JP3696356B2 - 筒状成形品の成形方法 - Google Patents

筒状成形品の成形方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ゴム等からなる筒状成形品の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ゴム等の柔軟な材質からなる薄肉の筒状成形品の成形方法として、回転する筒状の型内に注型ノズルにより、ウレタン樹脂原料やシリコンゴム原料等の液状原料を注入し、型の内面に液状原料を層状に付着させ、次いでその液状原料を硬化させて筒状の成形品を型内面に形成した後、前記成形品を型の内面から剥がして脱型する方法がある。
【0003】
前記成形方法において、成形品の脱型は、型の一端側において、成形品の端部と型の内面との境界部分に空気を吹き付けて、成形品を端部から徐々に剥がすことによってなされている。また、その際に、竹べらを成形品と型内面間に挿入して成形品を型内面から剥がすことも同時になされている。
【0004】
しかし、前記成形方法では成形品が型の内面に密着して形成されるため型の内面から剥がれ難い問題がある。さらに、成形品を一端から剥がしていく最中に、一度剥がれた部分が再び復元して型の内面に密着し、それによって成形品の脱型が阻害されることがある。また粘着性のある成形品にあっては、脱型の最中に型の内面から剥がれた部分同士が互いに接触して密着し易く、その部分を離すのに時間と熟練した技術が必要となるのみならず、最悪の場合には密着部分を良好に離すことができず、製品として不良になることがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は前記の点に鑑みなされたもので、型からの脱型を容易にして簡単かつ品質良好に成形品を得ることのできる筒状成形品の成形方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、請求項1に記載されるように、筒状の型内に液状原料を注入し、前記型の内面に液状原料を付着させて筒状の成形品を形成し、その後に前記成形品を脱型する筒状成形品の成形方法において、前記型の内面に成形品を形成した後、パイプの外周面にその周方向に沿う凹凸形状と複数の気体流通孔を有して前記成形品の内径より小さな外径とされた吸引パイプを、前記型内の成形品内に挿入し、前記吸引パイプに接続された吸引装置により前記吸引パイプの気体流通孔を介して吸引パイプと型内の成形品間の空気を外部へ吸引し、前記成形品を吸引パイプの凹凸形状の外周面に吸着した後、前記成形品を吸着したまま吸引パイプを型から抜いて成形品を脱型することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載された発明は、前記型の内面に成形品を形成した後、前記型の少なくとも一側端部の成形品の端部を摩擦部材で擦って当該成形品の端部を型の端部内面から剥がれ易くしあるいは剥がし、次いで、吸引パイプと前記型内の成形品間の空気を外部へ吸引することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載された発明は、前記吸引パイプと型内の成形品間の空気を外部へ吸引する際に、前記型の一端側を閉じるとともに他端側の吸引パイプ外周面と成形品間を開口させておくことを特徴とする。
【0009】
さらに、請求項4に記載された発明は、前記吸引パイプと型内の成形品間の空気を外部へ吸引している間に、前記吸引パイプと型の少なくとも一方を型の周方向に沿って回転させることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説明する。
図1ないし図13は請求項1の発明に係る一実施例を示しており、図1は型の内面にポリウレタン原料等を注入する工程を示す側面図、図2は型の内面に成形品が形成された状態を示す断面図、図3は吸引パイプを成形品の内側に挿入する際を示す側面図、図4は同吸引パイプを挿入した状態を示す断面図、図5は図4のA−A断面図、図6は吸引パイプにより型内の空気を外部へ吸引している状態を示す断面図、図7はその時の型の端部付近を示す拡大断面図、図8は成形品が型の内面から剥がされて吸引パイプの外周面に吸着した状態を示す断面図、図9はそのB−B断面図、図10は脱型された成形品を吸引パイプの外周面から抜き取る際を示す斜視図、図11は吸引パイプの外周面から抜き取った成形品を示す斜視図、図12は請求項1の発明に係る他の実施例を示す側面図、図13は同実施例において成形品が吸引パイプの外周面に浮き上がった状態を示す図12のC−C断面図である。
