JP3689677B2 - 画像形成装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電体に通電処理を施すことにより、該導電体に電子放出機能を付与する画像形成装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子放出素子としては、大別して熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子を用いた2種類のものが知られている。冷陰極電子放出素子には、電界放出型、金属/絶縁層/金属型や表面伝導型電子放出素子等がある。
【0003】
表面伝導型電子放出素子は基板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に並行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものである。
【0004】
本出願人は、新規な構成を有する表面伝導型電子放出素子とその応用に関し、多数の提案を行っている。その基本的な構成、製造方法などは、例えば特開平7−235255号公報、特開平8−171849号公報などに開示されている。
【0005】
表面伝導型電子放出素子は、基板上に、対向する一対の素子電極と、該一対の素子電極に接続されその一部に電子放出部を有する導電性膜とを有してなることを特徴とするものである。また、上記導電性膜の一部には亀裂が形成されている。また、上記亀裂の端部には、炭素または炭素化合物の少なくとも一方を主成分とする堆積膜が形成されている。
【0006】
このような電子放出素子を基板上に複数個配置し、各電子放出素子を配線で結ぶことにより、複数個の表面伝導型電子放出素子を備える電子源を作成することができる。
【0007】
また、上記電子源と蛍光体基板とを組み合わせることにより、画像形成装置の表示パネルを形成することができる。
【0008】
従来、このような電子源の製造は以下のように行われていた。
【0009】
即ち、第1の製造方法としては、まず、基板上に、導電性膜及び該導電性膜に接続された一対の素子電極からなる素子を複数と、該複数の素子を接続した配線とが形成された電子源基板を作成する。次に、作成した電子源基板全体を真空チャンバ内に設置する。次に、真空チャンバ内を排気した後、外部端子を通じて上記各素子に電圧を印加し各素子の導電性膜に亀裂を形成する(以下、各素子の導電性膜に亀裂を形成することをフォーミング処理と記す)。更に、該真空チャンバ内に有機物質を含む気体を導入し、有機物質の存在する雰囲気下で前記各素子に再び外部端子を通じて電圧を印加し、該亀裂近傍に炭素あるいは炭素化合物を堆積させる(以下、該亀裂近傍に炭素あるいは炭素化合物を堆積させることを活性化処理と記す)。
【0010】
また、第2の製造方法としては、まず、基板上に、導電性膜及び該導電性膜に接続された一対の素子電極からなる素子を複数と、該複数の素子を接続した配線とが形成された電子源基板を作成する。次に、作成した電子源基板と蛍光体が配置された基板とを支持枠を挟んで接合して画像表示装置のパネルを作成する。その後、該パネル内をパネルの排気管を通じて排気し、パネルの外部端子を通じて上記各素子に電圧を印加し各素子の導電性膜に亀裂を形成する(フォーミング処理)。更に、該パネル内に該排気管を通じて有機物質を含む気体を導入し、有機物質の存在する雰囲気下で前記各素子に再び外部端子を通じて電圧を印加し、該亀裂近傍に炭素あるいは炭素化合物を堆積させる(活性化処理)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上の製造方法が採られていたが、第1の製造方法は、とりわけ、電子源の基板が大きくなるに従い、より大型の真空チャンバ及び高真空対応の排気装置が必要になる。
【0012】
また、第2の製造方法は、画像形成装置のパネル内空間は非常に狭く(表面伝導型電子放出素子を用いたパネルでは通常数mm程度)、このようなパネルからの排気及び該パネル内空間への有機物質を含む気体の導入には長時間を要する。
【0013】
そこで本発明は、大型の真空チャンバ及び高真空対応の排気装置を用いることなく、且つ、製造スピードを向上せしめ量産性に適した電子源の製造方法、及びその製造装置を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、電子源と蛍光体等の画像形成部材を有する基板とで真空気密を保持して構成される画像形成装置の製造スピードを向上せしめ、量産性に適した画像形成装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
さらに、本発明は、大型の真空チャンバ及び高真空対応の排気装置を用いることなく、例えば既に任意の機能が付与された導電体の当該機能の検査等を行うために、当該導電体に気密雰囲気下で通電を行う通電方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく成された本発明の構成は、以下の通りである。
【0017】
即ち、本発明は、導電体が配置された第1の基板上に、前記導電体の一部分を除いて当該導電体を囲むように、第1の気密部材を固設する工程と、
前記第1の気密部材上に、導電体の前記一部分を除いて当該導電体を覆うように容器を当接させ、前記第1の基板と前記容器とで気密雰囲気を形成する工程と、
導電体の前記一部分から通電を行い、前記容器にて覆われた導電体の一部に電子放出機能を付与する工程と、
前記容器を前記第1の基板から取り外す工程と、
画像形成部材が配置された第2の基板を、第1の基板の前記第1の気密部材上で接合せしめる接合工程と、
を有することを特徴とする画像形成装置の製造方法である。
【0018】
