JP3691694B2 - パケット無線サービスネットワーク用の移動端末及び基地局 - Google Patents

パケット無線サービスネットワーク用の移動端末及び基地局 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パケット無線(radio)サービスネットワークに関する。
【0002】
【従来の技術】
汎用パケット無線サービスネットワーク(general packet radio services network)(GPRS)についての規格が定められつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
もし適切に設計された場合、パケットサービスネットワークは音声搬送が可能となることが認識されている。そして、このようなパケットサービスネットワークにおいて音声による交信が可能な移動端末及び基地局が求められている。本発明の目的は、このような移動端末及び基地局を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様によれば、パケット無線サービスネットワークにおいて基地局と交信するための移動端末が提供され、本発明の移動端末は、該移動端末と該基地局との間の交信用に複数のチャネルのうちの1個のチャネルを定めるための、音声情報を生成するように音声をディジタル的に符号化するための、音声情報を音声パケットの形に組み立てるための、そして音声パケット送信用チャネルの割り当て要求を生成するための、プロセッサ;からなる。
【0005】
本発明の移動端末は更に、パケット無線サービスネットワーク内の基地局にチャネル割り当て要求及び音声パケットを送信するための無線送信機と;基地局によって割り当てられた、移動端末が送信すべきチャネルのIDを受信するための無線受信機と;からなる。上記のプロセッサが、受信されたチャネル割り当ての各々に応働して、パケットが、割り当てられたチャネル上で送信されるかどうかを定める。
【0006】
汎用パケット無線サービスネットワークにおいて、送信すべきパケットがないときにはチャネルが開放される構成なので、そうでない構成の場合に比べて、同一個数の無線チャネルにおいて、より高いトラヒックレベルが得られる。
【0007】
もし送信要求が許可されない場合には、望ましくは、次に要求が許可されるまで音声情報を廃棄するように、上記のプロセッサが構成される。
【0008】
音声は時間に極めて敏感なので、音声情報を遅延させて送信するよりも音声情報を廃棄するほうがよい。この廃棄処理によって、クリッピング(clipping)(情報の一部が切り取られる状態)が発生するが、これは、その発生があまりに頻繁でない限り、ユーザには許容可能である。
【0009】
送信要求が許可されない場合には、望ましくは、予め定められた時間長さだけ次の要求を遅延させるように、上記のプロセッサが構成される。
【0010】
もし引き続く要求が許可されない場合には、望ましくは、上記の遅延が増大される。
【0011】
予め定められた最大遅延値に到達した後に、上記の遅延は減少される。
【0012】
望ましくは、上記のプロセッサが層状プロトコルを実現するように構成され、上記のパケットの各々が、サブネットワーク依存コンバージェンスプロトコル層(subnetwork dependent convergence protocol layer)(SNDCP)内のネットワーク層トランスポート層ヘッダを与えられる。
【0013】
音声が時間に敏感な性質を有するので、上記のヘッダは、望ましくは、RTP/UDP/IPヘッダとする。
【0014】
移動端末は望ましくは、音声活動検出器を有し、プロセッサは望ましくは、音声活動検出器による音声活動(voice activity)の検出に応働して、音声パケットを送信すべきチャネル割り当ての要求を生成し、割り当てチャネルIDを受信した場合に、そのチャネル上にアドレスヘッダを圧縮せずに一度送信し、次いで、割り当てチャネル上に、宛先アドレスを含まない圧縮されたヘッダと共に音声パケットを送信し、音声活動検出器による音声活動の検出がなくなるまで送信を継続する。
【0015】
望ましくは、プロセッサが、各々が等しいn個のフレームを有する音声パケットを構築するように構成され、プロセッサが更に、音声サービスを定義するサービスアクセスポイントID(SAIP)からなる自らの論理リンク制御層(logical link control layer)(LLC)ヘッダ情報を各音声パケットに加える論理リンク制御層(LLC)プロトコルを実現するように構成される。
【0016】
プロセッサは更に、全ての論理リンク制御層ヘッダにサブネットワーク依存コンバージェンスプロトコル層内のヘッダを加えたヘッダを、等しい長さのn個の部分ヘッダに分割するように構成され、音声パケット内の各フレームの前に1個の部分ヘッダを設置するように構成される。
【0017】
これにより、パケット内の各フレームが同一のフォーマットを有することとなり、共通の保護手法を各フレームに適用することが可能になる。ヘッダ情報には誤り補正符号を付加することができる。しかし、音声は、誤りに対してより高い許容性がある。音声情報の、重要性の高い部分についてはこれらを符号化し、それらの部分における誤りの識別、特定を可能にできる。その場合、そのフレームは廃棄される。音声情報の、重要性の低い部分は保護せずにおくこともできる。
【0018】
したがって、各フレーム内で、物理層において、望ましくは、ヘッダ及び最も重要なビット音声情報が、畳み込み符号を用いて符号化され、音声情報の重要なビットのサブセットが巡回冗長検査(CRC)を用いて符号化される
【0019】
