JP3689900B2 - 医療用成形品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は医療、衛生または医薬品分野で使用されるポリオレフィン系樹脂を主体とする成形品に関し、さらに詳細には輸液・輸血用バッグなどの容器類、シリンジ、輸液セット用チューブ、血液回路用チューブ、カテーテルなどのチューブ類またはそれらの器具の栓などの射出成形部品を含む、治療や保健衛生の用途に使用される器具、またはこれらの用途に使用される装置の各種構成部品、容器類、包装体を含めた医療用成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、医療、保健衛生または医薬品分野で使用されるプラスチック成形品は金属やガラスと異なり、軽量であり、破損しにくいこと、射出成形品やフィルム、チューブなどの様々な形状に加工が可能であること、そして比較的低価格であって、使い捨て用途にも使用できるなどの利点を有するため、数多く使用されている。しかし、他の分野で使用される場合と異なり、プラスチック材料からその原料成分の溶出が少ないなど高い安全性が必要であること、さらに高圧蒸気滅菌、放射線滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌などの滅菌処理に耐えること、そして使用後、廃棄物の処理が容易であることなどの特性が重要である。さらに用途によれば、材料の透明性が良いことも大きな条件となる。
【0003】
例えば、医薬品などを収容する輸液バッグなどの容器類や包装体は、内容物の無菌性を長期に保持できること、そして外部からの衝撃に対して強度や耐衝撃性が必要であり、軽量で、かつ廃棄処理の際にも環境の悪影響を及ぼさないことが要求される。内容物の種類や用途によれば、真空保持性、ガスバリヤ性、水蒸気バリヤ性が必要な場合もある。また、注射剤、輸液製剤など高圧蒸気滅菌を必要とするものを収容する容器には、少なくとも105 ℃以上、好ましくは121 ℃以上の滅菌に耐えうる耐熱性が必要である。
【0004】
従来、これらの用途に用いられてきた材料としては、ポリオレフィン系樹脂、例えばポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体などが主に使用されてきた。
【0005】
また、輸液セット、人工腎臓用血液回路等の回路用チューブ、留置針、各種カテーテルなどに使用されるチューブの場合、医療安全性の他にも用途によって適度な強度と柔軟性、弾性を兼ね備えることが必要である。例えば回路用チューブの場合、透明性、柔軟性や耐キンク性が重要な要件となる。ポンプ用チューブであれば弾性も重要な要素である。心臓血管用カテーテルや血管造影カテーテルなどではカテーテル先端へのトルク伝達性や血管追従性のために適度な剛性と柔軟性が必要である。また動静脈用カテーテルなどの様に血管や生体内に留置して使用する場合は、さらに抗血栓性や生体適合性が要求される。
これらチューブの用途に使用されるプラスチック材料としても、ポリオレフィン系樹脂、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などが主に使用され、エチレン・酢酸ビニル共重合体などが提案されてきた。
【0006】
しかし、これらのポリオレフィン系樹脂では、医療用材料として必要である柔軟性、耐熱性、耐衝撃性、廃棄性のすべてを満たす優れた材料を得ることは困難であった。
【0007】
ポリエチレン系樹脂は一般に耐衝撃性、柔軟性、透明性に優れているが、融点温度が低いため、単独では110℃以上の高圧蒸気滅菌は困難である。そのため、滅菌温度を下げたり、滅菌時間を延ばすことが必要となる。樹脂の密度を上げると耐熱性は向上するが、その反面、透明性や柔軟性を犠牲にしなくてはならない。
【0008】
ポリプロピレン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂に比べて軟化点温度も高く、耐熱性は高いが、弾性率が高いため単独で用いると軟質バッグやフィルム、チューブなどの用途には柔軟性や特に低温における耐衝撃強度が不足する。そのため、他の軟質樹脂やエラストマー樹脂とのブレンドや多層成形品として使用する必要がある。
【0009】
