JP3692787B2 - 着色高分子ゲル粒子およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、色素を含有した高分子ゲル粒子およびその製造方法に関する。詳しくは、インクやトナーなどのマーキング材料、装飾材料、各種吸水性材料などに使用することができ、特に外部刺激に応じて可逆的に発色状態を制御できる光学素子やセンサー、画像を表示する表示素子、記録用途の発色材料などに適する、多岐にわたる分野で利用可能な着色高分子ゲル粒子およびその好適な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
色素を含有した高分子ゲル粒子は、インクやトナーなどのマーキング材料、インテリアやファッションなどに用いる装飾材料、紙おむつをはじめとする各種吸水性材料などに使用することができ、また、高分子ゲル粒子のなかでも、特に外部刺激に応じて可逆的に発色状態を制御できるものは、光の透過量を制御する光学素子やセンサー、画像を表示する表示素子、記録用途の発色材料などに利用可能であり、種々の用途での使用が期待されている。
通常、色素を含有した着色粒子の製造方法としては、電子写真の現像剤に用いられるトナーの製造に適用される方法、即ち、バインダー樹脂中に色材などのトナーとして必要な成分を分散し加熱混練した後、混練物を冷却固化して粉砕し、適当な粒径の粉砕物を分級し捕集することによる、いわゆる混練粉砕法が一般的である。
【0003】
10μm以下のような小さな粒径の着色樹脂粒子は、粉砕、分級の困難さを考慮して、粉砕法によらず、粒子径の制御が容易な重合法による製造が盛んに検討されている。例えば、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法、分散重合法などが代表的なものとして挙げられる。ところが、乳化重合法および分散重合法は、粒度分布が揃った樹脂粒子を得るのに有効であるものの、原理的に色材成分を含有させることが困難であるために樹脂粒子の形成後に色材成分との複合化を行うための別工程が一般的に必要となり、色材の含有率を高くすることが困難であるという問題がある。また、シード重合法では、形成される粒子の大きさがおよそ1μm以下であり、それ以上大きな粒子の製造には適していない。また、これらの製造方法により得られる着色粒子はその使用目的から、バインダー樹脂として硬質の樹脂が用いらるものに限られ、ゲル粒子に関する知見は殆どないのが現状である。
【0004】
均一な樹脂粒子を製造する好適な方法として公知の懸濁重合法は、典型的には、水性媒体中で非水系のラジカル重合性単量体液滴を懸濁安定剤とともに、外部の機械的な剪断力で微細化し、生成した単量体液滴を開始剤により重合させ、固体粒子を生成させる方法である。この方法によれば、単量体液滴中に容易にモノマー以外の他の成分を含有させることができ、着色粒子の作製が比較的容易である。本発明の着色ゲル粒子の主成分は水溶性高分子であることから、上記水中油滴型の懸濁重合法を応用した、油中水滴型の逆相懸濁重合法により所望の着色粒子を作製することができると考えられる。
【0005】
逆相懸濁重合法による樹脂粒子の製造は、色材を含まない吸水性ポリマー粒子の製造方法としては数多くの提案がなされているものの、着色粒子を含むような構成を有するものは未だ検討されておらず、逆相懸濁重合法による着色高分子ゲル粒子の製造方法は未だ明確にされていないのが現状である。そこで本発明者らは、上記吸水性ポリマー粒子の逆相懸濁重合法による製造を応用し、着色高分子ゲル粒子の製造を試みたが次のような問題があることがわかった。
【0006】
第一に、懸濁重合法などにより製造される従来のトナーの着色に使用されていた色材は、本発明に係わる水溶性モノマー溶液への分散性が非常に悪く、形成されたゲル粒子の表面に色材が偏在して、色調の調整が困難となったり、外部刺激に対する応答性を低下させたりするけねんがあり、また、該色材の分散性を高めるための界面活性剤の使用は、逆相懸濁重合において油性溶媒中に水溶性モノマー溶液を分散させるための界面活性剤と効果を相殺し、色材の分散および逆相懸濁重合自体が適正に行えないという問題があった。
第二に、水溶性モノマー溶液に色材を分散させると、色材を含まない場合に比較して溶液の粘着性が高くなり、色材を分散させた水溶性モノマー溶液を油性溶媒中に十分に分散し難く、均一な分散粒子を形成できず、最終的に得られるゲル粒子の均一性が低下する問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる従来技術の問題点に鑑みなされたものであって、本発明の目的は、色材の含有率が高く、均一な粒子径を有し、外的刺激により体積や色調が変化する刺激応答性ゲル粒子にも用いうる新規な着色高分子ゲル粒子及び、その効率のよい製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、以下の本発明により達成される。即ち本発明の着色高分子ゲル粒子は、水溶性エチレン性不飽和モノマーを、架橋剤および親水性色材の存在下で油中水滴型の逆相懸濁重合させて製造されることを特徴とする。
ここで、前記親水性色材が、イオン性官能基により表面を親水化処理した色材であることが好ましい態様である。
【0009】
本発明の着色高分子ゲル粒子は、含有される色材が親水性であるため、親水性モノマー溶液に均一に色材が分散され、形成される粒子の内部により均一に色材が含有されるという利点を有する。さらに、従来の樹脂粒子の製造方法において、単に色材を添加した場合に生じる、モノマー溶液との相溶性が悪いために色材がゲル粒子表面に集中し、ゲル粒子の刺激に反応して生起する体積変化(膨潤・収縮)を阻害する現象を防止し、親水性色材を含有したゲル粒子の内部には、均一に色材が分散含有され、外観の着色状態も均一で、所望の濃度変化を発現することができ、且つ、刺激に反応して起こるゲル粒子の体積変化(膨潤・収縮)を阻害することがない。
【0010】
