JP3687516B2 - 車両の後退時の操舵支援装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両の後退時の操舵支援装置に係り、詳しくは車両の後方を撮影するカメラと、その映像を表示するモニタとを備え、後退時に前記映像とともに操舵を支援するための表示をモニタに同時に表示する車両の後退時の操舵支援装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の後退時に運転者が後方を振り向かなくても、モニタに車両の後方視界を写し出すようにした装置が提案されている。例えば、特公平2−36417号公報には、車両後方をモニタするテレビカメラと、該テレビカメラのとらえた映像を写し出すモニタテレビと、タイヤ操舵角にかかる情報信号を出力するセンサと、該センサからの情報信号に応じてマーカー信号を発生し、テレビ画面上にマーカーを重畳表示させる車両の後方監視モニタ装置が開示されている。この装置では、タイヤの操舵角データとその操舵角に対応する車両の後進方向に沿ったマーカー位置データがROM(読み出し専用メモリ)に蓄積されており、操舵角データに基づいて車両の予想後進軌跡が、モニタテレビ画面にテレビカメラの映像に重畳してマーカーの列として表示される。
【0003】
また、特開平10−175482号公報には、前輪の操舵角を検出する操舵角検出部と、車速検出部と、該操舵角検出部及び該車速検出部と車両の後方監視画像を得る後方撮像カメラと、該後方監視画像を表示する画像表示部(モニタ)とを備えた車両後方視界支援装置が開示されている。この装置では、操舵角に基づいて後退時の後輪移動軌跡を演算部で演算し、該後輪移動軌跡を前記後方撮像カメラを視点として投影したときの軌跡投影画像データに変換する。そして、さらに前記軌跡投影画像データを前記画像表示部の表示画面に対応する線画像データに変換し、該線画像データを後方監視画像に合成して画像表示部に表示する。
【0004】
また、特開平10−244891号公報には、車両側方の前後に配置され、車両側方の周囲環境を撮像する第1及び第2の撮像手段と、前記各撮像手段で撮像した画像に予め設定した縦列駐車可能最小距離に応じた縦列駐車可否判断ラインを上書きする駐車補助装置が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記特公平2−36417号公報及び特開平10−175482号公報に開示された従来技術においては、カメラで撮影された車両後方の映像とともに、その時の操舵角に基づく車両の予想後進軌跡又は後輪移動軌跡がモニタ画面に重畳表示される。この表示は車両の長さやホイールベース長とは無関係に、モニタ画面に表示される。従って、例えば山道等の曲がりくねった狭い道で対向車とすれ違うため、すれ違いが可能な広い場所まで後退する場合、モニタ画面に後方の道路の状況とともに車両の予想後進軌跡又は後輪移動軌跡が表示されるため、現在の操舵角を保持した状態で車両が後退すると、車両が道路から逸れるか否かの判断は可能になる。
【0006】
しかし、従来装置では、図26に示すように、予想後進軌跡又は後輪移動軌跡等の表示軌跡41はモニタ画面42に表示可能な分が全て表示されるため、道路43の曲率がかなり長く一定でしかも操舵角が道路43の曲率に対応した状態になければ、前記表示軌跡41はその先端側が道路43からはみ出す状態で表示される。一般に山道等の曲がりくねった道路においては、道路の曲率が一定で長く続くことはない。従って、表示軌跡の一部が道路からはみ出して表示される場合が多くなる。運転者は表示軌跡から現在の操舵角に保持したままではやがて道路から逸脱することは認識できるが、運転者は表示軌跡を見ただけではどのような状態でハンドルを操作したらよいのか判断し難く、表示軌跡はハンドルの操舵量を決めるのには殆ど役立たない。
【0007】
また、市街の道路で縦列駐車する際は、ハンドルの切り返しが必要になるが、前記従来装置の表示軌跡はハンドルの切り返しタイミングの参考には殆どならない。
【0008】
また、特開平10−244891号公報に開示された装置は駐車補助専用の装置で、車両側方前後を撮像する2台の撮像装置が必要になるとともに、縦列駐車可否判断ラインを表示するための演算が複雑になるという問題がある。
【0009】
本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的はS字カーブでの後退時あるいは縦列駐車時において、モニタ画面のガイド表示を参考にしてハンドル操作を行うことにより、容易に車両を所望の位置へ後退移動させることができる車両の後退時の操舵支援装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため請求項1に記載の発明では、車両の後方を撮影するカメラと、その映像を表示するモニタとを備え、後退時に前記映像とともに操舵を支援するための表示をモニタに同時に表示する車両の後退時の操舵支援装置において、前記表示として車幅の目安を示すガイド表示を、操舵輪が直進位置に操舵された状態における車両の予想軌跡に対して、操舵手段の操舵に連動してかつ操舵量に対応した量だけ移動するように表示する表示制御手段を設け、前記表示制御手段は操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出手段の検出値に基づいて、その操舵角での後退時の車両の予想軌跡を演算する演算手段と、前記予想軌跡に基づいて車幅の目安を示すガイド表示を、そのときの操舵角に対応した所定位置にカメラの映像に重畳させて表示するための表示データを作成する表示データ作成手段とを備え、前記表示データ作成手段は、現時点の操舵速度に基づき求めた操舵角補正値を現在の操舵角に加え、この加えて得た値を仮の現在の操舵角と見なして補正後の予想軌跡を演算することで、前記演算手段にて演算された予想軌跡を補正処理する予想軌跡補正手段を備え、補正後の予想軌跡に基づいて前記表示データを作成するようにした。
【0011】
請求項2に記載の発明では、車両の後方を撮影するカメラと、その映像を表示するモニタとを備え、後退時に前記映像とともに操舵を支援するための表示をモニタに同時に表示する車両の後退時の操舵支援装置において、前記表示として車幅の目安を示すガイド表示を、操舵輪が直進位置に操舵された状態における車両の予想軌跡に対して、操舵手段の操舵に連動してかつ操舵量に対応した量だけ移動するように表示する表示制御手段を設け、前記表示制御手段は操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出手段の検出値に基づいて、その操舵角での後退時の車両の予想軌跡を演算する演算手段と、前記予想軌跡に基づいて車幅の目安を示すガイド表示を、そのときの操舵角に対応した所定位置にカメラの映像に重畳させて表示するための表示データを作成する表示データ作成手段とを備え、前記表示データ作成手段は、現時点の操舵速度を現時点の車両の走行速度で除算して得た値に基づき求めた操舵角補正値を現在の操舵角に加え、この加えて得た値を仮の現在の操舵角と見なして補正後の予想軌跡を演算することで、前記演算手段にて演算された予想軌跡を補正処理する予想軌跡補正手段を備え、補正後の予想軌跡に基づいて前記表示データを作成するようにした。
【0012】
請求項3に記載の発明では、車両の後方を撮影するカメラと、その映像を表示するモニタとを備え、後退時に前記映像とともに操舵を支援するための表示をモニタに同時に表示する車両の後退時の操舵支援装置において、前記表示として車幅の目安を示すガイド表示を、操舵輪が直進位置に操舵された状態における車両の予想軌跡に対して、操舵手段の操舵に連動してかつ操舵量に対応した量だけ移動するように表示する表示制御手段を設け、前記表示制御手段は操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出手段の検出値に基づいて、その操舵角での後退時の車両の予想軌跡を演算する演算手段と、前記予想軌跡に基づいて車幅の目安を示すガイド表示を、そのときの操舵角に対応した所定位置にカメラの映像に重畳させて表示するための表示データを作成する表示データ作成手段とを備え、前記表示データ作成手段は、前記操舵手段が一定速度で操舵される際の適正な位置にガイド表示が表示されるように、前記演算手段にて演算された予想軌跡を車両の進行方向に対して圧縮するように楕円化して補正後の予想軌跡とすることで、前記演算手段にて演算された予想軌跡を補正処理する予想軌跡補正手段を備え、補正後の予想軌跡に基づいて前記表示データを作成するようにした。
【0013】
請求項4に記載の発明では、車両の後方を撮影するカメラと、その映像を表示するモニタとを備え、後退時に前記映像とともに操舵を支援するための表示をモニタに同時に表示する車両の後退時の操舵支援装置において、前記表示として車幅の目安を示すガイド表示を、操舵輪が直進位置に操舵された状態における車両の予想軌跡に対して、操舵手段の操舵に連動してかつ操舵量に対応した量だけ移動するように表示する表示制御手段を設け、前記表示制御手段は操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出手段の検出値に基づいて、その操舵角での後退時の車両の予想軌跡を演算する演算手段と、前記予想軌跡に基づいて車幅の目安を示すガイド表示を、そのときの操舵角に対応した所定位置にカメラの映像に重畳させて表示するための表示データを作成する表示データ作成手段とを備え、前記表示データ作成手段は、予想軌跡を車両の進行方向の後退側に平行移動させたものを補正後の予想軌跡とすることで、前記演算手段にて演算された予想軌跡を補正処理する予想軌跡補正手段を備え、補正後の予想軌跡に基づいて前記表示データを作成するようにした。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記表示データ作成手段は前記予想軌跡を極座標で表示するとともに、前記ガイド表示は極座標で示した角度座標が同じ位置での車幅を示す線分を有する。
【0015】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記ガイド表示は前記モニタの画面において車両後端からほぼホイールベース長の位置に、車幅の長さを有する線分と、その線分の両端から車幅の間隔を保って車両後端に向かって延びる一対のガイドラインとを有する。
【0016】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の発明において、前記表示として、前記モニタの画面の所定位置に固定された状態で表示されるポイント表示を、さらに設けた。
【0017】
請求項8に記載の発明では、車両の後方を撮影するカメラと、その映像を表示するモニタとを備え、後退時に前記映像とともに操舵を支援するための表示をモニタに同時に表示する車両の後退時の操舵支援装置において、前記表示として車幅の目安を示すガイド表示を、操舵輪が直進位置に操舵された状態における車両の予想軌跡に対して、操舵手段の操舵に連動してかつ操舵量に対応した量だけ移動するように表示する表示制御手段を設け、前記表示制御手段は操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出手段の検出値に基づいて、その操舵角での後退時の車両の予想軌跡を演算する演算手段と、前記予想軌跡に基づいて車幅の目安を示すガイド表示を、そのときの操舵角に対応した所定位置にカメラの映像に重畳させて表示するための表示データを作成する表示データ作成手段とを備え、前記表示データ作成手段は前記予想軌跡を極座標で表示するとともに、前記ガイド表示は極座標で示した角度座標が同じ位置での車幅を示す線分を有する。
【0018】
請求項9に記載の発明では、請求項8に記載の発明において、前記表示として、前記モニタの画面の所定位置に固定された状態で表示されるポイント表示を、さらに設けた。
【0019】