エチレン・酢酸ビニル共重合体は、透明性、柔軟性において優れるが、耐熱性が低く、加熱や滅菌処理によって酢酸成分が溶出する問題もあるため、耐熱性を得るには、別途、電子線を照射して、架橋をおこなう必要がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂が本来有する物性を改良し、剛性、柔軟性を広範囲に調節でき、しかも透明性、耐熱性、耐滅菌性、医療安全性に優れた医療用成形品、特に輸液用バッグなどの容器類、輸液セット用チューブ、血液回路用チューブ、各種カテーテルなどのチューブ類またはそれらの器具の栓などの射出成形部品を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成するために、種々鋭意検討したところ、ポリオレフィン系樹脂に特定組成ならびに物性を有する環状オレフィン系樹脂を混合して使用することを見出し、本発明に到達した。
【0012】
すなわち、本発明はポリオレフィン系樹脂(A)と、鎖状共役ジエンブロック含有量が30〜90重量%である環状共役ジエン/鎖状共役ジエン/環状共役ジエン三元ブロック共重合体の水素化体(B)を、A/Bの重量比が50/50〜95/5 の範囲になるように混合した樹脂を用いて成形されたことを特徴とする医療用成形品である。
【0013】
また、本発明は少なくとも1層が、ポリオレフィン系樹脂(A)と、鎖状共役ジエンブロック含有量が30〜90重量%である環状共役ジエン/鎖状共役ジエン/環状共役ジエン三元ブロック共重合体の水素化体(B)を、A/Bの重量比が50/50〜95/5 の範囲になるように混合した樹脂から成形された多層成型品であることを特徴とする医療用成形品である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明において、ポリオレフィン系樹脂とは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、エチレン・α−オレフィン系共重合体、エチレン・ビニルアルコール系共重合体、エチレン・酢酸ビニル系共重合体、ポリ−4−メチルペンテン−1系樹脂、プロピレン・α−オレフィン系共重合体、またはこれらの中から2種以上組み合わせたブレンド物である。好ましいのは、ポリプロピレン系樹脂である。
【0015】
本発明において、環状共役ジエン/鎖状共役ジエン/環状共役ジエン三元ブロック共重合体とは、環状共役ジエンから構成されるブロック単位数が2個、鎖状共役ジエンから構成されるブロック単位数が1個であり、かつ数平均分子量が10,000〜5,000,000 、好ましくは15,000〜5,000,000 、さらに好ましくは20,000〜3,000,000 である三元ブロック共重合体をいう。数平均分子量が10,000未満であると、著しく脆弱な固体もしくは粘稠な液体になる。また数平均分子量が5,000,000 を越えると、溶融粘度が著しく高くなり、成形が困難となる。数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)から求めた分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.01〜10の範囲であり、好ましくは1.05〜5.0 の範囲である。
【0016】
本発明において、環状共役ジエン単量体としては、炭素−炭素結合により構成される5〜8員環の環状共役ジエン系単量体を含み、例えばシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエンなどが包含され、特に安定な6員環の環状共役ジエン系単量体が好ましく、例えば1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエンなどが例示される。中でも特に好ましいのは1,3−シクロヘキサジエンである。
また、鎖状共役ジエン単量体としては、炭素数3以上の鎖状共役ジエン化合物、例えばイソプレン、1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが例示される。好ましいのはイソプレン、1,3−ブタジエンで、特に好ましいのは1,3−ブタジエンである。
重合体の結合は何れのジエン部分でも良い。例えば1,3−ブタジエンの場合、1,2−結合及び1,4−結合の比率を、重合体の反応条件によって任意に変えることが可能である。
【0017】
環状共役ジエンブロックとは、環状共役ジエン単量体をビニル重合した重合体の構造単位を意味し、例えば、2つの1,3−シクロヘキサジエンの炭素が1,2−結合または1,4−結合された分子構造を有するものがある。
