JP3689203B2 - 内視鏡用光源装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内視鏡の照明用ライトガイドに入射する照明光の光束を調整するための絞りを有する内視鏡用光源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡の観察範囲を照明する照明光は、被写体までの距離が遠いときは明るく、そして近いときは暗くするように調整する必要がある。
【0003】
そのために一般には、光源ランプと照明用ライトガイドとの間で照明光線束を部分的に遮る絞りが、遮光面積を変化させることができるように可動に設けられている。
【0004】
そのような絞りには幾つかの方式があるが、一枚の絞り板を光路の側方から光路に出し入れさせるのが最も構造が簡単で低コストで製造することができるので、普及型の内視鏡用光源装置に広く採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図8は、光源装置に接続される内視鏡の照明用ライトガイドファイババンドル51の入射端面51aと、そこに照明光を入射させる光源装置の光源ランプ10を示している。11は発光部、12は反射鏡である。
【0006】
光源ランプ10から射出された照明光は、発光部11の種類(キセノンランプ、ハロゲンランプ等)や、反射鏡12のコーティングの種類等によって、光路の途中の断面Aにおける光線束100の中心領域101と周辺領域102とで色(分光特性)が相違する場合がある。
【0007】
多くの場合、光線束100の中心領域101の色は設計上白色光に近づけられているが、周辺領域102には青みがかかり、周辺領域102まで色を均一にすることは困難である。また多くの場合、図9に示されるように、中心領域101は明るく(光束大)、周辺領域102は暗くなる(光束小)。
【0008】
そのような特性の光源装置において、一枚の絞り板を光路の側方から光路に出し入れさせると、被写体の距離が近くてライトガイドファイババンドル51に入射させる照明光の光束を減らす際には、光線束の周辺の光しかライトガイドファイババンドル51に入射しないので、被写体に照射される照明光が青みがかって、内視鏡観察像の色再現性が低下してしまう。
【0009】
そこで、例えば図10に示されるように、回転軸14を中心にして回動されて照明光路に出し入れされる絞り15に、細いスリット16を形成して、照明光線束のほとんどが絞り15で遮られた状態でも、中心付近の光をライトガイドファイババンドル51に入射させるようにすることが考えられる。
【0010】
しかし、そのようなスリット16は加工上の制限から幅に制限があり、例えば0.3mm程度より狭く製造することは難しい。そのため、図11に示されるように、照明光線束100が絞り15によって完全に遮られる直前の有効照明状態(実用上必要な最も暗い状態)においては、破線による斜線で示される周辺領域102の光だけが絞り15を通過してライトガイドファイババンドル51に入射することとなり、内視鏡の観察画像が青みがかって良好な色再現性を得ることができない。
【0011】
そこで本発明は、絞りを側方の一方向からのみ照明光路に出し入れさせるようにした内視鏡用光源装置において、実用上必要な最も暗い状態においても照明光線束の中心付近の光がライトガイドに入射して、ライトガイドに与えられる照明光の色が変わらない内視鏡用光源装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用光源装置は、光源ランプから内視鏡の照明用ライトガイドに入射する照明光の光束を調整するために、上記光源ランプと上記照明用ライトガイドとの間で照明光路を部分的に遮るように、上記光路の側方の一方向からのみ上記光路に出し入れされる絞りを有する内視鏡用光源装置において、上記光源ランプから上記照明用ライトガイドに向かう光線束が上記絞りによって完全に遮られる直前の有効照明状態において上記光路の中心に近い領域の光線を上記ライトガイドに入射させるための極細幅のスリットが、上記絞りに形成されていることを特徴とする。
【0013】
なお、上記スリットが、スリットの長手方向に沿う複数の部品間の隙間によって形成されていてもよく、上記スリットが上記絞りの移動方向に沿って形成されていてもよい。そして、上記スリットの長さが、上記絞りによって遮られる位置における上記光線束の直径の3分の1以上あるとよい。
【0014】
また、上記スリットの幅が一定であってもよく、その場合、上記スリットの幅が0.01mmないし0.1mmの範囲にあるとよい。また、上記スリットが先端側ほど細く形成されていてもよい。
【0015】
また、上記スリットの土手部の稜線が、ナイフエッジ状に形成されていてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図2は内視鏡用光源装置1を示しており、内視鏡の照明用ライトガイドファイババンドル51の入射端が配置されたコネクタ50が、ソケット2に対して着脱自在に差し込まれるようになっている。
