JP3673668B2 - 電子源の製造方法及び電子源の製造装置 - Google Patents

電子源の製造方法及び電子源の製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の電子放出素子を有する電子源の製造方法及びこれを実施するための製造装置に関する。
【0002】
【従来技術】
近年、大きく重いブラウン菅に代わる画像表示装置として、軽く、薄型のいわゆるフラットディスプレイが注目されている。フラットディスプレイとしては液晶表示装置(Liquid Crystal Display)が盛んに研究開発されているが、液晶表示装置には画像が暗い、視野角が狭いといった課題が依然として残っている。
【0003】
液晶表示装置に代わるものとして電子源(画像表示装置の主要な構成部材)より放出される電子ビームを蛍光体に照射して蛍光を発生させることで画像を表示する自発光型のフラットディスプレイがある。
【0004】
電子線源を用いた自発光型のフラットディスプレイは液晶表示装置に比べて明るい画像が得られると共に視野角も広い、更に、大画面化、高精細化の要求にもこたえ得るとから、そのニーズが高まりつつある。
【0005】
電子線を用いた自発光型平板状の画像表示装置は、例えばフェースプレート(face plate)とリアプレート(rear plate)に挟まれた真空パネル内に、電子ビームを発生する電子放出素子を配して構成されるものである。
【0006】
電子放出素子として表面伝導型の電子放出素子を用い、該電子ビームを加速して蛍光体に照射し、蛍光体を発光させて画像を表示させる薄型の画像表示装置が本出願人により出願されている(特開平7−235255号公報)。
【0007】
前述の表面伝導型の電子放出素子は構造が単純で製造も容易で大面積の基板上に配列形成できることから、大面積の画像表示装置に好適な電子源である。前記表面伝導型の電子放出素子の基本的な構成、製造プロセス、前記表面伝導型の電子放出素子を用いた画像表示装置の製造方法に関しても本出願人より公開されている(特開平7−235255号公報)。
【0008】
このほか、電子源として表面伝導型の電子放出素子を用いたもののほか熱カソードを用いた熱電子源、電界放出型電子放出素子(W.P.Dyke&W.W.Do1an、”Field emission”Advance inElectron Physics、8、89(1956)やC.A.Spindt、”Physical properties of thin−film fieldemission cathodes with molybdenum cones”、J.Appl.Phys.、47、5248等)、金属/絶縁層/金属型電子放出素子(C.A.Mead、”The tunnel−emission amplifier、J.Appl.Phys.、32、646(1961)等)を用いたものが知られている。
【0009】
真空気密な外囲器、即ち真空容器を有する画像表示装置の製造方法、特には前記真空容器を昇温及び降温するための加熱工程について表面伝導型の電子放出素子を用いた平板型画像表示装置の製造方法を用いて説明する。
【0010】
表面伝導型の電子放出素子は電子を放出する電子放出部であり、一定の間隔L(2μm程度)を隔てて設置された素子電極間に有機Pd(例えばCCP4230奥野製薬株式会社製)を塗布することによって形成された導電性薄膜をフォーミングと呼ばれる通電処理によって形成される。
【0011】
ここで、フォーミングとは、素子電極間に電圧を印加通電し、局所的に前記導電性薄膜を破壊、変形もしくは変質させ、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部を形成することである。
【0012】
なお、電子放出部としては、導電性薄膜の一部に発生した亀裂を用いることもある。この場合には、その亀裂付近から電子放出が行われる。この他、表面伝導型の電子放出素子として薄膜としてSnO2膜を用いたもの、Au薄膜によるもの[G.Dittmer:”Thin Solid Films”、9、317(1972]、In23/SnO2薄膜によるもの[M.Hartwell and C.G.Fonstad:”IEEE Trans.ED Conf.”、519(1975)]、カーボン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、第1号、22頁(1983)]等が報告されている。
【0013】
フォーミングを実施する際に、素子電極間に電圧を印加するが、その方法としてプローブを配線に接触させて電圧印加する方法に関して本出願人より出願されている(特開平7−176265号公報)。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
近年、画像表示装置の表示面積の大型化および高精細化に伴い、配線数の増加及び配線幅の狭小化及び狭ピッチ化が必要となってきた。こうした要求に対応するために、通電処理を行うための多数のプローブピンを狭ピッチで電極パッド上に同時に接触させる必要が生じてきた。
【0015】
しかしながら、上述する画像表示装置の製造方法においては、次のような問題点があった。
【0016】
真空容器の封着後、フォーミングの工程を行う前に、素子の抵抗値を室温でプローブピンを接触させて測定する。次に、フォーミング及び活性化時の通電処理時には、最良の素子特性(電子放出効率)を得るために、温度を室温より高い温度(例えば100℃)で通電処理を実施しているが、真空容器100の基板の熱膨張により電極パッドの位置が変化し、室温でプローブピンと電極パッドが接触するように位置調整をしておいても、全てのプローブピンを電極パッド上に接触できないという問題があった。
【0017】
殊に、大画面、高精細化用の画像表示装置において、多数のプローブピン(数百本から数千本)を必要とし、その為、熱膨張による影響が大きくなり、室温から高温域(100℃)にかけて全てのプローブピンを全ての電極パッド上に接触させるのが難しいという問題があった。
【0018】
本発明は、上記した従来技術の問題を解決するものであり、その目的とするところは、温度変化を伴う環境下で接続される電極と電気的接続手段との接続を安定して行うことを可能とする電子源の製造方法と、この方法を実施するための電子源の製造装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の電子源の製造方法にあっては、電子放出素子に接続する複数の電極を基板上に配列して備えた電子源に対し、電気的接続手段に備えられた複数の電極部材を前記複数の電極に接触させて、通電処理を行う工程を含む電子源の製造方法において、前記電気的接続手段と前記電子源をほぼ同じ温度に加熱しながら、前記通電処理を行うことを特徴とする。
