JP3689007B2 - ネットワークシステムおよびネットワーク接続装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バックボーンネットワークとサブネットとを冗長接続する複数のネットワーク接続装置を備えたネットワークシステムに関するものであり、特に、サブネット分断時の端末間の通信を救済可能なネットワークシステムおよびネットワーク接続装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下、従来技術について説明する。IP(Internet Protocol)ネットワークにおいて、ルータによって他のネットワークと区切られたサブネットは、ルータを経由して当該サブネットの外部と通信を行う。しかしながら、ルータが故障した場合にはサブネットの外部と通信が行えなくなるため、たとえば、複数のルータを用いて通信経路の冗長化を行うことが一般的に知られている。
【0003】
複数のルータを用いて通信経路の冗長化を行うシステムとしては、VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol,Internet Engineering Task Force:IETF RFC2338)を用いたネットワークシステムがある。
【0004】
VRRPでは、冗長化を行うサブネットに対して、複数のルータが仮想ルータを構成し、仮想MACアドレスとIPアドレスを共有する。現用ルータは、定期的にVRRPメッセージをサブネット内に送信することで仮想MACアドレスとIPアドレスを待機ルータに通知し、現用ルータの健在を知らしめる。また、現用ルータは、サブネットのルートを当該サブネット以外のネットワークに対して広告する。一方、待機ルータは、現用ルータが正常に動作している場合には仮想MACアドレスを用いた通信を行わず、上記ルートの広告も行わない。また、待機ルータは、一定時間、現用ルータからのVRRPメッセージの到着がないことをもって現用ルータの障害を検知し、その後、仮想MACアドレスとIPアドレスを使用して代理動作を行う。
【0005】
図16は、VRRPを用いたネットワークシステムの構成を示す図である。図16において、20,21はルータであり、23,24,25はスイッチングハブであり、26,27は端末装置であり、28はサブネットであり、29はバックボーンネットワークである。
【0006】
また、図17は、VRRPで用いられるARP(Address Resolution Protocol)リプライパケットフォーマットの概略を示す図である。図17において、30aは宛先MACアドレス(MAC_DA)であり、30bは送信元MACアドレス(MAC_SA)であり、30cはソースハードウェアアドレス(SRC_MAC_ADDR)であり、30dはソースプロトコルアドレス(SRC_IP_ADDR)であり、30eはターゲットハードウェアアドレス(TAGT_MAC_ADDR)であり、30fはターゲットプロトコルアドレス(TAGT_IP_ADDR)である。
【0007】
端末装置26および27では、デフォルトルートとして仮想MACアドレスを設定しておくと、サブネット外への通信フレームを仮想MACアドレス宛に送信する。たとえば、ルータ20が現用ルータとして、ルータ21が待機ルータとして動作している場合、通信フレームは、現用ルータ20が中継する。このとき、待機ルータ21は、仮想MACアドレスを使用した通信(中継動作を含む)を一切行わない。また、現用ルータ20は、サブネット28のルートを当該サブネット以外のネットワークに対して広告する。
【0008】
そして、現用ルータ20が故障すると、待機ルータ21では、図17に示すARPリプライパケットをサブネット28に対して送信する。すなわち、待機ルータ21では、仮想MACアドレスを送信元MACアドレス30bおよびソースハードウェアアドレス30cに格納し、共有IPアドレスをソースプロトコルアドレス30dに格納し、ブロードキャストアドレスを宛先MACアドレス30aに格納し、この状態でARPリプライパケットをサブネット28に対して送信する。
【0009】
また、各スイッチングハブでは、上記ARPリプライパケットを受信および転送し、仮想MACアドレスの装置がルータ21の方向のポートにあることを学習し、以後、仮想MACアドレス宛のMACフレームをルータ21の方向に転送する。また、ルータ21では、上記中継動作を開始するとともに、バックボーンネットワーク上でサブネット28のルート広告を開始する。これにより、現用ルータ20が故障した場合においても、サブネット28と他のサブネットとの接続性を確保できる。
【0010】
また、複数のルータを用いて通信経路の冗長化を行うシステムとしては、上記以外に、特開平10−271155号公報に記載の「通信システム」がある。このシステムでは、送信元端末を収容するLAN間接続装置を始点とし、宛先端末を収容する冗長化されたLAN間接続装置を終点とする、マルチキャストコネクションを設定する。そして、冗長化されたLAN間接続装置のいずれかを現用としてパケット中継を行い、もう一方のLAN間接続装置はパケット中継を行わないようにする。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記、VRRPを用いた従来のネットワークシステムにおいては、サブネットが分断された場合、上記のように、待機ルータとして動作していたルータが代理の現用ルータとして動作を開始し、サブネットのルート広告を送信する。また、はじめから現用ルータとして動作していたルータについても、通常どおりルート広告の送信を継続している。これにより、バックボーンネットワーク上で両方のルート広告を受信した他のルータでは、上記両ルート広告のなかからいずれか1つを選択し、そのサブネット宛のIPパケット中継を行うことになるため、このネットワークシステムでは、選択されなかったルータに接続されたサブネットにはパケットが到着せず、通信を行うことができなくなる、という問題があった。
【0012】
また、VRRPを用いた従来のネットワークシステムにおいては、現用ルータの故障に伴って待機ルータが代理の現用ルータとして動作し、サブネットのルート広告を行った場合であっても、元の現用ルータの広告したルート情報がタイムアウトにより無効化するまで、代理の現用ルータの広告したルート情報が経路選択に反映されない場合がある、という問題があった。
【0013】
また、上記公報記載のネットワークシステムにおいては、マルチキャストパスにより、宛先サブネットに冗長化接続されたルータに対してパケットを中継し、いずれか1つのルータがパケットの中継を行うため、サブネットが複数のセグメントに分断された場合には到達不能となるセグメントが発生する、という問題があった。
【0014】
また、上記公報記載のネットワークシステムにおいては、たとえば、サブネットの分断に伴い双方のルータを現用動作させた場合に、宛先の端末が収容されていないセグメントにもパケットを送信するべく不要なARP手順が実行される、という問題があった。また、宛先がARPテーブルに登録されている場合には、不要なトラヒックが送信される、という問題があった。
