JP3688855B2 - 非火薬破砕組成物 - Google Patents

非火薬破砕組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP3688855B2
JP3688855B2 JP18088997A JP18088997A JP3688855B2 JP 3688855 B2 JP3688855 B2 JP 3688855B2 JP 18088997 A JP18088997 A JP 18088997A JP 18088997 A JP18088997 A JP 18088997A JP 3688855 B2 JP3688855 B2 JP 3688855B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
composition
agent
sensitivity
weight
explosive crushing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP18088997A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1129389A (ja
Inventor
敏洋 沖津
英弥 佐藤
Original Assignee
日本工機株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 日本工機株式会社 filed Critical 日本工機株式会社
Priority to JP18088997A priority Critical patent/JP3688855B2/ja
Publication of JPH1129389A publication Critical patent/JPH1129389A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3688855B2 publication Critical patent/JP3688855B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Working Measures On Existing Buildindgs (AREA)
  • Disintegrating Or Milling (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非火薬破砕組成物に係り、特に、非火薬破砕組成物の小ガス炎着火感度を低減することに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
非火薬破砕組成物は、火薬類取締法で指定される火薬類以外の成分から成る組成物であって、これは専用の着火具で燃焼反応させると、成分中の結晶水が急激に気化し主として水蒸気ガスを発生する。
従って、これを適度な間隔に配置した密閉空間、例えば、岩石、岩盤、コンクリート等(以下、脆性体と呼ぶ)の穿孔いわゆるボアホールに充填し閉塞後、着火具で着火燃焼させれば、その発生ガス圧によって脆性体を瞬時に引張破砕(破壊)させるものである。
【0003】
このような脆性体を破壊する従来からの技術としては、最も汎用的な方法である火薬類による破壊手段、或いは建設重機、油圧割岩機等による機械的破砕手段、又は石灰等を主成分とする膨張性破砕剤による破砕方法等がある。
火薬類による破壊手段では、先ず消費許可を取得し、その後実際の施工に移るが、消費許可が認可されるまでに1〜l.5ケ月を要し、緊急の場合には対応しきれない面があるばかりか、苦労して取得した消費許可も実際の施工による地盤振動、騒音等のために施工方法の変更を余儀なくされる場合もある。
【0004】
一方、建設重機等による破砕方法では、施工に起因する地盤振動、騒音については許容レベル以下であっても、施工効率が劣るために施工期間が長くなり、採用には至らなくなる場合もある。