また、前記通電処理を行う前に、前記電子源と前記電気的接続手段とをほぼ同じ温度に加熱した状態で、前記複数の電極部材を前記複数の電極に接触させることも好適である。
【0020】
また、電子源の製造装置にあっては、電子放出素子に接続する複数の電極を基板上に配列して備えた電子源を加熱する第1の温度調整手段と、前記電子源に備えられた複数の電極に対し、対応する複数の電極部材を接触させて通電処理を可能とする電気的接続手段と、前記複数の電極部材を前記複数の電極に接触させるために前記電気的接続手段を移動させる移動手段と、前記電気的接続手段を、前記第1の温度調整手段により加熱する電子源の温度とほぼ同じ温度に加熱する第2の温度調整手段とを備えことを特徴とする。
【0021】
前記電気的接続手段は、前記複数の電極の配列と平行に配列された、前記複数の電極部材を保持する電極ユニットと、前記電極ユニットを複数支持する電極アームとを備え、前記第2の温度調整手段は、前記電極ユニットと前記電極アームの少なくともいずれか一方または両方に備えられることも好適である。
【0023】
前記電極ユニットの熱膨張率をα、前記電極アームの熱膨張率をβ、前記基板の熱膨張率をγとすると、α,β,γがα≧γ≒βの関係にあることも好適である。
【0024】
前記第1の温度調整手段は、室温より高い温度から100℃までの範囲で電子源を加熱することも好適である。
【0025】
更に、前記電極部材と前記電極とのアライメントを調整するアライメント手段を有し、予め当該アライメント手段により、前記電極部材を、対応する前記電極に設けられた電極パッドの前記電極が加熱により基準位置から移動しようとする方向に対して基準位置側となる端に位置させることも好適である。
【0026】
記電子放出素子から放出された電子が照射されることにより発光して画像を表示可能とする画像表示手段を備えた基板を前記電子源と対向するように一体的に形成し、前記第1の温度調整手段は、前記画像表示手段を備えた基板と前記電子源の基板とを上下から加熱することも好適である。
【0027】
このようにすることにより、上記本発明の構成においては、予め温度調整した状態で電極部材と電極を接触させるので、電極部材によって電極を傷つけない。
【0028】
電極ユニットを予め温度調整すると、該電極ユニットに保持された電極部材も電子源と同じ温度になるので、電極部材を電極に接触させる際に、電極を通じて電子源の基板から熱を奪わない。それ故に、電極の形成された基板の温度分布が良く、電子源全体との温度差が無く、両者の温度差により真空気密な電子源の割れが生じることはない。
【0029】
更に、電極の温度分布が良いので、接触部の電圧ばらつきが抑えられ、各素子への均一な電圧印加ができ、電子放出効率の素子間ばらつきも小さい。
【0030】
熱膨張係数の関係を特定することで、電極の移動と電気的接続手段の構成部材の移動量を合わせて電極と電極部材の当接をより確実に行うことが可能となり、また多数の電極部材を電極に確実に当接させるので、電子源の大型化(素子数の増大)に対応可能である。
【0031】
電極を複数列とすることで、電極の幅自体を広げることができ、プローブの使用温度範囲を更に広げることが可能となる。また、電極への配線ピッチが狭くなっても電極の幅を狭めなくとも良いので、プローブピンの接触が容易であり配線の高密度化に対応可能である。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下図面を参考にして好ましい実施の態様例を詳細に説明する。
【0033】
図1は本発明の画像表示装置の製造工程の概略説明図を示し、図2は図3に示した複数の表面伝導型の電子放出素子300を備えた電子源200を主要構成として用いた平板型の画像表示装置FDの断面図である。
【0034】
図3は図2中の表面伝導型の電子放出素子300の平面図、図4は図3の表面伝導型の電子放出素子300の構造を示す図を示している。
【0035】
図5は、電子源200の製造装置の概略構成説明図、図6は室温時図6(a)及び高温時図6(b)おける電気的接続手段の状態を説明する図であり、図7は千鳥配列をした配線取り出し部の平面図である。
【0036】
図1において、100は画像表示装置の外囲器である真空容器、101はリアプレート、102はフェースプレートであり、103はリアプレート101を加熱(温度調整)する為のリアヒータ、104はフェースプレート102を加熱(温度調整)する為のフェースヒータである。リアヒータ103とフェースヒータ104は共に電子源を加熱(温度調整)するための第1の温度調整手段である。
【0037】
105は電極部材としてのプローブピン、106は多数本のプローブピン105を保持する電極ユニットとしてのプローブユニット、107は電極アームとしてのプローブアームである。
【0038】
プローブピン105、プローブユニット106、プローブアーム107からなる電気的接続手段としてのプローブ装置である。
【0039】
リアプレート101とフェースプレート102とその間を支持する外枠109は、その内部を真空に保つ真空容器100として機能する。110は真空容器100の外部に設けた配線取り出し部である電極としての電極パッドである。
【0040】
図2において、101はガラス等の絶縁材で構成され、基板であるリアプレート、102はフェースプレートであり、Al薄膜のメタルバック206が配された蛍光体207がフェースプレート102の内側に設けられている。208はフリットガラスであり、外枠109を挟んでフェースプレート102とリアプレート101が封着され、真空容器100を形成している。表面伝導型放出素子300は各配線(不図示)によって真空容器外部に取り出され、電極パッド110に電気的に接続されている。
【0041】
電子放出素子300について図3を参照して説明する。図3において、300は表面伝導型の電子放出素子、301は下配線、302は上配線、303は下配線301と上配線302を電気的に絶縁する層間絶縁膜、304は補助配線である。
【0042】
また、図4は表面伝導型の電子放出素子300の構造を示す平面図であり、405、406は素子電極、407は導電性薄膜、408は電子放出部である。その他これまで図で示した部材と同一の符号を持つ部材は同一のものを示す。