【0015】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、たとえば、他のネットワークと冗長接続されたサブネットが故障等により分断された場合においても、分断された個々のセグメントが通信を継続可能なネットワークシステムおよびネットワーク接続装置を得ることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるネットワークシステムにあっては、バックボーンネットワークと、少なくとも1つの端末装置を収容する複数のサブネット、で構成され、当該バックボーンネットワークおよびサブネット間が、複数のネットワーク接続装置を介して冗長に接続された構成とし、前記各ネットワーク接続装置は、自装置が接続されたサブネットを経由して、当該サブネットに接続された他のネットワーク接続装置との導通状態を監視し、当該サブネット内の各端末装置が分断されている状態を認識した場合に接続装置情報の収集を指示する状態監視手段(後述する実施の形態の状態確認部101に相当)と、接続装置情報の収集指示により、接続された全端末装置のIPアドレスとMACアドレスを接続装置情報として収集する接続装置情報収集手段(接続装置情報収集部102に相当)と、収集した接続装置情報を記録する第1の記録手段(第1の記録部107に相当)と、記録した接続装置情報を、同一サブネットに接続されたネットワーク接続装置間を結ぶ管理用パスを用いて他のネットワーク接続装置と交換する接続装置情報交換手段(接続装置情報交換部103に相当)と、交換により取得した他のネットワーク接続装置からの接続装置情報を記録する第2の記録手段(第2の記録部109に相当)と、前記バックボーンネットワークからIPパケットを受信した場合に、前記第1の記録手段に宛先端末装置に該当する情報があれば、直接IPパケットを中継し、前記第2の記録手段に宛先端末装置に該当する情報があれば、前記管理用パスを経由して当該宛先端末装置と接続するネットワーク接続装置にIPパケットを中継する中継手段(中継部105に相当)と、を備えることを特徴とする。
【0017】
つぎの発明にかかるネットワークシステムにあっては、前記管理用パスとして、各ネットワーク接続装置間に専用リンク(専用リンク211に相当)を設けることを特徴とする。
【0018】
つぎの発明にかかるネットワークシステムにあっては、前記管理用パスとして、バックボーンネットワークに、各ネットワーク接続装置を接続するための論理パス(論理パス211に相当)を設けることを特徴とする。
【0019】
つぎの発明にかかるネットワークシステムにあっては、前記論理パスを、同一サブネットに接続するネットワーク接続装置間を相互に接続するマルチキャストコネクションおよびユニキャストコネクションにより構成することを特徴とする。
【0020】
つぎの発明にかかるネットワークシステムにあっては、前記バックボーンネットワークからIPパケットを受信し、前記第2の記録手段に宛先端末装置に該当する情報がない場合に、自ネットワーク接続装置に接続するサブネットに対してARPを実行し、同時に、前記管理用パスで接続されたすべてのネットワーク接続装置に対して当該IPパケットを送信することを特徴とする。
【0021】
つぎの発明にかかるネットワークシステムにあっては、バックボーンネットワークと、少なくとも1つの端末装置を収容する複数のサブネット、で構成され、当該バックボーンネットワークおよびサブネット間が、複数のネットワーク接続装置を介して冗長に接続された構成とし、前記各ネットワーク接続装置は、自装置が接続されたサブネットを経由して、当該サブネットに接続された他のネットワーク接続装置との導通状態を監視し、当該サブネット内の各端末装置が分断されている状態を認識した場合に接続装置情報の収集を指示する状態監視手段と、接続装置情報の収集指示により、接続された全端末装置のIPアドレスとMACアドレスを接続装置情報として収集する接続装置情報収集手段と、収集した接続装置情報を記録する第1の記録手段と、記録した接続装置情報を、同一サブネットに接続されたネットワーク接続装置間を結ぶ管理用パスを用いて他のネットワーク接続装置と交換する接続装置情報交換手段と、交換により取得した他のネットワーク接続装置からの接続装置情報を記録する第2の記録手段と、前記バックボーンネットワークからIPパケットを受信した場合に、前記第1の記録手段に宛先端末装置に該当する情報があれば、直接IPパケットを中継し、前記第2の記録手段に宛先端末装置に該当する情報があれば、そのIPパケットを廃棄する中継手段(中継部105bに相当)と、を備えることを特徴とする。
【0022】
つぎの発明にかかるネットワークシステムにあっては、前記バックボーンネットワークがコアネットワークとアクセスネットワークで構成されている場合、同一のサブネットに接続されたネットワーク接続装置を収容するアクセスネットワークでは、マルチキャストコネクションを設定することを特徴とする。
【0023】
つぎの発明にかかるネットワークシステムにおいて、前記接続装置情報収集手段は、ICMPエコーリクエストメッセージをブロードキャストアドレスで送信するリクエスト送信手段(リクエスト送信部441に相当)と、前記リクエストに対する応答としてICMPエコーリプライメッセージを受信する受信手段(受信部442に相当)と、前記ICMPエコーリプライメッセージに基づいてサブネット内の端末装置のIPアドレスとMACアドレスの組み合わせを学習する学習手段(学習部443に相当)と、を備えることを特徴とする。
【0024】
つぎの発明にかかるネットワーク接続装置にあっては、バックボーンネットワークと複数の端末装置を収容するサブネットとを接続し、さらに、自装置が接続されたサブネットを経由して、当該サブネットに接続された他のネットワーク接続装置との導通状態を監視し、当該サブネット内の各端末装置が分断されている状態を認識した場合に接続装置情報の収集を指示する状態監視手段と、接続装置情報の収集指示により、接続された全端末装置のIPアドレスとMACアドレスを接続装置情報として収集する接続装置情報収集手段と、収集した接続装置情報を記録する第1の記録手段と、記録した接続装置情報を、同一サブネットに接続されたネットワーク接続装置間を結ぶ管理用パスを用いて他のネットワーク接続装置と交換する接続装置情報交換手段と、交換により取得した他のネットワーク接続装置からの接続装置情報を記録する第2の記録手段と、前記バックボーンネットワークからIPパケットを受信した場合に、前記第1の記録手段に宛先端末装置に該当する情報があれば、直接IPパケットを中継し、前記第2の記録手段に宛先端末装置に該当する情報があれば、前記管理用パスを経由して当該宛先端末装置と接続するネットワーク接続装置にIPパケットを中継する中継手段と、を備えることを特徴とする。
【0025】
つぎの発明にかかるネットワーク接続装置にあっては、前記バックボーンネットワークからIPパケットを受信し、前記第2の記録手段に宛先端末装置に該当する情報がない場合に、自ネットワーク接続装置に接続するサブネットに対してARPを実行し、同時に、前記管理用パスで接続されたすべてのネットワーク接続装置に対して当該IPパケットを送信することを特徴とする。
【0026】
つぎの発明にかかるネットワーク接続装置にあっては、バックボーンネットワークと複数の端末装置を収容するサブネットとを接続し、さらに、自装置が接続されたサブネットを経由して、当該サブネットに接続された他のネットワーク接続装置との導通状態を監視し、当該サブネット内の各端末装置が分断されている状態を認識した場合に接続装置情報の収集を指示する状態監視手段と、接続装置情報の収集指示により、接続された全端末装置のIPアドレスとMACアドレスを接続装置情報として収集する接続装置情報収集手段と、収集した接続装置情報を記録する第1の記録手段と、記録した接続装置情報を、同一サブネットに接続されたネットワーク接続装置間を結ぶ管理用パスを用いて他のネットワーク接続装置と交換する接続装置情報交換手段と、交換により取得した他のネットワーク接続装置からの接続装置情報を記録する第2の記録手段と、前記バックボーンネットワークからIPパケットを受信した場合に、前記第1の記録手段に宛先端末装置に該当する情報があれば、直接IPパケットを中継し、前記第2の記録手段に宛先端末装置に該当する情報があれば、そのIPパケットを廃棄する中継手段と、を備えることを特徴とする。
【0027】
