JP3694763B2 - 3相中性点クランプ式pwmインバータ装置 - Google Patents

3相中性点クランプ式pwmインバータ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータの可変速駆動を行うインバータ・サーボドライブ等の電力変換装置や系統連系する電力変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
中性点クランプ式PWMインバータの構成を図4に示す。図において、1は三相交流電源、2は整流ダイオードブリッジ、3,4は平滑コンデンサ、6〜11はクランプダイオード、12〜23は還流ダイオード、24〜35はIGBT、36〜38は電流センサ、39は負荷モータである。
このような構成の中性点クランプ式PWMインバータの、従来の中性点電位変動抑制方法としては、PWMパルス発生方法としてダイポーラ変調、ユニポーラ変調を用い、電圧指令の零相電圧の増減によって、中性線に流れる電流を制御していた。
また、特開平5−292754号公報のように電圧ベクトルの概念を導入しPWM制御を行う場合には、負荷電力の正負から中間電圧ベクトルの増減方向を決定して中性点電位変動抑制を行う方法が一般的であり、特願平11−228893号で提案した方法のように中性線に流れる電流の向きによって補正ベクトルの発生時間比率を細かく調整する方式などがある。
これらは、図2に示すような12通りのスイッチ状態の組において、出力電圧が同じであるが中性線の電流方向が逆になる対のスイッチ状態の比率を調節することで、中性点電位変動を抑制している。
また特願平11−233287号に提案した方法のように、図3に示すような中性点電位を乱すスイッチ状態を抑制する方法などもある。このように中性点クランプ式インバータがとるスイッチ状態を出力電圧ベクトルとして表すと図5のように書くことができる。
【0003】
図6は空間電圧ベクトルの概念を利用して中性点クランプ式PWMインバータのPWMパルスを計算する回路例である。インバータが出力する出力電圧を図5に示すような空間ベクトル量として考え、その出力電圧ベクトルVの変調率(k)、位相(θ)を与えると、ベクトル時間計算器102が、図5に示すような27種類のベクトルを選択し、PWM周期の平均が出力電圧ベクトルVと同じになるPWMパルスとして、順次出力されるベクトル列とベクトルの出力時間を計算する。計算されたベクトル列と出力時間はPWMパルスパターン設定器104によってインバータ主回路のスイッチ素子を駆動するパルス列に変換され、パルス列によってインバータ主回路のスイッチ素子をオン・オフし、所望の電圧を出力する。中性点電位変動抑制制御は、パラメータ計算器101の中性点電位や負荷力率の検出器からの信号を元に補正ベクトルの発生時間を中性点電位変動が減少する方向にPWMパルスパターン設定器104を調節する。
また特開平9−37592号公報には、3レベルインバータの出力空間電圧ベクトルにおける一つの長いベクトルとこれと隣接する中間の長さのベクトルで挟む領域を一つの空間として、ベクトルの360°全空間を12個の区間に分け、指令ベクトルの回転角によって指令ベクトルの12個の区間における区間番号を判別すると共に、指令ベクトルの大きさによって変調率を計算し、指令ベクトルの区間番号と負荷電流値によって区間番号に対応する電流比を計算し、変調率と電流比によって、3レベルインバータの分圧コンデンサの中性点電位の変動を抑制する発信方式及び発信順序を定め、その発信方式及び発信順序における具体的な各ベクトルの出力時間を計算して3レベルインバータをPWM制御する3レベルインバータのPWM制御方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
3相中性点クランプ式PWMインバータでは、図4のように中性点電圧を作るために主回路正母線と負母線間にコンデンサを偶数個直列に接続し、正母線と負母線のちょうど中間の電圧となるコンデンサの端子から中性線を取り出して利用するのが一般的である。この中性線はPWMインバータ出力負荷とPWMインバータのスイッチの状態によって図2、図3のように接続される。中性線の電位(中性点電位)は正母線・負母線からコンデンサを充電する電流と接続された負荷からの電流によって変動する。
従来例にあるように図2に示すスイッチ状態(このベクトルをここでは補正ベクトルと呼ぶ)において、負荷へ出力する線間電圧は同じであるが、中性線へ接続される負荷の相が異なるスイッチ状態の組(図2で隣り合うスイッチ状態を一組とする)を利用し、この組のスイッチ状態が発生される時間比率を調節することで中性点電位を細かく制御することが可能である。