【0043】
本例における電子放出部408を含む導電性薄膜407のうち、電子放出部408となる部分は粒径が数十オングストロームの導電性微粒子からなり、電子放出素子300以外の電子放出部を含む導電性薄膜407は微粒子膜からなる。
【0044】
なお、ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子が集合した膜であり、その微細構造として、微粒子が個々に分散配置された状態のみならず、微粒子が互いに隣接、あるいは重なり合った状態(島状も含む)の膜をさす。なお、電子放出部を含む導電性薄膜407は、導電性微粒子が分散されたカーボン薄膜等としてもよい。
【0045】
本例の画像表示装置の作製方法の一例を以下に述べる。まず、表面伝導型の電子放出素子300の作製法について述べる。リアプレート101を十分に洗浄後、真空蒸着技術、フォトリソグラフィ技術(エッチング、リフトオフ等の加工技術も含む)により該リアプレート101の面上にニッケル等の素子電極405、406を、例えば素子電極間隔L=2μm、素子電極長さW=300μm、素子電極405、406の膜厚d=100nmの大きさで形成する。素子電極405、406の材料としては導電性を有するものであれば金属、半導体等どのようなものであっても良い。
【0046】
次に、リアプレート101上に設けられた素子電極405と素子電極406との間に、有機金属溶液を塗布して放置することにより、有機金属薄膜を形成する。
【0047】
なお、有機金属溶液とは、前記Pd、Ru、Ag、Au、Ti、In、Cu、Cr、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Pb等の金属を主元素とする有機化合物の溶液である。
【0048】
この後、有機金属薄膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチング等によりパターニングして図4に示す様な導電性薄膜407を形成する。
【0049】
なお、導電性薄膜407の材質は上述した例のみに制限されるものではなく、Pd、Ru、Ag、Au、Ti、In、Cu、Cr、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Pb等の金属、PdO、SnO2、In23、PbO、Sb23等の酸化物、HfB2、ZrB2、LaB6、CeB6、YB4、GdB4等の硼化物、TiC、ZrC、HfC、TaC、SiC、WC等の炭化物、TiN、ZrN、HfN等の窒化物、Si、Ge等の半導体、カーボン、AgMg、NiCu、Pb、Sn等でも良い。
【0050】
さらに、電子放出部を含む導電性薄膜407の形成法は、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分散塗布法、ディッピング法、スピナー法等が適用可能で、要するに薄膜が形成できれば特に作製方法は問わない。
【0051】
なお、電子源として表面伝導型の電子放出素子300のほか熱カソードを用いた熱電子源、電界放出型電子放出素子等、要するに電子を放出する素子であれば特に制限されない。
【0052】
次いで、表面伝導型の電子放出素子300の配列、及び、同素子に画像表示用の電気(電力)信号を供与する配線について説明する。
【0053】
配線の例として各々直行した二つの配線(X:上配線302、及びY:下配線301、これを単純マトリクスと呼ぶ)を用いることができ、電子放出素子300の素子電極405、406のそれぞれに、上配線302からは補助配線304を通して、下配線301からは直接電気的に接続する。
【0054】
上配線302、補助配線304、及び、下配線301はスクリーン印刷法、オフセット印刷法などの印刷法によって複数作製する。
【0055】
使用する導電性ペーストは、Ag,Au,Pd,Pt等の貴金属、Cu,Ni等の卑金属の単独、ないしは、これらを任意に組み合わせた金属を含み、印刷機で配線パターンを印刷後、500℃以上の温度で焼成する。
【0056】
形成された上下印刷配線などの厚さは、数μm〜数百μm程度である。更に少なくとも上配線302と下配線301が重なるところには、ガラスペーストを印刷、焼成(500℃以上)した厚さ数μm〜数百μm程度の層間絶縁膜303を挟み、電気的な絶縁をとる。
【0057】
フェースプレート102の内側に塗布された蛍光体207はモノクロームの場合は単一の蛍光体のみからなるが、カラー画像を表示する場合、赤、緑、青の三原色を発光する蛍光体とブラックストライプ或いは、ブラックマトリックス(不図示)を境界にして画素を形成する必要がある。
【0058】
作製法としては蛍光体スラリーを用いたフォトリソグラフィー法、或いは印刷法があり、所望の大きさの画素にパターニングし、それぞれの色の蛍光体を形成する。更に高分子膜のフィルミングによりAl等の金属薄膜を成膜し、作製したメタルバック206を蛍光体207の表面に塗布する。
【0059】
メタルバック206は高電圧を印加するための電極(不図示)と接続されている。フェースプレート102には、更に導電性を高めるため蛍光体207とフェースプレート102の間に透明導電薄膜を設けてもよい。
【0060】
外枠109の材質としてフェースプレート102、又はリアプレート101と同材質、或いはそれらとほぼ同程度の熱膨張率を持つガラス、セラミックス、又は、金属などが使われる。更に外枠109にはゲッター(不図示)を設置する。
【0061】
リアプレート101、外枠109、フェースプレート102の順に挟み、フリットガラス208をフェースプレート102、リアプレート101と外枠109が接する部分に塗布し、又、リアプレート101の穴にリアプレート101とほぼ同程度の熱膨張係数を持つガラス製の排気管(不図示)を設置し、接続部にフリットガラスを塗布し、電気炉などでフリットガラスの封着温度(例えば、日本電気硝子(株)製のLS−0206を用いた場合450℃)で、所定の時間(同フリットでは10分)加熱し、封着する。
【0062】
尚、カラー表示の画像表示装置の場合は表面伝導型の電子放出素子300と蛍光体207の画素(不図示)を一対一に対応させるため、フェースプレート102とリアプレート101の位置合わせを行い封着する。
【0063】
以上の工程により、リアプレート101、外枠109、フェースプレート102で囲まれる空間は真空気密可能な真空容器100が形成される。
【0064】