上記本発明の画像形成装置の製造方法は、好ましい実施形態として、「前記導電体は、配線と、当該配線に接続された電子放出部が形成される導電性膜とを有すること」、「前記導電性膜を複数有すること」、「前記複数の導電性膜は、前記配線にてマトリクス状に接続されていること」、「前記通電は、減圧雰囲気下で行われること」、「前記通電は、還元ガス雰囲気下で行われること」、「前記還元ガスは水素であること」、「前記通電は、有機物質の存在する雰囲気下で行われること」、「前記通電は、還元ガス雰囲気下での第1通電工程と有機物質の存在する雰囲気下での第2通電工程とを有すること」、「前記容器は、気体の導入口と気体の排気口を有する容器であること」、「前記第1の気密部材は、フリットガラスであること」、「前記第1の気密部材は、接着剤とこれにより前記第1の基板上に接着され配置された支持枠であること」、「前記接着剤はフリットガラスであること」、「前記接着剤はインジウム若しくはその合金であること」、「前記第1の気密部材と前記容器との間に、第2の気密部材を配置すること」、「前記第2の気密部材として、有機系弾性体を用いること」、「前記接合工程は、前記第1の気密部材と前記第2の基板との間に、第3の気密部材を配置して行われること」、「前記容器を前記第1の基板から取り外す工程の後であって、前記接合工程の前に、前記第1の気密部材のクリーニングを行うクリーニング工程を有すること」、「前記クリーニング工程において、MEK(メチルエチルケトン)を用いること」、「前記クリーニング工程において、HFE(ハイドロフルオロエーテル)を用いること」、「前記クリーニング工程において、MEK(メチルエチルケトン)とHFE(ハイドロフルオロエーテル)を用いること」、「前記第3の気密部材として、第2の接着剤を用いること」、「前記第2の接着剤はフリットガラスであること」、「前記第2の接着剤はインジウム若しくはその合金であること」、を含むものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好ましい実施態様を示す。
【0025】
本発明の電子源の製造方法は、基板上に配置された導電体に、気密雰囲気下で通電を行い、当該導電体の一部に電子放出機能を付与し電子放出素子とするものである。
【0026】
本発明に適用し得る電子放出素子は、特に前述したような表面伝導型電子放出素子が好適である。このため、以下では表面伝導型電子放出素子を例に挙げて説明する。
【0027】
導電体に通電処理を施すことにより表面伝導型電子放出素子とする場合、かかる導電体としては、例えば一対の電極間に導電性膜を有する素子を用いることができる。
【0028】
図4は、本発明に適用し得る表面伝導型電子放出素子の一構成例を示す模式図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は図4(a)中のA−A’面における断面図である。図4において、10は基板(基体)、2と3は電極(素子電極)、4は導電性膜、29は炭素膜、5は炭素膜29の間隙、Gは導電性膜4の間隙である。
【0029】
基板10としては、石英ガラス、Na等の不純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、青板ガラスにスパッタ法等によりSiO2を積層した積層体、アルミナ等のセラミックス及びSi基板等を用いることができる。
【0030】
対向する素子電極2,3の材料としては、一般的な導体材料を用いることができ、例えばNi、Cr、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等の金属或は合金及びPd、Ag、Au、RuO2、Pd−Ag等の金属或は金属酸化物とガラス等から構成される印刷導体、In23−SnO2等の透明導電体及びポリシリコン等の半導体導体材料等から適宜選択される。
【0031】
素子電極間隔、素子電極長さ、導電性膜4の幅及び厚さ等は、応用される形態等を考慮して、設計される。素子電極間隔は、好ましくは、数百nmから数百μmの範囲とすることができ、より好ましくは、素子電極間に印加する電圧等を考慮して数μmから数十μmの範囲とすることができる。
【0032】
素子電極長さは、電極の抵抗値、電子放出特性を考慮して、数μmから数百μmの範囲とすることができる。素子電極2,3の膜厚は、数十nmから数μmの範囲とすることができる。
【0033】
尚、図4に示した構成だけでなく、基板10上に、導電性膜4、対向する素子電極2,3の順に積層した構成とすることもできる。
【0034】
導電性膜4を構成する主な材料としては、例えばPd,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金属、PdO,SnO2,In23,PbO,Sb23等の酸化物、HfB2,ZrB2,LaB6,CeB6,YB4,GdB4等の硼化物、TiC,ZrC,HfC,TaC,SiC,WCなどの炭化物、TiN,ZrN,HfN等の窒化物、Si,Ge等の半導体、カーボン等が挙げられる。
【0035】
導電性膜4には、良好な電子放出特性を得るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが好ましい。その膜厚は、素子電極2,3へのステップカバレージ、素子電極2,3間の抵抗値及び後述するフォーミング条件等を考慮して適宜設定される。この導電性膜4の膜厚は、好ましくは数Åから数百nmであり、その抵抗値Rsが、102〜107Ω/□の抵抗値を示す膜厚で形成したものが好ましく用いられる。なおRsは、幅がwで長さがlの薄膜の、長さ方向に測定した抵抗Rを、R=Rs(l/w)と置いたときの値である。上記抵抗値を示す膜厚はおよそ5nmから50nmの範囲にあり、この膜厚範囲において、それぞれの材料の薄膜は微粒子膜の形態を有している。ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子が集合した膜であり、その微細構造は、微粒子が個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣接、あるいは重なり合った状態(いくつかの微粒子が集合し、全体として島状構造を形成している場合も含む)をとっている。微粒子の粒径は、数Åから数百nmの範囲、好ましくは、1nmから20nmの範囲である。
【0036】
図4に示した構成の表面伝導型電子放出素子の製造方法の一例を説明する。
【0037】
