JP3688594B2 - 送り機構及びそれを用いた光ディスク記録再生装置用送り機構 - Google Patents

送り機構及びそれを用いた光ディスク記録再生装置用送り機構 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば光ディスク記録再生装置に、ピックアップの送り機構として供される送り機構に関するもので、より詳細には、送りモータのモータ軸の一方にその外周に沿って送りネジが固定された送りネジ一体型の送り機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5に、ディスクカートリッジを着脱して信号の記録再生を行う、従来の一般的な光ディスク記録再生装置に搭載されたディスクドライブの構成を示す。なお、図5においては、(a)がディスクドライブの平面図、(b)が側面図、(c)が裏面図である。
【0003】
ディスクドライブの本体部をなすメインシャーシ103の上部には、カートリッジホルダ126が取り付けられており、このカートリッジホルダ126が上がった状態で、平面図手前側よりカートリッジ102をカートリッジホルダ126に挿入する。そして、その後、カートリッジホルダ126がカートリッジホルダ回転支点127を中心に回転し、ディスクドライブに装着される。メインシャーシ103のほぼ中央には、スピンドルモータ104が配置され、メインシャーシ103上に突出しているスピンドルモータ軸に取り付けられた図示しないハブにて光磁気ディスク101をチャッキングし、情報の記録再生時等に所定の回転速度で回転させる。
【0004】
この光磁気ディスク101を間に挟んで、ピックアップユニット107と磁気ヘッド112が互いに対向するように配置されている。
【0005】
ピックアップユニット107は、レーザ光源108から出射されたレーザ光を、ミラー109またはプリズムにて光磁気ディスク101側へと直角方向に反射し、この反射されたレーザ光を対物レンズ111にて光磁気ディスク101の記録層上に集光させるように構成されている。
【0006】
ピックアップユニット107全体は、ピックアップ送り機構(以下、送り機構と称する)115にて、メインシャーシ103にスピンドルモータ104のモータ軸と直角をなす方向に固定されたガイド軸119上を、光磁気ディスク101の半径方向にスライドするように構成されている。
【0007】
送り機構115は、送りモータ116、伝達機構117、送りネジ118等で構成され、送りモータ116が回転することにより、その回転力を伝達機構117に伝達して送りネジ118を回転させ、送りネジ118に噛み合ったピックアップユニット107を光磁気ディスク101の半径方向にスライドさせるものである。ここで、上記伝達機構117は、送りモータ116の伝達トルクを送りネジ118部分で増加させるために、通常は、送りモータ116の回転数を減少させるものである。
【0008】
送りネジ118とピックアップユニット107の噛み合わせ部分を、本発明の説明図である図3を参照して説明する。ピックアップユニット107にはグリップバネ120が取り付けられ、グリップバネ120の先端部には前記送りネジ118にガタ無く噛み合うような形状の突起部が設けられている。グリップバネ120全体はバネ性を有しており、前記突起部が送りネジ118に押し付けられるように固定されている。これによって、ピックアップユニット107は、前記送りネジ118の回転によりガタ無く光磁気ディスク101の半径方向にスライドするものである。
【0009】
一方、磁気ヘッド112は、フェライトにて一体に形成されたコアを取り囲むようにコイルが挿入されて構成されている。この磁気ヘッド112は、光磁気ディスク101の直角方向に荷重が掛かるばね構成のサスペンション113に取り付けられ、サスペンション113は、ヘッド取付アングル114に固定されている。ヘッド取付アングル114は、前記磁気ヘッド112と対物レンズ111にて集光されたスポットとの位置決めをされた状態で、ピックアップユニット107のハウジング110に固定されている。これにより、ピックアップユニット107が、送り機構115によって光磁気ディスク101の半径方向にスライドする時は、ハウジング110に固定された前記磁気ヘッド112も連動してスライドする。
【0010】
磁気ヘッド112は、情報の記録時は光磁気ディスク101のディスク面に付勢されるが、再生時や取り出し時には磁気ヘッド昇降機構にて磁気ヘッド112を昇降させ、磁気ヘッド112をディスク面より離間させている。