本発明には基地局も含まれ、基地局についての一態様によれば、基地局が、移動端末からの、データパケットの送信要求と音声パケットの送信要求とを受信するための無線受信機であって、データパケットと音声パケットとを受信するように複数のチャネル上で作動する無線受信機;からなる。
【0020】
この一態様の基地局は更に、符号化された音声パケットの受信用に、予め定められた個数のチャネルを予約するための、そして音声パケットの送信用のチャネル割り当て要求に応働して、上記の予め定められた個数のチャネルのうちの使用されていない1個のチャネルを割り当てるためのプロセッサと;割り当てられたチャネルのIDを移動端末に送信するための無線送信機と;からなる。
【0021】
音声用に予約されたチャネルの個数を動的に管理することにより、与えられた音声サービス及びデータサービスのそれぞれの使用需要が変化する場合に音声及びデータの両方に対して最適化したサービス状態を提供することが可能である。
【0022】
本発明に含まれる基地局の別の一態様によれば、基地局が、移動端末からの、データパケットの送信要求と音声パケットの送信要求とを受信するための無線受信機であって、データパケットと音声パケットとを受信するように複数のチャネル上で作動する無線受信機;からなる。
【0023】
この別の一態様の基地局は更に、ネットワーク上での送信用に、移動端末が音声パケットの送信に用いるチャネルを指名するための、そして1個の宛先アドレスヘッダと、それに続く、宛先アドレスを含まない複数の音声パケットとからなる音声パケットをトークスパート(talk spurt)で処理するためのプロセッサ;からなる。
【0024】
本発明に含まれる基地局の更に別の一態様によれば、基地局が、移動端末からの、データパケットの送信要求と音声パケットの送信要求とを受信するための無線受信機であって、データパケットと音声パケットとを受信するように複数のチャネル上で作動する無線受信機;からなる。
【0025】
この更に別の一態様の基地局は更に、音声パケット内の各フレームの、等しい部分フレームから、フレームについてのネットワーク層ヘッダとトランスポート層ヘッダと論理リンク制御層ヘッダとを復元するプロトコルを実現するためのプロセッサ;からなる。
【0026】
プロセッサは、各フレームにおいて、ヘッダと音声情報部分フレームのみについての主観的に(subjectively)最も重要なビットと、における誤りを補正するように作動する。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその一実施例について添付図面を参照して説明する。
【0028】
図1において、移動端末2が、デュプレクサ6に接続されたアンテナ4を有する。デュプレクサ6は無線送信機8及び無線受信機10に接続されている。無線受信機10によって受信された信号はプロセッサ12に供給される。音声の音波がマイクロホン14によってアナログ電気信号に変換され、得られたアナログ電気信号は1個以上の中央処理装置(図示しない)を有するこのプロセッサ12によってディジタルに変換される。このアナログからディジタルへの変換は、A/D変換器16(本例では自立型)によって行われる。
【0029】
ディジタル化された音声はプロセッサによって処理されてから、パラメトリック・コーデック・アルゴリズム、例えばEFR(GSMの強化フルレート符号器)、により符号化されて、音声フレームが生成される。この処理はコーデック18(本例では自立型)によって行われる。
【0030】
音声活動検出アルゴリズムが音声を無音状態から弁別して音声の存在を検出する。この検出は音声活動検出器20(本例では自立型)によって行われる。音声が検出されると、プロセッサが、コーデックから出力された音声情報をネットワーク層ヘッダ及びトランスポート層ヘッダと組み合わせて2個のフレームからなる固定長パケットを組み立てて、チャネル割り当て要求を送る。
【0031】
図2のブロック図から判るように、もしチャネル割り当て要求が拒否された(すなわち許可されなかった)場合、新たな要求が送られる前に遅延が導入され、この遅延の間に生じる音声フレームは廃棄される。
【0032】
基地局22は、デュプレクサ26との間で信号を授受するアンテナ24を有する。無線受信機32が、移動端末2から受信されたパケットをプロセッサ30に送る。移動端末2に送信されるデータは、デュプレクサ26に接続された無線送信機28に送られる。
【0033】
図3に示すネットワーク層プロトコルは、広範囲の種類のサブネットワーク及びデータリンクから取り出されたサービスに関して動作が可能なように意図されている。汎用パケット無線サービスネットワーク(GPRS)は初めから、このサービスのユーザに対するネットワーク・トランスペアレンシーを与えるいくつものネットワーク層プロトコルをサポートするように設計された。
【0034】
GPRS上で転送される新しいネットワーク層プロトコルの導入は、GPRSネットワークに変更を加えることなく可能であった。これは、サブネットワーク依存コンバージェンスプロトコル(SNDCP)によって行われる機能である。加えて、SNDCPは、データ圧縮と、論理リンク制御層(LLC)上を送られることになる異なるソース(発信元)からのデータの多重化とを行う。
【0035】
IP(インタネットプロトコル)はネットワークプロトコルとして用いられ、RTP(実時間トランスポートプロトコル)が、タイムスタンプ情報及びパケット順序付けを供給して実時間ストリーム化をサポートするために用いられる。SNDCPは現在のところ、RFC114圧縮アルゴリズムを実現することによってTCP/IP及びIP(v4)ヘッダ圧縮を行うだけである。
【0036】
