接続される。ドライブシャフト5に設けられたドライブプーリ6は、ドライブシャフト5に固着された固定側プーリ半体7と、この固定側プーリ半体7に対して接離可能な可動側プーリ半体8とを備えており、可動側プーリ半体8は油室9に作用する油圧で固定側プーリ半体7に向けて付勢される。
【0015】
ドライブシャフト5と平行に配置されたドリブンシャフト10に設けられたドリブンプーリ11は、ドリブンシャフト10に固着された固定側プーリ半体12と、この固定側プーリ半体12に対して接離可能な可動側プーリ半体13とを備えており、可動側プーリ半体13は油室14に作用する油圧で固定側プーリ半体12に向けて付勢される。ドライブプーリ6およびドリブンプーリ11間に、左右の一対の金属リング集合体31,31に多数の金属エレメント32を支持してなる金属ベルト15が巻き掛けられる(図2参照)。それぞれの金属リング集合体31は、12枚の金属リング33を積層してなる。
【0016】
ドリブンシャフト10には前進用ドライブギヤ16および後進用ドライブギヤ17が相対回転自在に支持されており、これら前進用ドライブギヤ16および後進用ドライブギヤ17はセレクタ18により選択的にドリブンシャフト10に結合可能である。ドリブンシャフト10と平行に配置されたアウトプットシャフト19には、前記前進用ドライブギヤ16に噛合する前進用ドリブンギヤ20と、前記後進用ドライブギヤ17に後進用アイドルギヤ21を介して噛合する後進用ドリブンギヤ22とが固着される。
【0017】
アウトプットシャフト19の回転はファイナルドライブギヤ23およびファイナルドリブンギヤ24を介してディファレンシャル25に入力され、そこから左右のアクスル26,26を介して駆動輪W,Wに伝達される。
【0018】
而して、エンジンEの駆動力はクランクシャフト1、ダンパー2、インプットシャフト3、発進用クラッチ4、ドライブシャフト5、ドライブプーリ6、金属ベルト15およびドリブンプーリ11を介してドリブンシャフト10に伝達される。前進走行レンジが選択されているとき、ドリブンシャフト10の駆動力は前進用ドライブギヤ16および前進用ドリブンギヤ20を介してアウトプットシャフト19に伝達され、車両を前進走行させる。また後進走行レンジが選択されているとき、ドリブンシャフト10の駆動力は後進用ドライブギヤ17、後進用アイドルギヤ21および後進用ドリブンギヤ22を介してアウトプットシャフト19に伝達され、車両を後進走行させる。
【0019】
このとき、金属ベルト式無段変速機Tのドライブプーリ6の油室9およびドリブンプーリ11の油室14に作用する油圧を、電子制御ユニットU1からの指令で作動する油圧制御ユニットU2で制御することにより、その変速比が無段階に調整される。即ち、ドライブプーリ6の油室9に作用する油圧に対してドリブンプーリ11の油室14に作用する油圧を相対的に増加させれば、ドリブンプーリ11の溝幅が減少して有効半径が増加し、これに伴ってドライブプーリ6の溝幅が増加して有効半径が減少するため、金属ベルト式無段変速機Tの変速比はLOWに向かって無段階に変化する。逆にドリブンプーリ11の油室14に作用する油圧に対してドライブプーリ6の油室9に作用する油圧を相対的に増加させれば、ドライブプーリ6の溝幅が減少して有効半径が増加し、これに伴ってドリブンプーリ11の溝幅が増加して有効半径が減少するため、金属ベルト式無段変速機Tの変速比はTOPに向かって無段階に変化する。
【0020】
図2に示すように、金属板から打ち抜いて成形した金属エレメント32は、概略台形状のエレメント本体34と、金属リング集合体31,31が嵌合する左右一対のリングスロット35,35間に位置するネック部36と、ネック部36を介して前記エレメント本体34の上部に接続される概略三角形のイヤー部37とを備える。エレメント本体34の左右方向両端部には、ドライブプーリ6およびドリブンプーリ11のV面38,38(図6参照)に当接可能な一対のプーリ当接面39,39が形成される。また金属エレメント32の進行方向前側および後側には、該進行方向に直交するとともに相互に平行な前後一対の主面40,40が形成され、また進行方向前側の主面40の下部には左右方向に延びるロッキングエッジ41を介して傾斜面42が形成される。更に、前後に隣接する金属エレメント32,32を結合すべく、イヤー部37の前後面に凸部43fおよび凹部43rが形成される。
【0021】
