JP3694372B2 - 金属管の継手装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄肉のステンレス管や鋼管、その他、アルミ管や銅管などの金属管を対象にした継手装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記金属管の継手装置としては、図6に示すように、筒状の継手本体13に膨出させた保持部16内にシール材15を嵌装させ、先端を先狭まりのテーパー面部Sに形成した金属管11を、そのテーパー面部Sをシール材15に密着させるように継手本体13に内嵌合させ、かつ、継手本体13のシール材15よりも端部側の本体部分を、継手本体13に内嵌合された金属管11と共に部分的に凹入させて、この凹入部fによって継手本体13からの金属管11の抜け止めを図るようにしたものが知られている。
【0003】
かゝる構成の継手装置によれば、金属管11のテーパー面部Sをシール材15に密着させた状態で凹入部fを形成して、この凹入部fを介して金属管11と継手本体13とを固定することで、シール性、耐久性、耐スラスト性を得ることができるとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、個々の継手装置毎で、金属管11のテーパー面部Sを一定の力でシール材15に密着させることは極めて困難であり、加えて、その密着状態を確実に保持して、継手本体13を金属管11と共に部分的に凹入させることは至難であって、金属管11の僅かな位置ずれが、シール材15に対するテーパー面部Sの密着度の変動に繋がるもので、継手装置毎で一定したシール性を安定的に得難い点で問題があった。
【0005】
また、継手本体13を部分的に加圧させて、複数個の凹入部fを周方向に延びるように形成しているために、即ち、周方向に延びる複数個の溝状の凹入部fを管軸中心まわりの円周上に形成しているために、金属管11が集中的に凹入ダメージを受けるようになり、これによって、周方向での凹入部f,f間の金属管部分11aと、凹入部fの管軸中心方向両側の金属管部分11bとが、凹入部fの形成に伴って引きつられるように縮径し、金属管11の凹入部faの傾斜面が、継手本体13の凹入部fbの傾斜面よりも緩傾斜になって、凹入部fa,fbの係止による金属管11の抜け止め機能が低くなることから、例えばウオーターハンマーの衝撃圧を受けた際や衝撃圧を繰り返し受けた際には、継手本体13からの金属管11の引き抜けを生じる虞れがあった。
【0006】
本発明は、上記の従来欠点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、継手装置毎で一定したシール性を確実に実現できるようにし、しかも、凹入部による金属管の接合固定に際して、金属管が集中的に凹入のダメージを受けることを避け得るようにして、継手本体からの金属管の引き抜けを効果的に防止できるようにした金属管の継手装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明では、金属製の筒状継手本体に金属管を内嵌合させて接合するための金属管の継手装置において、前記金属管の先端を先狭まりのテーパー面部に形成し、かつ、前記継手本体の内面部にシール材を設けて、金属管の先端によるシール材の損傷を避けつつ、このシール材を金属管の外周面に密着させるようにしている。
【0008】
そして、継手本体のシール材よりも端部側の本体部分を、継手本体に内嵌合された金属管と共にスポット状に凹入させて、凹入部を周方向に延びるように形成するに比較して、金属管が受ける凹入ダメージを軽減させるようにし、これに加えて、管軸中心に直交する軸線上の2点で均等に金属管を凹入させる状態で、そのスポット状凹入部の2個の対を分散させて、縮径の凹入ダメージを金属管の一箇所に集中させないように考慮している。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、金属製の筒状継手本体に金属管を内嵌合させて接合するための金属管の継手装置において、前記金属管の先端を先狭まりのテーパー面部に形成し、前記継手本体の内面部には、前記テーパー面部を貫通させて金属管の外周面に密接するシール材を設ける一方、前記継手本体のシール材よりも端部側の本体部分を、継手本体に内嵌合された金属管と共にスポット状に凹入させ、このスポット状凹入部を、管軸中心に直交する軸線上での2個の対の複数組とし、かつ、各組のスポット状凹入部を、管軸中心方向ならびに管軸中心まわりで互いに位相を異ならせて成る金属管の継手装置として、実施できる。
【0010】
上記の構成によれば、金属管の先端を先狭まりのテーパー面部としたことで、金属管の先端をシール材に貫通させる際のシール材の損傷を確実に避けることができる。