しかし、SNDCP仕様によれば、新しい用途及びサービスの要求に基づいて、サポートされる圧縮プロトコルのリストに別のプロトコルを加えることも又可能である。本発明のシステムはRTP/UDP(ユーザデータグラムプロトコル)/IPプロトコルを用い、これは320ビットに対応する40オクテットのオーバヘッドを伴う。
【0037】
2個のフレームからなるパケットを用いる場合、これらのトランスポート層ヘッダ及びネットワーク層ヘッダに対する或る形式の圧縮をサポートする必要がある。実際、もしCS−Iチャネル符号化手法を用いると仮定した場合、組み合わされたRTP/IUDP/IPヘッダが2個の無線ブロックの情報ペイロード全体を占めてしまい、音声情報又は論理リンク制御層(LLC)ヘッダのスペースが残らないことになる。
【0038】
高い圧縮効率は、IP/UDPヘッダとRTPヘッダとを別個に扱うのではなく一緒に扱うことによって得られる。これは層状アーキテクチャの精神には反するが、これらのプロトコル層境界線を横切るこの手法は、同一機能が全ての層にわたって適用されるという理由から、適切である。
【0039】
送信されるパケットは2個の主要特性を有し、これらの特性が、ヘッダ圧縮の実行に用いられる。最初の、係数2によるデータレートの縮小は、ヘッダ内のバイト数の半分が接続時間長さを通して一定であるという観点から出発している。その分かりやすい例は、ソース及び宛先のアドレス及びポートである。これら圧縮されないデータ(非圧縮データ)は接続の設定時に一度送られる。これらのフィールドは、次に送られる圧縮ヘッダから削除されるが、実際の情報損失は生じない。
【0040】
残りの圧縮は、一定でない変動フィールドのサイズを減少させるための、これらのフィールドについての差動符号化によって行われる。詳しくは、RTPヘッダ圧縮については、各パケットにおいて、例えば順序番号及びタイムスタンプのようないくつかのフィールドが変動するが、パケット間の差異はしばしば一定であり、したがって2次微分はゼロであるという観点から、効率の利得が大きい。
【0041】
これらの特性を利用することにより、大規模な組み合わせRTP/UDP/IPヘッダが2バイト又は3バイトに削減される。この2バイト又は3バイトの差異はヘッダ検査合計(checksum)を用いるかどうかに依る。エンドツーエンドリンクは少なくとも部分的には、少なくとも1個の移動伝播路(パス)を有し、これがその性質上、誤りを被りやすいので、用いる処理手法には検査合計を含めると有用である。
【0042】
検査合計は誤り補正手法又はフレーム再送信手法には用いられないが、ヘッダが部分的に破損している場合にその兆候を示し、それによりその特定のパケットのタイミング情報が無視される。
【0043】
SNDCPは又、V.42bisデータ圧縮アルゴリズムによるデータ圧縮をサポートしている。しかし、SNDC層の上方に位置するアプリケーション層は、損失が生じるおそれのあるソース符号器を音声コーデックの形で既に有しているので、本来の情報中のもっとも冗長な情報が既に取り出されているであろうことから、エントロピー符号化によるデータ圧縮を適用しても得られることはあまりない。
【0044】
加えて、ソース(発信元)における符号化(以下、ソース符号化)が音声符号器ビットパターンを改変し、異なるビット位置の主観的な重要性に基づいて音声フレームに差動チャネル符号化を適用することが困難になる。
【0045】
図4に、音声をサポートするSNDCPモデルの動作を示す。GPRS上の音声の遅延供給(delay budget)を解析すると、最高のペイロード効率が、2個の音声フレームを1個のネットワークパケットに一体化することで達成できるのが判る。1個のネットワークパケットに含める音声フレームの個数を増加すると、パケットのバッファ(緩衝機能)として働く遅延が比例的に増加し、これによりエンドツーエンド遅延しきい値の最大値200msが増加する。
【0046】
したがって、SNDCP層が2個の異なるサービスアクセスポイントを介して、組み合わせRTP/UDP/IPヘッダ及び音声フレームを受け入れる。ヘッダ圧縮が行われ、得られたヘッダが2個の区分に分割され、2個の音声フレームに付加され、その特定のパケットの形にに一体化される。このシステムにより、音声情報を含む2個の無線リンク制御(RLC)ブロックが厳密に同じレイアウトを持つことが可能となり、したがって、両方のブロックについて厳密に同じチャネル符号化手法を用いることが可能となる。
【0047】
順方向誤り補正が、特定の音声符号器の特性を考慮して調整されるので、1つの無線ブロック内の各ビット位置が、送信されるブロック全てに対する音声フレーム内の同じビット位置に確実に一致させることが重要である。特定のネットワークパケットに属する受信された第1の音声フレームが、第2のフレームの到着を待たずに、低い方の層に直接に送られる。
【0048】
論理リンク制御層(LLC)は、例示のアーキテクチャにおいてはRLC層及びBSSGP層の上方で作動し、これにより、移動端末と、これにそのサービス対象GPRSサポートノード(SGSN)との間に信頼性の高い論理リンクが得られる。
【0049】
その主要機能は、このような信頼性の高いリンクのサポートに向けて設計されており、これらの機能には、1個の論理リンク全部にわたっての論理リンク制御層(LLC)フレームのシーケンス(順序)制御、送信の検出、論理リンク接続におけるフォーマット及び動作誤り、復元不能の誤りの通知、及び流れ制御が含まれる。
【0050】
論理リンク制御層(LLC)プロトコルの動作について、図5に示すLLC−PDUのフォーマットを用いて説明する。
【0051】