【0011】
図14は請求項2の発明に係る一実施例において摩擦部材により成形品の端部を擦る工程を示す断面図、図15は請求項2の発明に係る他の実施例において摩擦部材を取り付けた吸引パイプにより成形品の端部を擦る工程を示す断面図、図16は請求項3の発明に係る一実施例において型の一端側を閉じて成形品を吸引する工程を示す断面図、図17は請求項4の発明に係る一実施例において型を回転させながら成形品を吸引している状態を示す側面図、図18は成形品の一部が型の内面に密着した状態を示す断面図である。
【0012】
まず、請求項1の発明の一実施例について説明する。この請求項1の発明においては、図1に示すように、筒状の型10を用い、その型10を回転させながら型10内にポリウレタン原料等の液状原料Pを注型ノズル15により注入し、型の内面11に層状に付着させて硬化させ、図2に示すような所定厚みの均一な筒状成形品20を形成する。前記型10は、従来より筒状成形品の成形に用いられているものと同じもので、所望の内径からなる内面11が成形品形成面を構成する。この型10は、液状原料Pの注入時、図示しない回転装置に取り付けられてその周方向に沿って回転される。
なお、成形品20を型の内面11に形成するこの工程は、従来よりなされている筒状成形品の成形方法と同様であり、用いる液状原料Pに応じて型10が適宜の温度とされ、また型10の回転速度も適宜設定される。また、この実施例では、型10の内径は65mm、長さは350mm、成形品20はポリウレタンエラストマーからなる厚み3mmのものである。
【0013】
次いで、前記型10内の成形品20内側に、図3ないし図5に示すように、吸引装置30と接続された吸引パイプ40を挿入する。
前記吸引パイプ40は、金属または樹脂製等からなるパイプの外周面にその周方向に沿う凹凸形状41と、該吸引パイプ40の内外を連通する複数の気体流通孔42が形成されたものである。また、この吸引パイプ40は、前記成形品20の内側に挿入される部分が、成形品20の内径より所定量小さな外径からなって、吸引パイプ40の凸部41aと成形品20の内面間に所定の隙間を形成する寸法からなり、さらには、少なくとも成形品20の全長に渡って挿入される長さからなる。また、前記凹凸41は、吸引パイプ40の外周長(外周方向に沿う長さを言う。以下同じ。)が、前記型10内の成形品20の内周長(内周方向に沿う長さを言う。以下同じ。)と略等しくなるように定められる。
【0014】
なお、前記吸引パイプ40の長さおよび凹凸41の具体的な形状および寸法等は、後に行う吸引時に成形品20を吸引パイプ40に良好に吸着できるように、成形品20の厚みや、吸引装置30の能力等に応じて適宜定められる。この実施例の吸引パイプ40は、図4に示すように基部43が接続パイプ31との接続部となっていて、その基部43を除く長さは200mm、外径は60mmとされている。また前記凹凸41については、凸部41aおよび凹部41bが吸引パイプ40の長手方向に伸びて、図5に示すように吸引パイプ40の周方向に凹凸の波形状を構成するとともに、凹部41bの深さが2mmからなる。また、前記吸引パイプの基部43と接続パイプ31との連結は単なる挿入あるいは螺合等によってなされ、その接続パイプ31を介して吸引パイプ40が真空ポンプ等の吸引装置30に接続されている。一方、吸引パイプ40の先端44は、気体流通孔42における吸引力が大になるように閉じられている。
【0015】