次に、排気管(不図示)を通して真空容器100内の圧力をおおよそ1.33×10-4Pa(1×10-6Torr)に真空排気する。続いて、室温において配線を含む素子の抵抗値を測定する。抵抗値の測定には、通常1〜2V程度の電圧を印加し、流れる電流値を測定することで抵抗値を算出する。図6(a)に示すような関係、即ち、リアプレート101の伸びる方向に対して、全てのプローブピン105が電極パッド110の端にくるように、電極パッド110に対してプローブピン105と各プローブユニットを配置する。
【0065】
この状態で、プローブピン105を電極パッド110に接触させ、不図示の駆動回路を用いて通電を行うとともに電流値を測定して、抵抗値を算出する。抵抗値測定後はプローブピン105を電極パッド110から離す。
【0066】
次に、フォーミング、即ち素子電極405、406に通電処理を行う。図1(a)に示すように、フォーミングを行う前に予め、フェースプレート102をフェースヒータ104で、リアプレート101をリアヒータ103で加熱温調することで、所定の温度にする。
【0067】
この際に、プローブピン105とプローブユニット106を埋め込みヒータ111(各プローブユニットに配置することが好ましい)により所定の温度まで加熱温調する。同時に、プローブアーム107を埋め込みヒータ112により所定の温度まで加熱温調する。
【0068】
所定の温度に達したところで、プローブピン105と電極パッド110が図6(b)に示す関係になる。次に、図1(b)に示すように、プローブピン105を電極パッド110に接触させる。
【0069】
予め温度調整したプローブピン105と、予め温度調整した電極パッド110を接触させるので、プローブピン105により電極パッド110を傷つけることがない。
【0070】
また、プローブユニット106を予め温度調整すると、プローブユニット106に保持されたプローブピン105も電極パッド110と同じ温度になるので、プローブピン105を電極パッド110に接触させた際に、電極パッド110を通じてリアプレート101から熱を奪わない。従って、電極パッド110の形成されたリアプレート101の温度分布が良いので、真空状態の真空容器100全体との温度差がなく、両者の温度差により真空容器100にクラックが入り割れることはない。
【0071】
更に、電極パッドの温度分布が良いので、接触部の電圧ばらつきが抑えられ、各素子への均一な電圧印加ができ、電子放出効率の素子間ばらつきも小さい。
【0072】
フォーミングを行うときの温度としては、室温から100℃の温度範囲が好適に用いられる。フォーミング時に加熱温調する際、プローブユニット106の熱膨張係数をα、プローブアーム107の熱膨張係数をβ、真空容器100の基板としてのリアプレート101の熱膨張係数をγとすると、これらの関係をα≧γ≒βとすることで、プローブアーム107とリアプレート101の伸びがほぼ一緒になる。
【0073】
即ち、図6(a)、(b)に示すように、室温(図6(a))から所定の温度(図6(b))範囲で、複数のプローブユニット106に保持された各一本目のプローブピン105(A1〜An)と、それに対応する電極パッド110(B1〜Bn)の位置関係が全て同じになる。
【0074】
従って、プローブユニット106の熱膨張係数が真空容器100のリアプレート101の熱膨張係数と同一なら温度が上がっても位置関係は変わらない。たとえプローブユニット106の熱膨張係数がリアプレート101の熱膨張係数より大きくても、プローブユニット106も該リアプレート101と同一の温度になっているので、熱膨張係数の差によるプローブユニット106に保持された最終プローブピンの伸び量(L)は非常に小さいものであり、電極パッド110のパッド幅(D)を最終プローブピンの伸び量以上に設計しておけば、所定の温度まで加熱温調しても、全てのプローブピンが全ての電極パッドに接触することが可能となる。
【0075】
その際に、室温においてプローブピン105の位置を、図6(a)に示すように予め真空容器100のリアプレート101の伸びる方向に対して電極パッド110の端に位置しておくことで、電極パッド110の幅を狭めることができる。従って、配線ピッチ幅を減らすことができ、配線の高密度化に対応可能である。
【0076】
更に、図7に示すように、電極パッド(710)を千鳥に配列しておけば、配線ピッチ(P)以上に大きくパッド幅(D)を設計することができ、配線の高密度化と使用温度範囲を広げることが可能となる。
【0077】
本発明に用いる電極パッド710の千鳥配列は、2本〜20本の配線毎に、好ましくは3本から10本の配線毎の千鳥配列を適宜用いることが望ましい。
【0078】
本発明に用いられるプローブピン105は、スプリング等を用いてプローブユニット106に保持されており、位置調整が可能で、一つのプローブユニット106に対して10本から1000本が適宜保持配置されており、好ましくは50本から300本を適宜保持配置するのが望ましい。
【0079】
本発明に用いられるプローブピン105の材料としては、導電性の良い材料を適宜用いることができ、例えば銅、アルミニウム、インジウム、銀、金、タングステン、モリブデン等の金属、真鍮、ステンレス等の合金、合成の高い金属の表面を低抵抗金属でコーティングしたものを適宜用いることが望ましい。
【0080】
本発明に用いられるプローブユニット106は、プローブアーム107に1個から100個が適宜支持配置されており、好ましくは2個から50個を適宜用いることが望ましい。
【0081】
本発明に用いられるプローブユニット106の材料としては、真空容器100のリアプレート101材料であるガラスにソーダ石灰ガラスを用いた場合、リアプレート101と同等もしくはより大きな熱膨張係数の材料である金属、合金、樹脂等を適宜用いることができ、加工性、剛性、コストの面から樹脂が適宜用いられ、好ましくは芳香族ポリエステル系の樹脂を適宜用いることが望ましい。
【0082】
本発明に用いられるプローブアーム107の材料としては、真空容器100のリアプレート101材料であるガラスにソーダ石灰ガラスを用いた場合、リアプレート101と同等の熱膨張係数を有するものが適宜用いることができ、例えば、Fe、Niを主成分とする426合金(Ni:42%、Cr:6%残りFe)及びFN50(Ni:50%、Fe:50%)、チタン、白金、酸化チタン等を適宜用いることができる。
【0083】
上述するように、加熱温調された電極パッド110に加熱温調されたプローブ105を接触させて、不図示の駆動回路を用いて通電処理を行い、導電性薄膜407に電子放出部408を形成する。