図5から判るように、LLCフレームヘッダは2個の主要区分、すなわちアドレスフィールド及び制御フィールドに分割される。アドレスフィールドには、サービスアクセスポイントID(SAPI)がある。これは、LLCサービスにアクセスできるポイント(位置)を表し、サービス優先度の品質を定義する手段を提供する。
【0052】
考え得る16個の、異なるIDのうち10個が現在、仕様書中で空き(vacant)の状態にあるので、新たに1個のサービスアクセスポイントIDを音声サービス用に定義できる。そして、上の層、すなわちSNDCP層及びBSSGP層が、音声パケットがデータトラヒックに対して必要とする優先度について指示される。
【0053】
通常の制御フィールドは2個のサブフィールド(N(S)及びN(R)で表す)を有する。このフィールドの機能は、1個のネットワークPDUを構成する一連のフレーム内での特定のLLCフレームの位置を定めることである。しかしこの機能は、GPRS上での音声送信システム(Voice over GPRS system)(以下、GPRS音声システム)に関しては余分であり、各N−PDUが1個のLLC−PDUに厳密に適合するのでネットワークPDUの分割はない。
【0054】
したがって、これらのフィールドは、実時間音声パケット搬送に関しては削除され、削除による機能性の損失は生じない。各LLC−PDUは従来のように、フレーム検査シーケンス(FCS)を含む24ビット長で終わる。これによりLLC層に関して、LLCフレームを基幹ネットワークを通じて送達するためにSGSNのネットワーク層に送る前の時点で誤りのないことを確実化できる(CRC(巡回冗長符号)検査の能力内で)。
【0055】
もし誤りが発見された場合には、無線リンク制御(RLC)層選択的反復要求システムによる再送信が指示される。しかし、反復要求は本発明の実現には用いられず、又CRC検査が物理層に既に存在するので、LLC−PDU内のフレーム検査シーケンス(FCS)フィールドも音声サービス搬送時に削除されるが、システムの機能に影響はない。
【0056】
実際、もしこのフィールドを残したとしても、受信プロセスにおいて無視されるだけである。すなわち、既に述べたように、符号化された音声が、本質的な情報破壊許容性を有するため、もし誤りが検出されたとしてもプロセスはパケットをそのまま搬送するからである。
【0057】
したがって、システムは、同一のネットワークパケットに属する2個の音声フレームを含むSNDC−PDUの2個のセグメント(区分)を受け入れ、音声サービスについてのサービスアクセスポイントIDを含む新しい8ビットのLLCヘッダを、最初に到来するッダを有することになる。このパケットはそれから、無線インタフェースを介して直ぐに発信するためにRLC/MAC(媒体アクセス制御)層に送られる。
【0058】
基地局サブシステム(BSS)側の対応するLLCプロセスがその特定のLLCフレームからの音声情報を含む第1の無線ブロックを受信すると、BSSのLLCプロセスは、サービスアクセスポイントIDを点検してそのブロックが音声情報を含むことを識別する。この情報は、第1の8ビットヘッダの後に別のヘッダを探さないように、そしてフレーム検査シーケンスフィールドを期待しないようにとの指示を与える。これらのフィールドを除去して得られたスペースは、更に多くのユーザペイロード情報を搬送するために用いられる。
【0059】
RLC/MAC層は多数の移動端末とネットワークとの間の共用媒体を用いた上部層PDUの転送サービスを提供する。この転送は、要求されるサービスの性質に依って、確認応答を要しない非肯定応答モードの動作又は確認応答を要する肯定応答モードの動作の形で行われる。その名称が暗示するようにRLC/MACプロトコルは実際には、異なる機能を有する2個の別個のプロトコルである。
【0060】
RLC(無線リンク制御)層は、LLC−PDUの分割及びRLC/MACブロックへの再組立の手順、及びRLC肯定応答モードの動作における、送達不成功だったRLC/MACブロックの選択的再送信を可能にする逆方向誤り補正(BEC)手順を定める。RLC肯定応答モードの動作では、RLC層は供給されたより高い方の層のPDUの順序を保持する。
【0061】
他方、MAC(媒体アクセス制御)層の機能は、いくつもの物理的チャネルからなる共通の送信媒体を多数の基地局が共用することを可能にする手順を定めることである。汎用パケット無線サービスネットワーク(GPRS)のMACプロトコルにより、単一のユーザが複数のタイムスロットを同時に用いて、それにより処理量を増加させることが可能になる。
【0062】
加えて、同じタイムスロットを8個までのユーザの間に多重化して、それにより、与えられたシステムリソース(資源)群上で作動するユーザの数を増加させることもできる。GPRS音声システムにおいてはマルチスロット手法は用意されておらず、或る1個のチャネルが、音声情報を送信する単一のユーザによって占められている時間長さの間は、このチャネルは他のユーザと多重化されることはない。加えて、RLC層の再送信機能も利用されない。
【0063】
GPRS(汎用パケット無線サービスネットワーク)は、GSM回線交換方式の音声システムと同じ無線インタフェースを共用する。これは、物理的周波数チャネルの各々が時分割多重化によって8個のトラヒックチャネルに分割されることを意味する。
【0064】
1個のTDMA(時分割多重接続)フレーム内の各タイムスロットは、GPRSサービス及びGSMサービスに対する要求の相対的なシフトに基づいて、これら2種類のサービスのいずれかに動的に割り当てることが可能である。ここに、パケットデータトラヒックに割り当てられるチャネルを、パケットデータチャネル(PDCH)と称する。
【0065】