つぎの発明にかかるネットワーク接続装置において、前記接続装置情報収集手段は、ICMPエコーリクエストメッセージをブロードキャストアドレスで送信するリクエスト送信手段と、前記リクエストに対する応答としてICMPエコーリプライメッセージを受信する受信手段と、前記ICMPエコーリプライメッセージに基づいてサブネット内の端末装置のIPアドレスとMACアドレスの組み合わせを学習する学習手段と、を備えることを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかるネットワークシステムおよびネットワーク接続装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0029】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかるネットワーク接続装置の実施の形態1の構成を示す図である。図1において、100はネットワーク接続装置であり、101は状態確認部であり、102は接続装置情報収集部であり、103は接続装置情報交換部であり、105は中継部であり、107は接続装置情報を記録する第1の記録部、108はARPテーブルであり、109は他ネットワーク接続装置の接続装置情報を記録する第2の記録部であり、210はバックボーンネットワークであり、211はネットワーク接続装置間を結ぶ管理用パスの一例として用いられる専用リンクであり、230はサブネットであり、291はサブネットに接続する入出力ポートであり、293はバックボーンネットワークに接続する入出力ポートである。
【0030】
また、図2は、実施の形態1のネットワーク接続装置を用いたネットワークシステムの一例を示す図である。図2において、200は上記ネットワーク接続装置100と同様の構成を持つネットワーク接続装置であり、231,232,233,234はスイッチングハブであり、221,222,227は端末装置であり、292はネットワーク接続装置200の入出力ポートであり、400は他のサブネットを収容するルータであり、430はサブネットであり、431はサブネット430内の端末装置であり、801はIPパケットの経路である。なお、本実施の形態では、説明の便宜上、バックボーンネットワーク210に2つのサブネットが接続されているが、これに限らず、図示のようなサブネットが複数接続されていてもよい。
【0031】
また、図3は、上記接続装置情報収集部102の構成を示す図である。図3において、441はICMPエコーリクエストメッセージをブロードキャストで送信するリクエスト送信部であり、442はICMPエコーリプライメッセージを受信する受信部であり、443はIPアドレスとMACアドレスの組み合わせを学習する学習部である。
【0032】
ここで、図1、図2および図3を用いて上記ネットワーク接続装置の動作を説明する。なお、本実施の形態では、ネットワーク接続装置100と200が冗長な構成をとり、バックボーンネットワーク210とサブネット230とを接続する。また、ネットワーク接続装置100および200は、専用リンク211により直接接続されている。
【0033】
また、ネットワーク接続装置100が待機ルータとして、ネットワーク接続装置200が現用ルータとして、それぞれ動作しているものとする。したがって、現用ルータとして動作するネットワーク接続装置200については、サブネット230から受け取るサブネット外へのパケットやバックボーンネットワーク210から受け取るサブネット230宛のパケットの中継処理を行う。さらに、サブネット230のルート情報をバックボーンネットワーク210に広告する。これにより、ルータ400およびバックボーンネットワーク210に接続する他のルータでは、サブネット230宛のパケットの経路として、ネットワーク接続装置200経由の経路を学習する。一方、待機ルータとして動作するネットワーク接続装置100については、サブネット230から受け取るサブネット外へのパケットやバックボーンネットワーク210から受け取るサブネット230宛のパケットの中継処理を行わず、さらに、サブネット230のルート情報の広告も行わない。
【0034】
この状態で、ネットワーク接続装置100では、状態確認部101が、サブネット230を経由してネットワーク接続装置200との導通状態を監視する。この監視は、たとえば、VRRPパケットを用いて行う。また、ネットワーク接続装置100の状態確認部101では、管理用パスである専用リンク211を用い、ネットワーク接続装置200の状態確認部101に対して定期的に自装置の動作状態を送信する。ここでいう動作状態とは、待機ルータとして動作しているか、または現用ルータとして動作しているか、を示す情報を意味する。なお、ネットワーク接続装置200においても、同様に動作状態を、専用リンク211を経由してネットワーク接続装置100に対して送信する。
【0035】
つぎに、端末装置431から端末装置221へのパケットは、ルータ400とバックボーンネットワーク210を経由し、ネットワーク接続装置200に到着する。
【0036】
パケットを受け取ったネットワーク接続装置200では、ARPテーブル108を検索し、端末装置221のMACアドレスを取得する。ここで、端末装置221のMACアドレスがなければ、ARPを実行し、端末装置221のMACアドレスを取得する。そして、上記パケットを格納したMACフレームをポート292から送信する。この場合、MACフレームは、スイッチングハブ233,232,231を経由して端末装置221に到達する。
【0037】
一方、スイッチングハブ232が故障し、中継動作を行えなくなった場合、ネットワーク接続装置100の状態確認部101では、VRRPメッセージの未到着により障害発生を認識し、接続装置情報収集部102に対して接続装置情報の収集を指示する。そして、専用リンク211を経由して、ネットワーク接続装置200に対して、自装置が、以後、現用ルータとして動作する旨を通知する。また、ネットワーク接続装置100では、現用ルータ動作として、バックボーンネットワーク210上にサブネット230のルート広告を開始する。
【0038】
接続装置情報の収集を指示されたネットワーク接続装置100の接続装置情報収集部102では、ICMPエコーリクエストメッセージを生成し、リクエスト送信部441が、生成したICMPエコーリクエストメッセージをサブネット230のポート291に対して送信する。図4は、接続装置情報収集のために用いられるICMPエコーリクエストメッセージを格納するMACフレームフォーマットの一例を示す図である。図4において、451はMACヘッダ部であり、452はIPヘッダ部であり、453はICMPメッセージ部であり、454は宛先MACアドレスであり、455は送信元MACアドレスであり、456は宛先IPアドレスであり、457は送信元IPアドレスである。ここでは、宛先MACアドレス454をブロードキャストアドレス(MAC_Broadcast)とし、宛先IPアドレス456をサブネット230へのブロードキャストアドレス(IP_SubnetBroadcast)としたICMPエコーリクエストメッセージを送信する。このメッセージは、スイッチングハブ231で中継され、端末装置221に通知される。
【0039】
ICMPエコーリクエストメッセージを受け取った端末装置221では、応答として、ICMPエコーリプライメッセージを生成/送信する。図5は、接続装置情報収集のために用いられるICMPエコーリプライメッセージを格納するMACフレームフォーマットの一例を示す図である。図5において、461はMACヘッダ部であり、462はIPヘッダ部であり、463はICMPメッセージ部であり、464は宛先MACアドレスであり、465は送信元MACアドレスであり、466は宛先IPアドレスであり、467は送信元IPアドレスである。送信元IPアドレス467に自端末のIPアドレス(IP_221)を設定し、送信元MACアドレス465に自装置のMACアドレス(MAC_221)を設定したICMPエコーリプライメッセージを生成/送信する。このリプライメッセージは、ネットワーク接続装置100の受信部442により受信され、学習部443に通知される。
【0040】
学習部443では、受け取ったリプライメッセージを精査し、送信元IPアドレス467と送信元MACアドレス465の組み合わせを学習し、その学習結果を接続装置情報として第1の記録部107およびARPテーブル108に格納する。
【0041】
上記のように接続装置情報収集部102により接続装置情報を収集したネットワーク接続装置100では、接続装置情報交換部103が、収集したIPアドレスを専用リンク211に送信する。専用リンク211はネットワーク接続装置100とネットワーク接続装置200とを接続しており、接続装置情報は、ネットワーク接続装置200の接続装置情報交換部103に通知される。