1)基板10を洗剤、純水及び有機溶剤等を用いて十分に洗浄した後、真空蒸着法、スパッタ法等により素子電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィー技術を用いて基板10上に素子電極2,3を形成する。
【0038】
2)素子電極2,3を設けた基板10上に、有機金属溶液を塗布して、有機金属膜を形成する。有機金属溶液には、前述の導電性膜4の材料の金属を主元素とする有機化合物の溶液を用いることができる。有機金属膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチング等によりパターニングし、金属酸化物からなる導電性膜4を形成する。ここでは、有機金属溶液の塗布法を挙げて説明したが、導電性膜4の形成法はこれに限られるものではなく、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分散塗布法、ディッピング法、スピンナー法等を用いることもできる。
【0039】
3)続いて、フォーミング工程を施す。素子電極2,3間に、不図示の電源より通電すると、導電性膜4は局所的に破壊,変形もしくは変質等の構造の変化がもたらされ、間隙Gが形成される。
【0040】
フォーミング処理のために素子に印加する電圧は、パルス状の電圧を用いる。パルスの形状としては、例えば波高値が一定の三角波パルスや、波高値の漸増する三角波パルスを用いることができる。
【0041】
通電フォーミング処理の終了は、パルスとパルスの間に、導電性膜4の破壊、変形もしくは変質を引き起こさない程度の電圧パルスを印加し、素子に流れる電流を測定して検知することができる。例えば、0.1V程度の電圧印加により素子に流れる電流を測定し、抵抗値を求めて、1MΩを越えた時点で通電フォーミングを終了するのが好ましい。
【0042】
上記の通電フォーミング処理は、還元性物質を含有する雰囲気中にて行うことが好ましい。
【0043】
導電性膜4が金属酸化物よりなる場合は、還元性を有する物質としてH2,CO等の他、メタン、エタン、エチレン、プロピレン、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、アセトンなどの有機物質のガスも効果がある。これは、還元により導電性膜を構成する物質が金属酸化物から金属に変化する際、凝集を伴うからであると思われる。一方、導電性膜4が金属より構成される場合は、当然還元に伴う凝集は起こらないので、COやアセトン等は凝集を促進する効果を示さないが、H2はこの場合でも凝集を促進する効果を示す。
【0044】
4)フォーミングを終えた素子には活性化工程と呼ばれる処理を施すのが好ましい。活性化工程とは、この工程により、素子電流If,放出電流Ieが著しく変化する工程である。
【0045】
活性化工程は、例えば、有機物質のガスを含有する雰囲気下で、素子にパルスの印加を繰り返すことで行うことができる。この雰囲気は、例えば油拡散ポンプやロータリーポンプなどを用いて真空容器内を排気した場合に雰囲気内に残留する有機ガスを利用して形成することができる他、イオンポンプなどにより一旦十分に排気した真空中に適当な有機物質のガスを導入することによっても得られる。このときの好ましい有機物質のガス圧は、前述の応用の形態、真空容器の形状や、有機物質の種類などにより異なるため、場合に応じ適宜設定される。適当な有機物質としては、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノール、カルボン酸、スルホン酸等の有機酸類等を挙げることができる。より具体的には、メタン、エタン、プロパンなどCn2n+2で表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレンなどCn2n等の組成式で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フェノール、ベンゾニトリル、アセトニトリル等が使用できる。
【0046】
この処理により、雰囲気中に存在する有機物質から、前記間隙G内の基板10上、およびその近傍の導電性膜4上に炭素あるいは炭素化合物からなるカーボン膜29が形成され、素子電流If,放出電流Ieが、著しく変化するようになる。
【0047】
活性化工程の終了判定は、素子電流Ifと放出電流Ieを測定しながら、適宜行うことができる。なお、パルス幅、パルス間隔、パルス波高値などは適宜設定される。
【0048】
炭素及び炭素化合物とは、例えばグラファイト(いわゆるHOPG,PG,GCを包含するもので、HOPGはほぼ完全なグラファイト結晶構造、PGは結晶粒が20nm程度で結晶構造がやや乱れたもの、GCは結晶粒が2nm程度になり結晶構造の乱れがさらに大きくなったものを指す。)、非晶質カーボン(アモルファスカーボン及び、アモルファスカーボンと前記グラファイトの微結晶の混合物を指す。)、炭化水素(Cmnで表される化合物、ないしこの他にN,O,Clなどの他の元素を有する化合物を含む。)であり、その膜厚は、50nm以下の範囲とするのが好ましく、30nm以下の範囲とすることがより好ましい。
【0049】
以上の様な通電処理を施すことにより、一対の素子電極2,3間に導電性膜4を有する素子を表面伝導型の電子放出素子とすることができる。
【0050】
例えば上述したような素子を複数個基板上に配列することにより、本発明に係わる電子源を構成でき、かかる電子源を用いて本発明に係わる画像形成装置を構成できる。
【0051】
次に、図1(a)に示されるような画像形成装置を例に挙げて本発明を説明する。尚、図1(a)は画像形成装置(表示パネル)68を模式的に表した斜視図であり、部分的に切り欠いて示している。
【0052】
同図において、7はX方向配線、8はY方向配線、10は電子源の基板、69は図4に示したような電子放出素子、62は支持枠、66はフェイスプレート(ガラス基板63、メタルバック64、及び蛍光体65からなる)、67は高圧端子、Dx1乃至DxmおよびDy1乃至Dynは装置外端子である。
【0053】