図3は、金属ベルト15を構成する各金属エレメント32の左側のプーリ当接面39の厚さtaが小さく、右側のプーリ当接面39の厚さtbが大きい場合に、それら金属エレメント32がドライブプーリ6から離れる直前の状態を示している。金属エレメント32がドライブプーリ6から離れた弦部では、凸部43fおよび凹部43rが相互に深く嵌合するために金属エレメント32のヨーイングは発生しないが、プーリ巻き付き部では隣接する金属エレメント32どうしがロッキングエッジ41を支点にして相互にピッチングして凸部43fおよび凹部43rの嵌合が浅くなるため、金属エレメント32間の押し力が強いと前記左右のプーリ当接面39,39の厚さta,tbの偏差が累積してヨーイングが発生し、金属エレメントのプーリ当接面39,39がドライブプーリ6のV面38,38にエッジコンタクトし、該V面38,38に異常摩耗を発生させて耐久性を低下させる原因となる。この異常摩耗は、特にベルト式無段変速機Tの変速比がTOP状態にあるときに、ドライブプーリ6の出口付近で顕著に発生するものである。以下、その理由を図4に基づいて説明する。
【0022】
図4は、高速運転状態でドライブプーリ6の有効半径がドリブンプーリ11の有効半径よりも大きくなった状態(変速比がTOP状態)での、金属ベルト15の金属エレメント32間の押し力の分布を示しており、前記押し力Eはドライブプーリ6の出口寄りのe点から次第に増加し、出口のb点で最大値となり、またドリブンプーリ11の入口のc点の直後で最大値になり、そこから次第に減少して出口のd点で0になる。このとき、プーリのV面38,38の異常摩耗が発生し易いのはドライブプーリ6の出口付近のe点およびb点間であり、ドリブンプーリ11のc点およびd点間には顕著な異常摩耗は発生しない。
【0023】
その理由は、ドライブプーリ6の出口付近のe点およびb点間では金属エレメント32間の押し力Eが次第に増加するので左右のプーリ当接面39,39の厚さta,tbの偏差が累積して大きなヨーイングが発生し易く、しかもドライブプーリ6の有効半径が大きくなっているためにe点およびb点間に存在する金属エレメント32の数が多くなって偏差の累積が促進されるためと考えられる。一方、ドリブンプーリ11側では金属エレメント32間の押し力Eが増加するのはc点の直後の僅かな領域であり、そこからd点に向かって押し力Eが速やかに減少し、しかもドリブンプーリ11の有効半径が小さくなっているので、c点の直後のの押し力Eが増加する領域に存在する金属エレメント32の数が少ないためと考えられる。本実施例の金属ベルト15の金属エレメント32の総数は430個であり、そのうちドライブプーリ6のe点およびb点間に存在する金属エレメント32の数は約44個である。
【0024】
図5のグラフは、その横軸が430個の金属エレメント32の左右のプーリ当接面39,39の厚さta,tbの偏差であるta−tbの総和の絶対値、つまり|Σ(ta−tb)|を示し、縦軸がドライブプーリ6のV面38,38の摩耗量を示している。ここで、上記|Σ(ta−tb)|を総合偏差と定義する。尚、このときの無段変速機Tの運転状態は、入力回転数が6000rpm、入力トルクが165N・m、変速比が0.61、運転時間が100時間であり、これは車両の3万kmの走行距離に相当するものである。 同グラフから明らかなように、ドライブプーリ6の摩耗量はドリブンプーリ11の摩耗量を上回っており、かつ430個の金属エレメント32の総合偏差が上限値である0.48mmを越えると摩耗量が急増している。総合偏差が上限値0.48mmの状態とは、ドライブプーリ6のe点およびb点間で金属エレメント32のプーリ当接面39,39がV面38,38にエッジコンタクトを開始する臨界状態に対応する。即ち、総合偏差を上限値0.48mm以下に保持すれば、ドライブプーリ6のV面38,38の摩耗量を15μm以下に抑えて必要な耐久性を確保することができることになる。ドライブプーリ6のV面38,38の粗れを防止するには、V面38,38の摩耗量を15μm以下に抑えることが望ましい。
【0025】
次に、図6および図7に基づいて、金属エレメント32のプーリ当接面39,39がV面38,38にエッジコンタクトする条件を考察する。尚、図7において金属エレメント32の板厚tは誇張して表現してある。
【0026】
本実施例の金属エレメント32は、板厚tが1.5mm、プーリ当接面39,39の半径方向中央における左右幅Lが23mmであり、ドライブプーリ6は、V面38,38の角度θが0.192rad、プーリ当接面39,39の中央に対応する巻き付き半径rが65.2mmである。