【0042】
ネットワーク接続装置200の接続装置情報交換部103では、受信した接続装置情報に含まれるIPアドレスに基づいて、ARPテーブル108に記録された同一IPアドレスに対応するエントリを削除する。そして、受け取ったIPアドレス情報と、専用リンク211を識別可能な情報、たとえば、専用リンク211の識別子と、ネットワーク接続装置100が現用ルータとして動作していること、を第2の記録部109に記録する。
【0043】
図6は、ネットワーク接続装置200の第2の記録部109に記録される内容(エントリ)の一例を示す図である。図6において、260aは端末装置221のIPアドレスであり、260bは端末装置221を収容するネットワーク接続装置100と接続する専用リンク211の識別子であり、260cは端末装置221を収容するネットワーク接続装置100のルータ動作状態である。ここでは、IPアドレス260aに「IP_221」が設定され、識別子260bに「211」が設定され、ルータ動作状態260cに「現用」が設定される。
【0044】
つぎに、上記のような動作後、端末装置431から端末装置221へのIPパケットを受信したネットワーク接続装置200の動作について説明する。なお、ここでは、ルータ400およびネットワーク接続装置100を経由したサブネット230への経路のメトリックが、ルータ400およびネットワーク接続装置200を経由したサブネット230への経路のメトリックよりも大きい場合を想定する。
【0045】
まず、ネットワーク接続装置200が端末装置221へのIPパケットを受信すると、中継部105では、ARPテーブル108を検索し、受け取ったIPパケットの宛先アドレスに対応するエントリがあるかどうかを確認する。このとき、ARPテーブル108には対応するエントリが格納されていないので、中継部105では、さらに第2の記録部109を宛先アドレスに基づいて検索し、ここで、図6に示すエントリを得る。そして、中継部105では、取得したエントリのルータ動作状態260cが「現用」であれば、専用リンク識別子260bにより示された専用リンク211へ上記IPパケットを送信する。
【0046】
IPパケットを受け取ったネットワーク接続装置100の中継部105では、ARPテーブル108を検索して対応するMACアドレスを取得し、さらに、受け取ったIPパケットをMACフレームに格納し、その後、当該MACフレームをポート291からMACアドレス宛に送信する。このMACフレームは、スイッチングハブ231により中継され、端末装置221に到着する。
【0047】
以上のように、本実施の形態のネットワークシステムでは、サブネット230が分断されているような場合においても、端末装置431からのIPパケットをネットワーク接続装置200経由で端末装置221に対して送信できる。図2に示す太線は、上記のように中継されたIPパケットの経路801を示す。なお、端末装置221から端末装置431へのIPパケットについては、ネットワーク接続装置100が直接ルータ400に中継する。
【0048】
一方、ネットワーク接続装置200では、先に説明した手順でネットワーク接続装置100の状態確認部101から送られてきた「現用ルータとして動作する旨の通知」を、状態確認部101が受け取ることで、サブネット230に障害が発生したことを認識する。そして、上記ネットワーク接続装置100と同様の手順で、ネットワーク接続装置200の接続装置情報収集部102が、端末装置222および227のIPアドレスを接続装置情報として収集し、接続装置情報交換部103が、当該接続装置情報をネットワーク接続装置100に対して送信する。
【0049】
接続装置情報を受け取ったネットワーク接続装置100では、上記ネットワーク接続装置200と同様の手順で、IPアドレス情報と、専用リンク211の識別子と、ネットワーク接続装置200が現用ルータとして動作していること、を第2の記録部109に記録する。図7は、ネットワーク接続装置100の第2の記録部109に記録される内容(エントリ)の一例を示す図である。図7において、261は端末装置222に対応したエントリであり、262は端末装置227に対応したエントリである。
【0050】
つぎに、端末装置431から端末装置221へのIPパケットを受信したネットワーク接続装置100の動作について説明する。なお、ここでは、ルータ400がサブネット230への経路としてネットワーク接続装置100を選択し、さらに、ルータ400およびネットワーク接続装置100を経由したサブネット230への経路のメトリックが、ルータ400およびネットワーク接続装置200を経由したサブネット230への経路のメトリックよりも小さい場合を想定する。
【0051】
まず、端末装置431から端末装置221宛のIPパケットがネットワーク接続装置100に到着し、中継部105では、ARPテーブル108を参照し、対応するMACアドレスを取得する。そして、受け取ったIPパケットをMACフレームに格納し、その後、当該MACフレームをポート291からMACアドレス宛に送信する。このMACフレームは、スイッチングハブ231により中継され、端末装置221に到着する。
【0052】
なお、宛先が端末装置222や227のIPパケットについては、ネットワーク接続装置200と同様の手順で、専用リンク211およびネットワーク接続装置200を経由して宛先端末装置に送信する。
【0053】
以上のように、本実施の形態のネットワークシステムでは、サブネット230が分断されているような状態のとき、同一のサブネットとバックボーンネットワークに接続されるいずれのネットワーク接続装置にIPパケットが到着した場合においても、宛先端末装置に対して当該IPパケットを中継できる。
【0054】
なお、中継部105では、ARPテーブル108および第2の記録部109に、受け取ったIPパケットの宛先IPアドレスに該当するエントリがない場合、サブネット上でARP手順を実行するとともに、同一のサブネットとバックボーンネットワークに接続される他のネットワーク接続装置に対してそのIPパケットを中継する。また、専用リンク211から中継されたIPパケットを受信し、かつARPテーブルに対応するエントリがない場合には、サブネット上でARP手順を実行し、このとき、他のネットワーク接続装置へのIPパケットの中継は行わない。また、ARP手順を実行して新たな接続装置が検出された場合には、新たに検出された端末装置のIPアドレスとMACアドレスをARPテーブル108および第1の記録部107に登録するとともに、他のネットワーク接続装置にその旨を通知する。
【0055】
このように、本実施の形態においては、サブネットが分断された場合でも、ネットワーク接続装置間で自装置の収容するIPアドレス情報を交換する構成としたため、サブネット内の任意端末装置宛のパケットを適切なネットワーク接続装置に中継することができ、これにより、通信の継続が可能となる。
【0056】
また、本実施の形態においては、第2の記録部に中継IPパケットの宛先IPアドレスに該当する情報がない場合に、自ネットワーク接続装置の収容するサブネットでARPを実行するとともに、同一のサブネットとバックボーンネットワークに接続される他の全てのネットワーク接続装置にそのIPパケットを中継する構成としたため、ARP実行後に転送するよりも迅速にIPパケットの中継を行うことができる。
【0057】
また、本実施の形態においては、サブネットを構成する端末装置やスイッチングハブに対して特別な処理を追加する必要がないため、バックボーンネットワークと接続するルータを置き換えるだけで耐障害性の高いネットワークを構築することができる。
【0058】
また、本実施の形態においては、接続装置情報の収集時に、ICMPエコーリクエストメッセージをブロードキャストアドレスで送信し、サブネットに接続された各端末装置のICMPエコーリプライメッセージを同時に収集する構成としたため、効率よく接続装置情報を収集できる。
【0059】
実施の形態2.
