JP3690829B2 - 非線形抵抗素子 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、下部電極と絶縁膜と上部電極とのMIM素子構造を有する非線形抵抗素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクティブマトリクス型の液晶表示装置は、従来の単純マトリクス型に比べてより高画質な表示が可能であることから、最近では液晶表示装置の主流になりつつある。
【0003】
アクティブマトリクス型の液晶表示装置では、各画素電極ごとにアクティブ素子を接続している。そして、このアクティブ素子がスイッチング素子としてノイズとなる不要な信号をカットしている。
【0004】
下部電極−絶縁膜−上部電極構造からなるMIM素子は、低電圧印加時には高抵抗となり、これに対して高電圧印加時では低抵抗になるというスイッチングに適する非線形抵抗性をもつ。
【0005】
このことから薄膜トランジスタ(TFT)素子とならぶ代表的なアクテイブ素子として、MIM素子はアクティブマトリクス型の液晶表示装置に用いられている。
【0006】
ところでMIM素子を用いた液晶表示装置では、MIM素子と液晶層とが直列に接続されていることから、印加電圧は両者のもつ電気容量値に応じて分配されることになる。
【0007】
そこで液晶層に充分に大きな電圧を印加するためには、MIM素子のもつ電気容量値をできるだけ小さくする必要がある。
【0008】
このためにはMIM素子の素子面積をできるだけ小さくすればよい。しかしながら、MIM素子の微細化に伴ってパターニング精度が問題となり、従来の手段では1μm〜3μm程度の大きさのMIM素子を形成するための微細パターンの形成は非常に困難である。
【0009】
そこで開発されたのが下部電極の側面部を利用して、その下部電極の側面部に微細パターンのMIM素子(以下ラテラルMIM素子と記載する)を形成する方法である。
【0010】
この従来技術におけるラテラルMIM素子を、図3と図4を用いて説明する。図3は、ラテラルMIM素子を示す平面図であり、図4は、図3のC−D線における断面を示す断面図である。以下、図3と図4とを交互に参照して説明する。
【0011】
基板1の上に設ける下部電極2の上部には第1の絶縁膜3を設け、さらに下部電極2の側面部には第2の絶縁膜4を設ける。
【0012】
下部電極2に対して、この下部電極2の側面部の片側から上部に重なるように上部電極5を形成する。なお、この上部電極5は画素電極6と接続している。
【0013】
このラテラルMIM素子の下部電極2と上部電極5とは、第1の絶縁膜3と第2の絶縁膜4とを介して接触している。
【0014】
このとき、下部電極2上部の第1の絶縁膜3の膜厚が充分に厚く、その誘電率が充分に小さければ、膜厚の薄い第2の絶縁膜4のみを通じて電流が流れるはずである。
【0015】
すなわち、上部電極5と、第2の絶縁膜4と、下部電極2とによりMIM素子を形成する。
【0016】
このラテラルMIM素子においては、下部電極2の側面部を利用して素子形成している。このため、MIM素子の面積を従来のMIM素子よりも大幅に小さくすることができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
図3と図4とを用いて説明したラテラルMIM素子では、前述のように、下部電極2の側面部に形成する第2の絶縁膜4を用いて、微細パターンのMIM素子を形成している。
【0018】
しかしながら、下部電極2の上部の第1の絶縁膜3も無視できない電気容量値を有している。このため、実際の素子容量値は下部電極2側面部と上部との合成容量値として考える必要がある。
【0019】
ところで従来のラテラルMIM素子では、図4に示すように、上部電極5と下部電極2との重なり領域では、下部電極2の一方の辺に数μmの寸法のオーバーラップ領域を設けている。
【0020】
しかしながら、上部電極5のパターンを形成するためのフォトリソグラフィー処理でアライメントずれが発生したときには、下部電極2に対してずれた位置に上部電極5が形成されることになる。
【0021】
この結果、上部電極5とオーバーラップする下部電極2の上部のもつ電気容量値は、フォトリソグラフィー処理におけるアライメントのずれ量によって変化してしまう。