鎖状共役ジエンブロックとは、環状共役ジエン単量体をビニル重合した重合体の構造単位を意味し、例えば、ポリブタジエンおよび/またはポリイソプレンなどがある。重合体の結合は何れのジエン部分でも良い。例えば1,3−ブタジエンの場合、1,2−結合及び1,4−結合の比率を、重合体の反応条件によって任意に変えることが可能である。
該三元ブロック共重合体中、鎖状共役ジエンブロックは、30〜90重量%である。鎖状共役ジエンブロックが30重量%未満であると、ポリオレフィン系樹脂と混合した樹脂からなる成形品は、剛性が高く、柔軟性、弾性に乏しいうえ、バッグ、チューブなど医療用成形品としての使用が困難になる。また90重量%を越えると、耐熱性など環状共役ジエンブロックの効果が十分に発揮出来ない場合もあり、好ましいとは言えない。
【0018】
本発明において、環状共役ジエン/鎖状共役ジエン/環状共役ジエン三元ブロック共重合体は、炭素−炭素不飽和結合部分の一部または全てを水素化することによって飽和させる必要がある。
水素化は、環状共役ジエン/鎖状共役ジエン/環状共役ジエン三元ブロック共重合体を得た後、水素化反応を行う。
水素化反応は、通常、重合反応が終わった重合体溶液を水素又は不活性ガス雰囲気下で所定の温度に保持し、攪拌下もしくは不攪拌下で水素化触媒を添加し、次いで水素ガスを導入して所定圧に加圧することによって実施される。
【0019】
水素化反応に使用する有機金属触媒の例としては、例えばメチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、i−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ペンチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、シクロペンタジエニルリチウムなどのアルキルリチウム、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウムなどのアルキルマグネシウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウムなどのアルキルアルミニウムが挙げられる。
【0020】
水素化は、鎖状共役ジエンブロックのみ、または環状共役ジエンブロックおよび鎖状共役ジエンブロックの両方を水素化する場合があり、好ましくは両方を水素化した完全水素化体である。
水素化率は、三元ブロック共重合体中の主鎖に存在する炭素−炭素不飽和結合に対して、少なくとも90%である。水素化率が90%未満であると、不飽和結合部分が増加するため、滅菌や成形時の耐熱性や耐候性が低下する傾向がある。
【0021】
環状共役ジエン/鎖状共役ジエン/環状共役ジエン三元ブロック共重合体の製造法として、特に好ましいものは、WO95/21202、WO95/21217、特開平 7-247323 号公報、特開平 7-258362 号公報、特開平 7-258362 号公報、特開平 8-225614 号公報、特開平 8-225616 号公報、特開平 9-100388 号公報などに記載される方法がある。
具体的にはn−ブチルリチウムなど周期律表の1A族の金属を含有する有機金属化合物に錯化剤、好ましくはアミン類を反応させることにより作製した有機金属錯体化合物を重合触媒として用いてリビングアニオン重合を行い、必要に応じて得られた重合体を水素化する。このリビングアニオン重合により、任意の分子量や分子量分布を有する重合体を得ることが可能である。
【0022】
重合反応には、まず環状共役ジエン単量体を重合して環状共役ジエンホモポリマーを得た後、該ホモポリマーに鎖状共役ジエン単量体を共重合させ、次いで、環状共役ジエン単量体を共重合させる方法の他、環状共役ジエンブロックと鎖状共役ジエンのジブロック共重合体を、鎖状共役ジエンブロック末端部同士のカップリング反応を行い三元共重合化する方法もある。
【0023】
本発明の三元ブロック共重合体には、必要により、炭素数5〜8の他の飽和環状オレフィン、例えばシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどを若干共重合させてもよい。また、本発明の三元ブロック共重合体には、必要により、炭素数2〜8のα−オレフィン、例えばエチレン、n−プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、イソブチレン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテンなどを若干共重合させてもよい。
