JP3694243B2 - ホース引上げ装置及びホース引上げ装置を用いた排水管洗浄装置、並びに排水管の洗浄方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は集合住宅等の排水管を洗浄する際、用いられるホースの引上げ装置及びホース引上げ装置を用いた排水管洗浄装置、並びに排水管の洗浄方法に関し、特に、高圧水噴射洗浄法において用いられるホース引上げ装置及びホース引上げ装置を用いた排水管洗浄装置、並びに排水管の洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、土地の有効活用等の理由から、ビル形式の集合住宅等が多く建てられ、しかも高層化、超高層化している。このビル形式の集合住宅等からの生活排水(汚水)は、個別住宅からビル内部に設けられた共用排水管を介して、外部の排水管に排出され、良好な生活環境が維持されるようになされている。
しかしながら、この生活排水(汚水)には多量の残渣、油脂等が含まれているため、残渣、油脂等が入り交じって共用排水管の管壁に固形物になって付着し、排水管を閉塞することがある。また、この固形物から悪臭が放され、生活環境を悪化させることがある。
このような生活環境の悪化を防止し、良好な生活環境を維持するため、一定期間ごとに共用排水管の清掃が必要となる。
【0003】
従来このように排水管内に付着した固形物を洗浄する(除去する)一つの方法として、高圧水噴射洗浄法(以下、高圧洗浄法という)がある。この高圧洗浄法は、ホースの先端に設けられたノズルから排水管内に付着した固形物に向けて、高圧の水を噴射し、前記固形物を除去するものである。
【0004】
次に、図7に基づいて、ビル形式の集合住宅などにおける高圧洗浄法による排水管の洗浄手順について説明する。
まず、先端に高圧の水あるいは温水を噴射するノズル1が取り付けられたホース2を排水管3内に入れ、ビルの屋上Aから前記排水管3の最下部まで降ろす。その後、前記ノズル1から高圧の水、あるいは温水を噴射しながら、ホース2を引き上げる。この引き上げ速度が早過ぎる場合には、洗浄が不十分となるため、ゆっくりと引き上げる。そして、前記ノズル1がビルの屋上A近傍まで引き上げられたら、ノズル1から高圧の前記水、あるいは温水を噴射しながら、ホースをゆっくりと再び降す。排水管3の最下部までこの洗浄状態を維持し、ノズル1が最下部まで降されたら、洗浄を終了する。洗浄終了後、ホース2を引き上げ、作業を終了する。
【0005】
また、ビルの屋上Aに排水管3の開口部3aが設けられているほか、図8に示すように排水管3の途中に開口部3bが設けられている場合がある。特に、高層化、超高層化したビルにあっては、ビルの屋上Aからの作業では長いホースが必要となるばかりでなく、作業が困難になる。
それを回避するため、排水管3の途中に設けられた開口部3bからホースを挿入し、洗浄作業を行うようになされている。この場合においても、開口部3bからノズル1が設けられたホース2を降ろし、前記ビルの屋上Aからの洗浄方法と同様な手順により排水管の洗浄が行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記洗浄方法によれば、1つの排水管に対して、ノズルを上昇させながら洗浄した後、再び下降させながら洗浄するものであるため、ノズルが設けられたホースを2度上げ、下げする必要がある。
この作業は人手で行なわれ、非常に労力を使う作業であった。特に、今日の高層化、超高層化した集合住宅での作業はホースの長さも増し、それに伴い上げ下げするホースの重量も増大するため、かなりの重労働であった。また、人手作業によるため、引き上げ速度、引き下げ速度を一定にすることが困難であり、とかく早い速度で引き上げ引き下げを行いがちになり、十分な洗浄ができないという技術的課題があった。
【0007】
これを解決する方法として、ウインチ等を用いたホース巻取り装置を使用することが考えられる。