同様に、膨張性破砕剤を用いた施工法は、地盤振動、騒音が殆ど発生せず極めて環境に優しいが、やや施工速度が遅く、而も施工単価が高いという欠点がある。
【0005】
これらの欠点を補い施工効率の優れた施工方法を提供するために、低振動・低騒音破砕薬剤ガンサイザー(日本工機株式会社製商品名)がある。これは、火薬類を用いた施工方法と全く同じ手順で消費許可を必要とせずに迅速に脆性体を破壊する施工法を提供するもので、ダイナマイト等の産業爆薬を使用したことのある現場作業員には違和感を与えない破砕剤である。
【0006】
このガンサイザー破砕組成物は、例えば、特開昭63−319285号公報、特開平2−204384号公報、特開平8−169791号公報等に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この非火薬破砕組成物は、裸火に対する安全性が低く、危険物第2類可燃性固体の識別試験である小ガス炎着火感度試験では第一種可燃性固体に該当し、かねてよりその鈍感化が望まれていた。
【0008】
非火薬破砕組成物のような金属粉を主とする組成物の裸火に対する危険性評価方法としては、消防法に基づく危険物判定試験方法があり、これには各危険物の類別に応じた各種の試験方法が明記されている。ここで、危険物判定試験方法とは、当該物品が本来有する危険性の性状を正確に把握することにより、一定以上の危険性を有するものを危険物として規制し、貯蔵・取扱い等に関して火災予防上の見地から保安規制するものである。この中で、非火薬破砕組成物に関係する危険性判定試験には小ガス炎着火試験があり、これは危険物第2類に該当するか否か、若し危険物第2類に該当するならば、その中の第一種可燃性固体なのか、第二種可燃性固体なのかを判断する試験法である。
【0009】
この試験方法によると、これまでの非火薬破砕組成物は、小ガス炎着火試験で3秒以内に着火する易着火性の第一種可燃性固体であった。
そのために、指定数量は100Kgであって、当該物質単独で100Kg以上の貯蔵・取扱いにあっては消防法に基づく特定場所での貯蔵・取扱い許可が必要である。
【0010】
一方、指定数量以下にあっては、市町村条例に基づく少量危険物の貯蔵・取扱いとして規制されるのみである。
従って、本発明は、危険物第2類第一種可燃性固体である現在の非火薬破砕組成物を危険物第2類第二種可燃性固体以下の鈍感な組成物に感度を低下することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、アルミニウム、酸化第二銅から成るテルミット剤と、明礬から成るガス発生剤と、塩化ビニルから成るバインダーと、ステアリン酸カルシウムから成る小ガス炎感度を低減する鈍感化剤とで構成し、鈍感化剤の含有量が、0.5〜5.0重量%の範囲であることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の非火薬破砕組成物において、鈍感化剤の含有量が、0.7〜3.0重量%の範囲であることを特徴とする
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明者は、先ず、非火薬破砕組成物の裸火に対する着火感度、即ち小ガス炎着火感度試験は、組成物の原料成分のうち何が最も火炎に対して敏感であるかを検討した。更に、これを低減するためにはどうすれば良いか、何をどのように利用すべきかを検討した。
【0016】
その結果、ある種の添加剤を特定の原料に予め混ぜることによって特定の感度を鈍感化することができることを見い出した。
その概要を簡単に記すと、非火薬破砕組成物は、燃料(還元剤)であるアルミニウム、酸化剤である酸化第二銅及びガス発生剤であるカリウム明礬の3主成分からなるが、この何れかの1原料又はこれらの混合物に鈍感化に寄与する添加剤を予め混ぜ込むことによって、当該原料又は混合物を特定の添加剤で被覆してしまうことである。こうした添加剤入り原料又は混合物とその他の成分を再度混和するという2工程から成る配合方法により得た非火薬破砕組成物は、種々の感度特性を持つことが分かった。その一例としてステアリン酸カルシウムの効果について表1に示した。
