JP3695619B2 - 液体封入式防振装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性ブッシュ、エンジンマウント、ドライブシャフトのセンターサパート等として用いることができる防振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液体封入式ブッシュは車両の乗り心地を高めるために採用される場合が多く、その性格上、初期静的ばね定数が2000N/mm以下のものが多い。子良き静的ばね定数が小さいと小さな入力荷重で大きな変位が発生し、ゴム弾性体に大きな歪みが作用し、ゴム弾性体の耐久性が問題となる。そこで、耐久性を保つため、ストッパーを設け、ストローク量を規制している。
【0003】
しかし、ストッパーによるストローク量の規制は、ストッパーに衝突することを意味し、衝突による打音(こつこつ音)や、ストッパー接触時のねじり入力によるスティックスリップ音等の異音が問題となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、車両の防振対策が振動伝達の諸処で対処され、車両の乗り心地性も必ずしも液体封入式ブッシュのみにて達成されるものでもなくなってきている。また、300Hz以上の高周波域の減衰効果の高い、ストロークが短い低動ばね化も進んでいる。かかる見地に立って、高周波域の減衰効果の高い低動ばねで、ストッパーの衝突による打音やスティックスリップ音等の異音が発生しない、かつ安価な液体封入式防振装置を提供することを本発明の課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ストッパーを用いない液体封入式防振装置を基本に考えた。そして、初期静的ばね定数を高め、低動ばねとすることによりゴム弾性体の耐久性を保てることに着目し、最大入力荷重が定まっている部位に用いることにより、異音が発生しない、かつ安価な液体封入式防振装置を提供できることに思い至り、本発明の液体封入式防振装置を完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明の液体封入式防振装置は、主軸金具と、該主軸金具の外側に離間して配置された外筒金具と、該主軸金具と該外筒金具とを一体的に連結する軸方向の両端部に位置し軸方向の中央部に内部空間を形成する少なくとも一対の環状側壁部をもつゴム弾性体と、該内部空間に封入された液体とからなる液体封入式防振装置であって、軸直角所定方向の最大入力荷重がFmaxであり、前記主軸金具の外周面から遠心方向に延びる前記環状側壁部の厚さをA、前記軸直角所定方向の前記主軸金具外周面側から遠心方向の前記外筒金具側までの前記内部空間の距離をBとすると、前記ゴム弾性体はその初期静的ばね定数が2000N/mm以上で、前記軸直角所定方向に前記最大入力荷重Fmaxが作用したときの前記外筒金具に対する前記主軸金具の変位量Lmaxは0.4A以下である初期静的ばね定数をもち、Bは0.4A以上であることを特徴とする。
【0007】
最大入力荷重Fmaxが作用したときの主軸金具の変位量Lmaxが0.4A以下であり、液体が封入された内部空間が潰れて内部空間を区画する対向面に接する主軸金具の変位量が0.4Aであるため、通常の使用状態では内部空間が潰れて内部空間の対向面どうしが当接することはない。従って、打音、スティックスリップ等の異音の発生は生じない。
【0008】
また、ゴム弾性体の歪みはその環状側壁部で最大40%の歪みとなり、経験的に知られている液体封入式防振装置のゴム弾性体の最大耐久保証歪み40%の範囲内にある。従って、本発明の液体封入式防振装置は耐久性も高い。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の液体封入式防振装置は、軸直角所定方向の最大入力荷重がFmaxであり、主軸金具の外周面から遠心方向に延びる環状側壁部の厚さをA、軸直角所定方向の主軸金具外周面側から遠心方向の外筒金具側までの内部空間の距離をBとすると、ゴム弾性体はその初期静的ばね定数が2000N/mm以上で、軸直角所定方向に最大入力荷重Fmaxが作用したときの外筒金具に対する主軸金具の変位量Lmaxは0.4A以下である初期静的ばね定数をもち、Bは0.4A以上である。
