JP3696117B2 - ノイズの可視化システム及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、イミュニティ試験において測定されたノイズの可視化を行うノイズ可視化システム及びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、プリント基板等は製品内部に配置されているが、製品の筐体や製品内の他の基板等との容量結合、電磁結合又は外来電磁波等の外部からの妨害によって誤動作する場合がある。自動車のエンジン制御ユニットに用いられるようなプリント基板等において、このような誤動作が発生することは致命的である。
【0003】
したがって、重要な機能を担っているプリント基板等では、事前に外部からの妨害によって誤動作が発生しないように確認する必要があり、誤動作する可能性が見出された場合には、誤動作が発生しないように設計変更等を行う必要がある。このような、プリント基板等が、外部からの妨害によって性能劣化することなく、これらに耐えることができる能力のことをイミュニティ又はEMS(Electromagnetic Susceptibility)と言い、最近このような耐性を測定するためのイミュニティ試験が行われるようになってきている。
【0004】
イミュニティ試験の1つの方法として、TEMセル法がある。図1を用いてTEMセル法について説明する。
図1にはTEMセル法による試験装置10が図示されている。図1において12はシールド、13は入力、14は終端抵抗、15はドア、16はソケットパネル、17は絶縁体、18はプリント基板等の試験対象物である。所定の入力装置(図示せず)から試験装置10の入力13に電力が供給されることによって、シールド12内に所定の電界が生じるように構成されている。試験対象物18は、ドア15を通して内部の絶縁体17上に設置され、ドア15を閉じてもソケットパネル16を通じて外部と接続されるように構成されている。ソケットパネル16を経由して試験対象物18へは、試験対象物18を動作させるための電力が供給され、また試験対象物18が通常動作する場合の入力信号を送ることができ、さらに試験対象物18からの出力信号を検出できるように構成されている。
【0005】
TEMセル法では、試験対象物18をシールド12内で動作させながら、シールド12内に種々の電界を発生させ、試験対象物18及びワイヤ・ハーネスを発生された電界にさらしている。そして、そのような外部からの妨害が存在する状況で、試験対象物18の動作状態を監視して、試験対象物18の耐性を測定するものである。
【0006】
しかしながら、TEMセル法では、試験対象物18が誤動作をした場合に、試験対象物18のどの部分が原因で誤動作をしているのかを特定することが難しかった。したがって、誤動作をしないような試験対象物18、例えばプリント基板を設計するには、トライ・アンド・エラーを繰り返し、いままでの経験に基づいて不良箇所を特定して、改良を加える必要があった。
【0007】
イミュニティ試験の別の方法として、アンテナ照射法がある。図2を用いてアンテナ照射法について説明する。
図2には、電波暗室20内に配置されたアンテナ21と試験対象物22が図示されている。23は電波吸収材料からなる突起であり、電波暗室20内の床を除いた全ての面に隙間無く配置されている。また、24は試験対象物22の設置台である。なお、アンテナ21も図示しない所定の設置台に固定されている。所定の入力装置(図示せず)によってアンテナ21から電磁放射が行われるように構成されている。また、試験対象物22は、電波暗室20の外部にある測定装置(図示せず)と信号線で接続されており、信号線を通じて試験対象物22を動作させるための電力が供給され、また試験対象物22が通常動作する場合の入力信号を送ることができ、さらに試験対象物22からの出力信号を検出できるように構成されている。
【0008】
アンテナ照射法では、アンテナ21から種々の電磁放射を行い、電磁放射に試験対象物22及びワイヤ・ハーネスをさらしている。そして、そのような外部からの妨害が存在する状況で、試験対象物22の動作状態を監視して、試験対象物22の耐性を測定するものである。
