JP3689452B2 - デジタル信号再生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はデジタル信号再生装置に関し、特には、互いに異なる種類の記録媒体からデジタル信号を再生する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の装置として、デジタルビデオ信号の情報量を圧縮して磁気テープに記録するデジタルVTRが知られている。
【0003】
このようなデジタルVTRにおいては、記録情報量が多いことから高密度記録化が要求され、ヘッド,テープ共に高密度記録化に適した設計が行われている。
【0004】
これまで、デジタルVTRにおいては、メタル塗布テープ(以下MPテープ)などの面内方向に磁気異方性をもつ媒体が多く使用されてきた。しかし、MPテープでは記録時の減磁作用により高密度化には限界がある。
【0005】
これに対して、メタル蒸着テープ(以下MEテープ)のような斜め蒸着媒体は、垂直方向に一定角度の磁気異方性を有するため記録減磁作用が少なく、高密度記録に優れている。しかし、信頼性やコストなどの点においてはMPテープの方が優れている。
【0006】
このように2種類のテープにはそれぞれ長所,短所があり、使用目的に応じて使い分けることが考えられている。
【0007】
【発明が解決しようとしている課題】
MP,MEテープは前述のような特徴の他に、磁気異方性の違いにより記録再生時の応答波形が異なるという特徴も持っている。それぞれのテープの再生波形の例を図11に示す。
【0008】
図11より明らかなように、MPにおいては前後対称な単峰波形であり、MEは後方にアンダーシュートのあるダイパルス波形となる。
【0009】
前述のようなデジタルVTRにおいては、再生信号に対して波形等化処理を施して再生データの検出を行っている。この等化処理における等化特性は再生波形を元に設計している。
【0010】
MP,MEの再生波形は前述のように大きく特性が異なっているので、単一の等化特性を有する等化回路では、両方のテープからの再生信号を適正に等化することが不可能になる。
【0011】
従って、従来のデジタルVTRにおいては、使用可能なテープの種類がおのずと決まってしまい、前述のように使用目的に応じてテープを使い分けることができず、柔軟性に欠けるものであった。
【0012】
前記課題を考慮して、本発明は、簡単な回路構成にて最適な等化特性を得ることのできる装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
従来抱えている問題を解決し、前記目的を達成するため、本発明は、メタル塗布型テープとメタル蒸着型テープとから信号を再生する再生手段と、前記再生手段により再生された再生信号の振幅特性を補正する振幅補正回路と、複数の2次のオールパスフィルタからなり前記再生信号の群遅延特性を補正する群遅延補正回路とを有するイコライザと、前記テープの種類を判別するテープ判別手段と、前記判別手段の出力に応じて前記複数の2次のオールパスフィルタのうち低域の群遅延特性を補正しているオールパスフィルタの群遅延特性のみを切り換える制御手段と、前記イコライザの出力信号を用いてデジタル信号を検出する検出手段とを備える構成とした。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の実施例であるデジタルVTRの要部構成を示すブロック図である。
【0016】
図1において、入力されたデジタルビデオ信号は記録信号処理回路1においてDCT,量子化等の技術を用いて情報量を圧縮され、変調回路2に出力される。変調回路2は圧縮されたデジタルビデオ信号に対してデジタル変調処理を施して記録に適した形式の信号に変換し、アンプ3に出力する。アンプ3は変調されたビデオ信号を増幅して、スイッチ4を介してヘッド5に出力する。ヘッド5はスイッチ4を介して供給されたビデオ信号をテープ6に記録する。
【0017】
次に、再生時には、テープ6からヘッド5により再生されたビデオ信号がアンプ7により増幅されて等化回路8に出力される。等化回路8は後述のようにテープの種類による前述の如き再生波形の違いを補償すると共に、電磁変換系における再生信号の振幅及び群遅延特性を補償して復調回路9に出力する。復調回路9は等化処理の施された再生信号を復調すると共に、もとのデジタルデータを検出し、1,0の信号に変換して再生信号処理回路11に出力する。再生信号処理回路10は再生信号に対して記録時とほぼ逆の処理を施して元のデジタルビデオ信号に変換して出力する。
【0018】
このような構成において、等化回路8の動作について以下に説明する。