【0010】
本発明の液体封入式防振装置の軸直角方向の歪−荷重曲線を図1の実線で模式的に示す。また、参考までに従来の防振装置の歪−荷重曲線を破線で模式的に示す。本発明の防振装置は屈曲部がない曲線として示されるのに対して、従来の防振装置はストッパに衝突することで曲線が屈曲部をもつ。
そして、最大入力荷重の時に本発明の歪は40%以内であることが分かる。
【0011】
本発明の防振装置のゴム弾性体の初期静的ばね定数は2000N/mm以上、より好ましくは3500〜9000N/mmが良い。初期静的ばね定数が高くなると振動減衰効果が乏しくなり、初期静的ばね定数が低くなると最大入力荷重Fmaxが低くなる。
なお、この液体封入式防振装置は、その内部空間を軸を含む断面が一定の筒状とすることができる。また、主軸金具の外周面または外筒金具の内周面に内部空間側に突出した突部を設けることができる。この突部により防振装置の減衰周波数を調節することができる。
【0012】
また、本発明の防振装置として、ゴム弾性体は軸直角所定方向と垂直方向に延び一対の環状側壁部間に軸方向に延設され内部空間を周方向に二分割する一対の仕切壁部と少なくとも一方の仕切壁部に設けられたオリフィス通路とをもつものとすることができる。このオリフィス通路により振動の一層の減衰が図れ、かつ減衰周波数の調節も容易となる。
【0013】
また、外筒金具内に液密的に配置された中間金具を採用し、ゴム弾性体はこの中間金具および主軸金具に加硫接合したものとすることができる。これにより封入された液体の漏洩を防止できる。なお、内部空間に封入される液体は10〜100cs程度の低粘性のオイルを用いることができる。
【0014】
【作用効果】
最大入力荷重Fmax以下の通常の荷重の基では内部空間は潰れず振動に応じて変形し、作動液体の流動により振動が減衰する。内部空間に突部を形成したり周方向に二分割する一対の仕切壁部を設け、それにオリフィス通路を設けることによりより一層の振動減衰と減衰振動周波調節をすることができる。
【0015】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明の液体封入式防振装置をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
本発明の実施例1の液体封入式防振装置を図2に示す。図2中(a)はこの防振装置の軸方向の中心での断面図、(b)は軸を含む断面図である。
【0016】
この防振装置は、金属製の中心孔11をもつ主軸金具1、内側に薄いシールゴム21が一体的に加硫接合された金属製の外筒2、互いに軸方向に間隔を隔てかつ主軸金具1と同軸的に位置する2個の中間筒3、3、主軸金具1の外周面と各中間筒3、3の内周面に一体的に加硫接合されて成形されたゴム弾性体4および形成された内部空間45内に封入された液体とからなる。
【0017】
ゴム弾性体4は主軸金具1の両端部に近い部分に互いに間隔を隔てて各中間筒3の間に形成された環状側壁部41、41とこれら環状側壁部41、41の間の主軸金具1の外周面を覆う被覆ゴム膜42とからなる。そして、このゴム弾性体4と一体的に加硫成形された主軸金具1と中間筒3、3は外筒2の筒内にシールゴム21を介して圧着されている。そしてゴム弾性体4の環状側壁部の間に内部空間45が形成されこの内部空間45に液体が封入されている。
【0018】
この防振装置は軸直角全方向に対して同じ液封共振減衰効果をもつもので、その最大入力荷重Fmaxは10000Nとして使用されるもので、各環状側壁部41の厚さAは5mm、内部空間45の軸直角方向厚さBは5mm、ゴム弾性体4の初期静的ばね定数が5000N/mmとなっている。また、最大入力荷重Fmax時の最大変位量Lmaxは1mmとなる。
【0019】
この実施例1の防振装置はその軸直角方向の荷重−たわみ曲線が、図1の実線で示すものとなる。この防振装置の使用時における最大入力荷重Fmaxでの最大たわみ(最大変位量)Lmaxが環状側壁部41の軸直角方向厚さの40%未満であるため、環状側壁部41に最大入力荷重が作用しても環状側壁部41には損傷が発生しない。このため本実施例の防振装置は、優れた耐久性をもつ。
【0020】