また、本発明の着色高分子ゲル粒子の製造方法は、水溶性エチレン性不飽和モノマーを、架橋剤および親水性色材の存在下、表面が撥水性の攪拌翼を備え、撥水性の内壁を有する反応容器内で、油中水滴型の逆相懸濁重合させる工程を有することを特徴とする。
ここで、撥水性の目安を示せば、前記反応容器の内壁および攪拌翼表面における表面張力が、40mN/m以下であることが好ましい。
また、この撥水性を達成する手段として、前記反応容器の内壁および攪拌翼表面が、フッ素系あるいはシリコーン系の撥水剤により表面処理されていること、或いは、前記反応容器の内壁および攪拌翼が、フッ素系あるいはシリコーン系の樹脂により形成されていることが挙げられる。
【0011】
本発明の着色高分子ゲル粒子の製造方法においては、逆相懸濁重合法を実施する反応容器の内壁および攪拌機が撥水性であるため、本発明に用いられるモノマー溶液が親水性と、非常に高い粘着性を示すが、反応容器中での油中水滴型の懸濁状態を良好に形成することができる。すなわち、色材を添加したモノマー溶液の粘着性が非常に高くなったも場合、反応容器の内壁および攪拌機に粘着して、十分な油中水滴型の懸濁状態を形成できない虞があるが、それを効果的に防止しうるものである。なお、このような効果を示す撥水処理は、特に表面張力が40mN/m以下であることが望ましい。これは、表面張力が40mN/m以上になると、反応容器の内壁および攪拌機に対する粘着性のモノマー溶液の付着防止効果が不十分となるためである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の着色高分子ゲル粒子は、水溶性エチレン性不飽和モノマーまたは/およびその塩を油中水型の逆相懸濁重合させる際に、該モノマー溶液中に、架橋剤と親水性の色材と重合開始剤とを混合し、分散安定化剤を混合した有機溶媒中で、機械的な剪断力により微小液滴に分散懸濁した後、加熱あるいは促進剤を適用してモノマーの重合反応を進行させて硬化させ、得られるものである。このとき、逆相懸濁重合は常法により行うことができるが、特に効率的な製造方法として、前記逆相懸濁重合を、内壁が撥水性である重合反応容器の中で、攪拌翼等の剪断力を付与する手段もその表面が撥水性のものを用いて行い、着色高分子ゲル粒子を得る方法が挙げられる。
【0013】
本発明のゲル粒子の製造に用いられる水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、重合、乾燥等の後に良好な吸水能を有する吸水性高分子ゲルを形成しうるものであれば、特に制限はなく、いずれのものも使用可能であり、官能基が塩を形成しているものでもよい。
一般的な水溶性エチレン性不飽和モノマーは、殆どのものが吸水性高分子ゲルを形成する。
吸水性高分子ゲルになるための条件は、官能基が極性をもち、且つ、電離することである。従って、電離しない極性官能基を持つエチレン性不飽和モノマーが、吸水性高分子ゲルにならない水溶性エチレン性不飽和モノマーである。これらは、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アルキルビニルケトン、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド等である。これらの特殊なエチレン性不飽和モノマー以外のものは、いずれも本発明に使用することができる。
【0014】
なお、得られる着色ゲル粒子を記録・表示用途などに用いる場合には、pH変化、イオン濃度変化、化学物質の吸脱着、溶媒組成変化、および光、熱、電界、磁界などのエネルギー付与などの各種刺激によって液体を吸脱し、可逆的に体積変化するものが好ましい。このような吸水性高分子ゲルを与えるモノマーとしては、官能基としてカルボン酸または(及び)その塩、リン酸または(及び)その塩、スルホン酸または(及び)その塩から誘導される基を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーを挙げることができる。
【0015】
具体的には、(メタ)アクリル酸あるいはその塩、マレイン酸 あるいはその塩、フマル酸あるいはその塩、イタコン酸あるいはその塩、クロトン酸あるいはその塩、ビニルスルホン酸あるいはその塩、ビニルベンゼンスルホン酸あるいはその塩、2‐アクリルアミド‐2‐メチルプロパンスルホン酸のようなアクリルアミドアルキルスルホン酸あるいはその塩、2‐アクリロイルエタンスルホン酸、2‐アクリロイルプロパンスルホン酸、2‐メタクリロイルエタンスルホン酸などのような(メタ)アクリロイルアルキルスルホン酸あるいはその塩等を例示することができる。モノマーは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することもできる。また上記モノマーの塩としては、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩が好ましい。
その他、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドやN−プロピル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドおよびN,N−ジアル キルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N−アルキル置換アルキル(メタ)アクリルアミドなどの各種(メタ)アクリル酸誘導体も適用可能である。なお、本明細書においては、「アクリル」或いは「メタクリル」の何れをも意味する場合、「(メタ)アクリル」と表記する。
【0016】
また本発明においては、種々の物性を調製するために、前記の吸水性ゲルを形成するモノマー以外に、これらと共重合可能な単量体を併用することができる。共重合可能な単量体としては、例えば(メタ)アクリルアミド、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン等が挙げられ、これらは生成する刺激応答性着色高分子ゲル粒子の性能を低下させない範囲の量で共重合させて用いることができる。上記エチレン性不飽和モノマーのモノマー水溶液中の濃度は、一般的に10重量%以上、好ましくは20重量%〜飽和濃度である。