【表1】
Figure 0003688855
表中、+記号はそれ以上であることを示す。又、サンドペーパー落槌とはJlS落槌試験で有意差を生じないため、サンドペーパー(CC1000)を用いて実施した。
以上より、添加剤(以下、鈍感化剤と呼ぶ)であるステアリン酸カルシウムは、混合物である破砕剤そのものに外割添加した実験No.2,10,11の方が、小ガス炎着火感度等その他の感度が大きく低減する。一方、酸化第二銅に予め混ぜた実験No.8は、鈍感化傾向は弱い。
【0017】
このように添加剤の種類或いは混和方法によっては少量でもある種の感度を大きく低減できることが分かり、以下のような知見を得て本発明に至ったものである。
(1)ガス発生剤の種類によって加えるべき鈍感化剤の種類と量、特に量が異なる。
【0018】
(2)非火薬破砕薬剤がアルミニウム、酸化第二銅及びカリウム明礬から成るとき、鈍感化剤はカリウム明礬又はアルミニウムに混ぜた実験No.7又は9の方が、小ガス炎着火感度の鈍感化効果は大きい。
(3)鈍感化剤としては燃料(還元剤)の表面を万遍なく被覆することのできる表面積の大きなものが効果がある。従って、嵩密度の小さなステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛であり、そのほか蓚酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸ナトリウム、マイクロクリスタリンワックスが好ましい。
【0019】
(4)鈍感化剤の種類及びガス発生剤との組み合わせによっては、外割0.7重量%の添加量(実験No.4)で小ガス炎着火試験に有効なものもあれば、外割3.0重量%(表1に表示せず)でもそれに無効なものもある。
(5)添加量が外割2.0重量%以上であれば、ステアリン酸塩は何れも小ガス炎着火感度に鈍感化傾向を示す。
【0020】
ここで、重量%と重量部との関係を記す。
表1の配合比は、何れも重量部で表示したが、表中の重量部はそのまま重量%と置き換えても良い。アルミニウム、酸化第二銅及び明礬の3主成分の合計で丁度100になるように設計しているからであり、バインダー或いは鈍感化剤は何れも外割重量%になる。
【0021】
尚、ここでは、カリウム明礬について説明したが、アルミニウム明礬についても同様である。
本発明は、基本的に、現在流通している非火薬破砕組成物の性能を大きく低下することなく、危険物第2類第一種可燃性固体から同類第二種可燃性固体へと鈍感化することを狙って改良するものである。即ち、現在の非火薬破砕組成物の貯蔵又は取扱い指定数量を100Kgから500Kgへと緩和し、貯蔵・取扱いを容易にすることを目的に改良したものである。
【0022】
これまでの非火薬破砕組成物は、仕事効果のみを追求してきたため、非火薬組成物でありながら、例えば火薬類であるコンクリート破砕器と同様な性能を持った破砕薬であって、破壊性能的にも十分な能力を持っている。そこで、多少の仕事効果を犠牲にしてでも、もっと貯蔵及び取扱い量を増やせるようにすることを狙いとした。
【0023】
仕事効果としては、現状流通している非火薬破砕組成物の90%以上の脆性体破壊性能を有するものに目標設定した。このような組成物の仕事効果は、一定容積内に閉塞された一定容積の組成物が燃焼反応等で急激に分解しガスを発生するとき、一定時間内に発生するガス量によって、即ちガス発生速度とその量によって決まる。例えば、ガス量が十分であっても反応速度が遅ければ、反応ガス中の水蒸気は周辺媒体を加熱すると同時に冷却され凝縮してしまう。こうなると、ガス圧は急激に低下し、脆性体を破壊する力が弱くなってしまう。従って、一般にこのような組成物の仕事効果は、燃焼反応速度と発生ガス量によって決まり、燃焼速度が密閉状態で100m/s以下と極めて低下しない限り、弾動臼砲比が90%以上になるような組成物を得ることを目標とした。
【0024】