前記気体流通孔42は、図4および図5に示すように吸引パイプ40の成形品20内に挿入される部分全体に渡って吸引パイプ40の周壁に所定数形成されている。この気体流通孔42の数やサイズは、吸引装置30の能力や、成形品20の材質、厚み等によって異なり、一般的には、直径は3〜5mm、個数は100〜150個とされる。この例では、直径3mmの孔が80個、直径5mmの孔が50個とされている。また、この気体流通孔42の形成位置は、後記する成形品の吸着を良好に行うため、少なくとも前記凸部41aに、好ましくは前記凸部41aと前記凹部41bの双方に設ける。さらに、前記凸部41aに設けられた孔の直径を前記凹部41bに設けられた孔の直径より大に設定されるのがより好ましい。
【0016】
次いで、前記吸引装置30の作動により、吸引パイプ40の気体流通孔42を介して吸引パイプ40と型10内の成形品20間の空気を外部へ吸引する。この吸引によって、吸引パイプ40の外周と成形品20間が減圧になって、図6および図7に示すように、型10の外部の空気が型10内に流入する。その際、その流入空気Kが型の端部12,13の内面と成形品20の端部21,22間に入り込み、前記成形品の端部21,22が前記型の端部12,13の内面から剥がれ易くなって、成形品20の脱型がスムーズになされる。
そして、所定時間吸引を続ければ、ついには、図8に示すように、成形品20全体が型の内面11から剥がれて吸引パイプ40の外周面に吸着する。
【0017】
前記吸着時、吸引パイプ40は外周面が周方向に沿って凹凸形状41となっていて、外周面に凹凸形状41のない平滑な筒状パイプに比べて外周長が長くなっている。そのため、図9に示すように成形品20は、弛み部分(成形品20のダブつき)を殆ど生じることなく吸引パイプ40の外周面に吸着し、その弛み部分が互いに密着してシワを生じることが少なくなる。特に、前記吸引パイプ40の外周長が成形品20の内周長と略等しくなるように前記凹凸形状41を定めておけば、前記吸着時に成形品20の弛みおよびその密着を確実に防ぐことができ、その密着部分を離す面倒な作業を不要にできる。
【0018】
そして、前記成形品20が外周面に吸着した状態の吸引パイプ40を、吸引状態のまま型10から抜き取り、成形品20の脱型を行う。このとき、前記成形品20は、既に型の内面11から剥がされて吸引パイプ40の外周面に吸着されているため、容易に脱型を行うことができる。
【0019】
次いで、前記吸引を止め、図10に示すように成形品20を吸引パイプ40の外周面から抜き取れば、図11に示すような所望の筒状成形品20が得られる。なお、前記吸引パイプ40の外周面をフッ素樹脂等により表面処理をしておけば、吸引パイプ40の外周面に成形品20が貼り付いたりせず、容易に前記抜き取りを行うことができる。さらに、前記抜き取りの際に、図12に示すように、前記吸引装置30に代えて送風装置50を吸引パイプ40に接続して、その送風装置50の作動により、吸引パイプ40の前記気体流通孔42より空気を吹き出すようにしてもよい。そうすれば、気体流通孔42より吸引パイプ40の外周面と成形品20の間に空気が吹き込まれて、図13に示すように、成形品20が吸引パイプ40の外周面から浮き上がった状態となるため、より容易に成形品20を吸引パイプ40から抜き取ることができる。
【0020】
このように、請求項1に記載された発明の成形方法によれば、吸引パイプを介して型内の成形品内側の空気を外部へ吸引するだけで成形品を型から剥がすことができるため、成形品を容易に得ることができる。さらに、型内の成形品内側に挿入した吸引パイプの外周面には凹凸形状が形成されていて、その凹凸形状の外周面に成形品を吸着して成形品を型から脱型するため、前記吸着時に成形品が吸引パイプの外周面で弛んで互いに密着しシワが生じる恐れがなく、その後に成形品の密着部分を離す面倒な作業が不要となるのみならず、離し損ないによる製品不良を生じることがない。
【0021】
次に請求項2の発明について説明する。図14に請求項2の発明の一実施例を示す。この請求項2の発明は、前記型の内面11に成形品20を形成した後、この成形品20の少なくとも一側端部21を摩擦部材60で擦って当該成形品20の端部21を型の端部12の内面から剥がれ易くしあるいは剥がし、次いで、前記吸引パイプ40と前記型内の成形品20間の空気を外部へ吸引し、その後は請求項1と同様にして成形品20を得るものである。
【0022】