【0019】
図2は等化回路8の構成を示す図である。
【0020】
第1等化回路8は振幅補正部101,群遅延補正部102及びテープ判別器104から構成され、テープの種類に応じて群遅延補正部102を構成する複数の2次のオールパスフィルタの群遅延特性を切り換えるものである。
【0021】
いま、ヘッドとテープとの相対速度を10.2m/s,記録波長を0.49μmとした場合、MEテープ,MPテープの応答波形は図11に示すようになる。
【0022】
この波形について波形解析を行い、それぞれの波形応答に対する等化回路の最適な振幅特性及び群遅延特性を求めると、図3に示したようになる。図3より明らかなように、各テープ間で、振幅特性については両者とも同様な目標特性を示すが、群遅延特性については各テープ間で目標特性が異なり、特に低域の特性が異なる。
【0023】
これらの特性を実現するための本実施例における振幅補正部101の構成を図4に示し、群遅延補正部102の構成を図5に示す。図に示すように、本実施例においては群遅延補正回路として、図6に示す如き群遅延特性を有するアクティブタイプの2次のオールパスフィルタを3個使用している。
【0024】
2次のオールパスフィルタの群遅延特性は
t(f)=(f2 −fa/Q×f+fa2 )/(f2 +fa/Q×f+fa2
で表せ、Q,fa(共振周波数)を変化させることにより群遅延の大きさ及びピーク周波数を調整して、所望の群遅延特性を実現できる。
【0025】
例えば、図5に示したアクティブタイプのオールパスフィルタでは、
【0026】
【外1】
Figure 0003689452
となり、C(C0〜C2)及びL(L0〜L2)を制御することによりfaを変更可能である。また、
Q=(fa/2π)CR
となり、可変抵抗R(R0〜R2)を変化させることによりQを変更可能である。
【0027】
本実施例においては、3個のオールパスフィルタのfaの値を固定にして、Qを可変制御することで群遅延特性を変更している。
【0028】
いま、3個のオールパスフィルタのQ,faをそれぞれQ0,f0,Q1,f1,Q2,f2として、faをf0=7MHz,f1=11MHz,f2=19MHzに設定すると、MPテープについてはQ0=1.8,Q1=1.0,Q2=0.7、また、MEテープについてはQ0=3.3,Q1=1.1,Q2=1.0で図3に示した目標特性を実現することができる。
【0029】
なお、本実施例では、記録時に変調回路2にてインターリーブドNRZIの処理を施している。従って、再生時に等化回路8で積分等化処理を行い、復調回路10ではこの逆の処理、すなわち逆I−NRZIの処理を再生信号に施す。このような処理は、パーシャルレスポンス(本実施例では、PR(1,0,−1))を用いた記録再生技術として特に近年用いられている技術であり、記録時に符号間干渉を与えて記録し、再生時にこの符号間干渉をとり除くことにより、高密度記録に伴う符号間干渉の影響を抑制することが可能になる。
【0030】
さらに、本実施例では、ビタビ復号を用いて、逆I−NRZI処理の施されたデータから1,0のデジタルデータを検出している。このような復調回路10の構成を図7に示す。
【0031】
図7において、前述のように等化された再生信号が1ビットづつシリアルにA/D変換器201に入力され、ここで例えば6ビットのデジタル信号に変換される。A/D変換器201から出力された信号は、それぞれ1ビットクロック分の遅延時間を有する遅延回路202,203にて遅延されて減算器204に出力されると共に、減算器204及び位相検出回路206にも出力される。
【0032】
このような遅延回路202,203及び減算器204により、1−D2 で示される逆I−NRZI処理を施していることになる。
【0033】
ビタビ復号回路204は周知のビタビ復号法を用いて再生データから1,0の信号を判別し、再生信号処理回路11に出力する。
【0034】
また、位相検出回路206はA/D変換器201からの出力信号の位相を検出することにより再生信号とVCO208からのクロックとの位相差を検出し、ループフィルタ207を介してVCO207に出力する。VCO207はループフィルタからの出力信号の電圧に応じた周波数の信号を動作クロックとしてビタビ復号回路205お飛びA/D変換器201に供給する。すなわち、これら位相検出回路206,ループフィルタ207及びVCO208によりPLL回路を構成しており、再生信号に位相同期したクロックを得ることができる。
【0035】
このように、本実施例では、3個のオールパスフィルタのそれぞれのfaに合わせてC,Lを設定し、再生時においてテープ判別器104の判別結果によりRの値を切り換えて3個のオールパスフィルタのQを変更することにより、等化回路の群遅延特性を切り換えることができる。
