JP3692644B2 - 軟判定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車電話をはじめとするディジタルデータ伝送に用いる軟判定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術を説明する前に、本発明に関する技術的背景について説明する。
【0003】
(技術的背景1)FIRフィルタについて説明する。FIRフィルタは有限インパルス応答(Finite Impulse Response)フィルタの略で、インパルス応答が有限時間に終了するフィルタである。図7にFIRフィルタの構成を示す。FIRフィルタは、遅延要素(同図の、遅延1、遅延2、・・・、遅延L)により入力される信号に順次遅延を与えるとともに、乗算器(MULT 0、・・・、MULT L)によりタップ係数c0、・・・、cLを乗算した後、加算器(同図のSUM)によりこれら複数の乗算結果を加算するものである。この遅延量は、通常、一定値である。
【0004】
(技術的背景2) 符号間干渉(ISI)を有する伝送路モデルを図8に示す。本モデルは伝送路をFIRフィルタで表現したものである。本モデルにおいて、受信信号は、送信された信号が直接受信される先行信号と反射等により遅延して受信される遅延信号の合成信号である。同図において、各遅延信号の時間差は遅延回路DELAY(シフトレジスタ)によって与えられる。先行信号は、乗算器MULT0により送信信号Inとタップ係数c0,nとを乗算することにより得られる。ここで、下付きのnは時刻を意味する。遅延信号は、乗算器MULT1〜Lにより遅延された送信信号In-1〜In-Lとタップ係数c1,n〜cL,nとをそれぞれ乗算することにより得られる。そして、乗算器MULT0〜Lの出力は加算器SUMにより合成される。更に、加算器ADDにより加算器SUMが出力する合成波に雑音wnが加算されて受信信号rnとして出力される。
ISIが存在しない場合、受信信号rnは次式で表現される。
n=c0,nn+wn (1)
この場合、c0,nが既知で、雑音が小さければ、rnからInを容易に推定できる。
しかし、図8のモデルによれば、伝送路に対して{In}なる送信系列を送信した場合、この送信系列は、伝送路で加法的白色ガウス雑音(AWGN)wnばかりでなくISIを受ける。したがって、受信信号rnは時刻nだけではなく、それより過去のInを含む。このときの受信信号は次式で表現される。
n= Σ ci,nn-i+wn (2)
ここで、総和Σはi=0、・・・、Lについてとり、LはISIが影響を与える時間長(伝送路メモリ長)を示す。
図8の伝送路モデルでは、時刻nから時刻(n−L)まで送信系列が含まれることになる。また、このような伝送路に対して、rnからInを推定するものとして最尤系列推定がしばしば用いられる。
【0005】
(技術的背景3) ビタビアルゴリズムを用いた最尤系列推定 G.D.Forney,Jr著の“Maxmum-likelihood sequence estimation of digital sequence in presence of intersymbol interference”(IEEE Trans. Information Theory, vol.IT-18, pp.363-378, May 1972)に示されたビタビアルゴリズムを用いた最尤系列推定の説明を順次行う。
【0006】
ステートとトレリスについて説明する。ステートとは状態を示すものである。ISIを有する伝送路モデルを図8に示しているが、受信信号は現在の送信信号だけでなく過去の送信信号によっても決定される。したがって、現在の送信信号を推定するためには過去の送信信号も考慮する必要がある。この過去の送信信号の組み合わせによって構成される送信系列の候補がステートに相当する。送信信号が0、1の2値、遅延回路が1シンボル周期(L=1)であれば、ステート〔0〕とステート〔1〕の2種類であり、遅延回路が2シンボル周期(L=2)であれば、ステート〔0,0〕、ステート〔1,0〕、ステート〔0,1〕とステート〔1,1〕の4種類である。このように、ステートは送信系列の組み合わせで表現される。
【0007】
ところで、復調アルゴリズムであるビタビアルゴリズムのメモリ長をVとすると、時刻nにおけるステートSn及び時刻n−1におけるステートSn-1は、それぞれ(3)、(4)式で表現できる。
n=〔In-V+1,In-V+2,・・・,In〕 (3)
n-1=〔In-V,In-V+1,・・・,In-1〕 (4)
ただし、これ以降表記を簡単にするため、ステートSnをIn-V+1n-V+2…Inと表わすことがある。例えば、ステート〔0,1〕を01のように表現する。
ここで、2つのステートSn、Sn-1のうちIn-V+1からIn-1のV−1個の送信系列は同一値となる性質を利用して、図9のトレリス図が作成できる。
図9において、送信信号の候補の数Uを2とし、信号が0と1の2値をとる場合、ステート個数NはN=UV=22=4となる。すなわち、本例は、Inを0,1としV=2としたので、Snは00、01、10、11の4ステートでトレリスが構成される。 図9において、縦方向は上から順にステート00、01、10、11、横方向は左から順に時刻n−1,n,n+1,n+2,n+3,n+4を示す。また、各ステート(白丸)から次の時刻の2つのステートにそれぞれ線が引かれているが、この線分は時刻変化に伴うステートの変化を示す。例えば、ステート00からはステート00及び01に対して2本の線が引かれる。ステート00からステート00への線は入力データが0の場合を示し、データ入力前とデータ入力後とでステートが同じ00であることを示す。ステート00からステート01への線は入力データが1の場合を示し、データ入力前のステート00からステート01に変化することを意味する。
このトレリスにおける線分Sn-1/Snは枝と呼ばれる。この枝は送信系列In-V〜Inにより一意的に決定される。これを(5)式のように表現する。
n-1/Sn=〔In-V,In-V+1,・・・,In〕 (5)
なお、ステートの表記と同様に表記を簡単にするため、枝Sn-1/Snを単にIn-Vn-V+1・・・Inと表わすことがある。例えば、枝〔1,0,1〕を101のように表現する。
【0008】
ところで、V=Lと設定した場合、すなわち、ISIが影響を与える時間長(伝送路メモリ長)とビタビアルゴリズムのメモリ長(トレリスのメモリ長)とが等しい場合、(2)式で示されるrnの推定値(レプリカ)hnは、(6)式に示すように一意的に推定される。
n= Σ gi,nn-i (6)
ここで、ci,nの推定値をそれぞれgi,nとした。また、総和Σはi=0,・・・,Lについてとる。
また、トレリスにおいて、互いに接続された折れ線SVV+1…Snはパスと呼ばれる。このパスは一意的に枝SV-1/SV、SV/SV-2、・・・、Sn-1/Snを決定するとともに、I0〜Inの送信系列を決定する。図10に、図9のトレリスを用いて、送信系列〔In−2,In−1,・・・,In+4〕=〔1,0,1,1,0,0,1〕に対応するパスSn-1n…Sn+4を示す。太線はパスであり、太い白抜きの丸はパスの通るステート、ステートとステートを結ぶ太線はパスによって決定される枝である。以上のようにパスを決定することによって送信系列を決定することができる。
図10からわかるように、送信系列のデータは2つずつ順次シフトしていく。例えば、送信系列の最初の2つのデータ1、0が入力されると、時刻n−1のステートは10になる。これがステートSn-1である。次にデータ1が入力されると時刻nのステートは01になる。これがステートSnである。以下同様に、データ1、0、0、1が入力されると、時刻n+1,・・・,n+4のステートSn+1,・・・,Sn+4は、11、10、00、01である。以上のように、送信系列〔In-2,In-1,・・・,In+4〕に1対1に対応してパスが決定される。
逆に、パスが決定できれば、送信系列を特定することができる。受信信号からパスを推定するために、各枝において推定がなされる。これには枝メトリックが用いられる。枝メトリックとは、受信信号rnと、各枝によって決定される送信系列の候補In及び推定値gi,nによって再生された受信信号のレプリカhnとの2乗誤差のことである。この2乗誤差は、ステートから次のステートへの遷移の確からしさ、すなわち枝の生起する確からしさを表している。
