JP3696330B2 - 3−(ジアリールメチレン)オキシインドール誘導体の製造方法 - Google Patents
3−(ジアリールメチレン)オキシインドール誘導体の製造方法 Download PDFInfo
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- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血管内膜肥厚抑制作用及び肉芽形成抑制作用を有し、医薬品として有用である3-(ジアリールメチレン)オキシインドール誘導体の新規な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来用いられている3-(ジアリールメチレン)オキシインドール誘導体の製法としては、ケミシェ ベリヒテ(Chem. Ber.), 96, 3328(1963)、特公昭43-3195号公報等に記載の方法が知られている。しかし、前者は自然発火性のある金属ナトリウムを使用する方法であり、工業的に大量に利用する場合は非常に危険である〔危険物ハンドブック(丸善)p.519参照〕。また後者は、オキシインドールとケトン及びアルデヒドを縮合させるときに一般的に用いられているクノーベナーゲル(Knoevenagel)反応〔ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(J. Med. Chem.), 8, 626(1965)、ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(J. Org. Chem.), 57(17), 4765(1992)、ヨーロピアン ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(Eur. J. Med. Chem.), 28, 653(1993)参照〕であり、塩基として有機アミンであるピペリジンを用いて、オートクレーブで高温高圧状態で反応を行う方法である。しかし、オートクレーブのような第1種圧力容器には破裂、膨出、圧壊、割れ等の事故が起こる可能性があるため、大量製造を行う場合に用いるのは非常に危険である〔第1種圧力容器取扱作業主任者テキスト, 102-104頁(1994), 社団法人日本ボイラ協会〕。また本反応での収率は16%と低収率である。以上のように、これら従来の製法は、工業的合成には向いていない。
【0003】
また、特表平7-508743号公報には、ベンゾフェノン類とアセチルモルホリン類とを、アルカリ金属水酸化物存在下で縮合反応させることにより、3,3-ジアリールアクリル酸アミド類を製造する方法が記載されているが、オキシインドールのような環構造をもつ化合物とベンゾフェノン類との縮合反応については何ら記載がなく、また溶媒についてもアルカン及びシクロアルカンに限定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、安全性及び経済性に優れ、簡便かつ効率的な3-(ジアリールメチレン)オキシインドール誘導体の工業的製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明らは鋭意研究を重ねた結果、特定の塩基、溶媒及び反応条件を設定することにより、3-(ジアリールメチレン)オキシインドール誘導体を工業的に有利に製造し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明の製造方法は、以下の反応式で表される。
【0007】
【化4】
【0008】
(式中、Rは水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基又は置換基を有してもよいベンジル基を示し、R1及びR2は同一又は異なって、置換基を有してもよいアリール基を示す。)
【0009】
すなわち本発明は、一般式(1)で表されるオキシインドール又はその誘導体と一般式(2)で表されるケトン類とを、アルカリ金属水酸化物の存在下、トルエン又はt-アミルアルコール中、脱水還流下で反応させることを特徴とする一般式(3)
で表される3-(ジアリールメチレン)オキシインドール誘導体の製造方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
一般式(1)中、Rで表される置換基を有してもよい低級アルキル基において、低級アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基等の直鎖状又は分枝状の炭素数1〜6個のアルキル基が挙げられ、なかでもメチル基及びエチル基、特にメチル基が好ましい。
【0011】
これら低級アルキル基が有していてもよい置換基としては、用いる塩基であるアルカリ金属水酸化物に影響されない基であれば何れでもよく、例えば低級アルキルアミノ基、シクロアルキル基等が挙げられる。かかる低級アルキルアミノ基としては、例えばメチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基等のアルキル部分が炭素数1〜4であるモノ又はジ低級アルキルアミノ基が挙げられ、なかでもジメチルアミノ基が好ましい。またシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜6のシクロアルキル基が挙げられる。