【0017】
また、得られる樹脂粒子中に分散含有せしめられるべき色材は、親水性であれば、特に制限はなく、多くの公知な顔料或いは親水性の染料を用いることができる。親水性色材とは、もともと表面に親水性の基を有するものの他、公知の顔料等の固体状色材を任意に選択して表面に親水化処理を施すことにより使用することもできる。ここで、親水性の目安としては、顔料などの固体状色材の場合、水、アルコールなどの水溶性溶媒に軽度の攪拌により均一に分散しうるものが好ましく、染料の場合には、水、水溶性溶媒に可溶であるものが好ましい。
【0018】
色材の表面に親水化処理を施す場合、色材表面の親水化処理は、主にカルボキシル基、ホスホン基、スルホン基、硫酸基などのイオン性官能基を結合することにより行われる。またその他に、水酸基、チオール基、アミノ基、アンモニウム基などの親水性官能基を結合して親水化処理とすることもでき、また、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体、エチレンビニルアルコール樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、アクリル樹脂、ゼラチン又はゼラチン誘導体、プルラン、ポリビニルアルコール又はその誘導体、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸及びその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴム、ポリアルキレンオキサイド系ポリマーなどから選択される公知の親水性高分子による表面処理なども適用することができる。
【0019】
色材として用いられる適当な顔料又は顔料としては、例えば、黒色顔料の各種カーボンブラック(チャネルブラック、ファーネスブラック等)や水溶性染料である黒色染料のニグロシン系化合物、そしてカラー顔料、例えば、ベンジジン系のイエロー顔料、キナクドリン系、ローダミン系のマゼンタ顔料、フタロシアニン系のシアン顔料などを挙げることができる。より詳しくは、イエロー顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、例えば、顔料としては、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168等が好適に用いられる。またマゼンタ顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、例えば、顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。そしてシアン顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、例えば、顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15;3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用できる。
【0020】
これらの顔料は、着色顔料は、発色性、堅牢性に優れ、多様な色相を有することから、本発明のゲル粒子に色材として好適に使用できる。また、それ自体が疎水性の表面を持つものであっても、先に述べた表面親水化処理により、本発明に好適に使用しうるようになる。
さらに、本発明に係る色材として、親水性の染料を用いることができる。染料は、親水化処理を施すと色相に変化を生じる懸念もあり、特性として親水性のものを選択する必要がある。また、所望の色調を得るために親水性顔料に適切な染料を併用して用いることもできる。用いうる染料としては、具体的には、C.I.ソルベントブルー22、63、7 8、83〜86、191、194、195、104、C.I.ソルベントグリーン24、25、C.I.ソルベントイエロー6、9、17、31、35、100、102、103、105、C.I.ソルベントレッド5、16、17、18、19、22、23、143、145、146、149、150、151、157、158、C.I.ソルベントバイオレット31、33、37、C.I.ソルベントブラウン3、9等が挙げられる。
【0021】
これらの色材は、単独で使用してもよく、堅牢性、濃度などの改良のため、同系色の複数を併用してもよく、さらに、所望とする色調を得るために、互いに異なる色調のもの同士を複数種混合して使用してもよい。これらの色材は、ゲル粒子の調製時に水性相に添加して、高分子ゲル粒子の網目に保持して含有させてもよく、色材表面に重合性二重結合を持っているか、あるいはそのような二重結合を付与した場合、高分子ゲル粒子の表面に化学的に結合して固定化することも可能である。
【0022】
これらの色材の使用量は、色材の種類、物性、ゲル粒子の所望の色相、色濃度により、適宜選択されるが、一般には水溶性エチレン性不飽和モノマーに対して5〜95重量部、好ましくは10〜80重量部である。色材の使用量が少ないと、ゲル粒子の色調、色濃度が十分でなく、着色粒子としての所望の効果を得難く、多すぎると強度が低下したり、十分な刺激応答性が得られなくなるため、いずれも好ましくない。
【0023】
本発明においては、得られる吸水性高分子ゲル粒子の性能向上の目的で、ゲル粒子を製造する際に、架橋剤や添加剤を加えることも可能である。