アンテナ照射法では、TEMセル法と同様に、試験対象物22が誤動作をした場合に、試験対象物22のどの部分が原因で誤動作をしているのかを特定することが難しかった。したがって、誤動作をしないような試験対象物22、例えばプリント基板を設計するには、トライ・アンド・エラーを繰り返し、いままでの経験に基づいて不良箇所を特定して、改良を加える必要があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このような従来例が有する欠点を補ったものであり、ノイズ注入方によりイミュニティ試験を模擬し、試験対象物のどの部分が外部からの電磁波妨害に対して汚染されているのか(汚染経路)を容易に特定することができるイミュニティ設計対応のための新たなノイズ設計支援システム及び方法を提供しようとするものである。
【0010】
また、本発明の目的は、イミュニティ設計対応のための安価で且つ小スペースな新しいノイズ設計支援システム及び方法を提供しようとするものである。
さらに、本発明の目的は、容易に試験対照物へノイズの注入が可能なイミュニティ設計対応のための新たなノイズ設計支援システム及び方法を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係わるノイズ可視化システムは、試験対象物に高周波信号を印加するための信号発生手段と、試験対象物から発生するノイズを検知するためのアンテナ手段と、アンテナ手段により検知されたノイズを可視化し且つ試験対象物から検知したノイズのレベルを測定するための可視化手段と、レベルを予め設定された閾値と比較する比較手段と、比較手段による比較結果に応じて高周波信号の出力レベルを調整する出力調整手段とを有することを特徴とする。
【0012】
さらに、可視化手段は、アンテナ手段により検知されたノイズの電圧レベルを測定するための測定手段を有することが好ましい。
さらに、調整手段は、出力レベルを調整することによって、試験対象物に注入される注入電流を調整することが好ましい。
さらに、高周波信号を試験対象物に印加するための接続部を有することが好ましく、接続部は、注入ピン及び注入ピンと接続可能なコネクタピン、注入ピン及び注入ピンと接続可能なT字型コネクタピン、又はコネクタピンとコネクタピンに接続可能な二股部を有する注入ピンを有することが好ましい。
【0013】
さらに、注入ピンは、二股部を前記コネクタピンに圧入する、又は二股部に取り付けられたネジ部によって、コネクタピンを前記二股部に固定することが好ましい。
また、試験対象物に高周波信号を印加するための信号発生手段、試験対象物から発生するノイズを検知するためのアンテナ手段、及びアンテナ手段により検知されたノイズを可視化するための可視化手段とを有するシステムにおけるノイズ可視化方法は、可視化手段によって試験対象物から検知したノイズのレベルを測定するステップと、レベルを予め設定された閾値と比較するステップと、比較結果に応じて高周波信号の出力レベルを調整する調整ステップとを有することを特徴とする。
【0014】
また、試験対象物に高周波信号を印加するための信号発生手段、試験対象物から発生するノイズを検知するためのアンテナ手段、及びアンテナ手段により検知されたノイズを可視化するための可視化手段とを有するシステムにおけるノイズ可視化方法は、試験対象物の入力インピーダンスを測定するステップと、入力インピーダンスに応じて前記高周波信号の出力レベルを調整する調整ステップとを有することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明の実施形態であるノイズ注入方によるイミュニティ試験を模擬したノイズ可視化システムの原理について簡単に説明する。
試験対象物であるプリント基板等が誤動作する原因としては、上述したように、製品の筐体や製品内の他の基板等との容量結合、電磁結合又は外来電磁波等の外部からの妨害が考えられる。しかしながら、そのもっとも大きい原因は、試験対象物と他の基板とを結ぶワイヤ・ハーネスを介して、又はワイヤ・ハーネスをアンテナとして、注入される高周波ノイズである。
【0016】
したがって、本発明では、TEMセル法やアンテナ照射法のように試験対象物全体を所定の環境下に置かず、試験対象物のインタフェース等を介して直接高周波ノイズを注入することにより、試験対象物の誤動作周波数を外部チェッカ等で確認しながら、注入されたノイズが試験対象物のどの部分から多く発生しているかを検出器によって検出して可視化し、試験対象物のノイズが多く発生している部分ではノイズの影響によって誤動作が起きる可能性が高いと判断するものである。
【0017】
次に、図3を用いて、本発明の実施形態であるノイズ注入方によるイミュニティ試験を模擬したノイズの可視化システム30について説明する。
