JP3691055B2 - 特異的結合力をもつ固定化タンパク質並びに各種プロセス・物品におけるそれらの使用 - Google Patents

特異的結合力をもつ固定化タンパク質並びに各種プロセス・物品におけるそれらの使用 Download PDF

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Description

発明の背景
医薬品産業、ファインケミカル産業及び食品産業では、動物・植物組織の抽出物や培地のような複雑な混合物から単離する必要のある化合物が数多く必要とされている。このような単離プロセスによって製品の価格が決定されることが多い。従来の単離プロセスは特異性が余り高くなく、単離プロセスの間に単離すべき化合物がなかり稀釈され、その結果、水その他の溶媒を除去するため経費のかさむ諸工程を設ける必要があった。
幾つかの特定の化合物の単離にはアフィニティー技術が利用されている。かかる技術の利点は、それらの化合物がある種のリガンドに極めて特異的に結合することである。しかし、このようなリガンドは非常に高価である場合が極めて多い。このような高価なリガンドが無駄に使われることのないように、かかるリガンドを不溶性担体に連結することも可能である。しかし、こうしたリガンドの連結処理も経費のかさむ場合が多く、しかもかかる処理によってリガンドの機能が悪影響を受けることも多い。したがって、有効性の高い固定化リガンドを調製するための経済的な方法を開発することが望まれている。
発明の概要
本発明は、特定の化合物に対する結合能力を有する「結合タンパク質」を固定化するための方法にして、上記結合タンパク質又は上記の特異的結合能力を保持したその機能的部分であって宿主細胞の外部に連結した結合タンパク質又は機能的部分の生産に組換えDNA技術を利用して、宿主細胞の細胞壁に固着し得るアンカータンパク質のアンカー部分(当該アンカー部分は上記アンカータンパク質のC末端部分から導かれる)のN末端に上記結合タンパク質又はその機能的部分がそのC末端で結合しているようなキメラタンパク質を宿主細胞が産生及び分泌できるようにすることによって上記結合タンパク質又はその機能的部分が細胞壁中又は細胞壁の外側に局在化するようにさせることを含んでなる方法を提供する。
宿主は好ましくはグラム陽性細菌及び菌類である。これらはその細胞外部に細胞壁を有しており、細胞外部に膜をもつグラム陰性細菌及び動物・植物細胞などの高等真核生物とは対照的である。好適なグラム陽性細菌には、乳酸菌やBacillus属及びStreptomyces属の細菌が含まれる。好適な菌類には、Candida属、Debaryomyces属、Hansenula属、Kluyveromyces属、Pichia属及びSaccharomyces属の酵母並びにRhizopus属、Aspergillus属及びPenicillium属のカビが含まれる。本明細書中では、菌類は酵母の群とカビの群を含んでなるが、これらは下等真核生物としても知られている。植物及び動物の細胞との対比において、細菌及び下等真核生物の群を本明細書では微生物と記載することもある。
本発明は、上記の方法に使用し得る組換えポリヌクレオチドにして、(i)上記結合タンパク質又は特異的結合能力を保持したその機能的部分をコードする構造遺伝子、及び(ii)グラム陽性細菌又は菌類の細胞壁に固着し得るアンカータンパク質をコードする遺伝子の少なくとも一部分であって、当該遺伝子部分がアンカータンパク質のアンカー部分(当該アンカー部分は上記アンカータンパク質のC末端部分に由来する)をコードしているもの、を含んでなるポリヌクレオチドをも提供する。
アンカータンパク質は、α-アグルチニン、a-アグルチニン、FLO1、下等真核生物の主要細胞壁タンパク質及び乳酸菌のプロテイナーゼから選択することができる。好ましくは、かかるポリヌクレオチドは当該ポリヌクレオチドの発現産物の分泌を確実にするためのシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列をさらに含んでなるが、そのようなシグナルペプチドは酵母のα-接合因子、酵母のα-アグルチニン、Saccharomycesのインベルターゼ、Kluyveromycesのイヌリナーゼ、Bacillusのα-アミラーゼ及び乳酸菌のプロテイナーゼから選択されるタンパク質から得ることができる。本発明のポリヌクレオチドはプロモーターに機能的に連結させることもできるが、プロモーターは誘導型プロモーターであるのが好ましい。
本発明は、さらに、本発明のポリヌクレオチドを含んでなる組換えベクター、本発明のポリヌクレオチドにコードされたキメラタンパク質、並びに細胞の外部に細胞壁をもつ宿主細胞にして本発明のポリヌクレオチドを少なくとも1つ保有する宿主細胞をも提供する。好ましくは、少なくとも1つのポリヌクレオチドが宿主細胞の染色体に組込まれている。これに関連した本発明の別の具体的態様は、本発明のキメラタンパク質が細胞壁に固定化されていてそのキメラタンパク質の結合タンパク質部分が細胞壁中又は細胞壁の外側に局在化している宿主細胞である。
本発明の別の具体的態様は、特定化合物に対する結合能力を保持している固定化された結合タンパク質又はその機能的部分を用いて単離プロセスを行う方法であるが、この方法では、上記特定化合物を含んだ媒質を本発明の宿主細胞に、特定化合物と固定化結合タンパク質との複合体が形成されるような条件下で、接触させ、特定化合物を当初含んでいた上記媒質から当該複合体を分離し、所望により、結合タンパク質又はその機能的部分から特定化合物を解離させる。
【図面の簡単な説明】
図1には、pEMBL9から誘導されたプラスミドであるpUR4122の組成が示してあるが、その調製法については実施例1に記載されている。
図2には、プラスミドpUR2741の組成が示してあるが、このプラスミドは既報のプラスミドpUR2740から誘導されたものである。実施例1参照。
図3には、pEMBL9から誘導されたプラスミドであるpUR2968の組成が示してある。その調製法については実施例1に記載されている。
図4には、プラスミドpUR2741とpUR2968とpUR4122とを出発材料としたプラスミドpUR4174の調製法、並びにプラスミドpSY16とpUR2968とpUR4122とを出発材料としたプラスミドpUR4175の調製法が示してある。これらの調製法は実施例1に記載されている。
図5には、プラスミドpUR2743.4の組成を示した。その調製法は実施例2に記載されている。このプラスミドは配列番号:12に示した714bpのPstI-XhoIフラグメントを含んでいるが、このフラグメントには、抗トラセオリド抗体02/01/01のscFv-TRASフラグメントがコードされている(トラセオリド(traseolide)は登録商標である)。
図6には、プラスミドpUR4178の組成を示した。その調製法は実施例2に記載されている。このプラスミドは配列番号:12に示す上述の714bpのPstI-XhoIフラグメントを含んでいる。このフラグメントは、インベルターゼのシグナル配列(SUC2)で先導されたscFv-TRASとαAGGの融合タンパク質の発現に適している。
図7には、プラスミドpUR4179の組成を示した。その調製法は実施例2に記載されている。このプラスミドは配列番号:12に示す上述の714bpのPstI-XhoIフラグメントを含んでいる。このフラグメントは、プレプロα-接合因子のシグナル配列で先導されたscFv-TRASとαAGGの融合タンパク質の発現に適している。
図8は分子設計図であり、実施例3に記載のムスク系香料分子のトラセオリド(登録商標)と修飾ムスク抗原が示してある。
図9には、プラスミドpUR4177の組成が示してある。その調製法は実施例4に記載されている。プラスミドpUR4177は、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンに対するモノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖フラグメントの可変領域(scFv-HCGフラグメント)をコードした配列番号:13に示す734bpのEagI-XhoI DNAフラグメントを含んでおり、GAL7プロモーター調節下でのインベルターゼのシグナル配列で先導されたキメラなscFv-HCG-αAGG融合タンパク質の生産に適した基本鎖長2μmのベクターである。
図10には、プラスミドpUR4180の組成が示してある。その調製法は実施例4に記載されている。プラスミドpUR4177は、配列番号:13に示した上述の734bpのEagI-XhoI DNAフラグメントを含んでおり、GAL7プロモーター調節下でのプレプロα-接合因子のシグナル配列で先導されたキメラなscFv-HCG-αAGG融合タンパク質の生産に適した基本鎖長2μmのベクターである。
図11には、基本鎖長2μmのベクターであるプラスミドpUR2990の組成が示してあり、このプラスミドは、実施例5では、プラスミドpUR4196を調製する際の出発ベクターとして示した(図12参照)。プラスミドpUR2990はキメラなリパーゼ-FLO1タンパク質をコードするDNAフラグメントを含んでいるが、このタンパク質は下等真核生物の細胞壁につなぎとめられ、脂質の加水分解を触媒し得る。
図12には、プラスミドpUR4196の組成が示してある。その調製法は実施例5に記載されている。このプラスミドは、scFv-HCGとそれに続くFLO1タンパク質のC末端部分からなるキメラタンパク質をコードするDNAフラグメントを含んでおり、宿主生物の細胞壁につなぎとめられていてHCGを結合し得るキメラタンパク質の生産に適したベクターである。
図13には、プラスミドpUR2985が組成が示してある。その調製法は実施例6に記載されている。このプラスミドには、Brevibacterium sterolicumの染色体からPCR法で得られたコレステロールオキシダーゼ(EC 1.1.3.6)の成熟部分をコードするchoB遺伝子が含まれている。
図14には、プラスミドpUR2987の組成を示した。プラスミドpUR2985からのその調製法は実施例6に記載されている。このプラスミドには、コレステロールオキシダーゼの成熟部分をコードするchoB遺伝子と、その前と後にそれぞれ位置するプレプロα-接合因子のシグナル配列をコードするDNAとα-アグルチニンのC末端部分をコードするDNAとからなるDNA配列が含まれている。
