JP3689626B2 - 画像信号の復号化方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光ディスクや磁気テープ等の蓄積系記録媒体を用いて画像のデータを量子化及び逆量子化する方法及び光ディスクや磁気テープ等の蓄積系記録媒体を用いた情報記録装置及び情報再生装置、又、例えばいわゆるテレビ会議システム、動画電話システム、放送用機器に適応して好適な画像信号の復号化方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えばテレビ会議システムやテレビ電話システム等のような映像信号及び音声信号を遠隔地に伝送する、いわゆる信号伝送システムにおいては、伝送路を効率良く利用するため、映像信号や音声信号を符号化することにより情報の伝送効率を高めることが行われている。
【0003】
特に、動画像データは情報量が極めて多いため、この情報を長時間記録する場合には、映像信号を高能率符号化して記録すると共に、その記録された信号を読み出したときに能率良く復号化する手段が不可欠となり、このような要求に応えるべく、映像信号の相関を利用した高能率符号化方式が提案されており、その高能率符号化方式の1つにMPEG(Moving Picture Experts Group)方式がある。
【0004】
このMPEG方式は、まず、フレーム間相関を利用して、映像信号の画像フレーム間の差分を取ることにより時間軸方向の冗長度を落とし、その後、ライン相関を利用して、離散コサイン変換(DCT)等の処理を用いて空間軸方向の冗長度を落とすことにより映像信号を能率良く符号化している。
【0005】
フレーム間相関を利用すると、例えば図9の(A)に示すように、時刻t=t1 、t2 、t3 において、フレーム画像PC1、PC2、PC3がそれぞれ発生しているとき、フレーム画像PC1とPC2との画像信号の差を演算して、図9の(B)に示すように画像PC12を生成し、また、図9の(A)のフレーム画像PC2とPC3との画像信号の差を演算して、図9の(B)の画像PC23を生成する。通常、時間的に隣接するフレーム画像は、それほど大きな変化がないため、2つのフレーム画像の差を演算したときの差分信号は小さな値となる。
【0006】
すなわち、図9の(B)に示す画像PC12においては、図9の(A)のフレーム画像PC1とPC2の画像信号の差として、図9の(B)の画像PC12の図中斜線で示す部分の差分信号が得られ、また、図9の(B)に示す画像PC23においては、図9の(A)のフレーム画像PC2とPC3の画像信号の差として、図9の(B)の画像PC23の図中斜線で示す部分の差分信号が得られる。そこで、この差分信号を符号化すれば、符号量を圧縮することができる。
【0007】
しかしながら、上記差分信号のみを伝送したのでは元の画像を復元することはできないため、各フレームの画像を、Iピクチャ(Intra-coded picture:画像内符号化又はイントラ符号化画像)、Pピクチャ(Predictive-coded picture :前方予測符号化画像)、Bピクチャ(Bidirectionally predictive-coded picture:両方向予測符号化画像)のいずれかのピクチャとし、画像信号を圧縮符号化するようにしている。
【0008】
即ち、例えば、図10の(A)及び(B)に示すように、フレームF1からフレームF17までの17フレームの画像信号をグループオブピクチャとし、処理の1単位とする。そして、その先頭のフレームF1の画像信号はIピクチャとして符号化し、第2番目のフレームF2はBピクチャとして、また第3番目のフレームF3はPピクチャとして、それぞれ処理する。以下、第4番目以降のフレームF4からフレームF17は、Bピクチャ又はPピクチャとして交互に処理する。
【0009】
Iピクチャの画像信号としては、その1フレーム分の画像信号をそのまま伝送する。これに対して、Pピクチャの画像信号としては、基本的には、図10の(A)に示すように、それより時間的に先行するIピクチャ又はPピクチャの画像信号からの差分を符号化して伝送する。さらに、Bピクチャの画像信号としては、基本的には、図10の(B)に示すように、時間的に先行するフレーム及び後行するフレームの両方の画像信号の平均値からの差分を求め、その差分を符号化して伝送する。
【0010】
図11の(A)及び(B)は、このようにして、動画像信号を符号化する方法の原理を示している。尚、図11の(A)は動画像信号のフレームのデータを、図11の(B)は伝送されるフレームデータを模式的に示している。この図11に示すように、最初のフレームF1はIピクチャ、すなわち非補間フレームとして処理されるため、そのまま伝送データF1X(伝送非補間フレームデータ)として伝送路に伝送される(画像内符号化)。これに対して、第2のフレームF2はBピクチャ、すなわち補間フレームとして処理されるため、時間的に先行する上記フレームF1と、時間的に後行するフレームF3(フレーム間符号化の非補間フレーム)の平均値との差分が演算され、その差分が伝送データ(伝送補間フレームデータ)F2Xとして伝送される。
【0011】
但し、このBピクチャとしての処理は、さらに細かく説明すると、4種類存在する。その第1の処理は、元のフレームF2のデータを図中破線の矢印SP1で示すように、そのまま伝送データF2Xとして伝送するものであり(イントラ符号化)、Iピクチャにおける場合と同様の処理となる。第2の処理は、時間的に後行するフレームF3からの差分を演算し、図中破線の矢印SP2で示すように、その差分を伝送するものである(後方予測符号化)。第3の処理は、図中破線の矢印SP3で示すように、時間的に先行するフレームF1との差分を伝送するものである(前方予測符号化)。さらに、第4の処理は、図中破線の矢印SP4で示すように、時間的に先行するフレームF1と、後行するフレームF3の平均値との差分を生成し、これを伝送データF2Xとして伝送するものである(両方向予測符号化)。
【0012】
この4種類の方法のうち、伝送データが最も少なくなる方法が採用される。
【0013】
尚、差分データを伝送するときには、差分を演算する対象となるフレームの画像(予測画像)との間の動きベクトルx1(前方予測符号化の場合のフレームF1とF2との間の動きベクトル)、もしくは動きベクトルx2(後方予測符号化の場合のフレームF3とF2との間の動きベクトル)、又は動きベクトルx1とx2の両方(両方向予測の場合)が、差分データと共に伝送される。
【0014】
また、PピクチャのフレームF3(フレーム間符号化の非補間フレーム)は、時間的に先行するフレームF1を予測画像として、このフレームF1との差分信号(破線矢印SP3で示す)と、動きベクトルx3が演算され、これが伝送データF3Xとして伝送される(前方予測符号化)。あるいはまた、元のフレームF3のデータがそのまま伝送データF3Xとして伝送(破線矢印SP1で示す)される(イントラ符号化)。このPピクチャにおいて、いずれの方法により伝送されるかは、Bピクチャにおける場合と同様であり、伝送データがより少なくなる方が選択される。
【0015】
尚、BピクチャのフレームF4とPピクチャのフレームF5も上述の方法と同様に処理され、伝送データF4X、F5X、動きベクトルx4、x5、x6等が得られる。
【0016】
また、図12は、画像シーケンスをフレーム内/フレーム間符号化する方法の他の例を示した図である。この図12では、15枚のフレームの周期が符号化の1つの単位となっている。
【0017】
ここで、フレーム2はフレーム内符号化されるIピクチャであり、フレーム5、8、11、14は、前方向からのみ予測されて、フレーム間符号化されるPピクチャであり、フレーム0、1、3、4、6、7、9、10、12、13は、前方向及び後方向の両方向から予測されて、フレーム間符号化されるBピクチャである。
【0018】
このフレーム内/フレーム間符号化のときの、入力順序、符号化順序、復号化順序、及び出力(表示)順序を、図13に示す。
【0019】
図14は、上述した原理に基づいて、動画像信号を符号化して伝送し、これを復号化する装置の構成例を示している。符号化装置1は、入力された映像信号を符号化し、伝送路としての記録媒体3に伝送して記録するようになされている。そして、復号化装置2は、記録媒体3に記録された信号を再生し、これを復号して出力するようになされている。
【0020】
先ず、符号化装置1においては、入力端子10を介して入力された映像信号VDが前処理回路11に入力され、そこで輝度信号と色信号(この例の場合、色差信号)が分離され、それぞれA/D(アナログ/ディジタル)変換器12、13でA/D変換される。A/D変換器12、13によりA/D変換されてディジタル信号となった映像信号は、フレームメモリ14に送られて記憶される。このフレームメモリ14では、輝度信号を輝度信号フレームメモリ15に、また、色差信号を色差信号フレームメモリ16に、それぞれ記憶させる。
【0021】
次に、フォーマット変換回路17は、フレームメモリ14に記憶されたフレームフォーマットの信号を、ブロックフォーマットの信号に変換する。即ち、図15の(A)に示すように、フレームメモリ14に記憶された映像信号は、1ライン当りHドットのラインがVライン集められたフレームフォーマットのデータとされている。フォーマット変換回路17は、この1フレームの信号を、16ラインを単位としてN個のスライスに区分する。そして、各スライスは、図15の(B)に示すように、M個のマクロブロックに分割される。各マクロブロックは、図15の(C)に示すように、16×16個の画素(ドット)に対応する輝度信号により構成され、この輝度信号は、図15の(C)に示すように、さらに8×8ドットを単位とするブロックY[1]からY[4]に区分される。そして、この16×16ドットの輝度信号には、8×8ドットのCb信号と、8×8ドットのCr信号が対応される。
【0022】
このとき、図15の(A)に示す各スライス内の動画像信号の配列は、図15の(C)に示すマクロブロック単位で動画像信号が連続するようになされており、このマクロブロック内では、ラスタ走査の順により微小ブロック単位で動画像信号が連続するようになされている。
【0023】
このように、ブロックフォーマットに変換されたデータは、フォーマット変換回路17からエンコーダ18に供給され、エンコード(符号化)が行われる。エンコーダ18の詳細については、図16を参照して後述する。
【0024】
エンコーダ18によりエンコードされた信号は、ビットストリームとして伝送路に出力され、例えば記録媒体3に記録される。この記録媒体3より再生されたデータは、復号化装置2のデコーダ31に供給され、デコード(復号化)される。デコーダ31の詳細については、図19を参照して後述する。
【0025】
デコーダ31によりデコードされたデータは、フォーマット変換回路32に入力され、上記ブロックフォーマットから上記フレームフォーマットに変換される。そして、このフレームフォーマットの輝度信号は、フレームメモリ33の輝度信号フレームメモリ34に送られて記憶され、色差信号は色差信号フレームメモリ35に送られて記憶される。輝度信号フレームメモリ34と色差信号フレームメモリ35とから読み出された輝度信号と色差信号は、D/A変換器36、37によりそれぞれD/A変換され、さらに後処理回路38に供給され、この後処理回路38で合成される。この出力映像信号は、出力端子30から図示しない、例えばCRTなどのディスプレイに出力され、表示される。