【0024】
さらに、本発明の三元ブロック共重合体は、官能基や該官能基を有する有機化合物残基を部分的に付加することにより、変性化して使用することもできる。該付加方法はリビングアニオン重合を行い、高分子末端(片末端、両末端等)に付加する方法を使用できる。官能基または該官能基を有する有機化合物残基の付加量は、変性環状分子構造単位を含有する重合体に対し、一般に0.1 〜20重量%の範囲が好ましい。官能基の一例としては、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、ジメチルアミド、ジエチレンアクリルアミドなどがあり、極性官能基を有するポリアミドやエチレン・ビニルアルコール系共重合体などとのブレンドや多層化に有用である。これらの官能基または官能基を有する有機化合物は、1種または2種以上であってもよい。
【0025】
本発明の樹脂は、ポリオレフィン系樹脂(A)と鎖状共役ジエンブロック含有量が30〜90重量%である環状共役ジエン/鎖状共役ジエン/環状共役ジエン三元ブロック共重合体の水素化体(B)を、A/Bの重量比が50/50〜95/5 の範囲になるように混合したものである。
三元ブロック共重合体の水素化体(B)が50重量%を超えると、特に鎖状共役ジエンの量が50重量%を超えるとエラストマーになり、主成分であるポリオレフィン系材料の利点が生かせなくなったり、粘着性が高くなり成型品同士のブロッキング現象が起きたり、また剛性が低くバッグやチューブを作製するには強度が不十分な場合が生じる。
また、5 重量%未満であると、三元ブロック共重合体の柔軟性、耐熱性向上という特性が発揮されない。
【0026】
本発明の成形品を成形加工するために、従来公知の熱安定性、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を使用する。一般に、樹脂100 重量%に対して、0.001 〜10重量%である。これらは重合反応後の精製時に添加してもよいし、加工時に添加してもよい。
形成品の用途や加工条件に応じて、本発明の条件範囲内であれば、滑剤、耐ブロッキング剤、帯電防止剤、顔料、抗菌剤等の添加剤を使用できる。
【0027】
本発明の医療用成形品を製造する方法としては、押出し成形(チューブ成形、インフレーション成形、Tダイ成形など)、ブロー成形、射出成形、真空成形、圧縮成形、カレンダー成形、溶液キャスト法などがある。
本発明の医療用成形品の形態は、フィルム、シート、チューブ、バッグまたは射出成形品であり、輸血用、輸液用、採血用、体外循環用、医薬品である粉体または液体の搬送用、医薬品収容用、医薬品等の廃液収容用の器具、または医薬品や器具の包装体として使用する。
【0028】
本発明の別な実施形態では、少なくとも1層が、ポリオレフィン系樹脂(A)と、鎖状共役ジエンブロック含有量が30〜90重量%である環状共役ジエン/鎖状共役ジエン/環状共役ジエン三元ブロック共重合体の水素化体(B)を、A/Bの比率が50/50〜95/5 の範囲になるように混合した樹脂から成形された多層成形品であることを特徴とする医療用成形品がある。
【0029】
本発明の多層成形品は2層または3層以上からなる。多層成形法としては、共押出成形、ドライラミネート成形、ラミネートコーティングなどが使用できる。多層成形品の厚さは、全体として0.01〜10mmの範囲であり、各層に使用する樹脂の種類、組成および層の厚さは用途によって任意に調節出来る。
【0030】
本発明の多層成形品としては、例えば、輸液バッグなどの軟質容器や回路用チューブなど柔軟性、弾性を重視する場合、少なくとも中間層に柔軟性の高い環状共役ジエン/鎖状共役ジエン/環状共役ジエン三元ブロック共重合体の水素化体を使用するのが効果的である。この場合、ブタジエンブロック含有量は、30〜90重量%であることが必要であるが、好ましくは50重量%〜80重量%である。
【0031】
多層成形品の形態は、フィルム、チューブ、シート、バッグ、または栓などの射出成形部品あり、輸血用、輸液用、採血用、体外循環用、粉体または液体である医薬品の搬送用、医薬品収容用、医薬品等の廃液収容用の器具、または医薬品や器具の包装体として使用する。
【0032】
【実施例】