しかしながら、ホースが巻取り装置に巻き取られるにしたがって、巻取り部の径が変化し、それに伴いホースの引き上げ速度、引き下げ速度が変化する。そのため、引き上げ速度、引き下げ速度を一定に保つことができず、前記した排水管の不十分な洗浄の問題を解決できるものではなかった。また集合住宅が高層化、超高層化するにつれてホースが長くなり、巻取り装置も大型化するという新たな問題が生じた。このように、ウインチ等を備えたホース巻取り装置を用いても満足できるものではなく、未だ前記した技術的課題を解決するに至っていない。
【0008】
また、前記したホースの引き上げ速度、引き下げ速度についても、より高い洗浄効果を得る速度についての検討がなされておらず、作業者の経験によるところが多かった。
【0010】
本発明は、前記技術的課題を解決するためになされたものであり、作業者の労力を軽減すると共に、ホースの引き上げ速度、引き下げ速度をほぼ一定に行うことのできるホース引上げ装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記技術的課題を解決するためになされたものであり、作業者の労力を軽減すると共に、より洗浄効果を得ることができる排水管洗浄装置、排水管の洗浄方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記技術的課題を解決するためになされた本発明にかかるホース引上げ装置は、ビル形式の集合住宅等における排水管の洗浄に用いられるホース引上げ装置であって、ホースが1回もしくは複数回、巻回されるドラムと、前記ドラムを正転、逆転させると共に、ほぼ一定の速度で回転させるモータとを備え、前記ドラムと前記ドラムに巻回されたホースとの間の摩擦力によって前記ホースが落下することなく、前記モータの駆動力によって前記ホースを引き上げることを特徴としている。
【0012】
このように、前記ドラムと前記ドラムに巻回されたホースとの間の摩擦力によってホースが落下することなく、ホースを引き上げるように構成されているため、作業者の労力は軽減され、しかも一定の速度で引き上げることができるため、排水管の良好な洗浄を行うことができる。また、前記ドラムが正転、逆転可能に構成されているため、ホースを引き上げることのみならず、一定の速度で引き下げることもできる。
【0013】
また、前記技術的課題を解決するためになされた本発明にかかるホース引上げ装置は、ビル形式の集合住宅等における排水管の洗浄に用いられるホース引上げ装置であって、基台と、前記基台の前端部に取り付けられた第1のローラと、前記基台の上面に設けられた回転可能に軸支されたドラムと、前記ドラムに接続し、前記ドラムを正逆回転可能に、かつ所定の速度で回転させるモータと、前記基台の後端部に取り付けられた第2のローラとを備えることを特徴としている。
このように、第1のローラと第2のローラが基台の前端部、後端部に設けられているため、ホースが重なり合うことなく、ドラムに対してホースを1回もしくは複数回、巻回することができる。
【0014】
また、前記第1、2のローラは、周面が凹曲面あるいはV字形状の面に形成されたローラ本体と、前記ローラ本体を軸支する軸支部材と、前記軸支部材が設けられた基体と、前記基体を基台に固定する固定部材と、前記ローラ本体の前方に突出したホース位置規制部材とを備えていることが望ましい。
このように、周面が凹曲面あるいはV字形状の面に形成されたローラ本体、及び前記ローラ本体の前方に突出したホース位置規制部材を備えているため、前記ローラ本体からホースが外れることがなく位置が規制され、ドラムに対して、適正な巻回を行うことができる。
【0015】
ここで、ホースの先端に回転可能なノズル本体が装着され、前記ノズル本体が20mm/秒乃至100mm/秒の範囲の速度をもって、引上げられるようになすことが、より高い洗浄効果を得るために望ましい。
【0016】
また、前記技術的課題を解決するためになされた本発明にかかる排水管洗浄装置は、前記したホース引上げ装置を用いた排水管洗浄装置であって、ホース引上げ装置により引上げられるホースと、前記ホースの先端に装着された高圧水を噴射するノズル本体とを備えたことを特徴としている。