31は制御用パーソナルコンピュータ、32は信号発生器、33は信号増幅器(高周波アンプ)、34はスペクトラム・アナライザであり、32、33及び34は制御用パーソナルコンピュータ30とバス35によって接続されている。ここで、上記信号発生器32、信号増幅器33及びスペクトラム・アナライザ34は、バス35を介して制御用パーソナルコンピュータ31によって制御されている。
【0018】
41はノイズ可視化用パーソナルコンピュータ、42はスペクトラム・アナライザ、43はノイズ可視化用アンテナであり、それぞれバス44及び45によりノイズ可視化用パーソナルコンピュータ41と接続されている。また、ノイズ可視化用アンテナ43の出力は、スペクトラム・アナライザ42と通信ケーブルにより接続されている。
【0019】
ここで、スペクトラム・アナライザ42は、バス44を介してノイズ可視化用パーソナルコンピュータ41によって制御及び測定値の取込み等が行われるようになっている。さらに、スペクトラム・アナライザ42の電圧レベルの測定値は、バス50を介して制御用パーソナルコンピュータ31から取り込めるように構成されている。
【0020】
なお、本実施形態では、制御用パーソナルコンピュータ31とノイズ可視化用パーソナルコンピュータ41を別々に設けたが、1つのパーソナルコンピュータ等で兼用させても良い。
ノイズ可視化用アンテナ43の上には、試験対象物であるプリント基板38が置かれており、プリント基板38のインタフェース39にはワイヤ・ハーネス40が接続されている。通常インタフェース39には、複数の信号ラインがあるが、ワイヤ・ハーネス40は、それらの信号ラインの全てと接続されていても良いし、特定の信号ラインとのみ接続されていても良い。なお、特定の信号ラインとのみ接続されている場合には、その信号ラインにのみ後述する方法で高周波ノイズが注入されることとなる。
【0021】
プリント基板38とそのインタフェース39を介して接続されたワイヤ・ハーネス40には、モニタ・プローブ36及びインジェクション・プローブ37が接続されている。さらに、モニタ・プローブ36とスペクトラム・アナライザ34は通信線で接続されており、インジェクション・プローブ37と信号増幅器33は信号線51によって接続されている。
【0022】
なお、図3に示すノイズ可視化システムにおいて、制御用パーソナルコンピュータ31、信号発生器32、信号増幅器33及びスペクトラム・アナライザ34、またノイズ可視化パーソナルコンピュータ41及びスペクトラム・アナライザ42は、試験測定の信頼性向上のために、プリント基板38、ワイヤ・ハーネス40、ノイズ可視化用アンテナ43とは隔離された場所に配置することが望ましい。図4は、ノイズ可視化用アンテナ43上の設置されたプリント基板38を上方から見た図である。ノイズ可視化測定の対象物であるプリント基板38は、ノイズ可視化用アンテナ43のスキャンエリアS上に配置されている。スキャンエリアSには、2000個(50個×40個)の微小アンテナ素子が設けられており、それぞれの微小アンテナが試験対象物から発する高周波ノイズを検知することができるように構成されている。
【0023】
次に、ノイズ可視化システム30を用いたのノイズ可視化測定について説明する。
まず、信号発生器32によって所定の高周波信号を発生させる。発生された高周波信号は信号増幅器33によって増幅され、インジェクション・プローブ37に印加される。ワイヤ・ハーネス40とカップリングしたインジェクション・プローブ37は、電磁誘導により、印加された高周波信号に応じた高周波ノイズをハーネス40に重畳させる。この場合、ワイヤ・ハーネス40への重畳は、全ワイヤへの重畳又は、個々のワイヤ・ハーネスへの重畳のどちらでも良い。特定ラインのみのノイズ汚染が知りたい場合には、個々のワイヤへの個別注入が有効である。重畳された高周波ノイズは、ワイヤ・ハーネス40、及びインタフェース39を介してプリント基板38内に注入される。
【0024】
本実施形態では、インジェクション・プローブ37によってワイヤ・ハーネス40に重畳された高周波ノイズをモニタ・プローブ36によって検出し、モニタ・プローブ36からスペクトラム・アナライザ34を介して制御用パーソナルコンピュータ31で再確認している。
信号発生器32及び信号増幅器33によって発生された高周波信号に応じた高周波ノイズが注入されると、所定の回路パターン、素子等を介して高周波ノイズが侵入し、プリント基板38から外部へ放射される。このようにしてプリント基板38の外部へ放射された高周波ノイズは、ノイズ可視化用アンテナ43の微小アンテナ素子によって検出される。