まず、本発明に係る電子源の製造装置、及び、製造工程について説明する。
【0054】
図2、図3は、電子源の製造装置を示しており、図2は全体構成を示す模式図、図3は図2における電子源の基板の周辺部分を示す部分切り欠き斜視図である。これらの図において、図1(a)中の符号と同一符号のものは同一部材を指しており、6は電子放出素子となる導電体、12は真空容器、15は気体の導入口、16は排気口、18は第2の真空気密部材、19は拡散板、21は水素または有機物質ガス、22はキャリアガス、23は水分除去フィルター、24はガス流量制御装置、25a〜25hはバルブ、26a、26bは真空ポンプ、27a、27bは真空計、28は配管、30は取り出し配線、32は電源及び電流制御系からなる駆動ドライバー、31は電子源基板の取り出し配線30と駆動ドライバー32とを接続する配線、33は拡散板19の開口部、62は支持枠、207は電子源基板を支持する手段であるところの基板ホルダーである。
【0055】
基板ホルダー207には静電チャック208が具備してある。この静電チャック208による電子源基板10の固定は、該静電チャック208の中に置かれた電極209と電子源基板10との間に電圧を印加して静電力により電子源基板10を基板ホルダー207に吸引するものである。
【0056】
なお、電子源基板10の電位を所定の値に保持するため、基板の裏面にはITO膜などの導電部材を形成してある。
【0057】
静電チャック方式による電子源基板10の吸着のためには、電極209と電子源基板10の距離が短くなっている必要があり、いったん別の方法で電子源基板10を静電チャック208に押し付けることが望ましい。
【0058】
図2に示す装置では、静電チャック208の表面に形成された溝211の内部を排気して電子源基板10を大気圧により静電チャックに押し付け、高圧電源210により電極209に高電圧を印加することにより、電子源基板10を十分に吸着する。この後真空容器12の内部を排気しても電子源基板10にかかる圧力差は静電チャック208による静電力によりキャンセルされて、電子源基板10が変形したり、破損することが防止できる。更に、該静電チャック208と電子源基板10の間の熱伝導を大きくするために、上述のようにいったん排気した溝211内に熱交換のための気体を導入することが望ましい。かかる気体としては、Heが好ましいが、他の気体でも効果がある。熱交換用の気体を導入することで、溝211のある部分での電子源基板10と静電チャック208の間の熱伝導が可能となるのみならず、溝211のない部分でも単に機械的接触により電子源基板10と静電チャック208が熱的に接触している場合に比べ、熱伝導が大きくなるため、全体としての熱伝導は大きく改善される。これにより、前述したフォーミングや活性化などの通電処理の際、電子源基板10で発生した熱が容易に静電チャック208を介して基板ホルダー207に移動して、電子源基板10の温度上昇や局所的な熱の発生による温度分布の発生が抑えられるほか、基板ホルダーにヒーター212や冷却ユニット213などの温度制御手段を設けることにより、電子源基板10の温度をより精度良く制御できる。
【0059】
有機物質ガス21には、前述した電子放出素子の活性化処理に用いられる有機物質、または、有機物質を窒素、ヘリウム、アルゴンなどで希釈した混合気体が用いられる。また、前述したフォーミングの通電処理を行う際には、導電体6への亀裂形成を促進するための気体、例えば、還元性を有する水素ガス等を真空容器12内に導入することもある。このように他の工程で異なる気体を導入する際には、バルブ部材25e等を用いて所望の系統を真空容器12への導入配管28に接続すれば、使用することができる。
【0060】
有機ガス21は、有機物質が常温で気体である場合にはそのまま使用でき、有機物質が常温で液体、または、固体の場合は、容器内で蒸発または昇華させて用いる、或いは更にこれを希釈ガスと混合するなどの方法で用いることができる。キャリアガス22には、窒素またはアルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスが用いられる。
【0061】
有機物質ガス21と、キャリアガス22は、一定の割合で混合されて、真空容器12内に導入される。両者の流量及び、混合比は、ガス流量制御装置24によって制御される。ガス流量制御装置24は、マスフローコントローラ及び電磁弁等から構成される。これらの混合ガスは、必要に応じて配管28の周囲に設けられた図示しないヒータによって適当な温度に加熱された後、導入口15より、真空容器12内に導入される。混合ガスの加熱温度は、電子源基板10の温度と同等にすることが好ましい。
【0062】
なお、配管28の途中に、水分除去フィルター23を設けて、導入ガス中の水分を除去するとより好ましい。水分除去フィルター23には、シリカゲル、モレキュラーシーブ、水酸化マグネシウム等の吸湿材を用いることができる。
【0063】
真空容器12に導入された混合ガスは、排気口16を通じて、真空ポンプ26aにより一定の排気速度で排気され、真空容器12内の混合ガスの圧力は一定に保持される。真空ポンプ26aは、ドライポンプ、ダイヤフラムポンプ、スクロールポンプ等、低真空用ポンプであり、本発明においてはオイルフリーポンプが好ましく用いられる。
【0064】
電子源基板10上に配置された取り出し電極30は、真空容器12の外側にあり、TAB配線やプローブなどを用いて配線31と接続し、駆動ドライバー32に接続する。
【0065】
以上のようにして、真空容器12内に有機物質を含む混合ガスを流した状態で、駆動ドライバー32を用い、配線31を通じて電子源基板10上の各導電体6にパルス電圧を印加することにより、素子の活性化工程を行うことができる。
【0066】
上記のような装置を用いることができる本発明の電子源の製造方法では、特に、電子源基板10上に配置された導電体(即ち、電子放出素子となる導電体6、導電材料からなるX方向配線7、Y方向配線8、及び取り出し電極30)の一部分(即ち、取り出し電極30)を除いて当該導電体を囲むように、第1の気密部材を固設し、この第1の気密部材の上に、取り出し電極30以外の導電体を覆うように容器12を当接し、電子源の基板10と容器12とで気密雰囲気を形成して、前述したようなフォーミング処理及び活性化処理等の通電処理を施す。
