JP3688622B2 - 組電池の充電状態調整方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2次電池からなる単位セルを複数個直列に接続して構成され、負荷や充電器が両端に接続された閉回路状態において充放電を行う組電池の充電状態を調整する方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電動モータを用いて走行する電気自動車や、エンジンと電動モータとを併用して走行するハイブリッド電気自動車においては、ニッケル−水素電池やリチウム電池といった2次電池を単位セルとしてこれらを複数個直列接続した組電池が、電動モータの電源として用いられている。
【0003】
そして、上述した組電池には、充放電を繰り返すうちに、各単位セルの充電状態(SOC)に基づく端子電圧にばらつきが生じ、これを放置したまま充電を行うと一部の単位セルが過充電状態となりかねず、また、そのような状態を繰り返し発生させると、各単位セル毎に劣化の進行にばらつきが生じてしまう、という問題があることが知られている。
【0004】
そこで、従来から、各単位セルの端子電圧のばらつきを解消するための提案が種々なされているが、その一例として、特開平10−225005号公報により提案された二次電池電位均等化回路では、時間に対しほぼ均等になる割合で各単位セルをコンデンサに順次切り換えて接続することで、蓄積電荷の多い単位セルからコンデンサを介して蓄積電荷の少ない単位セルに電荷を移動させて均等化を図るようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した特開平10−225005号公報の二次電池電位均等化回路のような形態でコンデンサを用いる場合、各単位セルの均等化が終了してコンデンサが全ての単位セルから切り離されると、均等化の動作中にコンデンサに蓄積されていた電荷は程なく自然放電により放出されてしまうので、次に各単位セルの均等化を行う場合には、コンデンサがほぼ電荷を蓄積していない状態から動作を開始することになる。
【0006】
したがって、上述した特開平10−225005号公報により提案された従来の方式のように、時間で区切ってコンデンサに接続する単位セルの順番が常に同じである場合は、先に接続される単位セルの方が後から接続される単位セルに比べて、コンデンサに電荷が蓄積されていない分だけコンデンサとの端子電圧の差が大きく、それだけ多くの電荷がコンデンサに移動することになる。
【0007】
そのため、先に接続される単位セルの方が後から接続される単位セルよりも相対的に、均等化動作の開始時点における放電量が多くなり、その結果、均等化動作を繰り返せば繰り返すほど、先に接続される単位セルの方が後から接続される単位セルよりも、放電による劣化が進行してしまうという不具合がある。
【0008】
そして、上述した不具合は、車両に搭載された組電池に限らず、携帯電話や携帯式の家電品等、種々の分野において使用される組電池について、広く当てはまるものであった。
【0009】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、複数個直列に接続されて組電池を構成する単位セルの相互間に生じた充電状態のばらつきを、キャパシタを経由した各単位セル相互間の電荷移動により解消するに当たり、各単位セルとキャパシタとの間での電荷移動量が特定の単位セルだけ集中して大きくなってしまうのを極力抑制乃至防止することができる組電池の充電状態調整方法及びその装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成する請求項1乃至請求項3に各々記載した本発明は、組電池の充電状態調整方法に関するものであり、請求項4乃至請求項6に各々記載した本発明は、組電池の充電状態調整装置に関するものである。
【0011】
そして、請求項1に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法は、負荷や充電器が両端に接続された閉回路状態において充放電を行う組電池を構成する、複数個直列に接続された2次電池からなる単位セルを、前記組電池の開回路状態において、前記負荷や前記充電器とは絶縁して構成されたキャパシタに、個別に順次切り換えて接続することで、前記組電池の充電状態を調整するに当たり、内部に蓄積された電荷が前記組電池の充電状態の非調整中に自然放電される前記キャパシタに、前記単位セルを、前記組電池の充電状態の調整を開始する前の該組電池の開回路状態において、接続時間を徐々に長くしつつ個別に順次切り換えて接続することで、前記各単位セルの蓄積電荷により前記キャパシタを、前記組電池の充電状態の調整を開始する前に予め充電しておくようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法は、請求項1に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法において、前記各単位セルを一巡するまでこれら各単位セルを前記キャパシタに個別に順次切り換えて接続し終えた時点で、前記組電池の充電状態の調整を開始する前の前記キャパシタの予充電を終了するようにした。
【0013】
さらに、請求項3に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法は、請求項1又は2に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法において、前記キャパシタの端子電圧が前記単位セルの満充電状態における開回路端子電圧以下となるように、前記組電池の充電状態の調整を開始する前に前記キャパシタを予め充電しておくようにした。
【0014】
また、請求項4に記載の組電池した本発明の充電状態調整装置は、図1に基本構成図で示すように、負荷や充電器が両端に接続された閉回路状態において充放電を行う組電池Aを構成する、複数個直列に接続された2次電池からなる単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを、前記組電池Aの開回路状態において、前記負荷や前記充電器とは絶縁して構成されたキャパシタCCHG に、個別に順次切り換えて接続することで、前記組電池Aの充電状態を調整する組電池の充電状態調整装置であって、内部に蓄積された電荷が前記組電池Aの充電状態の非調整中に自然放電される前記キャパシタCCHG に、前記単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを、前記組電池Aの充電状態の調整を開始する前の該組電池Aの開回路状態において、接続時間を徐々に長くしつつ個別に順次切り換えて接続する初期充電用接続セル切換手段Bを備えており、前記初期充電用接続セル切換手段Bにより前記キャパシタCCHG に前記単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを個別に順次切り換えて接続することで、前記各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの蓄積電荷により前記キャパシタCCHG を、前記組電池Aの充電状態の調整を開始する前に予め充電することを特徴とする。
【0015】
さらに、請求項5に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置は、請求項4に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置において、前記初期充電用接続セル切換手段Bにより、前記各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを一巡するまでこれら各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnが前記キャパシタCCHG に個別に順次切り換えて接続され終えた時点で、前記組電池Aの充電状態の調整を開始する前の前記キャパシタCCHG の予充電を終了する予充電終了手段11Aをさらに備えるものとした。
【0016】
また、請求項6に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置は、請求項4又は5に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置において、前記キャパシタCCHG が、前記単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの満充電状態における開回路端子電圧V1 ,V2 ,V3 ,…,Vn 以下の端子電圧VCAP となるように、前記組電池Aの充電状態の調整を開始する前に予充電されるものとした。
【0017】
請求項1に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法によれば、内部に蓄積された電荷が組電池の充電状態の非調整中に自然放電されるキャパシタに対して、組電池の充電状態の調整を開始する前の各単位セルが個別に順次切り換えて接続されると、各単位セルからキャパシタに電荷が移動して徐々に蓄積される。
【0018】
すると、キャパシタに電荷が徐々に蓄積されることから、後に接続された単位セルほど、単位時間当たりにキャパシタに移動する電荷の量が徐々に減少するが、キャパシタに対する各単位セルの接続時間を徐々に長くすることから、キャパシタに接続されている間に各単位セルからキャパシタに移動する電荷の量は、先に接続された単位セルも後に接続された単位セルも殆ど変わらないことになる。
【0019】
また、請求項2に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法によれば、請求項1に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法において、各単位セルを一巡するまでこれら各単位セルをキャパシタに個別に順次切り換えて接続し終えた時点で、各単位セルに蓄積された電荷によるキャパシタの予充電が終了されることから、この予充電の間にキャパシタに各々移動した電荷の総量は、先に接続された単位セルも後に接続された単位セルも殆ど変わらないことになる。
【0020】
さらに、請求項3に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法によれば、請求項1又は2に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法において、組電池の充電状態の調整を開始する時点における各単位セルの端子電圧とキャパシタの端子電圧とが共に、各単位セルの満充電状態における開回路端子電圧を上回ることがなく、かつ、組電池の充電状態の調整を開始した後に、キャパシタとこれに接続された各単位セルとの間で蓄積電荷の移動が発生し、端子電圧の低い方が蓄積電荷の移動により充電されても、充電後の端子電圧が、蓄積電荷を放出した端子電圧の高い方を超えることはないので、組電池の充電状態の調整を終えた後の単位セルの端子電圧は、各単位セルの満充電状態における開回路端子電圧を絶対に上回らないことになる。
【0021】
また、請求項4に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置によれば、図1に示すように、内部に蓄積された電荷が組電池Aの充電状態の非調整中に自然放電されるキャパシタCCHG に対して、組電池Aの充電状態の調整を開始する前の各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnが、初期充電用接続セル切換手段Bによって個別に順次切り換えて接続されると、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnからキャパシタCCHG に電荷が移動して徐々に蓄積される。
【0022】
すると、キャパシタCCHG に電荷が徐々に蓄積されることから、後に接続された単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnほど、単位時間当たりにキャパシタCCHG に移動する電荷の量が徐々に減少するが、キャパシタCCHG に対する各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの接続時間を、初期充電用接続セル切換手段Bが徐々に長くすることから、キャパシタCCHG に接続されている間に各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnからキャパシタCCHG に移動する電荷の量は、先に接続された単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnも後に接続された単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnも殆ど変わらないことになる。
【0023】
また、請求項5に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置によれば、請求項4に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置において、初期充電用接続セル切換手段Bにより、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを一巡するまでこれら各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnがキャパシタCCHG に個別に順次切り換えて接続され終えた時点で、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnに蓄積された電荷によるキャパシタCCHG の予充電が予充電終了手段11Aによって終了されることから、この予充電の間にキャパシタCCHG に各々移動した電荷の総量は、先に接続された単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnも後に接続された単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnも殆ど変わらないことになる。
【0024】
さらに、請求項6に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置によれば、請求項4又は5に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置において、組電池Aの充電状態の調整を開始する時点における各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの端子電圧とキャパシタCCHG の端子電圧とが共に、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの満充電状態における開回路端子電圧を上回ることがなく、かつ、組電池Aの充電状態の調整を開始した後に、キャパシタCCHG とこれに接続された各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnとの間で蓄積電荷の移動が発生し、端子電圧の低い方が蓄積電荷の移動により充電されても、充電後の端子電圧が、蓄積電荷を放出した端子電圧の高い方を超えることはないので、キャパシタCCHG の蓄積電荷の移動により充電された後の単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの端子電圧は、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの満充電状態における開回路端子電圧を絶対に上回らないことになる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による組電池の充電状態調整方法を、本発明による組電池の充電状態調整装置と共に、図面を参照して説明する。
【0026】
図2は本発明の一実施形態に係る組電池の充電状態調整装置(以下、「調整装置」と略記する。)の概略回路構成を一部ブロックにて示す説明図であり、図2中引用符号1で示す本実施形態の調整装置は、エンジンとモータジェネレータ(いずれも図示せず。)を走行用駆動源として併用するハイブリッド電気自動車(以下、「車両」と略記する。)において、前記不図示の電動モータの電源として用いられるメインバッテリA(請求項中の組電池に相当。)に接続して使用されるものである。
【0027】
前記メインバッテリAは、2次電池からなる単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを複数個直列に接続して構成されており、メインバッテリAの両端には、電動モータとして機能している状態のモータジェネレータ等が、必要に応じて負荷として接続される他、不図示のオルタネータや、発電機として機能している状態のモータジェネレータが、必要に応じて充電器として接続される。