【0026】
次に図16を参照して、エンコーダ18の構成について説明する。
【0027】
先ず、入力端子49を介して供給された符号化されるべき画像データは、前記マクロブロック単位で動きベクトル検出回路50に入力される。動きベクトル検出回路50は、予め設定されている所定のシーケンスに従って、各フレームの画像データを、Iピクチャ、Pピクチャ、又はBピクチャとして処理する。ここで、シーケンシャルに入力される各フレームの画像を、I,P,Bのいずれのピクチャとして処理するかは、予め定められている(例えば、図10に示したように、フレームF1からF17より構成されるグループオブピクチャは、I,B,P,B,P,・・・B,Pとして処理される)。
【0028】
上記Iピクチャとして処理されるフレーム(例えば、前記フレームF1)の画像データは、動きベクトル検出回路50からフレームメモリ51の前方原画像部51aに転送されて記憶され、Bピクチャとして処理されるフレーム(例えばフレームF2)の画像データは、原画像部(参照原画像部)51bに転送されて記憶され、Pピクチャとして処理されるフレーム(例えばフレームF3)の画像データは、後方原画像部51cに転送されて記憶される。
【0029】
また、次のタイミングにおいて、さらにBピクチャ(例えば、前記フレームF4)又はPピクチャ(例えばフレームF5)として処理すべきフレームの画像が入力されたとき、それまで後方原画像部51cに記憶されていた最初のPピクチャ(フレームF3)の画像データが、前方原画像部51aに転送され、次のBピクチャ(フレームF4)の画像データが、原画像部51bに記憶(上書き)され、次のPピクチャ(フレームF5)の画像データが、後方原画像部51cに記憶(上書き)される。このような動作が順次繰り返される。
【0030】
上記フレームメモリ51に記憶された各ピクチャの信号は、読み出されて予測モード切り換え回路52に送られる。この予測モード切り換え回路52においては、フレーム予測モード処理、又はフィールド予測モード処理が行われる。さらにまた予測判定回路54の制御の下に、演算部53において、画像内予測、前方予測、後方予測、又は両方向予測の演算が行われる。これらの処理のうち、いずれの処理を行うかは、予測誤差信号(処理の対象とされている参照画像と、これに対する予測画像との差分)に対応して決定される。このため、動きベクトル検出回路50は、この判定に用いられる予測誤差信号の絶対値和(自乗和でもよい)を生成する。
【0031】
ここで、予測モード切り換え回路52におけるフレーム予測モードとフィールド予測モードとについて説明する。
【0032】
上記予測モード切り換え回路52においてフレーム予測モードが設定された場合には、予測モード切り換え回路52は、動きベクトル検出回路50より供給される4個の輝度ブロックY[1]からY[4]を、そのまま後段の演算部53に出力する。即ち、この場合においては、図17の(A)に示すように、各輝度ブロックに奇数フィールドのラインのデータと、偶数フィールドのラインのデータとが混在した状態となっている。尚、図17の各マクロブロック中の実線は奇数フィールドのライン(第1フィールドのライン)のデータを、破線は偶数フィールドのライン(第2フィールドのライン)のデータを示し、図17中のa及びbは動き補償の単位を示している。上記フレーム予測モードにおいては、4個の輝度ブロック(マクロブロック)を単位として予測が行われ、4個の輝度ブロックに対して1個の動きベクトルが対応される。
【0033】
これに対して、予測モード切り換え回路52においてフィールド予測モードが設定された場合には、図17の(A)に示す構成で動きベクトル検出回路50より入力される信号を、図17の(B)に示すように、例えば4個の輝度ブロックの内の輝度ブロックY[1]とY[2]とを奇数フィールドのラインのデータのみより構成し、他の2個の輝度ブロックY[3]とY[4]とを偶数フィールドのラインのデータのみより構成して、演算部53に出力する。この場合においては、2個の輝度ブロックY[1]とY[2]とに対して1個の動きベクトルが対応され、他の2個の輝度ブロックY[3]とY[4]とに対して他の1個の動きベクトルが対応される。
【0034】
図16の構成に即して説明すると、動きベクトル検出回路50は、フレーム予測モードにおける予測誤差の絶対値和とフィールド予測モードにおける予測誤差の絶対値和とを、予測モード切り換え回路52に出力する。この予測モード切り換え回路52では、フレーム予測モードとフィールド予測モードとにおける予測誤差の絶対値和を比較し、その値が小さいほうの予測モードに対応する上述したような処理を施し、これにより得られるデータを演算部53に出力する。
【0035】
但し、このような処理は、実際には動きベクトル検出回路50で行われる。即ち、動きベクトル検出回路50は、決定されたモードに対応する構成の信号を予測モード切り換え回路52に出力し、この予測モード切り換え回路52は、その信号を、そのまま後段の演算部53に出力する。
【0036】
尚、色差信号は、フレーム予測モードの場合には図17の(A)に示すように、奇数フィールドのラインのデータと偶数フィールドのラインのデータとが混在する状態で、演算部53に供給される。また、フィールド予測モードの場合には図17の(B)に示すように、各色差ブロックCb[5]、Cr[6]の上半分(4ライン)が、輝度ブロックY[1]、Y[2]に対応する奇数フィールドの色差信号とされ、各色差ブロックCb[5]、Cr[6]の下半分(4ライン)が、輝度ブロックY[3]、Y[4]に対応する偶数フィールドの色差信号とされる。
【0037】
また、動きベクトル検出回路50は、次のようにして、予測判定回路54において、画像内予測、前方予測、後方予測、又は両方向予測のいずれの予測を行うかを決定するための予測誤差の絶対値和を生成する。
【0038】
即ち、画像内予測の予測誤差の絶対値和として、参照画像のマクロブロックの信号Aijの和ΣAijの絶対値|ΣAij|と、マクロブロックの信号Aijの絶対値|Aij|の和Σ|Aij|との差を求める。また、前方予測の予測誤差の絶対値和として、参照画像のマクロブロックの信号Aijと、予測画像のマクロブロックの信号Bijとの差(Aij−Bij)の絶対値|Aij−Bij|の和Σ|Aij−Bij|を求める。また、後方予測と両方向予測の予測誤差の絶対値和も、前方予測における場合と同様に(その予測画像を前方予測における場合と異なる予測画像に変更して)求める。
【0039】
これらの絶対値和は、予測判定回路54に供給される。予測判定回路54は、前方予測、後方予測および両方向予測の予測誤差の絶対値和のうち、最も小さいものを、インター(inter) 予測の予測誤差の絶対値和として選択する。さらに、このインター予測の予測誤差の絶対値和と、画像内予測の予測誤差の絶対値和とを比較して小さい方を選択し、この選択した絶対値和に対応するモードを予測モードとして選択する。即ち、画像内予測の予測誤差の絶対値和の方が小さければ、画像内予測モードが設定される。インター予測の予測誤差の絶対値和の方が小さければ、前方予測、後方予測、又は両方向予測モードのうち、対応する絶対値和が最も小さいモードが設定される。
【0040】
このように、動きベクトル検出回路50は、参照画像のマクロブロックの信号を、予測モード切り換え回路52により選択されたフレーム予測モード又はフィールド予測モードに対応する図17で示したような構成で、予測モード切り換え回路52を介して演算部53に供給すると共に、4つの予測モードのうちで予測判定回路54により選択された予測モードに対応する予測画像と参照画像との間の動きベクトルを検出し、後述する可変長符号化回路58と動き補償回路64とに出力する。尚、上述したように、この動きベクトルとしては、対応する予測誤差の絶対値和が最小となるものが選択される。
【0041】
予測判定回路54は、動きベクトル検出回路50が前方原画像部51aよりIピクチャの画像データを読み出すときには、予測モードとして、フレーム(画像)内予測モード(動き補償を行わないモード)を設定し、演算部53のスイッチを接点a側に切り換える。これにより、Iピクチャの画像データがDCTモード切り換え回路55に入力される。
【0042】
このDCTモード切り換え回路55は、図18の(A)又は(B)に示すように、4個の輝度ブロックのデータを、奇数フィールドのラインと偶数フィールドのラインとが混在する状態(フレームDCTモード)、又は奇数フィールドのラインと偶数フィールドのラインとが分離された状態(フィールドDCTモード)のいずれかの状態にして、DCT回路56に出力する。即ち、DCTモード切り換え回路55は、奇数フィールドのデータと偶数フィールドのデータとを混在してDCT処理した場合の符号化効率と、奇数フィールドのデータと偶数フィールドのデータとを分離してDCT処理した場合の符号化効率とを比較し、符号化効率の良好なモードを選択する。
【0043】
例えば、入力された信号を、図18の(A)に示すように、奇数フィールドのラインと偶数フィールドのラインとが混在する構成とし、上下に隣接する奇数フィールドのラインの信号と偶数フィールドのラインの信号との差を演算し、さらにその絶対値の和(又は自乗和)を求める。また、入力された信号を、図18の(B)に示すように、奇数フィールドのラインと偶数フィールドのラインとが分離した構成とし、上下に隣接する奇数フィールドのライン同士の信号の差と、偶数フィールドのライン同士の信号の差をそれぞれ演算し、それぞれの絶対値の和(又は自乗和)を求める。さらに、上記求められた両者(絶対値和)を比較し、小さい値に対応するDCTモードを設定する。即ち、このDCTモード切り換え回路55は、前者の方が小さければフレームDCTモードを設定し、後者の方が小さければフィールドDCTモードを設定する。そして、選択したDCTモードに対応する構成のデータをDCT回路56に出力すると共に、選択したDCTモードを示すDCTフラグを可変長符号化回路58と動き補償回路64とに出力する。
【0044】
予測モード切り換え回路52における予測モード(図17参照)と、DCTモード切り換え回路55におけるDCTモード(図18参照)とを比較して明らかなように、輝度ブロックに関しては、両者の各モードにおけるデータ構造は実質的に同一である。
【0045】
予測モード切り換え回路52においてフレーム予測モード(奇数ラインと偶数ラインとが混在するモード)が選択された場合、DCTモード切り換え回路55においてもフレームDCTモード(奇数ラインと偶数ラインとが混在するモード)が選択される可能性が高く、また予測モード切り換え回路52においてフィールド予測モード(奇数フィールドのデータと偶数フィールドのデータとが分離されたモード)が選択された場合、DCTモード切り換え回路55においてフィールドDCTモード(奇数フィールドのデータと偶数フィールドのデータとが分離されたモード)が選択される可能性が高い。
【0046】