図15には、既報のプラスミドpGKV550の組成が示してある。このプラスミドは実施例7に記載されており、Lactococcus lactis subsp.cremoris Wg2株の細胞壁プロテイナーゼのオペロンを、プロモーター、リボソーム結合部位及びprtP遺伝子を含めて、完全に含んでいる。
図16には、プラスミドpUR2988の組成が示してある。その調製法は実施例7に記載されている。このプラスミドは別のプラスミドpUR2989の調製に使用できると期待されるが、そのpUR2989を乳酸菌に導入すれば、乳酸菌の外表面につなぎとめられていてコレステロールに結合し得るキメラタンパク質が生産されるはずである。
図17には、プラスミドpUR2993の組成が示してある。その調製法は実施例8に記載されている。このプラスミドは酵母細胞の形質転換に使用でき、その形質転換酵母細胞は、EGFレセプターをその一部として有する固定化キメラタンパク質を介してヒト上皮成長因子(EGF)に結合し得る。
図18には、プラスミドpUR4482及びpUR4483の組成が示してある。それらの調製法は実施例9に記載されている。プラスミドpUR4482は、インベルターゼのシグナル配列、ラクダ抗体のCHv09可変領域とMycテールと「X-P-X-P」ヒンジ領域及びαアグルチニンの細胞壁アンカー領域をもつ融合タンパク質を発現させるための、酵母のエピソーム型発現プラスミドである。プラスミドpUR4483は「X-P-X-P」ヒンジ領域を含んでいない点でpUR4482とは異なる。
図19には、プラスミドpUR4424、pUR4482及びpUR4483上に存在するラクダ抗体遺伝子を発現する対数増殖期(OD530=0.5)のSU10細胞の免疫蛍光標識実験(抗Myc抗体)の結果を示す。Ph=位相差。Fl=蛍光。
図20には、プラスミドpUR4424、pUR4482及びpUR4483上に存在するラクダ抗体遺伝子を発現する対数増殖期(OD530=0.5)のSU10細胞の免疫蛍光標識実験(抗ヒトIgG抗体)の結果を示す。Ph=位相差。Fl=蛍光。
図面で用いた略号
α-gal: グアーのα-ガラクトシダーゼをコードする遺伝子;
AG-alpha-1/AGα1: S.cerevisiaeのα-アグルチニンを発現する遺伝子;
AGα1 cds/α-AGG: α-アグルチニンのコーディング配列;
Amp/amp r: β-ラクタマーゼ耐性遺伝子;
CHv09: ラクダ重鎖可変09フラグメント;
EmR: エリスロマイシン耐性遺伝子;
f1: f1ファージ複製配列;
FLO1/FLO(C-part): フロキュレーションタンパク質のFLO1コーディング配列のC末端側部分;
Hinge: ラクダ「X-P-X-P」ヒンジ領域,実施例9参照;
LEU2: LEU2遺伝子;
LEU2d/leu2d: トランケート型LEU2遺伝子;
Leu2d cs: LEU2d遺伝子のコーディング配列;
MycT: ラクダMycテール;
Ori MB1: 大腸菌プラスミド由来のMB1複製起点;
Pgal7/pGAL7: GAL7プロモーター;
Tpgk: ホスホグリセリン酸キナーゼ遺伝子のターミネーター;
ppα-MF/MFα1ss: α接合因子のプレプロ部分(=シグナル配列);
repA: 複製に必要なタンパク質repAをコードする遺伝子(図15/16);
ScFv(Vh-V1): VH鎖とVL鎖を含む単鎖抗体フラグメント;
ss: シグナル配列;
SUC2: インベルターゼのシグナル配列;
2u/2micron: 2μm配列.
発明の詳細な説明
本発明は、固定化リガンドを利用して、複雑な混合物から貴重な化合物を単離することに関する。この固定化リガンドは、遺伝子工学によって得られるタンパク質であって、「アンカータンパク質」又はその機能的部分と「結合タンパク質」又はその機能的部分との2つの部分で構成される。
「アンカータンパク質」は微生物、好ましくは酵母やカビのような下等真核生物の細胞壁に固着する。この種のタンパク質は長いC末端部分を有していることが多く、そのC末端部分が細胞壁につなぎとめられる。そのようなC末端部分は非常に特殊なアミノ酸配列を有している。この典型的な例がプロリンに富んだタンパク質のC末端配列を介した細胞壁への固着である。Kok(1990)の報文参照。
これらのアンカータンパク質のC末端部分は、相当数の潜在的セリン及びトレオニン-グリコシル化部位を含んでいる可能性がある。これらの部位がO-グリコシル化されると、タンパク質のC末端部分が桿状のコンホメーションをとるようになる。
細胞壁固着マンノタンパク質の場合、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いてもそれらを細胞壁から抽出することができないのに、グルカナーゼ処理すればそれらを遊離させることができることから、それらは下等真核生物の細胞壁中のグルカンに結合しているらしい。本出願人の係属中の特許出願で1994年1月20日に公開されたWO94/01567号並びにSchreuder他(1993)の報文参照。両文献はいずれも本出願の優先日以降に公開されたものである。タンパク質を細胞の外側につなぎとめるもう一つの機構は、グルコシル-ホスファチジルイノシトール(GPI)基を含んだタンパク質がそのGPIを介して細胞表面に固着する性質を利用したものである。Conzelmann他(1990)の報文参照。
「結合タンパク質」は、単離すべき特定の化合物に連結又は結合するので、そう呼ばれる。アンカータンパク質のN末端部分が特定の化合物に結合する能力を十分に有していれば、そのアンカータンパク質自身をその特定化合物の単離プロセスに使用することができる。結合タンパク質として好適なものの例には、抗体、抗体フラグメント、複数の抗体フラグメントの組合せ、レセプタータンパク質、それぞれの基質に対する結合能力を保持している不活性化酵素及び応用分子進化法(Applied Molecular Evolution)で得られるペプチド(Lewin(1990)の報文参照)、並びにこれらのタンパク質の一部分で単離すべき特定の化合物に対する結合能力を保持しているものが含まれる。これらの結合タンパク質はすべて、単離すべき化合物又は関連化合物群を特異的に認識する能力をもっていることを特徴とする。単離すべき特定の化合物と結合タンパク質の間の結合速度と解離速度は(したがって、当然に、結合定数も)、その化合物の存在する抽出液の組成を変化させるか或いはタンパク質工学によって結合タンパク質を変化させることによって調節することができるが、後者の方法が好ましい。
結合タンパク質とアンカータンパク質(或いはそれらの機能的部分)を含んでなる「キメラタンパク質をコードする遺伝子」は、構成型、誘導型又は抑制解除型プロモーターの調節下に置くことができ、通常はキメラタンパク質の効率的な分泌を図るためにシグナル配列をコードするDNAフラグメントで先導される。分泌によってキメラタンパク質が微生物の細胞壁に固着して、微生物の表面がそのキメラタンパク質によって覆われるようになる。これらの微生物は普通の培養法で得ることができ、その菌体の単離も遠心や膜濾過法などの物理的分離手段を用いれば経済的なプロセスとなる。
こうして単離した微生物を、洗浄後、貴重な特定化合物又は化合物群を含んだ抽出液に添加すればよい。ある程度時間が経過すれば、結合状態にある特定化合物(群)と遊離状態にある特定化合物(群)との間で平衡が成立し、特定の化合物又は関連化合物群の結合した微生物を抽出液から簡単な物理的技術で分離することができる。別法として、リガンドで覆われた微生物を担体材料の表面にくっつけて、その被覆担体材料をカラムに詰めて使用することもできる。そのカラムに、特定の化合物又は化合物群を含んだ抽出液を流し込み、その後で、溶出液の組成か温度又はそれらを共に変化させることによってリガンドから上記化合物(群)を解離させることができる。これら2通りの可能性の他にも、数々の変法を用いて、特定化合物とリガンドとの結合、それらの単離及び/又は特定化合物(群)の解離を行い得ることは当業者には明らかであろう。
特に、本発明は下等真核生物の細胞壁に結合したキメラタンパク質に関する。好適な下等真核生物には、Candida、Debaryomyces、Hansenula、Kluyveromyces、Pichia及びSaccharomycesなどの酵母、並びにAspergillus、Penicillium及びPhizopus等のカビが含まれる。用途によっては、特にグラム陽性細菌などの原核生物を用いることもでき、その具体例には、乳酸菌やBacillus属及びStreptomyces属に属する細菌が含まれる。
「下等真核生物」に関しては、本発明は、キメラタンパク質をコードする遺伝子にして下記のa及びbからなる遺伝子を提供する。
a.下等真核生物宿主において機能し得るシグナル配列、例えばα-接合因子、インベルターゼ、α-アグルチニン、イヌリナーゼのような酵母タンパク質由来のもの或いはキシラナーゼのようなカビタンパク質由来のものなど、をコードするDNA配列。
b.細胞壁タンパク質のC末端をコードする構造遺伝子と、その前に位置する構造遺伝子にして特定の化合物又は化合物群に対する結合能力を有するタンパク質をコードする構造遺伝子。後者のタンパク質の例としては、
・抗体;
・単鎖抗体フラグメント(scFv)(Bird及びWebb Walker(1991)の報文参照);
・抗体の重鎖可変領域(VH)又は軽鎖可変領域(VL)或いはこれらの可変領域の一部分であって1〜3つの相補性決定領域(CDR)を保持した部分;
・レセプタータンパク質のアゴニスト認識部分又はアゴニスト結合能力を保持したその一部分;
・触媒活性を喪失した酵素又はかかる酵素の一部分であって酵素の基質結合部位を保持した部分;
・特異的脂質結合タンパク質又はかかるタンパク質の一部分であって脂質結合部位を保持した部分(Ossendorf(1992)の報文参照);並びに
・応用分子進化法で得られるペプチド(Lewin(1990)の報文参照)、
が挙げられる。
これらの遺伝子の発現産物はすべてシグナル配列と2つのタンパク質部分(すなわち単離すべき1種類以上の化合物に対する結合能力を有する部分と通常は細胞壁結合タンパク質のC末端)で構成されていることを特徴とし、後者(細胞壁結合タンパク質)の具体例としては、α-アグルチニン(Lipke他(1989)の報文参照);a-アグルチニン(Roy他(1991)の報文参照);FLO1(実施例5及び配列番号:14参照);並びに下等真核生物の主要細胞壁タンパク質が挙げられるが、これらのタンパク質のC末端は下等真核生物宿主の細胞壁に発現産物をつなぎとめることができる。