そして、金属管の先端をシール材に貫通させて、シール材を金属管の外周面に密着させるようにしているので、金属管の多少の位置ずれに拘らず、シール材を金属管の外周面に一定の力で密着させることができ、従って、継手装置毎で一定したシール性が安定的に得られる。
【0011】
また、スポット状の凹入部によって金属管を継手本体に接合固定させるので、凹入部を周方向に延びるように形成するに比較して、金属管が受ける凹入ダメージが大幅に軽減されるようになり、これに加えて、凹入部形成の応力が金属管の周方向で偏らないように、管軸中心に直交する軸線上の2点で均等に金属管を凹入させるようにした上で、その2点の対の複数組のスポット状凹入部を管軸中心方向ならびに管軸中心まわりに分散させて、金属管が集中的に縮径の凹入ダメージを受けないようにしたので、スポット状の凹入部まわりの金属管部分が、凹入部の形成に伴って引きつられるように縮径する事態が生じなくなり、延いては、金属管側のスポット状凹入部が継手本体側のスポット状凹入部に密接するように形成されることで、継手本体に対する金属管の抜け止め機能が高くなり、例えばウオーターハンマーの衝撃圧などによる金属管引き抜けの事態が確実に防止される。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る金属管の継手装置を示し、この継手装置は、薄肉のステンレス管や鋼管、その他、厚肉であっても塑性変形が容易なアルミ管や銅管などの金属管1を接合対象にしたものであって、金属管継手2と、この金属管継手2の筒状の継手本体3の両側に内嵌合されて接合固定される金属管1,1との組み合わせ構造から成る。
【0013】
金属管継手2は、所定長さに切り出された例えばステンレスパイプを素材にして成形されており、この素材の管軸中心P方向の中央部を環状に凹入させて、継手本体3に対する金属管1,1の嵌合代を規定する嵌合規定具4を形成し、かつ、この嵌合規定具4の管軸中心P方向両側の素材部分を環状に膨出させて、Oリングなどによるシール材5の嵌合保持部6,6を形成して成る。
【0014】
一方、継手本体3の両側に内嵌合される金属管1,1は、その外径が継手本体3の内径よりもやゝ小径であって、その先端が先狭まりのテーパー面部Sに形成されており、かつ、シール材5は、嵌合保持部6に嵌合保持された状態で、その内径が金属管1の外径よりも小径で且つテーパー面部Sの先端側の外径よりも大径になるように形状設定されている。
【0015】
上記の構成において、図2に示すように、前記継手本体3に金属管1を内嵌合させて、この金属管1の先端を、シール材5を貫通させて嵌合規定具4に当て付けることで、継手本体3に対する金属管1の内嵌合が規定通りに達成されるのであるが、このとき、金属管1の先端をテーパー面部Sに形成しているので、この金属管1の継手本体3に対する嵌め込みを容易に行うことができると共に、金属管1の先端をシール材5に貫通させる際のシール材5の損傷も確実に避けることができる。
【0016】
また、嵌合保持部6に嵌合保持されたシール材5は、金属管先端のテーパー面部Sの貫通に伴って拡径されて、そのテーパー面部Sが貫通した後の金属管1の外周面に密着することから、金属管1の多少の位置ずれに拘らず、シール材5を金属管1の外周面に一定の力で密着させることができる。
【0017】
このようにして、金属管1を規定通りに継手本体3に内嵌合させた状態で、図3に示すように、この継手本体3のシール材5よりも端部側の本体部分3aを、この継手本体3に内嵌合された金属管1共に、合計4箇所でスポット状に凹入させて、このスポット状の凹入部a,a、b,bによって、金属管1を抜け止め状態で継手本体3に接合固定させるのである。
【0018】
上記のスポット状凹入部a,a、b,bを形成するための圧入用のダイス7,7を図4および図5に示している。
このダイス7,7は、共に同一形状を呈するものであって、加圧手段8に対する取り付けピン7aを背面に備えたダイス本体7bに半円形の凹部7cを形成し、この凹部7cの半円軸線まわりに、各2個のスポット状凹入部a,bを形成するための突起c,dを膨出させると共に、各突起c,dを凹部7cの半円軸線方向で位相を異ならせて成る。
【0019】
上記の加圧手段8は、固定側のダイス受け具9と、この固定側ダイス受け具9に対して接近離間方向に駆動される可動側のダイス受け具10とを備えており、かつ、ダイス受け具9,10のそれぞれには、ダイス7の取り付けピン7aを嵌入保持する保持孔eが同芯状に形成されて成る。
一方、前記の圧入用ダイス7,7の突起c,dは砲弾状を呈し、その軸線を取り付けピン7aの軸線に沿わせるようにして、前記ダイス本体7bの凹部7cに膨出させている。
【0020】