このように、ホース引上げ装置によりホースを引上げられるため、作業者に多大な労力をかけることなく、ノズル本体を所定の速度で移動させることができる。
【0017】
また、前記技術的課題を解決するためになされた本発明にかかる排水管洗浄装置は、前記したホース引上げ装置を用いた排水管洗浄装置であって、ホースの先端に装着された、回転しながら高圧水を噴射するノズル本体と、前記ノズル本体が一端に接続されるロータリージョイントと、高圧水をノズル本体に供給すると共に、ホース引上げ装置により引上げられるホースとを備え、ホースの先端に装着されたノズル本体が90rpm乃至300rpmの範囲で回転可能に構成されると共に、前記ホース引上げ装置によりノズル本体が20mm/秒乃至100mm/秒の範囲で移動可能に構成されていることを特徴としている。
このように、ホース引上げ装置によりホースを引上げられるため、作業者に多大な労力をかけることなく、ノズル本体を所定の速度で移動させることができる。しかも、前記したようなズル本体の回転数、ノズル本体の移動速度である場合、固形物が螺旋状に残存することがなく、より完全に固形物を除去することができる。
【0018】
また、前記技術的課題を解決するためになされた本発明にかかる排水管洗浄方法は、ホースの先端に装着されたノズル本体を90rpm乃至300rpmの範囲で回転させると共に、前記ホース引上げ装置によってノズル本体を20mm/秒乃至100mm/秒の範囲で移動させながら、ノズル本体から高圧水を噴射し、排水管を洗浄することを特徴としている。
前記したように、ホース引上げ装置によりホースを引上げられるため、作業者に多大な労力をかけることなく、ノズル本体を所定の速度で移動させることができる。しかも、前記したようなズル本体の回転数、ノズル本体の移動速度である場合、固形物が螺旋状に残存することがなく、より完全に固形物を除去することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明にかかるホース引上げ装置の実施形態を示す図であり、図2は、図1に示したホース引上げ装置のローラ部を示す平面図である。なお、図7、図8に示す部材と同一あるいは相当する部材は、同一符号を付する。
図1において、符号4は基台であって、その前端部4aには前方向に突出して第1のローラ5が取り付けられている。また、前記基台4の前部に上面には、ドラム6が回転可能に軸支され、前記ドラム6の回転軸はモータ7の回転軸と接続されている。また、前記後端部4cは、前記ドラム6が取り付けられた上面4bよりも、一段高く形成され、その後端部4cには上向に突出した第2のローラ8が取り付けられている。なお、基台4の下には、基台4の移動を容易ならしめるため、キャスター9が設けられている。
【0022】
前記第1のローラ5について図2に基づいて更に詳しく述べると、第1のローラ5はローラ本体5aと、前記ローラ本体5aを軸支する軸支部材5bと、軸支部材5bが取り付けられた基体5cと、前記基体5cを基台4aに固定する固定部材5dと、前記基体5cに一端が固定され、他端がローラ本体5aの前方に突出した一対の位置規制部材5eとから構成されている。
前記第1のローラ5のローラ本体5aは、その周面が凹曲面あるいはV字形状の面に形成されている。そのため、ホース2がローラ本体5aの周面から外れ難い。またローラ本体5aの前方に突出した一対の位置規制部材5eが設けられ、この位置規制部材5e間にホース2を配することにより、ホース2の乱れが防止される。その結果、ホース2は前記ローラ本体5aの適正な位置に接触する。
【0023】
また、前記固定部材5dは、ねじ部5d1と押え部5d2からなり、ねじ部5d1によって押え部5d2を移動させ、押え部5d2で基台4aを押えることにより、基体5cを固定するように構成されている。したがって、ねじ部5d1を緩めることによって、基体5cは基台4の前端部4a上を移動することができ、第1のローラ5を適正な位置に配置することができる。また、前記基台4の前部に上面に回転可能に軸支されたドラム6には、ホース2が一回転、あるいは複数回転、具体的には2〜5回転程度巻き付けられる。このホース2とドラム6との間の摩擦力によって、前記ホースは落下することなく、ほぼ一定の速度をもって、引き上げられ、また引き下げられる。このように、ドラム6はホース2のすべてを巻き取るものでないため、その両端部に形成される鍔部6aは高さの低いもので足りる。
