JP3686441B2 - 一液型裏込め添加剤および該添加剤を用いた工事方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、下水道管等を布設する推進(押管)工法もしくはトンネル掘削工事等におけるシールド工法に使用する一液型裏込め添加剤、およびそれを用いた工事方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の推進工法では、地山を掘削しながら推進管を押込み、その推進管と地山の布設空隙部分(以下、「テールボイド」という。)に一時的に滑剤を注入して推進管と地山の摩擦を減らし、目的の到達坑まで油圧ジャッキを用いて推進を行っている。このときの滑剤の注入を一次注入といい、基本的には到達坑に達するまで注入される。到達した後は布設管を保護し、テールボイドによる地盤沈下により建造物等へ悪影響が及ばないように、強度発現性を有する裏込め材をテールボイドに注入する。このときの裏込め材の注入を二次注入という。
またシールド工法では、シールド掘進機により掘削した地山の覆工方法としてセグメントを組み立て、地山とセグメントのテールボイドに裏込め材を注入することにより、セグメントの固定や地山の緩みおよび漏水を防止し、地表面沈下を防いでいる。
【0003】
推進工法に使用する裏込め材もシールド工法に使用する裏込め材も、基本的には同じ性質が求められる。すなわち、1)圧送可能な流動性を有すること、2)目的とする空隙部分に充填できること、3)充填された裏込め材が硬化するまでに材料分離や遊離水(以下、「ブリージング」という。)が生じないこと、4)早期に均一で地山相当の強度が得られること、5)硬化後の体積の減少が少ないこと、6)無公害で安価なこと等である。これらのうち、「ブリージング」が発生しないことが最も重要である。
【0004】
これまでに使用されてきた裏込め材の材料としては、大きく分けて水,硬化発現材および骨材や添加剤がある。硬化発現材としてはセメント系,スラグ等が挙げられる。骨材や添加剤としては、ミキサー等で一度に調合を行う一液型裏込め材の場合、ベントナイト,陶土,珪藻土,クレーサンド,山粘土,砂,石灰石等の骨材,石灰,石膏,無機塩類等のゲル化促進剤,気泡剤,アルミニウム粉末等のエア発生剤、ポリ塩化アルミニウム,硫酸アルミニウム等の可塑剤、パルプや植物繊維を主成分とした繊維系添加剤等が挙げられる。
また、一液型裏込め材を注入主材のA液とし、ゲル化剤または可塑剤をB液として、両液を注入孔付近で合流混合させて間隙に充填する二液性裏込め材では、ゲル化剤または可塑剤として水ガラス,アルミニウム塩系等が用いられている。
【0005】
裏込め材として最も重要な性質の一つであるブリージングの発生を極力防ぐために、従来の裏込め材では、陶土,山粘土,珪藻土等の骨材を多量に使用して裏込めスラリー中の固形分濃度を高めたり、ベントナイト,石膏,石灰および無機塩類を添加してセメントとの凝集や反応を生じさせてゲル化を起したり、水ガラス等の可塑剤を二液性裏込め材のB液として使用したりしている。しかし、これらの中には、ブリージングを防止することが困難なものがある。とりわけ、ミキサーに裏込め材を残したまま追加作液する追い練りの場合、セメント中のカルシウムイオン等の塩類によって添加剤の機能が阻害され、多くの裏込め材でブリージングの量が多くなる傾向にある。
また、仮にブリージングの問題が解決したとしても、多くの裏込め材は数種類の添加剤を現場で一つ一つ添加するために作液が煩雑になったり、添加量が多く必要となったりする。このため、作業性が悪く、また作液に伴う装置や裏込め材を送入するポンプ等の設備が多数必要となり、裏込め添加剤の保管場所や機材の設置場所の確保に苦労することがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来の裏込め材は、ブリージングの発生をなくすために陶土や珪藻土等の骨材の量を多量に添加したり、添加剤を複数使用していたため、作液が複雑になったり、設備を多く必要としていた。
また、ブリージングを完全に抑えることが困難な上に、さらに追い練りすることによってブリージングの発生が多くなるため、作液する毎にミキサーを洗浄したり、二次的に裏込め材を注入し直したりして対処してきた。
本発明の目的は、水,セメントに特定の組成をもつ添加剤を少量加えるだけで、流動性に優れかつブリージングのない高品質な裏込め材を簡単に作液できる、一液型裏込め添加剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、1)添加量が少量である、2)添加剤の種類が1種類(一液型)であり、作液が簡単である、3)追い練りしてもブリージングが発生しない、といった性質をもつ裏込め添加剤について鋭意研究を重ねてきた結果、本発明を完成するに至った。