【0011】
磁気ヘッド昇降機構は、メインシャーシ103の下面に配置されたヘッド昇降モータ123および減速機構125、前記ヘッド昇降モータ123および減速機構125により駆動される回転レバー124、前記回転レバー124により駆動される操作レバー122、および磁気ヘッド112のサスペンション113とカートリッジ102の間に回転自在に設けられたヘッド昇降レバー121とからなる。
【0012】
すなわち、ヘッド昇降モータ123の回転力が減速機構125から回転レバー124に伝達され、操作レバー122をスライドさせる。そして操作レバー122がヘッド昇降レバー121を回転させ、サスペンション113と磁気ヘッド112を光磁気ディスク101より所定量離間させる。通常、ヘッド昇降レバー121はカートリッジ102の上側にあるが、ヘッド昇降レバー121を動作させる駆動部はメインシャーシ103の下側にあり、操作レバー122にてカートリッジ102の外周部より上下を連結している。
【0013】
このような構成のディスクドライブを備えた光ディスク記録再生装置において、光磁気ディスク101に対して情報の記録を行うには、光磁気ディスク101をスピンドルモータ104にて所定の回転速度で回転させ、前記磁気ヘッド112をヘッド昇降メカニズムにて降下させ、サスペンション113によってディスク面に付勢し、更に光磁気ディスク101に形成される記録層に、ピックアップユニット107からレーザ光を入射させる。
【0014】
これにより、記録層中、レーザ光の入射を受けた部分が、レーザ光にて温度上昇し、外部磁界の向きに応じた磁化変化を行う。外部磁界は、記録信号に応じて変化するという、所謂磁界変調方式によって、記録層に所定のパターンをもって磁化方向反転領域が形成されて情報の書き込みが行われる。そして、送り機構115によって、ピックアップユニット107を光磁気ディスク101の半径方向に移動させながら、順次記録していく。
【0015】
一方、光磁気ディスク101に対して情報の再生を行うには、前記磁気ヘッド112の昇降メカニズムにて、サスペンション113と磁気ヘッド112を光磁気ディスク101より所定量離間させる。この状態でレーザ光によって情報を読み出す。そして、記録の時と同様に送り機構によって、ピックアップユニット107を光磁気ディスク101の半径方向に移動させながら、順次再生していく。
【0016】
また、図6に、光ディスク記録再生装置に搭載される、上記とは別の従来のディスクドライブを示す。なお、図6においては、(a)がディスクドライブの平面図、(b)が側面図、(c)が裏面図である。
【0017】
図6に示すディスクドライブと、図5の示したディスクドライブとの大きな違いは、ピックアップユニット7全体を光磁気ディスク1の半径方向にスライド移動させる送り機構215にある。図6に示すディスクドライブの送り機構215は、送りモータ216と送りネジ218とが一体化されている。
【0018】
図7に、この送り機構215における送りモータ機構部分を拡大して示す。なお、図7においては、(a)が送りモータ機構部分の平面図、(b)が正面図である。上記送り機構215では、送りモータ216のモータ軸232を伸ばし、これに送りネジ218が固定されている。なお、図において、233、234、235は、送りネジ218と一体化されたモータ軸232を受ける軸受けであり、230はモータハウジング、231はモータアングル、237はモータブラシである。
【0019】
なお、図6に示したディスクドライブにおける送り機構218以外の部分の説明は、本発明の実施の形態の項で説明する図2のディスクドライブと共通するので、図2と同じ部材番号を付し、ここでは説明は省略する。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のディスクドライブに採用されている送り機構115・215の構成では、以下のような問題がある。
【0021】
まず、前者の送り機構115であるが、光ディスク記録再生装置においては、記録再生時に光磁気ディスク101に書き込む位置がランダムな場合もあり得るため、データをとぎれさせることなく記録再生するために、高速でピックアップユニット107を移動させることが必要である。
【0022】
ところが、送り機構115のように、送りモータ116と送りネジ118とが分離され、その間に設けられた伝達機構117で減速させる構成では、送りモータ116の伝達トルクは送りネジ118部分で増加するものの、送りモータ116の回転数はトルク増加分送りネジ118部分で減少するため(回転数を犠牲にして、トルクを大きくしている)、ピックアップユニット107の高速送りには不向きである。