【0009】
枝Sn-1/Snにより決定されるIn-VからInの送信系列の候補値In-iからrnのレプリカhn〔Sn-1/Sn〕を以下のように作成できる。
n〔Sn-1/Sn〕= Σ gi,nn-i (7)
ただし,総和Σはi=0,・・・,Lについてとる。
実際の受信信号rnと枝〔Sn-1/Sn〕により決定されるレプリカhn〔Sn-1/Sn〕の2乗誤差、すなわち枝メトリックEn〔Sn-1/Sn〕は次式のように表現できる。
n〔Sn-1/Sn〕={ABS(rn−hn〔Sn-1/Sn〕)}2 (8)
ただし、ABS()はユークリッド空間におけるベクトルの長さを意味する。(8)式は、点rnと点hn〔Sn-1/Sn〕との距離の2乗を示す。
つまり、枝〔Sn-1/Sn〕により一意的に枝メトリックEn〔Sn-1/Sn〕が決定される。
また、パスに沿って一意に決定される枝の枝メトリックを全て合計した累積2乗誤差のことをパスメトリックと呼ぶ。各ステートにおいて、U個(図9ではU=2)のパスが参入するが、これらパスの中でパスメトリックが最小のパスを生き残りパスと呼び、各ステート毎に生き残りパスが存在する。
【0010】
この生き残りパスを求めるための処理がACS処理である。ACSとはAdd-Compare-Select(加算・比較・選択)の略である。
加算処理とは、下記(9)式に示す1時刻過去のステートSn-1に対応した生き残りパスメトリックFn-1〔Sn-1〕と枝メトリックEn〔Sn-1/Sn〕を加算する操作である。
n〔Sn-1/Sn〕=En〔Sn-1/Sn〕+Fn-1〔Sn-1〕 (9)
ここで、Fn〔Sn〕はステートSnに対応する生き残りパスメトリックを表わし、Fn〔Sn-1/Sn〕は枝Sn-1/Snに対応するパスメトリックである。
比較処理とは、各ステートに対して作成されるU個のパスメトリックを比較する操作である。最尤系列推定全体としては、N個のステートにU個の枝が存在するため(N・U)個のパスメトリックが作成される。
選択処理とは、各ステートにおいて比較処理の結果からパスメトリックの最も小さいものを選択し、選択したパスメトリックに対応する系列を現時刻の生き残りパスとして選択する操作である。
【0011】
以上がビタビアルゴリズムを用いた最尤系列推定の説明である。このように、G.D.Forneyにより示された最尤系列推定は、シンボルごとに受信信号を入力し、各ステートに対して逐次ACS処理を行う。全ての入力信号系列を入力した後、最終的に残った生き残りパスの中で最小のパスメトリックを有するパスを最尤パスとし、この最尤パスによって決定される唯一の系列(最尤系列)を送信した系列として判定する。
【0012】
(技術的背景4) 軟判定
軟判定について説明する。符号化の一種に畳込み符号化があり、畳込み符号の最適復号法にはビタビアルゴリズムが用いられる。このビタビアルゴリズムの入力には、0または1というような2値量子化したデータ(硬判定値という)でなく、信頼度も含んだ例えば0.2や0.9等というデータ(軟判定値という)を入力した方が良好な誤り率特性を示す。それゆえ、畳込み符号の復号に軟判定値を用いた場合、誤り率特性を改善することができる。しかし、上述の最尤系列推定では軟判定値を計算することができないので、軟判定値の計算に軟判定出力ビタビアルゴリズムが利用されることが多い。
【0013】
(従来の軟判定装置の説明)
次に従来の軟判定装置の一例について説明する。
図11は従来の軟判定装置のブロック図である。この例は特開平3−9617号公報に記載された軟判定装置である。
【0014】
図11において、261は受信信号入力端子、262は枝メトリック作成回路、263−1〜263−NはACS回路、264は共有メモリ、265−1,265−2は最小値選択回路、266は減算回路、267は軟判定値出力端子、268は推定伝送路特性入力端子である。なお、推定伝送路特性は、受信機側で既知であるトレーニング信号を用いて推定した伝送路特性の推定値であり、トレーニング信号は受信信号の一部に組込まれる。
【0015】
従来の軟判定装置の動作について図11を用いて説明する。送信信号は0、1の2値をとり、N(=2V)をステート数とし、V=Lである。
枝メトリック作成回路は、受信信号rn、推定伝送路特性gi(i=0,・・・,L)を入力し、各枝Sn-1/Snに対応する枝メトリックEn〔Sn-1/Sn〕を(10)式に基づいて計算する。
n〔Sn-1/Sn〕={ABS(rn− Σ gin-i)}2 (10)
ここで、総和Σはi=0,・・・,Lについてとり、In-i(i=0,・・・,L)は枝Sn-1/Snにより一意に決定される送信系列の候補値である。
N個のACS回路263−1〜263−Nは一時刻過去及び現時刻の生き残りパスメトリックを共有メモリ364によって共有しており、これらのパスメトリックは互いにアクセス可能である。ACS回路263−1〜263−Nは、各ACS回路263−1〜263−Nに対応したステートSnに繋がる2つの枝Sn-1/Snに対応した枝メトリックEn〔Sn-1/Sn〕と、その2つの枝によって結ばれる1時刻過去のステートSn-1に対応し共有メモリ264より出力される一時刻過去の生き残りパスメトリックFn-1〔Sn-1〕をそれぞれ受け、上述のACS処理を行うとともに、さらにACS処理の加算処理によって計算される各枝に対応したパスメトリックFn〔Sn-1/Sn〕と現時刻の生き残りパスメトリックFn〔Sn〕を出力する。
共有メモリ264は、ACS回路263−1〜263−Nの出力を受けて、現時刻の生き残りパスメトリックを一時刻過去の生き残りパスメトリックとする。このようにして共有メモリ264の内容は更新される。
最小値選択回路265−1は、枝Sn-1/Snにより決定される送信系列In-i(i=0,・・・,V)の最も過去の送信信号In-Vが0である枝に対応したN個のパスメトリックFn〔Sn-1/Sn〕を入力し、その最小値を出力する。最小値選択回路265−2は、枝Sn-1/Snにより決定される送信系列In-i(i=0,・・・,V)の最も過去の送信信号In-Vが1である枝に対応したN個のパスメトリックFn〔Sn-1/Sn〕を入力し、その最小値を出力する。
減算回路266は最小値選択回路265−1より出力される最小値から最小値選択回路265−2より出力される最小値を減算した結果を、軟判定値として出力する。
【0016】
以上の動作を図12に示すトレリスによって具体的に説明する。ここで、L=V=2、N=2V=4とし、送信信号Inの軟判定値を計算する。
枝メトリック作成回路262は、推定伝送路特性g0,g1,g2及び受信信号rnを受けて、枝000に対応した送信系列の候補〔In-2,In-1,In〕=〔0,0,0〕に基づいて枝メトリックEn〔000〕を(11)式によって計算し、その結果を出力する。
n〔000〕={ABS(rn−(g0n+g1n-1+g2n-2))}2 ……(11) また、枝100、010、…、111に対する枝メトリックEn〔100〕、En〔010〕、・・・、En〔111〕についても同様に計算して出力する。
ACS回路263−1は、ACS回路263−1に対応したステート00に繋がる枝000、100に対応する枝メトリックEn〔000〕、En〔100〕と一時刻過去の生き残りパスメトリックFn-1〔000〕、Fn-1〔100〕をそれぞれ入力し、加算処理によって次の枝000、100に対応したパスメトリックを得る。
n〔000〕=En〔000〕+Fn-1〔00〕 (12)
n〔100〕=En〔100〕+Fn-1〔10〕 (13)
パスメトリックFn〔000〕、Fn〔100〕は最小値選択回路265−1、265−2に出力される。さらに、ACS回路の比較・選択処理によって2つパスメトリックの中で小さい方をステート00に対応する現時刻の生き残りパスメトリックFn〔00〕として共有メモリ264に出力される。ACS回路263−2〜263−4も同様に動作して、ステート10、01、11に対応した現時刻の生き残りパスメトリックFn〔10〕、Fn〔01〕、Fn〔11〕が共有メモリ264に出力される。