【0024】
更に、前記ドラム6と接続され、前記ドラム6を回転させるモータ7は、図示しない制御装置によって、正転、逆転可能、及び速度調整に構成されている。
このように、ドラム6が正転、逆転可能に構成されているため、ほぼ一定の速度をもって、ホース2の引き上げ、引き下げ作業を行うことができる。また、ドラム6の回転速度が調節可能に構成されているため、排水管3の汚れに応じた引き上げ、引き下げ速度を選択でき、能率的に作業を行うことができる。また洗浄終了後にあっては、洗浄時よりも早い速度でホース2を引き上げることができる。
【0025】
また、電源を切った際、ホース2の重量によってドラム6が回転しないように電磁ブレーキ(図示せず)が装着されている。その結果、電源を切った際、ホース2の重量によってドラム6が回転し、ホース2が落下するという事故を防止することができる。
また、前記後端部4cに設けられた第2のローラ8の構成は、前記した第1のローラ5の構成と同一である。ただし、前記ローラ本体8aが後端部4cの上方に位置し、ホース2の位置を規制する一対の位置規制部材8e上方に向けて形成されている点が異なる。
【0026】
なお、本発明にかかるホース引上げ装置の上記実施形態にあっては、ホースは排水管側から第1のローラ、ドラム、第2のローラの順で掛けられる場合について説明したが、例えば、排水管の途中に設けられた開口部のようにある程度の高さを有する場合には、排水管側から第2のローラ、ドラム、第1のローラの順でホースを掛けて使用しても良い。
【0027】
次に、図3及び図4に基づいて、排水管の途中からホースを管内部に挿入する際、用いられる汚水飛散防止具について説明する。
図中、符号10は基体であって、その中央部にはホース2が挿通するための上端部が開放した開口部10aが形成され、また、その裏側面には切り込み線11aが設けられたゴム製の板部材11が取り付けられている。
また、基体10の両側面(表裏面の両面)にローラ12、13が回転可能に軸支されている。
このように構成された汚水飛散防止具を排水管3の開口部3bに取り付けると、前記開口部3bは基体10及びゴム製の板部材11によって閉じられる。また、前記ゴム製の板部材11は、開口部10aを閉塞するように、基体10の裏側面に配されたローラ13を上から覆うため、汚水は図3に矢印で示すように、ローラ13の上を覆っているゴム製の板部材11の上面を流れる。
その結果、汚水が排水管3の外部に飛散することが抑制され、集合住宅の廊下等を汚すことがなく、また作業者が汚水によって濡れることもない。また、ホース2は排水管3の開口部3bの縁部3cと直接接することがなく、ローラ12、13の周面と接するため、ホースの損傷は極力抑制される。
【0028】
次に、図5、6に基づいて、排水管洗浄装置における、ホースの先端に装着されるノズル本体22、ロータリージョイント23の構成について説明する。
図5に示すように、ノズル本体22は、高圧水が流れる複数に分岐した流路22cと、複数に分岐した流路22cに対応した複数の噴射口22dが設けられた第1の本体22aと、前記第1の本体22aの上面に取り付けられる第2の本体22bとから構成されている。
この第2の本体22bは、螺子24を第1、2の本体の螺子部2eに螺合させることにより、第1の本体22aに固定される。
【0029】
また、この複数の噴射口22dは、図6に示すように、ノズル本体22の中心(回転中心O)からずれた位置に設けられているため、複数の噴射口22d(図4では4つの噴射口22dを図示)から高圧水が噴射することによって、ノズル本体22に回転力が生ずるように構成されている。
即ち、その流路22cの出口である噴射口22d(の中心線)は、第1の本体22aの中心Oから距離Lずれた位置に形成されている。