【0023】
また、送り機構115の構成において、無理に高速送りをしようとすると、ギア等の伝達機構117が入っているため、送りモータ116の回転数が高くなったりギアの動作音がするなどで、騒音が大きくなるという問題が発生する。さらに、分離された送りモータ116と送りネジ118との間に配設される伝達機構117等、部品点数が多いという問題点もある。
【0024】
一方、送りモータ216と送りネジ218を一体化した後者の送り機構215は、伝達機構117を持たないため、回転数を犠牲にすることもなく、また、ギアの動作音がするなど騒音の問題も、部品点数が多いという問題もない。しかしながら、図7(a)(b)に示すように、モータ軸232を受ける3ヶ所の軸受233・234・235が、一直線上に並ぶ構造となるため、加工上や組立上の公差により、モータ軸232が組み付けられなかったり、たとえ組み付けられたとしても、回転負荷が特に中央部に大きく掛かってしまい、モータ軸232の変形や軸受233・234・235の早期磨耗といった問題が発生する。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明の送り機構は、上記課題を解決するために、送りモータのモータ軸の一方に送りネジが固定された送りネジ一体型の送り機構において、上記送りネジの中心部には上記モータ軸の径より大きい径の軸穴が形成され、この軸穴に上記モータ軸が洞貫され、該モータ軸の先端側にてモータ軸と固定される一方、上記モータ軸の送りネジが固定された側の先端部及び送りネジが固定された側とは反対側の後端部がそれぞれ第1及び第2の軸受で受けられ、かつ、上記送りネジの送りモータ本体側が第3の軸受で受けられていることを特徴としている。
【0026】
本発明の光ディスク記録再生装置用送り機構は、上記課題を解決するために、光ディスクに対して情報の記録及び/又は再生を行う光ディスク記録再生装置に搭載され、上記した本発明の送り機構にて、情報の記録及び/又は再生を行う記録再生ヘッド部を平行移動させることを特徴としている。
【0027】
上記の構成では、まず、モータ軸と送りネジとが一体化された構成であるので、騒音が小さく、高速送りが可能であり、また、伝達機構が必要ない分、部品点数を少なくできるといった利点を有している。
【0028】
これに加えて、上記の構成では、送りモータのモータ軸は、その先端とその後端の2ヶ所を第1及び第2の軸受でそれぞれ受けられているので、従来の3つの軸受が一直線上に並ぶ構成のように、加工上や組立上の公差を原因として、精度的に過拘束となったり、余分な負荷が掛かるといったことがなく、モータ軸は変形することなく精度良く回転し、また、これを受ける軸受の早期磨耗といった問題も生じない。
【0029】
さらに、モータ軸に固定された送りネジに形成された軸穴の径を、モータ軸の径より大きく形成し、この送りネジのほぼ両端を第2及び第3の軸受で受けているので、送りネジに例えば前述のようにグリップバネの荷重が掛かったとしても、ほとんど変形することがなく、精度良く回転できるものである。また、モータ軸にはグリップバネの荷重が掛からないため、モータ軸も変形することがない。
【0030】
また、本発明の送り機構及び光ディスク記録再生装置用送り機構は、上記課題を解決するために、上記構成に加えて、上記送りネジに形成された軸穴は、モータ本体側とは反対側の端部においてモータ軸とほぼ同じ径に形成されており、このほぼ同じ径を有する部分でモータ軸に固定されていることを特徴としている。
【0031】
上記の構成により、固定部材等を用いて送りネジを固定する構成に比べて、モータ軸に対する送りネジの固定が容易であり、かつ、部品点数も少なくてすむ。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態について、図1ないし図4を用いて、以下に説明する。なお、本実施の形態では、ディスクカートリッジを着脱して信号の記録再生を行う光ディスク記録再生装置のディスクドライブにおけるピックアップの送り機構(光ディスク記録再生装置用送り機構)に、本発明の送り機構及びが採用されている例を挙げるが、本発明の送り機構は何らこれに限定されるものではない。
【0033】
図2に、本実施の形態で説明する、光ディスク記録再生装置のディスクドライブの構成を示す。なお、図2においては、(a)がディスクドライブの平面図、(b)が側面図、(c)が裏面図である。