しかしながら、必ずしも常にそのようになされるわけではなく、予測モード切り換え回路52においては、予測誤差の絶対値和が小さくなるように予測モードが決定され、DCTモード切り換え回路55においては、符号化効率が良好となるようにDCTモードが決定される。
【0047】
DCTモード切り換え回路55より出力されたIピクチャの画像データはDCT回路56に入力されてDCT(離散コサイン変換)処理され、DCT係数に変換される。このDCT係数は量子化回路57に入力され、後段の送信バッファ59のデータ蓄積量(バッファ蓄積量)に対応した量子化ステップで量子化された後、可変長符号化回路58に入力される。
【0048】
可変長符号化回路58は、量子化回路57より供給される量子化ステップ(スケール)に対応して、量子化回路57より供給される画像データ(この場合は、Iピクチャのデータ)を、例えばハフマン(Huffman) 符号などの可変長符号に変換し、送信バッファ59に出力する。また、可変長符号化回路58には、量子化回路57からの量子化ステップ(スケール)、予測判定回路54からの予測モード(画像内予測、前方予測、後方予測、又は両方向予測のいずれが設定されたかを示すモード)、動きベクトル検出回路50からの動きベクトル、予測モード切り換え回路52からの予測フラグ(フレーム予測モード又はフィールド予測モードのいずれが設定されたかを示すフラグ)、及びDCTモード切り換え回路55からのDCTフラグ(フレームDCTモード又はフィールドDCTモードのいずれが設定されたかを示すフラグ)が入力されており、これらも可変長符号化される。
【0049】
送信バッファ59は、入力されたデータを一時蓄積し、蓄積量に対応するデータを量子化回路57に出力する。送信バッファ59は、送信バッファ59内のデータ残量が許容上限値まで増量すると、量子化制御信号によって量子化回路57の量子化ステップを大きくすることにより、量子化データのデータ量を低下させる。また、これとは逆に、送信バッファ59内のデータ残量が許容下限値まで減少すると、送信バッファ59は量子化制御信号によって量子化回路57の量子化ステップを小さくすることにより、量子化データのデータ量を増大させる。このようにして、送信バッファ59のオーバフロー又はアンダフローが防止される。そして、送信バッファ59に蓄積されたデータは、所定のタイミングで読み出され、出力端子69を介して伝送路に出力され、例えば前記記録媒体3に記録される。
【0050】
一方、量子化回路57より出力されたIピクチャのデータは逆量子化回路60に入力され、量子化回路57より供給される量子化ステップに対応して逆量子化される。逆量子化回路60の出力はIDCT(逆DCT)回路61に入力されて逆DCT処理される。
【0051】
ここで、変換回路66には、予測モード切り換え回路52からの予測フラグ及びDCTモード切り換え回路55からのDCTフラグが入力されている。また、変換回路65には予測モード切り換え回路52からの予測フラグが入力されている。IDCT回路61で逆DCT処理されたデータは、変換回路66、演算器62及び変換回路65を介すことにより、データの整合性が取られた後、フレームメモリ63の前方予測画像部63aに供給され、記憶される。
【0052】
ところで、動きベクトル検出回路50は、シーケンシャルに入力される各フレームの画像データを、例えば、I、B、P、B、P、B・・・のピクチャとしてそれぞれ処理する場合には、最初に入力されたフレームの画像データをIピクチャとして処理した後、次に入力されたフレームの画像をBピクチャとして処理する前に、さらにその次に入力されたフレームの画像データをPピクチャとして処理する。即ち、上記Bピクチャは後方予測を伴うため、後方予測画像としてのPピクチャが先に用意されていないと、復号化されることができないからである。
【0053】
そこで、動きベクトル検出回路50は、Iピクチャの処理の次に、後方原画像部51cに記憶されているPピクチャの画像データの処理を開始する。そして、上述した場合と同様に、マクロブロック単位でのフレーム間差分(予測誤差)の絶対値和が、動きベクトル検出回路50から予測モード切り換え回路52と予測判定回路54とに供給される。予測モード切り換え回路52及び予測判定回路54は、このPピクチャのマクロブロックの予測誤差の絶対値和に対応して、フレーム/フィールド予測モード、又は画像内予測、前方予測、後方予測、もしくは両方向予測の予測モードを設定する。
【0054】
画像内予測モードが設定されたときには、演算部53内のスイッチを上述したように接点a側に切り換える。従って、上記Pピクチャの画像データは、Iピクチャの画像データと同様に、DCTモード切り換え回路55、DCT回路56、量子化回路57、可変長符号化回路58、送信バッファ59を介して伝送路に伝送される。また、この画像データは、逆量子化回路60、IDCT回路61、変換回路66、演算器62、変換回路65を介してフレームメモリ63の後方予測画像部63bに供給され、記憶される。
【0055】
一方、前方予測モードのときには、演算部53内のスイッチが接点b側に切り換えられると共に、フレームメモリ63の前方予測画像部63aに記憶されている画像(いまの場合、Iピクチャの画像)データが読み出され、動き補償回路64により、動きベクトル検出回路50が出力する動きベクトルに対応して動き補償される。即ち、動き補償回路64は、予測判定回路54より前方予測モードの設定を指令されたとき、前方予測画像部63aの読み出しアドレスを、動きベクトル検出回路50が現在出力しているマクロブロックの位置に対応する位置から動きベクトルに対応する分だけずらしてデータを読み出し、予測画像データを生成する。
【0056】
動き補償回路64より出力された予測画像データは、演算器53aに供給される。演算器53aは、予測モード切り換え回路52より供給された参照画像のマクロブロックのデータから、動き補償回路64より供給された、上記マクロブロックに対応する予測画像データを減算し、その差分(予測誤差)を出力する。この差分データは、DCTモード切り換え回路55、DCT回路56、量子化回路57、可変長符号化回路58、送信バッファ59を介して出力端子69より伝送路に伝送される。また、この差分データは、逆量子化回路60及びIDCT回路61により局所的に復号化され、変換回路66を介して演算器62に入力される。
【0057】
この変換回路66には、予測モード切り換え回路52からの予測フラグとDCTモード切り換え回路55からのDCTフラグとが供給されており、これによってIDCT回路61からの出力の整合性が取られる。
【0058】
また、この演算器62には、演算器53aに供給されている予測画像データと同一のデータが供給されている。演算器62は、IDCT回路61が出力する差分データに、動き補償回路64が出力する予測画像データを加算する。これにより、元の(復号した)Pピクチャの画像データが得られる。このPピクチャの画像データは、変換回路65を介してフレームメモリ63の後方予測画像部63bに供給され、記憶される。
【0059】
このように、IピクチャのデータとPピクチャのデータとが前方予測画像部63aと後方予測画像部63bとにそれぞれ記憶された後、次に、動きベクトル検出回路50はBピクチャの処理を実行する。マクロブロック単位でのフレーム間差分の絶対値和の大きさに対応して、予測モード切り換え回路52はフレームモード又はフィールドモードを設定し、また、予測判定回路54は予測モードを画像内予測モード、前方予測モード、後方予測モード、又は両方向予測モードのいずれかに設定する。
【0060】
上述したように、フレーム内予測モード又は前方予測モードのときには、演算部53内のスイッチは接点a又は接点bに切り換えられる。このとき、Pピクチャにおける場合と同様の処理が行われ、データが伝送される。これに対して、後方予測モード又は両方向予測モードが設定されたときには、演算部53内のスイッチは、接点c又は接点dに切り換えられる。
【0061】
演算部53内のスイッチが接点c側に切り換えられる後方予測モードのときには、後方予測画像部63bに記憶されている画像(いまの場合、Pピクチャの画像)データが読み出され、動き補償回路64により、動きベクトル検出回路50が出力する動きベクトルに対応して動き補償される。即ち、動き補償回路64は、予測判定回路54より後方予測モードの設定を指令されたときには、後方予測画像部63bの読み出しアドレスを、動きベクトル検出回路50がいま出力しているマクロブロックの位置に対応する位置から動きベクトルに対応する分だけずらしてデータを読み出し、予測画像データを生成する。
【0062】
動き補償回路64より出力された予測画像データは、演算器53bに供給される。演算器53bは、予測モード切り換え回路52より供給された参照画像のマクロブロックのデータから、動き補償回路64より供給された予測画像データを減算し、その差分を出力する。この差分データは、DCTモード切り換え回路55、DCT回路56、量子化回路57、可変長符号化回路58、送信バッファ59を介して出力端子69から伝送路に伝送される。
【0063】
演算部53内のスイッチが接点d側に切り換えられる両方向予測モードのときには、前方予測画像部63aに記憶されている画像(いまの場合、Iピクチャの画像)データと、後方予測画像部63bに記憶されている画像(いまの場合、Pピクチャの画像)データとが読み出され、動き補償回路64により、動きベクトル検出回路50が出力する動きベクトルに対応して動き補償される。即ち、動き補償回路64は、予測判定回路54より両方向予測モードの設定を指令されたとき、前方予測画像部63aと後方予測画像部63bの読み出しアドレスを、動きベクトル検出回路50がいま出力しているマクロブロックの位置に対応する位置から動きベクトル(この場合の動きベクトルは、前方予測画像用と後方予測画像用の2つとなる)に対応する分だけずらしてデータを読み出し、予測画像データを生成する。
【0064】
動き補償回路64より出力された予測画像データは、演算器53cに供給される。演算器53cは、動きベクトル検出回路50より供給された参照画像のマクロブロックのデータから、動き補償回路64より供給された予測画像データの平均値を減算し、その差分を出力する。この差分データは、DCTモード切り換え回路55、DCT回路56、量子化回路57、可変長符号化回路58、送信バッファ59を介して出力端子69から伝送路に伝送される。
【0065】
Bピクチャの画像は、他の画像の予測画像とされることがないため、フレームメモリ63には記憶されない。
【0066】
尚、フレームメモリ63において、前方予測画像部63aと後方予測画像部63bとは、必要に応じてバンク切り換えが行われ、所定の参照画像に対して、一方又は他方に記憶されているものを、前方予測画像あるいは後方予測画像として切り換えて出力することができる。
【0067】
以上においては、輝度ブロックを中心として説明をしたが、色差ブロックについても同様に、図17及び図18に示すマクロブロックを単位として処理され、伝送される。尚、色差ブロックを処理する場合の動きベクトルは、対応する輝度ブロックの動きベクトルを垂直方向と水平方向に、それぞれ1/2にしたものが用いられる。
【0068】