図14に示す実施例では、請求項1の実施例で説明した前記型10内の成形品20内に吸引パイプ40を挿入する前に、先細の円柱形状からなって吸引パイプ挿入側となる成形品の端部21に嵌まる径を有するゴム等からなる摩擦部材60を、吸引パイプ挿入側となる型10の端部12に当てて数回回転させることにより前記成形品の端部21を擦り、それによって成形品の端部21を前記型の端部12の内面から剥がし、あるいは剥がれ易くしている。その後、請求項1の実施例と同様に、前記吸引パイプ40が型10内の成形品20内側に挿入される。符号61は、摩擦部材60を持つための把持棒である。この摩擦によって前記成形品の端部21の品質が低下する場合には、成形品20の脱型後に前記成形品の端部21を切除すればよい。なお、図示されていないが、成形品20を型の内面11からより迅速かつ確実に剥離させるためには、成形品の一側端部のみならず両側端部21,22を前記摩擦部材60により擦ることが好ましい。
【0023】
前記のように摩擦部材60は、吸引パイプ40とは別個のものとしてもよいが、図15に示すように、吸引パイプ40Aの基部43Aに先細の円盤状からなる摩擦部材70を取り付けたものでもよい。その場合は、吸引パイプ40Bを型10B内の成形品20A内側に挿入する際に、前記摩擦部材70を型の吸引パイプ挿入側端部12Aに当てて、吸引パイプ40Aまたは型10A(図では型10A)を数回回転させることにより、吸引パイプ挿入側となる成形品の端部21Aを擦る。このときの摩擦部材70は、摩擦部材70と吸引パイプの先端44A(吸引パイプの基部43Aとは反対側の端部)間の距離が型10Aの全長より大となるような位置に取り付けるのが好ましい。そして、図示しないが、前記成形品の端部21Aを擦った後に吸引パイプ40Aを型10Aから所定量引き出して、摩擦部材70と型の端部12A間を開口させ、その後の吸引時に成形品20A(特に前記成形品の端部21A)の剥離が摩擦部材70によって妨げられないようにする。このように吸引パイプ40Aと摩擦部材70を一体にすれば、成形品の端部21Aを擦る工程とその後の吸引工程とを連続的にスムーズに行うことができ、作業効率がより向上する。なお、この後の工程は、請求項1の実施例と同じなので説明を省略する。
【0024】
次に請求項3の発明について説明する。この請求項3の発明は、請求項1の発明における前記吸引パイプ40と型内の成形品20間の空気を外部へ吸引する際に、前記型の一端側13(吸引パイプ非挿入側となる端部)を閉じるとともに他端側12(吸引パイプ挿入側となる端部)の吸引パイプ40と成形品20間を開口させておくものである。
【0025】
図16に請求項3の一実施例を示す。この実施例では、型10B内に成形品20Bを形成した後、吸引パイプ40Bと型10B内の成形品20B間の空気を外部へ吸引するのに先立ち、吸引パイプ40Bの非挿入側となる型の端部13Bに、ゴム等からなるシール部材80を当接させて前記型の端部13Bを閉じるとともに、吸引パイプ40Bの挿入側となる型の端部12Bで、成形品20Bと吸引パイプ40B間に隙間を残して開口させ、その後、請求項1の実施例と同じように、吸引パイプ40Bによる吸引を行って、成形品20Bの脱型および吸引パイプ40Bからの抜き取りを行っている。
【0026】
この請求項3の発明では、前記吸引時に吸引パイプ40Bの挿入側となる型の端部12Bからのみ、空気が吸引パイプ40Bの外周面と成形品20B間に流入するため、その流入空気は流速が極めて大になって、成形品の端部21Bに勢いよく衝突しながら成形品20Bの内側に流れ込む。その結果、前記成形品の端部21Bが型の端部12Bの内面から容易に剥がれ、さらに、その剥がれた成形品の端部21B近傍に前記流入空気が衝突しながら成形品20Bと型の内面11B間に連続して入り込むため、型の内面11Bからの成形品20Bの剥離が迅速に進み、成形品20Bが吸引パイプ40Bの外周面にスムーズ、かつ確実に吸着される。
【0027】
前記シール部材80は、図示しない押圧装置によって前記型の端部13Bに押しつけるようにしたり、前記型の端部13Bにクランプ等で固定するようにしたり、あるいはねじで固定するなど、適宜の手段で取り付けられる。また、シール部材80側の成形品の端部22Bが型の内面11Bから剥がれ難くなるのを妨ぐため、シール部材80は、成形品20Bの内側に挿入されない形状にするのが好ましい。この実施例では、型10Bの内径より大である円盤状のものを使用している。