次に実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。
(参考例)三元ブロック共重合体の作製と評価
1)シクロヘキサジエン−ブタジエン−シクロヘキサジエン三元ブロック共重合体(重量比がCHD/Bd/CHD=15/70/15)の作製
まず、攪拌機付き5L高圧オートクレーブ反応器内部を十分乾燥して窒素置換を行った。そこへ重合溶媒としてシクロヘキサン2,700 gをオートクレーブ内に入れ、室温に保持した。次いでn−ブチルリチウムをリチウム原子換算として30mmol添加し、更にN,N,N',N',−テトラメチルエチレンジアミン37.5mmolを添加した後、室温で約10分間撹拌した。
次に1,3−シクロヘキサジエン(CHD)45gをオートクレーブ内に導入し、40℃で1時間重合反応を行った。次いでブタジエン(Bd)の30wt%シクロヘキサン溶液700 g(Bd210g)をオートクレーブ内に入れ、40℃で3時間重合反応を行い、CHD−Bd二元ブロック共重合体を得た。
さらに、1,3−シクロヘキサジエン(CHD)45gをオートクレーブ内に入れ、40℃で3時間重合反応を行った。
重合反応終了後、別の(常法に従い十分に乾燥した)5L高圧オートクレーブに重合反応液を圧送し、リチウム原子と等モルの脱水n−ヘプタノールを添加して重合反応を停止させた。
重合体溶液に常法に従い酸化防止剤ブチルヒドロキシトルエンを添加した後、大量のメタノールにて脱溶媒操作を行い、CHD−Bd−CHD三元ブロック共重合体を得た。
【0033】
上記製法により得られた三元ブロック共重合体は、 1H−NMR(JEOL社製NMR装置、JEOLα−400、測定周波数400MHz)による測定の結果、ポリシクロヘキサジエンブロック(PCHD)およびポリブタジエンブロック(PBd)の1,2−結合/1,4−結合モル比が各々1/1および3/1であった。
【0034】
2)CHD−Bd−CHD三元ブロック共重合体の水素化
攪拌機付き4L高圧オートクレーブの内部を乾燥させ、常法に従い窒素置換を行った。そして溶媒シクロヘキサン1,000 gをオートクレーブ内に入れ、窒素雰囲気下、70℃に保持した。次に重合体の10wt%シクロヘキサン溶液1,000 gをオートクレーブ内に入れ、パラジウム(Pd)5wt %をアルミナ(Al2O3 )に担持した固定触媒10gを添加した。オートクレーブ内を水素で置換した後、160 ℃まで昇温した。更に水素圧を55kG/cm2Gとして6時間水素化反応を行った。
水素化反応終了後、オートクレーブ内を常温まで冷却し、常圧まで落圧した後に内部を窒素置換した。重合体溶液に常法に従い酸化防止剤ブチルヒドロキシトルエンを添加した後、大量のメタノールにて脱溶媒操作を行い、水素化CHD−Bd−CHD三元ブロック共重合体の水素化体を得た。
上記製法により得られた三元ブロック共重合体の水素化体は、 1H−NMR(JEOL社製NMR装置、JEOLα−400、測定周波数400MHz)による測定の結果、水素化率は100 %であった。
【0035】
3)三元ブロック共重合体及びその水素化体の評価
上記三元ブロック共重合体および該共重合体の水素化体について、下記方法により数平均分子量、密度、曲げ弾性率、硬度を測定した。その結果を表1に示す。
(a)数平均分子量
東ソー(株)社製の液体クロマトグラフ(HLC−8082)を使用し、昭和電工(株)社製カラム(ショウデックス:K805+K804K802)を用いて、G.P.C(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により測定した標準ポリスチレン換算の値を示した。
(b)密度
東洋精機(株)社製の自動比重計(D−H)を使用し、JIS K−6258に従い密度を測定した。
(c)曲げ弾性率
島津製作所(株)社製の引張り試験機(AG−500D)を使用し、ASTMD790に準じて曲げ弾性率を測定した。
(d)硬度測定
テクロック(株)社製、ゴム硬度計(GS−706)を用い、JIS K6301に従い、JIS−A硬度を測定した。
【0036】
【表1】
Figure 0003689900
【0037】
また本発明の成型品作製及び比較例として使用するために、表2に示す樹脂を用意し、同様の測定を行った。
【0038】
【表2】
Figure 0003689900
【0039】
(実施例1)単室容器の作製と評価
1)ブレンド樹脂の作製