【0022】
したがってラテラルMIM素子全体のもつ電気容量値は、フォトリソグラフィー処理のアライメントずれにより異なった値となる。
【0023】
このため、基板1内でMIM素子の電気的特性がばらつき、液晶表示装置の表示品質を劣化させる要因となってしまう。
【0024】
本発明の目的は、フォトリソグラフィー工程に起因する電気容量のばらつきを抑え、液晶表示装置の表示品質の劣化を抑制することが可能な非線形抵抗素子およびその製造方法を提供することである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の非線形抵抗素子およびその製造方法は下記記載の手段を採用する。
【0026】
本発明の非線形抵抗素子は、基板の上に設ける下部電極と、下部電極の上部に設ける第1の絶縁膜と、下部電極の側面部に設け第1の絶縁膜より膜厚の薄い第2の絶縁膜と、下部電極の両側面部から上部に重なるように設ける上部電極とを備えることを特徴とする。
【0027】
本発明の非線形抵抗素子は、基板の上に設ける2つの下部電極と、下部電極の上部に設ける第1の絶縁膜と、下部電極の側面部に設け第1の絶縁膜より膜厚の薄い第2の絶縁膜と、それぞれ下部電極の片側面部から上部に重なるような形状をもち下部電極のほぼ中央部で分離するように設ける上部電極とを備えることを特徴とする。
【0028】
本発明の非線形抵抗素子は、基板の上に設ける下部電極と、下部電極の上部に設ける第1の絶縁膜と、下部電極の側面部に設け第1の絶縁膜より膜厚の薄い第2の絶縁膜と、それぞれ下部電極の片側面部から上部に重なるような形状をもち隣接する2つの下部電極の上面に設ける上部電極とを備えることを特徴とする。
【0029】
本発明の非線形抵抗素子の製造方法は、基板上に下部電極材料と第1の絶縁膜材料とを形成する工程と、フォトリソグラフィーとエッチング処理により下部電極材料と第1の絶縁膜材料とのパターニングを行い下部電極と第1の絶縁膜を形成する工程と、陽極酸化処理を行い下部電極の側面部に第2の絶縁膜を形成する工程と、上部電極材料を形成する工程と、その上部電極材料をフォトリソグラフィーとエッチング処理によりパターニングして上部電極を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0030】
【作用】
本発明のラテラルMIM素子では、上部電極は、下部電極の両側面部から上部に重なるように設けるか、あるいはそれぞれ下部電極の片側面部から上部に重なるような形状をもち下部電極のほぼ中央部で分離するような形状にするか、あるいは隣接する2つの下部電極の上部に2つの上部電極を設ける構造を採用する。
【0031】
このため上部電極のパターニング時のアライメントにずれが生じた場合でも、MIM素子全体のもつ電気容量値を一定に保つことができる。
【0032】
これは、上部電極が下部電極とが完全に重なるパターン形状のときは、上部電極と下部電極との重なり面積は常に一定となるためである。
【0033】
さらに、下部電極の両側面部から上部電極をオーバーラップさせ、下部電極のほぼ中央部で分離するパターンを採用するときでも、片側のオーバーラップが減れば反対側が同じだけ増えることから、合計の重なり面積を一定に保つことができる。
【0034】
隣接する2つの下部電極にまたがった上部電極パターンを採用するときでも同じように、片側が増えれば反対側が減ることから、合計した重なり面積は一定になる。
【0035】
したがって、MIM素子全体の面積も一定となり、電気容量値のばらつきに起因する液晶表示装置の表示品質の劣化を抑制することが可能となる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明の実施例における非線形抵抗素子について、図面を参照にしながら詳細に説明する。
【0037】
まずはじめに本発明の第1の実施例の非線形抵抗素子の構造を、図1と図2とを用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施例における非線形抵抗素子を示す平面図であり、図2は、図1のA−B線における断面を示す断面図である。以下、図1と図2とを交互に参照して説明する。
【0038】
ガラスからなる基板1上に下部電極2を設ける。この下部電極2はタンタル膜で構成する。
【0039】