次に、図19は、図14のデコーダ31の構成の一例を示すブロック図である。伝送路(記録媒体3)を介して伝送された符号化された画像データは、図示せぬ受信回路で受信されたり、再生装置で再生されたりした後に、入力端子80を介して、受信バッファ81に一時記憶される。この後、一時記憶された画像データは復号回路90の可変長復号化回路82に供給される。可変長復号化回路82は、受信バッファ81より供給されたデータを可変長復号化し、動きベクトル、予測モード、予測フラグ及びDCTフラグを動き補償回路87に、また、量子化ステップを逆量子化回路83に、それぞれ出力すると共に、復号された画像データを逆量子化回路83に出力する。
【0069】
逆量子化回路83は、可変長復号化回路82より供給された画像データを、上記供給された量子化ステップに従って逆量子化し、IDCT回路84に出力する。逆量子化回路83より出力されたデータ(DCT係数)は、IDCT回路84で逆DCT処理され、変換回路88を介して演算器85に供給される。
【0070】
変換回路88には予測フラグ及びDCTフラグが供給されており、変換回路88ではこれらのフラグに基づいてIDCT回路84より供給された画像データの整合性を取っている。
【0071】
演算器85に供給された画像データがIピクチャのデータである場合には、そのデータは演算器85より出力され、演算器85に後に入力される画像データ(P又はBピクチャのデータ)の予測画像データ生成のために、変換回路89を介してフレームメモリ86内の前方予測画像部86aに供給されて記憶される。また、このデータは、変換回路89を介して出力端子91より図14のフォーマット変換回路32に出力される。
【0072】
演算器85に供給された画像データが、その1フレーム前の画像データを予測画像データとするPピクチャのデータであって、前方予測モードのデータである場合には、フレームメモリ86の前方予測画像部86aに記憶されている、1フレーム前の画像データ(Iピクチャのデータ)が読み出され、動き補償回路87で可変長復号化回路82より出力された動きベクトルに対応する動き補償が施される。そして、演算器85において、変換回路88を介してIDCT回路84より供給された画像データ(差分のデータ)と加算され、出力される。この加算されたデータ、即ち、復号されたPピクチャのデータは、演算器85に後に入力される画像データ(Bピクチャ又はPピクチャのデータ)の予測画像データ生成のために、変換回路89を介してフレームメモリ86内の後方予測画像部86bに供給されて記憶される。
【0073】
Pピクチャのデータであっても、画像内予測モードのデータは、Iピクチャのデータと同様に、演算器85において処理は行わず、そのまま変換回路89を介して後方予測画像部86bに記憶される。このPピクチャは、次のBピクチャの次に表示されるべき画像であるため、この時点では、まだフォーマット変換回路32へ出力されない(上述したように、Bピクチャの後に入力されたPピクチャが、Bピクチャより先に処理され、伝送されている)。
【0074】
IDCT回路84より供給された画像データが、Bピクチャのデータである場合には、可変長復号化回路82より供給された予測モードに対応して、フレームメモリ86内の前方予測画像部86aに記憶されているIピクチャの画像データ(前方予測モードの場合)、後方予測画像部86bに記憶されているPピクチャの画像データ(後方予測モードの場合)、又はその両方の画像データ(両方向予測モードの場合)が読み出され、動き補償回路87において、可変長復号化回路82より出力された動きベクトルに対応する動き補償が施されて、予測画像が生成される。但し、動き補償を必要としない場合(画像内予測モードの場合)には、予測画像は生成されない。
【0075】
このようにして、動き補償回路87で動き補償が施されたデータは、演算器85において、変換回路88からの出力と加算される。この加算出力は、変換回路89を介して出力端子91より図14のフォーマット変換回路32に出力される。但し、この加算出力はBピクチャのデータであり、他の画像の予測画像生成のために利用されることがないため、フレームメモリ86には記憶されない。
【0076】
Bピクチャの画像が出力された後、後方予測画像部86bに記憶されているPピクチャの画像データが読み出され、動き補償回路87を介して演算器85に供給される。但し、このとき、動き補償は行われない。
【0077】
尚、このデコーダ31には、図16のエンコーダ18における予測モード切り換え回路52とDCTモード切り換え回路55とに対応する回路が図示されていないが、これらの回路に対応する処理、即ち、奇数フィールドのラインの信号と偶数フィールドのラインの信号とが分離された構成を元の混在する構成に必要に応じて戻す処理は、動き補償回路87が実行する。
【0078】
また、以上においては、輝度信号の処理について説明したが、色差信号の処理も同様に行われる。但し、この場合、動きベクトルは、輝度信号用のものを、垂直方向及び水平方向に1/2にしたものが用いられる。
【0079】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の画像信号の符号化において量子化及び逆量子化を行う際には、量子化の細かさを表す値、即ち量子化幅(量子化ステップサイズ)を用いる。この量子化幅には2から62までの偶数の値が用いられる。また、この量子化幅を表す値として、量子化特性(QUANT) がある。この量子化特性には1から31の整数値が用いられており、上記量子化幅はこの量子化特性を2倍した値である。
【0080】
上記量子化幅は、一般の画像を目標のデータ量に圧縮する場合に必要な値である。しかし、一般の画像より統計的な性質が大きく外れている画像を上記量子化幅を用いて圧縮すること、例えば、画素の相関が極端に低い画像、又はホワイトノイズに近い画像を、周波数領域での係数の集中を利用するDCT符号化により圧縮することは、非常に困難である。即ち、この場合には、上記量子化特性の最大値である31を用いても、画像を目標のサイズに圧縮することはできない。
【0081】
また、非常に高画質な画像を得ようとする場合、例えば歪みがほとんどない(ロスレスという)画像を得ようとする場合には、用いられる量子化特性は最小値である1でも大きすぎるため、画像を精確に復元することができるような量子化を行うことができない。
【0082】
さらに、画像信号の符号化においては、圧縮されたビットストリームは目標の伝送速度に制御される場合が多い。このとき、一般的な線形量子化器においては、上記量子化特性と上記量子化特性に基づいて量子化された画像データの発生ビット量とは、反比例に近い関係をもつ(より正確には、対数に近い関係である)。
【0083】
従って、量子化特性が小さい範囲にある場合に、量子化特性を1だけ変化させると、上記発生ビット量は大きく変化する。例えば、量子化特性を1から2に変化させた場合には、発生ビット量は約半分になる。これは、量子化特性が小さい範囲にある場合には、量子化特性の間隔が広すぎて、上記発生ビット量を細かく制御することは困難であることを示している。
【0084】
逆に、量子化特性が大きい範囲にある場合に、量子化特性を1だけ変化させても、上記発生ビット量はほとんど変化しない。例えば、量子化特性を30から31に変化させた場合には、上記量子化特性が31であるときの発生ビット量は、上記量子化特性が30であるときの発生ビット量の5%も変化することはない。これは、量子化特性が大きい範囲にある場合には、量子化特性の間隔が不必要に狭いことを示している。
【0085】
以上のような問題を克服するために、量子化特性として1から31の単純に増える数列をそのまま用いるのではなく、非線形な数列にマッピングする方法がある。ここで、量子化特性を非線形な数列にマッピングしたときの上記量子化特性を求めるための量子化情報とこの量子化情報による量子化特性との関係を表2に示す。尚、上記量子化情報はインデックスと呼ばれて、数値で表されることもある。
【0086】
【表2】
Figure 0003689626
【0087】
この非線形な数列の量子化特性を用いることにより、上述したような量子化特性の範囲により生じる問題点を解決することはできる。しかし、上記量子化特性は非線形な数列へ変換されたテーブル(マッピング)の値であるため、符号化装置及び復号化装置においては、上記テーブルの値を記憶するための構成が必要になる。このため、符号化装置及び復号化装置を構成するハードウェア量が増大する。
【0088】
図20には、従来の非線形な数列の量子化特性を用いたときの逆量子化器の概略的な構成を示す。この非線形な数列の量子化特性を記憶するためにROM(リードオンリメモリ)等を用いたテーブル部200を用意し、このテーブル部200から8ビットの量子化特性を読み出す。乗算器201において、上記量子化特性に量子化された画像データのためのnビットの変換係数を乗算し、量子化データを逆量子化する。この逆量子化器内では上記テーブル部200のために大規模な回路を必要とし、また上記乗算器201にも同様に大規模な回路が必要である。
【0089】
即ち、従来の画像信号の符号化装置及び復号化装置においては、量子化特性として1から31までの値、もしくは表2に示すような非線形な数列の値を用いるために、上記画像信号の符号化装置内の量子化器及び上記画像信号の復号化装置内の逆量子化器には乗算器が必要となる。この乗算器は回路規模が大きく、上記画像信号の符号化装置及び復号化装置の構成にとって大きな障害となっている。
【0090】
そこで、本発明は上述の実情に鑑み、構成回路の規模を増大せずに、画像データの量子化及び逆量子化の際に適切な量子化特性を用いることができるような符号化/復号化に適用可能な画像信号の復号化方法及び装置を提供することを目的とするものである。
【0091】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る画像信号の復号化方法では、伝送された符号化データを逆量子化し、上記逆量子化されたデータを逆DCT変換を行って復号化して、画像データを復元する画像信号の復号化方法において、上記伝送された符号化データは、量子化情報及び切換信号を含み、上記逆量子化の際には、5ビットの符号で表現される上記量子化情報に対応する32種類の量子化幅からなる線形の量子化特性に基づいて線形逆量子化を行うか、または5ビットの符号で表現される上記量子化情報に対応する32種類の量子化幅からなる非線形の量子化特性(QUANT)に基づいて非線形逆量子化を行うかを上記切換信号によって選択可能とし、上記量子化情報は、第1の量子化情報及び第2の量子化情報より成り、上記第1の量子化情報は2のべき乗の指数を表現するための値として定義され、上記第2の量子化情報は2のべき乗値に乗算される係数に相当する値として定義されると共に、上記非線形の量子化特性は、上記2のべき乗値と上記係数との乗算値を用いて表され、上記非線形の量子化特性は、量子化幅が小さい範囲にある場合には、上記線形の量子化特性よりも狭い量子化幅の変化とし、量子化幅が中央付近の範囲にある場合には、上記線形の量子化特性と同じ量子化幅の変化とし、量子化幅が大きい範囲にある場合には、上記線形の量子化特性よりも広い量子化幅の変化とすることにより上述した課題を解決する。