【0025】
検出された放射は、検出信号としてスペクトラム・アナライザ42で測定され、バス44を介してノイズ可視化用パーソナルコンピュータへ送られる。ノイズ可視化用パーソナルコンピュータでは、受取った検出信号に所定の画像処理を施す。これによって、ノイズ可視化用パーソナルコンピュータ41のモニタ(図示せず)上又はノイズ可視化用パーソナルコンピュータ31からのプリント出力によって、プリント基板からのノイズ(外来電磁波の汚染経路)が可視化されることとなる。
【0026】
信号発生器32において発生される高周波信号は、20〜1000MHzの周波数範囲内であることが望ましい。また、1回のノイズ可視化測定では1つの高周波ノイズしか注入することができないので、ノイズ可視化測定は複数種類の高周波ノイズを注入するようにして行われることが望ましい。経験上、プリント基板のタイプによって誤動作の発生しやすい高周波ノイズの種類が異なっているからである。
【0027】
なお、試験対象物であるプリント基板に対して、特に誤動作を発生し易い高周波ノイズの種類が当初から判明していない場合には、高周波ノイズの種類及び周波数を徐々に変化させて、試験対象物の誤動作を外部チェッカ等で確認しながら、ノイズ可視化を繰り返すことも可能であるが、前述したTEMセル法やアンテナ照射法によって、誤動作が起こりやすい高周波ノイズの種類を予め特定しておき、その後本発明の実施形態に係わるノイズ可視化測定を行っても良い。
【0028】
図5は、可視化用アンテナ43からの検出信号のうちプリント基板38の近傍のものを、ノイズ可視化用パーソナルコンピュータ41が画像処理してモニタ上に得られた可視化サンプルである。図5では、可視化用アンテナ43の微小アンテナ素子の位置に対応つけて、検出した高周波ノイズの強度を3段階で表している。なお、検出した高周波ノイズを可視化する方法は、図5に示されるものに限られるものではなく、公知の種々の方法が採用できる。
【0029】
図5の上方部には、右から左に渡って、高い強度を有する領域があることが分かる。すなわち、プリント基板38上でこの領域に対応する箇所から、注入された高周波ノイズが大量に放出されていることとなる。すなわち、この箇所には高周波ノイズが侵入し易く、従ってこの箇所に存在する回路素子は高周波ノイズの影響を受け易い。言いかえると、このプリント基板38が実際の製品中で機能している場合(例えば自動車のエンジン制御ユニットとして機能している場合)に、このノイズ可視化測定で注入された高周波ノイズと同様のノイズが何らかの原因で発生すると、図5の上方部に対応した箇所付近のパターン及び素子を原因とする誤動作が発生する可能性が高いこととなる。
【0030】
このように、本発明の実施形態に係わるノイズ可視化システム30を用いて、予めノイズ可視化測定を行うことで、試験対象物であるプリント基板等が予想される電磁環境下において誤動作しないかどうかを確認する。そして、誤動作する可能性を見出した場合には、対象となる高周波ノイズに対して誤動作が発生しないように、可視化によって特定された箇所を中心に、回路パターンの変更や素子自体の変更を行うこととなる。なお、コンピュータがこのような可視化情報を基にその試験対象物の誤動作を検出し、ダイアグ情報を外部に表示しても良い。
【0031】
次に、上述したノイズ可視化測定の効率化について説明する。
前述したように、試験対象物38への高周波ノイズの注入は、信号増幅器33からインジェクション・プローブ37に印加された高周波信号が、ワイヤ・ハーネス40に重畳されることによって行われる。そこで、ノイズ可視化の為に、できるだけ多くの高周波ノイズをワイヤ・ハーネスに重畳させようとして(即ち、できるだけ多くの注入電流をワイヤ・ハーネスに流そうとして)、高出力の高周波信号をインジェクション・プローブ37に印加していた。その為に、非常に高出力の信号増幅機33として、高価な高周波アンプを利用していた。
【0032】
しかしながら、多くの高周波信号をワイヤ・ハーネス40に重畳させても(即ち、多くの注入電流が流しても)、少ない高周波信号をワイヤ・ハーネスに重畳させても(即ち、少ない注入電流しか流さなくても)、ノイズ可視化用アンテナ43からの出力(電圧)をスペクトラム・アナライザ42が検出することさえできれば、同様なノイズ分布を得ることが可能である。したがって、スペクトラム・アナライザ42が検出可能な電圧レベルさえ確保すれば、高出力の高周波信号を用いずに、実質的に同様なノイズ可視化測定を行うことができる。即ち、低出力の高周波信号を用い、従って、低価格且つ小型の信号増幅器を用いて、同様のノイズ可視化測定を行うことができる。