さらにこの下部電極2の上面に第1の絶縁膜3を設け、さらに下部電極2の側面部に第2の絶縁膜4を設ける。ここで第1の絶縁膜3の膜厚は、第2の絶縁膜4の膜厚より厚くなるように構成する。
【0040】
さらに、酸化インジウムスズ(以下ITOと記載する)膜からなる上部電極5を、下部電極2の上面と側面とを被覆するように設ける。この上部電極5は、画素電極6に接続している。
【0041】
下部電極2の上面に設ける第1の絶縁膜3は窒化シリコン(SiNx)膜で構成し、これに対して下部電極2の側面部に設ける第2の絶縁膜4は酸化タンタル(Ta2 O5 )膜で構成する。
【0042】
そして第1の絶縁膜3の膜厚は、数百〜1000nmの膜厚とし、これに対して第2の絶縁膜4の膜厚は数十nmという膜厚をもつように構成する。さらに下部電極2の側面部は、基板1表面に対して約60゜のテーパー角度を設ける。
【0043】
つぎに本発明の第2の実施例における非線形抵抗素子の構造を、図5と図6とを用いて説明する。図5は、本発明の第2の実施例における非線形抵抗素子を示す平面図であり、図6は、図5のE−F線における断面を示す断面図である。以下、図5と図6とを交互に参照して説明する。
【0044】
ガラスからなる基板1に上に下部電極2を設ける。この下部電極2はタンタル膜で構成する。
【0045】
さらに、下部電極2の上面に窒化シリコン膜からなる第1の絶縁膜3を設け、さらに下部電極2の側面部に酸化タンタル膜からなる第2の絶縁膜4を設ける。
【0046】
さらに、下部電極2の側面部と上面とに、その両側の側面部から被覆し、下部電極2のほぼ中央部で分離するITO膜からなる上部電極5を設ける。この上部電極5は、画素電極6と接続している。
【0047】
そして第1の絶縁膜3の膜厚は、数百〜1000nmの膜厚とし、これに対して第2の絶縁膜4の膜厚は数十nmという膜厚をもつようにする。
【0048】
つぎに本発明の第3の実施例における非線形抵抗素子の構造を、図7を用いて説明する。図7は、本発明の第3の実施例における非線形抵抗素子を示す平面図である。
【0049】
下部電極2の上面と側面部とにそれぞれ設ける第1の絶縁膜と第2の絶縁膜との構成は、第1と第2の実施例と同じ構成にする。
【0050】
第1と第2の実施例と、この第3の実施例との相違点は、画素電極6と接続する上部電極5のパターン形状が異なる点である。
【0051】
すなわち図7に示すように、一つの画素電極6の両側にそれぞれ接続する二つの上部電極5を、隣接する二つの下部電極2の上面に設ける。そして一つの下部電極2上に設ける二つの上部電極5同士が突き当たらないように、それぞれの位置をずらすようにする。
【0052】
上部電極5の平面パターン形状が図6に示すような構造にする以外の構造は、第1と第2の実施例と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0053】
つぎに以上説明した本発明の第1から第3の実施例における非線形抵抗素子の構造を形成するための製造方法を、図8から図12の断面図を用いて説明する。なお以下に説明する製造方法の記載は、第1から第3の実施例のいずれに適用する場合にもほとんど同じであり、図5と図6とに示す非線形抵抗素子の構造を代表例にして説明する。
【0054】
まずはじめに図8に示すように、ガラスからなる基板1上に下部電極2材料として、タンタル膜を100nmから200nmの膜厚で形成する。このタンタル膜はスパッタリング法により形成する。
【0055】
その後、下部電極2材料であるタンタル膜上に、第1の絶縁膜3として窒化シリコン(SiNx)膜を数百nmから1000nmの膜厚で形成する。なおこの窒化シリコン膜は、スパッタリング法あるいは化学気相成長(CVD)法により形成する。
【0056】
その後、第1の絶縁膜3上の全面に回転塗布法により感光性樹脂を形成し、所定のフォトマスクを用いて露光処理と現像処理とを行う、フォトリソグラフィー処理により感光性樹脂を、図5に示す下部電極2の形状にパターニングする。
【0057】
つぎに図9に示すように、パターニングした感光性樹脂をエッチングマスクとして用いて、窒化シリコン膜からなる第1の絶縁膜3と、タンタル膜からなる下部電極3とを、エッチング処理してパターニングする。
【0058】