【0030】
よって、図6に示すように、4つの噴射口22dから高圧水の噴射力F1 、F2 F1 、F2 、F3 、F4 の反力として、ノズル2はf1 、f2 、f3 、f4 を受ける。この反力f1 、f2 、f3 、f4 は、ノズル2の中心O(回転中心)に対して、L(f1 +f2 +f3 +f4 )の回転モーメントとして働くため、ノズル本体22に回転力が生じ、ノズル本体22は回転する。
【0031】
また、ノズル本体22から噴射される高圧水の圧力が、80kg/cm2 〜150kg/cm2 の範囲になるように調整される。この調整は、図示しない高圧水発生装置によって行なわれる。
前記した80kg/cm2 未満の圧力ではノズルを回転させることができず、150kg/cm2 を越える圧力では高回転になり、洗浄効果が得られないためである。より好ましくは、その圧力が100kg/cm2 〜130kg/cm2 に調整されていることが望ましい。
【0032】
また、第1の本体22aに設けられた流路22cは、第2の本体22b方向に延設され、第1の本体22aの下端面から上方30〜60度方向に延設され、噴射口22dから噴射される高圧水が、水平な面に対して30度乃至60度の角度θをもって、噴射するように形成されている(図6参照)。
【0033】
また、前記したように第1の本体22aと第2の本体22bは螺子24によって一体的に構成され、第1の本体22aに形成された螺子部22eを介してロータリージョイント23の回転軸23aに取り付けられている。
また、ロータリージョイント23は、ノズル本体22が取り付けられると共に、その中心部分に流路23bが形成されている回転軸23aと、前記回転軸23aを収納する第1のケース本体23cと、前記第1のケース本体23cと回転軸23aとの間に介装され、前記回転軸23aを保持するボールベアリング23d、23e、23fと、前記回転軸23aを回転可能に保持する第2のケース本体23gと、前記第2のケース本体23gを第1のケース本体23cに固定する螺子23hと、前記回転軸23aを収納する第1のケース本体23cと回転軸23aとの間に介装され、前記回転軸23aに所定の負荷を加えるブレーキ機構23iとを備えている。
【0034】
また、第2のケース本体23gの上端部には、螺子部23jが形成され、ホースジョイント21が接続されるように形成されている。このホースジョイント21はホース2をロータリージョイント23に接続するもので、前記ホースジョイント21の後端部にホース2が接続されている。
また前記第2のケース本体23gの中心部分には流路23kが形成れ、ホース2、流路23k、流路23b、流路22cを通して、噴射口22dから高圧水が噴射するように構成されている。
【0035】
また、ブレーキ機構23iは円筒形状をなし、その外周側面に金属棒23lが第1のケース本体23cの内壁に摺動するように埋設されている。このように金属棒23lが第1のケース本体23cの内壁を摺動するように埋設されているため、前記回転軸23aの回転に対して、所定の負荷が加えられる。
このブレーキ機構23iは、回転軸23aに所定の負荷を加えることによって、ノズル2の回転を抑制するものである。
すなわち、ブレーキ機構23iによって、前記した噴射される高圧水の圧力が、80kg/cm2 〜150kg/cm2 の場合には、ノズル本体22の回転数が、90rpm〜300rpmになされる。
【0036】
なお、符号23mはドレインであって、ノズル22の噴射口22eが目づまりを起こした場合になどにおいて、前記ドレイン23mから高圧水が排出されるように構成されている。
【0037】