前述の実施の形態1では、管理用パスとして専用リンク211を設けたが、実施の形態2においては、当該専用リンク211をバックボーンネットワーク210内の仮想リンクである論理パスに置き換えて同様の処理を実現する。
【0060】
図8は、本発明にかかるネットワーク接続装置の実施の形態2の構成を示す図である。図8において、100aは前述のネットワーク接続装置100と同様の処理を行うネットワーク接続装置であり、212はネットワーク接続装置間を結ぶ論理パスである。また、図9は、実施の形態2のネットワーク接続装置を用いたネットワークシステムの一例を示す図である。図9において、200aは前述のネットワーク接続装置200と同様の処理を行うネットワーク接続装置であり、802はIPパケットの経路である。なお、前述の実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、状態確認部101,接続装置情報交換部103および中継部105が、バックボーンネットワーク210内の論理パスを用いて通信を行うこと以外の処理については、前述の実施の形態1と同様である。
【0061】
上記論理パス212の一例としては、たとえば、バックボーンネットワーク210がATM(Asynchronous Transfer Mode)ネットワークであれば、VC(virtual channel)が挙げられる。
【0062】
また、論理パス212は、複数の宛先を指定してパケットを送信可能なマルチキャストコネクションとしてもよい。この場合、各ネットワーク接続装置を始点とし、同一のサブネットに接続した他のネットワーク接続装置を終点とするマルチキャストコネクションとし、さらに各ネットワーク接続装置間をユニキャストコネクションとする。
【0063】
このように、本実施の形態においては、管理用パスとして論理パスを用いる構成としたため、同一のバックボーンネットワークとサブネットに接続されるネットワーク接続装置間に専用リンクを設置することなく、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0064】
また、本実施の形態においては、論理パスをマルチキャストコネクションとすることで、同一のバックボーンネットワークとサブネットに接続されるネットワーク接続装置が多数ある場合においても、他のネットワーク接続装置に接続装置情報を効率よく配送できる。
【0065】
実施の形態3.
図10は、本発明にかかるネットワーク接続装置の実施の形態3の構成を示す図である。図10において、100bはネットワーク接続装置であり、105bは中継部であり、501はバックボーンネットワークであり、503はネットワーク接続装置間を結ぶ通信パスであり、511はサブネット230に接続する入出力ポートであり、513はバックボーンネットワークに接続する入出力ポートである。なお、先に説明した実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0066】
図11は、実施の形態3のネットワーク接続装置を用いたネットワークシステムの一例を示す図である。図11において、200bはネットワーク接続装置であり、512はサブネット230に接続する入出力ポートであり、400bは他のサブネットを収容するルータであり、502はルータ400bを始点としネットワーク接続装置100bおよび200bを終点とするマルチキャストコネクションであり、803はIPパケットの経路である。なお、先に説明した実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0067】
ここで、図10および図11を用いて上記ネットワーク接続装置の動作を説明する。なお、ここでは、先に説明した実施の形態1および2と異なる動作についてのみ説明する。また、本実施の形態では、ネットワーク接続装置100bと200bが冗長な構成をとり、バックボーンネットワーク501とサブネット230とを接続する。
【0068】
また、ネットワーク接続装置100bが待機ルータとして、ネットワーク接続装置200bが現用ルータとして、それぞれ動作しているものとする。したがって、現用ルータとして動作するネットワーク接続装置200bについては、サブネット230から受け取るサブネット外へのパケットやバックボーンネットワーク501から受け取るサブネット230宛のパケットの中継処理を行う。一方、待機ルータとして動作するネットワーク接続装置100bについては、サブネット230から受け取るサブネット外へのパケットやバックボーンネットワーク501から受け取るサブネット230宛のパケットの中継処理を行わない。
【0069】
また、ネットワーク接続装置100bでは、状態確認部101が、サブネット230を経由してネットワーク接続装置200bとの導通状態を監視する。この監視は、たとえば、VRRPパケットを用いて行う。また、ネットワーク接続装置100bの状態確認部101では、バックボーンネットワーク501上の通信パス503を用い、ネットワーク接続装置200bの状態確認部101に対して定期的に自装置の動作状態を送信する。なお、ネットワーク接続装置200bにおいても、同様に動作状態を、通信パス503を経由してネットワーク接続装置100bに対して送信する。
【0070】
また、ルータ400bには、あらかじめサブネット230への冗長化された経路として、ネットワーク接続装置100bおよび200bの情報を設定しておき、さらに、バックボーンネットワーク501上にマルチキャストコネクション502を設定しておく。
【0071】
この状態で、端末装置431が端末装置221に対してIPパケットを送信すると、当該IPパケットは、ルータ400bを経由し、バックボーンネットワーク501上でマルチキャストされ、ネットワーク接続装置100bおよび200bの双方に到着する。
【0072】
IPパケットを受け取ったネットワーク接続装置200bでは、実施の形態1のネットワーク接続装置200と同様の手順で、当該IPパケットを格納したMACフレームをポート512からサブネット230に対して送信する。この場合、MACフレームは、スイッチングハブ233,232,231を経由して端末装置221に到達する。
【0073】
また、同時にIPパケットを受け取ったネットワーク接続装置100bでは、中継部105bが、宛先IPアドレスがサブネット230であることを認識すると、そのIPパケットを廃棄する。そのため、サブネット230へ同一フレームが中継されることはない。
【0074】
したがって、端末装置431が端末装置221に対して送信したIPパケットは、図11に示す経路803をとることになる。
【0075】
一方、スイッチングハブ232が故障し、ネットワーク接続装置200bが端末装置221への中継動作を行えなくなった場合、ネットワーク接続装置100bの状態確認部101では、VRRPメッセージの未到着により障害発生を認識し、接続装置情報収集部102に接続装置情報収集を指示する。そして、通信パス503を経由して、ネットワーク接続装置200bに対して、自装置が、以後、現用ルータとして動作する旨を通知する。ネットワーク接続装置100bでは、現用ルータとして、サブネット230に対するIPパケットの中継動作を開始する。
【0076】
上記指示を受けたネットワーク接続装置100bの接続装置情報収集部102では、先に説明した実施の形態1と同様の手順で、接続装置情報を収集し、当該接続装置情報を第1の記録部107およびARPテーブル108に格納する。
【0077】