また、内部空間45の軸直角方向の厚さBは、最大変位量Lmaxの40%以上であるため、最大入力荷重が作用しても、内部空間45を区画する主軸金具1の外周面に接合された被覆ゴム膜42が外筒2の内周面に接合されたシールゴム21に当接することはない。このため打音、スティックスリップ音等の異音が発生しない。
(実施例2)
本発明の実施例2の液体封入式防振装置を図3に示す。図3中(a)はこの防振装置の軸方向の中心での断面図、(b)は軸を含む断面で図3(a)の矢視方向直角断面の展開図である。
【0021】
この防振装置は、実施例1の2個の中間筒3、3に代えて、両端側のシール環状部51、51とこれらを連結する軸対象に設けられた2個の架橋部52、52とをもつ中間筒5を採用している点が実施例1の防振装置と大きく異なる。他の構成部品である主軸金具1、外筒2は実施例1のそれらと同一であり、ゴム弾性体4は中間筒5の架橋部52、52の内周面側に被覆ゴム膜る42、42をもっている点が異なる。
【0022】
また、内部空間46はその軸対象に中間筒5の架橋部52、52およびその内側に接合された被覆ゴム膜42、42が突出している点が実施例1の内部空間45と異なる。(実施例1と同一および類似部分については、同じ数符号を付して示す。)
この防振装置は軸直角の一方向とそれに直角の方向に対して液封共振値を変えたもので、車両に取り付けて使用される場合に、図3(a)上での上下方向を車両の上下方向に合わせ、図3(a)上での左右方向を車両の左右方向にして配置される場合に使用される。
【0023】
この防振装置は軸直角一方向とそれに直角方向の液封共振減衰効果を異にしたもので、その最大入力荷重Fmaxは10000Nで、各環状側壁部41の厚さAは5mm、内部空間45の外筒2の被覆ゴム膜21で区画される部分の軸直角厚さB1は5mm、架橋部52の被覆ゴム膜43で区画されている部分の軸直角方向厚さB2は3mm、ゴム弾性体4の初期静的ばね定数が5000N/mmとなっている。
【0024】
この防振装置の使用時における最大入力荷重Fmaxての最大たわみ(最大変位量)Lmaxが環状側壁部41の軸直角方向厚さAの40%未満であるため、環状側壁部41に最大入力荷重が作用しても環状側壁部41には損傷が発生しない。このため本実施例の防振装置は、優れた耐久性をもつ。
また、内部空間45の軸直角方向の厚さB1およびB2は共に最大変位量Lmaxの40%以上であるため、最大入力荷重が作用しても、内部空間45を区画する主軸金具1の外周面に接合された被覆ゴム膜42が外筒2の内周面に接合されたシールゴム21あるいは架橋部52の被覆ゴム膜43に当接することはない。このため打音、スティックスリップ音等の異音が発生しない。
(実施例3)
本発明の実施例3の液体封入式防振装置を図4に示す。図4はこの防振装置の軸方向の中心での断面図である。
【0025】
この防振装置は、実施例2の中間筒5に代えて、両端側のシール環状部(図示せず)とこれらを連結するとともに軸芯側に深く折り曲げられた軸対象の2個の架橋部62、62とをもつ中間筒6を採用している点がまず実施例2の防振装置と大きく異なる。さらに、ゴム弾性体7が2個の環状側壁部71と、軸直角所定方向と垂直方向に延び一対の環状側壁部間に軸方向に延設され内部空間76を周方向に77と78とに二分割する一対の仕切壁部72、72とをもち、かつこの各仕切壁部72と外筒2のシールゴム21間にオリフィス通路79とをもつ点が大きく異なる。他の構成部品である主軸金具1、外筒2は実施例2のそれらと同一である。
【0026】
この実施例の防振装置は図4上で上下方向の振動を主として吸収するものでオリフィス通路79により振動の一層の減衰を図り、かつ減衰周波数の調節も容易としたものである。
この防振装置は図4上で上下方向の液封共振減衰効果を求めるもので、その最大入力荷重Fmaxは10000で、各環状側壁部71の厚さは5mm、内部空間77、78の外筒2の被覆ゴム膜21で区画される部分の軸直角厚さBは5mm、ゴム弾性体7の初期静的ばね定数が5000N/mmとなっている。
【0027】
この防振装置の使用時における最大入力荷重Fmaxての最大たわみ(最大変位量)Lmaxが環状側壁部71の軸直角方向厚さの40%未満であるため、環状側壁部71に最大入力荷重が作用しても環状側壁部71には損傷が発生しない。このため本実施例の防振装置は、優れた耐久性をもつ。