【0067】
本例で示す第1の気密部材は、接着剤とこれにより電子源基板上に接着され配置された支持枠62とからなる。かかる接着剤としては、取り出し電極30による電子源基板表面の凹凸を埋め気密状態を確実なものとすべく、例えばフリットガラス、インジウム若しくはその合金等を好ましく用いることができる。尚、本発明においては、支持枠62を用いずに、フリットガラス自体を第1の気密部材とすることもできる。
【0068】
また、支持枠62の上面は平坦に加工されていることが好ましく、この支持枠上面に容器12を接触させることで、容器内の気密性を確保する。この場合、支持枠62と容器12との間に、図2に示すように第2の気密部材18を配置することが好ましく、これにより気密性がより一層改善され、より信頼性の高い気密状態を実現することができる。
【0069】
第2の気密部材18は、電子源基板10に設置された支持枠62と接合することにより容器12との気密性を保持するためのものであり、好適には有機系弾性体が用いられる。かかる有機系弾性体としては比較的熱的に安定であるフッ素系ゴムを用いるのが望ましい。
【0070】
以上説明した本発明の電子源の製造装置及び製造方法においては、容器12は、電子源基板10上の少なくとも導電体6のみを覆えばよいため、装置の小型化が可能である。また、電子源基板10の取り出し電極30が容器外にあるため、電子源基板と電気的処理を行うための電源装置(駆動ドライバ)との電気的接続を容易に行うことが出来る。そして、通電処理を行った後は、容器12を電子源基板10から取り外すことにより、製造後の電子源を容易に取り出すことができる。
【0071】
本発明の画像形成装置の製造方法においては、上記のようにして電子源を作製し、この電子源と画像形成部材(蛍光体65)が形成されたフェイスプレート66とを接合せしめる(接合工程)。具体的には、電子源基板10へのフォーミング処理と活性化処理を行った後、容器12を電子源基板10上から撤去し、電子源基板10とフェイスプレート66とを、例えば第3の気密部材を用いて接合する。この場合、電子源基板10とフェイスプレート66との接合を、支持枠62上で行うことが好ましい。そして、その際に、支持枠62に付着した第2の気密部材18の成分を取り除く工程(クリーニング工程)を行うことが好ましい。即ち、支持枠表面の付着成分は、その後の工程である第3の気密部材(特にインジウム)の描画性に著しく影響を及ぼし、支持枠上に第3の気密部材を均一に描画することができなくなり、電子源基板10とフェイスプレート66とを第3の気密部材を介して貼り合わせた際のリークの原因になってしまうからである。
【0072】
尚、支持枠62を用いずに、フリットガラス自体を第1の気密部材とした場合には、第3の気密部材を用いることなく上記の接合工程を行うことも可能である。
【0073】
上記のクリーニング工程においては、例えばMEK(メチルエチルケトン)又は/及びHFE(ハイドロフルオロエーテル)を好ましく用いることができ、これらによって支持枠表面に付着しているフッ素系ゴム等の有機系弾性体成分を十分に拭き取ることができる。
【0074】
また、第3の気密部材としては、前述したようなフリットガラス、インジウム若しくはその合金を好適に用いることができる。
【0075】
以上のようにして作製される画像形成装置は、安定した気密状態を保持して画像品位の優れた画像形成装置が実現される。
【0076】
次に、本発明の導電体の通電方法を説明する。
【0077】
前述したような本発明の電子源の製造方法における通電方式は、電子源の製造工程に限らず、例えば既に任意の機能が付与された導電体の当該機能を検査するために、当該導電体に気密雰囲気下で通電を行う必要がある場合にも好適である。例えば本発明の電子源の製造方法によって得られた電子源を画像形成装置に組み込む前に、予めこの電子源の電子放出特性を簡単に検査することができれば、仮に電子源に一部欠陥が発生していたとしても、画像形成装置を構成するその他の部材を無駄にすることがない。
【0078】
図3に示した電子源を例に本発明の導電体の通電方法を説明すると、導電体(即ち、既に電子放出機能が付与された導電体6、導電材料からなるX方向配線7、Y方向配線8、及び取り出し電極30)の一部分(即ち、取り出し電極30)を除いて当該導電体を囲むように固設された第1の気密部材(支持枠)62の上に、取り出し電極30以外の導電体を覆うように容器を当接し、電子源基板10と容器とで所定の気密雰囲気を形成して、取り出し電極30から導電体6に所定の駆動電圧で通電することにより、導電体6の電子放出機能を検査することができる。この場合の容器としては、例えば図1(a)に示したような画像形成部材(蛍光体65)が形成されたフェイスプレート66と同様に、その内面に電子を加速する加速電極と蛍光体とが配置された容器を用いることができる。
【0079】
このような本発明の導電体の通電方法においては、大型の真空チャンバ及び高真空対応の排気装置を用いることなく、導電体に所望の雰囲気下で通電を行うことが可能である。そして、通電を行った後は、容器を基板(試料)から取り外すことにより、試料を容易に取り出すことができる。
【0080】
【実施例】
以下、本発明の電子源、及び画像形成装置の製造方法の実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
【0081】
(実施例1)
本実施例は、図5に示すような単純マトリクス配線された多数の導電性膜を有する電子源を作製し、これら導電性膜に電子放出機能を付与する通電処理を施した後、かかる電子源を用いて図1(a)に示したような画像形成装置を作製した例である。
【0082】
先ず、電子源の作製方法を、図2乃至図5を用いて説明する。
【0083】