従って、加圧手段8のダイス受け具9,10のそれぞれにダイス7,7をセットし、かつ、規定通りに金属管1を内嵌合させた継手本体3に対して、上記の圧入ダイス7,7を、継手本体3のシール材5よりも端部側の本体部分に位置合わせした状態で、可動側のダイス受け具10を加圧突出させると、継手本体3とこれに内嵌合させた金属管1とが突起c,dによって局部的に凹入されて、合計4個のスポット状凹入部a,a、b,bによって、金属管1が抜け止め状態で継手本体3に接合固定されることになる。
【0021】
このように、スポット状の凹入部a,a、b,bによって金属管1を継手本体3に接合固定させることは、凹入部を周方向に延びるように形成することに比較して、金属管1に対する凹入ダメージの大幅な軽減に繋がる。
【0022】
そして、スポット状の凹入部a,a、b,bの内、一組のスポット状凹入部a,aの対と、残りの一組のスポット状凹入部b,bの対とが、それぞれ管軸中心Pに直交する軸線上に位置することで、金属管1が管軸中心Pに直交する軸線上の2点で均等に凹入されることになり、更に、各組のスポット状凹入部a,a、b,bの位相が管軸中心P方向ならびに管軸中心Pまわりで互いに位相が異なって、スポット状の凹入部a,a、b,bが管軸中心P方向ならびに管軸中心Pまわりに分散することで、凹入のダメージが金属管1に集中することが回避されるのである。
【0023】
これらの相剰によって、スポット状凹入部a,a、b,bまわりの金属管部分が、凹入部の形成に伴って引きつられるように縮径する事態が生じなくなり、延いては、図3に一部を取り出して拡大図示したように、金属管1側のスポット状凹入部a1が継手本体3側のスポット状凹入部a2に密接するように形成されることで、継手本体3に対する金属管1の抜け止め機能が高くなり、例えばウオーターハンマーの衝撃圧などによる金属管引き抜けの事態が確実に防止される。
【0024】
尚、上記の実施例では、45度などの面取りによるテーパー面部Sを金属管1の先端に形成しているが、アールの面取りによるテーパー面部に形成してもよく、或いは面取りに代えて、金属管の端部を絞り込んでテーパー面部を形成するようにしてもよい。
また、2個の対のスポット状凹入部a,a、b,bを2組だけ設ける構成としているが、3組以上の複数組にしてもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、継手本体に内嵌合させた金属管を凹入部の形成によって接合固定させるに際して、その金属管の先端によるシール材の損傷を避けつつ、このシール材を金属管の外周面に密着させるようにしたことで、金属管の多少の位置ずれを伴ったとしても、継手装置毎で一定したシール性を確実に実現させることができる。
【0026】
そして、凹入部をスポット状にすることに加えて、凹入部形成の応力を金属管の周方向で偏らせないように分散させて、金属管が集中的に縮径の凹入ダメージを受けないようにしたので、スポット状の凹入部まわりの金属管部分が、凹入部の形成に伴って引きつられるように縮径する事態が生じなくなり、延いては、金属管側のスポット状凹入部が継手本体側のスポット状凹入部に密接するように形成されることで、継手本体に対する金属管の抜け止め機能が高くなり、例えば、ウオーターハンマーの衝撃圧などによる金属管引き抜けの事態が確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属管の継手装置を示す断面図である。
【図2】金属管の一方を規定の嵌合代で継手本体に内嵌合させた状態を示す断面図である。
【図3】スポット状の凹入部によって金属管を接合した状態を示す断面図である。
【図4】継手本体に対する金属管の接合状態を示す斜視図である。
【図5】加圧手段の説明図である。
【図6】従来例の金属管の継手装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1…金属管、3…継手本体、4…嵌合規定具、5…シール材、a,b…スポット状凹入部、P…管軸中心、S…テーパー面部。

Claims (2)

  1. 金属製の筒状継手本体に金属管を内嵌合させて接合するための金属管の継手装置において、前記金属管の先端を先狭まりのテーパー面部に形成し、前記継手本体の内面部には、前記テーパー面部を貫通させて金属管の外周面に密接するシール材を設ける一方、前記継手本体のシール材よりも端部側の本体部分を、継手本体に内嵌合された金属管と共にスポット状に凹入させ、このスポット状凹入部を、管軸中心に直交する軸線上での2個の対の複数組とし、かつ、各組のスポット状凹入部を、管軸中心方向ならびに管軸中心まわりで互いに位相を異ならせてあることを特徴とする金属管の継手装置。
  2. 前記継手本体のシール材よりも奥側に、継手本体に対する金属管の嵌合代を規定するための嵌合規定具を設けてある請求項1記載の金属管の継手装置。
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