JP3686195B2 - 圧縮機の異常保護装置および冷凍サイクル装置 - Google Patents

圧縮機の異常保護装置および冷凍サイクル装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、圧縮機の異常時の保護を行う圧縮機の異常保護装置および冷凍サイクル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気調和機や冷蔵庫などのいわゆる冷凍装置は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、および蒸発器などを順次に配管接続した冷凍サイクルを備える。圧縮機は、密閉ケースにモータを収容し、そのモータの動力によって冷媒を吸込み圧縮する。
【0003】
このような冷凍サイクルでは、蒸発器で蒸発しきれなかった液冷媒がそのまま圧縮機に吸込まれることによる、いわゆる液圧縮を生じることがある。この液圧縮は、圧縮機故障の大きな要因となる。
【0004】
すなわち、液圧縮が生じると、圧縮室内の圧力が異常上昇し(リギッドハンマリング現象)、吐出弁の破損、シャフト軸のかじり、シリンダの破損、吐出マフラの破損などに波及する。圧縮機ばかりでなく、圧縮機に接続のパイプや部品が破損するなど、冷凍サイクル全体の故障に波及することもある。
【0005】
対策として、冷凍サイクルの低圧側にアキュームレータを設ける、冷凍サイクルの冷媒封入量をなるべく少なくする、膨張弁によるスーパヒート制御を行う、圧縮機モータの最高回転数をインバータにより制限する、圧縮機の起動時の回転数をインバータにより徐々に上げるなど、種々の工夫がなされている。
【0006】
冷媒の吸込管がシリンダに直接的に接続され且つケース内圧力がそのまま冷凍サイクルの高圧側圧力となるようなロータリ形やスクロール形の圧縮機を持つ冷凍サイクルの場合、あるいは冷媒量の多い冷凍サイクルの場合、アキュームレータの設置は必須となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、アキュームレータがあっても、それだけで全ての問題を解決できることにはならない。
たとえば、据付け現地で冷媒の追加調整を要するタイプの冷凍サイクルでは、冷媒が過充填されることがある。過充填がなされると、たとえアキュームレータがあっても、圧縮機への液冷媒の吸込みは避けられない。
【0008】
この発明は上記の事情を考慮したもので、その目的とするところは、圧縮機の異常たとえば液圧縮に際し圧縮機の十分な安全を確保できる圧縮機の異常保護装置を提供することにある。
また、この発明は、圧縮機の異常たとえば液圧縮に際し圧縮機の十分な安全を確保できる冷凍サイクル装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明の異常保護装置は、圧縮機のロータの1回転を複数の区間に分け、各区間におけるロータの回転速度を検出する速度検出手段と、この速度検出手段により検出される回転速度に応じて圧縮機の異常を検出する異常検出手段と、この異常検出手段が異常を検出したとき、圧縮機を保護する保護手段と、を備え、前記異常検出手段は、各区間のうち所定の区間における、速度検出手段の現時点の検出結果と前回の検出結果との差に基づき、異常を検出する
【0010】
第2の発明の圧縮機の異常保護装置は、圧縮機のロータの1回転を複数の区間に分け、各区間におけるロータの回転速度を検出する速度検出手段と、この速度検出手段により検出される回転速度に応じて圧縮機の異常を検出する異常検出手段と、この異常検出手段が異常を検出したとき、圧縮機を保護する保護手段と、を備え、上記異常検出手段は、各区間のうち所定の区間における速度検出手段の検出結果と、その所定の区間より1つ手前の区間における速度検出手段の検出結果との差に基づき、異常を検出する。
【0011】
第3の発明の冷凍サイクル装置は、圧縮機および弁開度の制御が可能な膨張弁を備えた冷凍サイクルと、上記圧縮機のロータの1回転を複数の区間に分け、各区間におけるロータの速度を検出する速度検出手段と、この速度検出手段により検出される回転速度に応じて圧縮機の異常を検出する異常検出手段と、この異常検出手段が異常を検出したとき、上記膨張弁の開度を絞る開度制御手段と、を備え、上記異常検出手段は、各区間のうち所定の区間における、速度検出手段の現時点の検出結果と前回の検出結果との差に基づき、異常を検出する。