【0028】
なお、この請求項3の発明は、請求項2の発明における摩擦部材によって成形品の端部を擦る工程を行う場合にも、あるいは行わない場合にも適用できるが、請求項2の摩擦とともに適用すれば、成形品の端部21A,21Bが型の内面11A,11Bからより剥がれ易くなって、迅速かつ確実に吸引パイプ40A,40Bに成形品20A,20Bが吸着されるため、より好ましい。
【0029】
次に請求項4の発明について説明する。この請求項4の発明は、前記請求項1の発明において、前記吸引パイプ40と型10内の成形品20間の空気を外部へ吸引している間に、吸引パイプ40と型10の少なくとも一方を型10の周方向に沿って回転させるものである。
【0030】
図17に請求項4の一実施例を示す。この実施例では、型10C内に成形品20Cを形成したあと、吸引パイプ40Cと型10C内の成形品20C間の空気を外部に吸引する間に、型10Cをその周方向に沿って適宜回数回転させている。その回転は成形品20Cにシワを生じにくくするため、図示するように、一方向よりも両方向に行うのが好ましい。なお、この実施例では、請求項3の発明が併用されており、型の一端側13Cをシール部材80Cにより閉じる構成となっている。
【0031】
このように回転を行えば、成形品20Cの内周を均一に吸引することができるため、図18に示すように、前記吸引時に成形品20Cの一部が型10Cの内面11Cに密着して剥離が遅れるといった不具合を少なくすることができる。仮に成形品20Cの一部が型の内面11Cに密着しても、前記回転により成形品20Cは型の内面11Cに密着した部分が引き剥がされて吸引パイプ40C側に吸引されるため、確実かつ迅速に吸引パイプ40Cの外周面に吸着される。
そして、前記回転を所定数行った後にその回転を停止し、次いで前記吸引を続けながら吸引パイプ40Cをその外周面に吸着している成形品20Cとともに型10Cから抜き取って脱型し、前記吸引を停止し成形品20Cを吸引パイプ40Cから抜き取る。
【0032】
なお、この請求項4の発明は、請求項2における摩擦部材で成形品の端部を擦る工程あるいは請求項3における型の一端側を閉じることのいずれかまたは両方を行わない場合にも適用されるが、好ましくは、少なくとも一方との併用が好ましい。
【0033】
【発明の効果】
以上図示し説明したように、請求項1の発明によれば、型の内面に形成した筒状成形品の内側に吸引パイプを挿入して吸引するだけで、筒状成形品を型の内面から剥がして脱型できるため、筒状成形品の成形を容易に行うことができる。しかも、筒状成形品を吸引パイプの凹凸の外周面に吸着して脱型を行うため、その脱型時に筒状成形品の一部が互いに密着し難く、その成形品同士の密着部分を離すための面倒な作業が不要となるのみならず、密着部分の離し損ねによる製品不良を生じる恐れがない。
【0034】
また、請求項2の発明によれば、型の内面に成形品を形成した後に、型の少なくとも一側端部の成形品の端部を摩擦部材で擦って当該成形品の端部を型の端部内面から剥がれやすくしあるいは剥がし、次いで、吸引パイプと型内の成形品間の空気を外部へ吸引するため、成形品が容易に型の内面から剥がれて吸着パイプの外周面に吸着され、成形品の脱型がよりスムーズになるので、筒状成形品の成形をより簡単、迅速かつ確実に行える。
【0035】
また、請求項3の発明によれば、吸引パイプと型内の成形品間の空気を外部へ吸引する際に、型の一端側を閉じるとともに他端側の吸引パイプ外周面と成形品間を開口させておくため、前記吸引によって、型の開口側端部から型内に大なる流速で空気を流入させることができる。そして、その空気が、型の開口側端部に位置する成形品の端部と衝突しながら型内に流入することになるため、成形品が端部から剥がれ易くなって脱型がスムーズになり、筒状成形品の成形をより簡単、迅速かつ確実に行えるようになる。
【0036】