キメラタンパク質をコードするこれらの遺伝子の発現は構成型プロモーターの制御下に置くこともできるが、誘導型プロモーターが好ましく、その好適な具体例としては、SaccharomycesのGAL7プロモーター、Kluyveromycesのイヌリナーゼプロモーター、Hansenulaのメタノールオキシダーゼプロモーター及びAspergillusのキシラナーゼプロモーターが挙げられる。かかる構築体は新たな遺伝情報が宿主細胞の染色体に安定に組込まれるような方法で作製するのが好ましい。WO91/00920号(UNILEVER)参照。
上記の遺伝子で形質転換した下等真核生物は普通の培養法、連続培養又は流加培養法で増殖させることができる。適当な微生物増殖法は、使用する遺伝子とプロモーターの構成並びに物理的分離後の菌体の所望精製度に応じて選択される。
「細菌」に関しては、本発明は、キメラタンパク質をコードする遺伝子にして下記のa及びbからなる遺伝子を提供する。
a.特定の細菌で機能し得るシグナル配列、例えばBacillusのα-アミラーゼ、Bacillus subtilisのズブチリシン又はLactococcus lactis subsp.cremorisのプロテイナーゼ由来のもの、をコードするDNA配列。
b.細胞壁タンパク質のC末端をコードする構造遺伝子と、その前に位置する構造遺伝子にして特定の化合物又は化合物群に対する結合能力を有するタンパク質をコードする構造遺伝子。後者のタンパク質の例は、下等真核生物に関して既に列挙した。
これらの遺伝子の発現産物はすべてシグナル配列と2つのタンパク質(単離すべき特定の化合物又は化合物群に対する結合能力を有する部分と通常は細胞壁結合タンパク質のC末端)で構成されていることを特徴とし、後者(細胞壁結合タンパク質)の具体例には、Lactococcus lactis subsp.cremoris Wg2株のプロテイナーゼが含まれるが、そのC末端は宿主細菌の細胞壁に発現産物をつなぎとめることができる。
本発明を以下の実施例で例示するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。最初に、実施例で挙げるエンドヌクレアーゼの制限部位を示しておく。
Figure 0003691055
実施例1 下等真核生物の細胞壁に固定化され、複雑な混合物中のリゾチームに対して高い特異性で結合し得るキメラタンパク質をコードする遺伝子の構築
リゾチームは抗菌酵素であって医薬品産業及び食品産業において数多くの用途を有する。卵黄やリゾチーム産生微生物含有培地など、幾つかのリゾチーム源が知られている。リゾチームに対するモノクローナル抗体が得られており(Ward他(1989)の報文参照)、かかる抗体の軽鎖及び重鎖をコードするmRNAもハイブリドーマから単離されていて、逆転写酵素を用いたcDNA合成の鋳型として用いられている。Ward他(1989)の報文に記載されたプラスミドを出発材料として、我々はpUR4122と名付けたpEMBL由来プラスミドを構築した。このpUR4122においては、pEMBLベクターのEcoRIからHindIII部位までの範囲のマルチクローニング部位が231bpのDNAフラグメントで置換されているが、そのDNAフラグメントのヌクレオチド配列は配列番号:1に示したもので、ヌクレオチド1〜6にEcoRI部位(GAATTC)、ヌクレオチド105〜110にPstI部位(CTGCAG)、ヌクレオチド122〜128にBstEII部位(GGTCACC)、ヌクレオチド207〜212にXhoI部位(CTCGAG)及びヌクレオチド226〜231にHindIII部位(AAGCTT)を有している。
pUR4122の構築
プラスミドpEMBL9(Dente他(1983)の報文参照)をEcoRI及びHindIIIで消化し、得られた大フラグメントを配列番号:1に示す合成二本鎖DNAと連結した。後段でのDNAフラグメントの連結(それによって、リゾチームに対する単鎖抗体フラグメントのコーディング配列が最終的に得られる)のために、pEMBL9ベクターに挿入した上記231bpのDNAフラグメント(配列番号:1)の中には、以下の要素:GAL7プロモーターの3′部分;インベルターゼのシグナル配列(SUC2);PstI制限部位;BstEII制限部位;VHフラグメントとVLフラグメントとを繋ぐ(GGGGS)×3ペプチドリンカーをコードする配列;SacI制限部位XhoI制限部位;HindIII制限部位が組込まれており、プラスミドpUR4119が得られる。VHとGGGGSリンカーがインフレーム(in frame)で(すなわち、フレームシフトを起こさずに)融合するように、プラスミドpSW1-VHD1.3-VKD1.3-TAG1(Ward他(1989)の報文参照)をPstI及びBstEIIで消化し、その0.35kbpのDNAフラグメントを同様に消化したpUR4119と連結して、プラスミドpUR4119Aを得た。続いて、プラスミドpSW1-VHD1.3-VKD1.3-TAG1をSacI及びXhoIで消化し、得られたVLのコーディング部分を含むフラグメントをpUR4119AのSacI/XhoI部位に連結して、プラスミドpUR4122(図1参照)を得た。
pUR4174の構築,図4参照
α-アグルチニンのC末端部由来の細胞壁アンカーのコードされたDNAを有するS.cerevisiaeエピソーム型発現プラスミドを得るため、プラスミドpUR2741(図2参照)を出発ベクターとして選んだ。このプラスミドは基本的にpUR2740の誘導体であり、pUR2740はWO91/19782号及びVerbakel(1991)の報文に記載されている通りプラスミドpUR2730の誘導体である。pUR2730の作製法は欧州特許出願公開EP-A1-0255153(UNILEVER)の例9に明瞭に記載されている。プラスミドpUR2741は、既に不活性化されているテトラサイクリン(tet)耐性遺伝子の残存部分にあるEagI制限部位がNruI/SalI消化によって欠失している点でpUR2740とは異なる。そのSalI部位の一本鎖突出端は再連結前に埋められている。
pUR4122をSacI及びHindIIIで消化(SacIは部分的消化)しておよそ800bpのフラグメントを単離し、これを、同じ酵素でpUR2741を消化して得たpUR2741ベクターフラグメントにクローニングした。得られたプラスミドはpUR4125と名付けた。
pUR2968と名付けたプラスミド(図3参照)を、(1)Lipke他(1989)の報文に記載されたAgα1含有プラスミドpLα21をHindIIIで消化し、(2)約6.1kbpフラグメントを単離し、(3)このフラグメントをHindIII処理pEMBL9と当該6.1kbpフラグメントがpEMBL9ベクターのマルチクローニング部位に存在するHindIII部位に導入されるように連結することによって、作製した。
プラスミドpUR4125をXhoI及びHindIIIで消化して、その約8kbpフラグメントを、下記の配列のXhoI/NheIアダプターを用いて、pUR2968の約1.4kbpのNheI-HindIIIフラグメントに連結した。
Figure 0003691055
プラスミドpUR2968及びpUR4125の適当な部分及びXhoI/NheIアダプターをこのように連結して得たプラスミドをpUR4174と名付けたが、このプラスミドpUR4174は、アミノ末端にインベルターゼのシグナル(プレ)ペプチド、続いてscFv-LYSポリペプチド、最後にα-アグルチニンのC末端からなるキメラ融合タンパク質をコードしている(図4参照)。
pUR4175の構築,図4参照
pUR4122(上記参照)をPstI及びHindIIIで消化しておよそ700bpのフラグメントを単離し、これを、EagI及びHindIIIで消化したpSY16(Harmsen他(1993)の報文参照)のベクターフラグメントに、下記配列のEagI-PstIアダプターを用いて連結した。
Figure 0003691055
こうして得られたプラスミドpUR4132をXhoI及びHindIIIで消化して、上記のXhoI/NheIアダプターを用いて、pUR2968(上記参照)の約1.4kbpのNheI-HindIIIフラグメントに連結して、プラスミド4175を得た(図4参照)。このプラスミドは、α-接合因子のプレプロペプチド、続いてscFv-LYSポリペプチド、最後にα-アグルチニンのC末端からなるキメラ融合タンパク質をコードしている。
実施例2 下等真核生物の細胞壁に固定化され、複雑な混合物中のトラセオリドに対して高い特異性で結合し得る同族キメラタンパク質群をコードする遺伝子群の構築
ハイブリドーマ細胞系統からのRNAの単離、cDNAの調製並びに抗体可変領域をコードする遺伝子フラグメントのPCR法による増幅は、文献記載の常法にしたがって行った。例えばOrlandi他(1989)の報文参照。PCR増幅では、様々なオリゴヌクレオチドプライマーを使用した。
重鎖フラグメントに対しては、下記のプライマーを使用した。
Figure 0003691055
軽鎖フラグメント(κ鎖)に対しては、下記のプライマーを使用した。
Figure 0003691055
pUR4143の構築
将来の構築作業を簡単にするために、pUR4122(上記参照)のインベルターゼシグナル配列とscFv-LYSの連結部にEagI制限部位を導入した。これは、配列番号:1に示す合成フラグメント内の約110bpのEcoRI-PstIフラグメントを下記配列の合成アダプターで置換することによって達成した。
Figure 0003691055
こうして得たプラスミドをpUR4122.1と名付けたが、このpUR4122.1は、EagI部位の後にインフレームで続く単鎖Fvをプレプロα-接合因子配列又はSUC2インベルターゼシグナル配列のいずれかに引き続いて発現させるための構築ベクターである。
重鎖PCRフラグメントをPstI及びBstEIIで消化して、約230bpのPstIフラグメントと約110bpのPstI/BstEIIフラグメントの2種類のフラグメントを得た。後者のフラグメントを、PstI及びBstEIIで消化しておいたベクターpUR4122.1にクローニングした。こうして新たに得られたプラスミド(pUR4122.2)をSacI及びXhoIで消化し、次いでこのベクターに軽鎖PCRフラグメント(同じ制限酵素で消化しておいたもの)をクローニングしてpUR4122.3を得た。このプラスミドをPstIで消化し、しかる後にこのプラスミドベクターに上記の約230bpのPstIフラグメントをクローニングして、pUR4143と呼ばれるプラスミドを得た。2通りに配向している可能性があるが、通例の制限酵素分析によって選択することができる。pUR4122に元々存在していたscFv-LYS遺伝子の代わりに、この新たなプラスミドpUR4143には抗トラセオリド抗体02/01/01のscFv-TRASフラグメントをコードする遺伝子が含まれている(714bpのPstI-XhoIフラグメントのヌクレオチド配列に関しては配列番号:12参照)。
