JP3695825B2 - 無芯トイレットペーパーロール製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、中心部に芯が無く中空部分を有する無芯トイレットペーパーロールを製造する無芯トイレットペーパーロール製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の無芯トイレットペーパーロール製造装置としては、2本の平行な駆動ロール上で回転駆動される巻軸にトイレットペーパーを供給し、ライディングロールで加圧しつつ巻取り、所望の長さを巻取って形成したトイレットペーパーロールから前記巻軸を抜取ることにより中心部に芯が無く中空部分を有する無芯トイレットペーパーロールを製造する形式のものが知られている。
【0003】
しかしながら、上記のような形式の無芯トイレットペーパーロール製造装置では、単にトイレットペーパー巻取と巻軸抜取を行うと、トイレットペーパーロールの中空部分が内向きに加わる収縮力のために潰れてしまい、通常のトイレットペーパーホルダーの支持軸が差し込めなくなってしまう。
【0004】
そこで、例えば特開平3−147661号公報に開示された発明のように、接着剤液をトイレットペーパーに噴霧するための噴霧装置をトイレットペーパーの巻取部分に設けておき、巻始めの工程においてこの噴霧装置からトイレットペーパーに接着剤液を噴霧し、トイレットペーパーロールの中心部分を固めることにより、巻軸抜取後の中空部分の潰れを防止する対策などが行われていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように接着剤液を噴霧してトイレットペーパーロールの中心部分を固める形式の無芯トイレットペーパーロール製造装置では、下記のような問題が生ずる。
▲1▼ 製造装置の周囲に空気の流れがある場合には、噴霧に際し、接着剤液が周囲に飛散する。このため、接着剤液が周辺の各種機器に付着するほか、トイレットペーパーの巻取時に不可避的に発生する「紙粉」が接着剤液の付着部分に2次的に付着することにより、精密な巻取動作の妨げとなったり、周辺機器の故障を招く場合がある。
▲2▼ 巻始め工程が終了した後、連続的に次の巻取工程に移行しても、直ちに接着剤噴霧を停止できず、余分な接着剤を付与してしまう場合がある。
▲3▼ 接着剤噴霧を停止した後、ノズル先端から接着剤液がボタ落ちする場合があるため、噴霧装置の設置位置を十分考慮する必要がある。
【0006】
本発明は、上述したような問題点を解決するためになされたものであり、本発明の解決しようとする課題は、トイレットペーパーや周辺環境に悪影響を及ぼすことがなく必要かつ十分な接着剤液をトイレットペーパーに付与し得る無芯トイレットペーパーロール製造装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係る無芯トイレットペーパーロール製造装置は、2本の平行な駆動ロール上で回転駆動される巻軸にトイレットペーパーを供給し、ライディングロールで加圧しつつ巻取り、所望の長さを巻取って形成したトイレットペーパーロールから前記巻軸を抜取ることにより中心部に芯が無く開孔を有する無芯トイレットペーパーロールを製造する無芯トイレットペーパーロール製造装置において、前記ライディングロールを、水又は接着液を給液可能でかつ周面に透孔を多数開設した中空な軸部と、前記供給されるトイレットペーパーに接触可能で前記軸部に外嵌されかつ前記水又は接着液を浸透可能な微細空隙を有するロール部により構成し、前記トイレットペーパーの巻始めの工程において、前記軸部に前記水又は接着液を給液し、前記透孔を介して前記ロール部内に浸透させることにより、前記ロール部の表面に滲み出させ、前記供給されるトイレットペーパーに前記水又は接着液を付与しトイレットペーパーロールの中心部を固めるとともに、トイレットペーパーロールの中心部に前記水又は接着液が付与された後は、前記ロール部の表面に滲み出した水又は接着液を前記軸部内へ回収し、以後は水又は接着液の付与は行われず、前記ライディングロールは、トイレットペーパーロールの巻取り動作のみを行うことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る無芯トイレットペーパーロール製造装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
図1(A)は、本発明の第1実施形態である無芯トイレットペーパーロール製造装置101の構成を示す側面図である。
図に示すように、この無芯トイレットペーパーロール製造装置101は、2本の平行な駆動ロール2,3と、駆動ロール2,3の上方に設けられるライディングロール4Aと、駆動ロール2,3とライディングロール4Aの間に載せられる巻軸1を備えて構成されている。
【0010】
巻軸1は、金属等からなり、従来の紙筒芯とほぼ同じ外径、例えば直径3.8cm程度の細径の円筒状に形成されている。駆動ロール2,3は、大径の円柱状に形成されている。
【0011】
図1(B)及び図1(C)は、ライディングロール4Aのさらに詳細な構成を示した図であり、図1(B)は縦断面図を、図1(C)は横断面図を、それぞれ示している。
【0012】
図1(B)及び図1(C)に示すように、ライディングロール4Aは、軸部11とロール部12を有して構成されている。