請求項1および請求項2に記載の推進工法もしくはシールド工法用一液型裏込め添加剤は、多糖類系高分子100重量部と、メタ珪酸ナトリウム、オルト珪酸ナトリウム、二珪酸ナトリウム、四珪酸ナトリウムの群から選ばれた少くとも1種20〜200重量部と、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムの1種もしくは2種20〜200重量部と、分散剤0〜10重量部を含有することを特徴とする。
請求項3および請求項4に記載の推進工法もしくはシールド工法用一液型裏込め添加剤は、多糖類系高分子100重量部と、メタ珪酸ナトリウム、オルト珪酸ナトリウム、二珪酸ナトリウム、四珪酸ナトリウムの群から選ばれた少くとも1種20〜200重量部と、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムの1種もしくは2種20〜200重量部と、分散剤0〜10重量部と、無機系もしくは有機系の増量剤400重量部以下を含有することを特徴とする。
請求項5に記載の推進工法もしくはシールド工法用一液型裏込め添加剤は、請求項1〜請求項4に記載の添加剤であって、無機系もしくは有機系の助剤を含有することを特徴とする。
請求項6に記載の推進工事もしくはシールド工事の方法は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の一液型裏込め添加剤を水およびセメントに添加して裏込め材を作液する工程を含むことを特徴とする。
請求項7に記載の推進工事もしくはシールド工事の方法は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の一液型裏込め添加剤中の個々の材料を現場で水およびセメントに添加して裏込め材を作液する工程を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明で用いられる多糖類系高分子としては、ヘテログリカン,ペントグリカン,ガラクタン,フリクタン,セルロース,デンプン,マンナン,ポリウロン酸またはこれらのアルカリ塩のうち1種類もしくは2種類以上が用いられる。これらは一般的に、コンニャク粉,グアーガム,アラビアゴム,ペクチン,アルギン酸,トラガントガム,ローカストビーンガム,メチルセルロース,カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,デキストリン,キサンタンガム等の名称で知られている。中でもヘテログリカン類の使用が好ましく、特にヘテログリカン類のグアーガムが最適である。
多糖類系高分子の添加量は、水100重量部に対して0.5〜5重量部であり、好ましくは0.8〜2.8重量部である。0.5重量部未満であると遊離水を発生しやすく、5重量部を超えると増粘作用が大きくなり、圧送に支障を来すようになると同時に硬化時間が極めて遅くなる。
【0009】
珪酸塩物質としては、メタ珪酸ナトリウム,オルト珪酸ナトリウム,二珪酸ナトリウム,四珪酸ナトリウム等の珪酸アルカリ塩類のうち1種類もしくは2種類以上を用いることができ、特にメタ珪酸ナトリウムが好ましい。
珪酸塩物質の配合割合は、多糖類系高分子100重量部に対して20〜200重量部、好ましくは60〜150重量部である。
また、水100重量部に対しての添加量は、0.15〜8重量部であり、好ましくは0.4〜4.0重量部である。0.15重量部未満であると遊離水を発生しやすく、かつ強度の発現が遅く地山以上の強度にまで至らない。8重量部を超えると増粘作用が大きくなる。
【0010】
前記、炭酸ナトリウム,炭酸水素ナトリウムは、1種類もしくは2種類が用いられる。中でも炭酸ナトリウムの使用が好ましい。
上記炭酸ナトリウム,炭酸水素ナトリウムの配合割合は、多糖類系高分子100重量部に対して20〜200重量部、好ましくは60〜150重量部である。
また、水100重量部に対しての添加量は、0.15〜8重量部、好ましくは0.4〜4重量部である。0.15重量部未満であると遊離水を発生しやすく、8重量部を超えると急結作用に伴う増粘作用が大きくなる。
【0011】
分散剤としては、リグニンスルフォン酸塩系,オキシカルボン酸塩およびその誘導体系,アルキルベンゼンスルフォン酸塩系,アルキルアリルスルフォン酸塩系,ナフタリンスルフォン酸塩系,メラミンフォルマリン樹脂スルフォン酸塩系,芳香族多環縮合物スルフォン酸塩系,ポリオキシエチレンアルキルエーテル系および高級多価アルコール系のうち1種類もしくは2種類以上が用いられる。