この下部電極2と第1の絶縁膜3とのエッチングは、反応性イオンエッチング装置を用い、さらにエッチングガスとして四フッ化炭素(CF4 )を用いるドライエッチングにより行う。
【0059】
このドライエッチング処理により、基板1表面に対しておよそ60゜のテーパ角度をもつ下部電極2と第1の絶縁膜3とを形成することができる。
【0060】
つぎに図10に示すように、クエン酸溶液を陽極酸化液として用いる陽極酸化処理により、下部電極2の側面部に第2の絶縁膜4を形成する。
【0061】
この結果、下部電極2の側面部に酸化タンタル(Ta2 O5 )膜からなる第2の絶縁膜4を形成することができる。
【0062】
この陽極酸化処理では、下部電極2の上部は第2の絶縁膜3によって覆われているため、下部電極2の側面部のみが陽極酸化されて、第2の絶縁膜4を形成することができる。このとき第2の絶縁膜4の膜厚が数十nmになるように陽極酸化電圧を選択する。
【0063】
つぎに図11に示すように、上部電極5材料として全面にITO膜をスパッタリング法により形成する。
【0064】
つぎに図12に示すように、フォトリソグラフィー処理とエッチング処理とを行いITO膜をパターニングし、その中央部で分離する上部電極5を形成する。このITO膜のエッチングは、塩酸と塩化鉄との混合溶液を用いるウエットエッチングによって行う。
【0065】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明の非線形素子の構造と製造方法によれば、比較的ゆるいアライメント精度でも、基板全体にわたって電気容量値が一定のラテラルMIM素子を作成することができる。したがって基板内でのMIM素子の特性ばらつきを抑えることができ、より均一な表示品質を有する液晶表示装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例における非線形抵抗素子の構成を示す平面図である。
【図2】 本発明の実施例における非線形抵抗素子の構成を示す断面図である。
【図3】 従来例における非線形抵抗素子の構成を示す平面図である。
【図4】 従来例における非線形抵抗素子の構成を示す断面図である。
【図5】 本発明の実施例における非線形抵抗素子の構成を示す平面図である。
【図6】 本発明の実施例における非線形抵抗素子の構成を示す断面図である。
【図7】 本発明の実施例における非線形抵抗素子の構成を示す平面図である。
【図8】 本発明の実施例における非線形抵抗素子の製造方法を示す断面図である。
【図9】 本発明の実施例における非線形抵抗素子の製造方法を示す断面図である。
【図10】 本発明の実施例における非線形抵抗素子の製造方法を示す断面図である。
【図11】 本発明の実施例における非線形抵抗素子の製造方法を示す断面図である。
【図12】 本発明の実施例における非線形抵抗素子の製造方法を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 下部電極
3 第1の絶縁膜
4 第2の絶縁膜
5 上部電極
6 画素電極
Claims (1)
- 基板上に、側方への複数の突き出し部を含む下部電極と、
該下部電極の上部に設ける第1の絶縁膜と、
前記下部電極の両側面にそれぞれ設け前記第1の絶縁膜より膜厚が薄く非線形の電圧−電流特性を持つ第2の絶縁膜と、
同じ下部電極の隣接する突き出し部同士の間に1個ずつ配置した他の電極群を備え、
該他の電極の各々の輪郭の両側に一端が接続され両側の前記突き出し部に向けてそれぞれ張り出す二つの上部電極を設け、
該二つの上部電極は、前記下部電極の本体部からの距離に差をつけ、いずれも前記突き出し部の側面の下端から上面の一部にかけて重なるように設けることにより、下部電極の側面の第2の絶縁膜を通じてのみ電流が流れ、かつ、隣接する二つの他の電極から、それらの中間にある同じ前記突き出し部に向けてそれぞれ張り出す二つの上部電極を、下部電極の本体部からの距離に差のあるもの同士とすることにより、突き出し部上で二つの上部電極がすれ違い方向を向くことを特徴とする非線形抵抗素子。
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JPH08179379A (ja) | 液晶表示装置およびその製造方法 |
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