請求項10に記載の発明では、車両の後方を撮影するカメラと、その映像を表示するモニタとを備え、後退時に前記映像とともに操舵を支援するための表示をモニタに同時に表示する車両の後退時の操舵支援装置において、前記表示として車幅の目安を示すガイド表示を、操舵輪が直進位置に操舵された状態における車両の予想軌跡に対して、操舵手段の操舵に連動してかつ操舵量に対応した量だけ移動するように表示する表示制御手段を設け、前記表示制御手段は操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出手段の検出値に基づいて、その操舵角での後退時の車両の予想軌跡を演算する演算手段と、前記予想軌跡に基づいて車幅の目安を示すガイド表示を、そのときの操舵角に対応した所定位置にカメラの映像に重畳させて表示するための表示データを作成する表示データ作成手段とを備え、前記ガイド表示は前記モニタの画面において車両後端からほぼホイールベース長の位置に、車幅の長さを有する線分と、その線分の両端から車幅の間隔を保って車両後端に向かって延びる一対のガイドラインとを有し、前記表示として、前記モニタの画面の所定位置に固定された状態で表示されるポイント表示を、さらに設け、前記ポイント表示は、後退時の縦列駐車を行う場合に、ハンドルをいっぱいに切るタイミングの目安に利用されるものであり、前記タイミングは、ポイント表示が前記画面上に表示された駐車スペースの目標地点に合わさった時である。
【0020】
請求項11に記載の発明では、請求項10に記載の発明において、前記ガイド表示は、前記両ガイドラインの車両の中央部に相当する位置の2点を結ぶ2本の線分を有する。
【0022】
請求項12に記載の発明では、車両の後方を撮影するカメラと、その映像を表示するモニタとを備え、後退時に前記映像とともに操舵を支援するための表示をモニタに同時に表示する車両の後退時の操舵支援装置において、前記表示として、前記モニタの画面の所定位置に固定された状態で表示されるポイント表示と車幅の目安を示すガイド表示とを設け、前記ポイント表示と前記ガイド表示は互いに異なった色で表示されるようにし、前記ガイド表示を、操舵輪が直進位置に操舵された状態における車両の予想軌跡に対して、操舵手段の操舵に連動してかつ操舵量に対応した量だけ移動するように表示する表示制御手段を設け、前記ポイント表示は、後退時の縦列駐車を行う場合に、ハンドルをいっぱいに切るタイミングの目安に利用されるものであり、前記タイミングは、ポイント表示が前記画面上に表示された駐車スペースの目標地点に合わさった時である。
【0023】
請求項13に記載の発明では、車両の後方を撮影するカメラと、その映像を表示するモニタとを備え、後退時に前記映像とともに操舵を支援するための表示をモニタに同時に表示する車両の後退時の操舵支援装置において、前記モニタの画面の所定位置に固定された状態で表示されるポイント表示を設け、前記ポイント表示は、前記モニタの画面上で車幅間隔をおいて延びる一対のガイドラインと該画面上で該ガイドライン間を連結する線分とを備えた固定ガイド表示の中央に表示され、車両が後退時の縦列駐車を行う場合に、ハンドルをいっぱいに切るタイミングの目安に利用されるものであり、前記タイミングは、ポイント表示が前記画面上に表示された駐車スペースの目標地点に合わさった時である。
【0024】
請求項14に記載の発明では、請求項13に記載の発明において、前記モニタの画面において車両後端からほぼホイールベース長の位置に、車幅の長さを有する線分と、その線分の両端から車幅の間隔を保って車両後端に向かって延びる一対のガイドラインとを有して、操舵角検出手段にて検出された操舵輪の操舵角における後退時の車両の予想軌跡に基づいて車幅の目安を示すガイド表示と、該ガイド表示の両ガイドラインの車両の中央部に相当する位置の各2点を結ぶ2本の線分とを、前記固定ガイド表示に加えて同時に表示する。
【0025】
請求項15に記載の発明では、請求項13又は請求項14に記載の発明において、前記ポイント表示は、右後方縦列駐車用及び左後方縦列駐車用の2種類あり、各ポイント表示が前記モニタの画面上で車両の側面の延長線上の車両後端から所定距離離れた位置に表示され、各ポイント表示から前記画面上で後方へ延びる補助線が車両の側面の延長線上に位置するように表示される。
【0027】
従って、請求項1〜4に記載の発明では、車両の後退時に、車両の後方を撮影するカメラの映像がモニタに表示される。また、車幅の目安を示すガイド表示が、操舵輪が直進位置に操舵された状態における車両の予想軌跡に対して、操舵手段の操舵に連動してかつ操舵量に対応した量だけ移動するように表示される。そして、運転者はモニタの画面に表示された映像内で自分が後退しようとする経路の中央に、ガイド表示が位置するように操舵手段を操舵する。
【0028】
また、車両の後退時に操舵角検出手段の検出値に基づいてその操舵角での後退時の車両の予想軌跡が、演算手段によって演算される。そして、表示データ作成手段によりその時の操舵角に対応した所定位置に、カメラの映像に重畳させてガイド表示を表示させるための表示データが作成される。また、現時点での操舵角での予想軌跡が予想軌跡補正手段によって補正処理され、補正後の予想軌跡に基づいて前記表示データが作成される。
【0029】
また、請求項1に記載の発明では、現時点の操舵速度、即ち僅か前の操舵角と現時点の操舵角との差に基づき求めた操舵角補正値と、現在の操舵角との和が、仮の現在の操舵角と見なされる。そして、前記仮の現在の操舵角を用いて補正後の予想軌跡が予想軌跡補正手段によって演算される。
【0030】
また、請求項2に記載の発明では、現時点の操舵速度、即ち僅か前の操舵角と現時点の操舵角との差を現時点の車両の走行速度で除算して得た値に基づき求めた操舵角補正値を現在の操舵角に加えた値が、仮の現在の操舵角と見なされる。そして、前記仮の現在の操舵角を用いて補正後の予想軌跡が予想軌跡補正手段によって演算される。
【0031】
また、請求項3に記載の発明では、操舵手段が一定速度で操舵される際の適正な位置にガイド表示が表示されるように、前記演算手段にて演算された予想軌跡が車両の進行方向に対して圧縮され楕円化して表示されるため、予想軌跡を円弧として表示する場合に比較して、操作手段を操舵するタイミングが遅くなり、タイヤが内側に切れ込むのが抑制される。
【0032】
また、請求項4に記載の発明では、前記予想軌跡は、その中心となる基準点が後退側へずれた状態で表示される。従って、基準点をずらさずに表示した場合に比較して、少ない操舵量でガイド表示が車幅方向に同じ量移動される。
【0033】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、予想軌跡が極座標で表示されるとともに、前記ガイド表示は角度座標が同じ位置での車幅を示す線分を有する状態で表示されるため、カーブにおけるガイド表示の画面上での不自然さが減少する。
【0034】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記ガイド表示は車幅の長さを有する線分と、その線分の両端から車幅の間隔を保って車両後端に向かって延びる一対のガイドラインとを有する形状で、モニタの画面において前記線分が車両後端からほぼホイールベース長の位置に表示される。この場合、S字後退においてガイド表示から自車の感覚がつかみ易くなり、運転者がガイド表示を参考にして操舵手段を操舵するときの操舵量が適正な値になり易い。
【0035】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の発明において、車両の後退時に、車両の後方を撮影するカメラの映像に重畳させて操舵を支援するポイント表示が前記ガイド表示と共に表示される。ポイント表示は映像に関係なく常に画面の所定位置に固定された状態で表示される。運転者は縦列駐車の際に、ポイント表示と駐車スペースをモニタで確認しながら操舵手段を操舵する。
【0036】
請求項8に記載の発明では、車両の後退時に、車両の後方を撮影するカメラの映像がモニタに表示される。また、車幅の目安を示すガイド表示が、操舵輪が直進位置に操舵された状態における車両の予想軌跡に対して、操舵手段の操舵に連動してかつ操舵量に対応した量だけ移動するように表示される。そして、運転者はモニタの画面に表示された映像内で自分が後退しようとする経路の中央に、ガイド表示が位置するように操舵手段を操舵する。
【0037】
また、車両の後退時に操舵角検出手段の検出値に基づいてその操舵角での後退時の車両の予想軌跡が、演算手段によって演算される。そして、表示データ作成手段によりその時の操舵角に対応した所定位置に、カメラの映像に重畳させてガイド表示を表示させるための表示データが作成される。また、予想軌跡が極座標で表示されるとともに、前記ガイド表示は角度座標が同じ位置での車幅を示す線分を有する状態で表示されるため、カーブにおけるガイド表示の画面上での不自然さが減少する。
【0038】
請求項9に記載の発明では、請求項8に記載の発明において、車両の後退時に、車両の後方を撮影するカメラの映像に重畳させて操舵を支援するポイント表示が前記ガイド表示と共に表示される。ポイント表示は映像に関係なく常に画面の所定位置に固定された状態で表示される。運転者は縦列駐車の際に、ポイント表示と駐車スペースをモニタで確認しながら操舵手段を操舵する。
【0039】
請求項10に記載の発明では、車両の後退時に、車両の後方を撮影するカメラの映像がモニタに表示される。また、車幅の目安を示すガイド表示が、操舵輪が直進位置に操舵された状態における車両の予想軌跡に対して、操舵手段の操舵に連動してかつ操舵量に対応した量だけ移動するように表示される。そして、運転者はモニタの画面に表示された映像内で自分が後退しようとする経路の中央に、ガイド表示が位置するように操舵手段を操舵する。
【0040】
また、車両の後退時に操舵角検出手段の検出値に基づいてその操舵角での後退時の車両の予想軌跡が、演算手段によって演算される。そして、表示データ作成手段によりその時の操舵角に対応した所定位置に、カメラの映像に重畳させてガイド表示を表示させるための表示データが作成される。また、前記ガイド表示は車幅の長さを有する線分と、その線分の両端から車幅の間隔を保って車両後端に向かって延びる一対のガイドラインとを有する形状で、モニタの画面において前記線分が車両後端からほぼホイールベース長の位置に表示される。この場合、S字後退においてガイド表示から自車の感覚がつかみ易くなり、運転者がガイド表示を参考にして操舵手段を操舵するときの操舵量が適正な値になり易い。さらに、車両の後退時に、車両の後方を撮影するカメラの映像に重畳させて操舵を支援するポイント表示が前記ガイド表示と共に表示される。ポイント表示は映像に関係なく常に画面の所定位置に固定された状態で表示される。運転者は縦列駐車の際に、ポイント表示と駐車スペースをモニタで確認しながら操舵手段を操舵する。
【0041】
請求項11に記載の発明では、請求項10に記載の発明において、ガイド表示は、両ガイドラインの中央部に相当する位置の各2点を結ぶ2本の線分が同時に表示される。従って、切り返し操作を行った操舵手段を操舵輪が真っ直ぐになる状態に戻す時期の判断がより容易になるとともに、ガイドラインの中央部と路側の位置とから車両が路側からはみ出すか否かの判断が容易になる。
【0043】
請求項12に記載の発明では、車両の後退時に、車両の後方を撮影するカメラの映像がモニタに表示される。また、車幅の目安を示すガイド表示が、操舵輪が直進位置に操舵された状態における車両の予想軌跡に対して、操舵手段の操舵に連動してかつ操舵量に対応した量だけ移動するように表示される。また、車両の後方を撮影するカメラの映像に重畳させて操舵を支援するポイント表示が前記ガイド表示と共に互いに異なった色で表示される。ポイント表示は映像に関係なく常に画面の所定位置に固定された状態で表示される。そして、運転者はモニタの画面に表示された映像内で自分が後退しようとする経路の中央に、ガイド表示が位置するように操舵手段を操舵すると共に、縦列駐車の際には、ポイント表示と駐車スペースをモニタで確認しながら操舵手段を操舵する。
【0044】
請求項13に記載の発明では、車両の後退時に、車両の後方を撮影するカメラの映像がモニタに表示されるとともに、カメラの映像に重畳させて操舵を支援するポイント表示が前記ガイド表示と共に表示される。ポイント表示は映像に関係なく常に画面の所定位置に固定された状態で表示される。運転者は縦列駐車の際に、ポイント表示と駐車スペースをモニタで確認しながら操舵手段を操舵する。
そして、前記ポイント表示は、前記モニタの画面上で車幅間隔をおいて延びる一対のガイドラインと該画面上で該ガイドライン間を連結する線分とを含む固定ガイド表示の中央に表示される。
【0045】
請求項14に記載の発明では、請求項13に記載の発明において、前記固定ガイド表示に加えて、車幅の長さを有する線分と、その線分の両端から車幅の間隔を保って車両後端に向かって延びる一対のガイドラインとを有する形状のガイド表示が、操舵角に対応した所定の位置に表示される。ガイド表示は、前記線分が車両後端からほぼホイールベース長の位置に表示され、かつ両ガイドラインの中央部に相当する位置の各2点を結ぶ2本の線分が同時に表示される。従って、切り返し操作を行った操舵手段を操舵輪が真っ直ぐになる状態に戻す時期の判断がより容易になるとともに、ガイドラインの中央部と路側の位置とから車両が路側からはみ出すか否かの判断が容易になる。さらに、前記ガイド表示は車幅の長さを有する線分と、その線分の両端から車幅の間隔を保って車両後端に向かって延びる一対のガイドラインとを有する形状で、モニタの画面において前記線分が車両後端からほぼホイールベース長の位置に表示される。この場合、S字後退においてガイド表示から自車の感覚がつかみ易くなり、運転者がガイド表示を参考にして操舵手段を操舵するときの操舵量が適正な値になり易い。