【0027】
図7から、金属エレメント32のプーリ当接面39,39が当接するドライブプーリ6のV面半径Rは、
R=r/ sinθ=341.8(mm)
で与えられる。またφは、
φ={円弧長ab/2π×R}×2π
で与えられるが、V面半径Rは他と比べて遙に大きいため、円弧長abはt/2で置き換えることができ、前記φは、
φ={(t/2)/2π×R}×2π
=t/2R
=0.002194(rad)
で与えられる。従って、エッジコンタクトが発生するクリアランスSは、
S=L× sinφ=0.05(mm)
で与えられることが分かる。
【0028】
ここで、430個の金属エレメント32の総合偏差|Σ(ta−tb)|が上限値0.48mmであるとき、金属エレメント32の1個当たりの左右のプーリ当接面39,39の厚さta,tbの偏差であるta−tbは、
0.48÷430=0.0011162(mm)
となる。従って、ドライブプーリ6のe点およびb点間に存在する44個の金属エレメント32の偏差ta−tbの累積値は、
0.0011162×44=0.04915(mm)
であって0.05mm未満となり、エッジコンタクトの発生を回避することができる。
【0029】
【表1】
Figure 0003696475
【0030】
表1にはロット番号(1) 〜(6) の金属エレメント32の偏差ta−tbの平均値と、その標準偏差とが示される。これらの値は、各ロットから所定個数の金属エレメント32を抜き取って左右のプーリ当接面39,39の厚さta,tbを実際に測定することにより得ることができる。
【0031】
(1) 〜(6) のロット中の偏差ta−tbの平均値が負値のロット(つまり、(1) 〜(3) のロット)から第1ロットを選択し、前記平均値が正値のロット(つまり、(4) 〜(6) のロット)から第2ロットを選択し、図8に示すように、第1ロットのNa個の金属エレメント32と、第2ロットのNb個の金属エレメント32とを組み合わせることにより、Na+Nb個=430個のエレメント32の総合偏差を上限値である0.48mm以下に抑えることができる。即ち、第1ロットの金属エレメント32の偏差ta−tbの平均値をΔt1とし、第2ロットの金属エレメント32の偏差ta−tbの平均値をΔt2としたとき、
|Δt1×Na+Δt2×Nb|≦0.48(mm)
が成立するように第1ロットのNa個と第2ロットのNb個とを決定する。
【0032】
例えば、第1ロットとして偏差ta−tbの平均値が3.1μmの(5) のロットを選択し、第2ロットとして偏差ta−tbの平均値が−4.5μmの(1) のロットを選択した場合、Na=260個、Nb=170個とすれば、総合偏差を0.041mm(≦0.48mm)に抑えることができ、またNa=250個、Nb=180個とすれば、総合偏差を0.035mm(≦0.48mm)に抑えることができる。
【0033】
また、(2) のロットや(4) のロットのように偏差ta−tbの平均値の絶対値が1.1μmの場合には、単一のロットから430個の金属エレメント32を選択しても、総合偏差を0.48mm以下に抑えることができるため、2つのロットの金属エレメント32を組み合わせる必要はない。
【0034】
ところで、第1ロットのNa個の金属エレメント32と第2ロットのNb個の金属エレメント32とを組み合わせる場合、それら合計430個の金属エレメント32をランダムに組み合わせれば、ドライブプーリ6のe点およびb点間に存在する44個の金属エレメント32の偏差ta−tbが累積してもエッジコンタクトの発生を回避することができる。しかしながら、連続して配置された44個の金属エレメント32に含まれる第1ロットの金属エレメント32の個数と第2ロットの金属エレメント32の個数との比率が一方に偏在していると、その部分でエッジコンタクトが発生する可能性がある。
【0035】
このような不具合を解消してエッジコンタクトを一層確実に防止するには、44個の金属エレメント32を1グループとし、その44個の金属エレメント32に含まれる第1ロットの金属エレメント32の個数と第2ロットの金属エレメント32の個数との比率が、前記NaおよびNbの比率と等しくなるように設定する。そして、合計44個の金属エレメント32から成る前記グループを更に複数グループ直列に接続して合計430個の金属エレメント32を構成することにより、第1ロットの金属エレメント32と第2ロットの金属エレメント32の配列のランダム性を高めてエッジコンタクトを一層確実に防止することができる。