SiO2層を形成したガラス基板(サイズ350×300mm、厚さ5mm)上にオフセット印刷法によりPtペーストを印刷し、加熱焼成して、図5に示される厚み50nmの素子電極2、3を形成した。また、スクリーン印刷法により、Agペーストを印刷し、加熱焼成することにより、図5に示されるX方向配線7(240本)及びY方向配線8(720本)を形成し、X方向配線7とY方向配線8の交差部には、スクリーン印刷法により、絶縁性ペーストを印刷し、加熱焼成して絶縁層9を形成した。
【0084】
次に、素子電極2,3間にバブルジェット(登録商標)方式の噴射装置を用いて、パラジウム錯体溶液を滴下し、350℃で30分間加熱して酸化パラジウムの微粒子からなる図5に示される導電性膜4を形成した。導電性膜4の膜厚は、20nmであった。以上のようにして、一対の素子電極2,3及び導電性膜4からなる導電体の複数がX方向配線7及びY方向配線8にてマトリクス配線された電子源の基板10を作成した。
【0085】
次に、図2及び図3に示すように、上記の電子源基板10に支持枠62を取り付けた。まず、電子源基板10の支持枠が取り付けられる位置にフリットガラスをディスペンサーで描画し、120℃10分で乾燥させた後、360℃にて10分、仮焼成を行った。その後、フリットガラス上に支持枠62を乗せ、加圧しながら420℃30分で支持枠62を電子源基板10に取り付けた。
【0086】
電子源基板の反り、うねりについて観察したところ、電子源基板そのものが持っていた反り、うねり及び上記までの加熱工程によって生じたと思われる基板の反り、うねりによって、基板中央部に対して、0.5mmほど周辺が反った状態であった。
【0087】
次に、支持枠62を取付けた電子源基板10を、図2に示した製造装置の支持体207上に固定した。具体的には、静電チャック208の表面に形成された溝211の内部を排気して電子源基板10を大気圧により静電チャックに押し付け、高圧電源210により電極209に高電圧を印加することにより、電子源基板10を十分に吸着させた。その後、静電チャック208と電子源基板10の間の熱伝導を大きくするために、Heガスを10hPaまで導入した。
【0088】
また、電子源基板10の温度は支持体内のヒーター212により、85℃にした。
【0089】
その後、容器12を第2の気密部材18としてのフッ素系のゴム(商品名:バイトン)を介して電子源基板10上の支持枠62と接触させた。
【0090】
次に、排気口側のバルブ25fを開け、容器12内を真空ポンプ26で排気した。その後、図3に示す配線31を介して取り出し配線30に接続された駆動ドライバー32を用いて、X方向配線7及びY方向配線8を通じて、各導電体6(素子電極2,3及び導電性膜4により構成されている。)の素子電極2,3間に電圧を印加し、導電性膜4をフォーミング処理し、図4に示したような間隙Gを導電性膜4に形成した。
【0091】
続いて、同装置を用いて活性化処理を行った。カーボン源としてトルニトリルを用い、スローリークバルブを通して容器12内に導入し、1.3×10-4Paを維持した。そして駆動ドライバー32を用いて、X方向配線7及びY方向配線8を通じて各導電体6の素子電極2,3間に電圧を印加して活性化処理を行った。約60分後に放出電流Ieがほぼ飽和に達した時点で通電を停止し、スローリークバルブを閉め、活性化処理を終了した。
【0092】
以上の工程により、各導電体には図4に示したような炭素膜29が堆積し、電子放出素子が形成された。
【0093】
次に、以上説明した製造装置、及び製造工程にて作製された電子源に対して、電子放出機能の検査がなされる。
【0094】
検査方法は、前述の図2に示した製造装置を再び用いて行われる。
【0095】
まず、作成された電子源基板10を、図2に示した製造装置の支持体207上に前述同様に静電チャックにて固定する。
【0096】
その後、図2の容器12に代えて、その内部に、電子源基板10上の電子源から放出される電子を加速するための加速電極と加速された電子の照射により発光する蛍光体とを備える容器を、第2の気密部材18としてのフッ素系のゴム(商品名:バイトン)を介して電子源基板10上の支持枠62と接触させた。
【0097】
次に、前述同様に、電子源基板10と容器とで形成される気密雰囲気内を排気し所定の減圧雰囲気とした後に、前記容器内の加速電極に5KVの電圧を印加するとともに、図3にて前述した配線31を介して取り出し配線30に接続された駆動ドライバー32を用いて、X方向配線7及びY方向配線8を通じて、駆動電圧を印加し、発光する蛍光体の輝度を検査することにより、作成された電子源の電子放出機能の検査が行われる。
【0098】
以上のようにして検査された電子源を用いて図1(a)に示したような画像形成装置を製造した。
【0099】
図1(a)は画像形成装置の概念図であり、本実施例におけるZ方向の断面図を図1(b)に示した。尚、図1(b)中、70は電子源の基板10に支持枠62を固定するために形成された前述のフリットガラスである。
【0100】
はじめに、支持枠62の上にフリットガラス(第3の気密部材)71をディスペンサーにより描画した後、電子源基板10とフェイスプレート66とを共に真空チャンバーに入れ、真空条件下で380℃に加熱しながらこれらを貼り合わせて画像形成装置(パネル)68を作製した。
【0101】
画像形成装置内は、フェイスプレート66に設置された図示しない排気管を通して排気され、内部の圧力を大気圧以下にした後、この排気管を封止し、さらに、封止後の装置内部の圧力を維持するために、装置内に設置された図示しないゲッタ材料を用いて高周波加熱法によるゲッター処理を行った。
【0102】
なお、画像形成装置内を大気圧以下に排気しても、大気圧による装置の破損が生じないように、電子源基板10とフェイスプレート66との空間を維持するための図示しない部材が、電子源基板10上に配置してある。
【0103】
以上のようにして完成した画像形成装置においては、画像形成装置内の真空状態を確実に維持でき、各電子放出素子には、装置外端子Dx1乃至Dxm、Dy1乃至Dynを通じ、走査信号及び変調信号を図示しない信号発生手段によりそれぞれ印加することにより、電子を放出させ、高圧端子67を通じ、メタルバック65、あるいは、図示しない透明電極に5kVの高圧を印加し、電子ビームを加速し、蛍光体膜64に衝突させ、励起、発光させることで画像を表示した。本実施例における画像表示装置においては、目視において輝度ばらつきや色むらがなく、テレビジョンとして十分満足できる良好な画像を表示することができた。