pUR4178及びpUR4179の構築
pUR4143をEagI及びHindIIIで消化すれば、約715bpのフラグメントが単離できる。このフラグメントは、同じ制限酵素で消化しておいたpUR2741及びpUR4175のベクター主鎖にクローニングすることができる。pUR2741の場合、そのようにしてプラスミドpUR2743.4が得られた(図5参照)。このプラスミドはXhoI及びHindIIIで消化してpUR4174の8kbpのXhoI-HindIIIフラグメントに連結することができ、pUR4178を与える(図8)。
pUR4175を出発ベクターとして用いた場合に得たプラスミドはpUR4179と名付けた(図9)。
プラスミドpUR4178及びpUR4179を共にS.cerevisiaeに導入した。
実施例3 ある種の条件下でトリセオリドの結合又は解離を改良するための、トラセオリドに結合し得るキメラタンパク質の結合部分の修飾
免疫反応の際の抗体の結合特性が、抗原の分子的性質に応じた抗体の結合領域中の相補性決定配列の微調整に起因して変化することは周知の免疫学的現象である。抗体フラグメントの抗原結合領域を抗原接触領域の分子モデルに基づいて適合させることによってこの現象をインヴィトロ(in vitro)で真似ることができる。
その一つの具体例が、抗ムスク抗体M02/01/01をもっと強く結合する変異体M02O501iへとタンパク質工学的に改変することである。
まず、抗リゾチーム抗体HYHEL10の原子座標(ブルックヘブン・プロテイン・データバンク(Brookhaven Protein Data Bank)に収録;3HFM)を鋳型として利用したホモロジーモデリングにより、M02/01/01可変フラグメント(Fv)の分子モデルを構築した。この分子モデルを、Silicon Graphics 4D240ワークステーション上でBiosym製のプログラムDISCOVERに基づいて、モレキュラー・メカニクス(Molecular Mechanics)法及びモレキュラー・ダイナミクス(Molecular Dynamics)法を用いて改良した。次に、こうして得たFvの結合部位のマッピングをCDR領域にムスク抗原を視覚的にドッキングさせて行った後、再度モレキュラー・ダイナミクス法を用いて改良した。得られたモデルを充填効率(ファン・デル・ワールスの接触面積)について検討したところ、ALA H96をVALで置換すればリガンドとFvの間の(疎水性)接触面積が増えて相互作用が強まるものと結論できた(図8)。
この変異を実施例2で得たcDNA由来scFvのM02/01/01に導入したとき、得られるものはFv M020501iであり、少なくとも5倍増大した親和性をもつ変異体であると予想できたが、その増大した親和性は上記ムスク香料分子に対するFvの蛍光滴定法を利用して測定することができた。
実施例4 下等真核生物の細胞壁に固定化され、HCGのようなホルモンに結合し得るキメラタンパク質をコードする遺伝子の構築
ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンに対するモノクローナル抗体由来の重鎖及び軽鎖フラグメントの可変領域をコードする遺伝子フラグメントを、実施例2に記載した方法と同様の方法でハイブリドーマから得た。
次に、これらのHCG VH及びVL遺伝子フラグメントを対応PstI-bstEII及びSacI-XhoI遺伝子フラグメントの置換によってプラスミドpUR4143にクローニングして、プラスミドpUR4146を得た。
実施例2に記載した方法と同様に、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンに対するモノクローナル抗体由来の重鎖及び軽鎖フラグメントの可変領域(scFv-HCGフラグメント)をコードする734bpのEagI-XhoIフラグメント(配列番号:13に示すヌクレオチド配列)をpUR4166から単離して、同一の制限酵素で消化しておいたpUR4178(実施例2参照)のベクター主鎖に実際に導入したが、同一の制限酵素で消化しておいたpUR4175(実施例1参照)のベクター主鎖にも導入できるはずである。こうしてプラスミドpUR4177(図9参照)及びpUR4180(図10参照)が得られるが、前者については実際にS.cerevisiaeのSU10株に導入し、後者もS.cerevisiaeのSU10株に導入できるはずである。
実施例5 下等真核生物の細胞壁に固定化され、HCGのようなホルモンに結合し得るキメラタンパク質scFv-FLO1をコードする遺伝子の構築
S.cerevisiaeにおけるフロキュレーション表現型に関連した遺伝子の一つがFLO1遺伝子である。FLO1遺伝子の主要部分を含んだクローンのDNA配列を今回決定した(2685bpのFLO1遺伝子を示す配列番号:14参照)。このクローン化フラグメントは、サザーンハイブリダイゼーション及びノーザンハイブリダイゼーションの結果ではゲノムコピーよりも約2kb短かったが、FLO1遺伝子の両端を含んでいた。DNA配列データの解析から、推定タンパク質には、分泌のためのシグナル配列と認められるN末端疎水性領域と、GPIアンカーの付着のためのシグナルとして機能していると思われる疎水性C末端と、多数のグリコシル化部位とが含まれていたが、グリコシル化部位は特にC末端側に多く含まれており、恣意的に決定したC末端(アミノ酸271〜894)には46.6%のセリンとトレオニンが含まれている。したがって、FLO1遺伝子産物は酵母細胞壁の中に配向して位置している可能性が高く、隣接細胞間の相互作用に直接関与しているらしい。
クローン化したFLO1配列は、したがって、種類の細胞壁アンカーによる細胞壁へのタンパク質又はペプチドの固定化に適している。scFv-HCGとFLO1タンパク質のC末端部分とからなるキメラタンパク質の生産には、出発ベクターとしてプラスミドpUR2990(図11参照)を使用できる。エピソーム型プラスミドpUR2990の調製法は、本出願人の係属中の特許出願で1994年1月20日(本願の優先期間中)に公開されたWO94/01567(UNILEVER)に記載されている。プラスミドpUR2990には、Humicolaのリパーゼをコードする遺伝子とFLO1遺伝子産物の推定C末端細胞壁アンカードメインをコードする遺伝子とからなるキメラ遺伝子が含まれており、そのキメラ遺伝子に先行してインベルターゼのシグナル配列(SUC2)及びGAL7プロモーターが存在している。さらに、このプラスミドには、酵母2μm配列、Eckard及びHollenberg(1983)の報文に記載された不完全Leu2プロモーター、及びLeu2遺伝子(Roy他(1991)の報文参照)も含まれている。実施例4記載のプラスミドpUR4146をPstI及びXhoIで消化すれば、scFv-GCGコーディング配列を含んだ約0.7kbpのPstI-XhoIフラグメントが得られる。このDNA配列をFLO1のC末端部分とSUC2シグナル配列との間にインフレームで融合させるには、このフラグメントをプラスミドpUR2990の9.3kbp EagI/NheI(部分)主鎖に直接連結すればよく、その結果、プラスミドpUR4196(図12参照)が得られる。このプラスミドは、SUC2シグナル配列とscFv-HCGの開始部分との間にAlaをコードする追加トリプレットと、FLO1タンパク質のC末端の最初のアミノ酸(Ser)の前にE-I-K-G-Gアミノ酸配列をコードする追加トリプレットを含んでいる。
以上の実施例1〜実施例5において抗体フラグメントの露出度が低すぎる場合には、抗体フラグメントのフレームワーク領域に変異を導入することによって生産レベルを上げることができる。このような変異導入は、文献に記載された公知技術を用いて、部位特異的変異導入法で行うこともできるし、(標的)ランダム変異誘発法で行うこともできる。
実施例6 下等真核生物の細胞壁に固定化され、コレステロールに結合し得るキメラタンパク質をコードする遺伝子の構築
文献には、コレステロールオキシダーゼについて2種類のDNA配列:すなわち、Brevibacterium sterolicum由来のchoB遺伝子(Ohta他(1991)の報文参照)とStreptomyces sp.SA-COO由来のchoA遺伝子(Ishizaka他(1989)の報文参照)が記載されている。コレステロールオキシダーゼ(EC 1.1.3.6)をコードするchoB遺伝子とAG-α1遺伝子の3′部分との融合DNAの構築には、染色体DNA上でのPCRを利用すればよい。染色体DNAはBrevibacterium sterolicumから常法にしたがって単離することができ、コレステロールオキシダーゼの成熟部分をコードするDNA部分の増幅は、下記のPCRプライマーcho01pcr及びcho02pcrによって行うことができる。
Figure 0003691055
これらのプライマーは共に標的配列に特異的にハイブリダイズし得るので、上記遺伝子のコーディング部分が増幅されて、その特異的PCR産物は、プロテイナーゼK処理及びEcoRI及びHindIIIでの消化後、適当なベクター(ここでは、pTZ19R(Mead他(1986)の報文参照)が好ましい)に直接クローニングすることができるようになる。その結果、プラスミドpUR2985(図13参照)が得られる。
上記の制限部位の他に、これらのPCRプライマーはいずれも1.5kbpのDNAフラグメントの5′末端及び3′末端に別の制限部位を生じるので、それらの制限部位を利用すれば後段で上記フラグメントをその一端でSUC2シグナル配列又はプレプロ-α-接合因子シグナル配列と融合させ、かつもう一方の末端でα-アグルチニンのC末端コーディング部分と融合させることができる。プレプロMF配列の後での連結を容易にするには、PCRオリゴヌクレオチドプライマーcho01pcrの5′末端にNotI部位を導入して、例えばpUR4175中のscFv-Lysコーディング配列を含んだ731bpのEagI/NheIフラグメントでchoBコーディング配列を置換できるようにすればよい。