【0033】
そこで、効果的な信号増幅器33の出力を得るための第1の手順を、図6を用いて説明する。最初に、ノイズ可視化測定を行えるように、試験対象物をセットした状態で、制御用パーソナルコンピュータ31が、信号増幅器33の出力レベル(電力レベル)を予め決められた値に設定する(ステップ601)。
次に、スペクトラム・アナライザ42の検出電圧レベルを制御用パーソナルコンピュータ31が検出し(ステップ602)、記憶する(ステップ603)。
【0034】
次に、制御用パーソナルコンピュータ31は、予め設定されたノイズ可視化測定に最低限必要な電圧レベルの閾値と、ステップ602で測定された電圧レベルを比較する(ステップ604)。比較の結果、予め決められた閾値の方が検出された電圧レベルより低い場合には、ステップ605へ進み、予め決められた閾値の方が検出された電圧レベル以上の場合には、ステップ606へ進む。
【0035】
ステップ605では、制御用パーソナルコンピュータ31が、予め定められた値だけ信号増幅器33の出力レベルを低下させ、その後再度ステップ602へ進む。即ち、ステップ602で測定された電圧レベルが、予め決められた閾値以下になるまで、この手順が繰り替えされる。
ステップ606では、制御用パーソナルコンピュータ31が、ステップ603で記憶した電圧レベルになるような出力レベルに信号増幅器33の出力を設定して、実際のノイズ可視化測定が開始される(ステップ607)。
【0036】
図6に示す手順に従って、信号増幅器33の出力レベルを設定することによって、ほぼスペクトラム・アナライザ42がノイズ可視化測定に必要な最低限の電圧レベルを検出できるような高周波信号がインジェクション・プローブ37へ印加されることとなり、省電力なノイズ可視化測定を行うことが可能となる。なお、ノイズのレベルとして電圧値を採用したが、電流値や電力値を採用しても良い。
【0037】
次に、効果的な信号増幅器の出力を得るための第2の手順を、図7を用いて説明する。最初に、操作者が、試験対象物38の入力インピーダンスを不図示の測定装置によって測定する(ステップ701)。
次に、測定されたインピーダンスに基づいて、予め作成されているインピーダンスと出力レベル対応テーブルから信号増幅器33の出力レベルを求める(ステップ702)。例えば、インピーダンスと出力レベル対応テーブルは、試験対象物38の入力インピーダンスが50Ωの場合、ワイヤ・ハーネス40に注入される注入電流は5mAである等が記載されているデータ表である。テーブルは、制御用パーソナルコンピュータ31に予め記憶されていることが好ましい。
【0038】
次に、ステップ702で求めた注入電流になるように、信号増幅器33の出力レベル(電力レベル)を設定して(ステップ703)、その後ノイズ可視化測定を開始する(ステップ704)。
図7に示す手順に従って、信号増幅器33の出力レベルを設定することによって、ほぼスペクトラム・アナライザ42がノイズ可視化測定に必要な最低限の電圧レベルを検出できるような高周波信号がインジェクション・プローブ37へ印加されることとなり、省電力なノイズ可視化測定を行うことが可能となる。
【0039】
次に図8を用いて、ワイヤ・ハーネス40への効果的なノイズ注入のための他の方法について説明する。上述した例では、信号増幅器33によって増幅された高周波信号を、ワイヤ・ハーネス40とカップリングしたインジェクション・プローブ37に印加し、電磁誘導により高周波信号に応じた高周波ノイズをワイヤ・ハーネス40に重畳させていた。これに対して図8の例では、ワイヤ・ハーネス40に直接ノイズ信号を注入させるように構成している。
【0040】
図8の例では、試験対象物38であるプリント基板のインタフェース39と、インタフェース39に接続されている接続コネクタ39’との間に、接続部を設け、接続部においてワイヤ・ハーネス40のうちの1本に直接信号増幅器33から信号線51を介してノイズ信号を注入するものである。接続部は、インタフェース39側コネクタ100、コネクタ39’側ソケット102、コネクタピン53、コネクタピン53とコネクタ100を接続する信号線101、コネクタピン53とソケット102とを接続する信号線103、及び信号線51と結合し且つコネクタピン53と接続する注入ピン52から構成されている。ワイヤ・ハーネス40の各信号線の全てにコネクタピン53が接続されていても良いし、ノイズ信号を注入したい信号線にのみ対応させてコネクタピン53を設けも良い。