【0034】
ディスクドライブの本体部をなすメインシャーシ3の上部には、カートリッジホルダ26が取り付けられており、カートリッジホルダ26が上がった状態で、平面図手前側よりカートリッジ2をカートリッジホルダ26に挿入する。挿入後、カートリッジホルダ26がカートリッジホルダ回転支点27を中心に回転し、ドライブに装着される。
【0035】
メインシャーシ3のほぼ中央には、スピンドルモータ4が配置され、メインシャーシ3上に突出しているスピンドルモータ軸に取り付けられた図示しないハブ6にて光磁気ディスク1をチャッキングし、情報の記録再生時等に所定の回転速度で回転させる。
【0036】
この光磁気ディスク1を間に挟んで、ピックアップユニット(記録再生ヘッド部)7と磁気ヘッド12とが、互いに対向するように配置されている。
【0037】
ピックアップユニット7は、レーザ光源8から出射されたレーザ光を、ミラー9またはプリズムにて光磁気ディスク1側へと直角方向に反射し、この反射されたレーザ光を対物レンズ11にて光磁気ディスク1の記録層上に集光させるように構成されている。
【0038】
ピックアップユニット7全体は、送り機構15にて、メインシャーシ3にスピンドルモータ4のモータ軸と直角をなす方向に固定されたガイド軸19上を、光磁気ディスク1の半径方向にスライドするように構成されている。
【0039】
上記送り機構15の詳細については、図1を用いて後述するが、送りモータ16が回転することにより、送りモータ16と一体になった送りネジ18が回転し、送りネジ18に噛み合ったピックアップユニット7を光磁気ディスク1の半径方向にスライドさせるものである。
【0040】
図3に、送りネジ18とピックアップユニット7の噛み合わせ部分を拡大して示す。ピックアップユニット7にはグリップバネ20が取り付けられ、グリップバネ20の先端部には送りネジ18にガタ無く噛み合うような形状の突起部(不図示)が設けられている。グリップバネ20全体はバネ性を有しており、前記突起部が送りネジ18に押し付けられるように固定されている。これによって、ピックアップユニット7は、送りネジ18の回転により、ガタつくこと無く光磁気ディスク1の半径方向にスライドするものである。
【0041】
一方、磁気ヘッド12は、フェライトにて一体に形成されたコアを取り囲むようにコイルが挿入されて構成されている。この磁気ヘッド12は、光磁気ディスク1の直角方向に荷重が掛かるばね構成のサスペンション13に取り付けられ、サスペンション13は、ヘッド取付アングル14に固定されている。ヘッド取付アングル14は、磁気ヘッド12と、対物レンズ11にて集光されたスポットとの位置決めをされた状態で、ピックアップユニット7のハウジング10に固定されている。これにより、ピックアップユニット7が、送り機構15によって光磁気ディスク1の半径方向にスライドする時は、ハウジング10に固定された磁気ヘッド12も連動してスライドする。
【0042】
磁気ヘッド12は、情報の記録時は光磁気ディスク1のディスク面に付勢されるが、再生時や取り出し時には磁気ヘッド昇降機構にて磁気ヘッド12を昇降させ、磁気ヘッド12をディスク面より離間させている。
【0043】
磁気ヘッド昇降機構は、メインシャーシ3の下面に配置されたヘッド昇降モータ23および減速機構25、前記ヘッド昇降モータ23および減速機構25により駆動される回転レバー24および磁気ヘッド12のサスペンション13とカートリッジ2との間に回転自在に設けられたヘッド昇降レバー21とからなる。
【0044】
すなわち、ヘッド昇降モータ23の回転力が減速機構25から回転レバー24に伝達される。そして、回転レバー24がヘッド昇降レバー21を回転させ、サスペンション13と磁気ヘッド12とを光磁気ディスク1より所定量離間させる。通常、ヘッド昇降レバー21はカートリッジ2の上側にあるが、ヘッド昇降レバー21を動作させる駆動部はメインシャーシ3の下側にあり、回転レバー24にてカートリッジ2の外周部より上下を連結している。
【0045】
このような構成において、光磁気ディスク1に対して情報の記録を行う場合は、光磁気ディスク1をスピンドルモータ4にて所定の回転速度で回転させ、磁気ヘッド12を磁気ヘッド昇降機構にて降下させ、サスペンション13によってディスク面に付勢し、更に光磁気ディスク1に形成される記録層に、ピックアップユニット7からレーザ光を入射させる。
【0046】