コレステロールオキシダーゼとα-アグルチニンとの酵素活性をもたない融合タンパク質を作るには、上述したpTZ19Rへのサブクローニング法を用いればよい。コレステロールオキシダーゼはFAD依存性酵素であり、Brevibacterium sterolicumの酵素については結晶構造にも既に決定されている(Vrielink他(1991)の報文参照)。この酵素はGly-X-Gly-X-X-Glyという配列のFAD結合ドメインの典型的なパターンに対する相同性をN末端付近(アミノ酸18〜23)に示す。プラスミドpUR2985に対する部位特異的インヴィトロ変異導入を製造業者のプロトコル(Bio-Rad社製のMuta-Geneキット)に基づいて利用すれば、Gly残基(群)をコードするトリプレット(群)を他のアミノ酸をコードするトリプレットで置換してFAD結合部位を不活性化し、ひいては上記酵素を不活性化できるはずである。例えば、保存されたGly残基のうちの2つに部位特異的な変異を導入するには、下記のプライマーを使用することができる。
Figure 0003691055
このプライマーを用いて変異導入を行うと、プラスミドpUR2986が得られるはずである。このプラスミドからは、NotI/NheI消化によって、不活性化されていると推定されるコレステロールオキシダーゼをコードしたDNAが1527bpフラグメントとして放出されるはずであり、このDNAフラグメントをpUR4175中のscFv-Lysコーディング配列との置換に直接使用すれば、プラスミドpUR2987(図14参照)が得られる。分泌がSUC2シグナル配列で支配されているような、酵母分泌ベクターの変異体を得るには、例えばプラスミドpUR2986の1823bp長のSacI/NheIセグメントを用いてpUR4174中のSacI/NheIフラグメントを置換すればよい。こうしたFAD結合部位の不活性化は他の変異体に対しても好ましいと考えられるが、それは、活性中心を変えないでおくとコレステロールオキシダーゼのコレステロールに対する結合特性が変わらないと予想されるからである。上述した成熟コーディング配列の18位及び20位でのGly→Alaへの置換以外にも、他のどのような適当なアミノ酸への変更を行うこともできる。
酵素を不活性化するには、例えば正にプロトン受容体として機能する部位に位置する残基であるGlu331の置換などによって、活性部位のくぼみ構造部において部位特異的変異導入を行うこともでき、そうすることによって酵素活性をもたない固定化融合タンパク質の新たな変異体を得ることができる。
実施例7 乳酸菌の細胞壁に固定化され、コレステロールに結合し得るキメラタンパク質をコードする遺伝子の構築
Lactococcus lactis subsp.cremorisのプロテイナーゼが127アミノ酸残基からなる長いC末端を介して細胞壁に固着していることが報告されている。Kok他(1988)並びにKok(1990)の報文参照。実施例6に記載した方法と同様の方法で、Brevibacterium sterolicumのコレステロールオキシダーゼ(choB)をLactococcus lactisの細胞壁に固定化することができる。choB構造遺伝子とN末端シグナル配列とLactococcus lactisのプロテイナーゼのC末端アンカーとの間で融合を行うことができる。プラスミドpGKV550(図15参照)は、プロモーター、リボソーム結合部位及び上述のシグナル配列とアンカー配列をコードしたDNAフラグメントを含め、Lactococcus lactis subsp.cremoris Wg2株の全プロテイナーゼオペロンを含んでいる(Kok(1990)の報文参照)。最初に、以下に示すようなpGKV550上でのPCRによって、シグナル配列の主要部とその両側にClaI部位とEagI部位の含まれたDNAフラグメントを構築することができる。
Figure 0003691055
実施例6で述べたPCR反応の後で、98bpのPCRフラグメントを単離してClaI及びHindIIIで消化すればよい。次に、pGKV550をClaIで部分的に切断し、HindIIIで完全に切断すれば、かかる消化の後、上記プロテイナーゼ遺伝子のプロモーター、リボソーム結合部位、N末端の8個のアミノ酸と127個のC末端アミノ酸の細胞壁結合フラグメントをコードしたDNAフラグメントを含んだベクターフラグメントをゲル上で単離することができる。
prtPアンカードメインとの融合に適したコレステロールオキシダーゼ遺伝子のコピーは、pUR2985(実施例6)を鋳型として用い、プライマーcho02pcrの代わりに下記のプライマーcho03pcrをプライマーcho01pcr(実施例6)と組合わせて利用したPCR反応によって作製することができる。
Figure 0003691055
この反応によって生じる約1.53kbpフラグメントをNotI及びHindIIIで消化して得られる分子は、次いでpUR2988(図16参照)由来のEagI/HindIII大フラグメントと連結することができる。こうして得られるプラスミドpUR2989は、プロテイナーゼ遺伝子のシグナル配列とC末端細胞壁アンカードメインとの間に挿入されたコレステロールオキシダーゼのコーディング配列を含んでいるはずである。このプラスミドは、電気穿孔法でLactococcus lactis subsp.lactis MG1363株に導入すればプロテイナーゼプロモーターの制御下でコレステロールオキシダーゼを発現するはずである。膜を通しての輸送はプロテイナーゼのシグナル配列によって媒介されるはずであり、コレステロールオキシダーゼの固定化はプロテイナーゼのアンカーによって媒介される。LactococcusがFADを同時に分泌する可能性は低いので、コレステロールオキシダーゼはコレステロールに結合し得るものの、活性ではないはずである。
実施例8 下等真核生物の細胞壁に固定化され、上皮成長因子のような成長ホルモンに結合し得るキメラタンパク質をコードする遺伝子の構築
ヒト上皮成長因子(EGF)を大量に単離するため、結合ドメインが細胞壁アンカーとしてのα-アグルチニンのC末端部分と融合した形の対応レセプターを利用することができる。ヒト上皮成長因子の全cDNA配列がクローニングされ、配列が決定されている。EGF結合能力をもつ融合タンパク質の構築には、成熟型レセプターのN末端部分から中央の23個のアミノ酸残基からなる膜貫通領域までを利用することができる。
こうした構築にはプラスミドpUR4175を利用することができる。EagI及びNheI(部分)での消化によって、scFvのコードされた配列を含む731bpのDNAフラグメントが放出されるが、このフラグメントは、ヒト上皮成長因子レセプターの最初の621個のアミノ酸残基をコードするDNAフラグメントで置換することができる。既存のヒトcDNAライブラリーを出発点とするか、さもなければ例えばA431ガン腫細胞(Ullrich他(1984)の報文参照)のような優先的にEGFレセプターを過剰産生する細胞から常法によってcDNAライブラリーを作成しておいて、PCRをさらに行えばヒト上皮成長因子レセプターの細胞外結合ドメイン(アミノ酸1〜622)とα-アグルチニンのC末端部分とのインフレーム連結体を作成することができる。
ヒト上皮成長因子レセプターとα-アグルチニンのC末端とのインフレーム連結のためのPCRオリゴヌクレオチド
Figure 0003691055
この融合によって、シグナル配列とEGFレセプターの成熟N末端の間に2つのAla残基が追加されることになる。こうして新たに得られる1.9kbpのPCRフラグメントをNotI及びNheIで消化すれば、同じ酵素で消化しておいたベクターpUR4175に直接連結することができ、GAL7プロモーターと、プレプロα-接合因子配列と、EGFレセプター結合ドメイン遺伝子/α-アグルチニンの融合遺伝子と、酵母2μm配列と、不完全LEU2プロモーターと、LEU2遺伝子とを含んだプラスミドpUR2993(図17参照)を得ることができる。このプラスミドはS.cerevisiaeを形質転換することができ、形質転換細胞はYP培地中で培養することができ、キメラタンパク質の発現はこの培地にガラクトースを添加することによって誘導し得る。
実施例9 酵母の細胞壁に固定化され、「ラクダ科」重鎖抗体の結合ドメインを含んでなるキメラタンパク質をコードする遺伝子の構築
最近、ラクダ類並びにその近縁種(例えばラマ)が重鎖のダイマーだけで構成されたIgG抗体分子をかなりの量で含んでいることが報告されている(Hamers-Casterman他(1993)の報文参照)。このような「重鎖」抗体は軽鎖を欠いているが、それにもかかわらず広い抗原結合範囲を有していることが実証されている。この種の抗体の可変領域を生産し、酵母の細胞壁の外側に連結できることを示すために、下記の構築体を作製した。
pUR2997,pUR2998及びpUR2999の構築
pUR4177(実施例4、図9参照)の約2.1kbpのEagI-HindIIIフラグメントを単離した。PCR法を利用して、EagI部位のすぐ上流にEcoRI部位を導入したが、そうして得られたEcoRI部位の塩基CはEagI部位の最初の塩基Cと同一である。こうして得たEcoRI-HindIIIフラグメントを、EcoRI及びHindIIIで消化しておいたプラスミドpEMBL9に連結して、pUR4177.Aを得た。
プラスミドpUR4177.AのEcoRI/NheIフラグメントを、3種類の異なる合成DNAフラグメント(配列番号:32,配列番号:33及び配列番号:34)のEcoRI/NheIフラグメントで置換して、それぞれ、pUR2997、pUR2998及びpUR2999を得た。pUR2997とpUR2998の約1.5kbpのBstEII-HindIIIフラグメントを単離した。
pUR4421の構築
プラスミドpEMBL9(Dente他(1983)の報文参照)のマルチクローニング部位(EcoRI部位からHindIII部位までの範囲)を、下記に示すヌクレオチド配列をもつ合成DNAフラグメント(コーディング鎖を示す配列番号:35並びに非コーディング鎖を示す配列番号:36参照)で置換した。このヌクレオチド配列の5′部分は、EagI部位、ラクダVH遺伝子フラグメントの最初の4つのコドン(ヌクレオチド16〜27)、及び5番目及び6番目のコドン(ヌクレオチド28〜33)に一致するXhoI部位(CTCGAG)を含んでいる。その3′部分は、ラクダVH遺伝子の最後の5つのコドン(ヌクレオチド46〜60)(その一部はBstEII部位に一致する)、Mycテールの11個のコドン(ヌクレオチド61〜93)(これら11個のコドンを含んだ配列番号:35及びアミノ酸配列を示す配列番号:37を参照)、及びEcoRI部位(GAATTC)を含んでいる。このEcoRI部位はpEMBL9に元々存在していたもので、ヌクレオチド配列の5′末端が下記の(EcoRI)として示す通りAATTCの代わりにAATTTを含んでいるので、機能しなくなっている。得られたプラスミドはpUR4421と呼ばれる。ラクダVHフラグメントはQ-V-Kというアミノ酸で始まり、V-S-Sというアミノ酸で終わる。