【0012】
また、一般式(1)中、Rで表される置換基を有してもよいベンジル基において、当該置換基としては、用いる塩基であるアルカリ金属水酸化物に影響されない基であれば何れでもよく、例えば低級アルコキシ基、低級アルキル基等が挙げられる。かかる低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基等の直鎖状又は分枝状の炭素数1〜6個のアルコキシ基が挙げられ、なかでもメトキシ基及びエトキシ基、特にメトキシ基が好ましい。また低級アルキル基としては、前述したものと同様の基が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
【0013】
本発明で用いられるオキシインドール又はその誘導体(1)は、公知の化合物であるか、公知の方法により公知の化合物から製造することができる。これに関し、例えばジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(J. Med. Chem.),37, 2033(1994)、テトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Lett.), 2857(1979)、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエティー(J. Am. Chem. Soc.), 5508-5512(1974)、テトラヘドロン(Tetrahedron), 24, 6093(1968)、特開昭62-103051号公報等を参照することができる。本発明においては、オキシインドール又はその誘導体(1)のうち、特にRが水素原子であるもの、すなわちオキシインドールが好ましい。
【0014】
一般式(2)中、R1及びR2で表される置換基を有してもよいアリール基において、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、特にフェニル基が好ましい。これらアリール基が有してもよい置換基としては、例えば低級アルキル基、低級アルコキシ基等が挙げられる。かかる低級アルキル基としては、前述したものと同様の基が挙げられ、メチル基及びエチル基、特にメチル基が好ましい。また低級アルコキシ基としても前述したものと同様の基が挙げられ、メトキシ基及びエトキシ基、特にメトキシ基が好ましい。
【0015】
R1及びR2の好ましい態様としては、置換基として低級アルキル基又は低級アルコキシ基を有してもよいフェニル基が、より好ましい態様としてトリル基及びメトキシフェニル基が挙げられる。
【0016】
本反応における各試薬の割合は、オキシインドール又はその誘導体(1)1モルに対して、ケトン類(2)を0.8〜2モル、特に1〜1.2モル、アルカリ金属水酸化物を1〜5モル、特に1.2〜3モル用いるのが好ましく、この範囲内で反応は有利に進行する。
【0017】
アルカリ金属水酸化物としては、例えば水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。
【0018】
溶媒としては、トルエン又はt-アミルアルコールが用いられるが、トルエンがより好ましい。出発原料は、溶媒中に5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%程度加えることができる。
【0019】
脱水還流は、通常用いられる蒸留装置や、Dean-Stark脱水装置又はモレキュラシーブスを充填した塔のような脱水装置を付した条件下で、共沸脱水を行いながら攪拌することにより実行される。
【0020】
反応温度は、100〜200℃、特に使用される溶媒であるトルエン又はt-アミルアルコールの還流温度が好ましい。反応時間は、5〜48時間、特に5〜24時間が好ましい。
【0021】
本発明により得られた3-(ジアリールメチレン)オキシインドール誘導体(3)は、公知の分離精製手段、具体的には蒸留、再結晶、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等により単離精製することができる。
【0022】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
実施例1
3-[ビス(4-メチルフェニル)メチレン]オキシインドール〔化合物(3a)〕の合成: (1) トルエン200g中に97%オキシインドール20.0g(0.146mol)、4,4'-ジメチルベンゾフェノン30.6g(0.146mol)及び85%水酸化カリウム12.5gを投入し、Dean-Stark脱水装置を付して6時間還流した。反応終了後冷却し、35%塩酸20gを水300gで希釈した水溶液を加えた。そのまま氷冷下で1.5時間攪拌し、析出した黄色結晶をろ取した。得られた粗結晶を充分に水洗いした後、トルエン/エタノール(1/1)で再結晶し、標記化合物の黄色結晶39.8g(収率83%)を得た。物性値を以下に示す。
【0024】
融点:236〜241℃
元素分析値:
計算値:C(84.89%), H(5.89%), N(4.30%)
