JP3693052B2 - 電子制御式機械時計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ぜんまいが開放する時の機械エネルギーを駆動源として動作しつつ、一部電気エネルギーに変換し、この電力により回転制御手段を作動させて回転周期を制御する電子制御式機械時計に関する。
【0002】
【背景技術】
電子制御式機械時計の駆動原理は、ぜんまいをエネルギー源として輪列を駆動するが、機械時計に固有のてんぷおよびがんぎ車からなる機械式調速機構に替えて、輪列に連繋する発電機を用いる。発電機は、輪列からの回転を受けて発電し、これによって生じた電力により制御用の電子回路を駆動し、電子回路からの制御信号により前記発電機の回転周期を制御することで、輪列に制動をかけて調速する。従って、この構造では、駆動源となる電池が不要で、しかも電子時計と同程度の高精度を得られる。
【0003】
この種のハイブリッド型時計の従来技術として、本出願人が先に開発した技術がある(特許文献1参照)。図7は特許文献1に開示された時計の平面図、図8は同時計に用いられる発電機の分解斜視図である。
【0004】
電子制御式機械時計は、ぜんまい1aと図示しない香箱歯車、香箱真および香箱蓋とからなる香箱車1を備えている。ぜんまい1aは、外端が香箱歯車に当接、または固定され、内端が香箱真に固定される。香箱真は、地板と輪列受に支持され、角穴車と一体で回転するように角穴ねじ5により固定されている。
ぜんまい1aを内蔵した香箱車1からの回転動力は、二番車7、三番車8、四番車9、五番車10、六番車11からなる輪列を介して増速されて発電機20に連繋される。
【0005】
発電機20は、従来の電池駆動式電子時計の駆動用ステップモーターに類似する構造であり、ローター12,ステーター21,22およびコイル23,24からなっている。
ローター12は、六番車11に連繋して回転するローターかな12aの軸回りに、ローター磁石12b、ローター慣性円板12cを一体に取付けたものである。
【0006】
ステーターは、幅広状のステーター21と、幅狭状のステーター22の組合わせからなっている。各ステーター21,22の構成材料は、PCパーマロイであり、それぞれの外周にコイル23およびコイル24が巻線され、各々の発電電圧を加えた出力電圧となるように各コイル23,24が直列接続されている。
【0007】
各ステーター21,22の先端部21a,22aの対向位置には、それぞれ円弧状のステーター切欠部25,26が対向して形成され、ローター磁石12bを回転可能に収容している。さらに、各ステーター21,22の後端部21b,22bは、ステーター21,22間を互いに接続して磁路を形成するために、互いに重なり合う形状に形成されている。各ステーター21,22はねじ15により地板に固定されている。
従って、以上のステーター21,22の組立て状態では、ステーター切欠部25,26は互いにその中央で所定のギャップgを設けて切離された状態でローター磁石12bの外周を包囲して配置される。
【0008】
以上の構成を備えた発電機20は、ローター12の回転により得られた電力を、図示しないコンデンサーを介して水晶発振器を備えた電子回路に給電し、この電子回路でローター12の回転検出および基準周波数に応じてローター回転の制御信号をコイルに送り、この結果、輪列は常時その制動力に応じて一定の回転速度で回転する。
【0009】
さらに、特許文献1に記載の技術では、発電機の各ステーター間に設けたギャップを所定寸法とするために、ステーターの位置決めの方法が開示されている。図9は、特許文献1に開示された発電機の平面図、図10(A),(B)は、同発電機のステーター先端部の断面図である。
図9において、発電機30は、同一形状のL型ステーター31の外周に同一巻回数のコイル32を巻線し、両コイル32間を直列接続している。そして、それぞれのステーター31の先端部31aには、円弧状のステーター切欠部33、ギャップGと90°交差位置に内ノッチ34をそれぞれ形成している。
【0010】
先端部31aのステーター切欠部33側の端縁には、図10(A)にも示すように、位置決め部材40が地板2上に設けられている。この位置決め部材40は、ステーター切欠部33に沿ってリング状に形成されている。
一方、ステーター31の先端部31aの両側には、位置決め部材35がそれぞれ配置されている。
【0011】