【0028】
そして、本実施形態の調整装置1は、オルタネータやモータジェネレータ等とは絶縁して設けられた均等充電用コンデンサCCHG (請求項中のキャパシタに相当。)と、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの正負各極を選択的に均等充電用コンデンサCCHG に接続させるための複数のフォトMOSトランジスタSW01,SW12,…,SW(n−1)nとを有している。
【0029】
尚、フォトMOSトランジスタSW01,SW(n−1)nを除く他のフォトMOSトランジスタSW12,…,SW(n−2)(n−1)は、前段の単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATn−1の負極選択用と、後段の単位セルBAT2,BAT3,…,BATnの正極選択用とを兼ねている。
【0030】
そのため、本実施形態の調整装置1には、フォトMOSトランジスタSW01,SW12,…,SW(n−1)nをオンさせる際に、そのオンにより充電用コンデンサCCHG に接続するのが、単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATn−1の負極であるのか、それとも、単位セルBAT2,BAT3,…,BATnの正極であるのかを選択するための、極性反転用リレー2a,2b,3a,3bが設けられている。
【0031】
また、均等充電用コンデンサCCHG には、この均等充電用コンデンサCCHG に対する電荷の流入又は流出の際に、その流入量又は流出量、つまり、電荷の移動量に応じた電流を、均等充電用コンデンサCCHG と絶縁された回路上で発生させて、電荷の移動量に応じた電位差を生じさせる電荷移動検出回路部5が接続されている。
【0032】
そして、電荷移動検出回路部5に生じた電位差は、アンプ7で増幅された後、コンパレータ9によって、電荷移動量の基準値に相当する電位と比較され、均等充電用コンデンサCCHG に対する電荷の流入量又は流出量(電荷の移動量)が基準値に達しているか達していないかによってハイ、ローの状態が異なるコンパレータ9の比較出力が、マイクロコンピュータ(以下、「CPU」と称する。)11の入力ポートPORTに入力される。
【0033】
尚、コンパレータ9によってアンプ7の増幅出力と比較する電荷移動量の基準値は、電荷移動量=0以上の任意の値に相当する電位に設定可能であるが、本実施形態では、電荷移動量=0に相当する電位に基準値が設定されている。
【0034】
これら電荷移動検出回路部5、アンプ7、コンパレータ9、並びに、CPU11も、メインバッテリA、フォトMOSトランジスタSW01,SW12,…,SW(n−1)n、充電用コンデンサCCHG 、並びに、極性反転用リレー2a,2b,3a,3bと共に、調整装置1を構成しており、フォトMOSトランジスタSW01,SW12,…,SW(n−1)nや極性反転用リレー2a,2b,3a,3bの開閉はCPU11によって制御される。
【0035】
CPU11は、例えばワンチップマイコン等からなり、各種データ記憶用のデータエリア及び各種処理作業に用いるワークエリアを有するRAM(図示せず。)と、CPU11に各種処理動作を行わせるための制御プログラムが格納されたROM(図示せず。)とを、内蔵している。
【0036】
次に、ROMに格納された制御プログラムに従いCPU11が行う処理のうち、特に、オルタネータや発電機として機能している状態のモータジェネレータにより発電された電力によるメインバッテリAの充電動作が完了した後に実行される、単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの充電状態を均等化するための均等化充電処理等について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0037】
不図示の電源からの給電を受けてCPU11が起動しプログラムがスタートすると、まず、前回の均等化処理の後に蓄積電荷を自然放電した状態にある充電用コンデンサCCHG の初期充電を開始し(ステップS1)、RAMのワークエリアに確保された接続セルカウンタのカウント値iを、単位セルBAT1に対応する「1」に設定すると共に(ステップS2)、RAMのワークエリアに確保された接続時間タイマのタイムアップ時間tを「0.1msec」に設定する(ステップS3)。
【0038】
次に、フォトMOSトランジスタSW01,SW12,…,SW(n−1)nや極性反転用リレー2a,2b,3a,3bの開閉状態を制御して、接続セルカウンタのカウント値iに対応する単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnと均等充電用コンデンサCCHG との正極どうし、負極どうしを各々接続させ(ステップS4)、その後、接続時間タイマのタイマ値がタイムアップ時間tに達したか否かを確認する(ステップS5)。
【0039】
タイムアップ時間tに達していない場合は(ステップS5でN)、ステップS4にリターンし、達した場合は(ステップS5でY)、接続セルカウンタのカウント値iが、メインバッテリAを構成する単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの個数に対応する「n」に達したか否かを確認し(ステップS6)、達していない場合は(ステップS6でN)、接続時間タイマのタイムアップ時間tを「0.1msec」増やし(ステップS7)、接続セルカウンタのカウント値iを「1」インクリメントした後(ステップS8)、ステップS4にリターンする。
【0040】
一方、ステップS5において接続時間タイマのタイマ値がタイムアップ時間tに達している場合(Y)には、充電用コンデンサCCHG の初期充電を終了し(ステップS9)、引き続き、均等化充電を開始して(ステップS10)、RAMのワークエリアに確保された第2接続セルカウンタのカウント値i´を、単位セルBAT1に対応する「1」に設定する(ステップS11)。
【0041】
次に、フォトMOSトランジスタSW01,SW12,…,SW(n−1)nや極性反転用リレー2a,2b,3a,3bの開閉状態を制御して、第2接続セルカウンタのカウント値i´に対応する単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnと均等充電用コンデンサCCHG との正極どうし、負極どうしを各々接続させ(ステップS12)、その後、入力ポートPORTに入力されるコンパレータ9の比較出力のハイ、ローの状態に基づいて、現在接続されている単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnと均等充電用コンデンサCCHG との間を電荷が移動中であるか否かを確認し(ステップS13)、移動中である場合は(ステップS13でY)、ステップS12にリターンする。
【0042】
一方、現在接続されている単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnと均等充電用コンデンサCCHG との間を電荷が移動中でない場合は(ステップS13でN)、第2接続セルカウンタのカウント値i´が、メインバッテリAを構成する単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの個数に対応する「n」に達したか否かを確認する(ステップS14)。
【0043】
第2接続セルカウンタのカウント値i´が「n」に達していない場合は(ステップS14でN)、第2接続セルカウンタのカウント値i´を「1」インクリメントした後(ステップS15)、ステップS12にリターンし、第2接続セルカウンタのカウント値i´が「n」に達している場合は(ステップS14でY)、ステップS11からステップS15までのルーチンの繰り返しの際に、全ての単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnについて、均等充電用コンデンサCCHG との間に電荷の移動が全くなかったか否かを確認する(ステップS16)。
【0044】
そして、一部の単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnについて、均等充電用コンデンサCCHG との間を移動する電荷があった場合は(ステップS16でN)、ステップS11にリターンし、全ての単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnについて、均等充電用コンデンサCCHG との間に電荷の移動が全くなかった場合は(ステップS16でY)、均等化充電を終了して(ステップS17)、一連の処理を終わる。
【0045】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態の調整装置1では、請求項中の初期充電用接続セル切換手段Bが、フォトMOSトランジスタSW01,SW12,…,SW(n−1)nや極性反転用リレー2a,2b,3a,3bと、図3中のステップS2乃至ステップS8とによって構成されており、図3中のステップS6及びステップS7が、請求項中の予充電終了手段11Aに対応する処理となっている。
【0046】
次に、上述のように構成された本実施形態の調整装置1の動作(作用)について説明する。
【0047】
まず、電動モータとして機能している状態のモータジェネレータ等の負荷にメインバッテリAが接続されている閉回路状態では、負荷に対するメインバッテリAからの放電が行われ、また、オルタネータや発電機として機能している状態のモータジェネレータにメインバッテリAが接続されている閉回路状態では、それらによって発電された電力によりメインバッテリAの各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnが充電される。
【0048】
ここで、メインバッテリAの各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの充電状態(SOC)に基づく端子電圧にばらつきが生じていて、単位セルBAT1の開回路状態端子電圧V1 、単位セルBAT2の開回路状態端子電圧V2 、単位セルBATnの開回路状態端子電圧Vn 、並びに、均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP の間に、VB =V1 (=V)>V2 >Vn の関係(但し、Vは、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの満充電状態における開回路端子電圧)が生じているものとする。
【0049】
そして、メインバッテリAが負荷やオルタネータ等から切り離された、例えば車両のイグニッションスイッチのオフ状態において、後述する均等充電用コンデンサVCAP の予備充電動作を行った後、均等化充電動作に入り、まず、極性反転用リレー2a,3aがオンされると共に、極性反転用リレー2b,3bがオフされ、この状態で、フォトMOSトランジスタSW01,SW12のみがオンされて、単位セルBAT1と均等充電用コンデンサCCHG との正極どうし、負極どうしが各々接続される。
【0050】
しかし、均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP と単位セルBAT1の開回路状態端子電圧V1 とが等しいことから、平衡状態にある均等充電用コンデンサCCHG と単位セルBAT1との間では電荷の移動が起こらず、したがって、均等充電用コンデンサCCHG の接続対象が即座に次の単位セルBAT2に切り換えられることになる。
【0051】
具体的には、極性反転用リレー2b,3bがオンされると共に、極性反転用リレー2a,3aがオフされ、この状態で、フォトMOSトランジスタSW12,SW23のみがオンされて、単位セルBAT2と均等充電用コンデンサCCHG との正極どうし、負極どうしが各々接続される。
【0052】
すると、均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が単位セルBAT2の開回路状態端子電圧V2 よりも高いことから、均等充電用コンデンサCCHG に蓄積された電荷の単位セルBAT2への移動が起こり、均等充電用コンデンサCCHG によって単位セルBAT2が充電されて単位セルBAT2の開回路状態端子電圧V2 が上がる一方、蓄積電荷を単位セルBAT2に放出した均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が放電により下がる。
【0053】
そして、両端子電圧V2 ,VCAP の差が小さくなり、やがて、両端子電圧V2 ,VCAP が等しくなって、均等充電用コンデンサCCHG と単位セルBAT2とが平衡状態に至り、均等充電用コンデンサCCHG と単位セルBAT2との間で電荷の移動が起こらなくなると、その時点で即座に、均等充電用コンデンサCCHG の接続対象が次の単位セルBAT3に切り換えられる。
【0054】
ここで、均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が単位セルBAT3の開回路状態端子電圧V3 よりも高ければ、均等充電用コンデンサCCHG に蓄積された電荷の単位セルBAT3への移動が起こり、反対に、均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が単位セルBAT3の開回路状態端子電圧V3 よりも低ければ、単位セルBAT3に蓄積された電荷の均等充電用コンデンサCCHG への移動が起こる。
【0055】
そして、均等充電用コンデンサCCHG に蓄積された電荷の単位セルBAT3への移動が起こった場合は、均等充電用コンデンサCCHG によって単位セルBAT3が充電されて単位セルBAT3の開回路状態端子電圧V3 が上がるのに対して、蓄積電荷を単位セルBAT3に放出した均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が放電により下がって、両端子電圧V3 ,VCAP の差が小さくなる。
【0056】
一方、単位セルBAT3に蓄積された電荷の均等充電用コンデンサCCHG への移動が起こった場合は、単位セルBAT3によって均等充電用コンデンサCCHG が充電されて均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が上がるのに対して、蓄積電荷を均等充電用コンデンサCCHG に放出した単位セルBAT3の開回路状態端子電圧V3 が放電により下がって、両端子電圧V3 ,VCAP の差が小さくなる。
【0057】
いずれにしても、両端子電圧V3 ,VCAP の差が小さくなり、やがて、両端子電圧V3 ,VCAP が等しくなって、均等充電用コンデンサCCHG と単位セルBAT3とが平衡状態に至り、均等充電用コンデンサCCHG と単位セルBAT3との間で電荷の移動が起こらなくなると、その時点で即座に、均等充電用コンデンサCCHG の接続対象が次の単位セルBAT4以降に切り換えられる。
【0058】
その後は、均等充電用コンデンサCCHG とこれに接続された単位セルBAT4,…,BATn−1との間で、その時点での均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が単位セルBAT4,…,BATn−1の開回路状態端子電圧V4 ,…,Vn-1 よりも高ければ、均等充電用コンデンサCCHG に蓄積された電荷の単位セルBAT4,…,BATn−1への移動が起こり、反対に、均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が単位セルBAT4,…,BATn−1の開回路状態端子電圧V4 ,…,Vn-1 よりも低ければ、単位セルBAT4,…,BATn−1に蓄積された電荷の均等充電用コンデンサCCHG への移動が起こる。
【0059】
そして、均等充電用コンデンサCCHG に蓄積された電荷の単位セルBAT4,…,BATn−1への移動が起こった場合は、均等充電用コンデンサCCHG によって単位セルBAT4,…,BATn−1が充電されて単位セルBAT4,…,BATn−1の開回路状態端子電圧V4 ,…,Vn-1 が上がるのに対して、蓄積電荷を単位セルBAT4,…,BATn−1に放出した均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が放電により下がって、端子電圧VCAP と端子電圧V4 ,…,Vn-1 との差が小さくなる。
【0060】
これに対し、単位セルBAT4,…,BATn−1に蓄積された電荷の均等充電用コンデンサCCHG への移動が起こった場合は、単位セルBAT4,…,BATn−1によって均等充電用コンデンサCCHG が充電されて均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が上がるのに対して、蓄積電荷を均等充電用コンデンサCCHG に放出した単位セルBAT4,…,BATn−1の開回路状態端子電圧V4 ,…,Vn-1 が放電により下がって、端子電圧VCAP と端子電圧V4 ,…,Vn-1 との差が小さくなる。