最小値選択回路265−1は、ACS回路263−1〜263−4から出力されるパスメトリックの中でIn-2=0となるパスメトリックFn〔000〕、Fn〔010〕、Fn〔001〕、Fn〔011〕を受けて、それらの中で最小のパスメトリックを出力する。最小値選択回路265−2は、ACS回路263−1〜263−4から出力されるパスメトリックの中でIn-2=1となるパスメトリックFn〔100〕、Fn〔110〕、Fn〔101〕、Fn〔111〕を入力し、その中で最小のパスメトリックを出力する。減算回路266は最小値選択回路265−1より出力される最小値から最小値選択回路265−2より出力される最小値を減算し、その結果を軟判定値として出力する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来例において、伝送路特性が時間ともに変動する場合、推定伝送路特性がその変動に追従できないため、軟判定値に誤差が生じる。この誤差のため、上記従来例の軟判定装置により出力される軟判定値を利用して、ビタビ復号を行った場合データの誤り率が劣化する。なお、以下ではビタビ復号したデータの誤り率が良くなる軟判定値を精度の高い軟判定値と表現する。
また、枝メトリックの計算で使われる推定伝送路特性は、雑音などに起因す推定誤差が含まれ、タップ数に応じてこの誤差が加算されることになる。よって、上記従来例は推定伝送路のメモリ長が固定であるため、メモリ長が変化するような伝送路において、伝送路特性のメモリ長が小さくなった場合、不要なタップのために精度の高い軟判定値を得ることができない。
また、上記従来例は、周波数オフセットが存在するような伝送路において、周波数オフセットによる受信信号の回転を考慮していないので、精度の高い軟判定値を得ることができない。
また、上記従来例は、ダイバーシチ受信を行わないため、ダイバーシチ受信を行う場合に比べ、軟判定値の精度が悪くなる。
また、上記従来例は、差動符号化された信号を受信した場合、差動符号化前の信号に対する軟判定値を出力できない。
【0018】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、推定伝送路特性のメモリ長が時間変化するような伝送路においても精度の高い軟判定値を得ることができるなどの性能を向上した軟判定装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わる軟判定装置は、伝送路を介して符号化された信号を受信し、送信信号の状態をステートに対応させ、受信信号の受信に伴うひとつのステートから次のステートへの遷移を枝に、その遷移の指標を枝メトリックに対応させ、上記受信信号を逐次受信したときの上記遷移の経路であるパスについて上記枝メトリックに基づき上記パスの指標であるパスメトリックを算出し、上記パスメトリックに基づき上記パスのうち一部を生き残りパスとして選択することにより伝送された信号を軟判定する軟判定装置において、
上記受信信号及び生起する可能性のある連続したV個の上記送信信号の組み合わせである上記ステート各々に対応する推定伝送路特性を入力し、上記推定伝送路特性に基づいて、上記ステート各々に繋がる枝それぞれの上記枝メトリックを出力する枝メトリック作成手段と、
上記ステート各々に対応して設けられ、上記枝メトリック作成手段により出力される上記枝メトリックと1時刻過去の生き残りパスメトリックを受け、上記ステート各々に対応する送信系列の候補である生き残りパスメトリック、上記生き残りパスに含まれる一時刻過去のステート及び各ステートに繋がる枝を含むパスのパスメトリックを出力する加算・比較・選択手段と、
上記生き残りパスメトリックを記憶し、上記加算・比較・選択手段が次の処理をするときに上記1時刻過去の生き残りパスメトリックとして記憶内容を出力するメモリと、
上記送信信号の取り得る候補各々に対応して設けられ、上記枝を構成する送信系列の中で最も過去の送信信号の候補に一致する枝に対応する上記パスメトリックを受け、これらのパスメトリックの中で最小のパスメトリックを出力する最小値選択手段と、
上記最小値選択手段によりそれぞれ選択された上記パスメトリックに基づき軟判定値を出力する軟判定値作成手段と、
上記受信信号及び上記加算・比較・選択手段により出力される上記ステート各々に対応する上記一時刻過去のステートを受け、上記ステート各々に対応した上記推定伝送路特性を更新し、更新した結果を上記ステート各々に対応した推定伝送路特性として出力する伝送路特性推定手段と、
上記受信信号を受け、送信信号の既知情報に基づき伝送路特性を推定し、この推定伝送路特性によって上記伝送路のメモリ長Lを推定し、その結果を推定メモリ長として出力するメモリ長推定手段を備え、
上記伝送路特性推定手段を、上記メモリ長推定手段により出力される上記推定メモリ長に基づき上記ステート各々に対応した上記推定伝送路特性を更新するように構成したものである。
【0035】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1について説明する。なお、図において同一の符号を付した構成要素は同一または相当のものである。
図1は、発明の実施の形態1に係る軟判定装置の一例を示すブロック図である。同図において、11は受信信号入力端子、12は2M(ここでM=2V、V≧L、Vはトレリスのメモリ長、Lは推定伝送路のメモリ長)個の枝それぞれに対応した枝メトリックを計算する枝メトリック作成回路、13−1〜13−MはM(=2V)個のステートそれぞれに対応して設けられ、ACS処理を行うACS回路、14はACS回路13−1〜13−M接続された共有メモリ、15−1、15−2は最小値選択回路、16は減算回路、17は軟判定値出力端子、18は伝送路特性推定回路である。なお、本例は、送信信号が0または1の2値をとる場合の構成である。
【0036】
次に軟判定装置の動作について図1を用いて説明する。
枝メトリック作成回路12は、受信信号rnと伝送路特性推定回路18が出力するM個のステートSnそれぞれに対応した推定伝送路特性gi,n〔Sn1〕、i=0,・・・,Lを入力し、各枝Sn-1/Snに対応した送信系列の候補に基づいて、(14)式によって枝メトリックEn〔Sn-1/Sn〕を計算し、出力する。
Figure 0003692644
ここで、総和Σはi=0,・・・,Lについてとり、In-i(i=0,・・・,L)は枝Sn-1/Snにより一意に決定される送信系列の候補値である。
ACS回路13−1は、ACS回路13−1に対応するステートSnに繋がる2つの枝S0 n-1/Sn及び枝S1 n-1/Snに対応し枝メトリック作成回路が出力する枝メトリックEn〔S0 n-1/Sn〕及び枝メトリックEn〔S1 n-1/Sn〕と、その2つの枝によって結ばれる1時刻過去のステートS0 n-1及びステートS0 n-1に対応し共有メモリ14より出力される1時刻過去の生き残りパスメトリックFn-1〔S0 n-1〕及びFn-1〔S1 n-1〕を受ける。 ACS回路13−1は、これら入力に基づき(15)、(16)に示す加算処理を行い、枝S0 n-1/Sn及び枝S1 n-1/Snに対応する現時刻のパスメトリックFn〔S0 n-1/Sn〕及びFn〔S1 n-1/Sn〕を計算する。
n〔S0 n-1/Sn〕=En〔S0 n-1/Sn〕+Fn-1〔S0 n-1〕 (15)
n〔S1 n-1/Sn〕=En〔S1 n-1/Sn〕+Fn-1〔S1 n-1〕 (16)
そして、ACS回路13−1は、上記(15)、(16)式により得られたパスメトリックFn〔S0 n-1/Sn〕とFn〔S1 n-1/Sn〕とを比較して、小さい方をステートSnに対応する現時刻の生き残りパスメトリックFn〔Sn〕として、を共有メモリ14に出力する。
【0037】
また、ACS回路13−1は、パスメトリックFn〔S0 n-1/Sn〕を最小値選択回路15−1に、パスメトリックFn〔S1 n-1/Sn〕を最小値選択回路15−2に、ACS処理における選択結果Sn-1〔Sn〕(=S0 n-1またはS1 n-1)を伝送路特性推定回路18に出力する。残りのACS回路13−2〜13−Mも同様に動作する。
共有メモリ14は、ACS回路13−1〜13−Mが出力する現時刻の生き残りパスメトリックを入力し、1時刻過去の生き残りパスメトリックを更新する。