架橋剤としては、分子内に重合性不飽和基、反応性官能基などを2個以上有する化合物を挙げることができる。上 記重合性不飽和基を2個以上有する化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリンなどのポリオール類のジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル類、前記ポリオール類とマレイン酸、フマル酸などの不飽和酸類とを反応させて得られる不飽和ポリエステル類、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミドなどのビス(メタ)アクリルアミド類、トリレジンイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネートと(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミン酸エステル類、アリル化澱粉、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、その他のテトラアリロキシエタン、ペンタンエリスリトールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリアリルトリメチルエーテルなどの多価アリル系化合物を挙げることができる。
【0024】
これらの中でも本発明には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミドなどが好ましく使用される。
また、反応性官能基を2個以上有する化合物としては、ジグリシジルエーテル化合物、ハロエポキシ化合物、ジおよびトリイソシアネート化合物などを挙げることができる。ジグリシジルエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ポリグリセリンジグリシジルエーテルなどを挙げることができる。その他、ハロエポキシ化合物の具体例としては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピクロロヒドリンなどを挙げることができる。また、ジイソシアネート化合物の具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサチレンジイソシアネートなどを挙げることができる。これらの中でも本発明には、特にエチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが好ましく使用される。このうち特に好ましいのはN,N′‐メチレンビス(メタ)アクリルアミドである。
【0025】
架橋剤の使用量は、前記モノマーの仕込み量に対して一般に0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%である。
なお添加剤として、微粒子状シリカ、二酸化チタン粉末、及びアルミナ粉末等の不活性無機質粉末等を所望の目的に応じて使用することができる。
【0026】
本発明で用いられる重合開始剤は、前記水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶液に溶解しうるものであればよい。具体的には、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、t‐ブチルハイドロパーオキシドやクメンハイドロパーオキシド等のパーオキシド類、アゾイソブチロニトリル、2,2′‐アゾビス(2‐アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物などが用いられる。これらの重合開始剤の中でも、特に、過硫酸塩、ハイドロパーオキシド類等の様な酸化性を示す開始剤は、例えば亜硫酸水素ナトリウム、L‐アスコルビン酸、第一鉄塩等の様な還元性物質、あるいはN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなどのアミン類との組合せによるレドックス開始剤としても用いることができる。
これらの開始剤の使用量は、一般には水溶性エチレン性不飽和モノマーに対して0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。
【0027】
本発明において逆相懸濁重合で用いられる有機溶媒としては、基本的に水に溶け難く、油中水滴型の分散液を形成することができるものであって、かつ重合に不活性なものであればいかなるものも使用できる。このような有機溶媒としては、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、又は芳香族炭化水素があり、脂肪族炭化水素としては、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン等が、脂環族炭化水素としては、シクロペンタン、メチルシクロペンタン 、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等が、芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が適し、これらの二種以上を混合して用いることもできる。特に、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、シクロヘキサンは工業的に品質が安定していて、入手が容易であり、かつ安価なため好ましい。これら有機溶媒の使用量は、水溶性エチレン性不飽和モノマー1重量部に対して1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
【0028】
本発明における逆相懸濁重合で用いられる分散安定化剤は、水溶性エチレン性不飽和モノマーまたは/およびその塩の水溶液を油相(有機溶媒)中に分散安定化させるために使用されるものであり、油溶性界面活性剤であるHLB3〜9のショ糖脂肪酸エステル、ソルビタンエステルおよびこれらのポリオキシアルキレン付加物から選ばれる1種または2種以上が使用される。ショ糖脂肪酸エステルとしては、脂肪酸がステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、オレイン酸等の飽和または不飽和の脂肪酸から成るショ糖エステルが好ましい。そのエステル個数はショ糖1単位当り1〜6個であり得る。具体的なショ糖脂 肪酸エステルとしては、ショ糖モノステアレート、ショ糖ジステアレート、ショ糖トリステアレート、ショ糖モノパルミテート、ショ糖ジパルミテート、ショ糖トリパルミテート、ショ糖モノラウレート、ショ糖ジラウレート、ショ糖トリラウレート、ショ糖モノオレート、ショ糖ジオレート、ショ糖トリオレート、ショ糖ポリステアレート、ショ糖ポリパルミテート、ショ糖ポリラウレート、ショ糖ポリオレート等が挙げられる。