【0061】
いずれにしても、端子電圧VCAP と端子電圧V4 ,…,Vn-1 との差が小さくなり、やがて、端子電圧VCAP と端子電圧V4 ,…,Vn-1 とが等しくなって、均等充電用コンデンサCCHG とこれに接続された単位セルBAT4,…,BATn−1と平衡状態に至り、均等充電用コンデンサCCHG とこれに接続された単位セルBAT4,…,BATn−1との間で電荷の移動が起こらなくなると、その時点で即座に、均等充電用コンデンサCCHG の接続対象が次の単位セルBAT5,…,BATnに切り換えられる。
【0062】
そして、一回りの最後に単位セルBATnが均等充電用コンデンサCCHG に接続されると、両者の端子電圧Vn ,VCAP に差があれば、端子電圧の高い方から低い方へ電荷が移動し、これにより、電荷を放出して放電した側の端子電圧が下がると共に電荷を受け入れて充電した側の端子電圧が上がって、両端子電圧Vn ,VCAP の差が小さくなり、やがて、両端子電圧Vn ,VCAP が等しくなる。
【0063】
また、一回りの最後に単位セルBATnが均等充電用コンデンサCCHG に接続された時点で、両者の端子電圧Vn ,VCAP に差がなければ、そもそも両者の間に電荷の移動は発生しない。
【0064】
いずれにせよ、単位セルBATnと均等充電用コンデンサCCHG との間で電荷の移動が発生しなくなると、少なくとも、単位セルBAT2が均等充電用コンデンサCCHG に接続されていた際に、均等充電用コンデンサCCHG に蓄積された電荷の単位セルBAT2への移動が発生していたので、全ての単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnについて、均等充電用コンデンサCCHG との間に電荷の移動が全くなかったという状況が満たされていないので、単位セルBATnと均等充電用コンデンサCCHG との間で電荷の移動がなくなった時点で、即座に、均等充電用コンデンサCCHG の接続対象が再び最初の単位セルBAT1に切り換えられる。
【0065】
ところで、単位セルBATnが均等充電用コンデンサCCHG に接続された時点では、均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が蓄積電荷の単位セルBATnへの放出により単位セルBAT1の開回路状態端子電圧V1 よりも低くなっており、また、単位セルBATnの開回路状態端子電圧Vn は元々単位セルBAT1の開回路状態端子電圧V1 よりも低いことから、均等充電用コンデンサCCHG と単位セルBATnとのどちらが蓄積電荷を放出したとしても、この時点で単位セルBAT1の開回路状態端子電圧V1 が均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP よりも低くなっていることはあり得ない。
【0066】
したがって、再び単位セルBAT1が均等充電用コンデンサCCHG に接続された場合には、均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP よりも開回路状態端子電圧V1 が高い単位セルBAT1に蓄積された電荷の均等充電用コンデンサCCHG への移動が起こり、単位セルBAT1によって均等充電用コンデンサCCHG が充電されて均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が上がるのに対して、蓄積電荷を均等充電用コンデンサCCHG に放出した単位セルBAT1の開回路状態端子電圧V1 が放電により下がって、両端子電圧V1 ,VCAP の差が小さくなり、やがて、両端子電圧V1 ,VCAP が等しくなる。
【0067】
以後、今まで接続されていた単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATn−1との間で電荷の移動が生じなくなる毎に、即座に、均等充電用コンデンサCCHG への接続対象が次の単位セルBAT2,BAT3,…,BATnに順番に切り換えられ続けると、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnと充電用コンデンサCCHG との間で、各端子電圧V1 ,V2 ,…,Vn と端子電圧VCAP の高い方から低い方への蓄積電荷の移動が行われて、各端子電圧V1 ,V2 ,…,Vn と端子電圧VCAP との差が次第に縮小して行き、やがては、同じ値に収斂することになる。
【0068】
そして、最初の単位セルBAT1から最後の単位セルBATnまで、均等充電用コンデンサCCHG への接続対象が一回り切り換えられる間に、全ての単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnについて、均等充電用コンデンサCCHG との間に電荷の移動が全くなかったという状況が満たされるようになると、その時点で、均等化充電動作が終了されて、再び、電動モータとして機能している状態のモータジェネレータ等の負荷にメインバッテリAが接続されてその負荷に放電を行う状態や、オルタネータ等にメインバッテリAが接続されてメインバッテリAが充電される状態を、いずれ迎えることになる。
【0069】
このような均等化充電動作が実行されている間、充電用コンデンサCCHG に対して各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnが各々接続される時間の長さは、上述したように、充電用コンデンサCCHG とこれに接続された単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnとの間の電荷移動がどのぐらいの時間続くかによってまちまちであり、上述した実施形態の場合のパターンとは必ずしも一致しないが、参考までにそのパターンの一例を図面によって示すと、例えば図4のタイミングチャートのようになる。
【0070】
ところで、上述したようにして均等化充電動作が終了し、その後にメインバッテリAの放電状態や充電状態が発生すると、静電容量がメインバッテリAのように大きくない充電用コンデンサCCHG の蓄積電荷は、程なく自然放電により放出されてしまい、次に均等化充電動作を行う頃には、充電用コンデンサCCHG には電荷が全く蓄積されていないに等しい状態にある。
【0071】
したがって、このまま均等化充電動作を開始すると、充電用コンデンサCCHG に最初に接続される単位セルBAT1が、充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が単位セルBAT1の端子電圧V1 と等しくなるまで、充電用コンデンサCCHG に接続され続けることになる。
【0072】
すると、均等化充電動作を行うことが原因で、他の単位セルBAT2,BAT3,…,BATnに比べて単位セルBAT1の放電量が相対的に大きくなり、単位セルBAT1の劣化が他の単位セルBAT2,BAT3,…,BATnの劣化よりも相対的に速く進行してしまうことになりかねない。
【0073】
そこで、本実施形態の調整装置1では、均等化充電動作を開始する前に、先程説明を保留した、以下に説明する充電用コンデンサCCHG の初期充電動作が実行される。
【0074】
この初期充電動作では、具体的には、均等化充電動作を開始する前に、単位セルBAT1,BAT2,BAT3,BAT4,…の順番で、接続時間を0.1msec、0.2msec、0.3msec、0.4msec、…と、図5のタイミングチャートに示すように同じ時間長(本実施形態では0.1msec)ずつ長くしながら、単位セルBATnまで、充電用コンデンサCCHG に各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを一回り、順次切り換えつつ個別に接続して行く。
【0075】
すると、充電用コンデンサCCHG には当初電荷が蓄積されていないことから、充電用コンデンサCCHG とこれに接続された単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnとの間では、単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnから充電用コンデンサCCHG に電荷が移動することになる。
【0076】
そして、充電用コンデンサCCHG に先に接続される単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATn−1の方が、後から充電用コンデンサCCHG に接続される単位セルBAT2,BAT3,…,BATnよりも、充電用コンデンサCCHG との端子電圧差が大きいことから、単位時間当たりに単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnから充電用コンデンサCCHG に移動する電荷の量は、充電用コンデンサCCHG に先に接続される単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATn−1の方が、後から充電用コンデンサCCHG に接続される単位セルBAT2,BAT3,…,BATnよりも、相対的に大きいことになる。
【0077】
そこで、充電用コンデンサCCHG に後から接続される単位セルBAT2,BAT3,…,BATnほど、先に接続される単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATn−1よりも、接続時間を長くすることで、充電用コンデンサCCHG に接続されている間に接続相手の単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnから充電用コンデンサCCHG に移動する電荷の量を、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnともほぼ同じ量となるようにしている。
【0078】
ちなみに、上述した初期充電動作は、メインバッテリAが負荷やオルタネータ等から切り離された、例えば車両のイグニッションスイッチのオフ状態において行われるが、仮に、メインバッテリAの充電後に初期充電動作が行われるとしても、その時点での各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの端子電圧V1 ,V2 ,V3 ,…,Vn は、不図示の充電制御手段の制御によって、少なくとも満充電状態における開回路端子電圧V以下の値にコントロールされている。
【0079】
そのため、上述した初期充電動作の終了時点、つまり、均等化充電動作の開始時点の均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP は、少なくとも、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの満充電状態における開回路端子電圧V以下の値となる。
【0080】
尚、理想的には、均等化充電動作の開始時点において、均等充電用コンデンサCCHG が、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの満充電状態における開回路端子電圧Vに極めて近く、かつ、これを上回ることのない端子電圧VCAP となるように、予め充電されていることが好ましい。
【0081】
このように、本実施形態の調整装置1によれば、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnに、オルタネータやモータジェネレータ等の負荷や充電源とは絶縁して設けられた充電用コンデンサCCHG を、個別に順次切り換えて接続することで、メインバッテリAの各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの充電状態を調整するのに先立って、単位セルBAT1,BAT2,BAT3,BAT4,…の順番で、接続時間を同じ時間長ずつ長くしながら、単位セルBATnまで、充電用コンデンサCCHG に各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを一回り、順次切り換えつつ個別に接続し、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnから充電用コンデンサCCHG にほぼ同じ量ずつ電荷を移動させて、充電用コンデンサCCHG を予め充電しておく構成とした。
【0082】
よって、この初期充電動作を均等化充電動作を開始する前に実行することで、均等化充電動作の開始直後に最初に単位セルBAT1を充電用コンデンサCCHG に接続する時点での、両者の端子電位差を縮小しておき、これにより、均等化充電動作を行うことが原因で、他の単位セルBAT2,BAT3,…,BATnに比べて単位セルBAT1の放電量が相対的に大きくなり、単位セルBAT1の劣化が他の単位セルBAT2,BAT3,…,BATnの劣化よりも相対的に速く進行してしまうことを、防止することができる。
【0083】
しかも、本実施形態の調整装置1によれば、初期充電動作を行う直前の段階で、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの端子電圧V1 ,V2 ,…,Vn にばらつきがあるかどうかは、そのときの状況によって異なるが、初期充電動作によって各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnから充電用コンデンサCCHG に移動する電荷の量がほぼ同じであることから、初期充電動作の前よりも後の方が、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの端子電圧V1 ,V2 ,…,Vn のばらつきが大きくなって、その後の均等化充電動作による各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの充電状態の均等化を遅延させるような悪影響を、初期充電動作がメインバッテリAに及ぼすことを、確実に防止することができる。
【0084】
尚、上述した実施形態では、調整装置1の使用を開始する前の初期状態において均等充電用コンデンサCCHG が、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの満充電状態における開回路端子電圧Vに極めて近く、かつ、これを上回ることのない端子電圧VCAP となるように、予め充電されているものとしたが、均等充電用コンデンサCCHG の初期充電状態や容量は、任意の値を適宜選択することができる。
【0085】
しかし、特に本実施形態のように、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの満充電状態における開回路端子電圧Vに極めて近く、かつ、これを上回ることのない端子電圧VCAP となるように、均等充電用コンデンサCCHG を初期状態において予め充電しておく構成とすれば、均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの満充電状態における開回路端子電圧Vを上回らない以上、均等充電用コンデンサCCHG が仮に放電して各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを充電するにしても、開回路端子電圧Vを超えて各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを過充電する可能性はないので、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの過充電防止を確実にすることができる点で、有利である。
【0086】
また、上述した実施形態では、単位セルBAT1,BAT2,BAT3,BAT4,…の順番で、接続時間を徐々に長くしながら、単位セルBATnまで、充電用コンデンサCCHG に各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを一回り、順次切り換えつつ個別に接続し終えたところで、充電用コンデンサCCHG の初期充電動作を終了するものとしたが、初期充電動作の終了は、それ以外のタイミングであってもよい。
【0087】
例えば、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの順番で一巡させる動作を1ルーチンとし、このルーチンを複数回行った時点で初期充電動作を終了するようにしてもよく、或は、初期充電動作の開始から一定の時間が経過したならば、ルーチンの途中であっても初期充電動作を終了するようにしてもよい。
【0088】