【0046】
請求項15に記載の発明では、請求項13又は請求項14に記載の発明において、運転者は縦列駐車の際に、駐車スペースが車両の右後方に有るのか左後方にあるのかを判断した後、2個のポイント表示のうち適正なポイント表示を選択して目安とする。
【0048】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図1〜図13に従って説明する。図2に示すように、車両1の後部には車両1の後方を撮影するカメラ2が設けられている。カメラ2には白黒用(モノクローム用)のカメラが使用されている。カメラ2はその視界範囲の近接側端部に後部バンパー3が入り、車両後端から遠方側端部までの距離が車両1の長さより長く設定されている。
【0049】
車両1の運転席にはカメラ2の映像を表示するモニタ4が設けられている。モニタ4はナビゲーション装置の表示装置として共用され、カラータイプの液晶ディスプレイが使用されている。モニタ4は通常はナビゲーション装置の表示装置として使用され、運転席に設けられたシフトレバー5がバック走行位置に操作されるとカメラ2の映像が表示可能な状態に切り換えられるようになっている。
【0050】
車両1の各コーナー部には、各コーナー部近傍の障害物を検出する障害物検出手段としての障害物センサ6が配設されている。障害物センサ6としては例えば超音波センサからなる公知のセンサが使用され、障害物センサ6から第1の所定距離(例えば、50cm程度)と第2の所定距離(例えば、20cm程度)との範囲内に障害物が存在すると、第1の障害物検出信号が出力され、第2の所定距離以内に障害物が存在すると、第2の障害物検出信号が出力されるようになっている。
【0051】
操舵輪としての前輪7aは操舵手段としてのハンドル8の操作により操舵される。前輪の操舵角(タイヤ切れ角)αはハンドルの操舵角(ハンドル切れ角)θに所定の係数Kを掛けた値Kθとして表され、操舵角検出手段としてハンドルの操舵角θを検出する操舵角センサ9が設けられている。
【0052】
図1に示すように、操舵支援装置10は、カメラ2、モニタ4、操舵角センサ9、障害物センサ6、表示制御手段としての画像処理装置11、コントローラ12及びモニタ用コントローラ13を備えている。コントローラ12は操舵角センサ9の出力信号を入力してハンドル8の操舵角θから前輪7aの操舵角αを演算して画像処理装置11に出力する。モニタ用コントローラ13は画像処理装置11からの表示信号と、図示しないカーナビゲータの表示信号とを入力して、いずれかの表示信号に基づいて、所定の表示をモニタ4の画面に表示させる制御を行う。
【0053】
画像処理装置11は演算手段、予想軌跡補正手段及び表示データ作成手段としてのCPU(中央処理装置)14と、制御プログラムを記憶した読出し専用メモリ(ROM)よりなるプログラムメモリ15aと、CPU14における演算処理結果等を一時記憶する読出し及び書替可能なメモリ(RAM)よりなる作業用メモリ15bと、RAMよりなる画像メモリ15cと画像処理用プロセッサ16とを備えている。画像処理用プロセッサ16はカメラ2からの映像データを処理して画像メモリ15cに記憶させる。CPU14はプログラムメモリ15aに記憶されたプログラムデータに基づいて動作する。
【0054】
CPU14はコントローラ12の出力信号に基づいてその操舵角αでの後退時の車両1の予想軌跡を演算する。CPU14は演算された予想軌跡に基づいて車幅の目安を示すガイド表示17を、そのときの操舵角αに対応した所定位置にカメラ2の映像に重畳させて表示する表示データを作成する。CPU14はシフトレバー5がバック走行位置に切り換えられたか否かを検知するシフトレバーリヤ位置スイッチ(以下、リヤ位置スイッチという)18に図示しない入力インタフェースを介して接続され、リヤ位置検知信号を入力すると、前記表示データを所定周期で作成する。
【0055】
図3に示すように、ガイド表示17は、その時点の操舵角αでの後退時の車両1の予想軌跡と対応し、モニタ4の画面19において車両後端としての後部バンパー3からほぼホイールベース長の位置に、車幅の長さを有する線分17aと、その線分17aの両端から車幅の間隔を保って車両後端に向かって延びる一対のガイドライン17bとを有する。また、ガイド表示17は、両ガイドライン17bの中央部に相当する位置の各2点を結ぶ2本の線分17c,17dを有する。ガイド表示17は、操舵輪(前輪7a)が直進位置に操舵された状態における車両1の予想軌跡と対応する位置で、かつモニタ4の画面19において車両後端から所定の距離となる位置を基準位置として表示される。
【0056】
プログラムメモリ15aには、ハンドル8の操舵に拘わらず画面19の所定位置に固定表示させる固定ガイド表示20の表示データが記憶されている。固定ガイド表示20は、モニタ4の画面19上で車幅間隔をおいて延びる一対のガイドラインとしての車幅ライン20aと、画面19上で車幅ライン20aの上端を連結した線分20bとを備えている。線分20bの中央にはポイント表示21が一体に表示され、ポイント表示21は線分20bに対して垂直に車両の後方に延びる直線部21aを備えている。なお、画面19では、画面19の上側が車両の後方となる。
【0057】
ポイント表示21の位置決めは次のような計算によって行われる。図13に示すように、車両1が目標となる鎖線で示す駐車位置に配置された状態における点Eを先ず基準位置として設定する。このとき、点Eからリヤアクスル延長線までの距離aがリヤオーバーハングとなる。次にハンドルをいっぱいに切って車両1が旋回する際のリヤアクスルの中心Cnの移動軌跡が描く半径Rcの円に対する接線が点Eを通るときの中心Cnの位置を求める。そして、その接線上の前記中心Cnからオーバーハングa離れた点をDとする。そして、点Dと点Eとを結ぶ線分DEの長さを求める。
【0058】
前記半径Rcの円の中心Oと前記中心Cnとを結ぶ線分OCnと、中心Oと点Eとを通る線分OEとの成す角度をαとすると、次の関係式が成り立つ。
【0059】
【数1】
従って、前記(2)式により角度αにおけるポイント表示21の位置が決定される。但し、進入角が深くなったときのことを考慮して、線分CnEは余裕を持った値とする。この値は実験的に求めたものを使用する。
【0060】
この実施の形態では、ガイド表示17は基準位置に表示された状態では、線分17aが固定ガイド表示20の線分20bと一致し、両ガイドライン17bが固定ガイド表示20の車幅ライン20aと一致するように表示される。図3はガイド表示17が基準位置に表示された状態を表すが、ガイド表示17及び固定ガイド表示20を分かりやすくするために若干ずらした状態で表している。
【0061】
プログラムメモリ15aには、各障害物センサ6から第1及び第2の障害物検出信号が出力されているか否かを示す障害物確認表示22を表示する表示基準データが記憶されている。障害物確認表示22は車両1の外形を示す枠22aと、その四隅に設けられた障害物センサ6を示す印23a〜23dとからなる。
【0062】
CPU14は作成したガイド表示17、固定ガイド表示20及びポイント表示21の表示データを、カメラ2の映像データに重畳させて表示する表示データに変換して、図示しない出力インタフェースを介してモニタ用コントローラ13に出力する。CPU14は障害物確認表示22を画面19上のガイド表示17及び固定ガイド表示20の表示に支障にならない位置に表示させる表示データを表示モニタ用コントローラ13に出力する。表示モニタ用コントローラ13はCPU14からの表示データに基づいてモニタ4にカメラ2の映像と、ガイド表示17、固定ガイド表示20、ポイント表示21及び障害物確認表示22を同時に表示させるようにモニタ4を制御する。
【0063】
カメラ2が白黒用のため、映像データは白黒表示となるが、ガイド表示17、固定ガイド表示20、ポイント表示21及び障害物確認表示22の表示データはカラー用の表示データが使用される。そして、モニタ4の画面19には、白黒の背景映像の上にガイド表示17、固定ガイド表示20、ポイント表示21及び障害物確認表示22がカラーで表示される。ガイド表示17と固定ガイド表示20とは原則として異なった色で表示され、ポイント表示21は固定ガイド表示20と同じ色で表示されるが、ガイド表示17のうちの線分17c,17dに挟まれたガイドライン17bの部分は固定ガイド表示20と同じ色に表示される。この実施の形態では、ガイド表示17は線分17c,17dに挟まれた部分を除いて緑色で表示され、ガイド表示17の線分17c,17dに挟まれた部分、ポイント表示21及び固定ガイド表示20は黄色で表示される。
【0064】
CPU14はいずれの障害物センサ6からも障害物検出信号が出力されていない状態では、前記表示基準データに基づいて各障害物センサ6を示す印23a〜23dを同じ状態で表示させる表示データをモニタ用コントローラ13に出力する。CPU14は障害物センサ6から第1又は第2の障害物検出信号を入力すると、対応する障害物センサ6を示す印を、障害物検出信号を出力していない障害物センサ6に対応する印と区別できる表示態様にする表示データをモニタ用コントローラ13出力するようになっている。例えば、第1の障害物検出信号を入力した時は橙色の点灯表示とし、第2の障害物検出信号を入力した時は赤の点滅表示とする。
【0065】
CPU14は対応する操舵角αにおける車両1の両サイドの予想軌跡を極座標で表示するとともに、その2本の予想軌跡の後部バンパー3からほぼホイールベース長の位置の角度座標が同じ2点を結んだ線を、ガイド表示17の線分17aを表すものとし、前記2点より後部バンパー3側の予想軌跡の部分をガイドライン17bとする。CPU14は前記予想軌跡を車両1の進行方向に所定の割合で圧縮するように楕円化して表示する。そして、ガイド表示17の表示データを作成する際は、前記予想軌跡の中心となる基準点を所定距離、車両1の後退側へずらした状態、即ち車両1の進行方向の後退側に平行移動させた状態で画面19上に表示するように表示データを設定する。
【0066】
次に前記のように構成された操舵支援装置10の作用を説明する。
リヤ位置スイッチ18からシフトレバー5がバック走行位置に切り換えられた状態にあることを示す検知信号が入力されている状態では、CPU14は所定周期(例えば33msec )毎に、図4のフローチャートの手順でガイド表示17の表示データを作成する。先ず、ステップS1でコントローラ12から操舵角αのデータ信号を読み込み、ステップS2でその操舵角αでの車両1の左右両側の予想軌跡を演算する。
【0067】
図5に示すように、車幅をW、ホイールベース長をL、後輪7bの中心間距離をTrとすると、車両1のリヤアクスル中央の旋回半径Rc、ボデー外側のリヤアクスル中心線上の旋回半径Ro、ボデー内側のリヤアクスル中心線上の旋回半径Riは操舵角αを含む次式で表される。
【0068】
Rc=(L/tan α)−(Tr/2)…(3)
Ro=Rc+W/2=(L/tan α)−(Tr/2)+W/2…(4)
Ri=Rc−W/2=(L/tan α)−(Tr/2)−W/2…(5)
CPU14は上式に基づいて予想軌跡を演算した後、ステップS3に進んでガイド表示17の線分17a,17c,17dを決定し、各線分17a,17c,17dの両端の位置の座標を設定する。
【0069】
次にCPU14はステップS4で座標を極座標化し、ステップS5で楕円化する。図6に示すように、極座標で原点を前記旋回半径Rcの中心とした場合、リヤアクスル中心延長線上の旋回半径Rcとのなす角がβの直線と半径がボデー外側半径Roである円の交点Pの座標P(Ro,β)及び前記直線と半径がボデー内側半径Riである円の交点Qの座標Q(Ri,β)と、x−y座標の値x,yとの関係は、次のようになる。
【0070】
x=Ro×cos β、y=Ro×sin β
x=Ri×cos β、y=Ri×sin β
また、点P,Qを楕円化した場合における対応する点R,Sとx−y座標の値X,Yとの関係は、次のようになる。
【0071】
X=Ro×cos β、Y=b×sin β
X=Ri×cos β、Y=(b−W)×sin β
但し、b=Ro×(楕円の短軸/楕円の長軸)