ソルビタンエステルとしては、脂肪酸がステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、オレイン酸等の飽和または不飽和の脂肪酸から成るソルビタンエステルが好ましく、そのエステル個数はソルビタン1単位当り1〜4個であり得る。具体的にはソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステア レート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンジパルミテート、ソルビタントリパルミテート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンジラウレート、ソルビタントリラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンジオレート、ソルビタントリオレート等が挙げられる。また、これらのポリオキシアルキレン付加物としては、ポリオキシエチレン付加物、ポリオキシプロピレン付加物が挙げられ、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等が挙げられる。また、これらの分散安定化剤は1種または2種以上を混合して用いることができる。用いられる界面活性剤のHLBは3〜9が適当範囲であり、低すぎると微粒子以外にゲル化物を生じてしまい、高すぎると石油系炭化水素溶媒への溶解性が低下し、分散能が落ち不経済である。
【0029】
また、分散安定化剤の添加量としてはモノマーに対して、通常0.1〜15重量%であり、好ましくは1〜5重量%である。少なすぎると安定な油中分散滴を形成せず、多すぎると不経済であり、かつ生成したポリマー中に多量の分散安定化剤が混入するため性能が低下する。
【0030】
本発明の着色ゲル粒子を得るための、モノマーの重合操作は、水溶性エチレン性不飽和モノマー水溶液をW/O型乳化剤の存在下、疎水性溶媒中、必要に応じて架橋剤の存在下、水溶性ラジカル開始剤を用いて逆相懸濁重合を行う操作が好適である。この時の重合方法は、モノマー水溶液を反応器内に最初から一括に仕込んで行う一括重合方式、或いはモノマー水溶液を疎水性溶媒中に滴下する滴下方式いずれの方式も使用できる。また、懸濁方法は、ポリマー微粒子として所望の平均粒径が得られるような分散方法であれば特に限定されないが、例えば上記のモノマー水溶液、有機溶媒、重合開始剤、分散安定化剤、および架橋剤の混合液を、強力な水流を利用したホモジナイザー、回転羽根と機壁あるいは回転羽根同士のギャップにかかる高シェアーを利用した連続乳化分散機、超音波分散機等を用いて分散する方法等が好ましい。
【0031】
反応温度は、加熱によりラジカルを発生させる場合は、50〜85℃が好ましい。あまり温度が低すぎると反応が遅くなってしまうが、必要以上に温度を上げることは、不経済であると同時に滴下途中でのモノマー分散滴の安定滴下が難しくなる。一方、還元性物質を添加してレドックス系反応を行う場合、反応温度は室温で十分である。
また、反応時間は0.1〜20時間程度であり、長い方がより高い転化率を得られるが、反応が進行するにつれて反応速度は遅くなり、転化率の増加も小さくなる。したがって、加熱反応の場合、好ましくは2〜8時間、レドックス系反応の場合0.5〜4時間が目安である。
【0032】
反応終了後は、室温に戻し、目的ポリマー微粒子をそのまま抜き出して乾燥してもよいし、室温に戻す前に共沸により適当量の脱水を行い、その後、室温に戻して乾燥してもよいし、脱水と溶媒の濃縮を行った後に室温に戻して乾燥してもよい。また適度に脱水した後に、更に、熟成を行い残存している架橋剤による架橋反応を更に進める方法をとることもできる。製造の簡便さから考えれば、脱水をせずに、そのまま乾燥することが有利ではあるが、水によって膨潤したポリマー微粒子をそのまま乾燥すると微粒子同士の融着が起こり易い。従って反応 終了後、適当な脱水を行って乾燥することが好ましい。なお脱水には、水と相溶性のある有機溶媒で洗浄を繰り返し、ゲル粒子中の水を有機溶媒で置換する方法を用いることもできる。
【0033】
本発明の着色高分子ゲル粒子は、前記したように、公知の油中水滴型の逆相懸濁重合方法により得られるが、より効率的な方法として、水溶性エチレン性不飽和モノマーを、架橋剤および親水性色材の存在下、表面が撥水性の攪拌翼を備え、撥水性の内壁を有する反応容器内で、油中水滴型の逆相懸濁重合させる工程を有する製造方法を挙げることができる。この製造方法においては、製造装置の反応容器の内壁や、攪拌翼のような、反応液に接する部分が撥水性であることが重要である。撥水性の程度としては、特に表面張力が40mN/m以下であることが好ましい。表面張力が40mN/mを超えると、所望の反応液付着防止効果を得難く、製造の効率化の効果が不十分となる。
【0034】
ここで、反応容器の内壁や、攪拌翼表面を撥水性とするためには、通常の材料により形成された反応容器の内壁や、攪拌翼表面を各種撥水処理剤により撥水処理すればよい。この際に使用する撥水処理剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等のカップリング剤や、低い表面エネルギーを付与しうる種々の界面活性剤が挙げられる。
具体的には、シラン系カップリング剤としては、例えば、フルオロアルキル基、疎水性基、アミノ基或いはエポキシ基を有するものを用いることができる。フルオロアルキル基をもつシラン系カップリング剤としては、例えば、ウンデカフルオロペンチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロヘキシルトリメトキシシラン、ウンデカフルオロペンチルトリエトキシシラン、パーフルオロドデシルトリメトキシシラン、ヘプタフルオロイソプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