参考例で得られた三元ブロック共重合体と、ポリオレフィン系樹脂とを二軸溶融押出機を用い、250 〜280 ℃の温度で溶融混合した後、ペレタイズして表3に示すようなブレンド樹脂ペレットを作製した。
【0040】
【表3】
Figure 0003689900
【0041】
2)フィルムの作製
表3に示したブレンド樹脂を用いて、単層または3種3層の共押出Tダイ成形機により、温度160 〜250 ℃の条件で、厚さ200 μm、幅200mm の単層フィルムまたは3層フィルムを作製した。フイルム構成を表4に示した。
【0042】
【表4】
Figure 0003689900
【0043】
3)単室容器の作製
上記方法により作製した単層フイルムまたは3層フィルムを幅200 ×長さ400mm の大きさにカットし、2枚を本発明の樹脂が互いに内面になるようにして重ね合わせ、周囲3方の端を幅10mm、温度180 〜230 ℃で熱溶着し、バッグを作製した。バッグ中に1,000ml の蒸留水を充填し、熱溶着して密封して単室容器を作製した。これらの単室容器を、温度121 ℃、ゲージ圧1.5kg /cm2 、30分間の条件において高圧蒸気滅菌を行い、室温まで自然冷却して、単室容器とした。
【0044】
4)単室容器の評価
高圧蒸気滅菌後の単室容器について、下記試験を行った。
(a)外観
単室容器の外観を観察した。本発明の単室容器は、高圧蒸気滅菌後も著しい変形や着色等の変化は見られず、耐熱性に優れていることが示された。
しかし、従来のポリオレフィン系樹脂同をブレンドした、線状低密度ポリエチレンが主成分である容器(比較例3)は完全に破袋した。
【0045】
(b)医療安全性評価
上記高圧蒸気滅菌に耐えられない比較例3のサンプル以外について、日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験法による、ポリエチレン製叉はポリプロピレン製水性注射剤容器基準で溶出物試験を行った。その結果を表5に示す。
【0046】
(c)引張弾性率測定
島津製作所(株)社製のオートグラフ(AG−500D)を使用し、JIS K7113に従い、引張弾性率を測定した。その結果を表6に示す。
【0047】
(d)フイルム透明性試験
日立製作所(株)社製の分光光度計(U−3210)を使用し、第13改正日本薬局方「プラスチック製医薬品容器試験法」に従い、水中における波長450nmの光線透過率を評価した。その結果表6に示す。
【0048】
【表5】
Figure 0003689900
【0049】
表5に示す通り、本発明の単室容器は全て合格した。一方、比較例4の非水素化体を混合したポリオレフィン系樹脂を用いたフイルムは、合格しなかった。
【0050】
【表6】
Figure 0003689900
【0051】
表6に示すように、本発明の単室容器は高圧蒸気滅菌後も従来のポリオレフィン系樹脂のみを使用した容器(比較例1、2)より高い柔軟性、および比較例と同等以上の高い透明性を得ることが示された。
しかし非水素化体を混合したポリオレフィン系樹脂を使用した比較例4では、滅菌後の透明性の低下が顕著であった。
【0052】
以上の結果から、本発明の三元ブロック共重合体の水素化体をブレンドすることにより、耐熱性、柔軟性、さらに透明性のすべての要素に富んだフィルムが得られることがわかる。
【0053】
(実施例2)チューブの作製と評価
1)多層チューブの作製
回路用チューブの例として、表7に示した組成の樹脂を使用し、単層チュ−ブ押出成形機、または3種3層共押出成形機によって、温度160 〜250 ℃の条件で内径4.0mm の多層チューブを作製した。
【0054】
【表7】
Figure 0003689900
【0055】
2)高圧蒸気滅菌処理
作製したチューブの耐滅菌性評価のため、温度121 ℃、ゲージ圧1.5kG /cm2 、30分間の条件において高圧蒸気滅菌処理を行い、室温まで放置冷却した。
【0056】
3)チューブの評価
(a)外観
本発明フイルムを用いたチューブサンプルは、何れの滅菌後も著しい変形や着色等の変化は見られず、耐滅菌性に優れていることが示された。
【0057】
(b)引張弾性率測定
島津製作所(株)社製のオートグラフ(AG−500D)を使用し、JIS K7113に従い、引張弾性率を測定した。その結果を表8に示す。
【0058】
【表8】
Figure 0003689900
【0059】
本発明の樹脂で作製したチューブは高圧蒸気滅菌後も、比較例5の従来のポリオレフィン系樹脂(PPC)より高い、軟質ポリ塩化ビニル樹脂と同等の柔軟性を得ることが示された。