これにより、記録層中、レーザ光の入射を受けた部分が、レーザ光にて温度上昇し、外部磁界の向きに応じた磁化変化を行う。外部磁界は、記録信号に応じて変化するという、所謂、磁界変調方式によって、記録層に所定のパターンをもって磁化方向反転領域が形成されて情報の書込みが行われる。そして、送り機構15によって、ピックアップユニット7を、光磁気ディスク1の半径方向に移動させながら、順次記録していく。
【0047】
また、光磁気ディスク1に対して情報の再生が行われる場合には、磁気ヘッド昇降機構にて、サスペンション13と磁気ヘッド12を光磁気ディスク1より所定量離間させる。この状態でレーザ光によって情報を読み出す。そして、記録の時と同様に送り機構15によって、ピックアップユニット7を光磁気ディスク1の半径方向に移動させながら順次再生していくものである。
【0048】
次に、上記送り機構15について説明する前に、本願発明者らが、図7に示した従来の送り機構215の有する問題点を解決するものとして始めに提案した、本発明の前提とも言える送り機構について説明しておく。
【0049】
図4に、前提となる送り機構315の構成を示す。なお、図4においては、(a)が送りモータ機構部分の平面図、(b)が正面図である。なお、説明の便宜上、前述の図7に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
図4に示すように、本発明の前提となる送り機構315は、送りモータ216と送りネジ218とが一体化されている構成において、モータ軸232を中央で受ける軸受234の内径を、加工上や組立上の公差分だけ大きくして、公差の吸収を図った構成である。
【0051】
前述したように、このような送りモータ216と送りネジ218とが一体化された構成では、騒音を小さくした上でピックアップユニット7の送りが高速に行え、さらに伝達機構が必要ないので、部品点数を削減できるといったメリットを備えており、それに加えて、これにより、加工上や組立上の公差を吸収することができるので、該公差を起因としたモータ軸232の変形等をなくすことができる。
【0052】
ところが、実際にこの送り機構315を用いたところ、この構成では、ピックアップユニット7が送りモータ216側に近づいたとき、送りネジ218に掛かるグリップバネ20(図3参照)の荷重によって、中央の軸受234の内径を大きくした分だけモータ軸232が送りネジ218ごと変形してしまい、グリップバネ20のバネ性が追従しなくなり、ピックアップユニット7を精度良く送れなくなるといった不具合を招来することがわかった。
【0053】
また、本願発明者らは、前述した図7の送りネジ218を送りモータ216に一体化した送り機構215の構成において、3つの軸受233・234・235が一直線上に並んだ場合の上記公差による問題をなくすために、モータブラシ237側の軸受233の内径を大きくしたものや、モータ軸232の先端側の軸受235の内径を大きくしたものについても試みた。しかしながら、前者のものは、モータブラシ237が変位したり振れが大きくなってモータブラシ237の信頼性が低下し、後者のものは、モータ軸232の先端部変位や振れが大きくなってグリップバネ20との噛み合いが不完全になる等の不具合を招来した。
【0054】
このような前提となる送り機構315等の不具合を解決し得る構成として、本願発明者らは、上記送り機構15を提案した。
【0055】
以下、図1を用いて、ピックアップユニット7を光磁気ディスク1の半径方向にスライドさせる送り機構15について詳細に説明する。なお、図1において、(a)が送りモータ機構部分の平面図、(b)が正面図である。
【0056】
送りモータ16のモータ軸32は、一方側が他方に比べて長く形成されており、この長く延びる方に送りネジ18が固定されている。送りネジ18は、その表面にピックアップユニット7と噛み合う複数の溝40が形成され、その中心部にはモータ軸32が洞貫される軸穴41が形成されている。この軸41は、モータ軸32の径より大きい径を有しており、送りネジ18の片側端部の部分においてのみ、モータ軸32の径とほぼ同じ径に形成されている。以下、このモータ軸32の径とほぼ同じ径に形成されている部分を小径部41aと称する。
【0057】
このような送りネジ18は、モータ軸32に対して、モータ軸32の径より大きな径を有する側がモータハウジング(モータ本体)30側にくるように取り付けられており、送りネジ18とモータ軸32との固定は、モータ軸32の先端部において、モータ軸32の径とほぼ同じ径を有する上記小径部41aを用いて行われている。
【0058】