【0035】
また、疎水性基をもつシラン系カップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ)シラン等を挙げることができる。アミノ基をもつシラン系カップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメトキシジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−ア ミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−ア ミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。エポキシ基をもつシラン系カップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン等が挙げられる。
【0036】
チタネート系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、イソプロピル−4−アミノベンゼンスルホニル−ジ(ドデシルベンゼンスルホニル)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロペルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート等を挙げることができる。
【0037】
これらの各種カップリング剤の中でも、高い撥水性を付与しうる観点から、特にフルオロアルキル基を有するものが好ましく、具体的には、KP−801M(信越化学工業社製)、TSL8233(東芝シリコーン社製)、X−24−7868(信越化学工業社製)、サイトップCTX−100(旭硝子社製)、フロラ−ドFC−725(住友スリーエム社製)、フロラ−ドFX−3325(住友スリーエム社製)などの商品名で市販されているカップリング剤を好適で、入手容易なものとして挙げることができる。なお、その他、各種フッ素系撥水処理剤およびシリコーン系撥水処理剤なども適用することができる。
【0038】
また、反応容器の内壁や、攪拌翼表面を撥水性とする他の方法として、反応容器の内壁や、攪拌翼表面自体を撥水性を有するフッ素系あるいはシリコーン系の樹脂により形成することが挙げられる。ここで用いられるフッ素系あるいはシリコーン系の樹脂は、表面張力が40mN/m以下の物性を有し、且つ、反応温度や攪拌の剪断力に耐える耐久性を有するものを選択することが好ましい。具体的には、フッ素樹脂としては、ポリ四フッ化エチレン、ポリ三フッ化塩化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、四フッ化エチレンと六フッ化プロピレンとの共重合体、フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンとの共重合体、フッ化ビニリデンと三フッ化塩化エチレンとの共重合体等が挙げられ、シリコーン系樹脂としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルビニルポリシロキサン、シアノアルキルメチルポリシロキサン、フッ化アルキルメチルポリシロキサン等を主成分とする樹脂が挙げられる。
成形は、樹脂の成形法を適用して常法により行うことができるが、反応容器の内壁や攪拌翼を撥水性の樹脂で成形する場合には、反応容器や攪拌翼全体をこれらの樹脂で成形してもよく、また、金属やセラミックス製の反応容器や攪拌翼本体の表面にこれらの樹脂による樹脂表面層を形成することもできる。樹脂表面層の厚さは、強度と耐久性の観点から、1μm〜5mm程度が好適である。
【0039】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
(実施例1)
容量200mlのテフロン製カップに水溶性エチレン性モノマーとしてアクリル酸5.0gを採り、外部より冷却しながら8.5N水酸化ナトリウム水溶液を8.1g加えて、アクリル酸のカルボキシル基を約74%中和した。次に、架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.005gを加え、十分に溶かして混合した。その後、色材として表面がカルボキシル基で親水化処理されているカーボンブラックの15%水溶液(CAB−O−JET 300:商品名、昭和キャボット社製)を33.33gと8.5N水酸化ナトリウム水溶液を2.9g加え、超音波洗浄器に浸し超音波を加えた状態で30分間攪拌し十分に混合した後、開始剤として過硫酸アンモニウム0.02gを1mlの純水に溶かして加えた。
反応容器として、ガラス製(表面張力:40mN/m以上であり非常に大きい)の容量300mlのセパラブルフラスコおよびステンレス製(表面張力:40mN/m以上であり非常に大きい)の攪拌翼を用いた。なお、攪拌は3枚羽根のプロペラ型攪拌翼を用いて、室温で800rpmにて行った。攪拌開始後10分経過したところで、還元剤としてN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン0.1gをシクロヘキサン2mlに溶解して系内に添加した。
懸濁液中に窒素ガスを吹き込みながら攪拌を続け、2時間反応させたのち内容物を取り出し、水酸化ナトリウム水溶液で中和反応を行なった後に、純水で繰り返し洗浄を行ない水溶性未反応物を除去した。次に、アセトンで洗浄しゲル内部の水分を除去したのち、乾燥して目的とする着色高分子ゲル粒子を得た。
【0041】
反応中、シクロヘキサン溶液が入っている前記のガラス製反応容器に添加したモノマー溶液の大部分が、攪拌翼および反応容器内壁に付着する傾向があったが、高剪断力の攪拌により、投入モノマー溶液の1割程度について油中水滴型の懸濁液を形成することができた。
得られた乾燥着色高分子ゲル粒子は、平均粒径が約500μmで最大粒径が約2000μmであった。また、純水吸水量は約700g/g、0.9%NaCl水溶液の吸水量は100g/gであり、高吸水性の着色高分子ゲル粒子が得られることが明らかになった。