TDMAフレームは各々、4.615msの間持続し、その8個のタイムスロット内に8個のパケットデータチャネルを収容することができる。パケットデータトラヒックチャネル(PDTCH)によって送信すべきデータは、それぞれ114ビットからなるユニットに分割され、持続時間576.8μsの単一TDMAタイムスロット内へ挿入するために、無線バーストの形に一体化される。これは、456ビットからなるRLC/MACブロックが各々、分割されて相互に連続する4個のバースト内にインタリーブされることを意味する。
【0066】
GPRSの音声多重化は、GSM回線交換方式の音声とはTDMAフレームがマルチフレームに構成される仕方が異なる。GSM方式においては26個のフレーム及び51個のフレームのマルチフレームがサポートされるのに対し、GPRSにおいては、TDMAフレームは52個のフレームからなる239.980msの長さのマルチフレームに構成される。この構成は、図6に示すように、各々4個のフレームからなる12個の無線ブロックと、4個の空き(idle)フレームとに分割される。
【0067】
図7について説明すると、図中の52個のバースト全てが、同一のタイムスロットに、したがって同一のパケットデータチャネルに属する。GPRSにおいては、GSM回線交換方式には含まれないいくつかの論理チャネルが導入され、GSM物理チャネル(PDCH)に収容される。
【0068】
図8について説明すると、実際に音声情報の搬送に用いられるパケットデータトラヒックチャネル、及びチャネル使用権争い(channel contention)に用いられるパケットアクセス許可チャネル(Packet Access Grant channel)が、「主従」概念(Master-Slave concept)として知られる概念によってパケットデータチャネル上にマッピングされる。
【0069】
本システムにおいては、少なくとも1個のパケットデータチャネル(又はタイムスロット)が「主」チャネルとして働き、ユーザデータと、専用信号授受と、パケット転送を開始するために必要な全ての制御信号を搬送するパケット共通制御チャネルとを収容する。この制御信号は、パケットランダムアクセスチャネル(PRACH)上のアクセスバーストのみに関連する。他の全てのパケットデータチャネルは「従」チャネルとして働き、ユーザデータ転送及び専用信号授受のみに用いられる。
【0070】
GPRSについては、「主」チャネルは、時分割多重化機構により2個の論理チャネル間で物理的チャネルを共用することにより、パケットランダムアクセスチャネル(PRACH)及び1個のパケットデータトラヒックチャネル(PDTCH)の両方を同時に受け持つことが可能である。
【0071】
通常、「主」タイムスロットの物理的資源の大部分がユーザデータの搬送に割り当てられる。その場合、t個のブロック毎に1個のブロックが、ランダムアクセスをしようとするときのサポート専用となる。ここにtは一般に、3、4、又は5の値を有する整数である。
【0072】
このようにして、7個の「従」チャネルが音声及びデータトラヒックのサポートに完全専用となる場合に、8番目のチャネル(通常、タイムスロットゼロ(TS0))が、トラヒックチャネルと、その無線周波数チャネルで作動する全ての端末用のランダムアクセス媒体との両方として用いられる。
【0073】
音声サービスをサポートするための本発明の実施には、「主」チャネルを制御信号授受ようのみとし、パケットデータトラヒックチャネルの役割は受け入れさせないことが必要である。このように役割を予約する理由は、「主」チャネルを共有する余分の遅延が平均アクセス時間に上乗せされるからである。
【0074】
例えば、もしtを3に設定した場合、「主」チャネル内の利用可能な3個の無線ブロック毎に1個の無線ブロックが、そのパケットランダムアクセスチャネルのサポート専用になってしまう。これは、移動端末が次のランダムアクセス実行を許されるまでに、約3個のRLCブロック(55.3ms相当)の間待たなければならないことを意味する。この余分の遅延は、実時間音声サービスには明らかに望ましくない。
【0075】
それから、残りの7個の「従」チャネルが音声サービス専用及びデータサービス専用のパケットデータトラヒックチャネルに分割される。本システムでは、1個のパケットデータトラヒックチャネルが音声サービスとデータサービスとの共用になることは許されない。その理由は、遅延要件が大幅に異なるからである。GPRSユーザに音声搬送専用チャネルへのアクセスを許すことにより、アクセス遅延及び音声フレーム損失レートという点に関して、無線リンク上でのサービス品質が確実に要求を満たすようにする制御を、基地局が行いやすくなる。
【0076】
RLC/MACプロトコルの動作を図2に集約して示す。もし或るGPRS移動端末が音声取り扱い能力があり、GPRSネットワーク上で会話を開始しようと望む場合、移動端末は呼設立手順を開始する。このプロセスにおいて、基地局がそのユーザの通信動作セル(通信単位区域)内の現時点の負荷をモニタして、音声ユーザを更に1人(すなわち、その移動端末を)サポート可能かどうかを判断する。
【0077】
もし可能な場合、基地局は、その移動端末がそのネットワークに受け入れられたこと及び音声パケットの送信を開始してよいことをその移動端末に通知する。するとその移動端末はアイドル(idle)モードに入り、その移動端末の音声活動検出器からの、音声活動(speech activity)が検出されたこと及びトークスパート(talk spurt)が始まったことの通知を待つ。ランダムアクセスバーストがパケットランダムアクセスチャネル上で送られ、パケットアクセス許可チャネル上での基地局からの返事を待つ。
【0078】