最小値選択回路15−1は、枝Sn-1/Snを構成する最も過去の送信信号In- Vが0であるM個の枝S0 n-1/Snに対応したパスメトリックFn〔S0 n-1/Sn〕を入力し、その中で最小のパスメトリックを出力する。最小値選択回路15−2は、枝Sn-1/Snを構成する最も過去の送信信号In-Vが1であるM個の枝S1 n-1/Snに対応したパスメトリックFn〔S0 n-1/Sn〕を入力し、その中で最小のパスメトリックを出力する。減算回路16は最小値選択回路15−1の出力と最小値選択回路15−2の出力の差を計算し、この結果を軟判定値として軟判定値出力端子17から出力する。
【0038】
伝送路特性推定回路18は、ACS回路13−1〜13−Mが出力する選択結果Sn-1〔Sn〕を入力し、(17)式に示すLMS(Least Mean Square)アルゴリズムによって伝送路特性を更新する。
Figure 0003692644
ここで、i=0,・・・,Lである。
ただし、総和Σはj=0,・・・,Lについてとり、In-L、・・・、Inは枝Sn-1〔Sn〕/Snによって決定する系列の一部である。また、αはLMSアルゴリズムのステップサイズである。
【0039】
発明の実施の形態1は、推定伝送路特性をステート毎に逐次更新することにより、伝送路特性が高速に変動する場合、従来例よりも精度の高い軟判定値を得ることができる。また、従来例では伝送路を推定するために既知のトレーニング系列を受信信号に含む必要があったが、発明の実施の形態1ではトレーニング系列を受信することなく伝送路を推定することができる。ただし、トレーニング系列によって伝送路特性を推定し、その推定伝送路特性を初期値として、伝送路特性を逐次更新することもできる。
【0040】
さらに、トレリスのメモリ長Vを推定伝送路のメモリ長Lより大きくとることにより、判定したい時刻よりVシンボル先の情報を考慮して軟判定が行えるので、従来例よりも精度の高い軟判定値を得ることができる。
【0041】
また、発明の実施の形態1は取り得る値を0と1にしたが、−1と1またはそれに比例した値の組み合わせの方が実用的である。
また、送信信号の取り得る数Uを2としたが、2より大きい場合についても容易に拡張でき、さらに1つの送信信号が(A,B)と2ビット以上の情報を送信する場合、(18)、(19)式によって各ビットA、Bの軟判定値を計算できる。
n-V=min(Fn〔Sn〕)−min(Fn〔Sn〕) (18)
n-V=min(Fn〔Sn〕)−min(Fn〔Sn〕) (19)
ここで、(18)式の第1項は、ステートSnによって決定される送信系列(An-V,Bn-V)、・・・、(An,Bn)のAn-V=0となるステートに対応する生き残りパスメトリックの中で最小になるものを計算している。(18)式の第2項は、An-V=1となるステートに対応する生き残りパスメトリックの中で最小になるものを計算している。(19)式の第1項は、Bn-V=0となるステートに対応する生き残りパスメトリックの中で最小になるものを計算している。(19)式の第2項は、Bn-V=1となるステートに対応する生き残りパスメトリックの中で最小になるものを計算している。
【0042】
また、発明の実施の形態1は、枝メトリックとして受信信号とレプリカの2乗誤差に−1をかけた値を枝メトリックとし、ACS処理及び軟判定値の計算において最小値を選択する代わりに最大値を選択するようにして修正することもできる。
【0043】
また、発明の実施の形態1では、推定伝送路特性の更新にLMSアルゴリズムを用いたがRLS(Recursive Least Squares)アルゴリズムなどの他のアルゴリズムで更新することもできる。
【0044】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2について説明する。なお、図において同一の符号を付した構成要素は同一または相当のものである。
図2は、発明の実施の形態2に係る軟判定装置の一例を示すブロック図である。同図において、11は受信信号入力端子、12は2M(ここでM=2V、Vはトレリスのメモリ長)個の枝それぞれに対応した枝メトリックを計算する枝メトリック作成回路、13−1〜13−MはM(=2V)個のステートそれぞれに対応して設けられ、ACS処理を行うACS回路、14はACS回路13−1〜13−M接続された共有メモリ、15−1、15−2は最小値選択回路、16は減算回路、17は軟判定値出力端子、18は伝送路特性推定回路、21は雑音電力入力端子、22はメモリ長推定回路、23は除算回路である。なお、本例は、送信信号が0または1の2値をとる場合の構成である。また、受信信号には、受信機側で既知であるトレーニング系列が含まれ、このトレーニング系列によって伝送路特性の初期値を計算することができる。
【0045】
次に発明の実施の形態2の動作について図2を用いて説明する。ただし、発明の実施の形態1と動作が異なる部分についてだけ説明する。
メモリ長推定回路22は、受信信号のトレーニング系列部分を入力し、メモリ長推定回路22が保持しているトレーニング系列情報によって推定伝送路特性g0、・・・、gVを計算し、(20)式によって得られるしきい値Qに対して、{ABS(gi)}2>Qとなるgiが全て含まれるように推定伝送路特性のメモリ長Lの値を決定する。
Q=β・Σ{ABS(gi)}2 (20)
ここで、βはしきい値Qの調整のための係数である。
【0046】
図2に推定伝送路のメモリ長Lの推定の具体例を示す。なお、V=3とする。まず、トレーニング系列を用いて計算した推定伝送路g1、・・・、g3の中でg1とg3が{ABS(gi)}2>Qとなるので、g1、g2及びg3を有効なタップ係数とし、{ABS(g0)}2≦Qとならないようにg1、g2及びg3をそれぞれ 0 1 及び 2 にシフトする。メモリ長推定回路22は、この結果を伝送路推定回路18に出力する。伝送路推定回路18は推定伝送路のメモリ長Lを2とし、 0 1 及び 2 を推定伝送路特性の初期値として推定伝送路特性の更新を行う。
【0047】
枝メトリック作成回路12、ACS回路13−1〜13−M、最小値選択回路15−1,15−2、減算回路16は発明の実施の形態1と同様に動作する。
除算回路23は、減算回路16から出力される軟判定値と雑音電力入力端子21から入力される雑音電力(またはそれに相当する推定値)を受け、軟判定値を雑音電力で割った値を補正された軟判定値として軟判定値出力端子17から出力する。
【0048】
発明の実施の形態2は、推定伝送路のメモリ長Lを適切に変化させることにより、実際の伝送路のメモリ長が変化するような場合においても、その変化に追従することが可能であり、精度の高い軟判定値を得ることができる。
また、トレーニング系列に基づいて推定した推定伝送路特性の代わりに、伝送路特性推定回路より出力される推定伝送路特性に基づいて推定伝送路のメモリ長Lを推定するように構成することもできる。
【0049】
また、発明の実施の形態2は、軟判定値を雑音電力によって補正することにより、受信信号に含まれる雑音の電力が変化するような場合においても、雑音電力を一定とした場合と同じ軟判定値を得ることができる。
【0050】
また、雑音電力に対する信号電力の比が一定で、受信電力が変動する場合、軟判定値を雑音電力によって補正する代わりに、信号電力または受信電力により軟判定値を補正するように構成することもできる。雑音電力に対する信号電力の比が一定という条件では、信号電力または受信電力が雑音電力に比例するため、雑音電力で補正した場合と同じ効果が得られる。
【0051】
また、メモリ長推定回路22は、しきい値Qとして、雑音電力のβ倍または推定雑音電力のβ倍を用いることもできる。また、推定伝送路特性のメモリ長Lを変化させる変わりに、推定伝送路特性の不要なタップ係数を0にして、等価的に推定伝送路特性のメモリ長Lを変化させることもできる。さらに、{ABS(g0)}2≦Qとなるタップ係数を強制的にgi=0とするように推定伝送路特性を補正することもできる。例えば、図3の補正された推定伝送路特性において、{ABS( 1 )}2≦Qとなるので、 1 =0とする。
【0052】
また、発明の実施の形態2は取り得る値を0と1にしたが、−1と1またはそれに比例した値の組み合わせの方が実用的である。
また、送信信号の取り得る数Uを2としたが、2より大きい場合についても容易に拡張でき、さらに1つの送信信号が(A,B)と2ビット以上の情報を送信する場合、(18)、(19)式によって各ビットA、Bの軟判定値を計算できる。
【0053】
また、発明の実施の形態2は、枝メトリックとして受信信号とレプリカの2乗誤差に−1をかけた値を枝メトリックとし、ACS処理及び軟判定値の計算において最小値を選択する代わりに最大値を選択するようにして修正することもできる。