しかし、図3に示すスイッチの状態(このベクトルをここでは中間ベクトルと呼ぶ)では、中性線に接続される負荷の相電流とこのスイッチ状態が発生される時間比率によって中性点電位が変動し、これを補正するベクトルが存在しないため、中間ベクトルで引き起こされた中性点電位変動は補正ベクトルを使って補正しなければならない。
そこで、特開平2−261063号公報に示されているように変調率に零相電圧を加え、補正ベクトルの発生時間を調節し負荷へ供給する線間出力電圧を変えずに中性点電位変動をコントロールしている。また特開平5−292754号公報や特願平11−228893号のように空間電圧ベクトルの概念を利用する方法でも出力されるべき電圧ベクトルに補正ベクトルを使用するように出力し、その組のスイッチ状態の発生時間を調節して中性点電位をコントロールしているが、中性点電位変動を零に近づける為に補正ベクトルの比率を決める手法が最適でなく、中性点電位変動抑制効果が不十分であった。
さらに、特開平9−37592号公報に記載された方法では、変調率と電流比によって、予め決められた3レベルインバータの分圧コンデンサの中性点電位の変動を抑制する発信方式及び発信順序を定め、その発信方式及び発信順序における具体的な各ベクトルの出力時間を計算してPWM制御を行うので、中性点電流を零に近づけることはできるが、完全に零にすることはできなかった。
そこで本発明が解決しようとする課題は、3相中性点クランプ式PWMインバータ装置の中性点電位変動を効率良く抑制し、安全性の向上、出力電圧品質の向上を図ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するために、
(1)正母線と負母線と中性線とを有し、正母線と相電圧出力端子間並びに負母線と相出力端子間にそれぞれ第1及び第2のスイッチ素子、並びに第3及び第4のスイッチ素子を直列接続するとともに、前記第1と前記第2のスイッチ素子の接続点及び前記第3と前記第4のスイッチ素子の接続点をそれぞれクランプ素子を介して前記中性線と接続された中性点クランプ式PWMインバータを3相分設けた3相中性点クランプ式PWMインバータ装置において、
PWM周期中に前記正母線、前記負母線、前記中性線が、それぞれ3相の前記相出力端子に接続される状態となる3相出力電圧の時間の計算値と、その状態での前記中性線に流れると予測される電流値を掛け合わせた第1の計算値を求める手段と、
前記正母線に3相の前記相出力端子のうち2つが接続され、前記中性線に3相の前記相出力端子のうち1つが接続される第2の状態または前記中性線に3相の前記相出力端子のうち2つが接続され、前記負母線に3相の前記相出力端子のうち1つが接続される第3の状態を取り得る3相出力電圧の時間の計算値と、その状態での前記中性線に流れると予測される電流値を掛け合わせた第2の計算値を求める手段と、
前記正母線に3相の前記相出力端子のうち1つが接続され、前記中性線に3相の前記相出力端子のうち2つが接続される第4の状態または前記中性線に3相の前記相出力端子のうち1つが接続され、前記負母線に3相の前記相出力端子のうち2つが接続される第5の状態を取り得る3相出力電圧の時間の計算値と、その状態での前記中性線に流れると予測される電流値を掛け合わせた第3の計算値を求める手段と、
前記第1、前記第2、前記第3の計算値に基づき前記中性線に流れる電流を零または、前記中性線の電位を前記正母線電位と前記負母線電位との間のちょうど中間となる電位に近づけるように、PWM周期中の前記第2と前記第3、前記第4と前記第5の状態の比率を決定する比率決定手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
(2)前記(1)に記載の比率決定手段に代えて、前記第1の計算値と1周期前のPWM周期までに中性線に流れた電流の積分値との和である第4の計算値を求め、前記第2、前記第3の計算値に基づき前記第4の計算値を零または、前記第4の計算値を用いて前記中性線の電位を前記正母線電位と前記負母線電位との間のちょうど中間となる電位に近づけるように、PWM周期中の前記第2と前記第3、前記第4と前記第5の状態の比率を決定する比率決定手段とする。
(3)前記(1)に記載の3相中性点クランプ式PWMインバータ装置が、前記正母線、前記負母線、前記中性線が、それぞれ3相の前記相出力端子に接続される6つのスイッチ状態となる3相出力電圧の時間を第1の設定値以下に抑制し、前記第1の設定値以下に抑制されたことに伴う出力電圧の不足分を、3相の前記相出力端子各々が前記正母線または前記負母線に接続されるが、3相の前記相出力端子が3つ同時に前記正母線または負母線に接続される状態を除く6つのスイッチ状態で補う3相中性点クランプ式PWMインバータ装置にあっては、