Figure 0003691055
pUR4424の構築
プラスミドpB09をXhoI及びBstEIIで消化して、アガロースゲルから約0.34kbpのDNAフラグメントを単離した。このフラグメントは、ラクダVHフラグメントの最初の4つのアミノ酸と最後の5つのアミノ酸の欠けたトランケート型VHフラグメントをコードしている。プラスミドpB09は大腸菌JM109 pB09として1993年4月20日にオランダのバールン(Baarn)のCentraal Buresu voor Schimmelcultures(CBS)に寄託番号CBS271.93として寄託された。ラクダVHフラグメントのDNA及びアミノ酸配列の後には、欧州特許出願第93201239.6号(未公開)の図6Bに記載された通り、プラスミドpB09中に存在するFlag配列が続いている。この欧州特許出願の開示内容は文献の援用によって本明細書の内容の一部をなす。得られた約0.34kbpのフラグメントをpUR4421にクローニングした。そのため、プラスミドpUR4421をXhoI及びHindIIIで消化した後、アガロースゲルから約4kbのベクターフラグメントを単離した。得られたベクターを約0.34kbpのXhoI/BstEIIフラグメント及び下記の配列の合成DNAリンカーと連結して、プラスミドpUR4421-09を得た。
Figure 0003691055
プラスミドpSY16をEagI及びHindIIIで消化して、約6.5kbp長のベクター鎖を単離して、それをpUR4421-09由来の約0.38kbpのEagI/HindIIIフラグメントと連結して、pUR4424を得た。
pUR4482及びpUR4483の構築
pUR4424からインベルターゼのシグナル配列とラクダ重鎖可変09(CHV09)フラグメントのコードされた約0.44kbpのSacI-BstEIIフラグメントを単離するとともに、約6.3kbpのSacI-HindIIIベクターフラグメントも単離した。約6.3kbpフラグメントとpUR4424の約0.44kbpフラグメントをpUR2997又はpUR2998のBstEII-HindIIIフラグメントと連結してそれぞれpUR4482とpUR4483を得た。
プラスミドpUR4482は、インベルターゼシグナル配列とCHV09可変領域とMycテールとラクダ「X-P-X-P」ヒンジ領域(Hamers-Casterman他(1993)の報文参照)とα-アグルチニン細胞壁アンカー領域との融合タンパク質の発現のための酵母エピソーム型発現プラスミドである。pUR4483はMycテールを含んではいるが「X-P-X-P」ヒンジ領域を含んでいない点でpUR4482とは異なる。同様に、pUR2999のBstEII-HindIIIフラグメントを、上記の約6.3kbpベクターフラグメント及びpUR4424の約0.44kbpフラグメントと連結することもでき、pUR4497が得られるが、このプラスミドは「X-P-X-P」ヒンジ領域を含んではいるがMycテールを含んでいない点でpUR4482とは異なる。
プラスミドpUR4424、pUR4482及びpUR4483を電気穿孔法でSaccharomyces cerevisiaeSU10株に導入し、ロイシンを欠く平板上で各形質転換体を選択した。pUR4424、pUR4482及びpUR4483の各々で形質転換したSU10株由来の各形質転換体を、5%ガラクトース添加YP培地上で増殖させ、本出願人の係属中の特許出願で1994年1月20日に公開されたWO94/01567号(UNILEVER)の例1に記載された免疫蛍光顕微鏡法で分析した。細胞表面に存在する、ラクダ抗体とMycテールを共に含んだキメラタンパク質を検出するため、この文献記載の方法に若干の修正を加えた。
一つの方法では、マウスのモノクローナル抗Myc抗体をキメラタンパク質のMycテールに結合させるための第1抗体として使用し、続いて結合マウス抗体を検出するためにフルオレセンイソチオシアネート(FITC)標識ポリクローナル抗マウスIg抗血清(Sigma社製,製品番号F0527)を使用し、陽性シグナルの有無を蛍光顕微鏡で測定した。
もう一つの方法では、ラクダ抗体と交差反応することが既に実証されているウサギのポリクローナル抗ヒトIgG血清をキメラタンパク質のラクダ抗体に結合させるための第1抗体として使用し、続いて結合ウサギ抗体を検出するためにFITC標識ポリクローナル抗ウサギIg抗血清(Sigma社製,製品番号F0382)を使用し、陽性シグナルの有無を蛍光顕微鏡で測定した。
図19及び図20に示す結果から、CHV09フラグメントとα-アグルチニン細胞壁アンカー領域の融合タンパク質を産生する細胞(pUR4482及びpUR4483)で蛍光が観察されることが分かる。しかし、このようなアンカーのないCHV09フラグメントを産生する細胞(pUR4424)では、同じ状況下で観察しても、蛍光は全く認められなかった。
Figure 0003691055
Figure 0003691055
Figure 0003691055
Figure 0003691055
ブダペスト条約に基づく微生物の寄託に関する情報は本明細書第27頁3〜6行に記載されている。欧州特許条約(EPC)規則28(4)又はEPCの締約国以外の国での同様の規定に基づき、請求のあったときはこれらの寄託菌株の試料が専門家のみに分譲されることを要求する。
配 列 表
(1) 一般情報
(i) 出願人
(A) 名称:ユニリーバー・エヌ・ヴイ
(B) 通りの住所:ヴェーナ455
(C) 都市名:ロッテルダム
(E) 国名:オランダ
(F) 郵便番号(ZIP):NL-3013 AL
(A) 名称:ユニリーバー・ピー・エル・シー
(B) 通りの住所:ブラックフライヤーズ、ユニリーバー・ハウス
(C) 都市名:ロンドン
(E) 国名:英国
(F) 郵便番号(ZIP):EC4P 4BQ
(A) 名称:レオン・ゲラルダス・ジェイ・フランケン
(B) 通りの住所:ゲルダースストラート 90
(C) 都市名:ロッテルダム
(E) 国名:オランダ
(F) 郵便番号(ZIP):NL-3011 MP
(A) 名称:ピーター・ディ・イー・ゲウス
(B) 通りの住所:ボエイエ 24
(C) 都市名:バーレンドレヒト
(E) 国名:オランダ
(F) 郵便番号(ZIP):NL-2991 KB
(A) 名称:フランシスカス・マリア・クリス
(B) 通りの住所:ベネデンラングス 102
(C) 都市名:アムステルダム
(E) 国名:オランダ
(F) 郵便番号(ZIP):NL-1025 KL
(A) 名称:ホルガー・ヨーク・トシュカ;c/o ラングネーズ・イグロ,BR3
(B) 通りの住所:アエケルン 1
(C) 都市名:レケン
(E) 国名:ドイツ
(F) 郵便番号(ZIP):D-48734
(A) 名称:コルネリス・テオドラス・ヴェルリップス
(B) 通りの住所:ハーグドルン 18
(C) 都市名:マースルイス
(E) 国名:オランダ
(F) 郵便番号(ZIP):NL-3142 KB
(ii) 発明の名称:
(iii) 配列の数:40
(iv) コンピューター可読形式:
(A) 記録媒体:フロッピーディスク
(B) コンピューター:IBM PCコンパチブル
(C) オペレーションシステム(OS):PC-DOS/MS-DOS
(D) ソフトウェア:PatentIn Release ♯1.0,ヴァージョン♯1.25(EPO)
(2) 配列番号:1に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:231塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:二本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:pUR4119中のフラグメント
(xi) 配列:配列番号:1:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:2に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:21塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:XhoI−NheIリンカーのコーディング鎖
(xi) 配列:配列番号:2:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:3に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:XhoI−NheIリンカーの非コーディング鎖
(xi) 配列:配列番号:3:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:4に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:21塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:EagI−PstIリンカーのコーディング鎖
(xi) 配列:配列番号:4:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:5に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:13塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:EagI−PstIリンカーの非コーディング鎖
(xi) 配列:配列番号:5:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:6に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:22塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:PCRプライマーA(重鎖)
(xi) 配列:配列番号:6:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:7に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:32塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:PCRプライマーB(重鎖)