【0017】
光源装置1には光源ランプ10が内蔵されており、キセノンランプ又はハロゲンランプ等各種の発光部11を用いることができる。発光部11から射出された照明光は、反射鏡12で反射されてライトガイドファイババンドル51の入射端面51aに収束する。
【0018】
光源ランプ10とライトガイドファイババンドル51の入射端面51aとの間で照明光路を部分的に遮る絞り15は、駆動モータ18によって回転軸14を中心に回動されて、光路の側方の一方向から光路に出し入れされ、それによって照明光線束100の遮光面積を変化させて、ライトガイドファイババンドル51に入射される照明光の光束(明るさ)を調整することができる。
【0019】
図3は絞り15の正面図であり、回転軸14を中心にして矢印方向に移動する。101は、絞り15が配置された位置(断面)における照明光線束100の中心領域、102は周辺領域である。
【0020】
絞り15には、その回動方向(図3の矢印方向)を対称軸とするV字状の切り欠き21が一方の側部に形成されており、その頂部の角部21aが照明光線束100の中心点を通る位置に配置されている。
【0021】
そして、角部21a部分から絞り15の遮光部側に向かって、幅が例えば0.01mm〜0.1mm程度の一定幅の極細のスリット24が、回転軸14を中心とする円弧状であって、照明光線束100の中心点を通る軌跡上に形成されている。
【0022】
このように幅の狭いスリット24を、絞り15に直接機械加工することは困難である。そこで、絞り15の板部には幅の広いスリットを形成しておいて、スリット24の長手方向の一方の土手としてはそのスリットの稜線を用い、それに対向する長手方向のもう一方の土手として、絞り15に固着した小片22を用いている。
【0023】
このようにして、スリットの長手方向に沿う複数の部品15,22間の隙間でスリット24を形成することにより、上述のような極細幅のスリットを比較的容易に製造することができる。
【0024】
なお、スリット24の各土手部の稜線を垂直面ではなくナイフエッジ状に形成すれば、スリット24の実効幅が絞り15の面の傾きや照明光軸の傾きなどの影響を受けにくくなる。
【0025】
また、小片22は絞り15にビス23によって固定されているが、接着その他の固定手段を用いてもよい。スリット幅の調整は、厚さゲージを挟んだり、顕微鏡や投影機等で拡大して観察しながら行えばよい。
【0026】
図3は、照明光線束100が絞り15で全く遮られていないいわゆる全開状態を示しているが、その状態から絞り15を回動させていくと、図4に示されるように、照明光線束100が絞り15によって徐々に遮られる状態になっていく。
【0027】
そして最後に絞り15は、照明光線束100が絞り15によって完全に遮られる直前の有効照明状態(実用上必要な最も暗い状態)で停止する。図1はその状態にある絞り15を示している。
【0028】
実用上の最暗状態においては、絞り15を通過する照明光束を最小限にしなければならないので、スリット24の幅が広いと周辺領域102の光を通過させるだけで足りてしまい、中心領域101の光を通過させることができない。
【0029】
しかし、スリット24の幅を極細にしたことにより、図1に示されるように、スリット24の先端が照明光線束100の中央付近に達する状態で実用上の最暗状態を得ることができる。
【0030】
このとき、中心領域101から周辺領域102にわたって、照明光が通過するのは破線による斜線で示されるようにスリット24部分だけであり、全開状態とほとんど変わらない分光特性の光がライトガイドファイババンドル51に入射することになる。
【0031】
なお、スリット24が、照明光線束100の外縁から照明光線束100の直径の3分の1程度以上の長さを有していれば、比較的良好な分光特性の光をライトガイドファイババンドル51に入射させることができる。
【0032】
なお、上記実施の形態においては、スリット24を一定幅の円弧状に形成したが、図5に示されるように直線状に形成してもよく、図6及び図7に示されるように、円弧状の先細りのスリット又は直線状の先細りのスリット等にしてもよい。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、光源ランプから照明用ライトガイドに向かう光線束が絞りによって完全に遮られる直前の有効照明状態において光路の中心に近い領域の光線をライトガイドに入射させるための極細幅のスリットを、そのスリットの長手方向に沿う複数の部品間の隙間によって絞りに形成したので、極細幅のスリットを容易に形成することができて、絞りを側方の一方向からのみ照明光路に出し入れさせるようにした内視鏡用光源装置において、実用上必要な最も暗い状態においても照明光線束の中心付近の光がライトガイドに入射して、ライトガイドに与えられる照明光の色が変わらず、色再現性のよい内視鏡観察像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の実用上の最暗状態における絞りの拡大部分正面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