CPU14は前記各関係式を利用してガイド表示17の極座標化及び楕円化を行う。楕円化に伴う短軸と長軸の比率(圧縮割合)は、予め試験運転で実験的に求めた値をデータベースとしてプログラムメモリ15aに記憶しておいたものを使用する。
【0072】
次にCPU14はステップS6に進み、楕円化されたガイド表示17をその基準位置をモニタ14の画面19上で車両1の後退側に所定量ずらして、即ち予想軌跡を車両の進行方向の後退側に平行移動させて、表示する表示データを設定する。後退側へのずらし量は例えば、予め試験運転で実験的に求めた値をデータベースとしてプログラムメモリ15aに記憶させたものを使用する。
【0073】
次にCPU14は前記のようにして設定されたガイド表示17、固定ガイド表示20、ポイント表示21及び障害物確認表示22をカメラ2の映像データに重畳してモニタ4に表示するためのデータを作成してモニタ用コントローラ13に出力する。そして、モニタ4の画面19に車両後方の映像を背景として、ガイド表示17、固定ガイド表示20、ポイント表示21及び障害物確認表示22が表示される。
【0074】
次にS字カーブでの後退時における前記操舵支援装置10の作用を説明する。S字カーブで後退するため、シフトレバー5をバック走行位置に切り換えると、モニタ4の画面19に車両後方の映像を背景として、ガイド表示17、固定ガイド表示20、ポイント表示21及び障害物確認表示22が表示される。例えば、図7に示すようなS字カーブにおいて、車両1を鎖線で示す位置から、道路24に沿って図7の上方へ後退させる場合、運転者は画面19に表示されたガイド表示17を操舵用のガイドとして利用し、固定ガイド表示20及びポイント表示22は無視する。
【0075】
図8は図7におけるAの状態、即ち車両進行方向に向かって左カーブの部分を走行するときの一状態に対応する画面19の表示を示し、図9(a)は図7におけるBの状態、即ち車両進行方向に向かって右カーブの部分を走行するときの一状態に対応する画面19の表示を示す。固定ガイド表示20及びポイント表示21は操舵角αが零からいずれの方向に変化しても常に一定の位置に表示され、ガイド表示17が操舵角αに対応した位置に表示される。
【0076】
そして、運転者はガイド表示17の前端の線分17aが道路24の中央に位置するようにハンドル8を操舵する。ガイド表示17は現在の操舵角αにおける予想軌跡に基づいて作成されたものであり、ガイド表示17が道路24の中央に位置する状態であればその位置に車両が到達するまでは道路からはみ出すことがない。道路24の曲率は一定ではなく、操舵角αが一定であれば車両1の進行に伴ってガイド表示17は道路24からずれる方向へ移動するように画面19に表示される。従って、線分17aが道路24の中央に位置するようにハンドル8を操舵すると、結果として操舵輪(前輪7a)の操舵角αが道路24の曲率に対応した適正な値に調整され、車両1が円滑に道路24に沿って後退する。
【0077】
ガイド表示17の表示データを図9(b)に示すように、ガイドライン17bが湾曲する場合でも、ガイド表示17の各線分17a,17c,17を平行に表示すると、道路24のカーブの曲率に対してガイド表示17が同じ曲率であっても異なる印象を与え、運転者が不自然さを強く感じる。しかし、極座標化して同じ角度の位置を結ぶ線分17a,17c,17dの表示とすることにより、不自然さがなくなる。
【0078】
次に縦列駐車を行う場合の操舵支援装置10の作用を図10及び図11に従って説明する。縦列駐車を行う場合は、運転者はシフトレバー5をバック走行位置に操作し、最初は目視で方向と後方の安全及び駐車中の車Cの後端と自車の間隔がほぼ50cm程度であることを確認する。そして、図10(a)に示すように、画面19に駐車スペース25の一部が表示された状態で後退を開始する。このとき運転者はポイント表示21を画面19上の駐車スペース25のコーナ26に合わせるようにハンドル8を操舵しながら車両1をゆっくり後退させる。画面19上のポイント表示21が図10(b)の状態を経て図10(c)に示すように、ポイント表示21とコーナ26とが重なったら、ハンドル8を縦列駐車開始時と逆方向に一杯にきる(図11(a)の状態)。そして、ハンドル8を一杯に切ったままコーナ26が見えなくなるまで後退する(図11(b)の状態)。車両1が後退を続け、路側側の車幅ライン20aが路側と平行になったらハンドル8を直進状態に戻すとともに車両1を停止させる(図11(c)の状態)。以上で縦列駐車が完了する。
【0079】
なお、後退途中でガイドライン17bの両線分17c,17dで挟まれた部分17eが路側より内側で路側に近接していることを確認する。部分17eが路側からはみ出したまま後退を続けると車両1も路側をはみ出してしまう。従って、後退途中で部分17eが路側からはみ出したときは、縦列駐車をやり直す。
【0080】
駐車スペースが狭く、縦列駐車の開始位置と車両1の駐車スペース25への進入角度が適正な範囲から外れた場合は、ポイント表示21がコーナ26と重なった状態からハンドル8を一杯に切って後退する途中で車両1の前側コーナが車Cと当接する状態となる。しかし、そのような場合は、車両1が車Cと当接する前に障害物センサ6が車Cを検出し、該当する障害物センサ6から第1の障害物検出信号及び第2の障害物検出信号が順次CPU14に入力される。そして、画面19の障害物確認表示22の該当する印23aが、第1の障害物検出信号あるいは第2の障害物検出信号に対応した態様の表示に変化する。従って、運転者は画面19を見ているだけで車両1の前側コーナが車Cに接近していることを確認できる。運転者は印23aが第1の障害物検出信号に対応した表示の場合は後退を続け、印23aが第2の障害物検出信号に対応した表示になったときは車両1を停止させ、そのまま後退を続けても車Cと干渉せずに後退できるか否かを目視で確認するか、あるいは、縦列駐車を進入角度を変えてやり直す。
【0081】
次に並列駐車及び方向転換を行う場合の操舵支援装置10の作用を図12に従って説明する。運転者は入れたい駐車スペース25の近辺まで目視により車両1を寄せる。次にモニタ4の画面19を見ながら、図12(a)に示すように、ガイド表示17の線分17aが駐車スペース25の中央を通るようにハンドル8を操舵しながら後退させる。駐車スペース25の後端まで後退した時点で車両1を停止させる。以上で並列駐車が完了する。方向転換の場合は、並列駐車の操作により後退が完了した時点で、シフトレバーを前進走行位置に切り換えて、前進を開始する。
【0082】
並列駐車の際、操舵の指標としてガイド表示17だけを使用する代わりに、操舵の指標としてガイド表示17と固定ガイド表示20又はポイント表示21の直線部21aを利用してもよい。この場合は、運転者は入れたい駐車スペース25の近辺まで目視により車両1を寄せた状態でハンドル8を操舵して、図12(a)に示すように、ガイド表示17が駐車スペース25内に余裕を持った状態で表示される状態とする。そして、その状態にハンドル8を保持して後退を開始し、図12(b)に示すように、固定ガイド表示20が駐車スペース25の両側と平行になった時点又はポイント表示21の直線部21aが駐車スペース25の後端と直交する方向に向かって延びる状態になった時点で、図12(c)に示すようにハンドル8を直進状態に戻す。そして、図12(d)に示すようにその状態で駐車スペース25の後端まで後退する。
この実施の形態では以下の効果を有する。
【0083】
(1) 車幅の目安を示すガイド表示17が、操舵輪(前輪7a)が直進位置に操舵された状態における車両1の予想軌跡と対応する位置でかつモニタ4の画面19において車両後端から所定の距離となる位置を基準位置とし、操舵手段(ハンドル8)の操舵に連動してかつ操舵量に対応した量、前記基準位置から移動するように表示される。従って、車両1のS字後退時や並列駐車の際に、ガイド表示17が目的とする経路の中央となるようにハンドル8を操舵することにより、容易に車両1を所望の位置へ後退移動させることができる。
【0084】
(2) CPU14は操舵角センサ9の検出値に基づいて、その操舵角αでの後退時の車両1の予想軌跡を演算し、その予想軌跡に基づいて車幅の目安を示すガイド表示17を、そのときの操舵角αに対応した所定位置にカメラ2の映像に重畳させて表示するための表示データを作成する。従って、予め種々の操舵角αに対応した表示データをデータベースとして記憶しておく必要がない。
【0085】
(3) CPU14は前記予想軌跡を極座標で表示するとともに、ガイド表示17は極座標で示した角度座標が同じ位置での車幅を示す線分17a,17c,17dを有する。従って、カーブの道路に沿ってガイド表示17が表示されたときに、各線分17a,17c,17dを画面19上で平行かつ水平に表示するのに比較して不自然さがなく、運転者に違和感を与えない。
【0086】
(4) ガイド表示17を極座標化しただけで、映像データと重畳させて表示した場合は、映像の道路24の曲率とガイド表示17の曲率が合った状態に操舵角αを調整してもカーブが長く続く場合は、次第に後輪7bがカーブの内側に切れ込む状態となり、路側から逸脱する。しかし、CPU14は前記予想軌跡を楕円化して表示するため、運転者がハンドル8を切るタイミングが遅くなり、結果として後輪7bが内側に切れ込むのが抑制される。
【0087】
(5) ガイド表示17は、予想軌跡の中心となる基準点を後退側へずらした状態でモニタ4の画面19に表示されるため、基準点をずらさずに表示した場合に比較して、少ない操舵量でガイド表示17が車幅方向に同じ量移動される。その結果、同じ曲率の道路での操舵量が少なくなり、後輪7bが内側に切れ込むのが抑制される。
【0088】
(6) ガイド表示17を楕円化するとともに予想軌跡の中心となる基準点を後退側へずらした状態で表示するため、後輪が内側に切れ込むのを抑制する効果がより大きくなる。
【0089】
(7) ガイド表示17はモニタ4の画面19において車両後端からほぼホイールベース長Lの位置に、車幅の長さを有する線分17aと、その線分17aの両端から車幅の間隔を保って車両後端に向かって延びる一対のガイドライン17bとを有する。その結果、S字後退においてガイド表示17から自車の感覚がつかみ易くなり、運転者がガイド表示17を参考にして操舵手段を操舵するときの操舵量が適正な値になり易い。また、一対のガイドライン17bと車両中央部に相当する位置で結ぶ線分17c,17dが存在するため自車の感覚がよりつかみ易くなる。
【0090】
(8) モニタ4の画面19の所定位置に固定された状態で表示されるポイント表示21を設けたので、縦列駐車時にポイント表示21を利用することにより、縦列駐車を簡単に行うことができる。
【0091】
(9) 車両1の前側コーナー部近傍の障害物を検出する障害物センサ6を備え、該障害物センサ6の障害物検出信号に基づいて障害物の存在をモニタ4の画面19に表示するようにした。従って、縦列駐車のための後退時の進入角度が悪い場合でも、自車の前側コーナー部が停止中の車両と接触する前に画面19に障害物の存在が表示されることにより、車両の接触を回避できる。
【0092】
車両1のコーナー部に障害物センサ6を設け、障害物の存在を音あるいはインストルメントパネルに設けられた表示部に表示する車両も従来存在するが、音の場合は回りの環境によって聞き取り難い場合がある。また、表示部の場合はモニタ4の画面19と別の位置のため、モニタ4の画面19に集中している状態では気が付かない。それに対して画面19の一部に表示された障害物確認表示22の表示態様が変化する場合は、運転者は直ちに障害物の存在状況を認識できる。
【0093】
(10) ポイント表示21は、モニタ4の画面19上で車幅間隔をおいて延びる一対の車幅ライン20aと、画面19上で車幅ライン20aの上端を連結した線分20bとを備えた固定ガイド表示20の線分20bの中央に一体に表示され、線分20bに対して垂直に車両の後方に延びる直線部21aを備えている。従って、運転者は自車の方向及び車幅と駐車スペースの関係を容易に把握でき、縦列駐車の際に特に操舵がし易くなる。
【0094】
(11) 固定ガイド表示20とガイド表示17が同時に画面19に表示されるため、縦列駐車の際に切り返し操作を行ったハンドルを操舵輪が真っ直ぐになる状態に戻す時期の判断がより容易になる。また、ガイドライン17bの中央部と路側の位置とから車両1が路側からはみ出すか否かの判断が容易になる。
【0095】
(12) モニタ4を操舵支援装置10の専用とせずに、ナビゲーション装置の表示装置と共用するため、低コストとなる。ナビゲーション装置はバックのときには不要のため、共用してもなんら支障はない。
【0096】