(xi) 配列:配列番号:7:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:8に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:24塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:PCRプライマーC(軽鎖)
(xi) 配列:配列番号:8:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:9に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:22塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:PCRプライマーD(軽鎖)
(xi) 配列:配列番号:9:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:10に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:26塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:EcoRI−PstIリンカーのコーディング鎖
(xi) 配列:配列番号:10:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:11に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:18塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:EcoRI−PstIリンカーの非コーディング鎖
(xi) 配列:配列番号:11:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:12に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:714塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:二本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:ScFv 抗トラセオリド02/01/01
(xi) 配列:配列番号:12:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:13に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:734塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:二本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:ScFv 抗HCG
(xi) 配列:配列番号:13:
Figure 0003691055
Figure 0003691055
(2) 配列番号:14に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:2685塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:二本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(v) 起源
(A) 生物名:Saccharomyces cerevisieae
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:pYY105
(ix) 配列の特徴:
(A) 特徴を表わす記号:CDS
(B) 存在位置:1...2685
(D) 他の情報:/遺伝子産物=“フロキュレーションタンパク質”/遺伝子=“FLO1”
(xi) 配列:配列番号:14:
Figure 0003691055
Figure 0003691055
Figure 0003691055
Figure 0003691055
Figure 0003691055
Figure 0003691055
Figure 0003691055
(2) 配列番号:15に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:894アミノ酸
(B) 配列の型:アミノ酸
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:タンパク質
(xi) 配列:配列番号:15:
Figure 0003691055
Figure 0003691055
Figure 0003691055
Figure 0003691055
Figure 0003691055
(2) 配列番号:16に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:19塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:ChoB鋳型コーディング鎖
(xi) 配列:配列番号:16:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:17に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:19塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:ChoB鋳型非コーディング鎖
(xi) 配列:配列番号:17:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:18に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:37塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:Cho01pcrプライマー
(xi) 配列:配列番号:18:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:19に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:42塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:cho02pcrプライマー
(xi) 配列:配列番号:19:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:20に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:21塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:ChoB鋳型コーディング鎖
(xi) 配列:配列番号:20:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:21に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:21塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:ChoB鋳型コーディング鎖
(xi) 配列:配列番号:21:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:22に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:42塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:変異導入プライマーChoB
(xi) 配列:配列番号:22:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:23に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:42塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:ChoB鋳型コーディング鎖
(xi) 配列:配列番号:23:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:24に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:29塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:プライマーprt1
(xi) 配列:配列番号:24:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:25に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:32塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:プロテイナーゼ鋳型非コーディング鎖
(xi) 配列:配列番号:25:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:26に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:27塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:プロテイナーゼ鋳型コーディング鎖
(xi) 配列:配列番号:26:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:27に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:39塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:prt2プライマー
(xi) 配列:配列番号:27:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:28に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:33塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:EGF1プライマー