分散剤の配合割合は、多糖類系高分子100重量部に対して0〜10重量部である。また水100重量部に対しての添加量は、0〜1.5重量部であり、1.5重量部を超えるとブリージングが多くなる。
上記配合割合は、個々の材料を現場で配合する場合のみでなく、予め各材料を配合して一液型裏込め添加剤として使用する場合も同様である。
【0012】
推進工法の工事現場が小さく、圧送距離が短い時などの場合は、分散剤の使用を必要としないが、シールド工事のように大規模な工事の場合、圧送距離が長くなるとポンプ圧の増加を引き起こすので、ブリージングを生じさせない程度に分散剤を添加し、流動性を改善する必要がある。
【0013】
請求項3,4の増量剤としては、ベントナイト,陶土,珪藻土,クレーサンド,シリカフューム,山粘土,砂,石灰石等の無機系増量剤、およびパルプ、パルプかすや植物繊維を主成分にした繊維系等の有機系増量剤のうち1種類もしくは2種類以上が用いられる。中でもベントナイト,珪藻土,クレーサンド等の使用が目詰め効果、ブリージング調整の点からも好ましい。
予め本発明の一液型裏込め添加剤に混合する場合の増量剤の配合割合は、多糖類系高分子100重量部に対して400重量部以下、好ましくは200重量部以下である。
また現場で増量剤を多糖類系高分子等とは別個に添加する場合は、水100重量部に対して50重量部以下、好ましくは25重量部以下で使用する。50重量部を超えると作液時の添加量が多くなり、少量で作液できる長所がなくなる。
増量剤は、目詰め材,充填剤およびブリージング調整剤として用いられる。
【0014】
地層内に裏込め材が逃げる逸泥が起こりやすい砂層や砂礫層の現場に使用することが予めわかっている場合もしくは思いがけずに予期せぬ逸泥等が生じた場合等には、請求項1〜請求項4に記載の裏込め添加剤に対して、さらに、工事現場の状況に応じて、製造時予めもしくは現場で、無機系もしくは有機系の助剤を添加して作液することができる。
【0015】
これらの助剤は、一般的に逸泥防止剤と呼ばれているものであり、地層中へ裏込め材が逃げるのを防ぐために使用される。また、工事現場で思いがけなく逸泥が生じた時に、裏込め添加剤と併用して使用することもできる。
無機系の助剤としては、スフェアライト,雲母片,アスベストファイバー,発泡シリカ,蛭石および軽量骨材等が,有機系の助剤としては、綿実,クルミ殻,パルプ加工品および吸水性樹脂等が挙げられる。
これらの材料を逸泥の規模に応じて1種類もしくは2種類以上の組み合わせで使用する。その際、請求項1〜請求項4に記載の裏込め添加剤の機能を損なわない範囲で使用する。
【0016】
本発明の一液型裏込め添加剤は、作液に際し上記の添加材料を混合し一体にして使用することはもちろん、個々の添加材料を現場で添加して作液することもできる。しかし、作業性や品質管理等の面から、予め混合ブレンドしたものを使用するのが最も好ましい。
【0017】
主材となる硬化発現剤としては、ポルトランド普通セメント,中庸熱ポルトランドセメント,早強セメント,耐硫酸塩セメント,高炉セメント,フライアッシュセメント,シリカセメント等のセメント類およびスラグ−石灰系を用いることができる。最も好ましくはポルトランド普通セメントである。
本発明の一液型裏込め添加剤の使用に際して、セメントの添加順序は、水に裏込め添加剤を添加する前後のどちらでもかまわない。
セメントの添加量は、水100重量部に対して30〜100重量部であり、好ましくは50〜70重量部である。
【0018】
請求項1〜請求項4に記載の一液型裏込め添加剤は、水およびセメントに添加されると、セメント、珪酸塩物質、セメント急結剤または硬化促進剤の相互作用により、目的とするブリージングのない裏込め材が作液され、かつ地山相当の強度が発現される。
【0019】
これらの成分の相互関係を説明する。
多糖類を水に添加しミキサーにて混練りすると、多糖類の増粘作用により、ブリージングのないセメントスラリーを作液することができる。しかし多糖類はセメントに対して遅硬性を有しており、強度の発現には至らず、裏込め添加剤にはなり得ない。
また、水にセメントを添加した後に多糖類を添加し混練りすると、カルシウムイオン等の塩類により、水和膨潤が抑制されて増粘性の低下をもたらし、ブリージング量が増大する。
【0020】
この多糖類に珪酸ナトリウム等の珪酸塩物質を添加すると、セメントの水和反応の結果生ずる水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と珪酸塩物質との結合が起こり、不溶性の珪酸カルシウム(nCaO・SiO2)が生成され、緻密な組織が作られる。これにより、強度の発現が多糖類単独の時に比べて速くなる。しかし、多糖類の増粘作用が抑制され、ブリージング量が調整できずに増大するため、これも裏込め添加剤として用いることが難しい。