【0092】
このような画像信号の符号化方法あるいは復号化方法において、量子化情報の内の2のべき乗の指数を表現するための値である第1の量子化情報にk、2のべき乗値に乗算される係数に相当する値である第2の量子化情報に(i/2+j)を用いることにより量子化特性を求め、この量子化特性の定数倍を量子化幅とすることが好ましい。
ここで、j、kは正の整数であり、iは0又は1で表される値である。
【0093】
また、上記量子化特性QUANT は、
QUANT =(i/2+j)×2k +2(k+2) −4
に示す式で表される。
【0094】
さらに、上記第1の量子化情報及び第2の量子化情報より成る上記量子化情報は、5ビットの符号で表現され、上記量子化情報k、j、iと上記量子化特性との関係は、例えば表1に表すものとする。
【0095】
そのうえ、上記量子化特性が2進数で表現されるときに、連続した4ビット又は5ビットに有効ビットが存在する。
【0096】
このとき、符号化データを逆量子化する際に、符号化データを3回加算し、この加算結果を上記第1の量子化情報kによって定まるビット分シフトする。
【0097】
また、量子化情報の内の2のべき乗の指数を表現するための値である第1の量子化情報にm、2のべき乗値に乗算される係数に相当する値である第2の量子化情報にαi を用いることにより量子化特性を求め、この量子化特性の定数倍を量子化幅とすることが好ましい。
ここで、mは所望の量子化特性を表すのに必要なべき数値(整数)、αi (i=1〜n)は0又は1で表される値である。
【0098】
このとき、上記量子化特性QUANT は、
QUANT =2(m-1) +α1 ×2(m-2) +α2 ×2(m-3) +・・+αn ×2(m-n-1)
に示す式で表される。
ここで、nは量子化特性の精度を表す、予め定められた整数値である。
【0099】
さらに、上記第1の量子化情報mの取り得る範囲を表すのに必要なビット数をLとしたときに、上記第1の量子化情報及び第2の量子化情報より成る上記量子化情報は(L+n)ビットの符号で表現され、符号化データを逆量子化する際に、符号化データをn回加算し、この加算結果をLビット分シフトする。
【0100】
また、上記第1の量子化情報及び第2の量子化情報より成る上記量子化情報は5ビットの符号で表現されるものとする。
【0101】
このとき、符号化データを逆量子化する際には、符号化データを2回加算し、この加算結果を3ビット分シフトする。
【0102】
なお、上記本発明に係る画像信号の復号化方法に対応する符号化方法としては、量子化の際には、量子化情報の内の2のべき乗の指数を表現するための値を第1の量子化情報、2のべき乗値に乗算される係数に相当する値を第2の量子化情報として、2のべき乗値と上記係数との乗算値を用いて表される非線形の量子化特性(QUANT)に基づいて量子化を行うことが挙げられる。
【0103】
また、本発明に係る画像信号の復号化方法では、伝送された画像データを可変長復号化して得られたデータを逆量子化し、上記逆量子化されたデータを逆DCT変換を行って復号化して、画像データを復元する画像信号の復号化方法において、上記画像データと共に量子化情報及び切換信号が伝送され、上記逆量子化の際には、5ビットの符号で表現される上記量子化情報に対応する32種類の量子化幅からなる線形の量子化特性に基づいて逆量子化を行うか、または5ビットの符号で表現される上記量子化情報に対応する32種類の量子化幅からなる非線形の量子化特性(QUANT)に基づいて逆量子化を行うかを上記切換信号によって選択可能とし、上記量子化情報は、第1の量子化情報及び第2の量子化情報より成り、上記第1の量子化情報は2のべき乗の指数を表現するための値として定義され、上記第2の量子化情報は2のべき乗値に乗算される係数に相当する値として定義されると共に、上記非線形の量子化特性は、上記2のべき乗値と上記係数との乗算値を用いて表され、上記非線形の量子化特性は、量子化幅が小さい範囲では、上記線形の量子化特性よりも狭い量子化幅の変化とし、量子化幅が中央付近の範囲では、上記線形の量子化特性と同じ量子化幅の変化とし、量子化幅が大きい範囲では、上記線形の量子化特性よりも広い量子化幅の変化とすることにより上述した課題を解決する。
【0104】
ここで、上記線形/非線形量子化切換信号がフレーム単位で切り換わることにより、線形逆量子及び非線形逆量子化がフレーム単位で行われることを特徴とする。
【0105】
また、本発明に係る画像信号の復号化装置では、伝送された画像データを逆量子化し、上記逆量子化されたデータを逆DCT変換を行って復号化して、画像データを復元する画像信号の復号化装置において、上記画像データと共に量子化情報及び切換信号が伝送され、伝送された画像データを可変長復号化する可変長復号化部と、5ビットの符号で表現される上記量子化情報に対応する32種類の量子化幅からなる線形の量子化特性に基づいて線形逆量子化を行う手段と、5ビットの符号で表現される上記量子化情報に対応する32種類の量子化幅からなる非線形の量子化特性(QUANT)に基づいて非線形逆量子化を行う手段とよりなり、これらの手段が上記切換信号によって選択可能とされる逆量子化部と、上記逆量子化されたデータに所定の演算を施す変換部とを有して成り、上記量子化情報は、第1の量子化情報及び第2の量子化情報より成り、上記第1の量子化情報は2のべき乗の指数を表現するための値として定義され、上記第2の量子化情報は2のべき乗値に乗算される係数に相当する値として定義されると共に、上記非線形の量子化特性は、上記2のべき乗値と上記係数との乗算値を用いて表され、上記非線形の量子化特性は、量子化幅が小さい範囲にある場合には、上記線形の量子化特性よりも狭い量子化幅の変化とし、量子化幅が中央付近の範囲にある場合には、上記線形の量子化特性と同じ量子化幅の変化とし、量子化幅が大きい範囲にある場合には、上記線形の量子化特性よりも広い量子化幅の変化とすることにより上述した課題を解決する。
【0106】
ここで、上記逆量子化部は、上記第1の量子化情報を変換するテーブル部と、上記第1の量子化情報に基づいて上記第2の量子化情報をシフトするシフト手段と、上記テーブル部からの出力と上記シフト手段からの出力とを加算する加算手段と、上記量子化されたデータと上記加算手段の出力とを乗算する乗算手段とを有して成ることを特徴とする。
【0107】
また、上記逆量子化部は、上記第1の量子化情報を変換するテーブル部と、上記テーブル部からの出力と上記第2の量子化情報とを加算する加算手段と、上記加算手段からの出力と上記量子化されたデータとを乗算する乗算手段と、上記乗算手段からの出力を上記第1の量子化情報により定められるビット分シフトするシフト手段とを有して成り、上記乗算手段は、3段の加算器から構成されることを特徴とする。
【0108】
さらに、上記逆量子化部は、上記第1の量子化情報を変換するテーブル部と、上記テーブル部からの出力と上記第2の量子化情報とを加算する加算手段と、上記可変長復号化部により復号化されて画像データと共に伝送される線形/非線形量子化切換信号に従って、上記加算手段からの出力と線形量子化情報との何れかを切換選択する選択手段と、上記選択手段からの出力と上記量子化されたデータとを乗算する乗算手段と、上記線形/非線形量子化切換信号が非線形量子化を示す場合のみ、上記乗算手段からの出力を上記第1の量子化情報により定められるビット分だけシフトするシフト手段とを有して成り、上記乗算手段は、3段の加算器から構成されることを特徴とする。
【0109】
なお、上記本発明に係る画像信号の復号化方法に対応する符号化方法としては、線形量子化した際の発生ビット量を評価し、この評価結果に基づいて量子化の方法を示す線形/非線形量子化切換信号を生成し、この線形/非線形量子化切換信号が非線形量子化を示す場合には、量子化情報の内の2のべき乗の指数を表現するための値を第1の量子化情報、2のべき乗値に乗算される係数に相当する値を第2の量子化情報として、2のべき乗値と上記係数との乗算値を用いて表される非線形の量子化特性(QUANT) に基づいて量子化を行うことが挙げられる。
【0110】
また、上記本発明に係る画像信号の復号化装置に対応する符号化装置としては、入力画像信号を所定の予測画像信号を用いて符号化する符号化部と、上記符号化部で符号化された信号に所定の変換演算を施す変換部と、上記変換部からの信号に、量子化情報の内の2のべき乗の指数を表現するための値を第1の量子化情報、2のべき乗値に乗算される係数に相当する値を第2の量子化情報として、2のべき乗値と上記係数との乗算値を用いて表される非線形の量子化特性(QUANT) に基づいて量子化を施す量子化部と、上記量子化された信号を可変長符号化する可変長符号化部とを有して成ることが挙げられる。
【0111】
さらに、本発明に係る画像信号の復号化装置に対応する符号化装置としては、入力画像信号を所定の予測画像信号を用いて符号化する符号化部と、上記符号化部で符号化された信号に所定の変換演算を施す変換部と、線形量子化した際の発生ビット量を評価する評価部と、上記評価部の評価結果に基づいて量子化の方法を示す線形/非線形量子化切換信号を生成する切換信号生成部と、上記切換信号生成部からの線形/非線形量子化切換信号が線形量子化を示す場合には、上記変換部からの信号に線形量子化を施す第1の量子化部と、上記切換信号生成部からの線形/非線形量子化切換信号が非線形量子化を示す場合には、上記変換部からの信号に、量子化情報の内の2のべき乗の指数を表現するための値を第1の量子化情報、2のべき乗値に乗算される係数に相当する値を第2の量子化情報として、2のべき乗値と上記係数との乗算値を用いて表される非線形の量子化特性(QUANT) に基づいて量子化を施す第2の量子化部と、上記第1の量子化部又は第2の量子化部で量子化された信号を可変長符号化する可変長符号化部とを有して成ることが挙げられる。
【0112】
【作用】
量子化特性を非線形な数列の値に変換し、この非線形な数列の値への変換方法を適切に選択する。
【0113】
このとき、段数の少ない乗算器とシフト演算とだけで量子化及び逆量子化を行う。
【0114】
また、加算とシフト演算とだけで量子化及び逆量子化を行う。
【0115】
【実施例】
以下、本発明の好ましい実施例について、表及び図面を参照しながら説明する。
【0116】
本発明の第1の実施例では、量子化情報の内の2のべき乗の指数を表現するための値を第1の量子化情報、2のべき乗値に乗算される係数に相当する値を第2の量子化情報として、2のべき乗値と上記係数との乗算値を用いて表される非線形の数列の量子化特性(QUANT) に基づいて量子化又は逆量子化を行う。よって、上記第1の量子化情報にk、上記第2の量子化情報に(i/2+j)を用いた場合には、下記の(1)式より量子化特性QUANT を求めることができる。この量子化特性を用いて、画像信号の符号化装置では符号化を行い、画像信号の復号化装置では復号化を行う。
Figure 0003689626
上記(1)式中のj及びkは正の整数であり、i は0又は1で表される値である。
【0117】