次に、前記したノズル本体22等が装着された排水管洗浄装置を用いた排水管を洗浄する方法について、図1に基づいて説明する。まず、該ホース引上げ装置をビルの屋上Aに設置する。設置後、ホース2を一対の位置規制部材8e間を通し、ローラ本体8aの周面上におき、ドラム6に一回転、あるいは数回転巻き付ける。このとき、巻き付けたホース2が重なり合わないようにドラム6に巻き付ける必要がある。重なりあってドラムに巻き付けられると、ドラム6の周面とホース2との間の所定の摩擦力を得ることができず、ホース2の引き上げ、あるいは引き下げができなくなるためである。また、ドラム6に巻き付けられたホース2は、位置規制部材5e間に配され位置規制されと共に、基台4の前端部4aに取り付けられた第2のローラ5に接するように配される。
【0038】
その後、排水管3の上端部の開口部3aから、先端に高圧の水あるいは温水を噴射するノズル本体22が取り付けられたホース2を入れ、ビルの屋上Aから該排水管3の最下部まで降ろす。このときドラム6の回転にしたがって、ホース2は下降するが、洗浄作業を行わないため、ドラム6の回転を早め、最下部まで早い速度で降ろす。
このとき、ホース2の一端部は作業者によって保持され、順次、第2のローラ本体8aにホース2を供給すると共に、前記ホース2がローラ本体8aから外れないようにする。
【0039】
その後、挿入元側(排水管A上部口側)にノズル本体22を引上げながら、前記ノズル本体22より高圧水を噴射し、固形物を連続的に除去する。このときのノズル本体22から噴射される高圧水は、80kg/cm2 〜150kg/cm2 の圧力をもって噴射され、このときのノズル本体22は、90rpm〜300rpmで回転する。
【0040】
引き上げる際、前記モータ7の回転を逆転させ、かつその速度も遅くなるように調節する。この引き上げ速度が速すぎる場合には、配水管内部に螺旋状に固形物が残存し、固形物の除去を十分に行えない。そのため具体的には、20mm/秒〜100mm/秒の速度で引上げる。
このホース2の引上げ力は主として、モータの駆動力によるものであって、引き上げ速度はドラム6の回転速度による。したがって、作業者は位置規制部材8eを通過したホース2を保持するが、これは引き上げられたホース2がローラ本体8eから外れないようにするためであり、また引き上げられたホース2の整理のためである。
【0041】
なお、ホース2の自重(ホース2の落下する力)が、ドラム6に巻き付けられたホース2とドラム6の摩擦力よりも大きいときには、作業者の力を加えることによってホース2を引上げる。この場合であっても、労力は、従来の引き上げ作業に比べて軽減される。
【0042】
なお、より完全に固形物を除去するために、ノズル本体の噴射口が2つの場合には、ノズル本体の回転数が120rpm乃至300rpmであって、かつノズル本体の移動速度が20mm/秒乃至50mm/秒であることが望ましく、ノズル本体の噴射口が4つの場合には、ノズル本体の回転数が90rpm乃至300rpmであって、かつノズル本体の移動速度が30mm/秒乃至100mm/秒であることが望ましい。
特に、前記したようにノズル本体22の引上げ速度v(mm/秒)と回転数ω(rpm)との関係(v/ω)が、ノズル本体22の噴射口が2つの場合には、v/ω=1/6、ノズル本体22の噴射口が4つの場合には、v/ω=1/3とすることにより、排水管内部に付着した固形物を残存させることなく、より完全に除去できる。
【0043】
そして、特に汚れがびどい部分は、その部分でノズル本体22を上下動させ、最終的にノズル本体22を屋上近傍まで引き上げる。
そして、ノズル1がビルの屋上A近傍まで引き上げられたら、前記モータ7の回転を反転させて、ノズル1から高圧の前記水、あるいは温水を噴射しながら、ホース2を一定速度で降下させる(引き下げる)。この降下(引き下げ)速度も引き上げ速度と同じ速度で行われる。そして、排水管3の最下部まで洗浄状態を維持しつつ、ノズル1が最下部まで降されたら、洗浄を終了する。
洗浄終了後、ホース2を引き上げ作業を終了する。このときのホース2は早い速度で引き上げるのが、作業能率向上のため望ましい。
なお、ホース2のドラム6に巻き付ける回数は、降下させるホースの長さが長くなるにつれて、多くする。即ち、ホース2の重量が増加するため、その分ドラム6とホース2の摩擦力を多くするためである。
【0044】
なお、上記実施形態にあっては、ノズル本体が回転する場合について説明したが、ノズル本体が回転しない場合にも当然に適用することができる。しかし、より高い洗浄効果を得たい場合には、ノズル本体を上記した所定の回転数をもって回転させるのが好ましい。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかるホース引上げ装置によれば、作業者の労力を軽減すると共に、ホースの引き上げ速度、引き下げ速度をほぼ一定に行うことがき、良好な洗浄を行うことができる。
また、本発明にかかる排水管洗浄装置、排水管の洗浄方法によれば、作業者の労力を軽減すると共に、より高い洗浄効果を得ることができる。
更に、本発明にかかる汚水飛散防止具によれば、排水管の途中の開口部から前記ホースを排水管内部に入れる場合にも、汚水の外部への漏れを極力少なくすることができ、またホースの損傷を極力抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の実施形態にかかるホース引上げ装置の概略斜視図である。
【図2】 図2は、図1に示す第1のローラの概略構成図である。
【図3】 図3は、本発明の実施形態にかかる汚水飛散防止具の側面図である。
【図4】 図4は、図3に示す汚水飛散防止具の正面図である。
【図5】 図5は、ホースの先端に装着されるノズル本体、ロータリージョイントを示す断面図である。
【図6】 図6は、図5に示すノズル本体を示す図であって、(a)は側面図、(b)は底面図である。
【図7】 図7は、高圧洗浄法を説明するための概略図である。
Claims (6)
- ビル形式の集合住宅等における排水管の洗浄に用いられるホース引上げ装置であって、
基台と、前記基台の前端部に取り付けられた第1のローラと、前記基台の上面に設けられた回転可能に軸支されたドラムと、前記ドラムに接続し、前記ドラムを正逆回転可能に、かつ所定の速度で回転させるモータと、前記基台の後端部に取り付けられた第2のローラとを備えることを特徴とするホース引上げ装置。 - 前記第1、2のローラは、周面が凹曲面あるいはV字形状の面に形成されたローラ本体と、前記ローラ本体を軸支する軸支部材と、前記軸支部材が設けられた基体と、前記基体を基台に固定する固定部材と、前記ローラ本体の前方に突出したホース位置規制部材とを備えていることを特徴とする請求項1に記載されたホース引上げ装置。
- ホースの先端に回転可能なノズル本体が装着され、前記ノズル本体が20mm/秒乃至100mm/秒の範囲の速度をもって、引上げられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたホース引上げ装置。
- 前記請求項1または請求項2に記載されたホース引上げ装置を用いた排水管洗浄装置であって、
ホース引上げ装置により引上げられるホースと、前記ホースの先端に装着された高圧水を噴射するノズル本体とを備えたことを特徴とするホース引上げ装置を用いた排水管の洗浄装置。 - 前記請求項1または請求項2に記載されたホース引上げ装置を用いた排水管洗浄装置であって、
ホースの先端に装着された、回転しながら高圧水を噴射するノズル本体と、前記ノズル本体が一端に接続されるロータリージョイントと、高圧水をノズル本体に供給すると共に、ホース引上げ装置により引上げられるホースとを備え、
ホースの先端に装着されたノズル本体が90rpm乃至300rpmの範囲で回転可能に構成されると共に、前記ホース引上げ装置によりノズル本体が20mm/秒乃至100mm/秒の範囲で移動可能に構成されていることを特徴とするホース引上げ装置を用いた排水管の洗浄装置。 - 前記請求項5に記載された排水管の洗浄装置の洗浄方法であって、
ホースの先端に装着されたノズル本体を90rpm乃至300rpmの範囲で回転させると共に、前記ホース引上げ装置によってノズル本体を20mm/秒乃至100mm/秒の範囲で移動させながら、ノズル本体から高圧水を噴射し、排水管を洗浄することを特徴とする排水管の洗浄方法。
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