請求項1に記載の第1の計算値を求める手段に代えて、PWM周期中に、前記第1の設定値以下に抑制された3相出力電圧の時間とその状態での前記中性線に流れると予測される電流値を掛け合わせた第1の計算値を求める手段とする。
(4)前記(3)に記載の3相中性点クランプ式PWMインバータ装置において、中性線に流れると予測される電流値に代えて、中性線に流れる電流の実測値を用い、比率決定手段においては、前記第1の計算値と1周期前のPWM周期までに中性線に流れた電流の積分値との和である第4の計算値を求め前記第2、前記第3の計算値に基づき前記第4の計算値を零または、前記第4の計算値を用いて前記中性線の電位を前記正母線電位と前記負母線電位との間のちょうど中間となる電位に近づけるように、PWM周期中の前記第2と前記第3、前記第4と前記第5の状態の比率を決定する比率決定手段としたことを特徴とする。
(5)前記(1)〜(3)に記載の3相中性点クランプ式PWMインバータ装置において、前記第1から第3の計算値を求める手段における前記中性線に流れると予測される電流値を、前記中性線に接続される前記相出力端子に流れると予測される電流値を用いて計算するようにする。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施例のブロック図である。101は中性点電位制御パラメータ計算器、102はベクトル時間計算器、103はベクトル時間レジスタ、104はPWMパターン設定器である。
出力電圧ベクトルVをインバータが出力する場合、一般的に図5に示すように出力電圧ベクトルVが存在する領域(領域1〜6)を構成するベクトルを使って、PWMパルスが出力される。領域を構成するベクトルは図5のように分類されるとし、ベクトル時間演算器102は出力電圧ベクトルVを出力するために各分類されたベクトル出力時間を
零電圧ベクトルの総出力時間 :T0
xp,xnベクトルの総出力時間 :T1
zベクトルの総出力時間 :T2
yp,ynベク卜ルの総出力時間 :T3
aベクトルの総出力時間 :T4
bベクトルの総出力時間 :T5
のように計算する。
zベクトルの出力に伴う中性線電流 :ic
xp,xnベクトルの出力に伴う中性線電流 :icx
yp,ynベクトルの出力に伴う中性線電流 :icy
とし、UVW相の負荷電流瞬時値の測定値をそれぞれi(U),i(V),i(W)とすれば、i(phase1),i(phase2),i(phase3)が表1に従って各々i(U),i(V),i(W)に変化するので、各電流は次の式のように計算できる。
ic =i(phase2)×t2
icx=i(pahse1)×t1
icy=i(phase3)×t3
このようにic,icx,icyを求めると、中性点電位変動を零に近づけるにはic,icx,icyを用いて中性線の電流変動を零に近づけるようにxp,xnおよびyp,ynベクトルの時間比率を決定すればよい。
【0008】
時間比率の具体的な計算法の一例を以下に示す。
PWMパターン設定器105は特願平11−228893号に記載されたように中性点電位制御は中性点電位制御パラメータα,α1,α2を用いる。これらのパラメータ相互の関係は電圧ベクトルの存在する領域と相電流との関係によって
i(phase1)≧0ならば α1=α
i(phase1)<0ならば α1=(1−α)
i(phase3)≧0ならば α2=(1−α)
i(phase3)<0ならば α2=α
(注:相電流はインバーター→モータの向きを正とする)
のように変化する。
phase1,phase2,phase3とU,V,W相の対応を次の表に示す。
【表1】
Figure 0003694763
xp,xnベクトルの時間配分は
xpベクトルの時間:Txp=α1×T2
xnベクトルの時間:Txn=(1−α1)×T2
yp,ynベクトルの時間配分は
ypベクトルの時間:Typ=α2×T3
ynベクトルの時間:Tyn=(1−α2)×T3
とすると、本発明の実施例では中性点電位制御パラメータ計算器106によって中性点電位制御パラメータαは
α=α’+α”(0≦α≦1)
のように二つのパラメータα’,α”で計算され、且つ0以上、1以下に制限されるものとする。
また、α’は
D=γ/(2×β)
α’=D (ic≧0)
α’=−D (ic<0)
(α’も−1以上、1以下に制限する)
のように計算される。
α”はαのオフセット調整パラメータであり、中性点電位異常時等に強制的に中性点電位を制御することに利用するものとし、通常は0.5とする。
【0009】
またβ,γの計算は以下のように行う。
(1)|ic|<|icx|≦|icy|または、|ic|<|icy|≦|icx|の場合
γ=ic,β=|icx|+|icy|としてα’を計算。