【0084】
通電フォーミングによれば導電性薄膜407に局所的に破壊、変形もしくは変質等の構造の変化した部位が形成される。該部位が電子放出部408を形成する。
【0085】
通電時の電圧波形は特にパルス波形が好ましく、パルス波高値が一定の電圧パルスを連続的に印加する場合とパルス波高値を増加させながら、電圧パルスを印加する場合とがある。先ず、パルス波高値が一定電圧とした場合について説明する。パルス波形は三角波を用い、パス幅を数μsec〜10msec、パルス間隔を数μsec〜100msec、波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)を表面伝導型の電子放出素子300の形態に応じて適宜選択し、適当な真空度、例えば、1.33×10-3Pa(1×10-5Torr)程度以下の真空雰囲気下で、数秒から数十分印加する。
【0086】
尚、素子電極405、406間に印加する波形は三角波に限定する事はなく、矩形波など所望の波形を用いてもよい。一方徐々に波高値を増加させながら、電圧パルスを印加する場合は、三角波の波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)は、例えば、0.1Vステップ程度づつ増加させ、適当な真空雰囲気下で印加する。
【0087】
尚、この場合の通電フォーミング処理はパルス間のある時間、導電性薄膜407を局所的に破壊、変形しない程度の電圧、例えば、0.1V程度の電圧を印加し、素子電流を測定し、抵抗値を求め、例えば、1MΩ以上の抵抗を示したときに通電フォーミングを終了としても良い。
【0088】
フォーミングを終えた素子には活性化処理を施すのが好ましい。活性化処理を施すことにより、素子電流If、放出電流Ieが著しく変化する。
【0089】
活性化処理は、例えば、有機物質のガスを含有する雰囲気下で、フォーミングと同様に温調した状態で、パルスの印加を繰り返す通電処理で行うことができる。
【0090】
この雰囲気は、例えば油拡散ポンプやロータリーポンプなどを用いて画像形成装置の真空容器100(真空容器)内を排気した場合に雰囲気内に残留する有機ガスを利用して形成することができる他、イオンポンプなどにより一旦十分に排気した
真空中に適当な有機物質のガスを導入することによっても得られる。
【0091】
このときの好ましい有機物質のガス圧は、前述の応用の形態、真空容器100の形状や、有機物質の種類などにより異なるため場合に応じた適宣設定される。適当な有機物質としては、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノール、カルボン、スルホン酸等の有機酸類等を挙げることが出来、具体的には、メタン、エタン、プロパンなどCnH2n+2で表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレンなどCnH2n等の組成式で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フェノール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等が使用できる。
【0092】
この処理により、雰囲気中に存在する有機物質から、炭素あるいは炭素化合物が素子上に堆積し、素子電流If、放出電流Ieが、著しく変化するようになる。
【0093】
活性化処理の終了判定は、素子電流Ifと放出電流Ieを測定しながら、適宣行う。なおパルス幅、パルス間隔、パルス波高値などは適宣設定される。
【0094】
炭素及び炭素化合物とは、例えばグラファイト(いわゆるHOPG,PG,GCを包含する。HOPGはほぼ完全なグラファイトの結晶構造、PGは結晶粒が200A°程度で結晶構造がやや乱れたもの、GCは結晶粒20A°程度になり結晶構造の乱れがさらに大きくなったものを指す。)、非晶質カーボン(アモルファスカーボン及び、アモルファスカーボンと前記グラファイトの微結晶の混合物を指す。)であり、その膜厚は、500A°以下の範囲とするのが好ましく、300A°以下の範囲とすることがより好ましい。
【0095】
このような処理を経て得られた電子放出素子は、安定化処理を行うことが好ましい。この処理は、真空容器100内の有機物質を排気する。真空容器100を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用しないものを用いるのが好ましい。
【0096】
具体的には、ソープションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げることが出来る。
【0097】
前記活性化の工程で、排気装置として油拡散ポンプやロータリーポンプを用い、これから発生するオイル成分に由来する有機ガスを用いた場合は、この成分の分圧を極力低く抑える必要がある。真空容器100内の有機成分の分圧は、上記の炭素及び炭素化合物がほぼ新たに堆積しない分圧で1.33×10-6Pa(1×10-8torr)以下が好ましく、さらには1.33×10-8Pa(1×10-10)torr以下が特に好ましい。さらに真空容器内を排気するときには、真空容器100全体を加熱して、真空容器100内壁や、電子放出素子に吸着した有機物質分子を排気しやすくするのが好ましい。
【0098】
このときの加熱条件は、80〜350℃、好ましくは150〜300℃でできるだけ長時間行うのが望ましいが、特にこの条件に限るものではなく、真空容器内の大きさや形状、電子放出素子の構成などの諸条件により適宣選ばれる条件により行う。
【0099】
真空容器内の圧力は極力低くすることが必要で、1.33×10-5〜3.99×10-5Pa(1〜3×10-7torr)以下が好ましく、さらに1.33×10-6Pa(1×10-8torr)以下が特に好ましい。
【0100】
安定化処理を行った後の、駆動時の雰囲気は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ましいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去されていれば、真空度自体は多少低下しても十分安定な特性を維持することが出来る。
【0101】
このような真空雰囲気を採用することにより、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆積を抑制できるので素子電流If、放出電流Ieが安定する。