尚、ルーチンの途中で初期充電動作を終了するよりは、1つのルーチンが終わったところで初期充電動作を終了する方が、全ての単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnが同じ量ずつ蓄積電荷を放出することになるので、理想的ではある。
【0089】
しかし、ルーチンの回数が増えれば増えるほど、充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP の方が単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの端子電圧V1 ,V2 ,V3 ,…,Vn よりも高くなって、充電用コンデンサCCHG から単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnに電荷が移動するようになり、実質的に初期充電動作が終了する状況が発生しやすくなるので、初期充電動作の終了タイミングは、必ず1つのルーチンが終わったところでなければならないことはない。
【0090】
さらに、上述した実施形態では、メインバッテリAの開回路状態において、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを充電用コンデンサCCHG に個別に順次切り換えて接続することで行う均等化充電動作を、充電用コンデンサCCHG とこれに接続された単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnとの間の電荷移動がなくなった時点で、充電用コンデンサCCHG に接続する単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを、次の単位セルBAT2,BAT3,…,BATnに切り換えることで、行うものとした。
【0091】
しかし、例えば、従来の技術の欄で例示した特開平10−225005号公報の二次電池電位均等化回路のように、時間に対しほぼ均等になる割合で各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを充電用コンデンサCCHG に順次切り換えて接続する形態で、単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの均等化充電動作を行ってもよく、本発明は、本実施形態で示した以外の形態で単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの均等化充電動作を行う場合についても、その均等化充電動作を開始する前に充電用コンデンサCCHG を前もって充電しておく際に用いる方式として、広く適用可能である。
【0092】
また、本実施形態では、初期充電動作や均等化充電動作の際に、充電用コンデンサCCHG に各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを、図2中の枝番号の番号順に接続するものとしたが、充電用コンデンサCCHG に接続する単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの順番は、一回りするうちに一部の単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnが複数回ダブって接続されることのない限り、ランダムを含めて如何なる順番であってもよい。
【0093】
特に、本実施形態の場合、n=偶数であるならば、単位セルBAT1,BAT3,…,BATn−1,BAT2,BAT4,…,BATnのように、1つ置きの順番で全単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを充電用コンデンサCCHG に順次接続するようにしてもよい。
【0094】
そして、この順番で切り換えるようにすれば、枝番号が奇数の単位セルBAT1,BAT3,…,BATn−1の相互間や、枝番号が偶数の単位セルBAT2,BAT4,…,BATnの相互間で、充電用コンデンサCCHG への接続対象を切り換える際に、極性反転用リレー2a,2b,3a,3bの切り換え動作が不要になるので、極性反転用リレー2a,2b,3a,3bの制御上有利であると共に、メカ接点の開閉による電力ロスを極力抑えることができるので、電力効率上も有利である。
【0095】
さらに、フォトMOSトランジスタSW01,SW12,…,SW(n−1)nの使用個数を抑えるためには、本実施形態のように、前段の単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATn−1の負極と充電用コンデンサCCHG とを接続する結線の一部や、後段の単位セルBAT2,BAT3,…,BATnの正極と充電用コンデンサCCHG とを接続する結線の一部を、兼用するのが有効である。
【0096】
しかし、本発明を実施する上では、前段の単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATn−1の負極と充電用コンデンサCCHG とを接続する結線、及び、後段の単位セルBAT2,BAT3,…,BATnの正極と充電用コンデンサCCHG とを接続する結線を、各々独立して個別に設けても、一向に差し支えなく、その場合には、極性反転用リレー2a,2b,3a,3bとその切り換え動作用の制御を省略することができる。
【0097】
また、均等充電用コンデンサCCHG と各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnとの間に介設されてこれらを選択的に接続させるのは、本実施形態のようなフォトMOSトランジスタSW01,SW12,…,SW(n−1)nでなくてもよく、例えば、機械式のリレー等であってもよいが、本実施形態のようにフォトMOSトランジスタSW01,SW12,…,SW(n−1)nを用いれば、高電圧系であるメインバッテリAから低電圧系であるアンプ7、コンパレータ9、及び、CPU11を電気的に絶縁させて、これらを高圧から保護することができるので、有利である。
【0098】
さらに、CPU11による各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの均等充電用コンデンサCCHG に対する切り換え接続は、メインバッテリAが充放電を行っていない状態であれば、任意の状態で行ってよい。
【0099】
また、本実施形態では、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを、図2中の記号からも明らかなように、単一のセルであるものとしたが、本発明は、各単位セルが複数の直列接続されたセルブロックである組電池についても、それらのセルブロック相互の充電状態を均等化する際の、充電用コンデンサCCHG の予充電の方式として、適用することができる。
【0100】
さらに、本実施形態では、車両(ハイブリッド電気自動車)において用いられる電動モータ用のメインバッテリAを例に取って説明したが、車両に限らず、携帯電話や携帯式の家電品等、種々の分野において使用される組電池を構成する単位セルの充電状態を調整する際に、本発明が広く適用可能であることは、言うまでもない。
【0101】
【発明の効果】
以上に説明したように請求項1に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法によれば、負荷や充電器が両端に接続された閉回路状態において充放電を行う組電池を構成する、複数個直列に接続された2次電池からなる単位セルを、前記組電池の開回路状態において、前記負荷や前記充電器とは絶縁して構成されたキャパシタに、個別に順次切り換えて接続することで、前記組電池の充電状態を調整するに当たり、内部に蓄積された電荷が前記組電池の充電状態の非調整中に自然放電される前記キャパシタに、前記単位セルを、前記組電池の充電状態の調整を開始する前の該組電池の開回路状態において、接続時間を徐々に長くしつつ個別に順次切り換えて接続することで、前記各単位セルの蓄積電荷により前記キャパシタを、前記組電池の充電状態の調整を開始する前に予め充電しておくようにした。
【0102】
また、請求項4に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置によれば、負荷や充電器が両端に接続された閉回路状態において充放電を行う組電池を構成する、複数個直列に接続された2次電池からなる単位セルを、前記組電池の開回路状態において、前記負荷や前記充電器とは絶縁して構成されたキャパシタに、個別に順次切り換えて接続することで、前記組電池の充電状態を調整する組電池の充電状態調整装置であって、内部に蓄積された電荷が前記組電池の充電状態の非調整中に自然放電される前記キャパシタに、前記単位セルを、前記組電池の充電状態の調整を開始する前の該組電池の開回路状態において、接続時間を徐々に長くしつつ個別に順次切り換えて接続する初期充電用接続セル切換手段を備えており、前記初期充電用接続セル切換手段により前記キャパシタに前記単位セルを個別に順次切り換えて接続することで、前記各単位セルの蓄積電荷により前記キャパシタを、前記組電池の充電状態の調整を開始する前に予め充電する構成とした。
【0103】
このため、請求項1に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法と、請求項6に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置とのいずれによっても、組電池の充電状態の調整の開始時点でキャパシタが電荷を蓄積していないが故に、組電池の充電状態が調整される度に、調整開始後最初にキャパシタに接続される単位セルからキャパシタに電荷移動がなくなるまで電荷が繰り返し移動され、これにより、調整開始後最初にキャパシタに接続される単位セルが、組電池の充電状態を調整すればするほど充放電過多となって他の単位セルよりも相対的に劣化が進行してしまうのを、防止することができる。
【0104】
しかも、キャパシタに対する各単位セルの接続時間を徐々に長くすることで、キャパシタに接続されている間に各単位セルからキャパシタに移動する電荷の量を、先に接続された単位セルも後に接続された単位セルも殆ど変わらないようにして、組電池の充電状態の調整の開始前にキャパシタを充電するための、各単位セルからキャパシタへの電荷移動によって、特定の単位セルが他の単位セルよりも相対的に充放電過多となって劣化が進行してしまうのを、防止することができる。
【0105】
また、請求項2に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法によれば、請求項1に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法において、前記各単位セルを一巡するまでこれら各単位セルを前記キャパシタに個別に順次切り換えて接続し終えた時点で、前記組電池の充電状態の調整を開始する前の前記キャパシタの予充電を終了するようにした。
【0106】
さらに、請求項5に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置によれば、請求項4に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置において、前記初期充電用接続セル切換手段により、前記各単位セルを一巡するまでこれら各単位セルが前記キャパシタに個別に順次切り換えて接続され終えた時点で、前記組電池の充電状態の調整を開始する前の前記キャパシタの予充電を終了する予充電終了手段をさらに備える構成とした。
【0107】
このため、請求項2に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法によれば、請求項1に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法において、また、請求項5に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置によれば、請求項4に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置において、いずれも、予充電の間に各単位セルからキャパシタに各々移動した電荷の総量が、予充電の際に先に接続された単位セルも後に接続された単位セルも殆ど変わらないようにして、特定の単位セルが他の単位セルよりも相対的に充放電過多となって劣化が進行してしまうのを、より一層確実に防止することができる。
【0108】
また、請求項3に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法によれば、請求項1又は2に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法において、前記キャパシタの端子電圧が前記単位セルの満充電状態における開回路端子電圧以下となるように、前記組電池の充電状態の調整を開始する前に前記キャパシタを予め充電しておくようにした。
【0109】
さらに、請求項6に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置によれば、請求項4又は5に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置において、前記キャパシタが、前記単位セルの満充電状態における開回路端子電圧以下の端子電圧となるように、前記組電池の充電状態の調整を開始する前に予充電される構成とした。
【0110】
このため、請求項3に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法によれば、請求項1又は2に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法において、また、請求項6に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置によれば、請求項4又は5に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置において、いずれも、例え、キャパシタの端子電圧が単位セルの端子電圧を上回るまで充電されたとしても、組電池の充電状態の調整の際に、キャパシタからの蓄積電荷の移動により単位セルが満充電状態における端子電圧を超える電圧まで過充電されてしまうことを、確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による組電池の充電状態調整装置の基本構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る組電池の充電状態調整装置の概略回路構成を一部ブロックにて示す説明図である。
【図3】図2のマイクロコンピュータがROMに格納された制御プログラムに従って行う処理のうち、特に、均等充電用コンデンサの初期充電処理及び各単位セルの均等化充電処理を示すフローチャートである。
【図4】図2の組電池の充電状態調整装置による各単位セルの均等化充電処理の際における各単位セルの均等充電用コンデンサに対する接続時間の状況を例示するタイミングチャートである。
【図5】図2の組電池の充電状態調整装置による均等充電用コンデンサの初期充電処理の際における各単位セルの均等充電用コンデンサに対する接続時間の状況を例示するタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 充電状態調整装置
11 マイクロコンピュータ
11A 予充電終了手段
A 組電池
B 初期充電用接続セル切換手段
BAT1,BAT2,BAT3,…,BATn 単位セル
VCAP キャパシタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、2次電池からなる単位セルを複数個直列に接続して構成され、負荷や充電器が両端に接続された閉回路状態において充放電を行う組電池の充電状態を調整する方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電動モータを用いて走行する電気自動車や、エンジンと電動モータとを併用して走行するハイブリッド電気自動車においては、ニッケル−水素電池やリチウム電池といった2次電池を単位セルとしてこれらを複数個直列接続した組電池が、電動モータの電源として用いられている。
【0003】
そして、上述した組電池には、充放電を繰り返すうちに、各単位セルの充電状態(SOC)に基づく端子電圧にばらつきが生じ、これを放置したまま充電を行うと一部の単位セルが過充電状態となりかねず、また、そのような状態を繰り返し発生させると、各単位セル毎に劣化の進行にばらつきが生じてしまう、という問題があることが知られている。
【0004】