軸部11は、内部に空洞部15bを有する中空の円筒体であり、その周面には多数の透孔16が開設されている。軸部11の両端には、軸受部13a,13bが取り付けられている。軸受部13aは、内部に空洞部15aを有する中空円筒体であり、軸受部13a内部の空洞部15aと軸部11内部の空洞部15bは、開口15cにより連通している。また、軸受部13bは、中実な円柱体であり、軸部11内部の空洞部15bの他端を閉塞している。
【0013】
また、軸部11の両端付近の外周には、略リング状の側板14a,14bが取り付けられている。これらの側板14a,14bの形成する凹部内にロール部12が外嵌されている。
ロール部12は、スポンジを厚肉円筒状に成形したものであり、内部に微細な空隙を有している。これらの空隙は相互に連通しており、ロール部12の内壁部と外壁部との間に微小な毛細管12pが形成されている。
【0014】
上記した軸受部13aには、ホース(図示せず)を介してポンプ(図示せず)やシリンダー等(図示せず)が取り付けられ、液体を軸部11の空洞部15b内へ給液することができるように構成されている。軸部11の空洞部15b内へ給液された液体は、軸部11の周面に設けられた多数の透孔16を介してロール部12内に入り、毛細管現象によりロール部12内の毛細管12pを浸透し、ロール部12の表面に滲み出すようになっている。
【0015】
次に、上記した無芯トイレットペーパーロール製造装置101の作用について説明する。
まず、巻軸1を駆動ロール2,3の上に載置し、巻軸1の上にライディングロール4Aを載せて加圧する。その後、トイレットペーパーPを巻軸1に供給しつつ駆動ロール2,3を図1(A)の矢印方向へ回転駆動することにより、巻軸1も図1(A)の矢印方向へ回転し、巻軸1の外周にトイレットペーパーPがライディングロール4Aによって加圧されながら固く巻付けられる。
【0016】
上記したトイレットペーパーPの巻始めの工程において、ポンプ(図示せず)やシリンダー等(図示せず)からホース(図示せず)を介して接着液を軸部11の空洞部15b内へ給液する。この接着液は、軸部11の透孔16を介してロール部12内に浸透した後、ロール部12の表面に滲み出し、供給されるトイレットペーパーPに接着液が付与され、これによりトイレットペーパーロールRの中心部が固められる。
【0017】
トイレットペーパーロールRの中心部に所定の接着液が付与された後は、上記したポンプ(図示せず)やシリンダー等(図示せず)を逆に作動させて接着液を吸引し、ロール部12の表面に滲み出した接着液を軸部11内などへ回収する。これにより、以後は接着液の付与は行われず、ライディングロール4Aは、トイレットペーパーロールRの巻取り動作のみを行う。
【0018】
その後、巻取り形成されたトイレットペーパーロールRの外径が、例えば11.5cmに達した場合には、カッター(図示せず)等によりトイレットペーパーPの供給を止め、トイレットペーパーPの端部をトイレットペーパーロールRに接着して巻付けを停止し、トイレットペーパーロールRを装置から取り出す。その後、トイレットペーパーロールRから巻軸1を抜き取ることにより、無芯トイレットペーパーロールが形成される。
【0019】
このようにして無芯トイレットペーパーロールを形成すると、トイレットペーパーロールの中心部が接着液で固められているので、巻軸1を抜取っても、トイレットペーパーロールの中心部が内向きに加わる収縮力を支持し、巻軸1を抜取ったあとの中空部分が潰れずに残り、この中空部分に通常のトイレットペーパーホルダーの支持軸を差し込んで使用することができる。
【0020】
また、接着液の付与とその停止は、ポンプ(図示せず)の正転又は逆転等によって制御することができるから、トイレットペーパーPの巻始め工程が終了した後に連続的に次の巻取工程に移行しても、直ちに接着液付与を停止することができ、余分な接着液を付与してしまうということがない。
さらに、接着液は、ロール部12の表面から滲み出る程度であるので、接着液がボタ落ちする、というような不都合も生じない。
【0021】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図2(A)及び図2(B)は、本発明の第2実施形態である無芯トイレットペーパーロール製造装置(図示せず)に用いるライディングロール4Bの詳細な構成を示した図であり、図2(A)は縦断面図を、図2(B)は横断面図を、それぞれ示している。
【0022】
図2(A)及び図2(B)に示すように、ライディングロール4Bは、軸部11と、ロール部12と、スペーサ17を有して構成されている。このライディングロール4Bが上記した第1実施形態のライディングロール4Aと異なる点は、軸部11とロール部12との間に、複数のスペーサ17を設けた点である。このスペーサ17は、軸方向に細長い板状部材であり、軸部11の外周面に等間隔で配置される。ロール部12は、これらのスペーサ17上に外嵌される。したがって、軸部11とロール部12の間には、スペーサ17が配置された部分と、空間となった空室部18が複数個設けられる。
【0023】
このように構成すると、トイレットペーパーPの巻始めの工程において接着液を軸部11からロール部12へ浸透させる場合、あるいは、トイレットペーパーロールRの中心部を接着液で固めた後にロール部12の表面の接着液を吸引回収する場合において、空室部18を接着液の一時貯留空間とすることができる。このため、接着液をロール部12の表面から出し入れするための時間を短縮することが可能となり、接着液の付与、吸引の制御をきめ細かく行うことが可能となる。
【0024】