接続装置情報収集部102により接続装置情報を収集したネットワーク接続装置100bでは、接続装置情報交換部103が、収集したIPアドレスを通信パス503に送信する。通信パス503はネットワーク接続装置100bとネットワーク接続装置200bとを接続しており、接続装置情報は、ネットワーク接続装置200bの接続装置情報交換部103に通知される。
【0078】
ネットワーク接続装置200bの接続装置情報交換部103では、受信した接続装置情報に含まれるIPアドレスについて、ARPテーブル108に記録された同一IPアドレスに対応するエントリを削除する。そして、受け取ったIPアドレス情報と、通信パス503を識別可能な情報、たとえば、パス識別子と、ネットワーク接続装置100bが現用ルータとして動作していること、を第2の記録部109に記録する。
【0079】
図12は、ネットワーク接続装置200bの第2の記録部109に記録される内容(エントリ)の一例を示す図である。図12において、560aは端末装置221のIPアドレスであり、560bは端末装置221を収容するネットワーク接続装置100bと接続する通信パス503の識別子であり、560cは端末装置221を収容するネットワーク接続装置100bのルータ動作状態である。ここでは、IPアドレス560aに「IP_221」が設定され、識別子560bに「503」が設定され、ルータ動作状態560cに「現用」が設定される。
【0080】
つぎに、上記のような動作後、端末装置431から端末装置221へのIPパケットを受信したネットワーク接続装置100bの動作について説明する。IPパケットを受け取ったネットワーク接続装置100bの中継部105bでは、自装置が現用ルータとして動作しているため、当該IPパケットを廃棄せず、ARPテーブル108を検索し、対応するMACアドレスを取得する。そして、中継部105bでは、IPパケットを格納したMACフレームを、宛先MACアドレスに対して送信する。この場合、MACフレームは、スイッチングハブ231を経由して端末装置221に到着する。
【0081】
また、マルチキャストコネクション502を介して同時にIPパケットを受け取ったネットワーク接続装置200bでは、中継部105bが、ARPテーブル108を検索し、宛先アドレスに対応するエントリがあるかどうかを確認する。このとき、ARPテーブル108には対応するエントリが格納されていないので、中継部105bでは、さらに第2の記録部109を宛先アドレスに基づいて検索し、ここで、図12に示すエントリを取得する。そして、中継部105bでは、エントリのルータ動作状態560cが「現用」であることを確認し、当該IPパケットを廃棄する。
【0082】
以上のように、本実施の形態のネットワークシステムでは、サブネットが分断されているような場合においても、端末装置431からのIPパケットをネットワーク接続装置100b経由で端末装置221に対して送信できる。図13は、サブネットが分散された場合のIPパケットの経路を示す図である。図示の太線がIPパケットの経路804を示す。
【0083】
また、ネットワーク接続装置200bでは、先に説明した手順でネットワーク接続装置100bの状態確認部101から送られてきた「現用ルータとして動作する旨の通知」を、状態確認部101が受け取ることで、サブネット230に障害が発生したことを認識する。そして、上記ネットワーク接続装置100bと同様の手順で、ネットワーク接続装置200bの接続装置情報収集部102が、端末装置222および227のIPアドレスを接続装置情報として収集し、接続装置情報交換部103が、当該接続装置情報をネットワーク接続装置100bに対して送信する。
【0084】
接続装置情報を受け取ったネットワーク接続装置100bでは、上記ネットワーク接続装置200bと同様の手順で、IPアドレス情報と、通信パスの識別子と、ネットワーク接続装置200bが現用ルータとして動作していること、を第2の記録部109に記録する。図14は、ネットワーク接続装置100bの第2の記録部109に記録される内容(エントリ)の一例を示す図である。図14において、561は端末装置222に対応したエントリであり、562は端末装置227に対応したエントリである。
【0085】
したがって、本実施の形態のネットワークシステムでは、サブネット230が分断されているような状態のときに、端末装置431が端末装置222または端末装置227宛にIPパケットを送信すると、上記と同様の手順で、ネットワーク接続装置200bがIPパケットを中継し、ネットワーク接続装置100bがIPパケットを廃棄する。
【0086】
なお、中継部105bでは、ARPテーブル108および第2の記録部109に、受け取ったIPパケットの宛先IPアドレスに該当するエントリがない場合、サブネット上でARP手順を実行する。また、前記ARP手順を実行して新たな接続装置が検出された場合には、新たに検出された端末装置のIPアドレスとMACアドレスをARPテーブル108および第1の記録部107に登録するとともに、他のネットワーク接続装置にその旨を通知する。
【0087】
このように、本実施の形態においては、サブネットが分断された状態のときに、当該サブネットに冗長接続されたすべてのネットワーク接続装置がIPパケットを受け取った場合でも、適切なネットワーク接続装置が宛先端末装置に対してIPパケットを中継し、その他のネットワーク接続装置が受け取ったIPパケットを廃棄する構成としたため、各セグメントの不要なトラヒックを削減できる。
【0088】
また、本実施の形態においては、バックボーンネットワークにあらかじめマルチキャストコネクションを設定し、冗長化したすべてのネットワーク接続装置に対してIPパケットを送信しているため、障害でサブネットが分断された場合においても、待機ルータが現用ルータ動作に移行した段階で、ただちに新たな経路でIPパケットを中継できる。
【0089】
なお、本実施の形態では、説明の便宜上、図11に示すようなバックボーンネットワーク501を用いてネットワークシステムにおける処理について説明したが、これに限らず、たとえば、以下に示すようなバックボーンネットワークを適用することとしてもよい。図15は、バックボーンネットワークの内部構成を示す図である。図15において、501bはバックボーンネットワークであり、504はコアネットワークであり、505,506はアクセスネットワークであり、805はIPパケットの経路である。このように、バックボーンネットワーク501bが、コアネットワーク504とアクセスネットワーク505および506で構成されているような場合は、マルチキャストの分岐点をアクセスネットワーク505内に設け、コアネットワーク504上のトラヒックをユニキャストにすることで、トラヒックを削減できる。
【0090】
【発明の効果】
以上、説明したとおり、本発明によれば、サブネットが分断された場合でも、ネットワーク接続装置間で自装置の収容するIPアドレス情報を交換する構成としたため、サブネット内の任意端末装置宛のパケットを適切なネットワーク接続装置に中継することができ、これにより、通信の継続が可能となる、という効果を奏する。また、サブネットを構成する端末装置やスイッチングハブに対して特別な処理を追加する必要がないため、バックボーンネットワークと接続するルータを置き換えるだけで耐障害性の高いネットワークを構築することができる、という効果を奏する。
【0091】
つぎの発明によれば、サブネットが分断された場合でも、ネットワーク接続装置間でIPアドレス情報を交換できるようになるため、サブネット内の任意端末装置宛のパケットを適切なネットワーク接続装置に中継することができる、という効果を奏する。