もしチャネル資源が利用可能な場合、基地局は移動端末に、基地局がトークスパート用に1個のチャネルを割り当てた旨通知する。対応するGSM回線交換方式の音声サービスよりも効率の悪いチャネルにならないようにするため、GPRS上での音声パケットの送信にはマルチスロット手法は使用不能化される。これは、1個のトークスパートが1個のタイムスロットのみで送信され、この目的のため基地局が1個を超えるパケットデータトラヒックチャネルの割り当てを行わないことを意味する。
【0079】
それから移動端末は、その特定のトークスパートに属するRLC/MACブロックの全てを送信する。次の無音期間の開始時に、移動端末はRLCブロックの送信を停止し、これにより移動端末がそのチャネルを開放することを基地局に通知する。これは、チャネル使用権争いが各トークスパートの開始時のみに生じ、一旦移動端末が或るトラヒックチャネルの使用権を獲得すると、その特定のトークスパートに対応するLLCフレームの全てが送信され終わったときに初めてそのチャネルを放棄(すなわち、開放)することを意味する。
【0080】
それから基地局が、そのチャネルを、音声パケット送信に利用可能なチャネルプールに割り当てる。しかしもし音声サービスのサポートに割り当てられた利用可能なパケットデータトラヒックチャネルがない場合には、基地局が移動端末にこの状態を通知する。すると移動端末は、ランダム指数バックオフ期間に入り、この期間が完了すると、チャネルへのアクセスを再度試みる。
【0081】
実時間音声は時間に敏感なので、バックオフ期間の間に生成された音声フレームに対応する全てのRLC/MACブロックは、最も最近のブロックを除いて廃棄される。チャネルへのアクセスが不成功だった場合にその都度、カウンタが増値され、これを用いてバックオフ期間の長さが定められる。
【0082】
しかし、もしパケットランダムアクセスチャネル上で同じ時間フレーム内のアクセスバースト間にチャネル使用権の衝突が生じた場合、基地局はどの移動端末が要求を起こしたかを判断できず、したがって応答ができない。移動端末は、タイマを基地局の平均応答時間よりも少し長い値に設定することによって、このような衝突が生じたことに気付く。このタイマ時間が満了した場合、移動端末は、チャネルアクセスが拒否された場合と同じ仕方でバックオフ期間にはいる。
【0083】
データ端末及び音声端末の両方共、指数バックオフアルゴリズムを実行し、アクセス試行が不成功だった後に、均一分布ランダム数wが、 [ 0,2 n+1 ] の範囲から選択される。ここに、nはアクセス試行の回数である。データ端末については、次のランダム試行はw*]8.5msの待ち時間の後に行われるが、音声端末については、4.615ms及び8.5msの乗数がそれぞれ用いられる。
【0084】
実時間会話音声通信は遅延が通信の成否に重大な影響を及ぼすサービスであるので、媒体アクセスアルゴリズムが、システムのアクセス遅延を最少に抑えるように構成されることが重要である。均一分布ランダム数が、[ 0,2 n+1 −1 ]の範囲から選択される。2個のパラメータを変化させるとシステムの遅延状態を変更できる。これら2個のパラメータとは、最大許容増値n、及び待ち時間を得るためにランダム変数に乗じる定数、である。
【0085】
増値カウンタの値に制限を設けないことを意味する無限指数バックオフと、18.5msに相当する1個の無線ブロックの時間乗数とを用いて実験を行ったが、実験からは、nの値を上限値の5に固定し、時間乗数を1個のTDMAフレームの持続時間、すなわち4.615ms、に減少させることによってシステム性能を改善し得ることが判った。
【0086】
物理RF(無線周波数)層が無線パス(通信路)上で情報ビットを送信し、搬送周波数特性及びGSM無線チャネル構造、送信された波形の変調、並びに送信機及び受信機の特性及びそれぞれの性能要件、のような問題を取り扱う。GPRSはこれら全ての仕様をGSM音声規格と共用し、その結果として、現在のGSM無線インフラストラクチャの多くを利用できる。
【0087】
物理リンク層が物理RF層の上方で作動し、移動端末と基地局サブシステム(BSS)との間に物理的チャネルを提供する。その主要責任事項の1つは順方向誤り補正符号化(FEC)である。これにより、送信された符号群(code words)の検出及び補正、並びに補正不能の符号群の表示が可能となる。加えて、物理リンク層は、相互に連続するTDMAフレーム内の4個のバーストにわたっての無線ブロックの矩形インタリーブ処理と、物理リンク混雑の検出手順とを行う。
【0088】
GPRSは現に、ハーフ(1/2)・レートの畳み込み符号化手法(CS−1)からチャネル符号化を行わない手法(CS−4)にわたる4個のチャネル符号化手法をサポートする。
【0089】
CS−2手法およびCS−3手法は、CS−1の手法のパンクチャ版で、それぞれ約2/3から3/4の情報点率(code rate)が得られる。
【0090】
符号化された音声を保護するためには現在利用可能な符号化手法のどれを用いるべきかを定める場合、回線交換GSMシステムにおいて音声を保護するために用いられる音声符号化手法を点検することが望ましい。一例として、使用が望ましいのは、GSMの、新しい強化フルレート符号器(EFR)である。これは、代数的コードブック励起線形予測(ACELP)符号器で、波形符号器というよりは、本質的にパラメトリック符号器である。
【0091】
これは、音声が、音声のピッチ周期、声管に生じる波形形成効果を表す多数のLPC係数、及び話者の声帯によって生成される励振等を記述するいくつものパラメータによって表されることを意味する。
【0092】