ここで、上記MPEG方式により符号化されたビットストリームには可変長符号化コードが含まれるので、途中から復号化する場合には、発生し得る全ての可変長符号化コードが発生しても、一意に解読できる特別のコードが必要となる。上記ビットストリーム中では、23個以上の0が続くコードが特別のコードである。従って、その他の可変長符号化コードのどのような組合せにおいても、0が23個以上続くことがないように、その他の可変長符号化コードを制限するために、量子化特性は量子化情報の全ビットが同時に0であることを禁止している。
【0118】
(1)式で表現される数列は、上記量子化情報kを固定化して考えれば2のべき乗を公差とする等差数列であり、上記量子化情報jで表現される個数をpとすれば、その公差は2×p個単位で切り換わる。
【0119】
次に、(1)式で表すことができる量子化特性を表3に示す。
【表3】
Figure 0003689626
【0120】
表3では、量子化情報として、kが2ビット、jが2ビット、iが1ビットの合計5ビットを示しており、また、その量子化情報に対応する量子化特性の10進数値及び2進数値を表示している。上記量子化情報の5ビットは最上位ビットから(Q1 Q2 Q3 Q4 Q5)とし、最初の2ビットの量子化情報k(Q1 Q2) を(1)式中の2のべき乗の指数を表現するための値である第1の量子化情報、残りの2ビットの量子化情報j(Q3 Q4) 及び1ビットの量子化情報i(Q5)を(1)式中の2のべき乗値に乗算される係数に相当する値である第2の量子化情報としている。
【0121】
また、Xで示される8個単位の量子化特性のグループは等差数列をなしており、上記8個単位のグループが切り換わるときに公差が変更される。表3に示す非線形な数列を用いる場合には、(1)式により量子化情報の変換を一意に定められるので、量子化幅を(1)式で表すことができる値で表現することによって、その変換表を記憶しておくためのメモリ等が不必要になる。
【0122】
上記量子化情報k、j、iで示す5ビットは、量子化特性の1から31までの値を送るのに必要なビット数であるので、従来の量子化特性を求める方法と本発明による量子化特性を求める方法とを用いる画像信号の符号化装置及び復号化装置においては、互換性を保つことができる。
【0123】
また、表3では、上述のように量子化特性のグループをXとして表している。それぞれのグループの初期値をαとすれば、αとXとにより量子化特性はα+X×2n (nは自然数)と表すことができる。これにより、上記8個単位のグループは先頭から0+X、4+2X、12+4X、28+8Xで表される。
【0124】
次に、表3に示すような非線形な数列への変換により量子化特性を再生する画像信号の復号化装置内の量子化特性再生回路の概略構成を図1に示す。
【0125】
上記Xの数列は、上記量子化情報(Q3 Q4 Q5)の値をシフト器110に入力し、量子化情報 (Q1 Q2)の値を用いてシフトすることにより、X×2n (nは自然数)を表現することができる。即ち、上記量子化情報(Q1 Q2) が(0 0) であるならば0ビット、(0 1) であるならば1ビット分、(1 0) であるならば2ビット分、(1 1) であるならば3ビット分、上記量子化情報(Q3 Q4 Q5)はシフトされる。
【0126】
ここで、表4に、テーブル部111に入力される上記量子化情報(Q1 Q2) の値と、上記テーブル部111で変換されて出力する値S1と、上述したように上記テーブル部111内で順次読み出される値S2との関係を示す。
【0127】
【表4】
Figure 0003689626
【0128】
また、図2には、図1中のシフト器110の概略的な構成を示す。各ANDゲート121〜132に入力される上記量子化情報(Q3 Q4 Q5)が、シフト量生成部120で上記量子化情報(Q1 Q2) に基づいて生成されたシフト量に応じて切り換えられ、さらに、ORゲート133、136、EX.ORゲート134、135を介すことにより、量子化情報はビット0出力端子b[0]〜ビット5出力端子b[5]に出力される。
【0129】
また、量子化情報(Q1 Q2) に従って、順次読み出される値0、4、12、28をテーブル部111中に用意し、上記読み出された値の上位3ビットと上記X×2n (nは自然数)の上位3ビットとを加算器112で加算する。さらに、その加算された値の4ビットと上記値X×2n の下位3ビットとにより7ビットの量子化特性QUANT を再生することができる。
【0130】
上述のような非線形の量子化特性を求めるための構成回路は、従来の表2に示す非線形の量子化特性を求めるための構成回路に比べて非常に小さい。これは、従来の非線形の量子化特性には規則性がなく、全てテーブルを参照することにより、多くのゲート数が必要となるためである。
【0131】
さらに、このようにして得られた量子化特性に、量子化された画像データ(量子化データ)としての変換係数を乗算することにより、逆量子化を行うわけである。この場合、上記表3から明らかなように、7ビット中の4ビットが有効ビットであるので、この量子化特性と画像信号の量子化データ(量子化データ)としての変換係数との乗算時には、3段の加算器を用いて乗算を行うことができる。
【0132】
次に、画像信号の符号化装置及び復号化装置内の逆量子化回路の概略的な構成を図3に示す。テーブル部141に入力される量子化情報(Q1 Q2) は、表5に示す値S3に変換されて加算器140に送られる。
【0133】
【表5】
Figure 0003689626
【0134】
この加算器140では、上記値S3と上記量子化情報 (Q3 Q4 Q5) とが加算され、この加算された値は信号切換器144に送られる。また、この信号切換器144には、線形量子化を行うための量子化情報(Q1 Q2 Q3 Q4 Q5)及び非線形量子化を行う際の量子化情報の最上位ビットとなる0が入力されている。さらに、信号切換器144には、線形量子化を行うか、又は非線形量子化を行うかを選択する線形/非線形量子化切換信号が入力されている。
【0135】
但し、ここでいう線形量子化とは、量子化情報の2進数値として表した値と量子化幅(ステップサイズ)との対応関係が線形であることをいい、非線形量子化とは、量子化情報の2進数値として表した値と量子化幅との対応関係が非線形であることをいう。
【0136】
この信号切換器144において、線形/非線形量子化切換信号によって線形量子化が選択された場合には、線形量子化を行うための量子化情報(Q1 Q2 Q3 Q4 Q5)が選択されて乗算器142に送られる。しかし、線形/非線形量子化切換信号によって非線形量子化が選択された場合には、加算器140からの4ビットの量子化情報と量子化情報の最上位ビットとなる0とが選択されて乗算器142に送られる。乗算器142では、入力された量子化情報にnビットの変換係数を乗算し、この乗算された値はシフト器143に出力される。
【0137】
このシフト器143には、量子化情報(Q1 Q2) 及び上記線形/非線形量子化切換信号が入力されている。よって、シフト器143において、上記線形/非線形量子化切換信号によって線形量子化が選択された場合には、上記乗算器142からの出力を、そのまま再生用データとして出力される。しかし、線形/非線形量子化切換信号によって非線形量子化が選択された場合には、入力されている量子化情報(Q1 Q2) に基づいて得られる、表6に示すシフト量で、上記乗算器142からの出力がシフトされ、再生用データとして出力される。
【0138】
【表6】
Figure 0003689626
【0139】
尚、表6において、線形/非線形量子化切換信号によって線形量子化が選択されるときの量子化情報(Q1 Q2) の値は、どのような組合せであってもシフト量には関係しないことを示す。
【0140】
上記量子化データを逆量子化したときのデータの再生値をA、量子化データとしての変換係数をCoeff 、量子化幅をSPとすると、再生値Aは以下の(2)式で表すことができる。
Figure 0003689626
【0141】
ここで、非線形量子化が選択された場合には、上記量子化特性QUANT を求める(2)式を以下のように変形する。
QUANT= ( (i/2+j) +(4−4/2k ) ) ×2k ・・・(3)
この(3)式中の (i/2+j) は上記加算器140に入力される第2の量子化情報(Q3 Q4 Q5) に対応しており、(4−4/2k ) は上記テーブル部141からの出力に対応しており、2k は上記シフト器143におけるシフト量を示している。従って、上記再生値Aは次の(4)式で示される。
A=Coeff ×((i/2+j) +( 4−4/2k ))×2(k+1) ・・(4)
【0142】
上記再生値Aを求めるための上記シフト器143の構成は簡単なものであり、上記乗算器142は変換係数のnビットと切換器144からの出力データの4ビット及び最上位ビットとを乗算することができる比較的段数の低いもので十分である。
【0143】
ここで、上述した第1の実施例においては、量子化特性の取り得る最大値は56.0であり、量子化幅は112である。しかし、実際の画像においては、例えばホワイトノイズが入力された場合などは、さらに大きい量子化特性が必要となる。これに対しては、第2の実施例として後述する2つの方法により対処することができる。
【0144】
第1の方法は、量子化情報が”00000”(2進数表現)のときには、この量子化情報は現在未使用であるため、この量子化情報が”00000”のときに量子化特性に64、96、128などの値を割り当てて、処理を行う方法である。量子化特性が64又は128に割り当てられるときは、逆量子化における乗算においてシフト器でシフトを行うのみで済むため、処理が容易である。また量子化特性が96に割り当てられるときも、加算器が1段だけでよいので、同様に処理が容易である。
【0145】
第2の方法は、量子化情報が”00000”(2進数表現)を使用するときには長いゼロ列を発生する可能性があるため、量子化情報が”11111”のときに量子化特性に64、96、128などの値を割り当てて、処理を行う方法である。
【0146】
さらに、第3の実施例として、28+8Xで示される4番目のグループのシフト量を大きく変更する場合の量子化特性を表7に示す。
【0147】
【表7】
Figure 0003689626
【0148】
表7の28+16Xで示す4番目のグループの量子化情報は、上記量子化情報kにより示されるシフト量の最大値を、この量子化情報kの連続性を無視して意識的に大きく設けることによって求められる。これにより、量子化特性の取り得る最大値が84.0になる。この値は、ホワイトノイズなどの特殊な入力に対しても、十分に対応することができる値である。また、この方法は、最大値まで連続した量子化特性を用意することができるため、符号化の制御を行うときにも好ましい方法である。また、この第3の実施例においても、上記第1の実施例と同様に、量子化情報が”00000”となることを禁止する。
【0149】
次に、表7に示すような非線形な数列への変換により量子化特性を再生する画像信号復号化装置内の量子化特性再生回路の概略構成を図4に示す。
【0150】