(xi) 配列:配列番号:28:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:29に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:33塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:EGFレセプター鋳型非コーディング鎖
(xi) 配列:配列番号:29:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:30に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:30塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:EGFレセプター鋳型コーディング鎖
(xi) 配列:配列番号:30:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:31に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:40塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:EGF2プライマー
(xi) 配列:配列番号:31:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:32に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:177塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:二本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:MycT及びヒンジ部とのAGα1リンカー
(xi) 配列:配列番号:32:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:33に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:63塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:二本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:MycTとのAGα1リンカー
(xi) 配列:配列番号:33:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:34に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:144塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:二本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:ヒンジ部とのAGα1リンカー
(xi) 配列:配列番号:34:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:35に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:119塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:pUR4421コーディング鎖中のフラグメント
(xi) 配列:配列番号:35:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:36に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:119塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:pUR4421非コーディング鎖中のフラグメント
(xi) 配列:配列番号:36:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:37に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:11アミノ酸
(B) 配列の型:アミノ酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:ペプチド
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:Mycテール
(xi) 配列:配列番号:37:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:38に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:21塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:BstEII−HindIIIリンカーのコーディング鎖
(xi) 配列:配列番号:38:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:39に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:20塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:BstEII−HindIIIリンカーの非コーディング鎖
(xi) 配列:配列番号:39:
Figure 0003691055
(2) 配列番号:40に関する情報:
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ:28塩基対
(B) 配列の型:核酸
(C) 鎖の数:一本鎖
(D) トポロジー:直鎖状
(ii) 配列の種類:DNA(genomic)
(vii) 直接の起源:
(B) クローン:プライマーcho03pcr
(xi) 配列:配列番号:40:
Figure 0003691055

Claims (12)

  1. 特定の化合物に対する結合能力を有する、抗体、抗体フラグメント、及び複数の抗体フラグメントの組み合わせからなる群から選択される結合タンパク質を固定化するための方法にして、上記結合タンパク質又は上記の特異的結合能力を保持したその機能的部分であってSaccharomyces属に属する酵母の外部に連結した上記結合タンパク質又は機能的部分の生産に組換えDNA技術を利用して、Saccharomyces属に属する酵母の細胞壁に固着し得るアンカータンパク質のアンカー部分(当該アンカー部分は上記アンカータンパク質のC末端部分から導かれる)のN末端に上記結合タンパク質又はその機能的部分がそのC末端で結合しているようなキメラタンパク質をSaccharomyces属に属する酵母の細胞が産生及び分泌できるようにすることによって上記タンパク質又はその機能的部分が細胞壁又は細胞壁の外側に局在化するようにさせることを含んでなる方法。
  2. 下記の(i)及び(ii)を含んでなる組換えポリヌクレオチド。
    (i)抗体、抗体フラグメント、及び複数の抗体フラグメントの組み合わせからなる群から選択される結合タンパク質又は特異的結合能力を保持したその機能的部分をコードする構造遺伝子、及び
    (ii)Saccharomyces属に属する酵母の細胞壁に固着し得るアンカータンパク質をコードする遺伝子の少なくとも一部分であって、当該遺伝子部分がアンカータンパク質のアンカー部分(当該アンカー部分は上記アンカータンパク質のC末端部分から導かれる)をコードしている遺伝子部分。
  3. 請求項2記載のポリヌクレオチドにおいて、上記アンカータンパク質が、Saccharomyces由来のα−アグルチニン、a‐アグルチニン、FLO1からなる群から選択されることを特徴とするポリヌクレオチド。
  4. 請求項2記載のポリヌクレオチドにおいて、当該ポリヌクレオチドが、当該ポリヌクレオチドの発現産物の分泌を確実にするためのシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列をさらに含んでいることを特徴とするポリヌクレオチド。
  5. 請求項4記載のポリヌクレオチドにおいて、上記シグナルペプチドが、Saccharomycesのインベルターゼに由来することを特徴とするポリヌクレオチド。
  6. 請求項2乃至請求項5のいずれか1項記載のポリヌクレオチドにして、誘導型プロモーターとすることができるプロモーターに機能的に連結しているポリヌクレオチド。
  7. 請求項2乃至請求項6のいずれか1項記載のポリヌクレオチドを含んでなる組換えベクター。
  8. 請求項2乃至請求項6のいずれか1項記載のポリヌクレオチドにコードされたキメラタンパク質。
  9. 細胞の外部に細胞壁をもつSaccharomyces属に属する酵母の細胞にして、請求項2乃至請求項6のいずれか1項記載のポリヌクレオチドを少なくとも1つ保有する宿主細胞。
  10. 請求項9記載の細胞にして、その染色体に請求項2乃至請求項6のいずれか1項記載のポリヌクレオチドが少なくとも1つ組込まれていることを特徴とする細胞。
  11. 請求項8記載のキメラタンパク質がその細胞壁に固定化されているSaccharomyces属に属する酵母の細胞にして、当該キメラタンパク質の結合タンパク質部分がその細胞壁中又は細胞壁の外側に局在化している細胞。
  12. 特定化合物に対する結合能力を保持している固定化された、抗体、抗体フラグメント、及び複数の抗体フラグメントの組み合わせからなる群から選択される結合タンパク質又はその機能的部分を用いて単離プロセスを行う方法にして、上記特定化合物を含んだ媒質を請求項9乃至請求項11のいずれか1項記載のSaccharomyces属に属する酵母の細胞に、特定化合物と固定化結合タンパク質との複合体が形成されるような条件下で、接触させ、特定化合物を当初含んでいた上記媒質から当該複合体を分離し、所望により、結合タンパク質又はその機能的部分から特定化合物を解離させることを特徴とする方法。
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