【0012】
第4の発明の冷凍サイクル装置は、圧縮機および弁開度の制御が可能な膨張弁を備えた冷凍サイクルと、上記圧縮機のロータの1回転を複数の区間に分け、各区間におけるロータの速度を検出する速度検出手段と、この速度検出手段により検出される回転速度に応じて圧縮機の異常を検出する異常検出手段と、この異常検出手段が異常を検出したとき、上記膨張弁の開度を絞る開度制御手段と、を備え、上記異常検出手段は、各区間のうち所定の区間における速度検出手段の検出結果と、その所定の区間より1つ手前の区間における速度検出手段の検出結果との差に基づき、異常を検出する。
【0016】
第5の発明の冷凍サイクル装置は、圧縮機の異常を検出する異常検出手段と、この異常検出手段が異常を検出したとき、上記圧縮機の吸込冷媒量を低減する保護手段と、上記異常検出手段が異常を検出したときの空気調和機の運転状態に関する複数のデータを記憶する記憶手段と、空気調和機の運転状態が上記記憶手段に記憶されている状態と一致するとき、上記保護手段の前回の動作結果に応じて圧縮機の吸込冷媒量を制御する第2の保護手段と、を備える。
【0017】
第6の発明の冷凍サイクル装置は、第5の発明において、異常検出手段は、圧縮機のロータの1回転を複数の区間に分け、各区間におけるロータの回転速度に応じて圧縮機の異常を検出する
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施例について図面を参照して説明する。一実施例として、空気調和機への適用を説明している。
図1に示すように、圧縮機1の吐出口に四方弁2を介して室外熱交換器3が配管接続される。この室外熱交換器3に電動膨張弁4を介して室内熱交換器5が配管接続される。そして、室内熱交換器5に上記四方弁2を介して圧縮機1の吸込口が配管接続される。電動膨張弁4は、供給される駆動パルスの数(pls )に応じて開度が変化する。
【0019】
この配管接続により、冷房および暖房が可能なヒートポンプ式冷凍サイクルが構成される。なお、アキュームレータは設けていない。
冷房時は、圧縮機1から吐出される冷媒が図示実線矢印の方向に流れ、室外熱交換器3が凝縮器、室内熱交換器5が蒸発器として機能する。
【0020】
暖房時は、四方弁2の切換により、圧縮機1から吐出される冷媒が図示破線矢印の方向に流れ、室内熱交換器5が凝縮器、室外熱交換器3が蒸発器として機能する。
【0021】
圧縮機1の吐出口と四方弁2との間の高圧側配管にバイパス回路(配管)6の一端が接続され、そのバイパス回路6の他端が室外熱交換器3と電動膨張弁4との間の液側配管に接続される。そして、バイパス回路6の中途部に二方弁7が設けられる。
【0022】
室外熱交換器3に対し室外ファン8が設けられる。この室外ファン8の運転により、室外熱交換器3に室外空気が供給される。室内熱交換器5に対し室内ファン9が設けられる。この室内ファン9の運転により、室内空気が室内熱交換器5を通して循環する。そして、室内ファン9の吸込風路に室内温度センサ10が設けられる。
【0023】
圧縮機1の密閉ケース(後述する)にケース温度センサ11が取付けられる。室外熱交換器3に熱交換器温度センサ12が取付けられる。室内熱交換器5に熱交換器温度センサ13が取付けられる。
【0024】
圧縮機1は、図2に示すように、密閉ケース31で覆われている。この密閉ケース31の下部に吸込管32が取付けられ、上部に吐出管33が取付けられる。さらに、密閉ケース31の上部にターミナル端子34が設けられる。
【0025】
密閉ケース31の内部には、電動機部としてブラシレス直流モータ40が収容されるとともに、圧縮機部50が収容される。
ブラシレス直流モータ40は、ステータ41およびロータ42からなる。ステータ41の内周面には多数の巻線収容スロットが配列され、これらスロットに複数の相巻線43が埋め込み装着される。ロータ42は、円盤状の多数枚の鋼板を軸方向に積層し、芯となる部分にシャフト44を通すとともに、そのシャフト 44を囲む位置にたとえば4つの永久磁石片を収容している。
【0026】