【0054】
また、発明の実施の形態2では、推定伝送路特性の更新にLMSアルゴリズムを用いたがRLSアルゴリズムなどの他のアルゴリズムで更新することもできる。
【0055】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3について説明する。なお、図において同一の符号を付した構成要素は同一または相当のものである。
図4は、発明の実施の形態2に係る軟判定装置の一例を示すブロック図である。同図において、11は受信信号入力端子、12は2M(ここでM=2V、Vはトレリスのメモリ長)個の枝それぞれに対応した枝メトリックを計算する枝メトリック作成回路、13−1〜13−MはM(=2V)個のステートそれぞれに対応して設けられ、ACS処理を行うACS回路、14はACS回路13−1〜13−M接続された共有メモリ、15−1、15−2は最小値選択回路、16は減算回路、17は軟判定値出力端子、41は周波数オフセット補正回路、48は伝送路特性推定回路である。なお、本例は、送信信号が0または1の2値をとる場合の構成である。
【0056】
次に発明の実施の形態3の動作について図4を用いて説明する。ただし、発明の実施の形態1と動作が異なる部分についてだけ説明する。
周波数オフセット推定回路41は、伝送路特性推定回路48から出力される推定伝送路特性を受けて、その変化の量から周波数オフセット量foffを推定し、伝送路特性推定回路48に出力する。
伝送路特性推定回路48は、受信信号rn及びACS回路13−1〜13−Mが出力する選択結果Sn-1〔Sn〕を入力し、(21)式に示すLMSアルゴリズムによって伝送路特性を更新する。また、周波数オフセット推定回路41から出力される推定周波数オフセット量fnを受けて、推定伝送路特性を(22)式によって補正する。
i,n+1 〔Sn〕=gi,n〔Sn-1〔Snn〕〕
+α{rn−Σgj,n〔Sn-1〔Sn〕〕In-j}In-1
……(21)
ここで、i=0,・・・,Lである。
i,n+1〔Sn〕= i,n+1 〔Sn〕・exp(j2πfn) (22)
ただし、総和Σはj=0,・・・,Lについてとり、In-L、・・・、Inは枝Sn-1〔Sn〕/Snによって決定する系列の一部である。
枝メトリック作成回路12、ACS回路13−1〜13−M、最小値選択回路15−1,15−2、減算回路16は発明の実施の形態1と同様に動作し、軟判定値出力端子17から軟判定値を出力する。
【0057】
ここで、周波数オフセットとは、受信したIF(中間周波数)信号の搬送波周波数と受信機内の発振器の周波数との差によって生じる周波数のオフセット成分である。受信したIF信号は、受信機内の発信器に基づいて搬送波周波数成分を取り除かれて、受信信号となる。この際、搬送波周波数と発振器の周波数が一致していない場合、受信信号に搬送波成分が残留する。この残留成分、すなわち周波数オフセットが存在すると軟判定の精度が悪くなる。発明の実施の形態3では、この周波数オフセット量を推定し、この推定値によって伝送路特性を補正するため、精度の高い軟判定値を得ることができる。
【0058】
また、発明の実施の形態3は、各ステート毎に周波数オフセット量fn〔Sn〕を推定し、(23)式のように推定伝送路特性を補正することができる。
i,n+1〔Sn〕= i,n+1 〔Sn〕・exp(j2πfn〔Sn〕) (23)
このように推定することにより、さらに精度の高い軟判定値を得ることができる。
また、発明の実施の形態3は、周波数オフセット推定回路で推定した周波数オフセット量fnによって、推定伝送路特性を補正する代わりに、受信信号を(24)式のように補正することができる。
n+1=rn+1・exp(−j2πfn) (2
このように補正することにより、発明の実施の形態3の構成を簡単にできる。
【0059】
さらに、発明の実施の形態3は、発明の実施の形態2ように、推定伝送路のメモリ長Lを適切に変化させることにより、実際の伝送路のメモリ長が変化するような場合においても、精度の高い軟判定値を得ることができ、また、軟判定値を雑音電力によって補正することにより、受信信号に含まれる雑音の電力が変化するような場合においても、雑音電力を一定とした場合と同じ軟判定値を得ることができる。
【0060】
また、送信信号の取り得る値を0と1にしたが、−1と1またはそれに比例した値の組み合わせの方が実用的である。
また、送信信号の取り得る数Uを2としたが、2より大きい場合についても容易に拡張でき、さらに1つの送信信号が(A,B)と2ビット以上の情報を送信する場合、(18)、(19)式によって各ビットA、Bの軟判定値を計算できる。
【0061】
また、発明の実施の形態3は、枝メトリックとして受信信号とレプリカの2乗誤差に−1をかけた値を枝メトリックとし、ACS処理及び軟判定値の計算において最小値を選択する代わりに最大値を選択するようにして修正することもできる。
【0062】
また、推定伝送路特性の更新にLMSアルゴリズムを用いたがRLSアルゴリズムなどの他のアルゴリズムで更新することもできる。
【0063】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4について説明する。なお、図において同一の符号を付した構成要素は同一または相当のものである。
図5は、発明の実施の形態4に係る軟判定装置の一例を示すブロック図である。同図において、51−1〜51−PはP系統の受信信号入力端子、52は2M(ここでM=2V、Vはトレリスのメモリ長)個の枝それぞれに対応した枝メトリックを計算する枝メトリック作成回路、13−1〜13−MはM(=2V)個のステートそれぞれに対応して設けられ、ACS処理を行うACS回路、14はACS回路13−1〜13−M接続された共有メモリ、15−1、15−2は最小値選択回路、16は減算回路、17は軟判定値出力端子、58は伝送路特性推定回路である。なお、本例は、送信信号が0または1の2値をとる場合の構成である。
【0064】
次に発明の実施の形態4の動作について図5を用いて説明する。ただし、発明の実施の形態1と動作が異なる部分についてだけ説明する。
枝メトリック作成回路52は、P系統の受信信号rk,n及び伝送路特性推定回路58の出力するP系統の推定伝送路特性gi,k,n、i=0,・・・,L、k=0,・・・,Pを受けて、枝Sn-1/Snに対応した枝メトリックEn〔Sn-1/Sn〕を(24)式によって計算し、その結果をACS回路13−1〜13−Mに出力する。
n〔Sn-1/Sn〕=Σ{ABS(rk,n− Σ gi,k,nn-i)}2……(24)
ここで、内側の総和Σはi=0,・・・,Lについてとり、外側の総和Σはk=0,・・・,Pについてとる。In-i(i=0,・・・,L)は枝Sn-1/Snにより一意に決定される送信系列の候補値である。
ACS回路13−1〜13−M、共有メモリ14、最小値選択回路15−1,15−2、減算回路16は、発明の実施の形態1と同様に動作し、軟判定値出力端子17から軟判定値を出力する。
伝送路特性推定回路58は、受信信号に含まれている既知のトレーニング系列によって、推定伝送路特性の初期値gi,k,0、i=0,・・・,L、k=0,・・・,Pを計算する。この動作はトレーニング系列が受信信号として送られているときだけ行い、トレーニング系列の最後のシンボルの時刻n=0とする。次に、伝送路特性推定回路58は、(25)式によって伝送路特性を逐次更新する。
Figure 0003692644
ここで、 i=0,・・・,L
k=0,・・・,P
である。
【0065】
発明の実施の形態4は、P系統の受信信号に基づいて軟判定を行うため、ダイバーシチの効果により低C/Nにおいても、精度の高い軟判定が行える。
【0066】
また、発明の実施の形態4は、発明の実施の形態2のように、推定伝送路のメモリ長Lを適切に変化させることにより、実際の伝送路のメモリ長が変化するような場合においても、精度の高い軟判定値を得ることができる。さらに、発明の実施の形態3のように、周波数オフセット量を推定し、この推定値によって伝送路特性を補正することにより、周波数オフセットが存在する場合においても、精度の高い軟判定値を得ることができる。
【0067】
また、送信信号の取り得る値を0と1にしたが、−1と1またはそれに比例した値の組み合わせの方が実用的である。