【0036】
従って、1つの等化回路によりMP,MEの両方について最適な等化特性を実現することができる。しかも、その際に、本実施例では群遅延補正部を2次のオールパスフィルタで構成しているので、簡単な構成で各テープに最適な等化特性を得ることが可能になる。よって、再生信号から正確にデータを検出することができる。
【0037】
前述の実施例では、3個のオールパスフィルタすべての群遅延特性を切り換えていたが、前述のように、MPテープとMEテープとは低域において群遅延補正回路の目標特性の違いが大きいので、複数のオールパスフィルタのうち、一部のもの、特に低域の群遅延特性を補正しているフィルタの群遅延特性のみを変更するようにしてもよい。
【0038】
すなわち、図8,9に示すように、テープ判別器の出力に応じて、低域の群遅延特性を補正しているオールパスフィルタのR0を切り換えることによりQを切り換えて、低域の群遅延特性を変更する。
【0039】
このように構成することにより、図2,5に示した構成に比べて切り換える箇所が1つになり、調整が容易になる。
【0040】
また、図10に示したように、それぞれME,MPに適した等化特性を有する固定型のオールパスフィルタを3個使用した群遅延補正回路106,107を設け、テープ判別器104の判別結果に応じてスイッチ105を切り換えて等化処理を行うようにしてもよい。
【0041】
この場合は、各補正回路におけるfa,Qの値を変更する必要がないので、L,Cによる簡単な構成で各テープについて最適な等化処理を施すことができる。
【0042】
なお、前述の実施例では、MEテープとMPテープとを用いるデジタルVTRに本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、再生波形が異なるもの、特にその群遅延特性が異なるような記録媒体に対して再生等化を行うものであれば本発明を適用可能であり、同様の効果を有する。
【0043】
また、前述の実施例では、振幅補正部101の後段に群遅延補正部102を設けたが、これらのイコライザを逆に設けてもよい。
【0044】
また、前述の実施例では、等化された信号からビタビ復号を用いてデジタル信号を検出したが、これに限らず、従来より用いられている積分検出法を用いてもよい。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、テープの種類に応じて、低域の群遅延特性を補正しているオールパスフィルタの群遅延特性を切り換えているので、簡単な構成にて各テープからの再生信号波形の違いを補償でき、各テープからの再生信号に対して最適な等化処理を施すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としてのデジタルVTRの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に等化回路の構成を示すブロック図である。
【図3】図3の回路の動作を説明するための図である。
【図4】図2における振幅補正部の構成を示す図である。
【図5】図2における群遅延補正部の構成を示す図である。
【図6】図5における2次のオールパスフィルタの群遅延特性を示す図である。
【図7】図1における復調回路の構成を示す図である。
【図8】図1における等化回路の他の構成を示す図である。
【図9】図8における群遅延補正部の構成を示す図である。
【図10】図1における等化回路の更に他の構成を示す図である。
【図11】MEテープとMPテープの再生波形を示す図である。
【符号の説明】
8 等化回路
10 復調回路
101 振幅補正部
102 群遅延補正部
104 テープ判別器

Claims (1)

  1. メタル塗布型テープとメタル蒸着型テープとから信号を再生する再生手段と、
    前記再生手段により再生された再生信号の振幅特性を補正する振幅補正回路と、複数の2次のオールパスフィルタからなり前記再生信号の群遅延特性を補正する群遅延補正回路とを有するイコライザと、
    前記テープの種類を判別するテープ判別手段と、
    前記判別手段の出力に応じて前記複数の2次のオールパスフィルタのうち低域の群遅延特性を補正しているオールパスフィルタの群遅延特性のみを切り換える制御手段と、
    前記イコライザの出力信号を用いてデジタル信号を検出する検出手段とを備えるデジタル信号再生装置。
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