そこで、従来から、各単位セルの端子電圧のばらつきを解消するための提案が種々なされているが、その一例として、特開平10−225005号公報により提案された二次電池電位均等化回路では、時間に対しほぼ均等になる割合で各単位セルをコンデンサに順次切り換えて接続することで、蓄積電荷の多い単位セルからコンデンサを介して蓄積電荷の少ない単位セルに電荷を移動させて均等化を図るようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した特開平10−225005号公報の二次電池電位均等化回路のような形態でコンデンサを用いる場合、各単位セルの均等化が終了してコンデンサが全ての単位セルから切り離されると、均等化の動作中にコンデンサに蓄積されていた電荷は程なく自然放電により放出されてしまうので、次に各単位セルの均等化を行う場合には、コンデンサがほぼ電荷を蓄積していない状態から動作を開始することになる。
【0006】
したがって、上述した特開平10−225005号公報により提案された従来の方式のように、時間で区切ってコンデンサに接続する単位セルの順番が常に同じである場合は、先に接続される単位セルの方が後から接続される単位セルに比べて、コンデンサに電荷が蓄積されていない分だけコンデンサとの端子電圧の差が大きく、それだけ多くの電荷がコンデンサに移動することになる。
【0007】
そのため、先に接続される単位セルの方が後から接続される単位セルよりも相対的に、均等化動作の開始時点における放電量が多くなり、その結果、均等化動作を繰り返せば繰り返すほど、先に接続される単位セルの方が後から接続される単位セルよりも、放電による劣化が進行してしまうという不具合がある。
【0008】
そして、上述した不具合は、車両に搭載された組電池に限らず、携帯電話や携帯式の家電品等、種々の分野において使用される組電池について、広く当てはまるものであった。
【0009】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、複数個直列に接続されて組電池を構成する単位セルの相互間に生じた充電状態のばらつきを、キャパシタを経由した各単位セル相互間の電荷移動により解消するに当たり、各単位セルとキャパシタとの間での電荷移動量が特定の単位セルだけ集中して大きくなってしまうのを極力抑制乃至防止することができる組電池の充電状態調整方法及びその装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成する請求項1乃至請求項3に各々記載した本発明は、組電池の充電状態調整方法に関するものであり、請求項4乃至請求項6に各々記載した本発明は、組電池の充電状態調整装置に関するものである。
【0011】
そして、請求項1に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法は、負荷や充電器が両端に接続された閉回路状態において充放電を行う組電池を構成する、複数個直列に接続された2次電池からなる単位セルを、前記組電池の開回路状態において、前記負荷や前記充電器とは絶縁して構成されたキャパシタに、個別に順次切り換えて接続することで、前記組電池の充電状態を調整するに当たり、内部に蓄積された電荷が前記組電池の充電状態の非調整中に自然放電される前記キャパシタに、前記単位セルを、前記組電池の充電状態の調整を開始する前の該組電池の開回路状態において、接続時間を徐々に長くしつつ個別に順次切り換えて接続することで、前記各単位セルの蓄積電荷により前記キャパシタを、前記組電池の充電状態の調整を開始する前に予め充電しておくようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法は、請求項1に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法において、前記各単位セルを一巡するまでこれら各単位セルを前記キャパシタに個別に順次切り換えて接続し終えた時点で、前記組電池の充電状態の調整を開始する前の前記キャパシタの予充電を終了するようにした。
【0013】
さらに、請求項3に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法は、請求項1又は2に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法において、前記キャパシタの端子電圧が前記単位セルの満充電状態における開回路端子電圧以下となるように、前記組電池の充電状態の調整を開始する前に前記キャパシタを予め充電しておくようにした。
【0014】
また、請求項4に記載の組電池した本発明の充電状態調整装置は、図1に基本構成図で示すように、負荷や充電器が両端に接続された閉回路状態において充放電を行う組電池Aを構成する、複数個直列に接続された2次電池からなる単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを、前記組電池Aの開回路状態において、前記負荷や前記充電器とは絶縁して構成されたキャパシタCCHG に、個別に順次切り換えて接続することで、前記組電池Aの充電状態を調整する組電池の充電状態調整装置であって、内部に蓄積された電荷が前記組電池Aの充電状態の非調整中に自然放電される前記キャパシタCCHG に、前記単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを、前記組電池Aの充電状態の調整を開始する前の該組電池Aの開回路状態において、接続時間を徐々に長くしつつ個別に順次切り換えて接続する初期充電用接続セル切換手段Bを備えており、前記初期充電用接続セル切換手段Bにより前記キャパシタCCHG に前記単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを個別に順次切り換えて接続することで、前記各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの蓄積電荷により前記キャパシタCCHG を、前記組電池Aの充電状態の調整を開始する前に予め充電することを特徴とする。
【0015】
さらに、請求項5に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置は、請求項4に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置において、前記初期充電用接続セル切換手段Bにより、前記各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを一巡するまでこれら各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnが前記キャパシタCCHG に個別に順次切り換えて接続され終えた時点で、前記組電池Aの充電状態の調整を開始する前の前記キャパシタCCHG の予充電を終了する予充電終了手段11Aをさらに備えるものとした。
【0016】
また、請求項6に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置は、請求項4又は5に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置において、前記キャパシタCCHG が、前記単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの満充電状態における開回路端子電圧V1 ,V2 ,V3 ,…,Vn 以下の端子電圧VCAP となるように、前記組電池Aの充電状態の調整を開始する前に予充電されるものとした。
【0017】
請求項1に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法によれば、内部に蓄積された電荷が組電池の充電状態の非調整中に自然放電されるキャパシタに対して、組電池の充電状態の調整を開始する前の各単位セルが個別に順次切り換えて接続されると、各単位セルからキャパシタに電荷が移動して徐々に蓄積される。
【0018】
すると、キャパシタに電荷が徐々に蓄積されることから、後に接続された単位セルほど、単位時間当たりにキャパシタに移動する電荷の量が徐々に減少するが、キャパシタに対する各単位セルの接続時間を徐々に長くすることから、キャパシタに接続されている間に各単位セルからキャパシタに移動する電荷の量は、先に接続された単位セルも後に接続された単位セルも殆ど変わらないことになる。
【0019】
また、請求項2に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法によれば、請求項1に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法において、各単位セルを一巡するまでこれら各単位セルをキャパシタに個別に順次切り換えて接続し終えた時点で、各単位セルに蓄積された電荷によるキャパシタの予充電が終了されることから、この予充電の間にキャパシタに各々移動した電荷の総量は、先に接続された単位セルも後に接続された単位セルも殆ど変わらないことになる。
【0020】
さらに、請求項3に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法によれば、請求項1又は2に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法において、組電池の充電状態の調整を開始する時点における各単位セルの端子電圧とキャパシタの端子電圧とが共に、各単位セルの満充電状態における開回路端子電圧を上回ることがなく、かつ、組電池の充電状態の調整を開始した後に、キャパシタとこれに接続された各単位セルとの間で蓄積電荷の移動が発生し、端子電圧の低い方が蓄積電荷の移動により充電されても、充電後の端子電圧が、蓄積電荷を放出した端子電圧の高い方を超えることはないので、組電池の充電状態の調整を終えた後の単位セルの端子電圧は、各単位セルの満充電状態における開回路端子電圧を絶対に上回らないことになる。
【0021】
また、請求項4に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置によれば、図1に示すように、内部に蓄積された電荷が組電池Aの充電状態の非調整中に自然放電されるキャパシタCCHG に対して、組電池Aの充電状態の調整を開始する前の各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnが、初期充電用接続セル切換手段Bによって個別に順次切り換えて接続されると、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnからキャパシタCCHG に電荷が移動して徐々に蓄積される。
【0022】
すると、キャパシタCCHG に電荷が徐々に蓄積されることから、後に接続された単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnほど、単位時間当たりにキャパシタCCHG に移動する電荷の量が徐々に減少するが、キャパシタCCHG に対する各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの接続時間を、初期充電用接続セル切換手段Bが徐々に長くすることから、キャパシタCCHG に接続されている間に各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnからキャパシタCCHG に移動する電荷の量は、先に接続された単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnも後に接続された単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnも殆ど変わらないことになる。
【0023】
また、請求項5に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置によれば、請求項4に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置において、初期充電用接続セル切換手段Bにより、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを一巡するまでこれら各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnがキャパシタCCHG に個別に順次切り換えて接続され終えた時点で、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnに蓄積された電荷によるキャパシタCCHG の予充電が予充電終了手段11Aによって終了されることから、この予充電の間にキャパシタCCHG に各々移動した電荷の総量は、先に接続された単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnも後に接続された単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnも殆ど変わらないことになる。
【0024】
さらに、請求項6に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置によれば、請求項4又は5に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置において、組電池Aの充電状態の調整を開始する時点における各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの端子電圧とキャパシタCCHG の端子電圧とが共に、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの満充電状態における開回路端子電圧を上回ることがなく、かつ、組電池Aの充電状態の調整を開始した後に、キャパシタCCHG とこれに接続された各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnとの間で蓄積電荷の移動が発生し、端子電圧の低い方が蓄積電荷の移動により充電されても、充電後の端子電圧が、蓄積電荷を放出した端子電圧の高い方を超えることはないので、キャパシタCCHG の蓄積電荷の移動により充電された後の単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの端子電圧は、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの満充電状態における開回路端子電圧を絶対に上回らないことになる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による組電池の充電状態調整方法を、本発明による組電池の充電状態調整装置と共に、図面を参照して説明する。
【0026】
図2は本発明の一実施形態に係る組電池の充電状態調整装置(以下、「調整装置」と略記する。)の概略回路構成を一部ブロックにて示す説明図であり、図2中引用符号1で示す本実施形態の調整装置は、エンジンとモータジェネレータ(いずれも図示せず。)を走行用駆動源として併用するハイブリッド電気自動車(以下、「車両」と略記する。)において、前記不図示の電動モータの電源として用いられるメインバッテリA(請求項中の組電池に相当。)に接続して使用されるものである。
【0027】
前記メインバッテリAは、2次電池からなる単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを複数個直列に接続して構成されており、メインバッテリAの両端には、電動モータとして機能している状態のモータジェネレータ等が、必要に応じて負荷として接続される他、不図示のオルタネータや、発電機として機能している状態のモータジェネレータが、必要に応じて充電器として接続される。
【0028】
そして、本実施形態の調整装置1は、オルタネータやモータジェネレータ等とは絶縁して設けられた均等充電用コンデンサCCHG (請求項中のキャパシタに相当。)と、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの正負各極を選択的に均等充電用コンデンサCCHG に接続させるための複数のフォトMOSトランジスタSW01,SW12,…,SW(n−1)nとを有している。
【0029】
尚、フォトMOSトランジスタSW01,SW(n−1)nを除く他のフォトMOSトランジスタSW12,…,SW(n−2)(n−1)は、前段の単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATn−1の負極選択用と、後段の単位セルBAT2,BAT3,…,BATnの正極選択用とを兼ねている。
【0030】
そのため、本実施形態の調整装置1には、フォトMOSトランジスタSW01,SW12,…,SW(n−1)nをオンさせる際に、そのオンにより充電用コンデンサCCHG に接続するのが、単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATn−1の負極であるのか、それとも、単位セルBAT2,BAT3,…,BATnの正極であるのかを選択するための、極性反転用リレー2a,2b,3a,3bが設けられている。