その結果、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸塩が最も有効で、そのほか炭酸マグネシウム、重炭酸ナトリウム、蓚酸マグナシウム、マイクロクリスタリンワックス等も有効あることが分かった。
特に、ステアリン酸塩は、非火薬破砕組成物の仕事効果に大きな性能低下を惹起することなく、効果的に小ガス炎着火感度の低下に寄与することが分かった。非火薬破砕組成物の小ガス炎着火機構は、非火薬破砕組成物のテルミット剤が最も裸火に対して敏感であることから、テルミット剤中のアルミニウムが着火源に成るものと判断される。従って、アルミニウムを鈍感化剤で被覆するか、燃料であるアルミニウムと酸化剤である酸化第二銅との接触を断つことによって、テルミット反応を生起しないようにすれば最も有効であろうことは想像される。
【0025】
そこで、冷却剤と考えられている薬剤として、食塩、重炭酸ナトリウム及び炭酸マグネシウムは有効であろうことは想像に難くない。又、同じ被覆であっても、一定量の例えばアルミニウムを同一重量の被覆剤で被覆するには嵩比重が低く、微粒子のものほど被覆効果は上がることは自明である。
冷却剤の作用機能は、それ自身裸火に対して鈍感で、比較的融点或いは分解温度の低いものであれば有効である。今、小ガス炎着火感度の鈍感化だけについて着眼すると、前述の通りアルミニウムが発火する温度より低い温度で分解、或いは溶融するようなものは、その状態変化の際に熱を奪うため、目的とする混合組成物の熱的感度が鈍感になる。このような作用機構で本非火薬破砕組成物の小ガス炎着火感度が鈍感になるものと解釈される。
【0026】
一方、本非火薬破砕組成物の衝撃感度(落槌感度或いはピックハンマーによる衝撃感度)が鈍感になる機構についても同様に推理される。即ち、本非火薬破砕組成物のような可燃性固体から成る危険物等の衝撃発火機構を調査してみると、発火(反応開始)の発端は摩擦熱に起因するものが大半である。
従って、前述のように着火源と成る要素(成分)を熱的に鈍感化する或いは燃料と酸化剤の接触を断ってやれば、目的は達せられる筈である。後述する実施例を示す表2の結果を見ても、小ガス炎着火感度試験で鈍感化効果のあるものはピックハンマーによる衝撃感度試験でも鈍感化傾向が認められている。
【0027】
【実施例】
(実施例)
実施例の組成、性能を表2に示した。
実施例1から8はそれぞれ鈍感化剤の種類を変えたものであり、実施例9〜13は鈍感化剤の添加量効果を確認したもの、実施例14はガス発生剤としてアンモニウム明礬を用いた場合の鈍感化効果を調査したものである。
【0028】
実施例1、2は、通常花火等煙火業界で良く使われる冷却剤(炭酸マグネシウム:融点350℃、重炭酸ナトリウム:融点270℃)を用いたものである。
即ち、有色煙薬等ではこれらの冷却剤を用いることによって鮮やかな有色煙を発生させることができる。これらの目的は、反応温度の上昇を抑えることによって、成分中の染料の燃焼を防止し、ガス担持体にその染料を付着させ鮮やかな有色煙を発生させるものである。
【0029】
実施例3〜8は、先の冷却剤と同様の効果を狙って鈍感化効果を確認したものである。即ち、実施例3,4は、鈍感化剤に低融点(蓚酸マグネシウム:250〜270℃分解、マイクロクリスタリンワックス:融点92℃)のものを利用したものであり、実施例5(ステアリン酸亜鉛:融点130℃)、実施例6(ステアリン酸アルミニウム:融点103℃)、実施例7(ステアリン酸マグネシウム:融点86℃)及び実施例8(ステアリン酸カルシウム:融点180℃)は実施例2、4と同様に低融点でありながら嵩密度が低く微粒子であるものを選定して実施したものである。嵩比重の低いステアリン酸塩の中では、融点の高いカルシウム塩の方が、小ガス炎着火感度試験では良好な結果を与える傾向にあることが分かった。
【0030】
実施例9〜13は、鈍感化剤としてステアリン酸カルシウムを用い、その添加量を変えることによって最も有効な量的範囲を調査したものである。一般に、鈍感化剤を増やせば、所望の鈍感化効果が得られることは比較例5、6からも自明である。然し乍ら、本非火薬破砕組成物の脆性体破壊性能を大きく低下することなく小ガス炎着火感度のような特定の感度性能を低下することは困難を伴う。