また、送信信号の取り得る数Uを2としたが、2より大きい場合についても容易に拡張でき、さらに1つの送信信号が(A,B)と2ビット以上の情報を送信する場合、(18)、(19)式によって各ビットA、Bの軟判定値を計算できる。
【0068】
また、発明の実施の形態4は、枝メトリックとして受信信号とレプリカの2乗誤差に−1をかけた値を枝メトリックとし、ACS処理及び軟判定値の計算において最小値を選択する代わりに最大値を選択するようにして修正することもできる。
また、推定伝送路特性の更新にLMSアルゴリズムを用いたがRLSアルゴリズムなどの他のアルゴリズムで更新することもできる。
【0069】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5について説明する。なお、図において同一の符号を付した構成要素は同一または相当のものである。
図6は、発明の実施の形態5に係る軟判定装置の一例を示すブロック図である。同図において、11は受信信号入力端子、62は2M(ここでM=2V、V≧L、Vはトレリスのメモリ長、Lは推定伝送路のメモリ長)個の枝それぞれに対応した枝メトリックを計算する枝メトリック作成回路、63−1〜63−MはM(=2V)個のステートそれぞれに対応して設けられ、ACS処理を行うACS回路、64は枝メトリック作成回路62及びACS回路63−1〜63−M接続された共有メモリ、15−1、15−2は最小値選択回路、16は減算回路、17は軟判定値出力端子、68は伝送路特性推定回路である。なお、本例は、差動符号化された信号が送信され、送信信号は0または1の2値をとる場合の構成であり、差動符号化前の情報信号の軟判定値を推定するものである。
【0070】
ここで、差動符号化とは、送信信号の値そのものに情報を与えるのでなく、1時刻過去の送信信号との差分に情報を与えるよう符号化することである。例えば、送信信号としてJn-1が送信された後に、情報系列(差動符号化前の系列)In、In+1、In+2、In+3、In+4を伝送する場合、時刻n以降の送信系列Jn、Jn+1、Jn+2、Jn+3、Jn+4は次のように示すことができる。
n=Jn-1+In mod 2 (26)
n+1=Jn+In+1 mod 2 (27)
n+2=Jn+1+In+2 mod 2 (28)
n+3=Jn+2+In+3 mod 2 (29)
n+4=Jn+3+In+4 mod 2 (30)
したがって、Jn-1=1が送信された後に、情報系列0、1、1、0、1を伝送する場合、時刻n以降の送信系列は1、0、1、1、0となる。
【0071】
次に発明の実施の形態5の動作について図6を用いて説明する。ただし、発明の実施の形態1と動作が異なる部分についてだけ説明する。
枝メトリック作成回路62は、共有メモリ64が出力するM個のステートSnそれぞれに対応した時刻n−V−1の送信信号の候補Jn-V-1〔Sn〕を受け、次式によって送信系列の候補Jn-V、・・・、Jnを計算し、時刻n−Vの送信信号の候補Jn-Vを枝Sn-1/Snに対応する送信信号Jn-V〔Sn-1/Sn〕として出力する。
n-V-1=Jn-V+In-V mod 2

n=Jn-1+In mod 2 (31)
ここで、In-i(i=0,・・・,V)は枝Sn-1/Snにより一意に決定される情報系列の候補値である。さらに、枝メトリック作成回路62は、受信信号rnと伝送路特性推定回路18が出力するM個のステートSnそれぞれに対応した推定伝送路特性gi,n〔Sn〕、i=0,・・・,Lを入力し、(31)式の送信信号の候補に基づいて、(32)式によって枝メトリックEn〔Sn-1/Sn〕を計算し、出力する。
n〔Sn-1/Sn〕={ABS(rn− Σ gin-i)}2 (32)
ここで、総和Σはi=0,・・・,Lについてとる。
【0072】
ACS回路63−1は、ACS回路63−1に対応するステートSnに繋がる2つの枝S0 n-1/Sn及び枝S1 n-1/Snに対応し枝メトリック作成回路が出力する枝メトリックEn〔S0 n-1/Sn〕及び枝メトリックEn〔S1 n-1/Sn〕と、その2つの枝によって結ばれる1時刻過去のステートS0 n-1及びステートS0 n-1に対応し共有メモリ64より出力される1時刻過去の生き残りパスメトリックFn-1〔S0 n-1〕及びFn-1〔S1 n-1〕を受ける。 ACS回路63−1は、これら入力に基づき(33)、(34)に示す加算処理を行い、枝S0 n-1/Sn及び枝S1 n-1/Snに対応する現時刻のパスメトリックFn〔S0 n-1/Sn〕及びFn〔S1 n-1/Sn〕を計算する。
n〔S0 n-1/Sn〕=En〔S0 n-1/Sn〕+Fn-1〔S0 n-1〕 (33)
n〔S1 n-1/Sn〕=En〔S1 n-1/Sn〕+Fn-1〔S1 n-1〕 (34)
そして、ACS回路63−1は、上記(33)、(34)式により得られたパスメトリックFn〔S0 n-1/Sn〕とFn〔S1 n-1/Sn〕とを比較して、小さい方をステートSnに対応する現時刻の生き残りパスメトリックFn〔Sn〕として、共有メモリ64に出力する。
【0073】
また、ACS回路63−1は、ACS回路63−1に対応するステートSnに繋がる2つの枝S0 n-1/Sn及び枝S1 n-1/Snに対応し枝メトリック作成回路が出力する時刻n−Vの送信信号の候補Jn-V〔S0 n-1/Sn〕及びJn-V〔S1 n-1/Sn〕を受け、上記ACS処理結果に基づいて、ステートSnに対応する時刻n−Vの送信信号の候補Jn-V〔Sn〕を決定し、共有メモリ64に出力する。さらに、ACS回路63−1は、パスメトリックFn〔S0 n-1/Sn〕を最小値選択回路15−1に、パスメトリックFn〔S1 n-1/Sn〕を最小値選択回路15−2に、ACS処理における選択結果Sn-1〔Sn〕(=S0 n-1またはS1 n-1)を伝送路特性推定回路68に出力する。残りのACS回路63−2〜63−Mも同様に動作する。
最小値選択回路15−1、15−2及び減算回路16は発明の実施の形態1と同様に動作する。
【0074】
伝送路特性推定回路68は、ACS回路63−1〜63−Mが出力する選択結果Sn-1〔Sn〕と、共有メモリ64が出力する時刻n−V−1の送信信号の候補Jn-V-1〔Sn-1〔Sn〕/Sn〕を入力し、(31)式による送信系列の候補Jn-V、・・・、Jnの計算後、(35)式に示すLMS(Least Mean Square)アルゴリズムによって伝送路特性を更新する。
Figure 0003692644
ただし、総和Σはj=0,・・・,Lについてとる。 また、αはLMSアルゴリズムのステップサイズである。
共有メモリ64は、ACS回路63−1〜63−Mが出力する現時刻の生き残りパスメトリックとV時刻過去の送信信号の候補を入力し、1時刻過去の生き残りパスメトリックとV+1時刻過去の送信信号の候補を更新する。
【0075】
発明の実施の形態5は、差動符号化した信号を受信する場合に、差動符号化前の信号の軟判定値を高い精度で推定することができる。
また、トレリスのメモリ長Vを推定伝送路のメモリ長Lより大きくとることにより、判定したい時刻よりVシンボル先の情報を考慮して軟判定が行えるので、より精度の高い軟判定値を得ることができる。
【0076】
また、発明の実施の形態5は、符号化メモリ長Kの畳込み符号によって符号化した信号を受信した場合に、復号した信号の軟判定値を高い精度で推定するように構成することもできる。さらに、トレリスのメモリ長Vを、推定伝送路のメモリ長Lと符号化メモリ長Kの和より大きくとることにより、判定したい時刻よりVシンボル先の情報を考慮して軟判定が行えるので、より精度の高い軟判定値を得ることができる。
【0077】
また、発明の実施の形態5は、発明の実施の形態2のように、推定伝送路のメモリ長Lを適切に変化させることにより、実際の伝送路のメモリ長が変化するような場合においても、精度の高い軟判定値を得ることができる。また、軟判定値を雑音電力によって補正することにより、受信信号に含まれる雑音の電力が変化するような場合においても、雑音電力を一定とした場合と同じ軟判定値を得ることができる。
【0078】
さらに、発明の実施の形態3のように、周波数オフセット量を推定し、この推定値によって伝送路特性を補正することにより、周波数オフセットが存在する場合においても、精度の高い軟判定値を得ることができる。また、発明の実施の形態4のように、P系統の受信信号に基づいて軟判定を行うことにより、低C/Nにおいても、精度の高い軟判定が行える。