【0031】
また、均等充電用コンデンサCCHG には、この均等充電用コンデンサCCHG に対する電荷の流入又は流出の際に、その流入量又は流出量、つまり、電荷の移動量に応じた電流を、均等充電用コンデンサCCHG と絶縁された回路上で発生させて、電荷の移動量に応じた電位差を生じさせる電荷移動検出回路部5が接続されている。
【0032】
そして、電荷移動検出回路部5に生じた電位差は、アンプ7で増幅された後、コンパレータ9によって、電荷移動量の基準値に相当する電位と比較され、均等充電用コンデンサCCHG に対する電荷の流入量又は流出量(電荷の移動量)が基準値に達しているか達していないかによってハイ、ローの状態が異なるコンパレータ9の比較出力が、マイクロコンピュータ(以下、「CPU」と称する。)11の入力ポートPORTに入力される。
【0033】
尚、コンパレータ9によってアンプ7の増幅出力と比較する電荷移動量の基準値は、電荷移動量=0以上の任意の値に相当する電位に設定可能であるが、本実施形態では、電荷移動量=0に相当する電位に基準値が設定されている。
【0034】
これら電荷移動検出回路部5、アンプ7、コンパレータ9、並びに、CPU11も、メインバッテリA、フォトMOSトランジスタSW01,SW12,…,SW(n−1)n、充電用コンデンサCCHG 、並びに、極性反転用リレー2a,2b,3a,3bと共に、調整装置1を構成しており、フォトMOSトランジスタSW01,SW12,…,SW(n−1)nや極性反転用リレー2a,2b,3a,3bの開閉はCPU11によって制御される。
【0035】
CPU11は、例えばワンチップマイコン等からなり、各種データ記憶用のデータエリア及び各種処理作業に用いるワークエリアを有するRAM(図示せず。)と、CPU11に各種処理動作を行わせるための制御プログラムが格納されたROM(図示せず。)とを、内蔵している。
【0036】
次に、ROMに格納された制御プログラムに従いCPU11が行う処理のうち、特に、オルタネータや発電機として機能している状態のモータジェネレータにより発電された電力によるメインバッテリAの充電動作が完了した後に実行される、単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの充電状態を均等化するための均等化充電処理等について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0037】
不図示の電源からの給電を受けてCPU11が起動しプログラムがスタートすると、まず、前回の均等化処理の後に蓄積電荷を自然放電した状態にある充電用コンデンサCCHG の初期充電を開始し(ステップS1)、RAMのワークエリアに確保された接続セルカウンタのカウント値iを、単位セルBAT1に対応する「1」に設定すると共に(ステップS2)、RAMのワークエリアに確保された接続時間タイマのタイムアップ時間tを「0.1msec」に設定する(ステップS3)。
【0038】
次に、フォトMOSトランジスタSW01,SW12,…,SW(n−1)nや極性反転用リレー2a,2b,3a,3bの開閉状態を制御して、接続セルカウンタのカウント値iに対応する単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnと均等充電用コンデンサCCHG との正極どうし、負極どうしを各々接続させ(ステップS4)、その後、接続時間タイマのタイマ値がタイムアップ時間tに達したか否かを確認する(ステップS5)。
【0039】
タイムアップ時間tに達していない場合は(ステップS5でN)、ステップS4にリターンし、達した場合は(ステップS5でY)、接続セルカウンタのカウント値iが、メインバッテリAを構成する単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの個数に対応する「n」に達したか否かを確認し(ステップS6)、達していない場合は(ステップS6でN)、接続時間タイマのタイムアップ時間tを「0.1msec」増やし(ステップS7)、接続セルカウンタのカウント値iを「1」インクリメントした後(ステップS8)、ステップS4にリターンする。
【0040】
一方、ステップS5において接続時間タイマのタイマ値がタイムアップ時間tに達している場合(Y)には、充電用コンデンサCCHG の初期充電を終了し(ステップS9)、引き続き、均等化充電を開始して(ステップS10)、RAMのワークエリアに確保された第2接続セルカウンタのカウント値i´を、単位セルBAT1に対応する「1」に設定する(ステップS11)。
【0041】
次に、フォトMOSトランジスタSW01,SW12,…,SW(n−1)nや極性反転用リレー2a,2b,3a,3bの開閉状態を制御して、第2接続セルカウンタのカウント値i´に対応する単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnと均等充電用コンデンサCCHG との正極どうし、負極どうしを各々接続させ(ステップS12)、その後、入力ポートPORTに入力されるコンパレータ9の比較出力のハイ、ローの状態に基づいて、現在接続されている単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnと均等充電用コンデンサCCHG との間を電荷が移動中であるか否かを確認し(ステップS13)、移動中である場合は(ステップS13でY)、ステップS12にリターンする。
【0042】
一方、現在接続されている単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnと均等充電用コンデンサCCHG との間を電荷が移動中でない場合は(ステップS13でN)、第2接続セルカウンタのカウント値i´が、メインバッテリAを構成する単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの個数に対応する「n」に達したか否かを確認する(ステップS14)。
【0043】
第2接続セルカウンタのカウント値i´が「n」に達していない場合は(ステップS14でN)、第2接続セルカウンタのカウント値i´を「1」インクリメントした後(ステップS15)、ステップS12にリターンし、第2接続セルカウンタのカウント値i´が「n」に達している場合は(ステップS14でY)、ステップS11からステップS15までのルーチンの繰り返しの際に、全ての単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnについて、均等充電用コンデンサCCHG との間に電荷の移動が全くなかったか否かを確認する(ステップS16)。
【0044】
そして、一部の単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnについて、均等充電用コンデンサCCHG との間を移動する電荷があった場合は(ステップS16でN)、ステップS11にリターンし、全ての単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnについて、均等充電用コンデンサCCHG との間に電荷の移動が全くなかった場合は(ステップS16でY)、均等化充電を終了して(ステップS17)、一連の処理を終わる。
【0045】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態の調整装置1では、請求項中の初期充電用接続セル切換手段Bが、フォトMOSトランジスタSW01,SW12,…,SW(n−1)nや極性反転用リレー2a,2b,3a,3bと、図3中のステップS2乃至ステップS8とによって構成されており、図3中のステップS6及びステップS7が、請求項中の予充電終了手段11Aに対応する処理となっている。
【0046】
次に、上述のように構成された本実施形態の調整装置1の動作(作用)について説明する。
【0047】
まず、電動モータとして機能している状態のモータジェネレータ等の負荷にメインバッテリAが接続されている閉回路状態では、負荷に対するメインバッテリAからの放電が行われ、また、オルタネータや発電機として機能している状態のモータジェネレータにメインバッテリAが接続されている閉回路状態では、それらによって発電された電力によりメインバッテリAの各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnが充電される。
【0048】
ここで、メインバッテリAの各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの充電状態(SOC)に基づく端子電圧にばらつきが生じていて、単位セルBAT1の開回路状態端子電圧V1 、単位セルBAT2の開回路状態端子電圧V2 、単位セルBATnの開回路状態端子電圧Vn 、並びに、均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP の間に、VB =V1 (=V)>V2 >Vn の関係(但し、Vは、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの満充電状態における開回路端子電圧)が生じているものとする。
【0049】
そして、メインバッテリAが負荷やオルタネータ等から切り離された、例えば車両のイグニッションスイッチのオフ状態において、後述する均等充電用コンデンサVCAP の予備充電動作を行った後、均等化充電動作に入り、まず、極性反転用リレー2a,3aがオンされると共に、極性反転用リレー2b,3bがオフされ、この状態で、フォトMOSトランジスタSW01,SW12のみがオンされて、単位セルBAT1と均等充電用コンデンサCCHG との正極どうし、負極どうしが各々接続される。
【0050】
しかし、均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP と単位セルBAT1の開回路状態端子電圧V1 とが等しいことから、平衡状態にある均等充電用コンデンサCCHG と単位セルBAT1との間では電荷の移動が起こらず、したがって、均等充電用コンデンサCCHG の接続対象が即座に次の単位セルBAT2に切り換えられることになる。
【0051】
具体的には、極性反転用リレー2b,3bがオンされると共に、極性反転用リレー2a,3aがオフされ、この状態で、フォトMOSトランジスタSW12,SW23のみがオンされて、単位セルBAT2と均等充電用コンデンサCCHG との正極どうし、負極どうしが各々接続される。
【0052】
すると、均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が単位セルBAT2の開回路状態端子電圧V2 よりも高いことから、均等充電用コンデンサCCHG に蓄積された電荷の単位セルBAT2への移動が起こり、均等充電用コンデンサCCHG によって単位セルBAT2が充電されて単位セルBAT2の開回路状態端子電圧V2 が上がる一方、蓄積電荷を単位セルBAT2に放出した均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が放電により下がる。
【0053】
そして、両端子電圧V2 ,VCAP の差が小さくなり、やがて、両端子電圧V2 ,VCAP が等しくなって、均等充電用コンデンサCCHG と単位セルBAT2とが平衡状態に至り、均等充電用コンデンサCCHG と単位セルBAT2との間で電荷の移動が起こらなくなると、その時点で即座に、均等充電用コンデンサCCHG の接続対象が次の単位セルBAT3に切り換えられる。
【0054】
ここで、均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が単位セルBAT3の開回路状態端子電圧V3 よりも高ければ、均等充電用コンデンサCCHG に蓄積された電荷の単位セルBAT3への移動が起こり、反対に、均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が単位セルBAT3の開回路状態端子電圧V3 よりも低ければ、単位セルBAT3に蓄積された電荷の均等充電用コンデンサCCHG への移動が起こる。
【0055】
そして、均等充電用コンデンサCCHG に蓄積された電荷の単位セルBAT3への移動が起こった場合は、均等充電用コンデンサCCHG によって単位セルBAT3が充電されて単位セルBAT3の開回路状態端子電圧V3 が上がるのに対して、蓄積電荷を単位セルBAT3に放出した均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が放電により下がって、両端子電圧V3 ,VCAP の差が小さくなる。
【0056】
一方、単位セルBAT3に蓄積された電荷の均等充電用コンデンサCCHG への移動が起こった場合は、単位セルBAT3によって均等充電用コンデンサCCHG が充電されて均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が上がるのに対して、蓄積電荷を均等充電用コンデンサCCHG に放出した単位セルBAT3の開回路状態端子電圧V3 が放電により下がって、両端子電圧V3 ,VCAP の差が小さくなる。
【0057】
いずれにしても、両端子電圧V3 ,VCAP の差が小さくなり、やがて、両端子電圧V3 ,VCAP が等しくなって、均等充電用コンデンサCCHG と単位セルBAT3とが平衡状態に至り、均等充電用コンデンサCCHG と単位セルBAT3との間で電荷の移動が起こらなくなると、その時点で即座に、均等充電用コンデンサCCHG の接続対象が次の単位セルBAT4以降に切り換えられる。
【0058】
その後は、均等充電用コンデンサCCHG とこれに接続された単位セルBAT4,…,BATn−1との間で、その時点での均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が単位セルBAT4,…,BATn−1の開回路状態端子電圧V4 ,…,Vn-1 よりも高ければ、均等充電用コンデンサCCHG に蓄積された電荷の単位セルBAT4,…,BATn−1への移動が起こり、反対に、均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が単位セルBAT4,…,BATn−1の開回路状態端子電圧V4 ,…,Vn-1 よりも低ければ、単位セルBAT4,…,BATn−1に蓄積された電荷の均等充電用コンデンサCCHG への移動が起こる。
【0059】
そして、均等充電用コンデンサCCHG に蓄積された電荷の単位セルBAT4,…,BATn−1への移動が起こった場合は、均等充電用コンデンサCCHG によって単位セルBAT4,…,BATn−1が充電されて単位セルBAT4,…,BATn−1の開回路状態端子電圧V4 ,…,Vn-1 が上がるのに対して、蓄積電荷を単位セルBAT4,…,BATn−1に放出した均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が放電により下がって、端子電圧VCAP と端子電圧V4 ,…,Vn-1 との差が小さくなる。
【0060】
これに対し、単位セルBAT4,…,BATn−1に蓄積された電荷の均等充電用コンデンサCCHG への移動が起こった場合は、単位セルBAT4,…,BATn−1によって均等充電用コンデンサCCHG が充電されて均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が上がるのに対して、蓄積電荷を均等充電用コンデンサCCHG に放出した単位セルBAT4,…,BATn−1の開回路状態端子電圧V4 ,…,Vn-1 が放電により下がって、端子電圧VCAP と端子電圧V4 ,…,Vn-1 との差が小さくなる。
【0061】
いずれにしても、端子電圧VCAP と端子電圧V4 ,…,Vn-1 との差が小さくなり、やがて、端子電圧VCAP と端子電圧V4 ,…,Vn-1 とが等しくなって、均等充電用コンデンサCCHG とこれに接続された単位セルBAT4,…,BATn−1と平衡状態に至り、均等充電用コンデンサCCHG とこれに接続された単位セルBAT4,…,BATn−1との間で電荷の移動が起こらなくなると、その時点で即座に、均等充電用コンデンサCCHG の接続対象が次の単位セルBAT5,…,BATnに切り換えられる。
【0062】
そして、一回りの最後に単位セルBATnが均等充電用コンデンサCCHG に接続されると、両者の端子電圧Vn ,VCAP に差があれば、端子電圧の高い方から低い方へ電荷が移動し、これにより、電荷を放出して放電した側の端子電圧が下がると共に電荷を受け入れて充電した側の端子電圧が上がって、両端子電圧Vn ,VCAP の差が小さくなり、やがて、両端子電圧Vn ,VCAP が等しくなる。
【0063】
また、一回りの最後に単位セルBATnが均等充電用コンデンサCCHG に接続された時点で、両者の端子電圧Vn ,VCAP に差がなければ、そもそも両者の間に電荷の移動は発生しない。