【0031】
然し乍ら、鈍感化剤の添加方法によっては、その添加量が外割1重量部以下であっても表2の実施例9〜11にあるように2工程から成る混合方法に特定すれば、最終目標である小ガス炎着火感度をクリアすることができることを示す。然し、これは製造方法の煩雑さから製品単価が高くなるなどの理由から1工程で得られる組成物で小ガス炎着火感度試験をクリアするような組成物であることが望ましい。
【0032】
従って、どこまで鈍感化剤を添加すれば1工程で所望の組成物が得られるかを確認したところ、鈍感化剤の添加量が外割2%以上であれば、1工程で所望の小ガス炎着火感度性能のものが得られ、而も脆性体破壊性能の1指標である弾動臼砲比が元の組成物の90%以上のものが得られることが分かった。
又、鈍感化剤の添加量上限は、実施例13に記したように、破砕性能は元の性能の90%以下に低下してしまう可能性があることが分かった。
【0033】
このように鈍感化剤の小ガス炎着火感度低下の作用機構は、先にも記したように主成分であるアルミニウム、酸化第二銅及び明礬のうち燃料成分であるアルミニウムを本非火薬破砕組成物の最終目的である破砕性能に影響を及ぼさない程度に非着火性にするか、難着火性にすることによって小ガス炎着火感度を低下するものである。
【0034】
次に、実施例8,9,10の調合法とその他の実施例の調合法について分けて記す。
先ず、実施例8は、アルミニウム11.5重量部と酸化第二銅38.5重量部、カリウム明礬50重量部及び予めアセトンに溶かしておいた塩化ビニル粉正味1.5重量部を同一容器に入れ、更に適量のアセトンを加えて良く混ぜる。アセトンがほば揮発し固まってきたら、8メッシュの篩で造粒し、それを乾燥させる。乾燥後、鈍感化剤としてステアリン酸カルシウムを2.5重量部とアセトン適量を加えゆっくり混和し、先と同様にアセトンが気化し固まってきたら造粒し、乾燥して得た。
【0035】
一方、実施例1〜7及び実施例11〜14については実施例1を代表に説明する。
先ず、アルミニウム11.5重量部と酸化第二銅38.5重量部、カリウム明礬50重量部及び鈍感化剤としての炭酸マグネシウム2.5重量部と予めアセトンに溶かしておいた塩化ビニル粉正味1.5重量部を同一容器に入れ軽く混ぜ合わせる。次に、適量のアセトンを加えてから各成分が十分に混ざり合うようにゆっくりと而も十分に混ぜ込む。アセトンがほぼ揮発し固まってきたら、8メッシュの篩で造粒し、それを乾燥して得た。
【0036】
実施例2〜7は、鈍感化剤をそれぞれ重炭酸ナトリウム、蓚酸マグネシウム、マイクロクリスタリンワックス(Luvax2191)、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムに順次変えたものである。
【0037】
又、実施例11〜13は、ステアリン酸カルシウムを用いて順次添加量を増やしたものであり、実施例14は実施例8と同じ配合比であるがカリウム明礬の代わりにアンモニウム明礬を用いたものである。
これらの実施例の中でも、鈍感化剤の種類及び添加量としては、ステアリン酸カルシウムが最も有効で、その量は2.0〜2.5重量部である。この添加量が少な過ぎると、目的とする小ガス炎着火感度が鋭敏になり、本非火薬破砕組成物が危険物第2類第一種可燃性固体になってしまい、一方この量が多すぎると、目的とする組成物の脆性体破砕(破壊)性能が低下し、ユーザーから不評を買ってしまう。
【0038】
当初、本非火薬破砕組成物の小ガス炎着火感度の低下だけをターゲットに改良を進めてきたが、ステアリン酸カルシウムを2.0重量部程度以上添加することによってピックハンマーによる繰当て感度も大きく低下したことは大きな副次効果である。
(比較例)
比較例の組成、性能を表3に示した。
【0039】
比較例1は、本発明の鈍感化剤を使用しないものについて性能を示した。従来の非火薬破砕組成物は、ここに示すように小ガス炎着火感度は約1秒前後であり、このためこれまで危険物第2類第一種可燃性固体であった。