【0102】
更に真空容器100の排気管を封じ切り、画像表示装置を作製する。また、真空容器100の封止後の真空度を維持するために、ゲッター処理を行なうこともできる。これは、真空容器100の封止を行う直前あるいは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加熱等を用いた加熱により、真空容器100内の所定の位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する処理である。
【0103】
ゲッターは通常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、たとえば1.33×10-3Paないし1.33×10-5Pa(1×10-5ないし1×10-7torr)の真空度を維持することができる。
【0104】
次に、フレキ接続等を用いて上配線302に接続された走査駆動手段(不図示)と、下配線301に接続された変調駆動手段(不図示)により、表面伝導型電子放出素子300の各素子に画像信号である走査信号と変調信号を提供し、それらの差電圧として駆動電圧すなわち電気信号が印加され、導電性薄膜407を電流が流れ、その一部が亀裂である電子放出部408より電子が前記電気信号に従った電子ビームとなって放出され、メタルバック206、蛍光体207に印加された高電圧(1〜10Kv)によって加速され、蛍光体207に衝突し蛍光体を発光させ、画像を表示する。
【0105】
ここで、メタルバック206の目的は、蛍光体のうち内面側への光をフェースプレート102側へ鏡面反射する事により輝度を向上する事、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用する事、前記真空容器内で発生した負イオンの衝突によるダメージからの蛍光体207の保護などである。
【0106】
上述した電子源として表面伝導型電子放出素子のほか、電界放出型電子放出素子を用いたものや、単純マトリクス型のほか、電子源からでた電子ビームを制御電極(グリッド電極配線)を用いて制御し画像を表示する画像表示装置においても、本発明の電子源の製造方法を応用することができる。
【0107】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明する。
【0108】
(実施例1)
図1〜6を用いて、本発明の画像表示装置の第1の実施例について説明する。リアプレート101として大きさ240mm×320mm、フェースプレート102として大きさ190mm×270mmのソーダガラス(熱膨張係数:9×10―6)を用いた。リアプレート101には、穴径Φ9.5mmの配管用の穴(不図示)を開けた。
【0109】
電子源200の主要構成である表面伝導型の電子放出型素子300は図3に示した構造を持ち、素子電極405、406はPtを蒸着法によって成膜し、フォトリソグラフィ技術(エッチング、リフトオフ法などの加工技術を含む)によって加工し、膜厚100nm、電極間隔L=2μm、素子電極長さW=200μmの形状に加工した。
【0110】
導電性薄膜407として有機金属溶液である有機パラジウム(奥野製薬(株)製、CCP-4230)含有溶液を塗布した後、300℃で10分間の加熱処理をして、パラジウムを主成分とする微粒子(平均粒径8nm)からなる微粒子膜を形成し、フォトリソグラフィ技術(エッチング、リフトオフなどの加工技術を含む)によって加工し、導電性薄膜407を形成した。
【0111】
次に、表面伝導型の電子放出素子300に電力を供給するための配線として、下配線301、補助配線304としてAgペーストインキを印刷し、焼成(焼成温度550℃)し、厚さ8μm、幅100μm、ピッチ600μmで60000本形成した。
【0112】
次に層間絶縁層303としてガラスペーストを印刷、焼成(焼成温度550℃)し、幅200μm、厚さ12μmの形状で60000個形成した。更に、上配線としてAgペーストインキを印刷し、焼成し(焼成温度550℃)し、厚さ12μm、幅200μmの形状で200本形成した。
【0113】
尚、上配線302及び下配線301の配線取り出し部である電極パッド110は、500μm×800μmの形状で配線ピッチ600μmに形成した。
【0114】
一方、フェースプレート102には蛍光体207としてグリーンの蛍光体(化成オプトニクス(株)、P22GN4)を塗布し、更にメタルバック207として厚さ200nmのAlを高分子フィルミングを用いて作成した。
【0115】
外枠109の形状は厚さ5mm、外形150mm×230mm、幅10mm、材質はソーダガラスである。更に外枠109にはゲッター(不図示)を取り付けた。前記外枠109をリアプレート101と前記フェースプレート102で挟み、該リアプレート101、フェースプレート102と外枠109が接続する部分にフリットガラス208(日本電気硝子(株)製のLS−0206)を塗布し、仮固定し、更に内径10mm、外形12mmのソーダガラス製の排気管にフリットガラス208を塗布し、リアプレート101の穴のあいた部分に仮固定し、これら全部を焼成炉に入れ450℃で20分間焼成し画像表示装置の表示部、電子源を含む、排気管が取り付けられた真空気密可能な真空容器100を組み立てた。
【0116】
上記のように組み立てた真空容器100を図5に示すような製造装置に設置し、排気管を通して外部の真空排気系(不図示)により、1.33×10-3Pa(1×10-5)Torr以下まで真空排気した。
【0117】
まず、室温(20℃)で抵抗値の測定を行った。図5に示す製造装置において、下配線301側のプローブユニット106は3個でプローブピン105を100本保持し、上配線302側はプローブユニットが2個でプローブピンを100本保持している。図6(a)に示すようにリアプレート101の延び方向に対して予め全てのプローブピン105を全ての電極パッド110の端に合うようにプローブユニット106に配置保持させておく。ここで用いたプローブピン105は鉄を金メッキしたものからなり、接触部の直径は30μmであった。
【0118】
次に、プローブ装置511をY軸駆動機構514により電極パッド110上に移動し、アライメント手段としてのアライメント機構512によりプローブピン105と電極パッド110をプローブピン105の1ピン目が電極パッド110の端に合うようにアライメントした後、Z軸駆動機構513によりプローブピン105を電極パッド110に接触させ、駆動回路518より電圧を1V印加し、電流値を測定し、抵抗値を算出した。抵抗値は上配線のライン抵抗で3Ωであった。