(13) カメラ2の映像をモノクローム(白黒)表示とし、ガイド表示17、固定ガイド表示20及びポイント表示21をカラー表示としたので、全ての表示をカラー表示とする場合より低コストで、操舵の際の指標となるガイド表示17等を目立つ状態で表示することができる。また、CPU14などの処理に必要なデータ容量が少なくて済む。
【0097】
(14) カメラ2の視界範囲の遠方側端部の車両後端からの距離を車両1の長さより長く設定したので、モニタ4の画面19には道路のガイド表示17より後方に延びる部分も表示される。従って、S字後退の際に、ガイド表示17が道路の中央に位置する状態で道路に沿って移動するようにハンドル8を操舵すると、車両1が道路の所望の位置を後退している実感が得られる。
【0098】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態を図14〜図17に従って説明する。この実施の形態ではハンドルの操作状態、即ちハンドルが操作中か否か、また操作中であれば操作速度(操舵速度)を考慮して、予想軌跡を演算する点が前記実施の形態と大きく異なっている。
【0099】
一般に、車両が道路のコーナーを道路に沿って進行する場合、ハンドルの操作を、図15に示すように、ハンドルの操舵角がコーナーの入口においてはゼロで、コーナーを進行するのに伴って徐々に大きくなり、その後、適切な値に一時保持された後、徐々に減少し、コーナーの出口でゼロに戻るように行うと、車両は適切にコーナーを進行できる。即ち、操舵輪の操舵角が道路の曲率に対応した状態となるまで操舵角を徐々に増大させ、操舵角が道路の曲率に対応する状態になると所定時間(距離)その値に保持し、その後、再び操舵角を徐々に減少させる必要がある。図15はコーナーを適切に走行する際における、ハンドルの操舵角と車両の走行距離との関係を示すグラフである。また、図16は、図15に示す関係となるようにハンドルを操作して道路24のコーナーを後退(矢印の方に移動)した時の各車輪及びリヤアクスル中央の軌跡を示す。L1は内側後輪の軌跡、L2は外側後輪の軌跡、L3は内側前輪の軌跡、L4は外側前輪の軌跡、L5はリヤアクスル中央の軌跡をそれぞれ示す。
【0100】
車両の進行方向が90度変更されるコーナーに限らず、S字カーブやU字カーブ等他の曲線路においても、車両が一定の曲率部分を有する曲線状の道路に沿って移動するように運転する場合は、操舵角が一定に保持される状態と、時間(走行距離)とともに変化する状態が存在する。
【0101】
ハンドルを切った状態で固定した場合の車両の走行軌跡は、ハンドル切り角(操舵角)に対応した操舵輪の操舵角とホイールベース等の車両寸法から容易に算出できる旋回円とほぼ一致する。これに対し、一定の速さでハンドルを切りながら走行する車両の軌跡は、ハンドルを固定して走行する場合に算出される旋回円より内側に入るように進行していく。
【0102】
車両の進行を道路(路側)に沿うようにハンドル操作をガイドするシステムでは、車両の進行方向の道路中心又は路側にモニタ上に表示されるガイドラインを沿わせるようにハンドルを操作する。しかし、ハンドルが連続して操作されている状態で、現時点の操舵角に対応する予想軌跡円をそのままガイドラインとして利用すると、図17に破線(点線)で示すように、ガイドラインは道路から外側に外れるように表示される。その結果、運転者は予想軌跡を道路に合わせるようにハンドルをさらに操作するため、ハンドル操作量が必要操作量より多めになり、車両を正しく道路に沿わせて運転することが難しい。
【0103】
また、図17の二点鎖線はハンドルが連続操作されたときの軌跡を示す。操舵輪の操舵角が道路の曲率に対応する値より大きな値になっても操作を継続すると、車両が道路の内側に切れ込むが、車両の近傍では実線で示す予想軌跡円の一部を、車両の進行方向に対して所定の割合で圧縮した楕円の一部と見なすことができる。
【0104】
前記実施の形態では、現時点における操舵輪(前輪7a)の操舵角に対応する予想軌跡を、車両の進行方向に対して所定の割合で圧縮するように楕円化した補正後の予想軌跡としてガイド表示17に使用する。従って、ハンドルが操作中か否かの判断を行わなくても、ガイド表示17は結果的にハンドルが一定速度で操作される際の適正な位置に表示される。
【0105】
しかし、道路のカーブ部分での曲率一定の部分が長い場合には、途中でハンドルを所定の角度に切った状態で固定して走行するのが適した区間が比較的長く存在する。その場合、ハンドルが一定速度で操作された状態に適したガイド表示だけでは運転時に違和感を与える場合がある。
【0106】
この実施の形態ではハンドルの操作状態を考慮して、予想軌跡の補正を行う点が前記実施の形態と異なり、機械的な構成は前記実施の形態と同じで、プログラムメモリ15aに記憶されている制御プログラムの一部と、CPU14の処理動作の一部が前記実施の形態と異なっている。前記実施の形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。プログラムメモリ15aには制御プログラムとして図14に示すフローチャートに対応するものが記憶されている。
【0107】
CPU14は所定周期で読み込む操舵角αの値のうち、最新のものと前回読み込んだものとを作業用メモリ15bの所定領域に記憶させ、新たに操舵角αを読み込む毎に順次更新する。そして、CPU14は前回の操舵角αb と今回の操舵角αa との差から前輪(操舵輪)7aの操舵速度を演算する。そして、操舵速度に所定の係数を乗じて得た値(操舵角補正値)を現在の操舵角に加えた値を、仮の現在の操舵角βと見なして補正後の予想軌跡を演算する。所定の係数は予め試験運転で実験的に求めてプログラムメモリ15aに記憶しておいたものを使用する。
【0108】
次にCPU14によるガイド表示17の表示データの作成について説明する。シフトレバー5がバック走行位置に切り換えられた状態にあることを示す検知信号が入力されている状態では、CPU14は所定周期(例えば33msec )毎に、図14のフローチャートの手順でガイド表示17の表示データを作成する。
【0109】
先ず、CPU14はステップS10でコントローラ12から操舵角αのデータ信号を読み込み、作業用メモリ15bに記憶されている操舵角データを更新する。次にステップS11でCPU14は作業用メモリ15bに2周期分の操舵角データαa ,αb が存在するか否かを判断し、存在すればステップS12へ進み、存在しなければステップS10に戻る。CPU14はステップS12で、今回の操舵角データαa と前回の操舵角データαb との差から操舵速度を演算した後、ステップS13で補正後の予想軌跡を演算する。
【0110】
CPU14はステップS13で、前記操舵速度に所定の係数を乗じて得た操舵角補正値を現在の操舵角に加えた値を、仮の現在の操舵角βと見なして、前記実施の形態の(3)〜(5)式に基づいて補正後の予想軌跡を演算する。操舵速度がゼロでなければ、仮の現在の操舵角βが現在の操舵角より大きくなり、対応する予想軌跡円の各旋回半径Rc,Ro,Riが現在の操舵角の予想軌跡円に対する値より小さくなる。操舵速度がゼロのときは、仮の現在の操舵角βは現在の操舵角と同じになり、予想軌跡円は一致する。
【0111】
次にCPU14はステップS14に進んでガイド表示17の線分17a,17c,17dを決定し、各線分17a,17c,17dの両端の位置の座標を設定し、ステップS15で座標を極座標化する。次にCPU14はステップS16でガイド表示17をカメラ2の映像データに重畳してモニタ4に表示するためのデータを作成してモニタ用コントローラ13に出力する。そして、モニタ用コントローラ13の表示制御により、モニタ4の画面19に車両後方の映像を背景として、ガイド表示17が表示される。
【0112】
従って、この実施の形態では前記実施の形態の(1)〜(3)、(7)〜(14)の効果の他に次の効果を有する。
(15) 現時点の操舵速度を考慮して予想軌跡が補正されるため、ハンドル8の操作中か否かに拘わらずガイド表示17を適正な位置に表示できる。
【0113】
(16) 操舵速度を考慮して予想軌跡を演算する際、操舵速度に所定の係数を乗じて得た値を現在の操舵角に加えた値を、仮の現在の操舵角βと見なして、その操舵角βに基づいて予想軌跡を演算する。従って、ハンドル8を固定した状態では、仮の現在の操舵角βは現在の操舵角と同じになって、予想軌跡は一致するため、ハンドル8を固定した場合にも、正確に走行経路をガイドすることができる。
【0114】
(17) 所定周期でサンプリングされる2周期分の操舵角データの差により操舵速度を求めるため、操舵速度センサを新たに設ける必要はない。
(18) 操舵速度に乗じて操舵角補正値を求めるための所定の係数が予め試験運転で求められるため、適正な係数を得ることが比較的簡単にできる。
【0115】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態を説明する。この実施の形態では現時点の操舵速度の他に車両の走行速度を考慮して予想軌跡を演算する点が第2の実施の形態と異なっている。
【0116】
一般に、車両の後退運転を行う場合は、車両の走行速度即ち車速がほぼ一定の状態で後退させるため、前記両実施の形態では車両1がある所定の車速で後退すると仮定して、予想軌跡の補正時に必要な係数を試験運転で実験的に求めていた。しかし、運転者がその車速から大きくずれた車速で運転を行うと、ガイド表示17の位置が適正な状態からずれた位置に表示される。
【0117】
また、一定の操舵速度で操舵しながら走行する車両の走行速度、即ち車速が変化した場合、車両の走行経路は車速が変化しなかった場合の走行経路に対して変化する。例えば、車速が増大した場合には、旋回軌跡は外側に膨れた形となり、車速が減少した場合には、旋回軌跡は縮んだ形となる。
【0118】
前記実施の形態では車速を考慮せずに走行軌跡の補正が行われているため、操舵速度が一定の場合には補正量は一定となり、ガイド表示17は車速が変化しても変化しない。従って、車両1は徐々に道路の外側にずれていく。この実施の形態はそのような不都合を解消するためのものである。
【0119】
操舵支援装置10は前記実施の形態の構成の他に車速センサを備えている。また、プログラムメモリ15aに記憶されている制御プログラムの一部と、CPU14の処理動作の一部が前記第2の実施の形態と異なっている。プログラムメモリ15aには制御プログラムとして図18に示すフローチャートに対応するものが記憶されている。第2の実施の形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0120】
次にCPU14によるガイド表示17の表示データの作成について説明する。図18のフローチャートは、ステップS10mにおけるデータの読み込みと、ステップS13mにおける予想軌跡の演算処理とが、図14のフローチャートのステップS10,S13の処理と異なり、その他の各ステップにおける処理は図14のフローチャートの各ステップと同じである。
【0121】
先ず、CPU14はステップS10mでコントローラ12から操舵角αのデータ信号を読み込み、作業用メモリ15bに記憶されている操舵角データを更新する。また、車速センサから車速データvを読み込む。次にステップS11でCPU14は作業用メモリ15bに2周期分の操舵角データαa ,αb が存在するか否かを判断し、存在すればステップS12へ進み、存在しなければステップS10mに戻る。CPU14はステップS12で、今回の操舵角データαa と前回の操舵角データαb との差から操舵速度Vθを演算した後、ステップS13mで補正後の予想軌跡を演算する。
【0122】
CPU14はステップS13mで、前記操舵速度Vθ及び車速vから次式により単位走行距離当たりの操舵量Cを演算する。
C=Vθ/v
そして、この値Cに所定の係数を乗じて得た操舵角補正値を現在の操舵角に加えた値を、仮の現在の操舵角βと見なして、前記実施の形態の(3)〜(5)式に基づいて補正後の予想軌跡を演算する。所定の係数は予め試験運転で実験的に求めてプログラムメモリ15aに記憶しておいたものを使用する。
【0123】
操舵速度Vθに対応して現在の操舵角に加える値(操舵角補正値)が変化し、操舵速度Vθがゼロの場合、即ちハンドル8が固定の状態では操舵角補正値もゼロになり、仮の現在の操舵角βは現在の操舵角と同じになり、予想軌跡円は一致する。
【0124】
以下、第2の実施の形態と同様に、CPU14はステップS14、ステップS15及びステップS16を順次実行する。そして、そして、モニタ用コントローラ13の表示制御により、モニタ4の画面19に車両後方の映像を背景として、ガイド表示17が表示される。
【0125】
この実施の形態では(18)を除いて第2の実施の形態と同じ効果を有する他に、次の効果を有する。
(19) 現時点の操舵速度Vθの他に車速vを考慮して予想軌跡が補正されるため、ハンドル8の操作中か否かに拘わらずガイド表示17をより適正な位置に表示でき、車速が変化する場合にも正確なガイダンスを行うことができる。
【0126】
(20) 単位走行距離当たりの操舵量Cに乗じて操舵角補正値を求めるための所定の係数が予め試験運転で求められるため、適正な係数を得ることが比較的簡単にできる。
【0127】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態を図19及び図20に従って説明する。この実施の形態では縦列駐車の際に使用するポイント表示の構成が第1の実施の形態と異なっており、その他の構成は第1の実施の形態と同じであり、同一部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0128】
図20(a)〜(c)に示すように、ポイント表示は左後方縦列駐車用のポイント表示27a及び右後方縦列駐車用のポイント表示27bの2種類ある。ポイント表示27aはモニタ4の画面19上で、車両1の右側面の延長線上の車両後端(後部バンパー3)から所定距離離れた位置に、ポイント表示27bは車両1の左側面の延長線上の車両後端(後部バンパー3)から所定距離離れた位置にそれぞれ表示されるように設けられている。各ポイント表示27a,27bから画面19上で後方へ延びる補助線28が車両1の側面の延長線上に位置するように表示される。また、各ポイント表示27a,27bから車両後端まで延びる車幅線29が補助線28と一直線状となるように表示される。ポイント表示27aは駐車スペースが左後方に有る場合に使用し、ポイント表示27bは駐車スペースが右後方にある場合に使用するためのものである。
【0129】
次に左後方縦列駐車用のポイント表示27aを例に、ポイント表示27aの位置決め方法を説明する。ポイント表示27aの位置決めは次のような計算によって行われる。図19に示すように、車両1が目標となる鎖線で示す駐車位置に配置された状態における駐車スペースの車両1の左後端と対応する角の点Eを先ず基準位置として設定する。このとき、点Eからリヤアクスル延長線までの距離aがリヤオーバーハングとなる。次にハンドルをいっぱいに切って車両1が旋回する際に、リヤアクスルの延長線と車両1の右側面との交点の移動軌跡が描く半径(Rc−W/2)の円に対する接線が点Eを通るときの接点Rp(以下、単に点Rpという)を求める。そして、点Rpと点Eとを結ぶ線分と、点Eを通り路側に平行な直線との成す角度をγとすると、角度γが車両1の当該駐車スペースへの適正な進入角度となる。また、点Eと前記旋回時の中心Oとを結ぶ線分と、点Rpと中心Oとを結ぶ線分との成す角度をαとすると、次の関係式が成り立つ。但し、Rcは中心Oからリヤアクスル中心までの距離、Wは車幅である。
【0130】
【数2】
従って、線分RpE上の点Rpからオーバーハングa離れた点Reから点Eまでの距離DAは次式となる。
【0131】
DA=(Rc−W/2)・tan α−a …(7)
従って、前記(7)式により進入角度γにおけるポイント表示27aの位置が決定される。但し、進入角が深くなったときのことを考慮して、線分RpEは余裕を持った値とする。そして、この値は実験的に求めたものを使用する。
【0132】
右後方縦列駐車用のポイント表示27bの位置決めの場合は、駐車スペース25の車両1の右後端と対応する角の点を基準位置として設定し、前記と同様な手順でポイント表示27bの位置が決定される。
【0133】
次に前記のポイント表示27aを利用して左後方の縦列駐車スペースに縦列駐車を行う場合の作用を説明する。縦列駐車を行う場合、運転者はシフトレバー5をバック走行位置に操作し、画面19に駐車スペース25の一部が表示された状態で後退を開始する。図20(b)に示すように、ポイント表示27aから延びる補助線28上に画面19上の駐車スペース25の目標地点(この場合はコーナ26)が位置する状態になるようにハンドル8を操舵しながら車両1をゆっくり後退させる。画面19上のコーナ26が補助線28上に位置する状態になったら、ハンドル8を真っ直ぐに戻し、そのままゆっくり後退する。そして、図20(c)に示すように、ポイント表示27aとコーナ26とが重なったら、ハンドル8を縦列駐車開始時と逆方向に一杯にきる。そして、ハンドル8を一杯に切ったままコーナ26が見えなくなるまで後退する。車両1が後退を続け、車幅線29が路側と平行になったらハンドル8を直進状態に戻すとともに車両1を停止させる。以上で縦列駐車が完了する。
【0134】
右後方の駐車スペース25に縦列駐車を行う場合は、ポイント表示27bを使用して同様な操作を行うことにより、所定の駐車スペース25への縦列駐車が完了する。
【0135】
この実施の形態では第1の実施の形態のポイント表示21を使用する縦列駐車に比較して次のような効果を有する。
(21) ポイント表示21が車幅の中央に位置するように設けられた場合に比較して、車両1が駐車スペース25に進入する際の車両1の進入方向と路側との成す角度(進入角度γ)が大きくなるので、車両1が駐車スペースに進入し易くなる。
【0136】
(22) ポイント表示21が車幅の中央に位置するように設けられた場合に比較して、ハンドル8をいっぱいに切ったままで後退できる距離が長くなるので、運転者がモニタ4の画面19から目を離して車両1の周りを見る時間が増える。
【0137】
(第5の実施の形態)
次に第5の実施の形態を図21及び図22に従って説明する。この実施の形態では縦列駐車時の目標地点を、駐車スペースのコーナ26ではなく、駐車スペースの路側側の中央部としてハンドル操作を行うのに適したポイント表示となっている点が第4の実施の形態と異なっている。また、画面19上での左後方縦列駐車用のポイント表示27a及び右後方縦列駐車用のポイント表示27bの位置が、第4の実施の形態と逆になっている。即ち、ポイント表示27aはモニタ4の画面19上で、車両1の左側面の延長線上の車両後端(後部バンパー3)から所定距離離れた位置に、ポイント表示27bは車両1の右側面の延長線上の車両後端(後部バンパー3)から所定距離離れた位置にそれぞれ表示されるように設けられている。
【0138】
次に左後方縦列駐車用のポイント表示27aを例に、ポイント表示27aの位置決め方法を説明する。ポイント表示27aの位置決めは次のような計算によって行われる。図22に示すように、駐車スペース25の路側側の中央と対応する点Eを先ず基準位置として設定する。次に所定の縦列駐車位置に停止した状態からハンドルをいっぱいに切って車両1が旋回する際に、リヤアクスルの延長線と車両1の左側面との交点の移動軌跡が描く半径(Rc+W/2)の円に対する接線が点Eを通るときの接点Lp(以下、単に点Lpという)を求める。そして、点Lpと点Eとを結ぶ線分と、点Eを通り路側に平行な直線との成す角度をγとすると、角度γが車両の進入角度となる。
【0139】
点E、中心O及び点Lpが作る三角形は直角三角形となる。また、鎖線で示す縦列駐車完了位置にある車両1のリアアクスルと中心Oを通る直線と、点Eを通り路側と平行な直線との交点をQとすると、点E、中心O及び点Qが作る三角形も直角三角形となる。線分OQと線分OLpはいずれも長さが等しいため、両三角形は合同となり、線分LpEと線分EQとは長さが等しくなる。駐車スペースの長さをLsとすると、Ls/2が線分EQの長さとオーバーハングaとの和に等しくなる。従って、線分LpE上の点Lpからオーバーハングa離れた点Leから点Eまでの距離DAは(Ls/2−2a)となる。
【0140】
縦列駐車時のポイント表示27a,27bと補助線28の使用方法は前記第4の実施の形態と同じで、目標地点を駐車スペースのコーナではなく、路側側の中央とする点だけが異なる。そして、運転者は駐車スペースの路側の中央に位置するタイル等を目印として補助線28及びポイント表示27a,27bを所定位置に合わせるように操作を行う。
【0141】
この実施の形態では第4の実施の形態の場合より適正な進入角度γが大きくなるので、特殊な車両停止位置からでも縦列駐車スペースに進入できる。
(第6の実施の形態)
次に第6の実施の形態を図23及び図24に従って説明する。この実施の形態ではポイント表示27a,27bの位置が車両1の左右の側面の延長線上ではなく、車幅を示す車幅線29と平行なライン上に表示される点が前記第4及び第5の実施の形態と異なっている。即ち、ポイント表示27a,27bの補助線28は車幅線29と所定量ずれた状態で平行に表示される。補助線28の基端の位置、即ちポイント表示27a,27bの位置は、目標地点と車両1の適正な進入角度γによって異なる位置に設定される。
【0142】
例えば、図23(a)に示すように、目標地点Eを駐車スペースの路側寄りのコーナとし、補助線28を車幅線29より所定量Sだけ外側に設定する場合は、ポイント表示27aの位置は次のようにして計算される。路側と平行な直線に対する角度が進入角度γと等しい状態で目標地点Eを通る直線と、リヤアクスルの延長線とが直交するときの交点をPとし、線分PE上の点Pからオーバーハングa離れた点をPeとすると、次式が成り立つ。
【0143】
【数3】
そして、画面19上でのポイント表示27aの位置は、図24(a)に示すように、後部バンパー3からの距離が線分PeEの長さに相当する位置で、車幅線29の近傍となる。
【0144】
また、図23(b)に示すように、目標地点Eを駐車スペースの路側と反対側のコーナとし、進入角度γをより大きくした場合のポイント表示27aの位置は次のようにして計算される。路側と平行な直線に対する角度が進入角度γと等しい状態で目標地点Eを通る直線と、リヤアクスルの延長線とが直交するときの交点をPとし、線分PE上の点Pからオーバーハングa離れた点をPeとすると、次式が成り立つ。
【0145】
【数4】
そして、画面19上でのポイント表示27aの位置は、図24(b)に示すように、後部バンパー3からの距離が線分PeEの長さに相当する位置で、車幅線29からSに相当する距離だけ離れた位置になる。
【0146】
縦列駐車時のポイント表示27a,27bと補助線28の使用方法は前記第4及び第5の実施の形態と同じで、目標地点がそれぞれ異なる。
即ち、ポイント表示27a,27bの位置は、縦列駐車時の目標地点と車両1の進入角度によって決まり、ポイント表示27a,27bの位置によって運転者がハンドルをいっぱいに切る時期が異なるようになる。
なお、実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
【0147】
○ 第4〜第6の実施の形態のように、左後方縦列駐車用のポイント表示27a及び右後方縦列駐車用のポイント表示27bの2種類のポイント表示を使用する構成において、縦列駐車時の駐車スペースが左後方に有るか右後方に有るかの指示を入力する入力手段としてのスイッチを設ける。そして、そのスイッチの指示に対応してポイント表示27a,27bのいずれかを選択的に画面に表示する構成ととしてもよい。この場合、2個のポイント表示27a,27bが同時に表示される構成に比較して、運転がし易くなる。また、指示に対応した一方のポイント表示を表示する代わりに、当該ポイント表示を点滅状態で表示する構成としてもよい。この場合も同じ表示状態で2個のポイント表示が同時に表示される構成に比較して、運転がし易くなる。
【0148】
○ ガイド表示17の表示データを、操舵角αに基づいてCPU14が演算した予想軌跡に基づいて、極座標表示、楕円化、基準点の移動などの演算処理で設定する代わりに、ガイド表示17の適正な表示位置と操舵角αとの関係を予め実験により求めたデータベースをプログラムメモリ15aに記憶させておく。そして、CPU14が操舵角αに対応したガイド表示17の表示データをデータベースから読み出して使用する。この場合、表示データの演算処理の手間が不要になってCPU14の処理量が少なくてすみ、ガイド表示17の表示が速くなる。
【0149】
○ ガイド表示17はガイドライン17bやガイドライン17bの途中を結ぶ線分17c,17dを省略して、車幅を示す線分17aのみで構成してもよい。この場合、自車の車幅と道路の関係を把握し易いガイド表示のための表示データの作成処理が簡単になる。また、ガイド表示は線分17aに限らず、車幅と所望の経路の境界との位置関係を画面19上で示すものであればよく、線分17aの両端に相当する位置を表示する2個の点や、車両の外形を示す枠をガイド表示として設けてもよい。
【0150】
○ ガイド表示17の線分17aを画面19上での車幅とほぼ同じ長さに表示するかわりに、車幅より所定の余裕をもたせた長さで表示する。この場合、後輪7bが道路からはみ出し難くなる。
【0151】
○ 第1の実施の形態において、予想軌跡円を楕円化する際の圧縮割合や予想軌跡を平行移動させる量を車速に対応して変更してもよい。例えば、後退時の車速を複数の範囲に区画し、各範囲毎に適正な圧縮割合や平行移動させる量を予め試験運転によって求め、プログラムメモリ15aに記憶させる。そして、車速センサからの車速データにより現時点の車速に対応する圧縮割合や平行移動させる量を使用して楕円化及び平行移動を行う。この場合、ガイド表示17をより適正な位置に表示できる。
【0152】
○ 後退時にガイド表示17、固定ガイド表示20及びポイント表示21の全てを表示する代わりに、S字後退、縦列駐車及び並列駐車に必要な表示のみを画面19に表示する構成としてもよい。例えば、S字後退、縦列駐車及び並列駐車のスイッチを設け、後退時に運転者が選択して操作したスイッチに対応した表示を行うようにする。また、障害物確認表示22を縦列駐車時にのみ画面19に表示するようにしてもよい。これらの場合、不要な表示をする必要がない。
【0153】
○ ガイド表示17の線分17aと固定ガイド表示20の車幅ライン20aの上端とポイント表示21とを結ぶ線分20bとは必ずしも一致しない。そして、ハンドルをいっぱい切ったときの旋回半径や、リヤオーバーハングaの値によって、図25(a)に示すように、ポイント表示21が両車幅ライン20aの上端を結ぶ線分より上側になったり、図25(b)に示すように、ポイント表示21が両車幅ライン20aの上端を結ぶ線分より下側になる場合もある。
【0154】
○ ガイド表示17及びポイント表示21のいずれか一方のみを表示するようにしてもよい。ガイド表示17のみを設けた場合は、S字後退及び並列駐車が容易になり、ポイント表示21のみを設けた場合は、縦列駐車が容易になる。
【0155】
○ ポイント表示21は車両1の中央と対応する位置を画面19上に表示するものであればよく、直線部21aを省略したり単なる点でもよい。
○ 第1の実施の形態において、CPU14はガイド表示17の表示データを作成する際、楕円化及び基準点をずらす処理の両方を行う代わりに、楕円化及び基準点をずらす処理のいずれか一方のみを行うようにしてもよい。この場合、CPU14の処理が少なくて済む。
【0156】
○ 第2及び第3の実施の形態において、操舵角補正値を求めるための所定の係数を試験運転で求める代わりに計算で求めてもよい。
○ モニタ4をナビゲーション装置の表示装置と共用せずに操舵支援装置10専用のものを設けてもよい。この場合、ナビゲーション装置を装備していない車両であっても簡単に装備できる。
【0157】
○ 障害物センサ6は必ずしも車両1の各コーナー部に設ける必要はなく、前側の両コーナー部にのみ設けてもよい。縦列駐車時に障害物センサ6が必要になるのは駐車スペース側の前側コーナー部であるため、後側のコーナー部の障害物センサ6はなくてもよい。また、障害物確認表示22をなくしてもよい。
【0158】
○ 障害物確認表示22は通常表示をせずに、障害物センサ6から検出信号が出力された際に表示し、さらに第1又は第2の障害物検出信号の区別が可能な表示を行うようにしてもよい。この場合、障害物確認表示22は、ガイド表示を認知することへの妨げになりにくい。
【0159】
○ 第3の実施の形態において、予想軌跡を演算するために使用される車速は、車速センサから得られるものでなくてもよい。例えば、車両制御用ECUから車速信号をCPU14に入力されるようにしてもよい。
前記各実施の形態から把握できる請求項記載以外の技術的思想(発明)について、以下にその効果とともに記載する。
【0160】
(1) カメラの映像を白黒表示とするとともに、ガイド表示をカラーで表示する。この場合、カメラが白黒用でも操舵の指標となるガイド表示を目立つ状態で表示できる構成を安価に製造できる。
【0161】
(2) 前記予想軌跡の圧縮割合を車速に対応して適正な値に変更する。この場合、ガイド表示をより適正な位置に表示できる。
【0162】
(3) 前記予想軌跡を平行移動させる量を車速に対応して適正な値に変更する。この場合、ガイド表示をより適正な位置に表示できる。
【0163】
(4) 前記ガイド表示は前記モニタの画面において車幅の長さを有する線分を備えている。この場合、自車の車幅と道路の関係を把握し易いガイド表示のための表示データの作成処理が簡単になる。
【0164】
(5) ガイド表示は基準状態において固定ガイド表示と重なった状態で表示される。この場合、操舵輪が車両の直進状態に操舵されたことの確認が簡単になる。
【0165】
(6) 車両の後方を撮影するカメラの映像を運転席に設けたモニタに表示し、該モニタの画面に車幅の目安を示すガイド表示を操舵輪が直進位置に操舵された状態における車両の予想軌跡と対応する位置を基準位置とし、操舵輪の操舵量に対応して移動するように前記映像に重畳して表示し、該表示ガイドを所望の経路のほぼ中央に位置するように操舵手段を操舵して後退を行う車両の後退方法。この場合、ガイド表示を画面の道路の中央に位置するように操舵手段を操舵する簡単な方法で所望の経路に沿って車両を後退させることができる。
【0166】
(7) 縦列駐車スペースの左右の別を指示する指示手段を設け、該指示手段の指示に対応したポイント表示を選択的に画面に表示する。この場合、画面には1個のポイント表示が表示されるため、運転がし易くなる。
【0167】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1〜請求項7に記載の発明によれば、車両のS字後退時や並列駐車の際に、ガイド表示が目的とする経路の中央となるように操舵手段を操舵することにより、容易に車両を所望の位置へ後退移動させることができる。
【0168】
また、予め種々の操舵角に対応した表示データをデータベースとして記憶しておく必要がない。そして、現時点での操舵角での予想軌跡を予想軌跡補正手段によって補正処理した補正後の予想軌跡に基づいて表示データが作成されるため、ハンドルの切り過ぎが抑制される。
【0169】
請求項1に記載の発明によれば、現時点の操舵速度を考慮して予想軌跡が補正されるため、操舵手段の操舵中か否かに拘わらずガイド表示を適正な位置に表示できる。
【0170】
請求項2に記載の発明によれば、現時点の操舵速度の他に車両の走行速度を考慮して予想軌跡が補正されるため、操舵手段の操舵中か否かに拘わらずガイド表示をより適正な位置に表示できる。
【0171】
請求項3に記載の発明によれば、ガイド表示の表示データを作成する際に、予想軌跡を楕円化して表示するため、運転者が操舵手段を操舵するタイミングが遅くなり、結果として後輪が内側に切れ込むのが抑制され、所望の経路にそって移動するように操舵するのが容易になる。
【0172】
請求項4に記載の発明によれば、少ない操舵量でガイド表示が車幅方向に同じ量移動され、基準点をずらさずに表示した場合に比較して、同じ曲率の道路での操舵量が少なくなり、後輪が内側に切れ込むのが抑制される。
【0173】
請求項5に記載の発明によれば、ガイド表示の線分を画面上で水平に表示するのに比較して不自然さがなく、運転者に違和感を与え難い。
請求項6に記載の発明によれば、S字後退においてガイド表示から自車の感覚がつかみ易くなり、運転者がガイド表示を参考にして操舵手段を操舵するときの操舵量が適正な値になり易い。また、ガイド表示が固定ガイド表示より左右のどちらに表示されているかを確認することで、現在での操舵手段位置がそのセンター位置から左右どちらに切っているかということについての目安にもなる。
【0174】
請求項7に記載の発明によれば、さらに縦列駐車時にポイント表示を利用することにより、縦列駐車を簡単に行うことができる。
請求項8又は請求項9に記載の発明によれば、車両のS字後退時や並列駐車の際に、ガイド表示が目的とする経路の中央となるように操舵手段を操舵することにより、容易に車両を所望の位置へ後退移動させることができる。また、予め種々の操舵角に対応した表示データをデータベースとして記憶しておく必要がない。そして、現時点での操舵角での予想軌跡を予想軌跡補正手段によって補正処理した補正後の予想軌跡に基づいて表示データが作成されるため、操舵手段の切り過ぎが抑制される。そして、ガイド表示の線分を画面上で水平に表示するのに比較して不自然さがなく、運転者に違和感を与え難い。
【0175】
請求項9に記載の発明によれば、さらに縦列駐車時にポイント表示を利用することにより、縦列駐車を簡単に行うことができる。
請求項10及び請求項11に記載の発明によれば、車両のS字後退時や並列駐車の際に、ガイド表示が目的とする経路の中央となるように操舵手段を操舵することにより、容易に車両を所望の位置へ後退移動させることができる。また、予め種々の操舵角に対応した表示データをデータベースとして記憶しておく必要がない。そして、現時点での操舵角での予想軌跡を予想軌跡補正手段によって補正処理した補正後の予想軌跡に基づいて表示データが作成されるため、操舵手段の切り過ぎが抑制される。そして、S字後退においてガイド表示から自車の感覚がつかみ易くなり、運転者がガイド表示を参考にして操舵手段を操舵するときの操舵量が適正な値になり易い。また、ガイド表示が固定ガイド表示より左右のどちらに表示されているかを確認することで、現在での操舵手段位置がそのセンター位置から左右どちらに切っているかということについての目安にもなる。さらに縦列駐車時にポイント表示を利用することにより、縦列駐車を簡単に行うことができる。
【0176】
請求項11に記載の発明によれば、縦列駐車の際に切り返し操作を行った操舵手段を操舵輪が真っ直ぐになる状態に戻す時期の判断がより容易になる。また、車両が路側からはみ出すか否かの判断が容易になる。
【0177】
請求項12に記載の発明によれば、車両のS字後退時や並列駐車の際に、ガイド表示が目的とする経路の中央となるように操舵手段を操舵することにより、容易に車両を所望の位置へ後退移動させることができる。また、縦列駐車時にポイント表示を利用することにより、縦列駐車を簡単に行うことができる。しかも、ガイド表示とポイント表示の識別が容易となる。
【0178】
請求項13〜請求項15に記載の発明によれば、縦列駐車時にポイント表示を利用することにより、縦列駐車を簡単に行うことができると共に、運転者は自車の方向及び車幅と駐車スペースの関係を容易に把握でき、縦列駐車の際に特に操舵がし易くなる。
【0179】
請求項14に記載の発明によれば、固定ガイド表示とガイド表示が同時に画面に表示されるため、縦列駐車の際に切り返し操作を行った操舵手段を操舵輪が真っ直ぐになる状態に戻す時期の判断がより容易になる。また、車両が路側からはみ出すか否かの判断が容易になる。
【0180】
請求項15に記載の発明によれば、ポイント表示が車幅の中央に位置するように設けられた場合に比較して、車両が縦列駐車スペースに進入する際の車両の進入方向と路側との成す角度が大きくなるので、車両が縦列駐車スペースに進入し易くなる。また、ポイント表示が車幅の中央に位置するように設けられた場合に比較して、操舵手段をいっぱいに切ったままで後退できる距離が長くなるので、運転者がモニタの画面から目を離して車両の周りを見る時間が増える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態の操舵支援装置の構成を示すブロック図。
【図2】 操舵支援装置を搭載した車両の模式側面図。
【図3】 モニタの画面の模式図。
【図4】 ガイド表示用の表示データの作成手順を示すフローチャート。
【図5】 操舵輪の操舵角と旋回半径の関係を示す模式図。
【図6】 極座標表示と楕円化の関係を示す模式図。
【図7】 S字カーブの後退時の車両とガイド表示の関係を示す模式図。
【図8】 図7のAの状態に対応するモニタの画面の表示を示す模式図。
【図9】 (a)は図7のBの状態に対応する画面の表示を示す模式図、(b)はガイド表示の線分が平行に表示された場合の画面の表示を示す模式図。
【図10】 縦列駐車時の車両の位置とその位置でのガイド表示画面を示す模式図。
【図11】 縦列駐車時の車両の位置とその位置でのガイド表示画面を示す模式図。
【図12】 並列駐車時の画面の表示を示す模式図。
【図13】 ポイント表示位置の求め方を示す模式図。
【図14】 第2の実施の形態のフローチャート。
【図15】 コーナーを走行する際の操舵角の変化を示すグラフ。
【図16】 コーナーを適正に走行する際の各車輪の軌跡を示す模式図。
【図17】 ハンドルの操舵状態と車両の走行軌跡の関係を示す模式図。
【図18】 第3の実施の形態のフローチャート。
【図19】 第4の実施の形態のポイント表示位置の求め方を示す模式図。
【図20】 縦列駐車時の作用を説明するガイド表示画面の模式図。
【図21】 第5の実施の形態のポイント表示の表示状態を示す模式図。
【図22】 ポイント表示位置の求め方を示す模式図。
【図23】 (a),(b)はそれぞれ第6の実施の形態の目標地点が異なる場合のポイント表示位置の求め方を示す模式図。
【図24】 画面上でのポイント表示の表示状態を示す模式図。
【図25】 別の実施の形態のポイント表示の画面上の位置を示す模式図。
【図26】 従来装置の画面の表示を示す模式図。
【符号の説明】
1…車両、2…カメラ、3…車両後端としての後部バンパー、4…モニタ、6…障害物検出手段としての障害物センサ、7a…操舵輪としての前輪、8…操舵手段としてのハンドル、9…操舵角検出手段としての操舵角センサ、10…操舵支援装置、11…表示制御手段としての画像処理装置、14…演算手段,予想軌跡補正手段及び表示データ作成手段としてのCPU、17…ガイド表示、17a…線分、17b…ガイドライン、19…画面、20…固定ガイド表示、20a…ガイドラインとしての車幅ライン、20b…線分、21a…直線部、21,27a,27b…ポイント表示、28…補助線。
Claims (15)
- 車両の後方を撮影するカメラと、その映像を表示するモニタとを備え、後退時に前記映像とともに操舵を支援するための表示をモニタに同時に表示する車両の後退時の操舵支援装置において、
前記表示として車幅の目安を示すガイド表示を、操舵輪が直進位置に操舵された状態における車両の予想軌跡に対して、操舵手段の操舵に連動してかつ操舵量に対応した量だけ移動するように表示する表示制御手段を設け、前記表示制御手段は操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出手段の検出値に基づいて、その操舵角での後退時の車両の予想軌跡を演算する演算手段と、前記予想軌跡に基づいて車幅の目安を示すガイド表示を、そのときの操舵角に対応した所定位置にカメラの映像に重畳させて表示するための表示データを作成する表示データ作成手段とを備え、前記表示データ作成手段は、現時点の操舵速度に基づき求めた操舵角補正値を現在の操舵角に加え、この加えて得た値を仮の現在の操舵角と見なして補正後の予想軌跡を演算することで、前記演算手段にて演算された予想軌跡を補正処理する予想軌跡補正手段を備え、補正後の予想軌跡に基づいて前記表示データを作成するようにした車両の後退時の操舵支援装置。 - 車両の後方を撮影するカメラと、その映像を表示するモニタとを備え、後退時に前記映像とともに操舵を支援するための表示をモニタに同時に表示する車両の後退時の操舵支援装置において、
前記表示として車幅の目安を示すガイド表示を、操舵輪が直進位置に操舵された状態における車両の予想軌跡に対して、操舵手段の操舵に連動してかつ操舵量に対応した量だけ移動するように表示する表示制御手段を設け、前記表示制御手段は操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出手段の検出値に基づいて、その操舵角での後退時の車両の予想軌跡を演算する演算手段と、前記予想軌跡に基づいて車幅の目安を示すガイド表示を、そのときの操舵角に対応した所定位置にカメラの映像に重畳させて表示するための表示データを作成する表示データ作成手段とを備え、前記表示データ作成手段は、現時点の操舵速度を現時点の車両の走行速度で除算して得た値に基づき求めた操舵角補正値を現在の操舵角に加え、この加えて得た値を仮の現在の操舵角と見なして補正後の予想軌跡を演算することで、前記演算手段にて演算された予想軌跡を補正処理する予想軌跡補正手段を備え、補正後の予想軌跡に基づいて前記表示データを作成するようにした車両の後退時の操舵支援装置。 - 車両の後方を撮影するカメラと、その映像を表示するモニタとを備え、後退時に前記映像とともに操舵を支援するための表示をモニタに同時に表示する車両の後退時の操舵支援装置において、
前記表示として車幅の目安を示すガイド表示を、操舵輪が直進位置に操舵された状態における車両の予想軌跡に対して、操舵手段の操舵に連動してかつ操舵量に対応した量だけ移動するように表示する表示制御手段を設け、前記表示制御手段は操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出手段の検出値に基づいて、その操舵角での後退時の車両の予想軌跡を演算する演算手段と、前記予想軌跡に基づいて車幅の目安を示すガイド表示を、そのときの操舵角に対応した所定位置にカメラの映像に重畳させて表示するための表示データを作成する表示データ作成手段とを備え、前記表示データ作成手段は、前記操舵手段が一定速度で操舵される際の適正な位置にガイド表示が表示されるように、前記演算手段にて演算された予想軌跡を車両の進行方向に対して圧縮するように楕円化して補正後の予想軌跡とすることで、前記演算手段にて演算された予想軌跡を補正処理する予想軌跡補正手段を備え、補正後の予想軌跡に基づいて前記表示データを作成するようにした車両の後退時の操舵支援装置。 - 車両の後方を撮影するカメラと、その映像を表示するモニタとを備え、後退時に前記映像とともに操舵を支援するための表示をモニタに同時に表示する車両の後退時の操舵支援装置において、
前記表示として車幅の目安を示すガイド表示を、操舵輪が直進位置に操舵された状態における車両の予想軌跡に対して、操舵手段の操舵に連動してかつ操舵量に対応した量だけ移動するように表示する表示制御手段を設け、前記表示制御手段は操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出手段の検出値に基づいて、その操舵角での後退時の車両の予想軌跡を演算する演算手段と、前記予想軌跡に基づいて車幅の目安を示すガイド表示を、そのときの操舵角に対応した所定位置にカメラの映像に重畳させて表示するための表示データを作成する表示データ作成手段とを備え、前記表示データ作成手段は、予想軌跡を車両の進行方向の後退側に平行移動させたものを補正後の予想軌跡とすることで、前記演算手段にて演算された予想軌跡を補正処理する予想軌跡補正手段を備え、補正後の予想軌跡に基づいて前記表示データを作成するようにした車両の後退時の操舵支援装置。 - 前記表示データ作成手段は前記予想軌跡を極座標で表示するとともに、前記ガイド表示は極座標で示した角度座標が同じ位置での車幅を示す線分を有する請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の車両の後退時の操舵支援装置。
- 前記ガイド表示は前記モニタの画面において車両後端からほぼホイールベース長の位置に、車幅の長さを有する線分と、その線分の両端から車幅の間隔を保って車両後端に向かって延びる一対のガイドラインとを有する請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の車両の後退時の操舵支援装置。
- 前記表示として、前記モニタの画面の所定位置に固定された状態で表示されるポイント表示を、さらに設けた請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の車両の後退時の操舵支援装置。
- 車両の後方を撮影するカメラと、その映像を表示するモニタとを備え、後退時に前記映像とともに操舵を支援するための表示をモニタに同時に表示する車両の後退時の操舵支援装置において、
前記表示として車幅の目安を示すガイド表示を、操舵輪が直進位置に操舵された状態における車両の予想軌跡に対して、操舵手段の操舵に連動してかつ操舵量に対応した量だけ移動するように表示する表示制御手段を設け、前記表示制御手段は操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出手段の検出値に基づいて、その操舵角での後退時の車両の予想軌跡を演算する演算手段と、前記予想軌跡に基づいて車幅の目安を示すガイド表示を、そのときの操舵角に対応した所定位置にカメラの映像に重畳させて表示するための表示データを作成する表示データ作成手段とを備え、前記表示データ作成手段は前記予想軌跡を極座標で表示するとともに、前記ガイド表示は極座標で示した角度座標が同じ位置での車幅を示す線分を有する車両の後退時の操舵支援装置。 - 前記表示として、前記モニタの画面の所定位置に固定された状態で表示されるポイント表示を、さらに設けた請求項8に記載の車両の後退時の操舵支援装置。
- 車両の後方を撮影するカメラと、その映像を表示するモニタとを備え、後退時に前記映像とともに操舵を支援するための表示をモニタに同時に表示する車両の後退時の操舵支援装置において、
前記表示として車幅の目安を示すガイド表示を、操舵輪が直進位置に操舵された状態における車両の予想軌跡に対して、操舵手段の操舵に連動してかつ操舵量に対応した量だけ移動するように表示する表示制御手段を設け、前記表示制御手段は操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出手段の検出値に基づいて、その操舵角での後退時の車両の予想軌跡を演算する演算手段と、前記予想軌跡に基づいて車幅の目安を示すガイド表示を、そのときの操舵角に対応した所定位置にカメラの映像に重畳させて表示するための表示データを作成する表示データ作成手段とを備え、前記ガイド表示は前記モニタの画面において車両後端からほぼホイールベース長の位置に、車幅の長さを有する線分と、その線分の両端から車幅の間隔を保って車両後端に向かって延びる一対のガイドラインとを有し、
前記表示として、前記モニタの画面の所定位置に固定された状態で表示されるポイント表示を、さらに設け、前記ポイント表示は、後退時の縦列駐車を行う場合に、ハンドルをいっぱいに切るタイミングの目安に利用されるものであり、前記タイミングは、ポイント表示が前記画面上に表示された駐車スペースの目標地点に合わさった時である車両の後退時の操舵支援装置。 - 前記ガイド表示は、前記両ガイドラインの車両の中央部に相当する位置の2点を結ぶ2本の線分を有する請求項10に記載の車両の後退時の操舵支援装置。
- 車両の後方を撮影するカメラと、その映像を表示するモニタとを備え、後退時に前記映像とともに操舵を支援するための表示をモニタに同時に表示する車両の後退時の操舵支援装置において、
前記表示として、前記モニタの画面の所定位置に固定された状態で表示されるポイント表示と車幅の目安を示すガイド表示とを設け、前記ポイント表示と前記ガイド表示は互いに異なった色で表示されるようにし、前記ガイド表示を、操舵輪が直進位置に操舵された状態における車両の予想軌跡に対して、操舵手段の操舵に連動してかつ操舵量に対応した量だけ移動するように表示する表示制御手段を設け、
前記ポイント表示は、後退時の縦列駐車を行う場合に、ハンドルをいっぱいに切るタイミングの目安に利用されるものであり、前記タイミングは、ポイント表示が前記画面上に表示された駐車スペースの目標地点に合わさった時である車両の後退時の操舵支援装置。 - 車両の後方を撮影するカメラと、その映像を表示するモニタとを備え、後退時に前記映像とともに操舵を支援するための表示をモニタに同時に表示する車両の後退時の操舵支援装置において、
前記モニタの画面の所定位置に固定された状態で表示されるポイント表示を設け、前記ポイント表示は、前記モニタの画面上で車幅間隔をおいて延びる一対のガイドラインと該画面上で該ガイドライン間を連結する線分とを備えた固定ガイド表示の中央に表示され、車両が後退時の縦列駐車を行う場合に、ハンドルをいっぱいに切るタイミングの目安に利用されるものであり、前記タイミングは、ポイント表示が前記画面上に表示された駐車スペースの目標地点に合わさった時である車両の後退時の操舵支援装置。 - 前記モニタの画面において車両後端からほぼホイールベース長の位置に、車幅の長さを有する線分と、その線分の両端から車幅の間隔を保って車両後端に向かって延びる一対のガイドラインとを有して、操舵角検出手段にて検出された操舵輪の操舵角における後退時の車両の予想軌跡に基づいて車幅の目安を示すガイド表示と、該ガイド表示の両ガイドラインの車両の中央部に相当する位置の各2点を結ぶ2本の線分とを、前記固定ガイド表示に加えて同時に表示する請求項13に記載の車両の後退時の操舵支援装置。
- 前記ポイント表示は、右後方縦列駐車用及び左後方縦列駐車用の2種類あり、各ポイント表示が前記モニタの画面上で車両の側面の延長線上の車両後端から所定距離離れた位置に表示され、各ポイント表示から前記画面上で後方へ延びる補助線が車両の側面の延長線上に位置するように表示される請求項13又は請求項14に記載の車両の後退時の操舵支援装置。
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