【0060】
以上の結果から、従来のポリオレフィン系樹脂に三元ブロック共重合体の水素化体をブレンドすることにより、従来のポリオレフィン系樹脂では得られなかった、柔軟性と、高圧蒸気滅菌に耐えられる耐熱性を兼ね備えた性質を持つ医療用チューブを作製することが可能であることが示された。
【0061】
【発明の効果】
本発明の医療用成形品は、ポリオレフィン系樹脂(A)と、鎖状共役ジエンブロック含有量が30〜90重量%である環状共役ジエン/鎖状共役ジエン/環状共役ジエン三元ブロック共重合体の水素化体から成形され、柔軟性、透明性と、滅菌後もポリオレフィン樹脂と同等の性質を維持できるような耐熱性を兼ね備えた医療用成形品である。このような性質を有することにより、本発明の成形品は、フィルム、シート、チューブ、バッグなど、輸血用、輸液用、採血用、体外循環用、粉体または液体である医薬品の搬送用、医薬品収容用、医薬品等の廃液収容用の器具、またはこれらの器具や医薬品の包装体として使用することが可能である。

Claims (14)

  1. ポリオレフィン系樹脂(A)と、鎖状共役ジエンブロック含有量が30〜90重量%である環状共役ジエン/鎖状共役ジエン/環状共役ジエン三元ブロック共重合体の水素化体(B)を、A/Bの重量比が50/50〜95/5 の範囲になるように混合した樹脂を用いて成形されたことを特徴とする医療用成形品。
  2. 環状共役ジエン単量体が、炭素−炭素結合により構成される5〜8員環の環状共役ジエン系単量体である請求項1記載の医療用成形品。
  3. 鎖状共役ジエン単量体が、ブタジエンである請求項1記載の医療用成形品。
  4. 環状共役ジエン/鎖状共役ジエン/環状共役ジエン三元ブロック共重合体の水素化率が、少なくとも90%である請求項1記載の医療用成形品。
  5. ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、エチレン・α−オレフィン系共重合体、エチレン・ビニルアルコール系共重合体、エチレン・酢酸ビニル系共重合体、ポリ−4−メチルペンテン−1系樹脂、プロピレン・α−オレフィン系共重合体、またはこれらの中から2種以上組み合わせたブレンド物である請求項1〜4のいずれかに記載の医療用成形品。
  6. 成形品の形態が、フィルム、シート、チューブ、バッグであり、輸血用、輸液用、採血用、体外循環用、粉体または液体である医薬品の搬送用、医薬品収容用、医薬品等の廃液収容用の器具、またはこれらの器具や医薬品の包装体として使用する請求項1〜5のいずれかに記載の医療用成形品。
  7. 少なくとも1層が、ポリオレフィン系樹脂(A)と、鎖状共役ジエンブロック含有量が30〜90重量%である環状共役ジエン/鎖状共役ジエン/環状共役ジエン三元ブロック共重合体の水素化体(B)を、A/Bの重量比が50/50〜95/5 の範囲になるように混合した樹脂から成形された多層成形品であることを特徴とする医療用成形品。
  8. 環状共役ジエン単量体が、炭素−炭素結合により構成される5〜8員環の環状共役ジエン系単量体である請求項7記載の医療用成形品。
  9. 鎖状共役ジエン単量体が、ブタジエンである請求項7記載の医療用成形品。
  10. 環状共役ジエン/鎖状共役ジエン/環状共役ジエン三元ブロック共重合体の水素化率が、少なくとも90%である請求項7記載の医療用成形品。
  11. ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、エチレン・α−オレフィン系共重合体、エチレン・ビニルアルコール系共重合体、エチレン・酢酸ビニル系共重合体、ポリ−4−メチルペンテン−1系樹脂、プロピレン・α−オレフィン系共重合体、またはこれらの中から2種以上組み合わせたブレンド物である請求項7〜10のいずれかに記載の医療用成形品。
  12. 多層成形品が2層からなる請求項7記載の医療用成形品。
  13. 多層成形品が3層以上からなる請求項7記載の医療用成形品。
  14. 多層成形品の形態が、フィルム、シート、チューブ、バッグであり、輸血用、輸液用、採血用、体外循環用、粉体または液体である医薬品の搬送用、医薬品収容用、医薬品等の廃液収容用の器具、またはこれらの器具や医薬品の包装体として使用する請求項7〜13のいずれかに記載の医療用成形品。
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