比較例2、3、4は、比較例1のガス発生剤であるカリウム明礬の代わりにアンモニウム明礬をそれぞれ40、50、60と用いた場合の結果である。即ち、燃焼剤であるテルミットの多少と性能の関係を調査したものであり、テルミット剤が減少すると、落槌感度と燃焼速度は低下する傾向にあるが、小ガス炎着火感度はそれほど低下しない。
【0040】
一方、比較例5、6のように非火薬破砕組成物に爆薬技術で減熱消炎剤として良く使われる塩化ナトリウムを用いたものは、鈍感化剤の量が増えると、鈍感化傾向が強まるが、それにつれ破砕性能につながる燃焼速度及び弾動臼砲値も大きく低下し、ついには脆性体を破壊する能力を失ってしまう。
この塩化ナトリウム(融点800℃)の粒度も重要なファクターであるが、たとえ微粒子のものが得られても、潮解性の問題があるために現状では利用できない。
【0041】
【表2】
Figure 0003688855
【表3】
Figure 0003688855
表2、表3において、実施例9〜11は、表lの例と同じ試作品であり、従来の非火薬破砕組成物に外割で鈍感化剤を添加して得られたものであって2工程から成るが、その他の実施例、比較例は工数低減のために各原料を同時に混ぜ1工程で得られた試作品試料である。
【0042】
又、小ガス炎試験とは、改正消防法に基づく危険物判定試験法の危険物第2類の確認試験方法であり、火炎による着火の危険性を判断するための小ガス炎着火試験による着火までの最短時間を表記した。ここで、危険物第2類第一種可燃性固体は、小ガス炎着火試験で3秒以内に着火するもの、危険物第2類第二種可燃性固体は、小ガス炎着火試験で3〜10秒以内に着火するものをいう。
【0043】
又、着火燃焼試験は、砂中30cmに埋設したカートリッジ筒体を専用イグナイターで着火させた時、試料が全量消失した時を燃焼、試料が未燃焼で残ったときを燃焼中断と記した。
又、燃焼速度は、長さ300mmのガス管(SGPW20A)中における燃焼速度で、K0NTlNlTR0 AG製のExplomet(光ファイバー式測定器)による光ファイバーー法によって計測した。
【0044】
又、弾動臼砲比(%)は、現在の製品(比較例1)を100としたときの値で示した。
又、ピック繰当て試験は、アルミニウム製の筒体(27φ、40mm)に30gの試料を入れ、これをコンクリート製の深さ100mmのボアホールに装填後その上からピックハンマーによる繰当て試験を最大30秒間実施した結果を示しており、分母は試験数で分子は発火数である。
【0045】
又、表1乃至表3における各成分は下記のものを使用した。
アルミニウム 東洋アルミニウム株式会社製商品名PF0100S
酸化第二銅 日新ケムコ株式会社製
カリウム明礬 大明化学工業株式会社製
アンモニウム明礬 大明化学工業株式会社製
塩化ビニル粉 日本ゼオン株式会社製商品名ゼオン400
塩化ナトリウム 関東化学株式会社製試薬鹿一級
塩基性炭酸マグネシウム 関東化学株式会社製試薬鹿一級
重炭酸ナトリウム 関東化学株式会社製試薬鹿一級
蓚酸マグネシウム二水和物 関東化学株式会社製試薬鹿一級
マイクロクリスタリンワックス 日本精蝋株式会社Luvax 2191
ステアリン酸亜鉛 関東化学株式会社製試薬鹿一級
ステアリン酸アルミニウム 関東化学株式会社製試薬鹿一級
ステアリン酸マグネシウム 関東化学株式会社製試薬鹿一級
ステアリン酸カルシウム 関東化学株式会社製試薬鹿一級
【0046】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、着火燃焼源であるアルミニウムを火炎に触れさせないようにするか又はテルミット反応の根元である燃料(可燃剤)と酸化剤との接触或いは又明礬との接触を阻害することによって、破砕組成物が持つ脆性体の破砕(破壊)性能を大きく低下することなく特定の感度性能のみを低減することができた。
【0047】
その結果、改正消防法に基づく第2類危険物判定試験法である小ガス炎着火試験に合格させ、本非火薬破砕組成物を危険物第2類第一種可燃性固体から危険物第2類第二種可燃性固体へと鈍感化することができる。