これらのパラメータは、送信される情報内に存在する冗長度を最少にすることによって符号器の効率を最大化するように生成されるが、音声の知覚可聴(オーディオ)品質に全てのパラメータが等しい影響を与えるわけではない。これは、誤りがあると、或るパラメータは、そしてその結果としての或るビットは、他のビットよりも大きな歪みを音声品質に生じさせることを意味する。この現象が、ソース符号化ビットを順方向誤り補正符号化(FEC)によって保護する際に利用される。
【0093】
図9に、EWコーデックから出力された、244個の、ソース符号化ビット出力が、ビットの主観的重要度に基づき、変動する品質レベルに対してどのようにして保護されるかを示す。タイプ1のビットは、CS−1手法によって用いられる符号器と同一のハーフ・レート符号器を用いて保護され、他方、全てのクラス1aビットを含む65ビットのサブセットは、巡回冗長検査手法(CRC)によって保護される。 これは、チャネル状態を検査するために用いられる。
【0094】
もし、主観的に最も重要なビットを表すこれら65ビットについてのCRC検査によって誤りが検出された場合、受信機はその音声フレームがオーディオ品質について受け入れ不可能な劣化を被ったものと考え、その結果としてそのフレームを廃棄する。
【0095】
GSM回線交換方式のサービスが提供する音声品質に匹敵する音声品質を維持するためには、これらのビットについてGSMと同一レベルチャネル保護を維持する必要がある。その理由は、もしそうしない場合には、フレームの脱落率が増大する結果となり、それから得られる音声品質もこれに対応して低下することになるからである。
【0096】
もし現在のGPRS符号化手法を用いるとした場合には、このレベルの保護が得られる手法はCS−1のみである。しかしこれは、ソース符号化ビットの主観的重み付けを考慮せずに、全てのビットを無差別に同一程度まで保護することになる。CS−1手法を用いると、181ビットのペイロード(のスペース)が残り、これは9.05kbpsに相当する。
【0097】
しかし、この数値は、RLC/MAC層に属するヘッダを考慮に入れていない。これらのヘッダは、図10から判るように21ビットを占める。これは情報ペイロードを更に160ビットに減少させ、これは8kbpsのデータ処理量に相当する。LLCヘッダ及びSNDCPヘッダを情報ペイロードに加えることにより、これらの層のヘッダにどのような機能がふくまれるかにも依るが、ユーザデータ処理量は更に約5.6kbpsにまで減少する。
【0098】
GPRS音声システム内でチャネル符号化を実現するための別の遥かに魅力的な解法は、用いられる特定の音声符号器の要件に合わせて構成したチャネル符号化手法を用いることである。これにより、主観的に最も重要なビットを強力に保護するだけで最高の効率が得られ、しかも残りのビットについては異なるレベルのチャネル保護を与えればよい。
【0099】
この手法によれば更に、RLC/MAC層、LLC層及びSNDCP層に属するヘッダをも強力に保護することができる。本解法は、CS−1符号化手法を用いて、これら高い方のレベルのヘッダによって占められている無線ブロックデータペイロードビットの位置を保護する手法である。
【0100】
現符号化手法は、無線ブロック内の誤りの検出にCRCに基づくブロック検査シーケンス(BCS)を用いることを指定している。もしこのような誤りが検出された場合、肯定応答モードで作動中であれば、RLC層にその旨の通知がされ、再送信が要求される。ブロック検査シーケンスは、基地局が移動端末と基地局との間のチャネル状態をモニタするためにも用いられる。
【0101】
CS−1を除く全ての符号化手法において、ブロック検査シーケンスの長さは16ビットで、無線ブロックの全長にわたって作動する。本音声システムでは再送信は用いられないが、プロトコルヘッダのみによって用いられるデータペイロード区分にわたって誤りを検出するには十分である。これによって、8ビットに削減された長さのシーケンスを用いることが可能である。
【0102】
図10に、GPRSシステムが上記のような強化プロトコルを用いる場合の動作を示す。SNDCP(サブネットワーク依存コンバージェンスプロトコル)層においては、ヘッダ圧縮が合同RTP/UDP/IPヘッダについて行われ、長さ僅か24ビットに圧縮されたSNDCPヘッダが得られる。
【0103】
それからSNDC−PDUが再構成される。 再構成の仕方は、ヘッダが異なる長さの2個の区分に分割される手法である。これにより、送信される2個の無線ブロックの両方に同一のペイロードフォーマットが可能となる。これは、8ビットのSNDCPヘッダがパケットの最初の部分に保持される一方、残りの16ヘッダビットはパケットの中間部分に配置されることを意味する。
【0104】
それからSNDCPパケットは、新しい短縮された8ビットLLCヘッダを加えてLLCフレームの形に一体化される。RLC/MACブロックが、受け取られたLLCパケットを2つに分割することによって形成される。上記の非対称バッファ処理を実現するために、生成された第1の音声フレームが、SNDCPヘッダ及びLLCヘッダの組み合わせヘッダ(16ビット)と共に下方のRLC/MAC層へ送られ、その後直ぐに無線チャネル上で送出される。
【0105】
この20ms後に、LLCフレームの第2部分が続く。この第2部分には残りの16ビットのSNDCPヘッダと、第2の音声フレームの内容とが含まれる。このシステムは、両方のRLC/MACブロックが厳密に同じレイアウトを有することが確実である。RLC/MAC層においては、更に21ビットのヘッダが両方のブロックに、3ビットのUSF及び短い8ビットのBCS(ブロック検査シーケンス)と共に付加される。
【0106】