【0119】
次に、プローブ装置511をZ軸駆動機構513により電極パッド110上から上昇させ、Y軸駆動機構514により電極パッド110から移動させて離す。
【0120】
次に、温調ヒータ電源(不図示)でフェースヒータ104及びリアヒータ103により真空容器100を挟んだ状態で真空容器100が100℃になるまで加熱温調した。それと同時に、図1(a)に示すように芳香族ポリエステル系樹脂樹脂(熱膨張係数:100×10-6)からなるプローブユニット106を埋め込みヒータ111により、FN50合金(熱膨張係数:9.4×10-6)からなるプローブアーム108を埋め込みヒータ112により100℃になるまで温調ヒータ電源516により加熱温調した。
【0121】
この時、各プローブピンと各電極パッドの位置関係は図6(b)に示すようになり、各プローブユニット106の100本目の延び量(L)が約431μm、これに対して電極パッドの幅(W)が500μmあるので、室温時に図6(a)の位置関係にあるので、温度が100℃になってもプローブピン105を電極パッド110におろせば全て接触する。
【0122】
図5に示すように、プローブ装置511をY軸駆動機構514により電極パッド110上に移動し、アライメント機構512によりプローブピン105と電極パッド110を各プローブユニット106の1本目のプローブピン105をリアプレート101の延び方向に対して電極パッド110の端に合うようにアライメントした。そして、Z軸駆動機構513によりプローブピン105を配線パッド110に接触させ、駆動回路518より電圧を印加しフォーミング処理した。フォーミングは三角波形(底辺1msec、周期10msec、波高値5V)の電圧パルスを60秒間印加し、電子放出部408を形成した。
【0123】
この時、各プローブユニットの1本目はプローブアーム107とリアプレート101の熱膨張率がほぼ同じなので位置のずれはほとんど無く、又、各プローブユニット106の最終ピンである100本目のプローブピンもプローブユニット106とリアプレート101の位置ずれは約431μmであり、全てのプローブピン105が全ての電極パッド110上に確実に接触していた。
【0124】
その結果、電圧のばらつきは0.01V以下であり、また真空容器100にヒビが入ることもなく割れることも無かった。
【0125】
次に真空容器100内にベンゾニトリルを導入し、駆動回路518より電圧を印加し活性化処理した。
【0126】
活性化は底辺1msec、周期10msec、波高値15Vの三角波を60分間印加し活性化処理を終了した。
【0127】
この時、電圧のばらつきは0.01V以下であり、真空容器100にヒビが入ることもなく割れることも無かった。
【0128】
以上のようにフォーミング処理、活性化処理を行い、電子放出部408を形成し電子放出素子300を形成した。
【0129】
次に、ベンゾニトリルを排気し、1.33×10-4Pa(10-6Torr)程度の真空度に達した後、安定化処理のために加熱処理(ベーキング)を行った。即ち、Z軸駆動機構514でプローブ装置511を電極パッド110から上昇し、Y軸駆動機構513により真空容器100から移動した。
【0130】
プローブ装置511を移動した後、電極パッド110を目視観察したところ、電極パッドは傷ついていなかった。
【0131】
その後、真空容器100の温度を250℃で10時間加熱し、フェースプレート102やリアプレート101及び電子源近傍に付着した有機ガス(ベンゾニトリル)等の除去を行ない、安定化処理(ベーキング)を行った。
【0132】
次に1.33×10-4Pa(10-6Torr)程度の真空度まで排気し、不図示の排気管をガスバーナーで熱することで溶着し真空容器100の封止を行った。
【0133】
最後に封止後の真空度を維持するために、高周波加熱法でゲッター処理を行ない画像表示装置を製造した。
【0134】
以上のように完成した画像表示装置を不図示の変調駆動手段、走査駆動手段と下配線、上配線間をフレキ接続でつなぎ、画像表示信号を電子源である表面伝導型の電子放出素子300に供給し、同時に蛍光体207とメタルバック206に5Kv印加し、画像を表示させた。
【0135】
素子特性を測定したところ、電子放出効率は0.1%であり、そのばらつきは5%以下であり、均一で画像表示特性に優れる画像表示装置が得られた。
【0136】
以上のように、電極パッドの傷付きが無く、真空容器100が割れることもなく、広い温度範囲にわたって通電処理が可能で、配線の高密度化が可能となり、画像品位に優れ、大画面で、高精細な画像表示装置を提供することができる。
【0137】
(実施例2)
第2の実施例として、電極パッドに千鳥配列を用いた画像表示装置の製造方法について説明する。
【0138】
図7は本実施例に用いた配線取り出し部である千鳥配列の電極パッド710を示し、Pは上配線の配線ピッチ、Dは電極パッド710の電極幅を示す。
【0139】
素子電極長さ100μm、下配線の幅50μm、ピッチ300μmで600本、上配線の幅100μm、ピッチ300μmで400本、層間絶縁層として幅100μmで240000個、電極パッドは3本ずつの千鳥配列以外は全て実施例1と同様に真空気密可能な真空容器100を形成した。
【0140】
次に、室温(20℃)で抵抗値の測定を行った。下配線側のプローブユニットは3個でプローブピンを200本保持し、上配線側はプローブユニットが2個でプローブピンを200本保持している以外は全て実施例1と同様にした。
【0141】
次に、実施例1と同様にプローブピンを電極パッドに接触させて抵抗値を測定した。
【0142】
次に、実施例1と同様にプローブピンを電極パッドから移動した。
【0143】
次に、実施例1と同様に温度を100℃に温調した。
【0144】
この時、各プローブピンと各電極パッドの位置関係は図6(b)に示すようになり、各プローブユニットの200本目の延び量(L)が約433μm、これに対して電極パッドの幅(D)が500μmあるので、室温時に図6(a)の位置関係にあるので、温度が100℃になってもプローブピンを電極パッドにおろせば全て接触する。
【0145】
次に、実施例1と同様にフォーミングを実施した。
【0146】