また、内部空間77、78の軸直角方向の厚さBに最大変位量Lmaxの40%以上であるため、最大入力荷重が作用しても、内部空間76を区画する主軸金具1の外周面に接合された被覆ゴム膜42が外筒2の内周面に接合されたシールゴム21に当接することはない。このため打音、スティックスリップ音等の異音が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の従来の液体封入式防振装置の軸直角方向の歪−荷重曲線を示す線図である。
【図2】本実施例1の液体封入式防振装置を示し、その(a)はこの防振装置の軸方向の中心での断面図、(b)は軸を含む断面図である。
【図3】本実施例2の液体封入式防振装置を示し、その(a)はこの防振装置の軸方向の中心での断面図、(b)は軸を含む断面で図3(a)の矢視方向直角断面の展開図である。
【図4】本実施例3の液体封入式防振装置の軸方向中心での断面図である。
【符号の説明】
1…主軸金具 2…外筒 3、5、6…中間筒 51…環状部
41…環状側壁部 52、62…架橋部
45、46、76、77、78…内部空間 72…仕切壁部
79…オリフィス
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性ブッシュ、エンジンマウント、ドライブシャフトのセンターサパート等として用いることができる防振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液体封入式ブッシュは車両の乗り心地を高めるために採用される場合が多く、その性格上、初期静的ばね定数が2000N/mm以下のものが多い。子良き静的ばね定数が小さいと小さな入力荷重で大きな変位が発生し、ゴム弾性体に大きな歪みが作用し、ゴム弾性体の耐久性が問題となる。そこで、耐久性を保つため、ストッパーを設け、ストローク量を規制している。
【0003】
しかし、ストッパーによるストローク量の規制は、ストッパーに衝突することを意味し、衝突による打音(こつこつ音)や、ストッパー接触時のねじり入力によるスティックスリップ音等の異音が問題となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、車両の防振対策が振動伝達の諸処で対処され、車両の乗り心地性も必ずしも液体封入式ブッシュのみにて達成されるものでもなくなってきている。また、300Hz以上の高周波域の減衰効果の高い、ストロークが短い低動ばね化も進んでいる。かかる見地に立って、高周波域の減衰効果の高い低動ばねで、ストッパーの衝突による打音やスティックスリップ音等の異音が発生しない、かつ安価な液体封入式防振装置を提供することを本発明の課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ストッパーを用いない液体封入式防振装置を基本に考えた。そして、初期静的ばね定数を高め、低動ばねとすることによりゴム弾性体の耐久性を保てることに着目し、最大入力荷重が定まっている部位に用いることにより、異音が発生しない、かつ安価な液体封入式防振装置を提供できることに思い至り、本発明の液体封入式防振装置を完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明の液体封入式防振装置は、主軸金具と、該主軸金具の外側に離間して配置された外筒金具と、該主軸金具と該外筒金具とを一体的に連結する軸方向の両端部に位置し軸方向の中央部に内部空間を形成する少なくとも一対の環状側壁部をもつゴム弾性体と、該内部空間に封入された液体とからなる液体封入式防振装置であって、軸直角所定方向の最大入力荷重がFmaxであり、前記主軸金具の外周面から遠心方向に延びる前記環状側壁部の厚さをA、前記軸直角所定方向の前記主軸金具外周面側から遠心方向の前記外筒金具側までの前記内部空間の距離をBとすると、前記ゴム弾性体はその初期静的ばね定数が2000N/mm以上で、前記軸直角所定方向に前記最大入力荷重Fmaxが作用したときの前記外筒金具に対する前記主軸金具の変位量Lmaxは0.4A以下である初期静的ばね定数をもち、Bは0.4A以上であることを特徴とする。