ステータ41の各相巻線43に対する通電が順次切換えられることにより(転流)、各相巻線43に順次に磁界が生じ、それとロータ42の各永久磁石片が作る磁界との相互作用により、ロータ42に回転トルクが生じる。
【0027】
圧縮機部50は、上記シャフト44を支持するためのメインベアリング51およびサブベアリング52を有し、この両ベアリング51,52間にシリンダ53を有する。シリンダ53内にはシャフト44の偏心部44aが収容される。この偏心部44aの外周にローラ54が装着され、そのローラ54の周りに圧縮室 55が形成される。圧縮室55には吸込口56が連通され、その吸込口56に上記吸込管32が連通される。また、シリンダ53において、圧縮室55と対応する位置に吐出口(図示しない)が形成される。
【0028】
ブラシレス直流モータ40が駆動されてロータ42およびシャフト44が回転することにより、圧縮機部50のローラ54が偏心回転し、圧縮室55に吸入圧が生じる。この吸入圧によって吸込管32から圧縮室55に冷媒が吸込まれる。吸込まれた冷媒は圧縮室55で圧縮された後、上記吐出口から密閉ケース31内へ吐出される。密閉ケース31内へ吐出された冷媒は、上記吐出管33を介して上記冷凍サイクルに供給される。
【0029】
密閉ケース31の内底部には潤滑油(図示しない)が収容される。この潤滑油は、圧縮機部50の機械的な潤滑作用を確保するとともに、圧縮機部50を冷却するためのものである。
【0030】
一方、商用交流電源20にインバータ回路21が接続される。インバータ回路21は、電源電圧を整流し、それを複数のスイッチング素子のオン・オフにより後述の制御部23からの指令に応じた周波数の電圧に変換して出力するもので、出力のディジタル制御が可能である。このインバータ回路21の出力は、圧縮機1の上記ターミナル端子34を介してブラシレス直流モータ40に駆動電力として供給される。
【0031】
インバータ回路21とブラシレス直流モータ40との接続ラインに位置検知回路22が接続される。位置検知回路22は、ブラシレス直流モータ40の各相巻線のうち非通電相巻線に生じる誘起電圧を取込み、その取込み電圧のレベルと基準値との比較に基づきブラシレス直流モータ40のロータ42の回転位置を検知する。
【0032】
制御部23は、空気調和機の全般にわたる制御を行う。この制御部23に、上記四方弁2、電動膨張弁4、二方弁7、室外ファン8、室内ファン9、室内温度センサ10、ケース温度センサ11、インバータ回路21、位置検知回路22、は受光部24が接続される。
【0033】
受光部24は、リモートコントロール式の操作器(以下、リモコンと略称する)25から発せられる運転条件設定用の赤外線光を受光する。
制御部23は、主要な機能手段として次の[1]ないし[7]を備える。
【0034】
[1]室内温度センサ10の検知温度Taをリモコン25の設定室内温度Tsに収束させるべく、圧縮機1の回転速度(=ブラシレス直流モータ40の回転速度)を指令する手段。
【0035】
[2]ブラシレス直流モータ40の各相巻線を励磁するための相電圧をインバータ回路11から順次に出力させ、その各相電圧のオン・オフデューティを上記指令される回転速度に応じて調節し、かつ各相電圧の出力タイミング(=出力周波数)を位置検知回路22で検知される回転位置に基づき制御する回転速度制御手段。
【0036】
[3]圧縮機1のブラシレス直流モータ40のロータ42の1回転を複数の区間(ブラシレス直流モータ40が4極3相なら12区間)に分け、各区間におけるロータ42の回転速度を検出する速度検出手段。
【0037】
[4]速度検出手段により検出される回転速度に応じて圧縮機1の異常を検出する異常検出手段。
[5]異常検出手段が異常を検出したとき、圧縮機1を保護する第1の保護手段。
【0038】
[6]異常を検出した時の状況データを記憶する記憶手段。
[7]次回の運転時に、状況に応じ記憶したデータ(状況データ)を基に異常発生を回避して運転を継続する第2の保護手段。
【0039】
つぎに、上記の構成の作用を説明する。
運転中、室内温度センサ10の検知温度Taとリモコン25の設定室内温度 Tsとの差に応じて圧縮機1の回転速度(ブラシレス直流モータ40の回転速度)が制御される。この回転速度制御により、室内温度Taが設定室内温度Tsへ向け変化する。