【0104】
(実施例2)
本実施例は、図5に示したような単純マトリクス配線された多数の導電性膜を有する電子源を作製し、これら導電性膜に電子放出機能を付与する通電処理を施した後、かかる電子源を用いて図1(a)に示したような画像形成装置を作製した例である。
【0105】
本実施例においては、電子源の基板10とフェイスプレート66との接着用の第3の気密部材71としてインジウムを用いた。また、図1(c)に示すように、支持枠上のインジウムの描画性をよくするために、銀ペースト72が形成してある支持枠を用いた。
【0106】
あらかじめ、銀ペースト72を支持枠62上にスクリーン印刷で形成し、その後580℃で焼成を行った。このようにして得られた支持枠を、実施例1と同様にして作製した電子源の基板10に貼り合わせた。この銀ペースト付の支持枠を用いた以外は、実施例1と全く同じように通電処理を施し、各導電体に電子放出機能を付与するとともに、実施例1と全く同様にして作成された電子源の電子放出機能の検査がなされる。
【0107】
その後、支持枠62上の銀ペースト表面をHFE(ハイドロフルオロエーテル)とMEK(メチルエチルケトン)を使ってクリーニングした。これは、シール部材18を密着させた時に付着するニトリルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムなどからなるOリングやゴム性シートの成分を取り除く為である。支持枠表面の付着成分はその後の工程である、インジウム塗布の際のインジウムの濡れ性に著しく悪影響を及ぼすものである。
【0108】
次に超音波はんだごてを用いて、支持枠62上にインジウムを描画した後、電子源の基板10とフェイスプレート66とを真空チャンバーに入れ、真空条件下で200℃に加熱しながらこれらを貼り合わせて画像形成装置(パネル)68を作製した。
【0109】
画像形成装置内は、フェイスプレート66に設置された図示しない排気管を通して排気され、内部の圧力を大気圧以下にした後、この排気管を封止し、さらに、封止後の装置内部の圧力を維持するために、装置内に設置された図示しないゲッタ材料を用いて高周波加熱法によるゲッター処理を行った。
【0110】
なお、画像形成装置内を大気圧以下に排気しても、大気圧による装置の破損が生じないように、電子源基板10と、フェイスプレート66との空間を維持するための図示しない部材が、電子源基板10上に配置してある。
【0111】
以上のようにして完成した画像形成装置においては、画像形成装置内の真空状態を確実に維持でき、各電子放出素子には、装置外端子Dx1乃至Dxm、Dy1乃至Dynを通じ、走査信号及び変調信号を図示しない信号発生手段によりそれぞれ印加することにより、電子を放出させ、高圧端子67を通じ、メタルバック65、あるいは、図示しない透明電極に5kVの高圧を印加し、電子ビームを加速し、蛍光体膜64に衝突させ、励起、発光させることで画像を表示した。本実施例における画像表示装置においては、目視において輝度ばらつきや色むらがなく、テレビジョンとして十分満足できる良好な画像を表示することができた。
【0112】
(比較例)
実施例1、2において、電子源の基板10上に支持枠を配置しない状態で、容器12を第2の気密部材18としてのフッ素系のゴム(商品名:バイトン)を介して電子源基板10に直接接触させて通電処理を行った以外は、実施例1、2と同様にして電子源及び画像形成装置を作製した。
【0113】
以上のようにして完成した画像形成装置においては、通電処理時において容器12内の気密状態を十分に維持することができず、各電子放出素子の電子放出特性にばらつきが生じ、テレビジョンとして満足できる画像を表示することができなかった。
【0114】
【発明の効果】
本発明によれば、大型の真空チャンバ及び高真空対応の排気装置を用いることなく、且つ、製造スピードを向上せしめ量産性に適した電子源の製造方法、及びその製造装置を提供することができる。
【0115】
また、本発明によれば、電子放出特性の優れた電子源を製造し得る電子源の製造装置及び製造方法を提供することができる。
【0116】
また、本発明によれば、電子源と蛍光体等の画像形成部材を有する基板とで気密を保持して構成される画像形成装置の製造スピードを向上せしめ、量産性に適した画像形成装置の製造方法を提供することができる。
【0117】
また、本発明によれば、画像品位の優れた画像形成装置を提供することができる。
【0118】
さらに、本発明によれば、大型の真空チャンバ及び高真空対応の排気装置を用いることなく、例えば既に電子放出機能等の任意の機能が付与された導電体の当該機能の検査等を、任意の気密雰囲気下で簡単に行うことができる導電体の通電方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による画像形成装置の一構成例を破断して示す斜視図、及び断面図である。
【図2】本発明に係る電子源の製造装置の一構成例を示す模式的に示す断面図である。
【図3】図2の装置における電子源の周辺部分を部分的に破断して示す斜視図である。
【図4】本発明に係る電子放出素子の一構成例を示す平面図及び断面図である。
【図5】本発明に係る電子源の製造方法を説明するための平面図である。
【符号の説明】
2、3 素子電極
4 導電性膜
G 導電性膜の間隙
5 炭素膜の間隙
6 電子放出機能が付与される導電体
7 X方向配線
8 Y方向配線
9 絶縁層
10 電子源基板
12 容器
15 気体の導入口
16 気体の排気口
18 シール部材(第2の気密部材)
19 拡散板
21 有機ガス物質
22 キャリヤガス
23 水分除去フィルター
24 ガス流量制御装置
25a〜25f バルブ
26a、26b 真空ポンプ
26a、27b 真空計
28 配管
30 取り出し配線
31 電子源基板の取り出し配線30と駆動ドライバ32とを接続する配線
32 電源、電流測定装置及び電流−電圧制御系装置からなる駆動ドライバ