上記量子化情報(Q3 Q4 Q5)をシフト器150に入力し、量子化情報 (Q1 Q2)の値を用いてシフトすることにより、X×2n (nは自然数)を表現することができる。即ち、上記量子化情報(Q1 Q2) が(0 0) であるならば0ビット分、(0 1)であるならば1ビット分、(1 0) であるならば2ビット分、(1 1) であるならば4ビット分、上記量子化情報(Q3 Q4 Q5)はシフトされる。
【0151】
図5には、図4中のシフト器150の概略的な構成を示す。各ANDゲート161〜172に入力される上記量子化情報(Q3 Q4 Q5)が、シフト量生成部160で上記量子化情報(Q1 Q2) に基づいて生成されたシフト量に応じて切り換えられ、さらに、ORゲート173、175、176、EX.ORゲート174を介すことにより、量子化情報はビット0出力端子b[0]〜ビット6出力端子b[6]に出力される。
【0152】
量子化情報(Q1 Q2) に従って、順次読み出される値0、4、12、28をテーブル部151中に用意し、上記読み出された値の上位4ビットと上記X×2n (nは自然数)の上位4ビットとを加算器152で加算する。さらに、その加算された値の5ビットと上記値X×2n の下位3ビットとにより8ビットの量子化特性QUANT を再生することができる。上記テーブル部151から順に読み出される値は、上記第1の実施例と同様の表4に示される値である。
【0153】
次に、画像信号の符号化装置及び復号化装置内の逆量子化回路の概略的な構成を図6に示す。テーブル部181に入力される量子化情報 (Q1 Q2)は、表8に示す値S4に変換されて加算器180に送られる。
【0154】
【表8】
Figure 0003689626
【0155】
上記加算器180では、上記テーブル部181からの値S4と上記量子化情報(Q3 Q4 Q5)とが加算され、乗算器182でnビットの変換係数により乗算される。この乗算された値は、シフト器183で上記量子化情報(Q1 Q2) に基づいてシフトされることにより、画像データの再生が行われる。尚、この第3の実施例における逆量子化回路の乗算器182からの発生ビット数と、上述した第1の実施例における逆量子化回路の乗算器142からの発生ビット数とは異なる。
【0156】
よって、第3の実施例における量子化情報kが0、1、又は2の値を持つときの画像データの再生値Aは、上記(4)式により求められるが、量子化情報kが3の値を持つときの画像データの再生値Aは、(5)式から求められる。
A=Coeff ×((i/2+j) +1.75)×25 ・・・(5)
【0157】
上記再生値Aを求めるための上記シフト器183の構成は簡単なものであり、上記乗算器182は変換係数のnビットと加算器180からの出力データの5ビットとを乗算することができる比較的段数の低いもので十分である。
【0158】
次に、第4の実施例を説明する。本発明の画像信号の符号化方法では、下記の(6)式で表現される量子化特性QUANT により、画像信号を量子化する。
【0159】
Figure 0003689626
ここで、mは所望の量子化特性を表すのに必要なべき数値(整数)、αi (i=1〜n)は0又は1で表される値、nは量子化特性の精度を表す、予め定められた整数値である。
【0160】
この第4の実施例においては、(6)式の具体的な例として、べき数値mは0から7までの整数、量子化特性の精度nは2で表現される値により、信号を量子化する。上記(6)式では、べき数値mの代わりに、(m−1)を用いているが、本質的には同じである。
【0161】
上記(6)式で表すことができる量子化特性を表9に示す。
【0162】
【表9】
Figure 0003689626
【0163】
このように、表9に示す非線形な数列を用いる場合には、(6)式でマッピングを一意に定められるので、そのマッピングを記憶しておくメモリが不必要になる。
【0164】
さらに、表9の非線形な数列へのマッピングを用いる場合には、(6)式中の量子化情報を送るために、以下の符号を伝送する。先ず、量子化情報mを送るためには、0から7までの整数を送る必要があるので、3ビットが必要である。さらに、量子化情報α1 とα2 とを送るためには、それぞれ1ビットずつ必要なので、全体で5ビットが必要となる。この5ビットは、1から31の値を送るのに必要なビット数なので、ちょうど対応がとれており、従来の量子化特性と本発明の量子化特性との両方を採用するシステムでのコンパチビリティがとれる。
【0165】
ここで、上記5ビットの量子化情報(Q1 Q2 Q3 Q4 Q5) の構成の一例を示す。最初の3ビット(Q1 Q2 Q3)を2進数を用いて量子化情報mを表し、次に1ビットずつ(Q4 Q5) で、量子化情報α1 、α2 を表す。
【0166】
Q1 Q2 Q3 Q4 Q5 :5ビット
Q1 Q2 Q3 :000−111:量子化情報m
Q4 :0 or 1 :量子化情報α1
Q5 :0 or 1 :量子化情報α2
【0167】
次に、表9の非線形な数列へのマッピングを用いる場合の逆量子化を考える。表9の非線形な数列を2進数に展開すると、同時に1が立つビットは3個しかない。このため、加算は最大2回であり、加算器(アダー)が2個で構成できる。また、1が立つビットはランダムではなく、必ず連続しているので、2段の加算器(アダー)の後で、シフト器によって所望の位置までシフトすればよい。このような本発明の逆量子化の回路を図7に示す。本発明の逆量子化装置は、2個の加算器(フルアダー)190、191とシフト器192とで構成されている。このシフト器192では、(Q1 Q2 Q3)の値によって表10に示されるビット数だけ左にシフトを行う。このとき、LSBには、0を埋める。
【0168】
【表10】
Figure 0003689626
【0169】
ここに、具体的な例を示す。例えば、量子化幅が20、DCT係数が100のときに、このDCT係数を量子化する場合を説明する。このとき、量子化特性は5となり、この値を9ビツトで符号化すると、”000000101”に符号化され、伝送される。また、量子化幅20は、本発明の方法で5ビツトに符号化すると、
20=16+4、16=24 、4=22 なので、
m=5、α1=0、α2=1となり、5ビツトの符号は、”10101”となる。
【0170】
さて、復号化側では、量子化値(量子化データ)”000000101”と量子化幅”10101”とを受け取ると、これらを逆量子化回路に入力する。即ち、図7においてa0 ・・・a8 =”000000101”となり、
Figure 0003689626
となる。
【0171】
このとき、図7の逆量子化回路では、Q5=”1”なので、最上段のa0 ・・・a8 は、そのまま加算器190に入力されるが、Q4=”0”なので、次段のa0・・・a8 は、0が出力され、加算器190に入力されない。
【0172】
さらに、3段目のa0 ・・・a8 が、この加算結果と加えられる。このため、加算結果は”000000011001”となる。この値は、シフト器192に入力され、Q1 Q2 Q3 =”101”に従って2ビツトシフトされ、シフト器192からの出力は”000001100100”となり、このように量子化値”100”が得られる。このシフト器192におけるシフト量を上記表10に示し、この具体例におけるシフト量の計算方法を次の表11に示す。
【0173】
【表11】
Figure 0003689626
【0174】
次に、第5の実施例を説明する。
第4の実施例では、表9に示したように、2進数表示の小数点以下3位までの精度の量子化特性が定義されるが、量子化回路の受け付ける量子化特性の精度は、独立に定められる。例えば、一例として、量子化回路の受け付ける量子化特性の精度が、2進数表示の小数点以下1位までの場合、表9の量子化特性のうち、精度が高すぎる量子化特性を示す量子化情報を禁止する。このように制限した量子化特性を表12に示す。この第5の実施例では、禁止された量子化情報を用いることは出来ない。
【0175】
【表12】
Figure 0003689626
【0176】
また、精度が高すぎる量子化特性を示す量子化情報を禁止する代わりに、それらの量子化情報が、最寄りの受け入れられる精度の量子化特性を表すように割り当てを変更する場合を第6の実施例とする。これを表13に示す。表13で、例えば、量子化特性0.5を表す量子化情報は、”000xx”である。ここで、xは、don’t careを表し、その位置のビットが0であっても1であっても構わないことを示す。この第6の実施例では、第5の実施例のように禁止される量子化情報はない。
【0177】
【表13】
Figure 0003689626
【0178】
MPEG方式の符号化されたビットストリーム(bitstream) は、可変長符号化コード(VLC)を含むので、途中から復号化する場合には、発生し得る全ての可変長符号化コードに囲まれても、一意に解読できる特別のコードが必要である。MPEG方式の符号化されたビットストリームでは、23個以上の0が続くコードが特別のコードであり、このため、その他の可変長符号化コードのどのような組合せでも、23個以上の0が続くことがないように、その他の可変長符号化コードが制限されている。
【0179】
このため、0だけで構成される量子化情報は、なるべく用いられない。従って、表9、12、13内の量子化情報”00000”が問題となる。これを解消するには、例えば、表9においては、”0”と”1”とを反転することで、あまり用いられないと考えられる大きな量子化特性”112”を禁止する。この例を表14に示す。また、表13の精度を2倍にして、量子化情報を反転させる場合を表15に示す。
【0180】
【表14】
Figure 0003689626
【0181】
【表15】
Figure 0003689626
【0182】
次に、量子化情報を用いる際に、線形量子化と非線形量子化との切り換えが行われる場合の画像信号の符号化装置及び復号化装置について説明する。
【0183】
本発明実施例に係る画像信号の符号化装置の概略的な構成は、図16に示す従来の符号化装置と同様であるが、逆量子化回路60については、図3、図6、図7に示す概略的な構成の内の何れかの構成を持ち、量子化回路57については、図8に示す概略的な構成を持つものである。
【0184】
図8の量子化回路57には、図16のDCT回路56からの信号が入力され、最大係数選択回路210に送られる。この最大係数選択回路210では、最大係数を線形量子化で用いられる最大量子化幅62で除算して得られる値と量子化レベルの最大値256とを比較し、上記得られる値が量子化レベルの最大値と同じ、もしくは量子化レベルの最大値より小さい値であるならば、量子化特性選択回路211では線形量子化のための量子化特性が選択される。このとき、量子化特性選択回路211からは線形量子化が選択されたことを示す量子化選択信号が信号切換スイッチ212及び図16の可変長符号化回路58に出力される。よって、信号切換スイッチ212は端子a側に切り換えられるので、量子化特性選択回路211からの出力は、信号切換スイッチ212の端子aを介して線形量子化回路213に出力される。この線形量子化回路213では、線形の量子化特性により線形量子化が行われ、この線形量子化されたデータは可変長符号化回路58及び逆量子化回路60に出力される。
【0185】