実測値:C(84.89%), H(5.66%), N(4.30%)
1H-NMRスペクトル(δppm,CDCl3):
2.37(s,3H), 2.43(s,3H), 6.47(d,1H), 6.65(dt,1H),
6.73(d,1H), 7.07(dt,1H), 7.13-7.26(m,8H), 7.79(s,1H)
【0025】
(2) トルエン200g中に97%オキシインドール20.0g(0.146mol)、4,4'-ジメチルベンゾフェノン30.6g(0.146mol)及び96%水酸化ナトリウム18.2gを投入し、Dean-Stark脱水装置を付して24時間還流した。反応終了後冷却し、35%塩酸46gを水300gで希釈した水溶液を加えた。そのまま氷冷下で1.5時間攪拌し、析出した黄色結晶をろ取した。得られた粗結晶を充分に水洗いした後、トルエン/エタノール(1/1)で再結晶し、標記化合物の黄色結晶36.7g(収率75%)を得た。物性値は上記のとおりである。
【0026】
実施例2
3-[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン]オキシインドール〔化合物(3b)〕の合成:
トルエン200g中に97%オキシインドール20.0g(0.146mol)、4,4'-ジメトキシベンゾフェノン35.3g(0.146mol)及び85%水酸化カリウム12.5gを投入し、Dean-Stark脱水装置を付して8時間還流した。反応終了後冷却し、35%塩酸20gを水300gで希釈した水溶液を加えた。そのまま氷冷下で1.5時間攪拌し、析出した黄色結晶をろ取した。得られた粗結晶を充分に水洗いした後、トルエン/エタノール(1/1)で再結晶し、標記化合物の黄色結晶42.8g(収率80%)を得た。物性値を以下に示す。
【0027】
融点:178-180℃
元素分析値:
計算値:C(77.29%),H(5.36%),N(3.92%)
実測値:C(77.28%),H(5.23%),N(3.96%)
1H-NMRスペクトル(δppm,CDCl3):
3.84(s,3H), 3.88(s,3H), 6.51(d,1H), 6.65(dt,1H),
6.70(d,1H), 6.87(d,2H), 6.93(d,2H), 7.04(dt,1H),
7.25(d,2H), 7.31(d,2H), 8.40(s,1H)
【0028】
試験例1
薄層クロマトグラフィー分析法による化合物(3a)の合成試験:
本試験は、反応の進行状況を確認するために通常利用される薄層クロマトグラフィー分析法(TLC分析法:「第4版実験化学講座1基本操作I」,日本化学会編,288〜293頁参照)を参考にして行った。
すなわち、97%オキシインドール5g及び4,4'-ジメチルベンゾフェノン7.7gを各種溶媒50mlに加え、表1に示すような各種塩基を種々の当量加え、種々の反応温度、時間、反応条件を設定して反応を行った。脱水装置は溶媒がトルエンの場合はDean-Stark脱水装置を用い、それ以外はモレキュラーシーブス4A塔を設置して脱水した。得られた反応溶液を薄層クロマトグラフィーにスポットし、酢酸エチル/n-ヘキサン(1/1)の溶媒で展開し、出発原料のオキシインドールと生成物である化合物(3a)のUV吸収スポットの面積を比較することにより反応が有意に進行したかどうかを確認した。UVランプにはENF-260C/J(スペクトロニクス社製)を用い、波長254nmにおいて測定を行った。結果は、下記指標で判断した。結果を表1に示す。
【0029】
A:化合物(3a)のスポット>>出発原料のスポット
(化合物(3a)のスポットがほとんどで出発原料のスポットは痕跡程度)
B:化合物(3a)のスポット>出発原料のスポット
(化合物(3a)と出発原料のスポットの面積比が3:2程度)
C:化合物(3a)のスポット=出発原料のスポット
(化合物(3a)と出発原料のスポットの面積比が同程度)
D:化合物(3a)のスポット<出発原料のスポット
(化合物(3a)と出発原料のスポットの面積比が2:3程度)
E:化合物(3a)のスポット<<出発原料のスポット
(化合物(3a)のスポットは痕跡程度で出発原料のスポットがほとんど)
n.r.:反応せず
【0030】
【表1】
【0031】
表1から明らかなように、本発明方法(試験1、2及び3)は、特表平7−508743号公報に開示された方法(試験7及び8)、ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(J. Med. Chem.), 8, 626(1965)等に記載の方法(試験10及び11)に比して、非常に優れていることが確認された。
これらの結果及び表1に示すその他の塩基、溶媒、反応条件の検証より、塩基としてのアルカリ金属水酸化物、溶媒としてのトルエン又はt-アミルアルコール、及び脱水還流下での反応を組合せることにより、オキシインドール化合物を極めて有利に製造することができることが確認された。
【0032】
【発明の効果】