【0041】
信号増幅器33からの高周波ノイズを注入する場合には、ノイズを注入したいワイヤ・ハーネス40の信号線に接続されているコネクタピン53を選択して、注入ピン31をコネクタピン53に設けられている穴に差しこむことによって行う。なお、必要に応じて、注入ピン52と信号線55との間に絶縁コンデンサを設けても良い。
【0042】
インジェクション・プローブを用いてノイズ信号をワイヤ・ハーネスに重畳させる場合は、前述したように電磁誘導作用を利用しているため、信号ロスが大きい。それに対して、ワイヤ・ハーネスに直接ノイズ信号を注入する方法は、このようなロスが少ないため更に低出力の高周波ノイズ信号を用いて、ノイズ可視化測定を行うことが可能となる。したがって、図8に示した接続部を用い、更に図6及び図7に示した手順に従って、信号増幅器33の出力を設定することにより、より一層効果的なノイズ可視化測定を行うことが可能となる。
【0043】
図9〜図12に、他の接続部の例を示す。
図9は、コネクタピン54に、穴ではなく注入ピン52が差し込める円柱状の受部を設けた例である。
図10は、T字型接続コネクタピン56の突部に、突部と合致した形状の注入ピン55が接続するように構成した例である
図11は、円柱状のコネクタピン58に、先端部が二股状の注入ピン57を圧入して接続させる例である。
【0044】
図12は、先端部が二股状の注入ピン59の先端部に円柱状のコネクタピン58入れ、注入ピン59に設けられたネジ60を締めることによって、コネクタピン58を注入ピン59の先端部で挟み込んで、相互の接続を図る例である。図12(b)は、ネジ60を締めて、コネクタピン58を注入ピン59の先端部で挟み込んだ状態を示している。
【0045】
【発明の効果】
このように、プリント基板から放出される高周波ノイズをノイズ可視化用アンテナによって可視化したので、プリント基板上で高周波ノイズが注入される経路や、誤動作が発生する可能性の高い領域、配線パターン、素子等を明確にすることが可能となった。また、注入するワイヤ・ハーネスを個々に選定し、個別注入させることで、特定の部位のみの汚染経路がわかり、誤動作発生箇所を絞り込む精度を上げることができる。したがって、イミュニティ試験前(場合によっては後)に、そのような誤動作が発生しない回路に設計変更する場合に、従来のトライ・アンド・エラー方式を採用する必要が無くなり、設計の効率化及び試験工数の削減が図られることとなった。
【0046】
また、信号増幅器の出力レベルを設定することによって、ノイズ可視化測定に必要な最低限の電圧レベルを検出できるような高周波信号が印加されることとなり、省電力なノイズ可視化測定を行うことが可能となった。
さらに、ワイヤ・ハーネスに直接ノイズ信号を注入する場合には、ノイズ信号を注入する際の信号ロスが少ないため、更に低出力の高周波ノイズ信号を用いて、ノイズ可視化測定を行うことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術における試験方法の概略を示す図である。
【図2】別の従来技術における試験方法の概略を示す図である。
【図3】本発明に係わるノイズ可視化システムの概略を示す図である。
【図4】本発明に係わるノイズ可視化システムの一部を拡大した図である。
【図5】本発明に係わるノイズ可視化システムによって可視化されたノイズの例を示す図である。
【図6】出力レベルを調整するための手順を示した図である。
【図7】出力レベルを調整するための他の手順を示した図である。
【図8】ノイズを注入するための接続部の概略を示した図である。
【図9】ノイズを注入するための接続部の他の例を示した図である。
【図10】ノイズを注入するための接続部の更に他の例を示した図である。
【図11】ノイズを注入するための接続部の更に他の例を示した図である。
【図12】ノイズを注入するための接続部の更に他の例を示した図である。
【符号の説明】
10…TEMセル法における試験装置
20…アンテナ照射法における電波暗室
30…ノイズ可視化システム
31…制御用パーソナルコンピュータ
32…信号発生器
33…信号増幅器
34…スペクトラム・アナライザ
36…モニタ・プローブ