33 拡散板19の開口部
62 支持枠
63 ガラス基板
64 メタルバック
65 蛍光体
66 フェースプレート
67 高圧端子
68 画像形成装置(表示パネル)
69 電子放出素子
70 フリットガラスもしくはインジウム合金材
71 フリットガラスもしくはインジウム合金材
72 銀ペースト
207 基板ホルダー
208 静電チャック
209 静電チャック内の電極
210 電源
211 溝
212 ヒーター
213 冷却ユニット

Claims (24)

  1. 導電体が配置された第1の基板上に、前記導電体の一部分を除いて当該導電体を囲むように、第1の気密部材を固設する工程と、
    前記第1の気密部材上に、導電体の前記一部分を除いて当該導電体を覆うように容器を当接させ、前記第1の基板と前記容器とで気密雰囲気を形成する工程と、
    導電体の前記一部分から通電を行い、前記容器にて覆われた導電体の一部に電子放出機能を付与する工程と、
    前記容器を前記第1の基板から取り外す工程と、
    画像形成部材が配置された第2の基板を、第1の基板の前記第1の気密部材上で接合せしめる接合工程と、
    を有することを特徴とする画像形成装置の製造方法。
  2. 前記導電体は、配線と、当該配線に接続された電子放出部が形成される導電性膜とを有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の製造方法。
  3. 前記導電性膜を複数有することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置の製造方法。
  4. 前記複数の導電性膜は、前記配線にてマトリクス状に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置の製造方法。
  5. 前記通電は、減圧雰囲気下で行われることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置の製造方法。
  6. 前記通電は、還元ガス雰囲気下で行われることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置の製造方法。
  7. 前記還元ガスは水素であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置の製造方法。
  8. 前記通電は、有機物質の存在する雰囲気下で行われることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置の製造方法。
  9. 前記通電は、還元ガス雰囲気下での第1通電工程と有機物質の存在する雰囲気下での第2通電工程とを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置の製造方法。
  10. 前記容器は、気体の導入口と気体の排気口を有する容器であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の画像形成装置の製造方法。
  11. 前記第1の気密部材は、フリットガラスであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の画像形成装置の製造方法。
  12. 前記第1の気密部材は、接着剤とこれにより前記第1の基板上に接着され配置された支持枠であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の画像形成装置の製造方法。
  13. 前記接着剤はフリットガラスであることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置の製造方法。
  14. 前記接着剤はインジウム若しくはその合金であることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置の製造方法。
  15. 前記第1の気密部材と前記容器との間に、第2の気密部材を配置することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の画像形成装置の製造方法。
  16. 前記第2の気密部材として、有機系弾性体を用いることを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置の製造方法。
  17. 前記接合工程は、前記第1の気密部材と前記第2の基板との間に、第3の気密部材を配置して行われることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載の画像形成装置の製造方法。
  18. 前記容器を前記第1の基板から取り外す工程の後であって、前記接合工程の前に、前記第1の気密部材のクリーニングを行うクリーニング工程を有することを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載の画像形成装置の製造方法。
  19. 前記クリーニング工程において、MEK(メチルエチルケトン)を用いることを特徴とする請求項18に記載の画像形成装置の製造方法。
  20. 前記クリーニング工程において、HFE(ハイドロフルオロエーテル)を用いることを特徴とする請求項18に記載の画像形成装置の製造方法。
  21. 前記クリーニング工程において、MEK(メチルエチルケトン)とHFE(ハイドロフルオロエーテル)を用いることを特徴とする請求項18に記載の画像形成装置の製造方法。
  22. 前記第3の気密部材として、第2の接着剤を用いることを特徴とする請求項17乃至21のいずれか一項に記載の画像形成装置の製造方法。
  23. 前記第2の接着剤はフリットガラスであることを特徴とする請求項22に記載の画像形成装置の製造方法。
  24. 前記第2の接着剤はインジウム若しくはその合金であることを特徴とする請求項22に記載の画像形成装置の製造方法。
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