一方、送りネジ18が固定された上記モータ軸32は、その先端と後端とが、2つの軸受35・33で受けられている。ここでは、モータ軸32における送りネジ18の軸穴41に洞貫される側の長い方を前、送りネジ18側とは反対側のモータブラシ37が設けられている側を後とする。モータ軸32の先端部を受ける軸受(第1の軸受)35は、モータハウジング30に固定されたモータアングル31に固定されており、モータ軸32の後端部を受ける軸受(第2の軸受)33は、モータハウジング30内に設けられている。
【0059】
また、上記モータ軸32には、その中央部を受ける、モータハウジング30に固定された軸受34が設けられている。この軸受34は、前述した図4に示す送り機構315における軸受234と同様のものであり、先端と後端の軸受35・33の公差分より大きい径を有していて、万一の時のモータ軸32の必要以上の変形を防止するために配されている。なお、この軸受34を設ける構成は、採用しても採用しなくとも、本発明には何ら影響しないものである。
【0060】
そして、この送り機構15の特徴として、上記送りネジ18のモータハウジング30側が、第3の軸受としての軸受(第3の軸受)36で受けられている。ここでは、この軸受36はモータアングル31に固定されている。
【0061】
このような構成において、送りモータ16が回転すると、送りモータ16と一体になった送りネジ18が回転し、この送りネジ18の回転により、送りネジ18に噛み合ったピックアップユニット7(図2、図3参照)が、光磁気ディスク1の半径方向にスライド移動する。
【0062】
上記の構成では、送りモータ16のモータ軸32は、その先端とその後端の2ヶ所を軸受35・33でそれぞれ受けられているので、従来の3つの軸受が一直線上に並ぶ構成のように、加工上や組立上の公差を原因として、精度的に過拘束となったり、余分な負荷が掛かるといったことがなく、モータ軸32は変形することなく精度良く回転する。
【0063】
さらに、モータ軸32に固定された送りネジ18に形成された軸穴41の径をモータ軸32の径より大きく形成し、モータ軸32より太いこの送りネジ18の端部を軸受36で受けているので、つまりは、送りネジ18の両端を軸受35・36の短い軸受スパンで受けているようになり、送りネジ18にグリップバネ20の荷重が掛かったとしても、ほとんど変形することがなく、精度良く回転できるものである。また、モータ軸32にはグリップバネ20の荷重が掛からないため、モータ軸32が変形することもない。
【0064】
したがって、図4にて示した送り機構315では、ピックアップユニット7が送りモータ16側に移動してきたときに、グリップバネ20の荷重がモータ軸32の中央部に掛かって、モータ軸32が変形してしまうといった不具合があったが、これによれば、ピックアップユニット7を精度良く送ることができる。また、モータ軸32の変形が起こらないため、軸受33・35・36の早期磨耗も回避できる。
【0065】
【発明の効果】
本発明の送り機構は、以上のように、送りモータのモータ軸の一方に送りネジが固定された送りネジ一体型の送り機構において、上記送りネジの中心部には上記モータ軸の径より大きい径の軸穴が形成され、この軸穴に上記モータ軸が洞貫され、該モータ軸の先端側にてモータ軸と固定される一方、上記モータ軸の送りネジが固定された側の先端部及び送りネジが固定された側とは反対側の後端部がそれぞれ第1及び第2の軸受で受けられ、かつ、上記送りネジの送りモータ本体側が第3の軸受で受けられている構成である。
【0066】
本発明の光ディスク記録再生装置用送り機構は、以上のように、光ディスクに対して情報の記録及び/又は再生を行う光ディスク記録再生装置に搭載され、上記した本発明の送り機構にて、情報の記録及び/又は再生を行う記録再生ヘッド部を平行移動させる構成である。
【0067】
これにより、モータ軸と送りネジとが一体化された、騒音が小さく、高速送りが可能であり、さらに伝達機構が必要ない分、部品点数を少なくできるといった利点を有した構成を採用しながらも、送りモータのモータ軸は、その先端とその後端の2ヶ所を第1及び第2の軸受でそれぞれ受けられているので、従来の3つの軸受が一直線上に並ぶ構成のように、加工上や組立上の公差を原因として、精度的に過拘束となったり、余分な負荷が掛かるといったことがなく、モータ軸は変形することなく精度良く回転し、また、これを受ける軸受の早期磨耗といった問題も回避できる。
【0068】