本発明の3-(ジアリールメチレン)オキシインドール誘導体の製造方法は、安全性及び経済性に優れ、簡便かつ効率的であり、工業的に極めて有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、血管内膜肥厚抑制作用及び肉芽形成抑制作用を有し、医薬品として有用である3-(ジアリールメチレン)オキシインドール誘導体の新規な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来用いられている3-(ジアリールメチレン)オキシインドール誘導体の製法としては、ケミシェ ベリヒテ(Chem. Ber.), 96, 3328(1963)、特公昭43-3195号公報等に記載の方法が知られている。しかし、前者は自然発火性のある金属ナトリウムを使用する方法であり、工業的に大量に利用する場合は非常に危険である〔危険物ハンドブック(丸善)p.519参照〕。また後者は、オキシインドールとケトン及びアルデヒドを縮合させるときに一般的に用いられているクノーベナーゲル(Knoevenagel)反応〔ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(J. Med. Chem.), 8, 626(1965)、ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(J. Org. Chem.), 57(17), 4765(1992)、ヨーロピアン ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(Eur. J. Med. Chem.), 28, 653(1993)参照〕であり、塩基として有機アミンであるピペリジンを用いて、オートクレーブで高温高圧状態で反応を行う方法である。しかし、オートクレーブのような第1種圧力容器には破裂、膨出、圧壊、割れ等の事故が起こる可能性があるため、大量製造を行う場合に用いるのは非常に危険である〔第1種圧力容器取扱作業主任者テキスト, 102-104頁(1994), 社団法人日本ボイラ協会〕。また本反応での収率は16%と低収率である。以上のように、これら従来の製法は、工業的合成には向いていない。
【0003】
また、特表平7-508743号公報には、ベンゾフェノン類とアセチルモルホリン類とを、アルカリ金属水酸化物存在下で縮合反応させることにより、3,3-ジアリールアクリル酸アミド類を製造する方法が記載されているが、オキシインドールのような環構造をもつ化合物とベンゾフェノン類との縮合反応については何ら記載がなく、また溶媒についてもアルカン及びシクロアルカンに限定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、安全性及び経済性に優れ、簡便かつ効率的な3-(ジアリールメチレン)オキシインドール誘導体の工業的製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明らは鋭意研究を重ねた結果、特定の塩基、溶媒及び反応条件を設定することにより、3-(ジアリールメチレン)オキシインドール誘導体を工業的に有利に製造し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明の製造方法は、以下の反応式で表される。
【0007】
【化4】
【0008】
(式中、Rは水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基又は置換基を有してもよいベンジル基を示し、R1及びR2は同一又は異なって、置換基を有してもよいアリール基を示す。)
【0009】
すなわち本発明は、一般式(1)で表されるオキシインドール又はその誘導体と一般式(2)で表されるケトン類とを、アルカリ金属水酸化物の存在下、トルエン又はt-アミルアルコール中、脱水還流下で反応させることを特徴とする一般式(3)
で表される3-(ジアリールメチレン)オキシインドール誘導体の製造方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
一般式(1)中、Rで表される置換基を有してもよい低級アルキル基において、低級アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基等の直鎖状又は分枝状の炭素数1〜6個のアルキル基が挙げられ、なかでもメチル基及びエチル基、特にメチル基が好ましい。
【0011】
これら低級アルキル基が有していてもよい置換基としては、用いる塩基であるアルカリ金属水酸化物に影響されない基であれば何れでもよく、例えば低級アルキルアミノ基、シクロアルキル基等が挙げられる。かかる低級アルキルアミノ基としては、例えばメチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基等のアルキル部分が炭素数1〜4であるモノ又はジ低級アルキルアミノ基が挙げられ、なかでもジメチルアミノ基が好ましい。またシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜6のシクロアルキル基が挙げられる。
【0012】
また、一般式(1)中、Rで表される置換基を有してもよいベンジル基において、当該置換基としては、用いる塩基であるアルカリ金属水酸化物に影響されない基であれば何れでもよく、例えば低級アルコキシ基、低級アルキル基等が挙げられる。かかる低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基等の直鎖状又は分枝状の炭素数1〜6個のアルコキシ基が挙げられ、なかでもメトキシ基及びエトキシ基、特にメトキシ基が好ましい。また低級アルキル基としては、前述したものと同様の基が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