の内視鏡用光源装置の部分側面断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の全開状態にある絞りの正面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の中間状態にある絞りの正面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の実用上の最暗状態における絞りの拡大部分正面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態の実用上の最暗状態における絞りの拡大部分正面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態の実用上の最暗状態における絞りの拡大部分正面図である。
【図8】内視鏡用光源装置の特性を説明するための部分側面断面図である。
【図9】内視鏡用光源装置の特性を説明するための部分側面図である。
【図10】従来の全開状態にある絞りの正面図である。
【図11】従来の実用上の最暗状態における絞りの拡大部分正面図である。
【符号の説明】
1 内視鏡用光源装置
10 光源ランプ
15 絞り
22 小片
24 スリット
100 照明光線束
101 中心領域
102 周辺領域
Claims (7)
- 光源ランプから内視鏡の照明用ライトガイドに入射する照明光の光束を調整するために、上記光源ランプと上記照明用ライトガイドとの間で照明光路を部分的に遮るように、上記光路の側方の一方向からのみ上記光路に出し入れされる絞りを有する内視鏡用光源装置において、
上記光源ランプから上記照明用ライトガイドに向かう光線束が上記絞りによって完全に遮られる直前の有効照明状態において上記光路の中心に近い領域の光線を上記ライトガイドに入射させるための、幅が0.01mmないし0.1mmの範囲にある極細幅のスリットが、そのスリットの長手方向に沿う複数の部品間の隙間によって上記絞りに形成されていることを特徴とする内視鏡用光源装置。 - 上記絞りの板部に上記極細幅のスリットより幅広のスリットが形成されていて、その幅広のスリットが上記絞りの板部に取り付けられた小片によって部分的に塞がれて上記極細幅のスリットが形成されている請求項1記載の内視鏡用光源装置。
- 上記スリットが上記絞りの移動方向に沿って形成されている請求項1又は2記載の内視鏡用光源装置。
- 上記スリットの長さが、上記絞りによって遮られる位置における上記光線束の直径の3分の1以上ある請求項1、2又は3記載の内視鏡用光源装置。
- 上記スリットの幅が一定である請求項1、2、3又は4記載の内視鏡用光源装置。
- 上記スリットが先端側ほど細く形成されている請求項1、2、3又は4記載の内視鏡用光源装置。
- 上記スリットの土手部の稜線が、ナイフエッジ状に形成されている請求項1ないし6のいずれかの項記載の内視鏡用光源装置。
Priority Applications (1)
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| JP27458296A JP3689203B2 (ja) | 1996-10-17 | 1996-10-17 | 内視鏡用光源装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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| JP27458296A JP3689203B2 (ja) | 1996-10-17 | 1996-10-17 | 内視鏡用光源装置 |
Publications (3)
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Family
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Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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| JP27458296A Expired - Lifetime JP3689203B2 (ja) | 1996-10-17 | 1996-10-17 | 内視鏡用光源装置 |
Country Status (1)
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| JP5424529B2 (ja) * | 2006-10-30 | 2014-02-26 | Hoya株式会社 | 露光装置 |
-
1996
- 1996-10-17 JP JP27458296A patent/JP3689203B2/ja not_active Expired - Lifetime
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