この時、各プローブユニットの1本目はプローブアームとリアプレートの熱膨張率がほぼ同じなので位置のずれはほとんど無く、又、各プローブユニットの最終ピンである200本目のプローブピンもプローブユニットとリアプレートの位置ずれは約433μmであり、全てのプローブピンが全ての電極パッド上に確実に接触していた。その結果、電圧のばらつきは0.01V以下であり、また真空容器100にヒビが入ることもなく割れることも無かった。
【0147】
次に実施例1と同様に活性化を実施した。
【0148】
活性化終了後、プローブ装置を移動した後、電極パッド710を目視観察したところ、電極パッド710は傷ついていなかった。
【0149】
次に実施例1と同様に安定化処理、真空排気、封止、ゲッター処理を行ない画像表示装置を製造した。
【0150】
以上のように完成した画像表示装置を不図示の変調駆動手段、走査駆動手段と下配線、上配線間をフレキ接続でつなぎ、画像表示信号を電子源である表面伝導型電子放出素子300に供給し、同時に蛍光体207とメタルバック206に5Kv印加し、画像を表示させた。
【0151】
素子特性を測定したところ、電子放出効率は0.1%であり、そのばらつきは5%以下であり、均一で画像表示特性に優れる画像表示装置が得られた。
【0152】
本実施例では、実施例1に比べて上配線と下配線の本数を夫々倍にすることができ、画素数を4倍に高密度化することが可能となった。
【0153】
以上のように、電極パッドの傷付きが無く、真空容器100が割れることもなく、広い温度範囲にわたって通電処理が可能で、配線の高密度化が可能となり、画像品位に優れ、大画面で、高精細な画像表示装置を提供することができる。
【0154】
【発明の効果】
上記のように説明された本発明によると、温度変化を伴う環境下で接続される電子源の電極と装置側の電気的接続手段との接続を安定して行うことが可能となり、電子源に設けられた複数の電子放出素子のそれぞれに安定した電力供給が行われる。
【0155】
従って、製造工程の安定化を図り、電極配置の高密度化への対応が可能で、画像表示装置の高精細化及び高品質化が可能となる。
【0156】
具体的な効果としては、電極部材と電極とのズレの発生が抑えられ、電極部材及び電極の損傷を防止する。また、真空容器全体と電極部との温度差が少なくなり、容器の破損が抑制される。各電子放出素子へ均一な電圧印加ができ、電子放出効率の素子間バラツキも小さい。また、電圧の損失が無く確実に電圧の印加が可能となり、フォーミング、活性化を良好に実施することができるので、良好な素子特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子源の製造方法の概略説明図である。
【図2】画像表示装置の断面図である。
【図3】電子源の構成図である。
【図4】電子放出素子の構造図である。
【図5】電子源の製造装置の概略図である。
【図6】プローブピンと電極パッドの位置関係を説明する図である。
【図7】千鳥配列の電極パッドの説明図である。
【符号の説明】
100 真空容器
101 リアプレート
102 フェースプレート
103 リアヒータ
104 フェースヒータ
105 プローブピン
106 プローブユニット
107 プローブアーム
109 外枠
110,710 電極パッド
111,112 埋め込みヒータ
113,114,515,517 リード線
200 電子源
206 メタルバック
207 蛍光体
208 フリットガラス
300 電子放出素子
301 下配線
302 上配線
303 層間絶縁層
304 補助配線
405,406 素子電極
407 導電性薄膜
408 電子放出部
511 プローブ装置
512 アライメント機構
513 Y軸駆動機構
514 Z軸駆動機構
516 温調ヒータ電源
518 駆動回路
519 フェースヒータアーム
520 フェースヒータ駆動装置

Claims (8)

  1. 電子放出素子に接続する複数の電極を基板上に配列して備えた電子源に対し、電気的接続手段に備えられた複数の電極部材を前記複数の電極に接触させて、通電処理を行う工程を含む電子源の製造方法において、
    前記電気的接続手段と前記電子源をほぼ同じ温度に加熱しながら、前記通電処理を行うことを特徴とする電子源の製造方法。
  2. 前記通電処理を行う前に、前記電子源と前記電気的接続手段とをほぼ同じ温度に加熱した状態で、前記複数の電極部材を前記複数の電極に接触させることを特徴とする請求項1に記載の電子源の製造方法。
  3. 電子放出素子に接続する複数の電極を基板上に配列して備えた電子源を加熱する第1の温度調整手段と、
    前記電子源に備えられた複数の電極に対し、対応する複数の電極部材を接触させて通電処理を可能とする電気的接続手段と、
    前記複数の電極部材を前記複数の電極に接触させるために前記電気的接続手段を移動させる移動手段と、
    前記電気的接続手段を、前記第1の温度調整手段により加熱する電子源の温度とほぼ同じ温度に加熱する第2の温度調整手段と
    を備えことを特徴とする電子源の製造装置。
  4. 前記電気的接続手段は、前記複数の電極の配列と平行に配列された、前記複数の電極部材を保持する電極ユニットと、前記電極ユニットを複数支持する電極アームとを備え、前記第2の温度調整手段は、前記電極ユニットと前記電極アームの少なくともいずれか一方または両方に備えられることを特徴とする請求項に記載の電子源の製造装置。
  5. 前記電極ユニットの熱膨張率をα、前記電極アームの熱膨張率をβ、前記基板の熱膨張率をγとすると、α,β,γがα≧γ≒βの関係にあることを特徴とする請求項に記載の電子源の製造装置。
  6. 前記第1の温度調整手段は、室温より高い温度から100℃までの範囲で電子源を加熱することを特徴とする請求項乃至5のいずれか1項に記載の電子源の製造装置。
  7. 更に、前記電極部材と前記電極とのアライメントを調整するアライメント手段を有し、予め当該アライメント手段により、前記電極部材を、対応する前記電極に設けられた電極パッドの前記電極が加熱により基準位置から移動しようとする方向に対して基準位置側となる端に位置させることを特徴とする請求項乃至6のいずれか1項に記載の電子源の製造装置。
  8. 記電子放出素子から放出された電子が照射されることにより発光して画像を表示可能とする画像表示手段を備えた基板を前記電子源と対向するように一体的に形成し
    前記第1の温度調整手段は、前記画像表示手段を備えた基板と前記電子源の基板とを上下から加熱することを特徴とする請求項乃至7のいずれか1項に記載の電子源の製造装置。
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