【0021】
多糖類と珪酸塩類に、例えば炭酸ナトリウムを加えることにより、多糖類の水和膨潤の抑制に働く余剰のカルシウムイオンと反応をして不溶性の炭酸カルシウム(CaCO3)が生成し、すなわち、カルシウムの不溶化が生じるため、ブリージングの発生がなくなる。
また、作液した裏込め材を多少に関わらずミキサーに残したまま追い練りした時も、上記の理由により多糖類の働きを阻害しないため、ブリージングの発生がない。
一方、多糖類と炭酸ナトリウムのみでは、ブリージング量を調整するのが困難である。
したがって、多糖類、珪酸塩類および炭酸ナトリウムを用いることにより、初めて目的とする課題が達せられる。
【0022】
裏込め材の作液に際しての各材料の添加順序は、水に添加剤を添加してからセメントを加えても、水にセメントを加えてから添加剤を添加してもよい。どちらの順序でもブリージングがないため、連続して作液するときに、ミキサーを洗浄することなしに追い練りすることが可能である。
【0023】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0024】
実施例1〜3、比較例1〜5
実施例1〜3および比較例1〜3で用いた裏込め添加剤の配合割合を表1に示す。
また、一般に市販されている鉱物系の一液型裏込め添加剤も比較のために用い、比較例4(商品名ウラゴメセッター、立花マテリアル社製)および比較例5(商品名フィルクレー、和泉商事社製)とした。
【0025】
【表1】
上記実施例1〜3および比較例1〜3で使用されている各種添加剤は、一般的な工業製品で良い。例えば、多糖類としてグアーガム(レスター:テルナイト製品)、珪酸塩類としてメタ珪酸ナトリウム(工業用水ガラス)、急結剤として炭酸水素ナトリウム(一般工業薬品)、分散剤としてオキシカルボン酸塩(テルフロー:テルナイト製品)、増量剤としてベントナイト(テルゲル:テルナイト製品)である。
【0026】
実施例1〜3、比較例1〜5で用いた裏込め材の組成添加量、ブリージング率(初練り時)および一軸圧縮強度の経日変化を表2に示す。
また、ブリージング率は次の式を用いて求めた。
ブリージング率=(F/M)×100
F:遊離水量(ml)
M:総モルタル量(ml)
【0027】
【表2】
1):裏込め材の物性は室温にて測定を行った。
2):ブリージング率は24時間後の値を示す。
3):S.N.S(Set no strength ・・・・自立するが強度のない状態)
4):N.S.(not set・・・・自立性のない状態)
【0028】
上記表2に示すように、市販されている鉱物系の一液型裏込め添加剤に比較して本発明の裏込め添加剤は、10分の1から4分の1程度の少ない添加量で、ブリージングのほとんどない裏込め材を作液できる。
これは、多糖類,珪酸塩および炭酸ナトリウムの3種類の相互作用によるものであり、比較例1〜3のように、多糖類のみの場合、あるいは多糖類に珪酸塩またはセメント急結剤(硬化促進剤)の一方だけを混合した場合は、強度の発現が極端に遅くなったり、ブリージングが増加する傾向にあることがわかる。
【0029】
推進およびシールド工法関係の工事が行われる深度範囲の地山の一軸圧縮強度は、そのほとんどが5kgf/cm2以下であり、一般的には2〜3kgf/cm2と言われている。
裏込め材の長期固結強度は、通常、材令28日目の強度を基準にしており、これまでの実績や経験から、一液型裏込め材では約10〜20kgf/cm2程度以上あれば十分と言われている。
実施例1〜3の裏込め材は、7日強度で地山程度またはそれ以上の強度を有し、28日強度で30kgf/cm2以上となり、裏込め材として十分使用が可能である。
【0030】
本発明の裏込め添加剤の特徴の一つとして、追い練りしてもブリージングが増加しないことが挙げられる。
初練りした裏込め材の20容量%をミキサーに残したまま、追加作液する追い練りによるブリージング試験を、実施例2および比較例4〜5について行った。その結果を表3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】
上記表3に示すように、鉱物系の一液型裏込め添加剤である比較例4〜5では、追い練りすることによりブリージングが増加するのに対し、本発明の一液型裏込め材では、ブリージングの増加が認められない。
【0033】
裏込め材を長距離圧送する場合に、流動性を保持している時間を可使時間といい、裏込め材の注入が可能な時間の目安となる。この可使時間が短すぎると作業性が悪くなるため、作業に融通性を持たせるには約2時間の可使時間が必要と思われる。