また、請求項4の発明によれば、吸引パイプと型内の成形品間の空気を外部へ吸引している間に、吸引パイプと型の少なくとも一方を型の周方向に沿って回転させるため、前記吸引を均一に行うことができ、仮に前記吸引時に成形品が吸引パイプの外周面に均一に吸着されず、成形品の一部が型の内面に密着したまま残ることがあっても、前記回転によって、成形品が型の内面から確実に剥がされて吸引パイプに吸着するため、成形品の脱型が迅速かつ確実になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明に係る一実施例において、型の内面にポリウレタン原料等を注型ノズルにより注入する工程を示す側面図である。
【図2】同型の内面に成形品が形成された状態を示す断面図である。
【図3】吸引パイプを同型内の成形品の内側に挿入する際を示す側面図である。
【図4】同吸引パイプを挿入した状態を示す断面図である。
【図5】図4のA−Aの断面図である。
【図6】同吸引パイプによる型内の吸引時を示す断面図である。
【図7】その時の型の端部付近の様子を示す拡大断面図である。
【図8】成形品が型の内面から剥がされて吸引パイプの外周面に吸着した状態を示す断面図である。
【図9】図8のB−B断面図である。
【図10】脱型された成形品を吸引パイプの外周面から抜き取る際を示す斜視図である。
【図11】吸引パイプの外周面から抜き取った成形品を示す斜視図である。
【図12】請求項1の発明に係る他の実施例を示しており、送風装置に接続された吸引パイプから空気を吹き出している状態を示す側面図である。
【図13】同実施例において成形品が吸引パイプの外周面から浮き上がった状態を示す図12のC−C断面図でる。
【図14】請求項2の発明に係る一実施例を示しており、摩擦部材により成形品の端部を擦る工程を示す断面図である。
【図15】請求項2の発明に係る他の実施例を示しており、摩擦部材を取り付けた吸引パイプにより成形品の端部を擦る工程を示す断面図である。
【図16】請求項3の発明に係る一実施例を示しており、型の一端部をシール部材により閉じて成形品を吸引する工程を示す断面図である。
【図17】請求項4の発明の一実施例を示しており、型を回転させながら成形品を吸引している状態を示す側面図である。
【図18】成形品の一部が型の内面に密着した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
10 筒状の型
11 型の内面
12,13 型の端部
20 筒状成形品
21,22 成形品の端部
30 吸引装置
40 吸引パイプ
41 吸引パイプの外周面に形成された凹凸
42 気体流通孔
43 吸引パイプの基部
60 摩擦部材
80 シール部材
P 液状原料
K 流入空気

Claims (4)

  1. 筒状の型内に液状原料を注入し、前記型の内面に液状原料を付着させて筒状の成形品を形成し、その後に前記成形品を脱型する筒状成形品の成形方法において、
    前記型の内面に成形品を形成した後、パイプの外周面にその周方向に沿う凹凸形状と複数の気体流通孔を有して前記成形品の内径より小さな外径とされた吸引パイプを、前記型内の成形品内に挿入し、
    前記吸引パイプに接続された吸引装置により前記吸引パイプの気体流通孔を介して吸引パイプと型内の成形品間の空気を外部へ吸引し、前記成形品を吸引パイプの凹凸形状の外周面に吸着した後、
    前記成形品を吸着したまま吸引パイプを型から抜いて成形品を脱型することを特徴とする筒状成形品の成形方法。
  2. 請求項1において、型の内面に成形品を形成した後、前記型の少なくとも一側端部の成形品の端部を摩擦部材で擦って当該成形品の端部を型の端部内面から剥がれ易くしあるいは剥がし、次いで、前記吸引パイプと型内の成形品間の空気を外部へ吸引することを特徴とする筒状成形品の成形方法。
  3. 請求項1または2において、吸引パイプと型内の成形品間の空気を外部へ吸引する際に、前記型の一端側を閉じるとともに他端側の吸引パイプ外周面と成形品間を開口させておくことを特徴とする筒状成形品の成形方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、吸引パイプと型内の成形品間の空気を外部へ吸引する間に、前記吸引パイプと型の少なくとも一方を型の周方向に沿って回転させることを特徴とする筒状成形品の成形方法。
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