各ブロックはそれから、「符号化手法−音声1」(CCS−1)と称する、音声に対して最適化された新しい符号化手法を用いてチャネル符号化される。音声符号化の実現には各々、異なるチャネル符号化手法が用いられるが、ヘッダ情報はハーフ・レート符号を用いて常に強力に保護されることは当然である。
【0107】
以上により、360ビットが総音声ペイロードとして残り、これを用いて、音声情報と、音声用のみのチャネル符号化部分との両方が収容される。これをデータ処理量に置き換えると18kbpsとなり、現在の手法でチャネル符号化に用いられる処理量を考慮しても現存の規格で利用可能な処理量が5.6kbpsであることに比べると、かなりの増加であることが判る。
【0108】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
尚、特許請求の範囲に記載した参照番号は発明の容易な理解のためで、その技術的範囲を制限するよう解釈されるべきではない。
【0109】
【発明の効果】
以上述べたごとく、本発明によれば、新たに規格が定められつつある汎用パケット無線サービスネットワーク(GPRS)を利用して音声による交信が可能で処理量も大きいパケット無線サービス用の移動端末及び基地局が得られる。
【0110】
GPRSにおいて、送信すべきパケットがないときにはチャネルが開放される構成としたので、そうでない従来の構成の場合に比べて、同一個数の無線チャネルにおいて、より高いトラヒックレベルが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による汎用パケット無線サービスネットワーク(GPRS)の移動端末及び基地局を示すブロック図である。
【図2】RLC/MACプロトコルの動作を概略的に示すブロック図である。
【図3】ネットワーク層プロトコルの層を示す略図である。
【図4】音声をサポートするSNDCPモデルの動作を示す説明図である。
【図5】LLC−PDUのフォーマットを示す説明図である。
【図6】GPRSにおけるTDMAフレームの構成を示す説明図である。
【図7】GPRSにおけるTDMAマルチフレームの構造を示す説明図である。
【図8】GPRSにおける、音声搬送チャネルの区分を示す説明図である。
【図9】ソースにおいて符号化されたビット出力がどのようにして保護されるかを示す説明図である。
【図10】プロトコル内の各層の動作を示す説明図である。
【符号の説明】
2 移動端末
4 アンテナ
6 デュプレクサ
8 無線送信機
10 無線受信機
12 プロセッサ
14 マイクロホン
16 A/D変換器
18 コーデック
20 音声活動検出器
22 基地局
24 アンテナ
26 デュプレクサ
28 無線送信機
30 プロセッサ
32 無線受信機

Claims (5)

  1. パケット無線サービスネットワークにおいて基地局と交信する移動端末であって、
    (a)該移動端末と該基地局との間の交信用に複数のチャネルのうちの1個のチャネルを定め、音声をディジタル的に符号化して音声情報を生成し、音声情報を音声パケットに組み立て、そして音声パケット送信するチャネルの割り当て要求を生成するプロセッサと
    (b)該ネットワーク内の基地局に該要求及び該パケットを送信する無線送信機と
    (c)該基地局によって割り当てられた、該移動端末が送信すべきチャネル識別子を受信する無線受信機とからなり、
    該プロセッサ、受信されたチャネル割り当ての各々に応働して、該パケットが該割り当てられたチャネル上で送信されるかどうかを判断し、
    信要求が許可されないときには要求が許可されるまで音声情報を廃棄するよう、前記プロセッサが構成され、
    送信要求が許可されないときには予め定められた時間長さだけ次の要求を遅延させるよう、前記プロセッサが構成され、
    引き続く要求が許可されないときには、前記遅延が増大し、そして、
    予め定められた最大遅延値に到達した後に、前記遅延が減少されることを特徴とする移動端末。
  2. 前記プロセッサが層状プロトコルを実現するように構成され、そして前記パケットの各々が、サブネットワーク依存コンバージェンスプロトコル層内のネットワーク層トランスポート層ヘッダを与えられることを特徴とする請求項1に記載の移動端末。
  3. 前記ヘッダがRTP/UDP/IPヘッダであることを特徴とする請求項2に記載の移動端末。
  4. d)音声活動検出器を有し
    前記プロセッサは、該音声活動検出器による音声活動の検出に応働して、音声パケットを送信するチャネル割り当て要求を生成し、
    前記チャネル識別子を受信したときには、そのチャネル上にアドレスヘッダを圧縮せずに一度送信し、次いで、識別されたチャネル上に、宛先アドレスを含まない圧縮されたヘッダパケットを送信し、該音声活動検出器による音声活動の検出がなくなるまで該送信を継続することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の移動端末。
  5. 各々が等しいn個のフレームを有する前記パケットを構築するよう、前記プロセッサが構成され、
    前記プロセッサが更に、音声サービスを定義するサービスアクセスポイント識別子からなる自らの論理リンク制御層ヘッダ情報を各パケットに加える論理リンク制御層プロトコルを実現し、全ての論理リンク制御層ヘッダに前記サブネットワーク依存コンバージェンスプロトコル層内のヘッダを加えたヘッダを、等しい長さのn個の部分ヘッダに分割し、そして前記パケット内の各フレームの前に1個の該部分ヘッダを設置するよう構成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の移動端末。
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