【0079】
また、送信信号の取り得る値を0と1にしたが、−1と1またはそれに比例した値の組み合わせの方が実用的である。
また、送信信号の取り得る数Uを2としたが、2より大きい場合についても容易に拡張でき、さらに1つの送信信号が(A,B)と2ビット以上の情報を送信する場合、(18)、(19)式によって各ビットA、Bの軟判定値を計算できる。
【0080】
また、発明の実施の形態5は、枝メトリックとして受信信号とレプリカの2乗誤差に−1をかけた値を枝メトリックとし、ACS処理及び軟判定値の計算において最小値を選択する代わりに最大値を選択するようにして修正することもできる。
また、推定伝送路特性の更新にLMSアルゴリズムを用いたがRLSアルゴリズムなどの他のアルゴリズムで更新することもできる。
【0081】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、伝送路のメモリ長が変化するような伝送路においても、精度の高い軟判定値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1の軟判定装置を示す構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態2の軟判定装置を示す構成図である。
【図3】 この発明の実施の形態2の軟判定装置のメモリ長推定回路によるメモリ長決定の説明図である。
【図4】 この発明の実施の形態3に係わる軟判定装置の構成図である。
【図5】 この発明の実施の形態4に係わる軟判定装置の構成図である。
【図6】 この発明の実施の形態5に係わる軟判定装置の構成図である。
【図7】 FIRフィルタのブロック図である。
【図8】 伝送路のモデル図である。
【図9】 V=2のときのトレリス図である。
【図10】 従来の最尤系列推定を説明するためのV=2としたトレリス図である。
【図11】 従来の軟判定装置の構成図である。
【図12】 従来の軟判定装置の原理を説明するためのトレリス図及びステート遷移図である。ただし、V=2である。
【符号の説明】
11 受信信号入力端子、 12 枝メトリック作成回路、 13−1〜13−M ACS回路、 14 共有メモリ、 15−1、15−2 最小値選択回路、 16 減算回路、 17 軟判定値出力端子、 18 伝送路特性推定回路、 21 雑音電力入力端子、 22 メモリ長推定回路、 23 除算回路、 41 周波数オフセット推定回路、 48 伝送路特性推定回路、 51−1〜51−P 受信信号入力端子、 52 枝メトリック作成回路、 58 伝送路特性推定回路、62 枝メトリック作成回路、63−1〜63−M ACS回路、 64 共有メモリ、 68 伝送路特性推定回路。

Claims (10)

  1. 伝送路を介して符号化された信号を受信し、送信信号の状態をステートに対応させ、受信信号の受信に伴うひとつのステートから次のステートへの遷移を枝に、その遷移の指標を枝メトリックに対応させ、上記受信信号を逐次受信したときの上記遷移の経路であるパスについて上記枝メトリックに基づき上記パスの指標であるパスメトリックを算出し、上記パスメトリックに基づき上記パスのうち一部を生き残りパスとして選択することにより伝送された信号を軟判定する軟判定装置において、
    上記受信信号及び生起する可能性のある連続したV個の上記送信信号の組み合わせである上記ステート各々に対応する推定伝送路特性を入力し、上記推定伝送路特性に基づいて、上記ステート各々に繋がる枝それぞれの上記枝メトリックを出力する枝メトリック作成手段と、
    上記ステート各々に対応して設けられ、上記枝メトリック作成手段により出力される上記枝メトリックと1時刻過去の生き残りパスメトリックを受け、上記ステート各々に対応する送信系列の候補である生き残りパスメトリック、上記生き残りパスに含まれる一時刻過去のステート及び各ステートに繋がる枝を含むパスのパスメトリックを出力する加算・比較・選択手段と、
    上記生き残りパスメトリックを記憶し、上記加算・比較・選択手段が次の時刻の処理をするときに上記1時刻過去の生き残りパスメトリックとして記憶内容を出力するメモリと、
    上記送信信号の取り得る候補各々に対応して設けられ、上記枝を構成する送信系列の中で最も過去の送信信号の候補に一致する枝に対応する上記パスメトリックを受け、これらのパスメトリックの中で最小のパスメトリックを出力する最小値選択手段と、
    上記最小値選択手段によりそれぞれ選択された上記パスメトリックに基づき軟判定値を出力する軟判定値作成手段と、
    上記受信信号及び上記加算・比較・選択手段により出力される上記ステート各々に対応する上記一時刻過去のステートを受け、上記ステート各々に対応した上記推定伝送路特性を更新し、更新した結果を上記ステート各々に対応した推定伝送路特性として出力する伝送路特性推定手段と、
    上記受信信号を受け、送信信号の既知情報に基づき伝送路特性を推定し、この推定伝送路特性によって上記伝送路のメモリ長Lを推定し、その結果を推定メモリ長として出力するメモリ長推定手段を備え、
    上記伝送路特性推定手段を、上記メモリ長推定手段により出力される上記推定メモリ長に基づき上記ステート各々に対応した上記推定伝送路特性を更新するように構成したことを特徴とする軟判定装置。
  2. 伝送路を介して符号化された信号を受信し、送信信号の状態をステートに対応させ、受信信号の受信に伴うひとつのステートから次のステートへの遷移を枝に、その遷移の指標を枝メトリックに対応させ、上記受信信号を逐次受信したときの上記遷移の経路であるパスについて上記枝メトリックに基づき上記パスの指標であるパスメトリックを算出し、上記パスメトリックに基づき上記パスのうち一部を生き残りパスとして選択することにより伝送された信号を軟判定する軟判定装置において、
    上記受信信号及び生起する可能性のある連続したV個の上記送信信号の組み合わせである上記ステート各々に対応する推定伝送路特性を入力し、上記推定伝送路特性に基づいて、上記ステート各々に繋がる枝それぞれの上記枝メトリックを出力する枝メトリック作成手段と、
    上記ステート各々に対応して設けられ、上記枝メトリック作成手段により出力される上記枝メトリックと1時刻過去の生き残りパスメトリックを受け、上記ステート各々に対応する送信系列の候補である生き残りパスメトリック、上記生き残りパスに含まれる一時刻過去のステート及び各ステートに繋がる枝を含むパスのパスメトリックを出力する加算・比較・選択手段と、
    上記生き残りパスメトリックを記憶し、上記加算・比較・選択手段が次の時刻の処理をするときに上記1時刻過去の生き残りパスメトリックとして記憶内容を出力するメモリと、
    上記送信信号の取り得る候補各々に対応して設けられ、上記枝を構成する送信系列の中で最も過去の送信信号の候補に一致する枝に対応する上記パスメトリックを受け、これらのパスメトリックの中で最小のパスメトリックを出力する最小値選択手段と、
    上記最小値選択手段によりそれぞれ選択された上記パスメトリックに基づき軟判定値を出力する軟判定値作成手段と、
    上記受信信号及び上記加算・比較・選択手段により出力される上記ステート各々に対応する上記一時刻過去のステートを受け、上記ステート各々に対応した上記推定伝送路特性を更新し、更新した結果を上記ステート各々に対応した推定伝送路特性として出力する伝送路特性推定手段と、
    上記伝送路特性推定手段により出力される上記推定伝送路特性に基づき上記伝送路のメモリ長Lを推定し、その結果を推定メモリ長として出力するメモリ長推定手段を備え、
    上記伝送路特性推定手段を、上記メモリ長推定手段により出力される上記推定メモリ長に基づき上記ステート各々に対応した上記推定伝送路特性を更新するように構成したことを特徴とする軟判定装置。
  3. 上記ステートを構成する上記送信信号の個数Vを推定伝送路特性のメモリ長Lより大きくしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の軟判定装置。