【0013】
本発明で用いられるオキシインドール又はその誘導体(1)は、公知の化合物であるか、公知の方法により公知の化合物から製造することができる。これに関し、例えばジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(J. Med. Chem.),37, 2033(1994)、テトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Lett.), 2857(1979)、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエティー(J. Am. Chem. Soc.), 5508-5512(1974)、テトラヘドロン(Tetrahedron), 24, 6093(1968)、特開昭62-103051号公報等を参照することができる。本発明においては、オキシインドール又はその誘導体(1)のうち、特にRが水素原子であるもの、すなわちオキシインドールが好ましい。
【0014】
一般式(2)中、R1及びR2で表される置換基を有してもよいアリール基において、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、特にフェニル基が好ましい。これらアリール基が有してもよい置換基としては、例えば低級アルキル基、低級アルコキシ基等が挙げられる。かかる低級アルキル基としては、前述したものと同様の基が挙げられ、メチル基及びエチル基、特にメチル基が好ましい。また低級アルコキシ基としても前述したものと同様の基が挙げられ、メトキシ基及びエトキシ基、特にメトキシ基が好ましい。
【0015】
R1及びR2の好ましい態様としては、置換基として低級アルキル基又は低級アルコキシ基を有してもよいフェニル基が、より好ましい態様としてトリル基及びメトキシフェニル基が挙げられる。
【0016】
本反応における各試薬の割合は、オキシインドール又はその誘導体(1)1モルに対して、ケトン類(2)を0.8〜2モル、特に1〜1.2モル、アルカリ金属水酸化物を1〜5モル、特に1.2〜3モル用いるのが好ましく、この範囲内で反応は有利に進行する。
【0017】
アルカリ金属水酸化物としては、例えば水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。
【0018】
溶媒としては、トルエン又はt-アミルアルコールが用いられるが、トルエンがより好ましい。出発原料は、溶媒中に5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%程度加えることができる。
【0019】
脱水還流は、通常用いられる蒸留装置や、Dean-Stark脱水装置又はモレキュラシーブスを充填した塔のような脱水装置を付した条件下で、共沸脱水を行いながら攪拌することにより実行される。
【0020】
反応温度は、100〜200℃、特に使用される溶媒であるトルエン又はt-アミルアルコールの還流温度が好ましい。反応時間は、5〜48時間、特に5〜24時間が好ましい。
【0021】
本発明により得られた3-(ジアリールメチレン)オキシインドール誘導体(3)は、公知の分離精製手段、具体的には蒸留、再結晶、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等により単離精製することができる。
【0022】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
実施例1
3-[ビス(4-メチルフェニル)メチレン]オキシインドール〔化合物(3a)〕の合成: (1) トルエン200g中に97%オキシインドール20.0g(0.146mol)、4,4'-ジメチルベンゾフェノン30.6g(0.146mol)及び85%水酸化カリウム12.5gを投入し、Dean-Stark脱水装置を付して6時間還流した。反応終了後冷却し、35%塩酸20gを水300gで希釈した水溶液を加えた。そのまま氷冷下で1.5時間攪拌し、析出した黄色結晶をろ取した。得られた粗結晶を充分に水洗いした後、トルエン/エタノール(1/1)で再結晶し、標記化合物の黄色結晶39.8g(収率83%)を得た。物性値を以下に示す。
【0024】
融点:236〜241℃
元素分析値:
計算値:C(84.89%), H(5.89%), N(4.30%)
実測値:C(84.89%), H(5.66%), N(4.30%)
1H-NMRスペクトル(δppm,CDCl3):
2.37(s,3H), 2.43(s,3H), 6.47(d,1H), 6.65(dt,1H),
6.73(d,1H), 7.07(dt,1H), 7.13-7.26(m,8H), 7.79(s,1H)
【0025】