上記各実施形態において、トイレットペーパーPの巻始めの工程に付与する接着液としては、ポリビニールアルコール(PVA)の0.5%水溶液、メチルセルロース(MC)の0.5%水溶液、アクリル系接着剤の0.01〜0.05%水溶液などが好ましい。
【0025】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0026】
例えば、上記した実施形態においては、トイレットペーパーの巻始めの工程においてライディングロールの表面から接着液を付与する例について説明したが、本発明はこれには限定されず、トイレットペーパーの巻始めの工程においてライディングロールの表面から水を付与してもよい。このようにしても、トイレットペーパーロールの中心部を固めることができる。
【0027】
また、上記した第2実施形態においては、軸部11とロール部12との間に、別体のスペーサ17を複数個設けた例について説明したが、本発明はこれには限定されず、スペーサを軸部と一体化させ、軸部の外周面に軸方向に伸びる凹凸を設け、その凹部を「空室部」として接着液や水等を溜めるように構成してもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、無芯トイレットペーパーロール製造装置のライディングロールを、水又は接着液を給液可能でかつ周面に透孔を多数開設した中空な軸部と、供給されるトイレットペーパーに接触可能で軸部に外嵌されかつ水又は接着液を浸透可能な微細空隙を有するロール部により構成したので、トイレットペーパーの巻始めの工程において、軸部に水又は接着液を給液し、透孔を介してロール部内に浸透させることにより、ロール部の表面に滲み出させ、供給されるトイレットペーパーに水又は接着液を付与しトイレットペーパーロールの中心部を固めることができ、巻軸を抜取っても、固められたトイレットペーパーロールの中心部が内向きに加わる収縮力を支持するので、巻軸抜取後の中空部分が潰れずに残り、この中空部分に通常のトイレットペーパーホルダーの支持軸を差し込んで使用することができる。また、トイレットペーパーロールの中心部に前記水又は接着液が付与された後は、前記ロール部の表面に滲み出した水又は接着液を前記軸部内へ回収し、以後は水又は接着液の付与は行われず、前記ライディングロールは、トイレットペーパーロールの巻取り動作のみを行うことができる。また、水又は接着液の付与とその停止は、ポンプの正転又は逆転等によって制御可能であり、トイレットペーパーの巻始め工程が終了した後に連続的に次の巻取工程に移行しても、直ちに水又は接着液付与を停止することができ、余分な水又は接着液を付与してしまうということがない。さらに、水又は接着液は、ロール部の表面から滲み出る程度であるので、水又は接着液がボタ落ちする、というような不都合も生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である無芯トイレットペーパーロール製造装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態である無芯トイレットペーパーロール製造装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 巻軸
2,3 駆動ロール
4A,4B ライディングロール
11 軸部
12 ロール部
12p 毛細管
13a,13b 軸受部
14a,14b 側板
15a,15b 空洞部
15c 開口
16 透孔
17 スペーサ
18 空室部
101 無芯トイレットペーパーロール製造装置
P トイレットペーパー
R トイレットペーパーロール
Claims (3)
- 2本の平行な駆動ロール上で回転駆動される巻軸にトイレットペーパーを供給し、ライディングロールで加圧しつつ巻取り、所望の長さを巻取って形成したトイレットペーパーロールから前記巻軸を抜取ることにより中心部に芯が無く開孔を有する無芯トイレットペーパーロールを製造する無芯トイレットペーパーロール製造装置において、前記ライディングロールを、水又は接着液を給液可能でかつ周面に透孔を多数開設した中空な軸部と、前記供給されるトイレットペーパーに接触可能で前記軸部に外嵌されかつ前記水又は接着液を浸透可能な微細空隙を有するロール部により構成し、前記トイレットペーパーの巻始めの工程において、前記軸部に前記水又は接着液を給液し、前記透孔を介して前記ロール部内に浸透させることにより、前記ロール部の表面に滲み出させ、前記供給されるトイレットペーパーに前記水又は接着液を付与しトイレットペーパーロールの中心部を固めるとともに、トイレットペーパーロールの中心部に前記水又は接着液が付与された後は、前記ロール部の表面に滲み出した水又は接着液を前記軸部内へ回収し、以後は水又は接着液の付与は行われず、前記ライディングロールは、トイレットペーパーロールの巻取り動作のみを行うことを特徴とする無芯トイレットペーパーロール製造装置。
- 請求項1記載の無芯トイレットペーパーロール製造装置において、前記ライディングロールのロール部は、円筒状のスポンジ部材により形成されることを特徴とする無芯トイレットペーパーロール製造装置。
- 請求項1又は請求項2記載の無芯トイレットペーパーロール製造装置において、前記ライディングロールの軸部とロール部との間に空室部を設けたことを特徴とする無芯トイレットペーパーロール製造装置。
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