作液した裏込め材の粘性や可使時間の測定方法として、図1に示すPロート(プレパックドフローコーン)を用いたPフロー値測定が挙げられる。図中、1は器具本体、2は吐出口、3はモルタル注入線、4は上蓋、5はポイントゲージである。吐出口2を指で押さえながら器具本体1にモルタル注入線3までモルタル1725mlを入れ、ポイントゲージ5にて規定量かどうか確認する。指を離し、モルタルが流下終了するまでの時間をもってPフロー値とする。
実施例2および比較例4〜5について行ったPフロー値の結果を表4に示す。
【0034】
【表4】
【0035】
上記表4に示すように、本発明の一液型裏込め添加剤は、市販されている比較例4〜5の一液型裏込め添加剤に比べて、作業直後の粘性および可使時間とも同等かそれ以上に優れている。
【0036】
【発明の効果】
従来の裏込め材は、数種類の添加剤を現場で調合して作液が行われていた。最近になって1種類の添加剤で裏込め材が作液できる一液型裏込め添加剤が市販されるようになったが、添加使用量が多く、また追い練りすることによるブリージングの発生を防ぐことができなかった。
本発明の一液型裏込め添加剤によれば、従来の一液型裏込め添加剤に比べて、10分の1から4分の1程度の添加量ですむため、作業労力の軽減を図ることができると同時に、添加剤の保管場所も小さくてすむ。裏込め材の作液設備の自動プラント化も容易である。
【0037】
また、本発明にかかる裏込め添加剤を用いた裏込め材は、作液初期の粘性が低く、流動性や可使時間が良好にも関わらず、ブリージングの発生がほとんどない上に、追い練りによる作液でもブリージングが生じないという優れた性状を有する。そのため、裏込め材は、地山と布設管のテールボイドに確実に充填され、充填された裏込め材の体積の減少もない。したがって、地山の緩みや崩壊に伴う地表沈下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、Pフロー値の測定に使用するPロート(プレパックドフローコーン)器具の規格図である。
【符号の説明】
1 器具本体
2 吐出口
3 モルタル注入線
4 上蓋
5 ポイントゲージ
Claims (7)
- 多糖類系高分子100重量部と、メタ珪酸ナトリウム、オルト珪酸ナトリウム、二珪酸ナトリウム、四珪酸ナトリウムの群から選ばれた少くとも1種20〜200重量部と、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムの1種もしくは2種20〜200重量部を含有する推進工法もしくはシールド工法用一液型裏込め添加剤。
- 多糖類系高分子100重量部と、メタ珪酸ナトリウム、オルト珪酸ナトリウム、二珪酸ナトリウム、四珪酸ナトリウムの群から選ばれた少くとも1種20〜200重量部と、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムの1種もしくは2種20〜200重量部と、分散剤10重量部以下を含有する推進工法もしくはシールド工法用一液型裏込め添加剤。
- 多糖類系高分子100重量部と、メタ珪酸ナトリウム、オルト珪酸ナトリウム、二珪酸ナトリウム、四珪酸ナトリウムの群から選ばれた少くとも1種20〜200重量部と、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムの1種もしくは2種20〜200重量部と、無機系または有機系の増量剤400重量部以下を含有する推進工法もしくはシールド工法用一液型裏込め添加剤。
- 多糖類系高分子100重量部と、メタ珪酸ナトリウム、オルト珪酸ナトリウム、二珪酸ナトリウム、四珪酸ナトリウムの群から選ばれた少くとも1種20〜200重量部と、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムの1種もしくは2種20〜200重量部と、分散剤10重量部以下と、無機系または有機系の増量剤400重量部以下を含有する推進工法もしくはシールド工法用一液型裏込め添加剤。
- 無機系または有機系の助剤を含有する、請求項1〜4に記載の推進工法もしくはシールド工法用一液型裏込め添加剤。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の一液型裏込め添加剤を、水およびセメントに添加して裏込め材を作液する工程を含む、推進工事もしくはシールド工事方法。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の一液型裏込め添加剤中の個々の材料を、現場で水およびセメントに添加して裏込め材を作液する工程を含む、推進工事もしくはシールド工事方法。
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