【0064】
いずれにせよ、単位セルBATnと均等充電用コンデンサCCHG との間で電荷の移動が発生しなくなると、少なくとも、単位セルBAT2が均等充電用コンデンサCCHG に接続されていた際に、均等充電用コンデンサCCHG に蓄積された電荷の単位セルBAT2への移動が発生していたので、全ての単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnについて、均等充電用コンデンサCCHG との間に電荷の移動が全くなかったという状況が満たされていないので、単位セルBATnと均等充電用コンデンサCCHG との間で電荷の移動がなくなった時点で、即座に、均等充電用コンデンサCCHG の接続対象が再び最初の単位セルBAT1に切り換えられる。
【0065】
ところで、単位セルBATnが均等充電用コンデンサCCHG に接続された時点では、均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が蓄積電荷の単位セルBATnへの放出により単位セルBAT1の開回路状態端子電圧V1 よりも低くなっており、また、単位セルBATnの開回路状態端子電圧Vn は元々単位セルBAT1の開回路状態端子電圧V1 よりも低いことから、均等充電用コンデンサCCHG と単位セルBATnとのどちらが蓄積電荷を放出したとしても、この時点で単位セルBAT1の開回路状態端子電圧V1 が均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP よりも低くなっていることはあり得ない。
【0066】
したがって、再び単位セルBAT1が均等充電用コンデンサCCHG に接続された場合には、均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP よりも開回路状態端子電圧V1 が高い単位セルBAT1に蓄積された電荷の均等充電用コンデンサCCHG への移動が起こり、単位セルBAT1によって均等充電用コンデンサCCHG が充電されて均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が上がるのに対して、蓄積電荷を均等充電用コンデンサCCHG に放出した単位セルBAT1の開回路状態端子電圧V1 が放電により下がって、両端子電圧V1 ,VCAP の差が小さくなり、やがて、両端子電圧V1 ,VCAP が等しくなる。
【0067】
以後、今まで接続されていた単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATn−1との間で電荷の移動が生じなくなる毎に、即座に、均等充電用コンデンサCCHG への接続対象が次の単位セルBAT2,BAT3,…,BATnに順番に切り換えられ続けると、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnと充電用コンデンサCCHG との間で、各端子電圧V1 ,V2 ,…,Vn と端子電圧VCAP の高い方から低い方への蓄積電荷の移動が行われて、各端子電圧V1 ,V2 ,…,Vn と端子電圧VCAP との差が次第に縮小して行き、やがては、同じ値に収斂することになる。
【0068】
そして、最初の単位セルBAT1から最後の単位セルBATnまで、均等充電用コンデンサCCHG への接続対象が一回り切り換えられる間に、全ての単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnについて、均等充電用コンデンサCCHG との間に電荷の移動が全くなかったという状況が満たされるようになると、その時点で、均等化充電動作が終了されて、再び、電動モータとして機能している状態のモータジェネレータ等の負荷にメインバッテリAが接続されてその負荷に放電を行う状態や、オルタネータ等にメインバッテリAが接続されてメインバッテリAが充電される状態を、いずれ迎えることになる。
【0069】
このような均等化充電動作が実行されている間、充電用コンデンサCCHG に対して各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnが各々接続される時間の長さは、上述したように、充電用コンデンサCCHG とこれに接続された単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnとの間の電荷移動がどのぐらいの時間続くかによってまちまちであり、上述した実施形態の場合のパターンとは必ずしも一致しないが、参考までにそのパターンの一例を図面によって示すと、例えば図4のタイミングチャートのようになる。
【0070】
ところで、上述したようにして均等化充電動作が終了し、その後にメインバッテリAの放電状態や充電状態が発生すると、静電容量がメインバッテリAのように大きくない充電用コンデンサCCHG の蓄積電荷は、程なく自然放電により放出されてしまい、次に均等化充電動作を行う頃には、充電用コンデンサCCHG には電荷が全く蓄積されていないに等しい状態にある。
【0071】
したがって、このまま均等化充電動作を開始すると、充電用コンデンサCCHG に最初に接続される単位セルBAT1が、充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が単位セルBAT1の端子電圧V1 と等しくなるまで、充電用コンデンサCCHG に接続され続けることになる。
【0072】
すると、均等化充電動作を行うことが原因で、他の単位セルBAT2,BAT3,…,BATnに比べて単位セルBAT1の放電量が相対的に大きくなり、単位セルBAT1の劣化が他の単位セルBAT2,BAT3,…,BATnの劣化よりも相対的に速く進行してしまうことになりかねない。
【0073】
そこで、本実施形態の調整装置1では、均等化充電動作を開始する前に、先程説明を保留した、以下に説明する充電用コンデンサCCHG の初期充電動作が実行される。
【0074】
この初期充電動作では、具体的には、均等化充電動作を開始する前に、単位セルBAT1,BAT2,BAT3,BAT4,…の順番で、接続時間を0.1msec、0.2msec、0.3msec、0.4msec、…と、図5のタイミングチャートに示すように同じ時間長(本実施形態では0.1msec)ずつ長くしながら、単位セルBATnまで、充電用コンデンサCCHG に各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを一回り、順次切り換えつつ個別に接続して行く。
【0075】
すると、充電用コンデンサCCHG には当初電荷が蓄積されていないことから、充電用コンデンサCCHG とこれに接続された単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnとの間では、単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnから充電用コンデンサCCHG に電荷が移動することになる。
【0076】
そして、充電用コンデンサCCHG に先に接続される単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATn−1の方が、後から充電用コンデンサCCHG に接続される単位セルBAT2,BAT3,…,BATnよりも、充電用コンデンサCCHG との端子電圧差が大きいことから、単位時間当たりに単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnから充電用コンデンサCCHG に移動する電荷の量は、充電用コンデンサCCHG に先に接続される単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATn−1の方が、後から充電用コンデンサCCHG に接続される単位セルBAT2,BAT3,…,BATnよりも、相対的に大きいことになる。
【0077】
そこで、充電用コンデンサCCHG に後から接続される単位セルBAT2,BAT3,…,BATnほど、先に接続される単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATn−1よりも、接続時間を長くすることで、充電用コンデンサCCHG に接続されている間に接続相手の単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnから充電用コンデンサCCHG に移動する電荷の量を、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnともほぼ同じ量となるようにしている。
【0078】
ちなみに、上述した初期充電動作は、メインバッテリAが負荷やオルタネータ等から切り離された、例えば車両のイグニッションスイッチのオフ状態において行われるが、仮に、メインバッテリAの充電後に初期充電動作が行われるとしても、その時点での各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの端子電圧V1 ,V2 ,V3 ,…,Vn は、不図示の充電制御手段の制御によって、少なくとも満充電状態における開回路端子電圧V以下の値にコントロールされている。
【0079】
そのため、上述した初期充電動作の終了時点、つまり、均等化充電動作の開始時点の均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP は、少なくとも、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの満充電状態における開回路端子電圧V以下の値となる。
【0080】
尚、理想的には、均等化充電動作の開始時点において、均等充電用コンデンサCCHG が、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの満充電状態における開回路端子電圧Vに極めて近く、かつ、これを上回ることのない端子電圧VCAP となるように、予め充電されていることが好ましい。
【0081】
このように、本実施形態の調整装置1によれば、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnに、オルタネータやモータジェネレータ等の負荷や充電源とは絶縁して設けられた充電用コンデンサCCHG を、個別に順次切り換えて接続することで、メインバッテリAの各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの充電状態を調整するのに先立って、単位セルBAT1,BAT2,BAT3,BAT4,…の順番で、接続時間を同じ時間長ずつ長くしながら、単位セルBATnまで、充電用コンデンサCCHG に各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを一回り、順次切り換えつつ個別に接続し、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnから充電用コンデンサCCHG にほぼ同じ量ずつ電荷を移動させて、充電用コンデンサCCHG を予め充電しておく構成とした。
【0082】
よって、この初期充電動作を均等化充電動作を開始する前に実行することで、均等化充電動作の開始直後に最初に単位セルBAT1を充電用コンデンサCCHG に接続する時点での、両者の端子電位差を縮小しておき、これにより、均等化充電動作を行うことが原因で、他の単位セルBAT2,BAT3,…,BATnに比べて単位セルBAT1の放電量が相対的に大きくなり、単位セルBAT1の劣化が他の単位セルBAT2,BAT3,…,BATnの劣化よりも相対的に速く進行してしまうことを、防止することができる。
【0083】
しかも、本実施形態の調整装置1によれば、初期充電動作を行う直前の段階で、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの端子電圧V1 ,V2 ,…,Vn にばらつきがあるかどうかは、そのときの状況によって異なるが、初期充電動作によって各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnから充電用コンデンサCCHG に移動する電荷の量がほぼ同じであることから、初期充電動作の前よりも後の方が、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの端子電圧V1 ,V2 ,…,Vn のばらつきが大きくなって、その後の均等化充電動作による各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの充電状態の均等化を遅延させるような悪影響を、初期充電動作がメインバッテリAに及ぼすことを、確実に防止することができる。
【0084】
尚、上述した実施形態では、調整装置1の使用を開始する前の初期状態において均等充電用コンデンサCCHG が、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの満充電状態における開回路端子電圧Vに極めて近く、かつ、これを上回ることのない端子電圧VCAP となるように、予め充電されているものとしたが、均等充電用コンデンサCCHG の初期充電状態や容量は、任意の値を適宜選択することができる。
【0085】
しかし、特に本実施形態のように、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの満充電状態における開回路端子電圧Vに極めて近く、かつ、これを上回ることのない端子電圧VCAP となるように、均等充電用コンデンサCCHG を初期状態において予め充電しておく構成とすれば、均等充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP が各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの満充電状態における開回路端子電圧Vを上回らない以上、均等充電用コンデンサCCHG が仮に放電して各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを充電するにしても、開回路端子電圧Vを超えて各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを過充電する可能性はないので、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの過充電防止を確実にすることができる点で、有利である。
【0086】
また、上述した実施形態では、単位セルBAT1,BAT2,BAT3,BAT4,…の順番で、接続時間を徐々に長くしながら、単位セルBATnまで、充電用コンデンサCCHG に各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを一回り、順次切り換えつつ個別に接続し終えたところで、充電用コンデンサCCHG の初期充電動作を終了するものとしたが、初期充電動作の終了は、それ以外のタイミングであってもよい。
【0087】
例えば、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの順番で一巡させる動作を1ルーチンとし、このルーチンを複数回行った時点で初期充電動作を終了するようにしてもよく、或は、初期充電動作の開始から一定の時間が経過したならば、ルーチンの途中であっても初期充電動作を終了するようにしてもよい。
【0088】
尚、ルーチンの途中で初期充電動作を終了するよりは、1つのルーチンが終わったところで初期充電動作を終了する方が、全ての単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnが同じ量ずつ蓄積電荷を放出することになるので、理想的ではある。
【0089】
しかし、ルーチンの回数が増えれば増えるほど、充電用コンデンサCCHG の端子電圧VCAP の方が単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの端子電圧V1 ,V2 ,V3 ,…,Vn よりも高くなって、充電用コンデンサCCHG から単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnに電荷が移動するようになり、実質的に初期充電動作が終了する状況が発生しやすくなるので、初期充電動作の終了タイミングは、必ず1つのルーチンが終わったところでなければならないことはない。
【0090】
さらに、上述した実施形態では、メインバッテリAの開回路状態において、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを充電用コンデンサCCHG に個別に順次切り換えて接続することで行う均等化充電動作を、充電用コンデンサCCHG とこれに接続された単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnとの間の電荷移動がなくなった時点で、充電用コンデンサCCHG に接続する単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを、次の単位セルBAT2,BAT3,…,BATnに切り換えることで、行うものとした。