  4. 伝送路を介して符号化された差動符号化した信号を受信し、送信信号の状態を差動復号した差動符号化前の信号の状態をステートに対応させ、ひとつのステートから次のステートへの遷移を枝に、その遷移の指標を枝メトリックに対応させ、上記遷移の経路であるパスについて上記枝メトリックに基づき上記パスの指標であるパスメトリックを算出し、上記パスメトリックに基づき上記パスのうち一部を生き残りパスとして選択することにより伝送された差動符号化前の信号を軟判定する軟判定装置において、
    受信信号、生起する可能性のある連続したV個の上記差動符号化前の信号の組み合わせである上記ステート各々に対応する推定伝送路特性及び上記ステート各々に対応する(V+1)時刻過去の送信信号を入力し、上記推定伝送路特性に基づいて、上記ステート各々に繋がる枝それぞれの上記枝メトリックを出力する枝メトリック作成手段、
    上記ステート各々に対応して設けられ、上記枝メトリック作成手段により出力される上記枝メトリックと1時刻過去の生き残りパスメトリックを受け、上記ステート各々に対応する送信系列の候補である生き残りパスメトリック、上記生き残りパスに含まれる一時刻過去のステート及び各ステートに繋がる枝を含むパスのパスメトリックを出力する加算・比較・選択手段と、
    上記生き残りパスメトリックを記憶し、上記加算・比較・選択手段が次の時刻の処理をするときに上記1時刻過去の生き残りパスメトリックとして記憶内容を出力するメモリと、
    上記差動符号化前の信号の取り得る候補各々に対応して設けられ、上記枝を構成する差動符号化前の系列の中で最も過去の差動符号化前の信号の候補に一致する枝に対応する上記パスメトリックを受け、これらの上記パスメトリックの中で最小のパスメトリックを出力する最小値選択手段と、
    上記最小値選択手段によりそれぞれ選択された上記パスメトリックに基づき軟判定値を出力する軟判定値作成手段と、
    上記受信信号、上記メモリより出力される上記ステート各々に対応する上記(V+1)時刻過去の送信信号の候補及び上記加算・比較・選択手段により出力される上記ステート各々に対応する上記一時刻過去のステートを受け、上記ステート各々に対応した推定伝送路特性を更新し、更新した結果を上記ステート各々に対応した上記推定伝送路特性として出力する伝送路特性推定手段と、
    上記受信信号を受け、送信信号の既知情報に基づき伝送路特性を推定し、この推定伝送路特性によって上記伝送路のメモリ長Lを推定し、その結果を推定メモリ長として出力するメモリ長推定手段を備え、
    上記伝送路特性推定手段を、上記メモリ長推定手段により出力される上記推定メモリ長に基づき上記ステート各々に対応した上記推定伝送路特性を更新するように構成したことを特徴とする軟判定装置。
  5. 伝送路を介して符号化された差動符号化した信号を受信し、送信信号の状態を差動復号した差動符号化前の信号の状態をステートに対応させ、ひとつのステートから次のステートへの遷移を枝に、その遷移の指標を枝メトリックに対応させ、上記遷移の経路であるパスについて上記枝メトリックに基づき上記パスの指標であるパスメトリックを算出し、上記パスメトリックに基づき上記パスのうち一部を生き残りパスとして選択することにより伝送された差動符号化前の信号を軟判定する軟判定装置において、
    受信信号、生起する可能性のある連続したV個の上記差動符号化前の信号の組み合わせである上記ステート各々に対応する推定伝送路特性及び上記ステート各々に対応する(V+1)時刻過去の送信信号を入力し、上記推定伝送路特性に基づいて、上記ステート各々に繋がる枝それぞれの上記枝メトリックを出力する枝メトリック作成手段、
    上記ステート各々に対応して設けられ、上記枝メトリック作成手段により出力される上記枝メトリックと1時刻過去の生き残りパスメトリックを受け、上記ステート各々に対応する送信系列の候補である生き残りパスメトリック、上記生き残りパスに含まれる一時刻過去のステート及び各ステートに繋がる枝を含むパスのパスメトリックを出力する加算・比較・選択手段と、
    上記生き残りパスメトリックを記憶し、上記加算・比較・選択手段が次の時刻の処理をするときに上記1時刻過去の生き残りパスメトリックとして記憶内容を出力するメモリと、
    上記差動符号化前の信号の取り得る候補各々に対応して設けられ、上記枝を構成する差動符号化前の系列の中で最も過去の差動符号化前の信号の候補に一致する枝に対応する上記パスメトリックを受け、これらの上記パスメトリックの中で最小のパスメトリックを出力する最小値選択手段と、
    上記最小値選択手段によりそれぞれ選択された上記パスメトリックに基づき軟判定値を出力する軟判定値作成手段と、
    上記受信信号、上記メモリより出力される上記ステート各々に対応する上記(V+1)時刻過去の送信信号の候補及び上記加算・比較・選択手段により出力される上記ステート各々に対応する上記一時刻過去のステートを受け、上記ステート各々に対応した推定伝送路特性を更新し、更新した結果を上記ステート各々に対応した上記推定伝送路特性として出力する伝送路特性推定手段と、
    上記伝送路特性推定手段により出力される上記推定伝送路特性に基づき上記伝送路のメモリ長Lを推定し、その結果を推定メモリ長として出力するメモリ長推定手段を備え、
    上記伝送路特性推定手段を、上記メモリ長推定手段により出力される上記推定メモリ長に基づき上記ステート各々に対応した上記推定伝送路特性を更新するように構成したことを特徴とする軟判定装置。
  6. 上記ステートを構成する上記差動符号化前の信号の個数Vを推定伝送路特性のメモリ長Lより大きくしたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の軟判定装置。
  7. 上記伝送路特性推定手段より出力される上記ステート各々に対応した上記推定伝送路特性を受け、上記推定伝送路特性それぞれに基づいて、上記ステート各々に対応した推定周波数オフセット量を出力する周波数オフセット推定手段を備えるとともに、
    上記伝送路特性推定手段を、上記周波数オフセット推定手段から出力される上記ステート各々に対応した上記推定周波数オフセット量に基づいてステート各々に対応した上記推定伝送路特性を補正し、補正された推定伝送路特性を更新するように構成したことを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の軟判定装置。
  8. 上記伝送路特性推定手段より出力される上記ステート各々に対応した推定伝送路特性を受け、上記推定伝送路特性に基づいて、推定周波数オフセット量を出力 する周波数オフセット推定手段を備えるとともに、
    上記伝送路特性推定手段を、上記周波数オフセット推定手段から出力される上記推定周波数オフセット量に基づいてステート各々に対応した上記推定伝送路特性を補正し、補正された推定伝送路特性を更新するように構成したことを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の軟判定装置。
  9. 上記伝送路特性推定手段より出力される上記ステート各々に対応した上記推定伝送路特性を受け、上記推定伝送路特性に基づいて、推定周波数オフセット量を出力する周波数オフセット推定手段を備えるとともに、
    上記受信信号及び上記推定周波数オフセット量を入力し、上記推定周波数オフセット量に基づいて上記受信信号を補正し、補正された受信信号を受信信号として出力する受信信号補正手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の軟判定装置。
  10. 上記枝メトリック作成手段を、P系統の受信信号及び上記ステート各々に対応する上記推定伝送路特性を受け、上記推定伝送路特性に基づいて、上記ステート各々に繋がる枝の枝メトリックを出力するように構成し、
    上記伝送路特性推定手段を、上記P系統の受信信号及び上記加算・比較・選択手段により出力される上記ステート各々に対応した上記一時刻過去のステートを受け、上記ステート各々に対応した上記推定伝送路特性を更新し、更新した結果を上記ステート各々に対応した推定伝送路特性として出力するように構成したことを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載の軟判定装置。
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