Claims (2)

  1. アルミニウム、酸化第二銅から成るテルミット剤と、
    カリウム明礬又はアンモニウム明礬から成るガス発生剤と、
    塩化ビニルから成るバインダーと、
    ステアリン酸カルシウムから成る小ガス炎着火感度を低減する鈍感化剤とで構成し
    鈍感化剤の含有量が、0.5〜5.0重量%の範囲である
    ことを特徴とする非火薬破砕組成物。
  2. 鈍感化剤の含有量が、0.7〜3.0重量%の範囲であることを特徴とする請求項1記載の非火薬破砕組成物。
JP18088997A 1997-07-07 1997-07-07 非火薬破砕組成物 Expired - Fee Related JP3688855B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18088997A JP3688855B2 (ja) 1997-07-07 1997-07-07 非火薬破砕組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18088997A JP3688855B2 (ja) 1997-07-07 1997-07-07 非火薬破砕組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1129389A JPH1129389A (ja) 1999-02-02
JP3688855B2 true JP3688855B2 (ja) 2005-08-31

Family

ID=16091111

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18088997A Expired - Fee Related JP3688855B2 (ja) 1997-07-07 1997-07-07 非火薬破砕組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3688855B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030037707A (ko) * 2001-11-05 2003-05-16 김창선 급팽창 금속 혼합물
JP4818583B2 (ja) * 2003-11-07 2011-11-16 日本工機株式会社 鈍感な高威力非火薬破砕薬剤
JP2005194157A (ja) * 2004-01-09 2005-07-21 Nippon Koki Co Ltd 金属ヒドラジン硝酸塩の製造方法、金属ヒドラジン硝酸塩および金属ヒドラジン硝酸塩組成物
JP5179838B2 (ja) * 2007-11-08 2013-04-10 日本工機株式会社 非火薬ガス発生器及びこれを用いた携行型拘束網展開装置
JP5108624B2 (ja) * 2008-05-19 2012-12-26 日本工機株式会社 携帯用緊急標示装置
JP6357017B2 (ja) * 2014-05-29 2018-07-11 日本工機株式会社 下水道管の破砕工法及び下水道管の撤去工法
JP6357025B2 (ja) * 2014-06-16 2018-07-11 日本工機株式会社 下水道管の更新工法
JP6478858B2 (ja) * 2015-07-27 2019-03-06 カヤク・ジャパン株式会社 破砕剤組成物
JP6812681B2 (ja) * 2016-07-04 2021-01-13 三菱瓦斯化学株式会社 膨張剤用組成物及びそれを用いた膨張剤
JP6999355B2 (ja) * 2017-10-20 2022-01-18 日油株式会社 無線非火薬着火具、無線非火薬破砕システム、及び、無線非火薬破砕方法
JP2019199384A (ja) * 2018-05-18 2019-11-21 国立大学法人横浜国立大学 火薬用金属粉、火薬組成物、花火、照明弾およびフレア

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1129389A (ja) 1999-02-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3688855B2 (ja) 非火薬破砕組成物
AU699412B2 (en) Pyrotechnical charge for detonators
Comet et al. Sulfates‐based nanothermites: an expanding horizon for metastable interstitial composites
JPH08508972A (ja) インフレータのガス発生器のための発火組成物
AU2013230688A1 (en) Modified blasting agent
JP2965193B2 (ja) 非火薬破砕組成物
RU2278099C1 (ru) Взрывчатая композиция
Comet et al. New detonating compositions from ammonium dinitramide
JP4818583B2 (ja) 鈍感な高威力非火薬破砕薬剤
Tsapko et al. Influence of dry mixtures in a coating on the effectiveness of wood protection from the action of a magnesium flame
US4424087A (en) Method for desensitizing particle formed solid explosive substances
US3096223A (en) Slurry blasting explosives containing inorganic prechlorate or chlorate
Prakash et al. Prevention of self decomposition in pyrotechnic wet mixtures by replacing aluminium with boron
JP6404147B2 (ja) 破砕剤組成物
Oxley Non‐traditional explosives: Potential detection problems
RU2633545C1 (ru) Пиротехнический фейерверочный состав желтого огня
JP6534317B2 (ja) 破砕剤組成物
Kosanke et al. Selected Pyrotechnic Publications of KL and BJ Kosanke, Part 4: 1995 Through 1997
KR102473077B1 (ko) 화약류로 착화되는 미진동 파쇄제 조성물 및 이의 제조 방법
Hutson et al. Introduction to the Forensic Analysis of Intact Explosives
Merrifield et al. Potential fire and explosion hazards of a range of loose pyrotechnic compositions
JP2018058744A (ja) 発煙剤組成物
RU2194688C2 (ru) Состав гранулированного взрывчатого вещества и способ его приготовления
KR20040024286A (ko) 미진동 파쇄제 조성물
KR101193486B1 (ko) 전술형 열압력 수류탄

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040309

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040507

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050607

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050609

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090617

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090617

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100617

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110617

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120617

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120617

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130617

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130617

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140617

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees