JP3687540B2 - 防水モールドコネクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋外等の悪環境下で使用されるのに適した防水モールドコネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、トレーラーと車両本体との間を電気的に接続するいわゆるトーイングヒッチ用の自動車用ワイヤーハーネスに使用される車両本体側のコネクタは、市場での一般ユーザーが準備するトレーラー側のワイヤーハーネスと電気接続できるように、形状・寸法がSAE規格によって規格化されており、互換性を確保している。
【0003】
そして、この種のコネクタは、車両本体の後方のバンパー下等、外部に露出した状態で設置されるため、後方にトレーラーを接続・牽引せずに、車両単独で走行するような場合、雨天時においてはコネクタが被水するおそれがあった。
【0004】
そこで、この種の従来のコネクタにあっては、電線端部の露出された導体部に端子金具を圧着した状態で、直接、PVC樹脂によりモールド成形することにより、防水性を確保した構造とされていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような防水構造のコネクタでは、防水性が十分でなく、上記のような使用状況の下で、コネクタの開口部側からその内部に水が染み込み、さらには電線の導体部を構成する各素線間の内部にまで浸透して、電線の導体部が腐食し、断線するおそれがあった。
【0006】
そして、このような電線の内部における導体部の腐食は外観から判断できないため、腐食による断線に気付かずに使用した場合、接続されたトレーラー側に所定の電気信号が伝達されず、テールランプやブレーキランプが点灯しないという事態を招くおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、防水性の向上により導体部の腐食を有効に防止する防水モールドコネクタを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための技術的手段は、電線端部の被覆部が皮剥ぎされて露出された導体部に端子金具が圧着部の圧着により接続され、端子金具の接続部分から電線の被覆部外周面にまたがって樹脂材によりモールド被覆された防水モールドコネクタにおいて、前記端子金具の前記圧着部と前記電線端部の被覆部との間に位置した部分の前記露出された導体部にハンダを染み込ませたハンダ浸透導体部領域が備えられ、前記ハンダ浸透導体部領域から前記電線端部の被覆部にわたって、熱収縮チューブで被覆されると共にその熱収縮により密着され、前記端子金具の前記接続部分から熱収縮チューブおよび電線の被覆部外周面にまたがって前記樹脂材によりモールド被覆された点にある。
【0009】
また、前記熱収縮チューブは、その内面側にホットメルト層を備えてなる構造としてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明すると、図1ないし図3において、1はトレーラーと車両本体との間を電気的に接続する自動車用ワーヤーハーネスに使用される車両本体側のコネクタとしての防水モールドコネクタで、雌雄の端子金具2、3が接続された複数本の電線4における各端子金具2、3の圧着部分および各電線4の端部にわたってモールド被覆するコネクタ本体6と、コネクタ本体6の長さ方向中間部に装着された取付部材7と、コネクタ本体6における各端子金具2、3側の接続側端部6aを覆って着脱自在に覆うゴムキャップ8とを備えている。
【0011】
また、図3に示される如く、各電線4端部の被覆部4aが皮剥ぎされて露出された導体部4bにおいて、各端子金具2、3が圧着されて接続された圧着部2a、3aと、各電線4端部の被覆部4aとの間に位置した部分に、ハンダを染み込ませたハンダ浸透導体部領域4cがそれぞれ所定長さ有して備えられている。
【0012】
さらに、ハンダ浸透導体部領域4cから電線4端部の被覆部4aにわたって、内面側にホットメルト層を備えたポリオレフィン製等からなる熱収縮チューブ9でそれぞれ被覆されると共に熱収縮されて密着状とされている。
【0013】
そして、各端子金具2、3の圧着部2a、3a部分から各熱収縮チューブ9および各電線4の被覆部4a外周面にまたがって熱可塑性樹脂材としてのエラストマー等によりモールド成形されてコネクタ本体6が構成されている。
【0014】
また、前記取付部材7は、コネクタ本体6の外周面にPPGT(ガラス繊維およびタルク入り強化ポリプロピレン)等によりモールド成形されており、車両本体への取付け孔部7aを備えると共に、ゴムキャップ8を保持する保持突部7bを上端部に備えた構成とされている。
【0015】
前記ゴムキャップ8は、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン共重合体)等から形成されてなり、コネクタ本体6に弾性変形を介して装着されるリング状の本体取付部8aと、ゴムキャップ8と本体取付部8aとを連結する細長帯状の弾性変形自在なバンド部8bとを一体に備えている。
【0016】
そして、ゴムキャップ8には、接続側端部6aおよび突出状とされる端子金具3に弾性変形を介して密着状に嵌着される嵌着凹部8c、8dを備え、防水モールドコネクタ1の不使用時には、図2に示される如く、ゴムキャップ8を接続側端部6aに装着して露出状態とされる各端子金具2、3を覆って保護できるように構成されている。
【0017】
また、トレーラー接続時等においては、ゴムキャップ8の嵌着凹部8dを取付部材7の保持突部7bに嵌着することにより、退避状態で取付部材7で保持可能とされている。
【0018】
さらに、コネクタ本体6から延びる各電線4を束ねて保護する可撓性の保護チューブ10が装着されると共に、コネクタ本体6の電線4延出側端部と保護チューブ10の端部とにまたがって、PVC等からなるカバー体11が装着されている。
【0019】
図4は、前記各電線4およびこれらに接続される端子金具2、3をモールド成形によりコネクタ本体6で覆うまでの工程を示し、先ず、図4(A)に示される如く、電線4端部における被覆部4aを比較的長く、いわゆるロングストリップし、露出した導体部4bの端部に端子金具(ここでは雌型端子金具を示す)2を圧着して接続する。
【0020】
次に、図4(B)に示される如く、電線4の被覆部4aから端子金具2までの部分における導体部4bの各素線間にハンダを充分に染み込ませてハンダ浸透導体部領域4cを構成する。
【0021】
その後、図4(C)に示される如く、ハンダ浸透導体部領域4cから電線4端部の被覆部4aにわたって、内面側にホットメルト層を備えた熱収縮チューブ9で覆い、これを熱収縮させて隙間のないように密着被覆する。
【0022】
次に、図4(D)に示される如く、端子金具2(雄型端子金具3の場合は圧着部3a)から熱収縮チューブ9および電線4の被覆部4a外周面にまたがってモールド成形によりコネクタ本体6を形成する。
【0023】
なお、図4においては、電線4の導体部4bに雌型の端子金具2を接続した部分について説明しているが、雄型の端子金具3を接続した部分でもほぼ同様に構成されている。
【0024】
以上のように本実施形態によれば、導体部4bにおける各素線間の隙間にハンダを染み込ませたハンダ浸透導体部領域4cを、コネクタ本体6で被覆された部位に備えているため、コネクタ本体6の接続側端部6aが被水した場合であっても、電線4内部への各素線間からの水の浸入が有効に防止できる。
【0025】
また、ハンダ浸透導体部領域4c外周面と電線4の被覆部4a外周面とにわたって熱収縮チューブ9で密着被覆されており、被覆部4aと導体部4bとの相互間の隙間からの水の浸入も有効に防止でき、しかも内面側に備えられたホットメルト層によって、より微小な隙間も埋めることができ、熱収縮チューブ9と電線4との双方の密着性がより向上し、長期的な密着保護効果が期待できる。
【0026】
さらに、コネクタ本体6によって熱収縮チューブ9全体やその長さ方向両端部の圧着部2aや被覆部4aをモールド被覆した構造であり、曲げや衝撃等による外部からのストレスからも保護される利点がある。
【0027】
ここに、SAE規格で規定される形状・寸法を維持して、長期にわたって、より確実に電線4の導体部4b内への被水による水の浸入が有効に防止でき、導体部4bの腐食が有効に防止できる。
【0028】
また、従来構造と比較して、ハンダを染み込ませたハンダ浸透導体部領域4cを備えて熱収縮チューブ9で密着被覆する簡単な構造であり、特別な加工設備や特別な部品を使用することなく、安価に提供できるという利点もある。
【0029】
なお、上記実施形態においては、車両本体とトレーラーとの間を電気的に接続するコネクタに採用したものを示しているが、その他のコネクタに採用してもよく、実施形態の形状や構造に何ら限定されない。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、本発明の防水モールドコネクタによれば、端子金具の圧着部と電線端部の被覆部との間に位置した部分の露出された導体部にハンダを染み込ませたハンダ浸透導体部領域が備えられ、ハンダ浸透導体部領域から電線端部の被覆部にわたって、熱収縮チューブで被覆されると共にその熱収縮により密着され、端子金具の接続部分から熱収縮チューブおよび電線の被覆部外周面にまたがって樹脂材によりモールド被覆されたものであり、簡単な構造であり、安価に提供できると共に、長期にわたって、より確実に電線の導体部内への水の浸入が有効に防止でき、防水性の向上が図れ、導体部の腐食が有効に防止できるという利点がある。
【0031】
また、その内面側にホットメルト層を備えた熱収縮チューブを使用すれば、熱収縮チューブと電線との双方の密着性がより向上し、防水性がなお一層向上するという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る防水モールドコネクタのゴムキャップ取外し状態を示す正面図である。
【図2】同防水モールドコネクタのゴムキャップ装着状態を示す正面図である。
【図3】同防水モールドコネクタの要部を拡大して示す断面図である。
【図4】同防水モールドコネクタの製造工程の一部を示す説明図である。
【符号の説明】
1 防水モールドコネクタ
2 端子金具
2a 圧着部
3 端子金具
3a 圧着部
4 電線
4a 被覆部
4b 導体部
4c ハンダ浸透導体部領域
6 コネクタ本体
7 取付部材
8 ゴムキャップ
9 熱収縮チューブ

Claims (2)

  1. 電線端部の被覆部が皮剥ぎされて露出された導体部に端子金具が圧着部の圧着により接続され、端子金具の接続部分から電線の被覆部外周面にまたがって樹脂材によりモールド被覆された防水モールドコネクタにおいて、
    前記端子金具の前記圧着部と前記電線端部の被覆部との間に位置した部分の前記露出された導体部にハンダを染み込ませたハンダ浸透導体部領域が備えられ、
    前記ハンダ浸透導体部領域から前記電線端部の被覆部にわたって、熱収縮チューブで被覆されると共にその熱収縮により密着され、
    前記端子金具の前記接続部分から熱収縮チューブおよび電線の被覆部外周面にまたがって前記樹脂材によりモールド被覆されたことを特徴とする防水モールドコネクタ。
  2. 前記熱収縮チューブは、その内面側にホットメルト層を備えてなることを特徴とする請求項1記載の防水モールドコネクタ。
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