【0040】
この運転中において、圧縮機1の1回転中の速度が常に監視され、この速度が大きく低下した時、液圧縮状態等の異常発生と判断する。そして、この異常発生時には、その時の圧縮機1の回転速度が所定値だけ(本実施例では16rps )低下される。同時に、この時の運転状況、たとえば冷媒の凝縮器・蒸発器温度や外気温度などが検出され、この運転状況データに対応付けられて異常発生時の圧縮機1の回転速度が異常時回転速度データ値Sabとして記憶される。さらに、この際、低下させられた圧縮機1の回転速度(Sab−16rps )が回転速度制限データ値Smax(Tc,Te)として運転状況データに対応付けて記憶される。
【0041】
以後、運転中は、異常発生時と同じ運転状況下で、圧縮機1の回転速度(指令値)が回転速度制限データ値Smax(Tc,Te)を超える場合、一旦Smax(Tc,Te)にて回転速度上昇を抑え、その後、所定時間ごとに徐々に圧縮機1の回転速度を上昇させる(本実施例では 5分ごとに2rps)。但し、圧縮機1の回転速度が異常時回転速度データ値Sabを超えることがないよう制限される。
【0042】
すなわち、一旦異常が検出された場合、その後、異常発生時と同じ状況下では、異常発生時の圧縮機回転速度を超えることがなく、かつ異常発生時の圧縮機回転速度に至るまで低い圧縮機回転速度から徐々に回転速度を上昇させる。この結果、最終的には異常時回転速度データ値Sabと回転速度制限データ値Smax(Tc,Te)が一致するようになる。そして、この時の異常時回転速度データ値Sabがそのときの状況下で圧縮機1が異常発生なく運転可能な許容最大回転速度となる。したがって、種々の状況下で予め実験的に許容最大回転速度を定めておく必要がなくなる。
【0043】
また、空気調和機の設置条件によってこの許容最大回転速度は異なるが、予め実験的に許容最大回転速度を定める場合、安全許容度を大きくとって、許容最大回転速度を低い値に設定する必要がある。しかしながら、本制御によれば、空気調和機自身がその設置状況における最適な許容最大回転速度を決定するため、許容最大回転速度が低い値に制限されることはない。
【0044】
回転速度制御の具体例を図3のフローチャートに示している。
指令回転速度Fが取込まれるとともに(ステップ101 )、熱交換器温度センサ12,13の検知温度である凝縮器温度Tcと蒸発器温度Teが読込まれる(ステップ102 )。
【0045】
続いて、凝縮器温度Tcと蒸発器温度Teに対応付けられている回転速度制限データ値Smax(Tc,Te)が制御部23のメモリから読出され(ステップ103 )、それと指令回転速度Fとが比較される(ステップ104 )。
【0046】
指令回転速度Fが回転速度制限データ値Smax(Tc,Te)と同じまたはそれより大きく(ステップ104 のYES )、かつ指令回転速度Fが前回の値と変わっている場合には(ステップ105 のYES )、目標回転速度FnとしてSmax(Tc,Te)が決定される(ステップ106 )。そして、圧縮機1の回転速度を徐々に上昇させるためのタイマT1 がリセットされて再スタートされた後(ステップ107 )、圧縮機1が目標回転速度Fnとなるようインバータ駆動がなされる(ステップ108 )。
【0047】
指令回転速度Fが回転速度制限データ値Smax(Tc,Te)より小さい場合には(ステップ104 のNO)、目標回転速度Fnとして指令回転速度Fがそのまま決定される(ステップ109 )。そして、圧縮機1が目標回転速度Fnとなるようインバータ駆動がなされる(ステップ108 )。
【0048】
指令回転速度Fが回転速度制限データ値Smax(Tc,Te)と同じまたはそれより大きく(ステップ104 のYES )、かつ指令回転速度Fが前回の値と変わりない場合には(ステップ105 のNO)、タイマT1 のカウント値と設定値Tset とが比較される(ステップ110 )。
【0049】
カウント値が例えば 5分である設定値Tset に達しないうちは(ステップ110 のNO)、目標回転速度Fnに変更はない。