【0091】
しかし、例えば、従来の技術の欄で例示した特開平10−225005号公報の二次電池電位均等化回路のように、時間に対しほぼ均等になる割合で各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを充電用コンデンサCCHG に順次切り換えて接続する形態で、単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの均等化充電動作を行ってもよく、本発明は、本実施形態で示した以外の形態で単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの均等化充電動作を行う場合についても、その均等化充電動作を開始する前に充電用コンデンサCCHG を前もって充電しておく際に用いる方式として、広く適用可能である。
【0092】
また、本実施形態では、初期充電動作や均等化充電動作の際に、充電用コンデンサCCHG に各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを、図2中の枝番号の番号順に接続するものとしたが、充電用コンデンサCCHG に接続する単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの順番は、一回りするうちに一部の単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnが複数回ダブって接続されることのない限り、ランダムを含めて如何なる順番であってもよい。
【0093】
特に、本実施形態の場合、n=偶数であるならば、単位セルBAT1,BAT3,…,BATn−1,BAT2,BAT4,…,BATnのように、1つ置きの順番で全単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを充電用コンデンサCCHG に順次接続するようにしてもよい。
【0094】
そして、この順番で切り換えるようにすれば、枝番号が奇数の単位セルBAT1,BAT3,…,BATn−1の相互間や、枝番号が偶数の単位セルBAT2,BAT4,…,BATnの相互間で、充電用コンデンサCCHG への接続対象を切り換える際に、極性反転用リレー2a,2b,3a,3bの切り換え動作が不要になるので、極性反転用リレー2a,2b,3a,3bの制御上有利であると共に、メカ接点の開閉による電力ロスを極力抑えることができるので、電力効率上も有利である。
【0095】
さらに、フォトMOSトランジスタSW01,SW12,…,SW(n−1)nの使用個数を抑えるためには、本実施形態のように、前段の単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATn−1の負極と充電用コンデンサCCHG とを接続する結線の一部や、後段の単位セルBAT2,BAT3,…,BATnの正極と充電用コンデンサCCHG とを接続する結線の一部を、兼用するのが有効である。
【0096】
しかし、本発明を実施する上では、前段の単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATn−1の負極と充電用コンデンサCCHG とを接続する結線、及び、後段の単位セルBAT2,BAT3,…,BATnの正極と充電用コンデンサCCHG とを接続する結線を、各々独立して個別に設けても、一向に差し支えなく、その場合には、極性反転用リレー2a,2b,3a,3bとその切り換え動作用の制御を省略することができる。
【0097】
また、均等充電用コンデンサCCHG と各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnとの間に介設されてこれらを選択的に接続させるのは、本実施形態のようなフォトMOSトランジスタSW01,SW12,…,SW(n−1)nでなくてもよく、例えば、機械式のリレー等であってもよいが、本実施形態のようにフォトMOSトランジスタSW01,SW12,…,SW(n−1)nを用いれば、高電圧系であるメインバッテリAから低電圧系であるアンプ7、コンパレータ9、及び、CPU11を電気的に絶縁させて、これらを高圧から保護することができるので、有利である。
【0098】
さらに、CPU11による各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnの均等充電用コンデンサCCHG に対する切り換え接続は、メインバッテリAが充放電を行っていない状態であれば、任意の状態で行ってよい。
【0099】
また、本実施形態では、各単位セルBAT1,BAT2,BAT3,…,BATnを、図2中の記号からも明らかなように、単一のセルであるものとしたが、本発明は、各単位セルが複数の直列接続されたセルブロックである組電池についても、それらのセルブロック相互の充電状態を均等化する際の、充電用コンデンサCCHG の予充電の方式として、適用することができる。
【0100】
さらに、本実施形態では、車両(ハイブリッド電気自動車)において用いられる電動モータ用のメインバッテリAを例に取って説明したが、車両に限らず、携帯電話や携帯式の家電品等、種々の分野において使用される組電池を構成する単位セルの充電状態を調整する際に、本発明が広く適用可能であることは、言うまでもない。
【0101】
【発明の効果】
以上に説明したように請求項1に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法によれば、負荷や充電器が両端に接続された閉回路状態において充放電を行う組電池を構成する、複数個直列に接続された2次電池からなる単位セルを、前記組電池の開回路状態において、前記負荷や前記充電器とは絶縁して構成されたキャパシタに、個別に順次切り換えて接続することで、前記組電池の充電状態を調整するに当たり、内部に蓄積された電荷が前記組電池の充電状態の非調整中に自然放電される前記キャパシタに、前記単位セルを、前記組電池の充電状態の調整を開始する前の該組電池の開回路状態において、接続時間を徐々に長くしつつ個別に順次切り換えて接続することで、前記各単位セルの蓄積電荷により前記キャパシタを、前記組電池の充電状態の調整を開始する前に予め充電しておくようにした。
【0102】
また、請求項4に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置によれば、負荷や充電器が両端に接続された閉回路状態において充放電を行う組電池を構成する、複数個直列に接続された2次電池からなる単位セルを、前記組電池の開回路状態において、前記負荷や前記充電器とは絶縁して構成されたキャパシタに、個別に順次切り換えて接続することで、前記組電池の充電状態を調整する組電池の充電状態調整装置であって、内部に蓄積された電荷が前記組電池の充電状態の非調整中に自然放電される前記キャパシタに、前記単位セルを、前記組電池の充電状態の調整を開始する前の該組電池の開回路状態において、接続時間を徐々に長くしつつ個別に順次切り換えて接続する初期充電用接続セル切換手段を備えており、前記初期充電用接続セル切換手段により前記キャパシタに前記単位セルを個別に順次切り換えて接続することで、前記各単位セルの蓄積電荷により前記キャパシタを、前記組電池の充電状態の調整を開始する前に予め充電する構成とした。
【0103】
このため、請求項1に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法と、請求項6に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置とのいずれによっても、組電池の充電状態の調整の開始時点でキャパシタが電荷を蓄積していないが故に、組電池の充電状態が調整される度に、調整開始後最初にキャパシタに接続される単位セルからキャパシタに電荷移動がなくなるまで電荷が繰り返し移動され、これにより、調整開始後最初にキャパシタに接続される単位セルが、組電池の充電状態を調整すればするほど充放電過多となって他の単位セルよりも相対的に劣化が進行してしまうのを、防止することができる。
【0104】
しかも、キャパシタに対する各単位セルの接続時間を徐々に長くすることで、キャパシタに接続されている間に各単位セルからキャパシタに移動する電荷の量を、先に接続された単位セルも後に接続された単位セルも殆ど変わらないようにして、組電池の充電状態の調整の開始前にキャパシタを充電するための、各単位セルからキャパシタへの電荷移動によって、特定の単位セルが他の単位セルよりも相対的に充放電過多となって劣化が進行してしまうのを、防止することができる。
【0105】
また、請求項2に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法によれば、請求項1に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法において、前記各単位セルを一巡するまでこれら各単位セルを前記キャパシタに個別に順次切り換えて接続し終えた時点で、前記組電池の充電状態の調整を開始する前の前記キャパシタの予充電を終了するようにした。
【0106】
さらに、請求項5に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置によれば、請求項4に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置において、前記初期充電用接続セル切換手段により、前記各単位セルを一巡するまでこれら各単位セルが前記キャパシタに個別に順次切り換えて接続され終えた時点で、前記組電池の充電状態の調整を開始する前の前記キャパシタの予充電を終了する予充電終了手段をさらに備える構成とした。
【0107】
このため、請求項2に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法によれば、請求項1に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法において、また、請求項5に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置によれば、請求項4に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置において、いずれも、予充電の間に各単位セルからキャパシタに各々移動した電荷の総量が、予充電の際に先に接続された単位セルも後に接続された単位セルも殆ど変わらないようにして、特定の単位セルが他の単位セルよりも相対的に充放電過多となって劣化が進行してしまうのを、より一層確実に防止することができる。
【0108】
また、請求項3に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法によれば、請求項1又は2に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法において、前記キャパシタの端子電圧が前記単位セルの満充電状態における開回路端子電圧以下となるように、前記組電池の充電状態の調整を開始する前に前記キャパシタを予め充電しておくようにした。
【0109】
さらに、請求項6に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置によれば、請求項4又は5に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置において、前記キャパシタが、前記単位セルの満充電状態における開回路端子電圧以下の端子電圧となるように、前記組電池の充電状態の調整を開始する前に予充電される構成とした。
【0110】
このため、請求項3に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法によれば、請求項1又は2に記載した本発明の組電池の充電状態調整方法において、また、請求項6に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置によれば、請求項4又は5に記載した本発明の組電池の充電状態調整装置において、いずれも、例え、キャパシタの端子電圧が単位セルの端子電圧を上回るまで充電されたとしても、組電池の充電状態の調整の際に、キャパシタからの蓄積電荷の移動により単位セルが満充電状態における端子電圧を超える電圧まで過充電されてしまうことを、確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による組電池の充電状態調整装置の基本構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る組電池の充電状態調整装置の概略回路構成を一部ブロックにて示す説明図である。
【図3】図2のマイクロコンピュータがROMに格納された制御プログラムに従って行う処理のうち、特に、均等充電用コンデンサの初期充電処理及び各単位セルの均等化充電処理を示すフローチャートである。
【図4】図2の組電池の充電状態調整装置による各単位セルの均等化充電処理の際における各単位セルの均等充電用コンデンサに対する接続時間の状況を例示するタイミングチャートである。
【図5】図2の組電池の充電状態調整装置による均等充電用コンデンサの初期充電処理の際における各単位セルの均等充電用コンデンサに対する接続時間の状況を例示するタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 充電状態調整装置
11 マイクロコンピュータ
11A 予充電終了手段
A 組電池
B 初期充電用接続セル切換手段
BAT1,BAT2,BAT3,…,BATn 単位セル
VCAP キャパシタ
Claims (6)
- 負荷や充電器が両端に接続された閉回路状態において充放電を行う組電池を構成する、複数個直列に接続された2次電池からなる単位セルを、前記組電池の開回路状態において、前記負荷や前記充電器とは絶縁して構成されたキャパシタに、個別に順次切り換えて接続することで、前記組電池の充電状態を調整するに当たり、
内部に蓄積された電荷が前記組電池の充電状態の非調整中に自然放電される前記キャパシタに、前記単位セルを、前記組電池の充電状態の調整を開始する前の該組電池の開回路状態において、接続時間を徐々に長くしつつ個別に順次切り換えて接続することで、前記各単位セルの蓄積電荷により前記キャパシタを、前記組電池の充電状態の調整を開始する前に予め充電しておくようにした、
ことを特徴とする組電池の充電状態調整方法。 - 前記各単位セルを一巡するまでこれら各単位セルを前記キャパシタに個別に順次切り換えて接続し終えた時点で、前記組電池の充電状態の調整を開始する前の前記キャパシタの予充電を終了するようにした請求項1記載の組電池の充電状態調整方法。
- 前記キャパシタの端子電圧が前記単位セルの満充電状態における開回路端子電圧以下となるように、前記組電池の充電状態の調整を開始する前に前記キャパシタを予め充電しておくようにした請求項1又は2記載の組電池の充電状態調整方法。
- 負荷や充電器が両端に接続された閉回路状態において充放電を行う組電池を構成する、複数個直列に接続された2次電池からなる単位セルを、前記組電池の開回路状態において、前記負荷や前記充電器とは絶縁して構成されたキャパシタに、個別に順次切り換えて接続することで、前記組電池の充電状態を調整する組電池の充電状態調整装置であって、
内部に蓄積された電荷が前記組電池の充電状態の非調整中に自然放電される前記キャパシタに、前記単位セルを、前記組電池の充電状態の調整を開始する前の該組電池の開回路状態において、接続時間を徐々に長くしつつ個別に順次切り換えて接続する初期充電用接続セル切換手段を備えており、
前記初期充電用接続セル切換手段により前記キャパシタに前記単位セルを個別に順次切り換えて接続することで、前記各単位セルの蓄積電荷により前記キャパシタを、前記組電池の充電状態の調整を開始する前に予め充電する、
ことを特徴とする組電池の充電状態調整装置。 - 前記初期充電用接続セル切換手段により、前記各単位セルを一巡するまでこれら各単位セルが前記キャパシタに個別に順次切り換えて接続され終えた時点で、前記組電池の充電状態の調整を開始する前の前記キャパシタの予充電を終了する予充電終了手段をさらに備える請求項4記載の組電池の充電状態調整装置。
- 前記キャパシタは、前記単位セルの満充電状態における開回路端子電圧以下の端子電圧となるように、前記組電池の充電状態の調整を開始する前に予充電される請求項4又は5記載の組電池の充電状態調整装置。
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