位置決め部材35は、ねじに類似するが、図10(A),(B)に示すように、その軸心35aを偏心させて地板2に回動可能に軸支したもので、図10(A)に示すタイプのものは、平小ねじ状の頭部35bで先端部31aの上面を押えつつこれを回動することで、先端部31aを、図の矢印に示すごとくステーター切欠部33の径方向に向けて移動可能としている。これにより、ステーター31を位置決め部材40に当接させてステーター31の先端部31aの位置合わせを正確かつ簡単に行うことができる。
【0012】
また、位置決め部材35としては、図10(B)に示すように、皿小ねじ状の頭部35cを有するものでもよい。この場合、その傾斜面に先端部31aの上面角部を接触させた状態で回動することで、図の矢印に示すようにステーター切欠部33の径方向に先端部31aを移動させて位置決め部材40に当接させるだけではなく、ステーター31を地板2に当接させてその上下方向の位置合わせを行うことができる。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−311782号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記のような発電機30では、次に述べる課題がある。
この発電機30は、ステーター31の位置決めのために、偏心した軸心を有する位置決め部材35を回動させて、ステーター31を位置決め部材40に当接させる構造とされている。
【0015】
位置決め部材35を回動させる時の個々の位置決め部材35の回転トルクには部品加工精度によりばらつきがある。そのため、ステーター31を押しつける力が一定とならず、発電機30の電磁気的性能にばらつきが生じていた。
この性能のばらつきを最小限に抑えるためには、作業者の勘に頼った手作業による調整が必要で、組み立て作業に時間と手間が掛かる。
【0016】
そして、位置決め部材35の固有の回転トルクが低い場合には、ステーター31を押しつける際に平均的な回転トルクを有する位置決め部材35の場合と同様に回動作業を行うと、ステーター31に応力が掛かることとなる。ステーター31に応力が掛かった状態の発電機30は、その磁気回路の磁気導通が損失を受けることに繋がるために所定性能を発揮できないことがある。
【0017】
また、逆に位置決め部材35の固有の回転トルクが高い場合には、ステーター31を位置決め部材40に当接させることができず、ステーター31とローター磁石12bとの適正な隙間が確保されないこととなり、発電機30が所定性能を発揮できないという不具合が生じることがある。
【0018】
さらに、各々のステーター31に対して位置決め部材35による押しつけは一方向からのみなのでステーター31に傾きが生じることがある。ステーター31が傾いた発電機30では、その磁気回路に歪みが生じ、発電性能の劣化に繋がる。
【0019】
本発明の第一の目的は、組み立て作業が容易で、安定した性能を発揮できる発電機を備えた電子制御式機械時計を提供することにある。
【0020】
さらに、他の課題として、落下等の衝撃に対するステーター31の上下方向の固定に関するものがある。
すなわち、位置決め部材35は、各々のステーター31の片側端縁のみに配置されるため、ステーター31自身の重心位置との間にずれがあり、ステーター31の上下方向への移動を十分に拘束することは困難である。
また、位置決め部材35の頭部35bとステーター31の上面との間には隙間が生じるため、ステーター31はその上下方向に移動可能であり、皿小ねじ状の頭部35cを用いたとしても、ステーター31に食い込むことで応力が掛かってしまうおそれがある。
従って、ステーター31の上下方向を完全に固定することはできず、落下や振動時の衝撃によってステーター31が移動し変形するおそれがある。そのため、発電機30が所定性能を発揮できないという不具合に繋がる可能性がある。
【0021】
本発明の第二の目的は、耐衝撃性の高い発電機を備える電子制御式機械時計を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子制御式機械時計は、ぜんまいをエネルギー源として輪列を駆動するとともに、輪列からの回転を受けて回転する発電機に電力を生じさせ、この電力により駆動される電子回路によって前記発電機の回転周期を制御させることで、輪列を調速するようにした電子制御式機械時計において、前記発電機は、前記輪列の回転に連繋して回転するローターと、対向配置された板状の2つのステーターと、前記各ステーターの一端に形成され、かつ前記各ステーターを組合わせた状態で前記ローター周囲の同心円上に配置される円弧状の一対のステーター切欠部と、前記各ステーターのうち少なくとも一方の外周に巻線されたコイルと、前記各ステーターの前記ステーター切欠部の内側端縁に当接し位置決めをする位置決め部材とを備えたものであり、前記各ステーターは、当該各ステーターを対向外側から挟みこんだ弾性部材により、前記位置決め部材に固定されることを特徴とするものである。
【0023】
このような構成の本発明においては、弾性部材の材質と寸法を適宜選択することで所定の弾性力が発生するため、ばらつきのない弾性力により各ステーターを挟持し位置決め部材側に当接させることができる。さらに、弾性部材の弾性力が一定であるので、ステーターに応力を発生させることなく、所定の位置に位置決めすることができる。また、各ステーターを両側から挟持して固定するため、ステーターに傾きを生じさせず組み立てることができる。
従って、組み立て作業を容易かつ効率的に行うことができるとともに、安定した発電性能を有する発電機を組み立てることができる。以上により、前記第一の目的が達成できる。
【0024】
この際、前記弾性部材は、前記各ステーターの上面に当接され、ねじ締めにより地板に固定されていることが好ましい。
このような構成では、上面に当接された弾性部材とともに各ステーターが地板に固定され、移動が拘束されているので、落下や振動時の衝撃によってステーターが変形せず所定の位置を維持できるため、発電性能が劣化しないという耐衝撃性を備えた発電機を組み立てることができる。以上により、前記第二の目的が達成できる。
【0025】
この際、前記各ステーターは、前記各ステーターの外側面が前記弾性部材の弾性力で押圧され、前記ステーター切欠部の内側端縁が前記位置決め部材に所定の押圧力を有して当接されていることが好ましい。
このような構成では、ステーターがその外側から内側の位置決め部材に向って弾性部材の弾性力で押圧されることにより、ステーター切欠部の内側端縁が位置決め部材に圧接されるので、ステーターが位置決め部材から離れる方向にずれたりすることなく、ステーターの位置決めをより確実に実施できる。
【0026】
この際、前記弾性部材は、低透磁率の材料からなることが好ましい。
このような構成では、各ステーターに跨って配置される弾性部材によって、ローター12手前で磁束が折り返す、いわゆる磁路のショートがなく、発電性能を妨げることなく各ステーターを挟み込むことができる。
【0027】
この際、前記弾性部材は、金属製であることが好ましい。
このような構成では、プレス加工等によって大量かつ安価に高い加工精度の弾性部材を製造することができ、製造コストを低減することができる。
【0028】
さらに、前記弾性部材は、樹脂製であってもよい。
このような構成では、射出成形等によって大量かつ安価に高い加工精度の弾性部材を製造することができ、製造コストを低減することができる。
【0029】
さらに、前記弾性部材は、その表面に低透磁率材料のメッキが施されていることが好ましい。
このような構成では、メッキ材料に錆びにくいものを採用すれば金属製の弾性部材の防錆効果を得ることができ、磁気回路への影響もないため、発電性能を確保できる。
【0030】
また、前記ステーターと地板との間には、前記コイルと導通されたリード基板と、前記電子回路が実装された回路基板とが挟持され、前記各ステーターを地板に固定することで、前記リード基板および前記回路基板が互いに導通されることが好ましい。
このような構成では、弾性部材によるステーターの位置決め、および地板への固定と同時に、リード基板および回路基板の導通部が密接され、互いに導通されるので、リード基板と回路基板とを結線する作業や、これらを導通させるための部品等を省略でき、作業の簡単化および部品点数の削減を促進できる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。
図1〜図3は、本発明の第1実施形態に係る電子制御式機械時計の要部を示す平面図および断面図である。なお、以下の説明では既に説明した部材と同じ部材には同一符号を付し、その説明を省略若しくは簡略にする。
【0032】
図1において、本発明の時計は、ぜんまいを内蔵した香箱車(図示せず)からの回転動力を、輪列を介して増速されて本発明にかかる発電機50に連繋している。
なお、香箱車の歯車の回転は、増速されて二番車へ、順次増速されて三番車へ、さらに増速されて四番車、五番車10、六番車11、最後に本発明の発電機50のローター12へと増速されてその動力を伝達する。
二番車7には、筒かなが、筒かなには分針が、四番車9には秒針がそれぞれ固定されている。従って、二番車を1rphで、四番車9を1rpmで回転させるように、ローター12の回転を制御すればよい。
【0033】
発電機50のローター12は従来と同一である。一方ステーターは、従来の発電機と同一配置で地板2上に配置されるものであるが、ほぼ同じ形状、大きさのステーター51,52の組合わせからなっており、それぞれの外周にコイル53およびコイル54を巻線し、各コイル53,54間を直列接続している。
これらのステーター51,52は、高い透磁率を有する磁性材料から形成されており、高透磁率材料としては、PCパーマロイやコバルト系アモルファス材等が採用できる。
なお、各ステーター51,52は、それぞれ1枚の磁性材料から形成されたものでもよく、また、薄板状に形成された複数の磁性材料を積層して形成されたものであってもよい。ステーター51,52を磁性薄材を積層して形成する場合には、幅寸法の異なる磁性薄材を適宜積層することにより、楕円や四角形等の様々な断面形状のステーター51,52が容易に形成可能となり、発電機50を設計するにあたり、同じ断面積でも、時計のケースに収納する、あるいは、コイルの巻線を巻回するのに、最適な断面形状のステーター51,52が得られるようになる。さらに、磁性薄材の厚さ寸法を可能な限り小さくすることにより、磁束変化により生じる渦電流が抑制され、鉄損が小さくなって発電機50を発電効率を高められるという効果が得られる。
【0034】
各ステーター51,52の先端部51a,52aの対向位置には、それぞれ円弧状のステーター切欠部55,56が対向して形成され、ローター磁石12bが回転可能に収容されている。ステーター切欠部55,56は、その内側端縁が位置決め部材40に固定されている。
位置決め部材40は、円筒状の部材で地板2に固定される。位置決め部材40によって、ローター磁石12bとステーター切欠部55,56との間は所定間隔に維持され、各ステーター51,52の先端部51a,52a同士の間には所定のギャップが設けられている。
【0035】
各ステーター51,52の先端部51a,52aのコイル53,54側には、弾性部材57が、両先端部51a,52aに跨って取り付けられている。弾性部材57は、リン青銅やベリリウム、黄銅、SUS、非磁性材等の低透磁率の金属材料から、プレス加工により断面略コ字形に形成され、無電解ニッケルメッキ(熱処理なし)、銅メッキ等の低透磁率材料によるメッキが施されている。
弾性部材57は、そのコ字形断面の開口を下向きに配置した際に上面側となる弾性部材本体57aと、その両側の折曲部57b,57cとから構成される。
【0036】
図2に示すように、弾性部材本体57aは、その下面を各ステーター51,52の先端部51a,52aの上面に当接された状態で、それらを貫通する2本のねじ15により地板2にねじ締め固定されている。
図3に示すように、折曲部57bは、略鉛直下方に向かって直線状に折り曲げられており、その内側面がステーター52の先端部52aの外側面に当接されている。すなわち、対向配置された2つのステーター51,52の対向方向(平面方向)外側から弾性部材57によってステーター51,52が挟持されるようになっている。
折曲部57cは、その幅方向中央部が切り取られて2本の棒状部材とされている。これら2本の棒状部材である折曲部57cは、曲率を有してやや内向きに折り曲げられ、先端部は外側に折り返されている。このように折り曲げることで、折曲部57cには突起部57dが形成される。
【0037】
突起部57dの先端と折曲部57cの内側面との距離が、各ステーター51,52が所定位置に配置された状態の先端部51a,52aの外側面間の距離より小さくなるように、すなわち、図3に二点鎖線で示す形状に、弾性部材57は形成されている。このため、弾性部材57で各ステーター51,52の先端部51a,52aを挟持すると、突起部57dが先端部51a,52aの側面に当接することで、折曲部57cが広がる方向に付勢され、各ステーター51,52の先端部51a,52aには、互いに接近する方向に弾性力が作用する。
従って、以上のステーター51,52の組立て状態では、ステーター切欠部55,56は互いにその中央で所定のギャップを設けた状態でローター磁石12bの外周を包囲して位置決めされる。そして、弾性部材57の弾性力により、図1および図3に白抜き矢印で示す方向(平面方向)に、各ステーター51,52の先端部51a,52aが位置決め部材40に押圧され、ステーター切欠部55,56の内側端縁と位置決め部材40とが所定の押圧力を有して当接されている。
【0038】
直列に接続された各コイル53,54は、起電力発生用、ローター12の回転検出用および発電機50の回転制御用に兼用されている。すなわち、ICからなる電子回路(図示せず)をコイル53,54の起電力で駆動し、回転検出および回転制御を行っている。電子回路は、水晶振動子を駆動する発振回路と、発振回路に生じたクロック信号を元に時刻信号となる基準周波数信号を生成する分周回路と、ローター12の回転を検出する検出回路と、検出回路で得られた回転周期と基準周波数信号とを比較してその差分を出力する比較回路と、その差分に応じて前記発電機50に制動用の制御信号を送る制御回路とから構成されている。なお、水晶振動子の代わりに別種の基準振動源等を用いてクロック信号を発生させてもよい。
【0039】
各回路は、直列に接続された各コイル53,54で生成した電力により駆動されるもので、発電機50のローター12が輪列からの回転を受けて一方向に回転すると、各コイル53,54には交流出力が生じ、この出力をダイオード、コンデンサーからなる昇圧充電回路により昇圧整流し、この整流された直流電流により制御回路(電子回路)を駆動する。
【0040】
また、各コイル53,54の交流出力の一部は、ローター12の回転周期の検出信号として取り出され、前記検出回路に入力される。各コイル53,54から出力された出力波形は、一回転周期毎に正確な正弦波を描く。従って検出回路は、この信号をA/D変換して時系列的なパルス信号とし、この検出信号を比較回路により基準周波数信号と比較し、制御回路ではその差分に応じた制御信号を各コイル53,54のブレーキ回路として機能するショート回路に送る。
そして、制御回路からの制御信号に基づいて、ショート回路は各コイル53,54の両端を短絡してショートブレーキをかけてローター12の回転周期を調速する。
【0041】
なお、前記弾性部材57は、プラスチック等の樹脂材料から射出成形により製造されたものでも可能である。この場合、弾性部材57の厚さや折曲部57b,57cの幅寸法等を適宜設定することで、所定の弾性力を得るように弾性部材57の形状等が決定される。
【0042】
このような本実施形態によれば次のような効果がある。
1)弾性部材57のばらつきのない所定の弾性力で各ステーター51,52を位置決め部材40に押圧し、固定させることができるとともに、ステーター51,52に応力を発生させることなく、位置決めすることができる。従って、組み立て作業を容易かつ効率的に行うことができるとともに、安定した発電性能を発揮することができる。
2)各ステーター51,52を両側から挟持して固定するため、ステーター51,52に傾きを生じさせず組み立てることができ、安定した発電性能を発揮することができる。
【0043】
3)ステーター51,52の先端部51a,52aの上面に当接した状態で、弾性部材57が地板2に固定され、移動が拘束されるので、水平および上下方向すなわち断面方向の位置決めが確実にできるとともに、落下や振動時の衝撃によってステーター51,52が塑性変形せず所定の位置を維持できるため、発電性能が劣化しないという耐衝撃性を備えることができる。
【0044】
4)各ステーター51,52の先端部51a,52aが弾性部材57の弾性力により、外側から位置決め部材40に向かって押圧され、ステーター切欠部55,56の内側端縁と位置決め部材40とが所定の押圧力を有して当接されているので、ステーター51,52が位置決め部材40から離れる方向にずれたりすることなく、ステーター51,52の位置決めをより確実に実施できる。
【0045】
5)弾性部材57を断面略コ字形に形成し、折曲部57cに突起部57dを設けたことで、弾性部材57が確実にステーター51,52に係合され、振動や衝撃で外れないため常に一定の弾性力を作用させることができる。
6)弾性部材57をリン青銅やベリリウム、黄銅、SUS、非磁性材等の低透磁率の材料から形成したことで、弾性部材57を各ステーター51,52に跨って配置しても、各ステーター51,52の間で磁路のショートがないので発電性能を妨げることなく各ステーター51,52を挟み込むことができる。
【0046】
7)弾性部材57を金属材料から形成したことで、プレス加工等によって大量かつ安価に高い加工精度の弾性部材57を製造することができ、製造コストを低減することができる。
8)弾性部材57に無電解ニッケルメッキ(熱処理なし)、銅メッキ等の低透磁率材料のメッキが施されているので、メッキ材料に錆びにくいものを採用すれば金属製の弾性部材57の防錆効果を得ることができ、磁気回路への影響もないため、発電性能を確保できる。
【0047】
9)弾性部材57をプラスチック等の樹脂材料から射出成形により製造すれば、大量かつ安価に高い加工精度の弾性部材57を製造することができ、製造コストを低減することができる。
【0048】
次に、本発明の第2実施形態について、図4および図5に基づいて説明する。
図4および図5は、本発明の第2実施形態に係る電子制御式機械時計の要部を示す平面図および断面図である。第2実施形態では、弾性部材の形状およびねじ締め固定の方法が前述の第1実施形態と相違する。すなわち、第1実施形態では、弾性部材57の弾性部材本体57aと各ステーター51,52の先端部51a,52aとを貫通して、2本のねじ15でねじ締めされて地板2に固定されることとしているのに対し、第2実施形態では、各ステーターの間の位置でステーターを貫通せずに1本のねじ15で地板2に固定される。コイルやローター等、他の構成は第1実施形態の場合と同様である。
【0049】
図4において、弾性部材67は、弾性部材本体67a、折曲部67b,67cの各部材から構成されている。弾性部材本体67aの中央付近にねじ孔が設けられねじ15によって地板2にねじ締め固定されている。折曲部67b,67cにより、各ステーター61,62の先端部61a,62aに、互いに接近する方向の弾性力が作用する点は、前述の第1実施形態の場合と同様である。従って、弾性部材67の弾性力により、図4に白抜き矢印で示す方向(平面方向)に、各ステーター61,62の先端部61a,62aが位置決め部材40に押圧され、ステーター切欠部65,66の内側端縁と位置決め部材40とが所定の押圧力を有して当接されている。
【0050】
また、本実施形態では図5に示すように、ステーター61,62と地板2との間に、コイル63,64とコイル線63a,64aで結線されたリード基板68と、発電機60で発電された電力により駆動され、発電機60の回転周期を制御する電子回路が実装された回路基板69とが挟持されている。これらのリード基板68および回路基板69は、それぞれポリイミド等の樹脂製フィルム状の部材であって、互いに接触する導通面68aに図示しない導通部が形成されている。そして、弾性部材67を地板2にねじ15で固定し、ステーター61,62を位置決め、および固定することで、ステーター61,62を介してリード基板68および回路基板69が互いに密接され、導通面68aの導通部を通して互いに導通されるようになっている。
【0051】
以上の第2実施形態においても、第1実施形態の1)〜8)と同様の効果を得るほか、次の効果がある。
10)弾性部材67の形状が単純にできるため、低コストで弾性部材67を製造することができる。
11)弾性部材67を固定するねじ15が各ステーター61,62の先端部61a,62aを貫通しないため、各ステーター61,62に孔を開ける必要がなく、孔開け加工による残留応力の影響を排除できる。さらに、各ステーター61,62に孔を開ける必要がないため、磁路を広くとれ漏れ磁束を減少させることができる。
【0052】
12)ステーター61,62と地板2との間に、リード基板68および回路基板69が挟持され、弾性部材67によるステーター61,62の位置決め、および地板2への固定と同時に、リード基板68および回路基板69の導通部が密接され、互いに導通されるので、リード基板68と回路基板69とを結線する作業や、これらを導通させるための部品等を省略でき、作業の簡単化および部品点数の削減を促進できる。
【0053】
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0054】
例えば、前述の各実施形態では、弾性部材はねじにより地板にねじ締め固定されることとしたが、図6の変形例に示すように、地板2にフック2aを設けて弾性部材77を固定することもできる。弾性部材77は、前述の各実施形態と同様に、弾性部材本体77a、折曲部77b,77cおよび突起部77dを備え、各ステーター71,72を固定している。弾性部材77の地板2への固定は、折曲部77bの先端側および折曲部77cに隣り合って設けた係合孔77eを、地板2に設けたフック2aに係合することで行われる。このようにすれば、取付作業が容易かつ迅速に行え、部品数の削減も可能である。
また、弾性部材の折曲部の先端を地板に設けた孔に圧入することで固定することも可能である。
【0055】
また、前述の各実施形態では、弾性部材の材料はリン青銅やベリリウム、黄銅、SUS、非磁性材等の低透磁率の金属材料としたが、それら以外にも同等の性能を有する材料であれば使用できる。
さらに、弾性部材に低透磁率材料によるメッキが施されていることとしたが、メッキを施さなくてもよい。このようにすることでコストダウンを図ることができる。
【0056】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明の電子制御式機械時計によれば、弾性部材により発生する一定の弾性力により各ステーターを位置決め部材に押圧し当接させることで、ステーターに応力を発生させることなく、所定の位置に位置決めすることができ、また、ステーターに傾きを生じさせず組み立てることができる。従って、組み立て作業を容易かつ効率的に行うことができるとともに、安定した発電性能を有する発電機を組み立てることができるという効果がある。
【0057】
また、上面に当接された弾性部材とともに各ステーターが地板に固定され移動が拘束されているので、落下や振動時の衝撃によってステーターが変形せず所定の位置を維持できるため、発電性能が劣化しないという耐衝撃性を備えた発電機を組み立てることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る電子制御式機械時計の要部平面図である。
【図2】 図1の要部断面図である。
【図3】 図2とは異なる図1の要部断面図である。
【図4】 本発明の第2実施形態に係る電子制御式機械時計の要部平面図である。
【図5】 図4の要部断面図である。
【図6】 本発明の変形例に係る電子制御式機械時計の要部断面図である。
【図7】 従来の発電機を備えた電子制御式機械時計の平面図である。
【図8】 同発電機の分解斜視図である。
【図9】 同発電機における調整機構を示す平面図である。
【図10】 (A),(B)は図9の要部断面図である。
【符号の説明】
1a…ぜんまい、2…地板、7…二番車、8…三番車、9…四番車、10…五番車、11…六番車、12…ローター、12a…ローターかな、12b…ローター磁石、12c…ローター慣性円板、40…位置決め部材、50,60…発電機、51,52,61,62…ステーター、53,54,63,64…コイル、55,56,65,66 ステーター切欠部、57,67…弾性部材、68…リード基板、69…回路基板。

Claims (8)

  1. ぜんまいをエネルギー源として輪列を駆動するとともに、輪列からの回転を受けて回転する発電機に電力を生じさせ、この電力により駆動される電子回路によって前記発電機の回転周期を制御させることで、輪列を調速するようにした電子制御式機械時計において、
    前記発電機は、前記輪列の回転に連繋して回転するローターと、対向配置された板状の2つのステーターと、前記各ステーターの一端に形成され、かつ前記各ステーターを組合わせた状態で前記ローター周囲の同心円上に配置される円弧状の一対のステーター切欠部と、前記各ステーターのうち少なくとも一方の外周に巻線されたコイルと、前記各ステーターのステーター切欠部の内側端縁に当接し位置決めをする位置決め部材とを備えたものであり、
    前記各ステーターは、当該各ステーターを対向外側から挟みこんだ弾性部材により、前記位置決め部材に固定されることを特徴とする電子制御式機械時計。
  2. 請求項1に記載の電子制御式機械時計において、
    前記弾性部材は、前記各ステーターの上面に当接され、ねじ締めにより地板に固定されることを特徴とする電子制御式機械時計。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電子制御式機械時計において、
    前記各ステーターの外側面が前記弾性部材の弾性力で押圧され、前記ステーター切欠部の内側端縁が前記位置決め部材に所定の押圧力を有して当接されていることを特徴とする電子制御式機械時計。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子制御式機械時計において、
    前記弾性部材は、低透磁率の材料からなることを特徴とする電子制御式機械時計。
  5. 請求項4に記載の電子制御式機械時計において、
    前記弾性部材は、金属製であることを特徴とする電子制御式機械時計。
  6. 請求項4に記載の電子制御式機械時計において、
    前記弾性部材は、樹脂製であることを特徴とする電子制御式機械時計。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の電子制御式機械時計において、
    前記弾性部材は、その表面に低透磁率材料のメッキが施されていることを特徴とする電子制御式機械時計。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の電子制御式機械時計において、
    前記ステーターと地板との間には、前記コイルと導通されたリード基板と、前記電子回路が実装された回路基板とが挟持され、前記各ステーターを地板に固定することで、前記リード基板および前記回路基板が互いに導通されることを特徴とする電子制御式機械時計。
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