【0036】
以上のように、左右のプーリ当接面39,39の厚さが異なる2つのロットの金属エレメント32を所定の比率で選択してランダムに組み合わせることにより、ドライブプーリ6の出口付近で強い押し力を受けた金属エレメント32がヨーイングしても、その金属エレメント32のプーリ当接面39,39がドライブプーリ6のV面38,38にエッジコンタクトするのを防止することができる。その結果、エッジコンタクトによるドライブプーリ6のV面38,38の損傷が防止されるだけでなく、左右のプーリ当接面39,39の厚さに偏差があるロットの金属エレメント32を無駄なく使用することが可能となり、金属エレメント32の歩留りの向上によるコストダウンが可能になる。
【0037】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0038】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、金属エレメントの左右のプーリ当接面の厚さを測定し、変速比がTOP状態のときにドライブプーリ内で押し力が作用する金属エレメントの個数である所定個数の金属エレメントの左右のプーリ当接面の厚さの偏差の総和が所定範囲となるように前記所定個数の金属エレメントを選択して、それらの金属エレメントをランダムに組み合わせて金属リング集合体に組み付けるので、変速比がTOP状態のときにドライブプーリの出口付近で強い押し力を受けた金属エレメントがヨーイングしても、そのプーリ当接面がドライブプーリのV面にエッジコンタクトするのが防止される。これにより、ドライブプーリのV面の損傷を防止して耐久性の向上を図りながら、左右のプーリ当接面の厚さに偏差がある金属エレメントを使用することを可能とし、金属エレメントの歩留りを向上させてコストダウンを図ることができる。
【0039】
また請求項2に記載された発明によれば、所定個数の金属エレメントをランダムに組み合わせたグループを更に複数グループ直列に接続するので、全ての金属エレメントの配列のランダム性を高めてエッジコンタクトを一層確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 無段変速機を搭載した車両の動力伝達系のスケルトン図
【図2】 金属ベルトの部分斜視図
【図3】 ドライブプーリの出口付近における金属エレメントの整列状態を示す図
【図4】 ドライブプーリおよびドリブンプーリに巻き掛けられた金属ベルトの金属エレメント間の押し力の分布を示す図
【図5】 金属エレメントのプーリ当接面の総合偏差とドライブプーリのV面の摩耗量との関係を示すグラフ
【図6】 ドライブプーリおよび金属エレメントの模式的な部分正面図
【図7】 図6の7−7線断面図
【図8】 2つのロットの金属エレメントを組み合わせてエッジコンタクトを回避した状態を示す図
【符号の説明】
6 ドライブプーリ
11 ドリブンプーリ
31 金属リング集合体
32 金属エレメント
33 金属リング
39 プーリ当接面
ta 左側のプーリ当接面の厚さ
tb 右側のプーリ当接面の厚さ

Claims (2)

  1. 無端状の金属リング(33)を複数枚積層した金属リング集合体(31)と、金属リング集合体(31)に積層状態で支持された多数の金属エレメント(32)とから構成され、ドライブプーリ(6)およびドリブンプーリ(11)に巻き掛けられて両プーリ(6,11)間で駆動力の伝達を行う無段変速機用ベルトにおいて、
    金属エレメント(32)の左右のプーリ当接面(39)の厚さ(ta,tb)を測定する工程と、
    変速比がTOP状態のときにドライブプーリ(6)内で押し力が作用する金属エレメント(32)の個数である所定個数の金属エレメント(32)の左右のプーリ当接面(39)の厚さ(ta,tb)の偏差の総和が所定範囲となるように前記所定個数の金属エレメント(32)を選択する工程と、
    前記選択した金属エレメント(32)をランダムに組み合わせて金属リング集合体(31)に組み付ける工程と、
    を含むことを特徴とする無段変速機用ベルトにおける金属エレメントの組み合わせ方法。
  2. 前記所定個数の金属エレメント(32)からなるグループを更に複数グループ直列に接続することを特徴とする、請求項1に記載の無段変速機用ベルトにおける金属エレメントの組み合わせ方法。
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