【0007】
最大入力荷重Fmaxが作用したときの主軸金具の変位量Lmaxが0.4A以下であり、液体が封入された内部空間が潰れて内部空間を区画する対向面に接する主軸金具の変位量が0.4Aであるため、通常の使用状態では内部空間が潰れて内部空間の対向面どうしが当接することはない。従って、打音、スティックスリップ等の異音の発生は生じない。
【0008】
また、ゴム弾性体の歪みはその環状側壁部で最大40%の歪みとなり、経験的に知られている液体封入式防振装置のゴム弾性体の最大耐久保証歪み40%の範囲内にある。従って、本発明の液体封入式防振装置は耐久性も高い。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の液体封入式防振装置は、軸直角所定方向の最大入力荷重がFmaxであり、主軸金具の外周面から遠心方向に延びる環状側壁部の厚さをA、軸直角所定方向の主軸金具外周面側から遠心方向の外筒金具側までの内部空間の距離をBとすると、ゴム弾性体はその初期静的ばね定数が2000N/mm以上で、軸直角所定方向に最大入力荷重Fmaxが作用したときの外筒金具に対する主軸金具の変位量Lmaxは0.4A以下である初期静的ばね定数をもち、Bは0.4A以上である。
【0010】
本発明の液体封入式防振装置の軸直角方向の歪−荷重曲線を図1の実線で模式的に示す。また、参考までに従来の防振装置の歪−荷重曲線を破線で模式的に示す。本発明の防振装置は屈曲部がない曲線として示されるのに対して、従来の防振装置はストッパに衝突することで曲線が屈曲部をもつ。
そして、最大入力荷重の時に本発明の歪は40%以内であることが分かる。
【0011】
本発明の防振装置のゴム弾性体の初期静的ばね定数は2000N/mm以上、より好ましくは3500〜9000N/mmが良い。初期静的ばね定数が高くなると振動減衰効果が乏しくなり、初期静的ばね定数が低くなると最大入力荷重Fmaxが低くなる。
なお、この液体封入式防振装置は、その内部空間を軸を含む断面が一定の筒状とすることができる。また、主軸金具の外周面または外筒金具の内周面に内部空間側に突出した突部を設けることができる。この突部により防振装置の減衰周波数を調節することができる。
【0012】
また、本発明の防振装置として、ゴム弾性体は軸直角所定方向と垂直方向に延び一対の環状側壁部間に軸方向に延設され内部空間を周方向に二分割する一対の仕切壁部と少なくとも一方の仕切壁部に設けられたオリフィス通路とをもつものとすることができる。このオリフィス通路により振動の一層の減衰が図れ、かつ減衰周波数の調節も容易となる。
【0013】
また、外筒金具内に液密的に配置された中間金具を採用し、ゴム弾性体はこの中間金具および主軸金具に加硫接合したものとすることができる。これにより封入された液体の漏洩を防止できる。なお、内部空間に封入される液体は10〜100cs程度の低粘性のオイルを用いることができる。
【0014】
【作用効果】
最大入力荷重Fmax以下の通常の荷重の基では内部空間は潰れず振動に応じて変形し、作動液体の流動により振動が減衰する。内部空間に突部を形成したり周方向に二分割する一対の仕切壁部を設け、それにオリフィス通路を設けることによりより一層の振動減衰と減衰振動周波調節をすることができる。
【0015】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明の液体封入式防振装置をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
本発明の実施例1の液体封入式防振装置を図2に示す。図2中(a)はこの防振装置の軸方向の中心での断面図、(b)は軸を含む断面図である。
【0016】
この防振装置は、金属製の中心孔11をもつ主軸金具1、内側に薄いシールゴム21が一体的に加硫接合された金属製の外筒2、互いに軸方向に間隔を隔てかつ主軸金具1と同軸的に位置する2個の中間筒3、3、主軸金具1の外周面と各中間筒3、3の内周面に一体的に加硫接合されて成形されたゴム弾性体4および形成された内部空間45内に封入された液体とからなる。
【0017】