さらに、モータ軸に固定された送りネジに形成された軸穴の径を、モータ軸の径より大きく形成し、この送りネジのほぼ両端を第2及び第3の軸受で受けているので、送りネジに例えば前述のようにグリップバネの荷重が掛かったとしても、ほとんど変形することがなく、精度良く回転できるものである。また、モータ軸にはグリップバネの荷重が掛からないため、モータ軸も変形することがない。
【0069】
その結果、部品点数が少なく、騒音も小さく、また、高速送りが可能であって、かつ、モータ軸が精度良く回転し、モータ軸の変形やこれに伴う送り不良といった不具合を一切伴わない、光ディスク記録再生装置の記録再生ヘッドの送り機構に好適に用いられる優れた送り機構を提供できるという効果を奏する。
【0070】
また、本発明の送り機構及び光ディスク記録再生装置用送り機構は、以上のように、上記構成に加えて、上記送りネジに形成された軸穴は、モータ本体側とは反対側の端部においてモータ軸とほぼ同じ径に形成されており、このほぼ同じ径を有する部分でモータ軸に固定されている構成である。
【0071】
これにより、固定部材等を用いて送りネジを固定する構成に比べて、モータ軸に対する送りネジの固定が容易であり、かつ、部品点数も少なくてすむといった効果を併せて奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示すもので、光ディスク記録再生装置のディスクドライブに搭載されたピックアップユニットの送り機構のモータ機構部分を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図2】上記ディスクドライブの構成を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は裏面図である。
【図3】上記ディスクドライブにおける送り機構でスライド移動されるピックアップユニットと送りネジとの噛み合わせ部分を説明する斜視図である。
【図4】本発明の前提となる送り機構の構成を採用した、ピックアップユニットの送り機構のモータ機構部分を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図5】従来の光ディスク記録再生装置におけるディスクドライブの構成を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は裏面図である。
【図6】他の従来の光ディスク記録再生装置におけるディスクドライブの構成を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は裏面図である。
【図7】図6のディスクドライブに搭載されたピックアップユニットの送り機構のモータ機構部分を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【符号の説明】
1 光磁気ディスク(光ディスク)
7 ピックアップユニット(記録再生ヘッド部)
15 送り機構(光ディスク記録再生装置用送り機構)
16 送りモータ
18 送りネジ
32 モータ軸
33 軸受(第2の軸受)
35 軸受(第1の軸受)
36 軸受(第3の軸受)
41 軸穴
41a 小径部(ほぼ同じ径を有する部分)

Claims (3)

  1. 送りモータのモータ軸の一方に送りネジが固定された送りネジ一体型の送り機構において、
    上記送りネジの中心部には上記モータ軸の径より大きい径の軸穴が形成され、この軸穴に上記モータ軸が洞貫され、該モータ軸の先端側にてモータ軸と固定される一方、
    上記モータ軸の送りネジが固定された側の先端部及び送りネジが固定された側とは反対側の後端部がそれぞれ第1及び第2の軸受で受けられ、
    かつ、上記送りネジの送りモータ本体側の後端部における上記軸孔は上記モータ軸の径より大きな径を有するとともに、上記送りネジの送りモータ本体側の後端部が第3の軸受で受けられていることを特徴とする送り機構。
  2. 上記送りネジに形成された軸穴は、モータ本体側とは反対側の端部においてモータ軸とほぼ同じ径に形成されており、このほぼ同じ径を有する部分でモータ軸に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の送り機構。
  3. 光ディスクに対して情報の記録及び/又は再生を行う光ディスク記録再生装置に搭載され、請求項1又は2に記載された送り機構にて、情報の記録及び/又は再生を行う記録再生ヘッド部を平行移動させることを特徴とする光ディスク記録再生装置用送り機構。
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