(2)|icx|≦|ic|≦|icy|または、|icx|≦|icy|≦|ic|の場合
γ=|ic|−|icx|,β=|icy|としてα’を計算
但しα1は別途
icxとicの符号が同符号の場合
α1=1に固定
icxとicの符号が異符号の場合
α1=0に固定
とする。
(3)|icb|≦|ic|≦|icx|または、|icy|≦|icx|≦|ic|の場合
γ=|ic|−|icy|,β=|icx|としてα’を計算
但しα2は別途
icxとicの符号が同符号の場合
α2=0に固定
icyとicの符号が異符号の場合
α2=1に固定
とする。
(4)|icx|+|icy|≦|ic|の場合
icxとicの符号が同符号の場合
α1=1に固定
icxとicの符号が異符号の場合
α1=0に固定
icyとicの符号が同符号の場合
α2=0に固定
icyとicの符号が異符号の場合
α2=1に固定
このように中性点電位制御パラメータαを計算すれば、xp,xn,yp,ynベクトルによって流れる中性線電流を効率良く使って、zベクトルによって流れる中性線電流が起こす中性点電位変動を、PWM周期毎にできるだけ零に近づけることが可能となる。
また、特願平11−233287号に記載した方法のようにzベクトルの発生を抑制する方法においても、上記の計算でT2を、ベクトルの発生を抑制されたあとの時間とすれば、上記計算のままで中性点電位変動を効率良く抑制することが可能となる。
【0010】
本発明の第2の実施例では、インバータの運転条件によっては|icx|+|icy|≦|ic|の場合のようにicが大きくなってPWM周期中に完全に補償できない場合のことを考慮し、他のPWM周期で
|icx|+|icy|≧|ic|, |icx|≧|ic|, |icy|≧|ic|となった時に多めに補償を行うようにする。
このようにするために、第1の実施例のような、PWM周期中にzベクトルによって流れる中性線電流を補償するのではなく、現在までに中性線に流れた電流の積分値を補償するように変更する。
具体的には、icを次の式のように1回前までに流れた中性線電流の時間積分値ic0と次のPWM周期のzベクトルによる中性線電流との和を利用するように変更する。
ic=ic0+i(phase2)×t2
このようにすることで、1周期では抑制し切れなかった中性点電位変動を抑制することが可能となる。なお、中性線電流の時間積分値ic0は中性線に電流センサを備えて測定してもよいし、中性線に繋がる相出力電流から予測し計算してもよい。
【0011】
直列接続された各々の平滑コンデンサの容量が等しい場合には前述の実施例のように中性点電流を零に近づけることで中性点電位変動を零にし且つ中性点電位を正母線と負母線電位のちょうど中間の電位(この電位をV0とする)へ制御できるが、経年変化等によって直列接続された各々のコンデンサの容量が異なるようになった場合には、中性点電流を零に近づけるだけでは中性点電位を正母線と負母線電位との間のちょうど中間となる電位へ制御できなくなる。
そこで本発明では、ic,icx,icyの計算値から、中性点電流を零に近づけるのではなく、逆に中性点電流を増加させて、V0へ近づける制御とすることもできる。この場合には中性点電位制御パラメータ計算器101を中性点電位のレベルを検出するようにし、電位がV0よりも高ければic,icx,icyの計算値から中性線電流を図4の矢印の向きに増加させ、電位がV0よりも低ければ中性線電流を図4の矢印の向きと逆に増加させるような計算を行うようにするとよい。
【0012】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、3相中性点クランプ式PWMインバータ装置の中性点電位変動をできるだけ零または、中性線の電位を正母線と負母線電位との間のちょうど中間となる電位に近づけることにより効率良く抑制し、安全性の向上、出力電圧品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例におけるPWMパルス演算回路のブロック図である。
【図2】 3相中性点クランプ式インバータのスイッチ状態の組の例を示す説明図である。
【図3】 3相中性点クランプ式インバータのスイッチ状態の他の組の例を示す説明図である。
【図4】 3相中性点クランプ式インバータの回路構成図である。
【図5】 3相中性点クランプ式インバータの出力電圧空間ベクトル図である。
【図6】 従来のPWMパルス演算回路のブロック図である。
【符号の説明】
1 三相交流電源、2 整流ダイオードブリッジ、3,4 平滑コンデンサ、6〜11 クランプダイオード、12〜23 還流ダイオード、24〜35 IGBT、36〜38 電流センサ、39 負荷モータ、101 中性点電位制御パラメータ計算器、102 ベクトル時間計算器、103 ベクトル時間レジスタ、104 PWMパターン設定器、105 従来の中性点電位制御パラメータ計算器