ゴム弾性体4は主軸金具1の両端部に近い部分に互いに間隔を隔てて各中間筒3の間に形成された環状側壁部41、41とこれら環状側壁部41、41の間の主軸金具1の外周面を覆う被覆ゴム膜42とからなる。そして、このゴム弾性体4と一体的に加硫成形された主軸金具1と中間筒3、3は外筒2の筒内にシールゴム21を介して圧着されている。そしてゴム弾性体4の環状側壁部の間に内部空間45が形成されこの内部空間45に液体が封入されている。
【0018】
この防振装置は軸直角全方向に対して同じ液封共振減衰効果をもつもので、その最大入力荷重Fmaxは10000Nとして使用されるもので、各環状側壁部41の厚さAは5mm、内部空間45の軸直角方向厚さBは5mm、ゴム弾性体4の初期静的ばね定数が5000N/mmとなっている。また、最大入力荷重Fmax時の最大変位量Lmaxは1mmとなる。
【0019】
この実施例1の防振装置はその軸直角方向の荷重−たわみ曲線が、図1の実線で示すものとなる。この防振装置の使用時における最大入力荷重Fmaxでの最大たわみ(最大変位量)Lmaxが環状側壁部41の軸直角方向厚さの40%未満であるため、環状側壁部41に最大入力荷重が作用しても環状側壁部41には損傷が発生しない。このため本実施例の防振装置は、優れた耐久性をもつ。
【0020】
また、内部空間45の軸直角方向の厚さBは、最大変位量Lmaxの40%以上であるため、最大入力荷重が作用しても、内部空間45を区画する主軸金具1の外周面に接合された被覆ゴム膜42が外筒2の内周面に接合されたシールゴム21に当接することはない。このため打音、スティックスリップ音等の異音が発生しない。
(実施例2)
本発明の実施例2の液体封入式防振装置を図3に示す。図3中(a)はこの防振装置の軸方向の中心での断面図、(b)は軸を含む断面で図3(a)の矢視方向直角断面の展開図である。
【0021】
この防振装置は、実施例1の2個の中間筒3、3に代えて、両端側のシール環状部51、51とこれらを連結する軸対象に設けられた2個の架橋部52、52とをもつ中間筒5を採用している点が実施例1の防振装置と大きく異なる。他の構成部品である主軸金具1、外筒2は実施例1のそれらと同一であり、ゴム弾性体4は中間筒5の架橋部52、52の内周面側に被覆ゴム膜る42、42をもっている点が異なる。
【0022】
また、内部空間46はその軸対象に中間筒5の架橋部52、52およびその内側に接合された被覆ゴム膜42、42が突出している点が実施例1の内部空間45と異なる。(実施例1と同一および類似部分については、同じ数符号を付して示す。)
この防振装置は軸直角の一方向とそれに直角の方向に対して液封共振値を変えたもので、車両に取り付けて使用される場合に、図3(a)上での上下方向を車両の上下方向に合わせ、図3(a)上での左右方向を車両の左右方向にして配置される場合に使用される。
【0023】
この防振装置は軸直角一方向とそれに直角方向の液封共振減衰効果を異にしたもので、その最大入力荷重Fmaxは10000Nで、各環状側壁部41の厚さAは5mm、内部空間45の外筒2の被覆ゴム膜21で区画される部分の軸直角厚さB1は5mm、架橋部52の被覆ゴム膜43で区画されている部分の軸直角方向厚さB2は3mm、ゴム弾性体4の初期静的ばね定数が5000N/mmとなっている。
【0024】
この防振装置の使用時における最大入力荷重Fmaxての最大たわみ(最大変位量)Lmaxが環状側壁部41の軸直角方向厚さAの40%未満であるため、環状側壁部41に最大入力荷重が作用しても環状側壁部41には損傷が発生しない。このため本実施例の防振装置は、優れた耐久性をもつ。
また、内部空間45の軸直角方向の厚さB1およびB2は共に最大変位量Lmaxの40%以上であるため、最大入力荷重が作用しても、内部空間45を区画する主軸金具1の外周面に接合された被覆ゴム膜42が外筒2の内周面に接合されたシールゴム21あるいは架橋部52の被覆ゴム膜43に当接することはない。このため打音、スティックスリップ音等の異音が発生しない。
(実施例3)
本発明の実施例3の液体封入式防振装置を図4に示す。図4はこの防振装置の軸方向の中心での断面図である。
【0025】