37…インジェクション・プローブ
38…試験対象物
39…インタフェース
40…ワイヤ・ハーネス
41…可視化用パーソナルコンピュータ
42…スペクトラム・アナライザ
43…可視化用アンテナ
53、54、56、58…コネクタピン
52、55、57、59…注入ピン
Claims (19)
- ノイズ可視化システムにおいて、
試験対象物に高周波信号を印加するための信号発生手段と、
前記試験対象物から発生するノイズを検知するためのアンテナ手段と、
前記アンテナ手段により検知されたノイズを可視化し、前記試験対象物から検知したノイズのレベルを測定するための可視化手段と、
前記レベルを予め設定された閾値と比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果に応じて前記高周波信号の出力レベルを調整する出力調整手段とを有することを特徴とするノイズの可視化システム。 - 前記可視化手段は、前記アンテナ手段により検知されたノイズの電圧レベルを測定するための測定手段を有する請求項1に記載のノイズの可視化システム。
- 前記力記調整手段は、前記出力レベルを調整することによって、前記試験対象物に注入される注入電流を調整する請求項1に記載のノイズの可視化システム。
- 前記高周波信号を前記試験対象物に印加するための接続部を更に有する請求項1〜3の何れか一項に記載のノイズの可視化システム。
- 前記接続部は、注入ピン及び前記注入ピンと接続可能なコネクタピンを有する請求項4に記載のノイズの可視化システム。
- 前記接続部は、注入ピン及び前記注入ピンと接続可能なT字型コネクタピンを有する請求項4に記載のノイズの可視化システム。
- 前記接続部は、コネクタピンと前記コネクタピンに接続可能な二股部を有する注入ピンを有する請求項4に記載のノイズの可視化システム。
- 前記注入ピンは、前記二股部を前記コネクタピンに圧入する請求項7に記載の前記ノイズ可視化システム。
- 前記注入ピンは、前記二股部に取り付けられたネジ部によって、前記コネクタピンを前記二股部に接続する請求項7に記載のノイズ可視化システム。
- 試験対象物に高周波信号を印加するための信号発生手段、前記試験対象物から発生するノイズを検知するためのアンテナ手段、及び前記アンテナ手段により検知されたノイズを可視化するための可視化手段とを有するシステムにおけるノイズ可視化方法であって、
前記可視化手段によって前記試験対象物から検知したノイズのレベルを測定するステップと、
前記レベルを予め設定された閾値と比較するステップと、
前記比較結果に応じて前記高周波信号の出力レベルを調整する調整ステップとを有することを特徴とするノイズの可視化方法。 - 試験対象物に高周波信号を印加するための信号発生手段、前記試験対象物から発生するノイズを検知するためのアンテナ手段、及び前記アンテナ手段により検知されたノイズを可視化するための可視化手段とを有するシステムにおけるノイズ可視化方法であって、
前記試験対象物の入力インピーダンスを測定するステップと、
前記入力インピーダンスに応じて前記高周波信号の出力レベルを調整する調整ステップとを有することを特徴とするノイズの可視化方法。 - 前記可視化手段は、前記アンテナ手段により検知されたノイズの電圧レベルを測定するための測定手段を有する請求項10又は11に記載のノイズの可視化方法。
- 前記調整ステップは、前記出力レベルを調整することによって、前記試験対象物に注入される注入電流を調整する請求項10又は11に記載のノイズの可視化方法。
- 前記高周波信号を前記試験対象物に印加するための接続部を更に有する請求項10〜14の何れか一項に記載のノイズの可視化方法。
- 前記接続部は、注入ピン及び前記注入ピンと接続可能なコネクタピンを有する請求項14に記載のノイズの可視化方法。
- 前記接続部は、注入ピン及び前記注入ピンと接続可能なT字型コネクタピンを有する請求項14に記載のノイズの可視化方法。
- 前記接続部は、コネクタピンと前記コネクタピンに接続可能な二股部を有する注入ピンを有する請求項14に記載のノイズの可視化方法。
- 前記注入ピンは、前記二股部を前記コネクタピンに圧入する請求項17に記載の前記ノイズ可視化方法。
- 前記注入ピンは、前記二股部に取り付けられたネジ部によって、前記コネクタピンを前記二股部に固定する請求項17に記載のノイズ可視化方法。
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