【0042】
(実施例2)
容量200mlのテフロン製カップに水溶性エチレン性モノマーとしてアクリル酸5.0gを採り、外部より冷却しながら8.5N水酸化ナトリウム水溶液を8.1g加えて、アクリル酸のカルボキシル基を約74%中和した。次に、架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.005gを加え、十分に溶かして混合した。その後、色材として表面がカルボキシル基で親水化処理されているカーボンブラックの15%水溶液(CAB−O−JET 300:商品名、昭和キャボット社製)を33.33gと8.5N水酸化ナトリウム水溶液を2.9g加え、超音波洗浄器に浸し超音波を加えた状態で30分間攪拌し十分に混合した後、開始剤として過硫酸アンモニウム0.02gを1mlの純水に溶かして加えた。
一方、テフロン製(表面張力:約20mN/m)の容量300mlセパラブルフラスコに、テフロン製(表面張力:約20mN/m)の攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管を付設して、内部にシクロヘキサン300mlを入れた。次に分散安定剤としてHLB4.7のソルビタンモノステアレート(ソルゲン50:第一工業製薬製)0.5gを 添加溶解し、窒素ガスを導入して溶液中の溶存酸素を除去した。
【0043】
前記300mlのセパラブルフラスコ内容物に、200mlテフロンカップ内で混合した内容物の約1/5(すなわち約10.071g)を添加し攪拌懸濁した。なお、攪拌は3枚羽根のプロペラ型攪拌翼を用いて、室温で400rpmにて行った。攪拌開始後10分経過したところで、還元剤としてN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン0.1gをシクロヘキサン2mlに溶解し
て系内に添加した。
懸濁液中に窒素ガスを吹き込みながら攪拌を続け、2時間反応させたのち内容物を取り出し、水酸化ナトリウム水溶液で中和反応を行なった後に、純水で繰り返し洗浄を行ない水溶性未反応物を除去した。次に、アセトンで洗浄しゲル内部の水分を除去したのち、乾燥して目的とする着色高分子ゲル粒子を得た。
【0044】
得られた乾燥着色高分子ゲル粒子は、平均粒径が約20μmで最大粒径が約50μmであった。また、純水吸水量は約800g/g、0.9%NaCl水溶液の吸水量は110g/gであり、本発明により、高吸水性の着色高分子ゲル粒子が得られることが明らかになった。
【0045】
(実施例3)
容量200mlのテフロン製カップに水溶性エチレン性モノマーとしてアクリル酸5.0gを採り、外部より冷却しながら8.5N水酸化ナトリウム水溶液を8.1g加えて、アクリル酸のカルボキシル基を約74%中和した。次に、架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.025gを加え、十分に溶かして混合した。その後、色材として表面がスルホン基で親水化処理されている カーボンブラックの20%水溶液(CAB−O−JET 200:昭和キャボット社製)を25gと8.5N水酸化ナトリウム水溶液を2.9g加え、超音波洗浄器に浸し超音波を照射することにより30分間攪拌し十分に混合した後、開始剤として過硫酸アンモニウム0.02gを1mlの純水に溶かして加えた。
【0046】
一方、フッ素系シランカップリング剤(TSL8233:東芝シリコーン社製)で内壁を撥水処理(表面張力:約20mN/m)した容量300mlセパラブルフラスコに、同シランカップリング剤で撥水処理(表面張力:約20mN/m)した攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管を付設して、内部にシクロヘキサン300mlを入れた。次に分散安定剤としてHLB4.7のソルビタンモノステアレート(ソルゲン50:第一工業製薬製)0.5gを添加溶解し、窒素ガスを導入して溶液中の溶存酸素を除去した。
前記300mlのセパラブルフラスコ内容物に、200mlテフロンカップ内で混合した内容物の約1/5(すなわち約8.409g)を添加し攪拌懸濁した。なお、攪拌は3枚羽根のプロペラ型攪拌翼を用いて、室温で600rpmにて行った。攪拌開始後10分経過したところで、還元剤としてN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン0.1gをシクロヘキサン2mlに溶解して系内に添加した。
【0047】
懸濁液中に窒素ガスを吹き込みながら攪拌を続け、2時間反応させたのち内容物を取り出し、水酸化ナトリウム水溶液で中和反応を行なった後に、純水で繰り返し洗浄を行ない水溶性未反応物を除去した。次に、アセトンで洗浄しゲル内部の水分を除去したのち、乾燥して目 的とする着色高分子ゲル粒子を得た。得られた乾燥着色高分子ゲル粒子は、平均粒径が約5μmで最大粒径が約20μmであった。また、純水吸水量は約250g/gであり、この粒子はpH変化、塩や有機溶剤の添加によって可逆的に膨潤・収縮させることができ、粒子径は約5倍程度変化することが分かった。
【0048】
次に、この粒子を一定濃度(0.01g/ l)で含む水分散溶液を調製し、これを光路長1cmの分光光度測定装置用セルに入れ、純水(中性)による膨潤時、および微量の酸を添加しpH3.0の酸性に調整した収縮時の各光学濃度(λ=600nm)を測定した結果、膨潤時は約1.2、収縮時は約0.2であり大きく光学濃度が変化することが分かった。色材の濃度はどちらも一定であることから、着色高分子ゲル粒子の体積変化によって色材が拡散・ 凝集し、光吸収効率が変わることで、光学濃度が変化すると考えられる。また、溶液を再度中性にしたところ初期の光学濃度に戻ることも確認できた。さらに、pHを3.0〜7.5の範囲で段階的に変化させることで光学濃度を0.2〜1.2の範囲で段階的に変えることもできた。
したがって本発明により、体積変化によって大きな光学濃度変化で発色し、また色濃度変化を可逆的に行えるような、着色高分子ゲル粒子が得られることが明らかとなった。