また、上記可変長符号化回路58には、量子化特性選択信号と共に量子化幅(スケール)も入力されるので、この可変長符号化回路58では、上記量子化幅を用いて可変長符号化が行われる。
【0186】
これに対して、上記最大係数選択回路210での上記得られる値と量子化レベルの最大値との比較において、上記得られる値が量子化レベルの最大値より大きい値であるならば、量子化特性選択回路211では非線形量子化のための量子化特性が選択される。よって、量子化特性選択回路211からの非線形量子化が選択されたことを示す量子化選択信号が信号切換スイッチ212に出力され、信号切換スイッチ212は端子b側に切り換えられる。量子化特性選択回路211からの出力は、信号切換スイッチ212の端子bを介して非線形量子化回路214に出力されて、非線形の量子化特性により非線形量子化が行われる。この非線形量子化されたデータは可変長符号化回路58及び逆量子化回路60に出力される。
【0187】
また、線形量子化が行われる場合と同様に、上記可変長符号化回路58には、量子化特性選択信号と共に量子化幅も入力されるので、この可変長符号化回路58では、上記量子化幅を用いて可変長符号化が行われる。
【0188】
ここで、上記線形/非線形量子化切換信号は、フレーム単位で切り換わるので、上記線形量子化及び非線形量子化はフレーム単位で行われる。
【0189】
尚、最大係数選択回路210では、MPEG方式で規定されている、使用する量子化特性を示すフラグを用いて、線形量子化を行うか、それとも非線形量子化を行うかを判別することも可能である。
【0190】
さらに、最大係数選択回路210では、ダイナミックレンジを用いて線形量子化もしくは非線形量子化の何れを行うかを判別することも可能である。
【0191】
また、本発明実施例に係る画像信号の復号化装置の概略的な構成は、図19に示す従来の復号化装置と同様であるが、逆量子化回路83については、図3、図6、図7に示す概略的な構成の内の何れかの構成を持つものである。
【0192】
上述の実施例は本発明の一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他の様々な構成が取り得ることは勿論である。
【0193】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明に係る画像信号の復号化装置では、伝送された画像データを可変長復号化する可変長復号化部と、量子化情報の内の2のべき乗の指数を表現するための値を第1の量子化情報、2のべき乗値に乗算される係数に相当する値を第2の量子化情報として、2のべき乗値と上記係数との乗算により非線形の量子化特性(QUANT)を再生し、上記可変長復号化部からの量子化されたデータを上記再生された非線形の量子化特性に基づいて逆量子化する逆量子化部と、上記逆量子化されたデータに所定の演算を施す変換部とを有して成ることにより、広範囲で適切な精度の量子化特性で画像データを逆量子化することができる。
【0194】
従って、高画質の画像を復号化する場合には十分に小さな量子化特性を用いることができる。なお、符号化側では、大きい量子化特性が必要な画像を符号化する場合には十分に大きな量子化特性を用いることができる。
【0195】
また、符号化によって発生するビット量を精度良く制御するための適切な量子化特性を得ることができる。
【0196】
さらに、量子化特性のための非線形の数列を記憶する必要がないため、構成回路の規模が増大せず、段数の少ない乗算器とシフト演算だけで量子化及び逆量子化を行うことができるので、従来の画像信号の符号化方法、符号化装置、復号化方法及び復号化装置より乗算器の規模を半減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例を説明するための画像信号の符号化装置及び復号化装置内の量子化特性再生回路の概略的な構成を示す図である。
【図2】図1におけるシフト器110の概略的な構成を示す図である。
【図3】本発明に係る実施例を説明するための画像信号の符号化装置及び復号化装置内の逆量子化回路の概略的な構成を示す図である。
【図4】本発明に係る第3の実施例の画像信号の符号化装置及び復号化装置内の量子化特性再生回路の概略的な構成を示す図である。
【図5】図4におけるシフト器150の概略的な構成を示す図である。
【図6】本発明に係る第3の実施例の画像信号の符号化装置及び復号化装置内の逆量子化回路の概略的な構成を示す図である。
【図7】本発明に係る第4の実施例の画像信号の符号化装置及び復号化装置内の逆量子化回路の概略的な構成を示す図である。
【図8】本発明に係る画像信号の符号化装置内の量子化回路の概略的な構成を示す図である。
【図9】高能率符号化の原理を説明する図である。
【図10】画像データを圧縮する場合におけるピクチャのタイプを説明する図である。
【図11】動画像信号を符号化する原理を説明する図である。
【図12】画像信号のGOP Structure を表す図である。
【図13】画像信号の入力順序、符号化順序、復号化順序、出力順序を説明するための図である。
【図14】従来の画像信号の符号化装置及び復号化装置の構成例を示すブロック回路図である。
【図15】図14のフォーマット変換回路17のフォーマット変換の動作を説明する図である。
【図16】図14のエンコーダ18の構成例を示すブロック回路図である。
【図17】図16の予測モード切り換え回路52の動作を説明する図である。
【図18】図16のDCTモード切り換え回路55の動作を説明する図である。
【図19】図14のデコーダ31の構成例を示すブロック回路図である。
【図20】従来の非線形量子化回路の概略的な構成を示す図である。
【符号の説明】
110,143,150,183 シフト器、 111,141,151,181 テーブル部、 112,140,152,180 加算器、 142,182 乗算器、 144 信号切換器、 190,191 加算器、 192 シフト器、 210 最大係数選択回路、 211 量子化特性選択回路、 212 信号切換スイッチ、 213 線形量子化回路、 214 非線形量子化回路

Claims (6)

  1. 伝送された符号化データを逆量子化し、上記逆量子化されたデータを逆DCT変換を行って復号化して、画像データを復元する画像信号の復号化方法において、
    上記伝送された符号化データは、量子化情報及び切換信号を含み、
    上記逆量子化の際には、5ビットの符号で表現される上記量子化情報に対応する32種類の量子化幅からなる線形の量子化特性に基づいて線形逆量子化を行うか、または5ビットの符号で表現される上記量子化情報に対応する32種類の量子化幅からなる非線形の量子化特性 QUANT に基づいて非線形逆量子化を行うかを上記切換信号によって選択可能とし、
    上記量子化情報は、第1の量子化情報及び第2の量子化情報より成り、上記第1の量子化情報は2のべき乗の指数を表現するための値として定義され、上記第2の量子化情報は2のべき乗値に乗算される係数に相当する値として定義されると共に、上記非線形の量子化特性は、上記2のべき乗値と上記係数との乗算値を用いて表され、
    上記非線形の量子化特性は、量子化が小さい範囲にある場合には、上記線形の量子化特性よりも狭い量子化幅の変化とし、量子化が中央付近の範囲にある場合には、上記線形の量子化特性と同じ量子化幅の変化とし、量子化が大きい範囲にある場合には、上記線形の量子化特性よりも広い量子化幅の変化とする
    ことを特徴とする画像信号の復号化方法。
  2. 上記第1の量子化情報にk、上記第2の量子化情報にi、jを用いることにより、(i/2+j)を上記係数として求め、上記乗算値の定数倍を量子化幅とすることを特徴とする請求項1記載の画像信号の復号化方法。
    ここで、j、kは正の整数であり、iは0又は1で表される値である。
  3. 上記量子化特性 QUANT は、
    QUANT =(i/2+j)× +2 (k+2) −4
    に示す式で表されることを特徴とする請求項2記載の画像信号の復号化方法。
  4. 上記量子化情報k、i、jと上記量子化特性との関係を、次の表1に表すものとすることを特徴とする請求項記載の画像信号の復号化方法。
    Figure 0003689626
  5. 伝送された画像データを可変長復号化して得られたデータを逆量子化し、上記逆量子化されたデータを逆DCT変換を行って復号化して、画像データを復元する画像信号の復号化方法において、
    上記画像データと共に量子化情報及び切換信号が伝送され、
    上記逆量子化の際には、5ビットの符号で表現される上記量子化情報に対応する32種類の量子化幅からなる線形の量子化特性に基づいて逆量子化を行うか、または5ビットの符号で表現される上記量子化情報に対応する32種類の量子化幅からなる非線形の量子化特性 QUANT に基づいて逆量子化を行うかを上記切換信号によって選択可能とし、
    上記量子化情報は、第1の量子化情報及び第2の量子化情報より成り、上記第1の量子化情報は2のべき乗の指数を表現するための値として定義され、上記第2の量子化情報は2のべき乗値に乗算される係数に相当する値として定義されると共に、上記非線形の量子化特性は、上記2のべき乗値と上記係数との乗算値を用いて表され、
    上記非線形の量子化特性は、量子化が小さい範囲では、上記線形の量子化特性よりも狭い量子化幅の変化とし、量子化が中央付近の範囲では、上記線形の量子化特性と同じ量子化幅の変化とし、量子化が大きい範囲では、上記線形の量子化特性よりも広い量子化幅の変化とする
    ことを特徴とする画像信号の復号化方法。
  6. 伝送された画像データを逆量子化し、上記逆量子化されたデータを逆DCT変換を行って復号化して、画像データを復元する画像信号の復号化装置において、
    上記画像データと共に量子化情報及び切換信号が伝送され、
    伝送された画像データを可変長復号化する可変長復号化部と、
    5ビットの符号で表現される上記量子化情報に対応する32種類の量子化幅からなる線形の量子化特性に基づいて線形逆量子化を行う手段と、5ビットの符号で表現される上記 量子化情報に対応する32種類の量子化幅からなる非線形の量子化特性 QUANT に基づいて非線形逆量子化を行う手段とよりなり、これらの手段が上記切換信号によって選択可能とされる逆量子化部と、
    上記逆量子化されたデータに所定の演算を施す変換部とを有して成り、
    上記量子化情報は、第1の量子化情報及び第2の量子化情報より成り、上記第1の量子化情報は2のべき乗の指数を表現するための値として定義され、上記第2の量子化情報は2のべき乗値に乗算される係数に相当する値として定義されると共に、上記非線形の量子化特性は、上記2のべき乗値と上記係数との乗算値を用いて表され、
    上記非線形の量子化特性は、量子化が小さい範囲にある場合には、上記線形の量子化特性よりも狭い量子化幅の変化とし、量子化が中央付近の範囲にある場合には、上記線形の量子化特性と同じ量子化幅の変化とし、量子化が大きい範囲にある場合には、上記線形の量子化特性よりも広い量子化幅の変化とする
    ことを特徴とする画像信号の復号化装置。
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