【0092】
つぎの発明によれば、管理用パスとして論理パスを用いる構成としたため、同一のバックボーンネットワークとサブネットに接続されるネットワーク接続装置間に専用リンクを設置することなく、サブネット内の任意端末装置宛のパケットを適切なネットワーク接続装置に中継することができる、という効果を奏する。
【0093】
つぎの発明によれば、論理パスをマルチキャストコネクションとすることで、同一のバックボーンネットワークとサブネットに接続されるネットワーク接続装置が多数ある場合においても、他のネットワーク接続装置に接続装置情報を効率よく配送できる、という効果を奏する。
【0094】
つぎの発明によれば、第2の記録手段に中継IPパケットの宛先IPアドレスに該当する情報がない場合に、自ネットワーク接続装置の収容するサブネットでARPを実行するとともに、同一のサブネットとバックボーンネットワークに接続される他のすべてのネットワーク接続装置にそのIPパケットを中継する構成としたため、ARP実行後に転送するよりも迅速にIPパケットの中継を行うことができる、という効果を奏する。
【0095】
つぎの発明によれば、サブネットが分断された状態のときに、当該サブネットに冗長接続されたすべてのネットワーク接続装置がIPパケットを受け取った場合でも、適切なネットワーク接続装置が宛先端末装置に対してIPパケットを中継し、その他のネットワーク接続装置が受け取ったIPパケットを廃棄する構成としたため、各セグメントの不要なトラヒックを削減できる、という効果を奏する。
【0096】
つぎの発明によれば、マルチキャストの分岐点をアクセスネットワーク内に設け、コアネットワーク上のトラヒックをユニキャストにすることにより、トラヒックを削減できる、という効果を奏する。
【0097】
つぎの発明によれば、ICMPエコーリクエストメッセージをブロードキャストアドレスで送信し、サブネットに接続された各端末装置のICMPエコーリプライメッセージを同時に収集する構成としたため、効率よく接続装置情報を収集できる、という効果を奏する。
【0098】
つぎの発明によれば、サブネットが分断された場合でも、ネットワーク接続装置間で自装置の収容するIPアドレス情報を交換する構成としたため、サブネット内の任意端末装置宛のパケットを適切なネットワーク接続装置に中継することができ、これにより、通信の継続が可能となる、という効果を奏する。
【0099】
つぎの発明によれば、第2の記録手段に中継IPパケットの宛先IPアドレスに該当する情報がない場合に、自ネットワーク接続装置の収容するサブネットでARPを実行するとともに、同一のサブネットとバックボーンネットワークに接続される他のすべてのネットワーク接続装置にそのIPパケットを中継する構成としたため、ARP実行後に転送するよりも迅速にIPパケットの中継を行うことができる、という効果を奏する。
【0100】
つぎの発明によれば、バックボーンネットワークからIPパケットを受信した場合に、第1の記録手段に宛先端末装置に該当する情報があれば、直接そのIPパケットを中継し、第2の記録手段に宛先端末装置に該当する情報があれば、そのIPパケットを廃棄する構成としたため、不要なトラヒックを削減できる、という効果を奏する。
【0101】
つぎの発明によれば、ICMPエコーリクエストメッセージをブロードキャストアドレスで送信し、サブネットに接続された各端末装置のICMPエコーリプライメッセージを同時に収集する構成としたため、効率よく接続装置情報を収集できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるネットワーク接続装置の実施の形態1の構成を示す図である。
【図2】 実施の形態1のネットワーク接続装置を用いたネットワークシステムの一例を示す図である。
【図3】 接続装置情報収集部102の構成を示す図である。
【図4】 接続装置情報収集のために用いられるICMPエコーリクエストメッセージを格納するMACフレームフォーマットの一例を示す図である。
【図5】 接続装置情報収集のために用いられるICMPエコーリプライメッセージを格納するMACフレームフォーマットの一例を示す図である。
【図6】 ネットワーク接続装置200の第2の記録部109に記録される内容の一例を示す図である。
【図7】 ネットワーク接続装置100の第2の記録部109に記録される内容の一例を示す図である。
【図8】 本発明にかかるネットワーク接続装置の実施の形態2の構成を示す図である。
【図9】 実施の形態2のネットワーク接続装置を用いたネットワークシステムの一例を示す図である。
【図10】 本発明にかかるネットワーク接続装置の実施の形態3の構成を示す図である。
【図11】 実施の形態3のネットワーク接続装置を用いたネットワークシステムの一例を示す図である。
【図12】 ネットワーク接続装置200bの第2の記録部109に記録される内容の一例を示す図である。
【図13】 サブネットが分散された場合のIPパケットの経路を示す図である。
【図14】 ネットワーク接続装置100bの第2の記録部109に記録される内容の一例を示す図である。
【図15】 バックボーンネットワークの内部構成を示す図である。
【図16】 VRRPを用いた従来のネットワークシステムの構成を示す図である。
【図17】 VRRPで用いられるARP(Address Resolution Protocol)リプライパケットフォーマットの概略を示す図である。
【符号の説明】
100,100a,100b,200,200a,200b ネットワーク接続装置、101 状態確認部、102 接続装置情報収集部、103 接続装置情報交換部、105,105b 中継部、107 第1の記録部、108 ARPテーブル、109 第2の記録部、210,501,501b バックボーンネットワーク、211 専用リンク、212 論理パス、221,222,227,431 端末装置、230 サブネット、231,232,233,234スイッチングハブ、291,292,293,511,512,513 ポート、400,400b ルータ、430 サブネット、441 リクエスト送信部、442 受信部、443 学習部、502 マルチキャストコネクション、503 通信パス。

Claims (12)

  1. バックボーンネットワークと、少なくとも1つの端末装置を収容する複数のサブネット、で構成され、当該バックボーンネットワークおよびサブネット間が、複数のネットワーク接続装置を介して冗長に接続されているネットワークシステムにおいて、
    前記各ネットワーク接続装置は、
    自装置が接続されたサブネットを経由して、当該サブネットに接続された他のネットワーク接続装置との導通状態を監視し、当該サブネット内の各端末装置が分断されている状態を認識した場合に接続装置情報の収集を指示する状態監視手段と、
    接続装置情報の収集指示により、接続された全端末装置のIPアドレスとMACアドレスを接続装置情報として収集する接続装置情報収集手段と、
    収集した接続装置情報を記録する第1の記録手段と、
    記録した接続装置情報を、同一サブネットに接続されたネットワーク接続装置間を結ぶ管理用パスを用いて他のネットワーク接続装置と交換する接続装置情報交換手段と、
    交換により取得した他のネットワーク接続装置からの接続装置情報を記録する第2の記録手段と、