カウント値が設定値Tset に達すると(ステップ110 のYES )、目標回転速度Fnとして[Smax(Tc,Te)+2rps]が決定される(ステップ111 )。ただし、この目標回転速度Fnと異常時回転速度データ値Sabとの比較がなされる(ステップ112 )。異常時回転速度データ値Sabは、後述するが、過去の異常発生時の目標回転速度であり、凝縮器温度Tcおよび蒸発器温度Teに対応付けてメモリに記憶されている。
【0050】
目標回転速度Fnが異常時回転速度データ値Sabと同じまたはそれより小さい場合には(ステップ112 のNO)、目標回転速度Fn(=Smax(Tc,Te)+2rps)と元々の指令回転速度Fとが比較される(ステップ113 )。この比較において、目標回転速度Fnが指令回転速度Fと同じまたはそれより小さければ目標回転速度Fnの変更はなく、目標回転速度Fnが指令回転速度Fより大きい場合には指令回転速度Fが目標回転速度Fnとして変更設定される(ステップ114 )。
【0051】
目標回転速度Fnが異常時回転速度データ値Sabより大きい場合には(ステップ112 のYES )、異常時回転速度データ値Sabが目標回転速度Fnとして変更設定される(ステップ115 )。
【0052】
こうして得られる目標回転速度Fnは、以後の回転速度制限データ値Smax(Tc,Te)として更新される(ステップ116 )。
一方、圧縮機1に液冷媒が過多に吸込まれる状況として、起動後の数分間、低温運転時、室外熱交換器3の除霜時などがある。その他、液冷媒の過多の吸込みは、冷凍サイクルに冷媒が過充填された際など頻繁に発生し易く、また複数の室内ユニットを有するマルチタイプの空気調和機であれば室内ユニットの運転台数の切替時に発生し易い。
【0053】
たとえば、除霜時を例に説明すると、暖房時は、室外熱交換器(蒸発器)3に徐々に霜が付着し、そのままでは熱交換ができなくなって暖房能力の低下を招いてしまう。そこで、室外熱交換器3の着霜時、四方弁2が切換えられ(反転され)、圧縮機1から吐出される高温冷媒がそのまま室外熱交換器3に供給されるいわゆる除霜サイクルが形成される(逆サイクル除霜とも称す)。
【0054】
四方弁2の切換に際しては、圧縮機1を一旦停止してから四方弁2を切換え、その後で圧縮機1を再起動するという制御が実行される。この再起動に際し、圧縮機1に蓄えられていた熱量、圧縮機1の新たな圧縮作用により生じる冷媒ガスの昇温、さらにはブラシレス直流モータ40の発熱などが室外熱交換器3に加わり、除霜が始まる。このとき、室外熱交換器3に供給されたガス冷媒は液化され、それに冷凍サイクル中に残存していた液冷媒が加わることで、多量の液冷媒が室内側熱交換器5を通って圧縮機1の吸入管32に流入し、圧縮室55に吸込まれる。
【0055】
圧縮室55に多量の液冷媒が吸込まれると、そこで液圧縮が生じ、圧縮機1の圧縮負荷が異常上昇する。このときの圧力は、通常時の数倍から10倍にも達するようになる。
【0056】
この異常発生時、大きな負荷トルクが発生することから、ブラシレス直流モータ40の回転速度や角速度が一瞬低下したり、しばらくその状態が続く現象が見られる。
【0057】
液冷媒の多量の吸込みは、除霜時だけでなく、起動直後からしばらくの間や、冷凍サイクルに冷媒を過充填した際などは頻繁に発生し易い。
そこで、運転中、図4のフローチャートに示す異常検出制御が行われる。
【0058】
ブラシレス直流モータ40のロータ42の1回転が複数の区間(4極3相なら12区間)に等分され、その各区間が位置検知回路22の回転位置検知に基づいて捕捉されるごとに(ステップ201 のYES )、タイマT2 の時間カウントTmが読取られる(ステップ202 )。
【0059】
ブラシレス直流モータ40ではロータ42の回転位置に基づき転流が行われており、4極のモータの場合は1回転が12等分の区間に等分されて、1回転のうち12回の転流が行われる。上記時間カウントTmは1回転の1/12の区間の回転に要した時間であり、その各区間におけるロータ42の回転速度R(i) が1/12・Tmとして算出される(ステップ203 )。
【0060】
回転速度R(i) が算出されると、タイマT2 がリセットされて再スタートされるとともに(ステップ204 )、今回算出の回転速度R(i) と前回算出の回転速度Ro(i)との差が所定値20rps 以上あるかどうかの判別がなされる(ステップ205 )。
【0061】
今回算出の回転速度R(i) が前回算出の回転速度Ro(i)に対し所定値20rps 以上低下している場合には、圧縮機1の圧縮負荷が異常上昇したとの判断の下に、異常処理制御が実行される(ステップ206 )。そして、次回の判別のために、今回算出の回転速度R(i) がRo(i)として更新記憶される(ステップ207 )。
【0062】
異常処理制御は、ブラシレス直流モータ40の回転速度を低下させ、この回転速度低下によって圧縮機1への吸込冷媒量、つまり液冷媒の吸込量を低減させる。具体例を図5のフローチャートに示している。
【0063】
すなわち、熱交換器温度センサ12,13の検知温度である凝縮器温度Tcと蒸発器温度Teが読込まれ(ステップ301 )、それに対応付ける形で、そのときの指令回転速度Fが異常時回転速度データ値Sabとしてメモリに記憶される(ステップ302 )。
【0064】
目標回転速度Fnから所定値16(rps) を減算した値が新たな目標回転速度Fnとして設定されるとともに(ステップ303 )、その新たな目標回転速度Fnが回転速度制限データ値Smax(Tc,Te)としてメモリに記憶される(ステップ304 )。そして、圧縮機1が新たな目標回転速度Fnとなるようインバータ駆動がなされる(ステップ305 )。
【0065】
制御部23のメモリに記憶される回転速度制限データ値Smax(Tc,Te)および異常時回転速度データ値Sabのフォーマットを次の表1、表2、表3、表4に示す。いずれも凝縮器温度Tcと蒸発器温度Teを運転状況データとして、これに対応付ける形で各データ値Smax(Tc,Te)、Sabを記憶している。
【0066】
【表1】
Figure 0003686195
【0067】
【表2】
Figure 0003686195
【0068】
【表3】
Figure 0003686195
【0069】
【表4】
Figure 0003686195
【0070】
表1は運転開始に際して初期設定される回転速度制限データ値Smax(Tc,Te)、表2は運転開始に際して初期設定される異常時回転速度データ値Sabをそれぞれ示しており、運転許容範囲外である58℃<Tc、−10℃<TeまたはTe>21℃では圧縮機停止となっているが、これ以外の範囲においては、インバータ回路 21に設定されている最大回転数max が記憶されている。すなわち、初期状態においては、回転速度の制限はない。なお、運転開始当初は室内温度や外気温度が高いためにTe>21℃となっている場合もあるため、このTe温度の条件(Te>21℃)による圧縮機1の停止判断は運転開始から空気調和機の運転が安定する数分後に初めて実施されるような条件付けをする必要がある。
【0071】
その後、実際に運転し、何度かの異常が発生した後には、この表1の回転速度制限データ値Smax(Tc,Te)は表3のように変化し、異常時回転速度データ値Sabは表4のように変化している。
【0072】
例えば、18℃<Te≦21℃および50℃<Tc≦53℃の範囲では、異常時回転速度データ値Sabには95rps が記憶され、回転速度制限データ値Smax(Tc,Te)には91rps が記憶されている。すなわち、この温度範囲においては、過去に圧縮機回転速度が95rps で異常が検出されており、このときの回転速度が記憶される。
【0073】
この際、回転速度制限データ値Smax(Tc,Te)には79rps(=95-16) が記憶されていたはずであるが、回転速度制限データ値Smax(Tc,Te)の91rps は、その後の運転において、回転速度制限データ値Smax(Tc,Te)が徐々に上昇し、91rps の値にまで異常発生なく運転してきたことを表わしている。
【0074】
なお、本制御によれば、圧縮機1の回転速度が低めに抑制されるため、極力、条件を厳しくすることが望ましい。そのため、本実施例では凝縮器温度Tcと蒸発器温度Teとの組合せを条件としたが、さらに外気温度、室内温度などのより多くの異常発生時の状況パラメータを追加し、これらの条件に対応させて回転速度制限データ値Smax(Tc,Te)、異常時回転速度データ値Sabを記憶させておくことが望ましい。
【0075】
インバータ駆動は次のように行われる。