この防振装置は、実施例2の中間筒5に代えて、両端側のシール環状部(図示せず)とこれらを連結するとともに軸芯側に深く折り曲げられた軸対象の2個の架橋部62、62とをもつ中間筒6を採用している点がまず実施例2の防振装置と大きく異なる。さらに、ゴム弾性体7が2個の環状側壁部71と、軸直角所定方向と垂直方向に延び一対の環状側壁部間に軸方向に延設され内部空間76を周方向に77と78とに二分割する一対の仕切壁部72、72とをもち、かつこの各仕切壁部72と外筒2のシールゴム21間にオリフィス通路79とをもつ点が大きく異なる。他の構成部品である主軸金具1、外筒2は実施例2のそれらと同一である。
【0026】
この実施例の防振装置は図4上で上下方向の振動を主として吸収するものでオリフィス通路79により振動の一層の減衰を図り、かつ減衰周波数の調節も容易としたものである。
この防振装置は図4上で上下方向の液封共振減衰効果を求めるもので、その最大入力荷重Fmaxは10000で、各環状側壁部71の厚さは5mm、内部空間77、78の外筒2の被覆ゴム膜21で区画される部分の軸直角厚さBは5mm、ゴム弾性体7の初期静的ばね定数が5000N/mmとなっている。
【0027】
この防振装置の使用時における最大入力荷重Fmaxての最大たわみ(最大変位量)Lmaxが環状側壁部71の軸直角方向厚さの40%未満であるため、環状側壁部71に最大入力荷重が作用しても環状側壁部71には損傷が発生しない。このため本実施例の防振装置は、優れた耐久性をもつ。
また、内部空間77、78の軸直角方向の厚さBに最大変位量Lmaxの40%以上であるため、最大入力荷重が作用しても、内部空間76を区画する主軸金具1の外周面に接合された被覆ゴム膜42が外筒2の内周面に接合されたシールゴム21に当接することはない。このため打音、スティックスリップ音等の異音が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の従来の液体封入式防振装置の軸直角方向の歪−荷重曲線を示す線図である。
【図2】本実施例1の液体封入式防振装置を示し、その(a)はこの防振装置の軸方向の中心での断面図、(b)は軸を含む断面図である。
【図3】本実施例2の液体封入式防振装置を示し、その(a)はこの防振装置の軸方向の中心での断面図、(b)は軸を含む断面で図3(a)の矢視方向直角断面の展開図である。
【図4】本実施例3の液体封入式防振装置の軸方向中心での断面図である。
【符号の説明】
1…主軸金具 2…外筒 3、5、6…中間筒 51…環状部
41…環状側壁部 52、62…架橋部
45、46、76、77、78…内部空間 72…仕切壁部
79…オリフィス
Claims (5)
- 主軸金具と、該主軸金具の外側に離間して配置された外筒金具と、該主軸金具と該外筒金具とを一体的に連結する軸方向の両端部に位置し軸方向の中央部に内部空間を形成する少なくとも一対の環状側壁部をもつゴム弾性体と、該内部空間に封入された液体とからなる液体封入式防振装置であって、
軸直角所定方向の最大入力荷重がFmaxであり、前記主軸金具の外周面から遠心方向に延びる前記環状側壁部の厚さをA、前記軸直角所定方向の前記主軸金具外周面側から遠心方向の前記外筒金具側までの前記内部空間の距離をBとすると、前記ゴム弾性体はその初期静的ばね定数が2000N/mm以上で、前記軸直角所定方向に前記最大入力荷重Fmaxが作用したときの前記外筒金具に対する前記主軸金具の変位量Lmaxは0.4A以下である初期静的ばね定数をもち、Bは0.4A以上であることを特徴とする液体封入式防振装置。 - 前記内部空間は軸を含む断面が一定の筒状である請求項1記載の液体封入式防振装置。
- 前記主軸金具の外周面または前記外筒金具の内周面に前記内部空間側に突出した突部をもつ請求項1記載の液体封入式防振装置。
- 前記ゴム弾性体は前記軸直角所定方向と垂直方向に延び一対の前記環状側壁部間に軸方向に延設され前記内部空間を周方向に二分割する一対の仕切壁部と少なくとも一方の前記仕切壁部に設けられたオリフィス通路とをもつ請求項1記載の液体封入式防振装置。
- 前記外筒金具内に液密的に配置された中間金具をもち、前記ゴム弾性体は前記中間金具および前記主軸金具に加硫接合されている請求項1記載の液体封入式防振装置。
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