Claims (5)

  1. 正母線と負母線と中性線とを有し、正母線と相電圧出力端子間並びに負母線と相出力端子間にそれぞれ第1及び第2のスイッチ素子、並びに第3及び第4のスイッチ素子を直列接続するとともに、前記第1と前記第2のスイッチ素子の接続点及び前記第3と前記第4のスイッチ素子の接続点をそれぞれクランプ素子を介して前記中性線と接続された中性点クランプ式PWMインバータを3相分設けた3相中性点クランプ式PWMインバータ装置において、
    PWM周期中に前記正母線、前記負母線、前記中性線が、それぞれ3相の前記相出力端子に接続される状態となる3相出力電圧の時間の計算値と、その状態での前記中性線に流れると予測される電流値を掛け合わせた第1の計算値を求める手段と、
    前記正母線に3相の前記相出力端子のうち2つが接続され、前記中性線に3相の前記相出力端子のうち1つが接続される第2の状態または前記中性線に3相の前記相出力端子のうち2つが接続され、前記負母線に3相の前記相出力端子のうち1つが接続される第3の状態を取り得る3相出力電圧の時間の計算値と、その状態での前記中性線に流れると予測される電流値を掛け合わせた第2の計算値を求める手段と、
    前記正母線に3相の前記相出力端子のうち1つが接続され、前記中性線に3相の前記相出力端子のうち2つが接続される第4の状態または前記中性線に3相の前記相出力端子のうち1つが接続され、前記負母線に3相の前記相出力端子のうち2つが接続される第5の状態を取り得る3相出力電圧の時間の計算値と、その状態での前記中性線に流れると予測される電流値を掛け合わせた第3の計算値を求める手段と、
    前記第1、前記第2、前記第3の計算値に基づき前記中性線に流れる電流を零または、前記中性線の電位を前記正母線電位と前記負母線電位との間のちょうど中間となる電位に近づけるように、PWM周期中の前記第2と前記第3、前記第4と前記第5の状態の比率を決定する比率決定手段とを備えたことを特徴とする3相中性点クランプ式PWMインバータ装置。
  2. 請求項1に記載の比率決定手段に代えて、前記第1の計算値と1周期前のPWM周期までに中性線に流れた電流の積分値との和である第4の計算値を求め、前記第2、前記第3の計算値に基づき前記第4の計算値を零または、前記第4の計算値を用いて前記中性線の電位を前記正母線電位と前記負母線電位との間のちょうど中間となる電位に近づけるように、PWM周期中の前記第2と前記第3、前記第4と前記第5の状態の比率を決定する比率決定手段としたことを特徴とする請求項1記載の3相中性点クランプ式PWMインバータ装置。
  3. 前記正母線、前記負母線、前記中性線が、それぞれ3相の前記相出力端子に接続される6つのスイッチ状態となる3相出力電圧の時間を第1の設定値以下に抑制し、前記第1の設定値以下に抑制されたことに伴う出力電圧の不足分を、3相の前記相出力端子各々が前記正母線または前記負母線に接続されるが、3相の前記相出力端子が3つ同時に前記正母線または負母線に接続される状態を除く6つのスイッチ状態で補う3相中性点クランプ式PWMインバータ装置において、
    請求項1に記載の第1の計算値を求める手段に代えて、PWM周期中に、前記第1の設定値以下に抑制された3相出力電圧の時間とその状態での前記中性線に流れると予測される電流値を掛け合わせた第1の計算値を求める手段としたことを特徴とする請求項1記載の3相中性点クランプ式PWMインバータ装置。
  4. 請求項3に記載の3相中性点クランプ式PWMインバータ装置において、中性線に流れると予測される電流値に代えて、中性線に流れる電流の実測値を用い、比率決定手段においては、前記第1の計算値と1周期前のPWM周期までに中性線に流れた電流の積分値との和である第4の計算値を求め前記第2、前記第3の計算値に基づき前記第4の計算値を零または、前記第4の計算値を用いて前記中性線の電位を前記正母線電位と前記負母線電位との間のちょうど中間となる電位に近づけるように、PWM周期中の前記第2と前記第3、前記第4と前記第5の状態の比率を決定する比率決定手段としたことを特徴とする請求項3記載の3相中性点クランプ式PWMインバータ装置。
  5. 前記第1から第3の計算値を求める手段における前記中性線に流れると予測される電流値を、前記中性線に接続される前記相出力端子に流れると予測される電流値を用いて計算するようにしたことを特徴とする請求項1から3のいずれかの項に記載の3相中性点クランプ式PWMインバータ装置。
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