(2) トルエン200g中に97%オキシインドール20.0g(0.146mol)、4,4'-ジメチルベンゾフェノン30.6g(0.146mol)及び96%水酸化ナトリウム18.2gを投入し、Dean-Stark脱水装置を付して24時間還流した。反応終了後冷却し、35%塩酸46gを水300gで希釈した水溶液を加えた。そのまま氷冷下で1.5時間攪拌し、析出した黄色結晶をろ取した。得られた粗結晶を充分に水洗いした後、トルエン/エタノール(1/1)で再結晶し、標記化合物の黄色結晶36.7g(収率75%)を得た。物性値は上記のとおりである。
【0026】
実施例2
3-[ビス(4-メトキシフェニル)メチレン]オキシインドール〔化合物(3b)〕の合成:
トルエン200g中に97%オキシインドール20.0g(0.146mol)、4,4'-ジメトキシベンゾフェノン35.3g(0.146mol)及び85%水酸化カリウム12.5gを投入し、Dean-Stark脱水装置を付して8時間還流した。反応終了後冷却し、35%塩酸20gを水300gで希釈した水溶液を加えた。そのまま氷冷下で1.5時間攪拌し、析出した黄色結晶をろ取した。得られた粗結晶を充分に水洗いした後、トルエン/エタノール(1/1)で再結晶し、標記化合物の黄色結晶42.8g(収率80%)を得た。物性値を以下に示す。
【0027】
融点:178-180℃
元素分析値:
計算値:C(77.29%),H(5.36%),N(3.92%)
実測値:C(77.28%),H(5.23%),N(3.96%)
1H-NMRスペクトル(δppm,CDCl3):
3.84(s,3H), 3.88(s,3H), 6.51(d,1H), 6.65(dt,1H),
6.70(d,1H), 6.87(d,2H), 6.93(d,2H), 7.04(dt,1H),
7.25(d,2H), 7.31(d,2H), 8.40(s,1H)
【0028】
試験例1
薄層クロマトグラフィー分析法による化合物(3a)の合成試験:
本試験は、反応の進行状況を確認するために通常利用される薄層クロマトグラフィー分析法(TLC分析法:「第4版実験化学講座1基本操作I」,日本化学会編,288〜293頁参照)を参考にして行った。
すなわち、97%オキシインドール5g及び4,4'-ジメチルベンゾフェノン7.7gを各種溶媒50mlに加え、表1に示すような各種塩基を種々の当量加え、種々の反応温度、時間、反応条件を設定して反応を行った。脱水装置は溶媒がトルエンの場合はDean-Stark脱水装置を用い、それ以外はモレキュラーシーブス4A塔を設置して脱水した。得られた反応溶液を薄層クロマトグラフィーにスポットし、酢酸エチル/n-ヘキサン(1/1)の溶媒で展開し、出発原料のオキシインドールと生成物である化合物(3a)のUV吸収スポットの面積を比較することにより反応が有意に進行したかどうかを確認した。UVランプにはENF-260C/J(スペクトロニクス社製)を用い、波長254nmにおいて測定を行った。結果は、下記指標で判断した。結果を表1に示す。
【0029】
A:化合物(3a)のスポット>>出発原料のスポット
(化合物(3a)のスポットがほとんどで出発原料のスポットは痕跡程度)
B:化合物(3a)のスポット>出発原料のスポット
(化合物(3a)と出発原料のスポットの面積比が3:2程度)
C:化合物(3a)のスポット=出発原料のスポット
(化合物(3a)と出発原料のスポットの面積比が同程度)
D:化合物(3a)のスポット<出発原料のスポット
(化合物(3a)と出発原料のスポットの面積比が2:3程度)
E:化合物(3a)のスポット<<出発原料のスポット
(化合物(3a)のスポットは痕跡程度で出発原料のスポットがほとんど)
n.r.:反応せず
【0030】
【表1】
【0031】
表1から明らかなように、本発明方法(試験1、2及び3)は、特表平7−508743号公報に開示された方法(試験7及び8)、ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(J. Med. Chem.), 8, 626(1965)等に記載の方法(試験10及び11)に比して、非常に優れていることが確認された。
これらの結果及び表1に示すその他の塩基、溶媒、反応条件の検証より、塩基としてのアルカリ金属水酸化物、溶媒としてのトルエン又はt-アミルアルコール、及び脱水還流下での反応を組合せることにより、オキシインドール化合物を極めて有利に製造することができることが確認された。
【0032】
【発明の効果】
本発明の3-(ジアリールメチレン)オキシインドール誘導体の製造方法は、安全性及び経済性に優れ、簡便かつ効率的であり、工業的に極めて有用である。
Claims (3)
- 一般式(2)中のR1及びR2が置換基として低級アルキル基又は低級アルコキシ基を有してもよいフェニル基であるケトン類と、アルカリ金属水酸化物として水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムを用いる請求項1記載の3-(ジアリールメチレン)オキシインドール誘導体の製造方法。
- オキシインドールと、一般式(2)中のR1及びR2がトリル基又はメトキシフェニル基であるケトン類を用いる請求項2記載の3-(ジアリールメチレン)オキシインドール誘導体の製造方法。
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