【0049】
(実施例4)
容量200mlのテフロン製カップに水溶性エチレン性モノマーとしてアクリル酸5.0gを採り、外部より冷却しながら8.5N水酸化ナトリウム水溶液を8.1g加えて、アクリル酸のカルボキシル基を約74%中和した。次に、架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミドを0.025gを加え、十分に溶かして混合した。その後、色材として表面がカルボキシル基で親水化処理されているカーボンブラックの15%水溶液(CAB−O−JET 300:昭和キャボット社製)を約33.33gと8.5N水酸化ナトリウム水溶液を2.9g加え、超音波洗浄器に浸し超音波を加えた状態で30分間攪拌し十分に混合した後、開始剤として過硫酸アンモニウム0.02gを1mlの純水に溶かして加えた。
【0050】
一方、フッ素系シランカップリング剤KP−801M(信越化学工業社製)で内壁を撥水処理(表面張力:約20mN/m)した容量300mlセパラブルフラスコに、同様にフッ素系シランカップリング剤で撥水処理(表面張力:約20mN/m)した攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管を付設して、内部にシクロヘキサン300mlを入れた。次に分散安定剤としてHLB4.7のソルビタンモノステアレート(ソルゲン50:第一工業製薬製)0.5gを添加溶解し、窒素ガスを導入して溶液中の溶存酸素を除去した。
前記300mlのセパラブルフラスコ内容物に、200mlテフロンカップ内で混合した内容物の約1/5(すなわち約10.075g)を添加し攪拌懸濁した。なお、攪拌は3枚羽根のプロペラ型攪拌翼を用いて、室温で600rpmにて行った。
【0051】
反応容器は水浴で70℃に加熱しながら、6時間反応させたのち内容物を取り出し、水酸化ナトリウム水溶液で中和反応を行なった後に、純水で繰り返し洗浄を行ない水溶性未反応物を除去した。次に、アセトンで洗浄しゲル内部の水分を除去したのち、乾燥して目的とする 着色高分子ゲル粒子を得た。得られた乾燥着色高分子ゲル粒子は、平均粒径が約5μmで最大粒径が約20μmであった。また、純水吸水量は約250g/gであり、この粒子はpH変化、塩や有機溶剤の添加によって可逆的に膨潤・収縮させることができ、粒子径は約5倍程度変化することが分かった。
【0052】
次に、この粒子を一定濃度(0.01g/ l)で含む水分散溶液を調製し、これを光路長1cmの分光光度測定装置用セルに入れ、純水(中性)による膨潤時、および微量の酸を添加しpH3.0の酸性に調整した収縮時の各光学濃度(λ=600nm)を測定した結果、膨潤時は約1.2、収縮時は約0.2であり大きく光学濃度が変化することが分かった。色材の濃度はどちらも一定であることから、着色高分子ゲル粒子の体積変化によって色材が拡散・ 凝集し、光吸収効率が変わることで、光学濃度が変化すると考えられる。また、溶液を再度中性にしたところ初期の光学濃度に戻ることも確認できた。さらに、pHを3.0〜7.5の範囲で段階的に変化させることで光学濃度を0.2〜1.2の範囲で段階的に変えることもできた。
したがって本発明により、体積変化によって大きな光学濃度変化で発色し、また色濃度変化を可逆的に行えるような、着色高分子ゲル粒子が得られることが明らかとなった。
【0053】
(比較例1)
色材として、表面が親水化処理されていないカーボンブラック(ショウブラック:昭和キャボット社製)を用いたこと以外は、すべて実施例4と同様な条件で着色高分子ゲル粒子の作製を試みた。
ところが、反応後に回収した着色高分子ゲル粒子は、色材であるカーボンブラックが高分子ゲル粒子の表面に付着しているだけで、内部にはほとんど含有されていなかった。また、表面にカーボンブラックが付着したゲル粒子は、表面が撥水性であり、純水吸水量は約0g/gであり、全く吸水性能を有しないことがわかった。また、この粒子はpH変化、塩や有機溶剤の添加によっても膨潤・収縮させることができなかった。
【0054】
前記実施例から明らかなように、本発明の着色高分子ゲル粒子は、いずれも、吸水性、色調、粒子径の均一性に優れており、また、外部からの刺激に応答して体積や光学濃度が変化する刺激応答性ゲル粒子としても適用が可能であった。また、実施例1と2の対比から、本発明の着色高分子ゲル粒子を製造する際には、反応容器内壁や攪拌翼が疎水性である装置を用いることにより、製造効率が改善されることがわかった。
【0055】
【発明の効果】
本発明の着色高分子ゲル粒子は、前記構成としたため、色材の含有率が高く、均一な粒子径を有し、外的刺激により体積や色調が変化する刺激応答性ゲル粒子にも用いうるという効果を奏する。また、本発明の着色高分子ゲル粒子の製造方法によれば、前記の優れた特性を有する着色高分子ゲル粒子を、効率よく製造しうる。
Claims (6)
- 水溶性エチレン性不飽和モノマーを、架橋剤および親水性色材の存在下で油中水滴型の逆相懸濁重合させて得られることを特徴とする着色高分子ゲル粒子。
- 前記親水性色材が、イオン性官能基により表面を親水化処理した色材であることを特徴とする請求項1に記載の着色高分子ゲル粒子。
- 水溶性エチレン性不飽和モノマーを、架橋剤および親水性色材の存在下、表面が撥水性の攪拌翼を備え、撥水性の内壁を有する反応容器内で、油中水滴型の逆相懸濁重合させる工程を有することを特徴とする着色高分子ゲル粒子の製造方法。
- 前記反応容器の内壁および攪拌翼表面における表面張力が、40mN/m以下であることを特徴とする請求項3に記載の着色高分子ゲル粒子の製造方法。
- 前記反応容器の内壁および攪拌翼表面が、フッ素系あるいはシリコーン系の撥水剤により表面処理されていることを特徴とする請求項3に記載の着色高分子ゲル粒子の製造方法。
- 前記反応容器の内壁および攪拌翼が、フッ素系あるいはシリコーン系の樹脂により形成されていることを特徴とする請求項3に記載の着色高分子ゲル粒子の製造方法。
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