    前記バックボーンネットワークからIPパケットを受信した場合に、前記第1の記録手段に宛先端末装置に該当する情報があれば、直接IPパケットを中継し、前記第2の記録手段に宛先端末装置に該当する情報があれば、前記管理用パスを経由して当該宛先端末装置と接続するネットワーク接続装置にIPパケットを中継する中継手段と、
    を備えることを特徴とするネットワークシステム。
  2. 前記管理用パスとして、各ネットワーク接続装置間に専用リンクを設けることを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステム。
  3. 前記管理用パスとして、バックボーンネットワークに、各ネットワーク接続装置を接続するための論理パスを設けることを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステム。
  4. 前記論理パスを、同一サブネットに接続するネットワーク接続装置間を相互に接続するマルチキャストコネクションおよびユニキャストコネクションにより構成することを特徴とする請求項3に記載のネットワークシステム。
  5. 前記バックボーンネットワークからIPパケットを受信し、前記第2の記録手段に宛先端末装置に該当する情報がない場合に、自ネットワーク接続装置に接続するサブネットに対してARPを実行し、
    同時に、前記管理用パスで接続されたすべてのネットワーク接続装置に対して当該IPパケットを送信することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のネットワークシステム。
  6. バックボーンネットワークと、少なくとも1つの端末装置を収容する複数のサブネット、で構成され、当該バックボーンネットワークおよびサブネット間が、複数のネットワーク接続装置を介して冗長に接続されているネットワークシステムにおいて、
    前記各ネットワーク接続装置は、
    自装置が接続されたサブネットを経由して、当該サブネットに接続された他のネットワーク接続装置との導通状態を監視し、当該サブネット内の各端末装置が分断されている状態を認識した場合に接続装置情報の収集を指示する状態監視手段と、
    接続装置情報の収集指示により、接続された全端末装置のIPアドレスとMACアドレスを接続装置情報として収集する接続装置情報収集手段と、
    収集した接続装置情報を記録する第1の記録手段と、
    記録した接続装置情報を、同一サブネットに接続されたネットワーク接続装置間を結ぶ管理用パスを用いて他のネットワーク接続装置と交換する接続装置情報交換手段と、
    交換により取得した他のネットワーク接続装置からの接続装置情報を記録する第2の記録手段と、
    前記バックボーンネットワークからIPパケットを受信した場合に、前記第1の記録手段に宛先端末装置に該当する情報があれば、直接IPパケットを中継し、前記第2の記録手段に宛先端末装置に該当する情報があれば、そのIPパケットを廃棄する中継手段と、
    を備えることを特徴とするネットワークシステム。
  7. 前記バックボーンネットワークがコアネットワークとアクセスネットワークで構成されている場合、
    同一のサブネットに接続されたネットワーク接続装置を収容するアクセスネットワークでは、マルチキャストコネクションを設定することを特徴とする請求項6に記載のネットワークシステム。
  8. 前記接続装置情報収集手段は、
    ICMPエコーリクエストメッセージをブロードキャストアドレスで送信するリクエスト送信手段と、
    前記リクエストに対する応答としてICMPエコーリプライメッセージを受信する受信手段と、
    前記ICMPエコーリプライメッセージに基づいてサブネット内の端末装置のIPアドレスとMACアドレスの組み合わせを学習する学習手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のネットワークシステム。
  9. バックボーンネットワークと複数の端末装置を収容するサブネットとを冗長接続するネットワーク接続装置において、
    自装置が接続されたサブネットを経由して、当該サブネットに接続された他のネットワーク接続装置との導通状態を監視し、当該サブネット内の各端末装置が分断されている状態を認識した場合に接続装置情報の収集を指示する状態監視手段と、
    接続装置情報の収集指示により、接続された全端末装置のIPアドレスとMACアドレスを接続装置情報として収集する接続装置情報収集手段と、
    収集した接続装置情報を記録する第1の記録手段と、
    記録した接続装置情報を、同一サブネットに接続されたネットワーク接続装置間を結ぶ管理用パスを用いて他のネットワーク接続装置と交換する接続装置情報交換手段と、
    交換により取得した他のネットワーク接続装置からの接続装置情報を記録する第2の記録手段と、
    前記バックボーンネットワークからIPパケットを受信した場合に、前記第1の記録手段に宛先端末装置に該当する情報があれば、直接IPパケットを中継し、前記第2の記録手段に宛先端末装置に該当する情報があれば、前記管理用パスを経由して当該宛先端末装置と接続するネットワーク接続装置にIPパケットを中継する中継手段と、
    を備えることを特徴とするネットワーク接続装置。
  10. 前記バックボーンネットワークからIPパケットを受信し、前記第2の記録手段に宛先端末装置に該当する情報がない場合に、自ネットワーク接続装置に接続するサブネットに対してARPを実行し、
    同時に、前記管理用パスで接続されたすべてのネットワーク接続装置に対して当該IPパケットを送信することを特徴とする請求項9に記載のネットワーク接続装置。
  11. バックボーンネットワークと複数の端末装置を収容するサブネットとを冗長接続するネットワーク接続装置において、
    自装置が接続されたサブネットを経由して、当該サブネットに接続された他のネットワーク接続装置との導通状態を監視し、当該サブネット内の各端末装置が分断されている状態を認識した場合に接続装置情報の収集を指示する状態監視手段と、
    接続装置情報の収集指示により、接続された全端末装置のIPアドレスとMACアドレスを接続装置情報として収集する接続装置情報収集手段と、
    収集した接続装置情報を記録する第1の記録手段と、
    記録した接続装置情報を、同一サブネットに接続されたネットワーク接続装置間を結ぶ管理用パスを用いて他のネットワーク接続装置と交換する接続装置情報交換手段と、
    交換により取得した他のネットワーク接続装置からの接続装置情報を記録する第2の記録手段と、
    前記バックボーンネットワークからIPパケットを受信した場合に、前記第1の記録手段に宛先端末装置に該当する情報があれば、直接IPパケットを中継し、前記第2の記録手段に宛先端末装置に該当する情報があれば、そのIPパケットを廃棄する中継手段と、
    を備えることを特徴とするネットワーク接続装置。
  12. 前記接続装置情報収集手段は、
    ICMPエコーリクエストメッセージをブロードキャストアドレスで送信するリクエスト送信手段と、
    前記リクエストに対する応答としてICMPエコーリプライメッセージを受信する受信手段と、
    前記ICMPエコーリプライメッセージに基づいてサブネット内の端末装置のIPアドレスとMACアドレスの組み合わせを学習する学習手段と、
    を備えることを特徴とする請求項9、10または11に記載のネットワーク接続装置。
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