目標回転速度Fnからロータ42の1回転に要する時間Tr(=1/Fn)が求められ、さらに上記時間カウントTmに基づきロータ42の1回転に要している実際の時間Tt(=ΣTm(i) )が求められる( i= 1〜12)。
【0076】
Tr>Ttなら、通電相の通電PWM幅が拡大されて出力トルクが増大され、回転速度の増加される。逆のTr<Ttなら、通電相の通電PWM幅が縮小されて出力トルクが低下され、回転速度が低減される。
【0077】
このように、圧縮機1の異常に際してブラシレス直流モータ40の回転速度を所定値だけ低下させ、圧縮機1への吸込冷媒量(液冷媒の吸込量)が低減することにより、圧縮室55におけるそれ以上の液圧縮が防止される。これにより、リギッドハンマリング現象、吐出弁33の破損、シャフト44のかじり、シリンダ53の破損、吐出マフラの破損などの不具合が回避され、圧縮機1をはじめとする冷凍サイクル機器の安全性および信頼性が向上する。
【0078】
実験では、ブラシレス直流モータ40の回転速度を半分に低下した場合、圧縮室55内の圧力が少なくとも1/4以下になることが確認されている。圧力を低下する手段としては、もちろん、圧縮機1を停止する方法もある。
【0079】
また、冷凍サイクルにアキュームレータを設けることなく液圧縮を防止できるので、部品コストの低減が図れる。また、冷凍サイクルへの冷媒の封入量を制限する必要もないので、装置の基本性能を犠牲にすることなく、安全を確保することができる。
【0080】
なお、ステップ305 で回転速度低下の制御が実行された後、制御フローは図3のスタートに戻り、ステップ101 からステップ105,110,107 を通り、タイマT1 を起動する。その後、 5分経過後、ステップ101 での判断がYES となり、ステップ111 で圧縮機1の回転速度が 2rps だけ上昇される。その後、記憶された異常時回転速度データ値Sabを下回り、かつ指令回転速度Fがそのときの目標回転速度Fnを上回っている限り、タイマT1 が 5分を計時するたびに目標回転速度 Fnが 2rps ずつ増加される。
【0081】
通常運転への復帰後は、上記記憶された異常時回転速度データ値Sabおよび回転速度制限データ値Smax(Tc,Te)が機能するので、液圧縮の再発が極力防止される。
【0082】
以下、変形例について説明する。
(1)上記実施例では、ロータ42の12等分の区間の回転速度R(i) を計算によって求めるようにしたが、各区間ごとのカウント時間Tmを速度に相当する値として使用することも可能である。
【0083】
この場合、回転速度R(i) の算出処理(ステップ203 )が不要となり、回転速度変化の判断として、(Ro(i)−20)>R(i) に代わり、(Tmo+t)>Tmが用いられる。Tmoは前回の1回転の12等分の区間の回転に要した時間、tは回転速度低下基準時間である。
【0084】
(2)上記実施例では、現時点の回転速度R(i) と前回算出の回転速度Ro(i)との差に基づいて圧縮機1の異常を検出したが、所定の区間における回転速度 R(i) とそれよりも1つ手前の区間における回転速度Ro(i-1)との差に基づいて圧縮機1の異常を検出するようにしてもよい。この場合の処理を図6のフローチャートに示している。上記実施例のステップ205 の判別に代わり、ステップ205aの判別がなされ、所定の区間における回転速度R(i) が区分番号1の区間に対応するとき(i=1 )、1つ手前の区間の回転速度Ro(i-1)として区分番号12の区間が対応する。
【0085】
(3)目標回転速度Fnと回転速度R(i) との差に基づいて圧縮機1の異常を検出するようにしてもよい。この場合の処理を図7のフローチャートに示している。回転速度R(i) が目標回転速度Fnに対し所定値20rps 以上低下した場合に、圧縮機1の圧縮負荷が異常上昇しているとの判断になる。なお、指令回転速度Fと回転速度R(i) との比較によって圧縮機1の回転速度異常低下を検出することも可能であるが、実際の圧縮機1の回転速度は異常時回転速度データ値Sabと回転速度制限データ値Smax(Tc,Te)により制限される場合もあるため、これらの制限が加わっている状況下では、指令回転速度Fと回転速度R(i) との比較による圧縮機1の回転速度異常低下検出は困難である。
【0086】
(4)図1に示すようにインバータ回路21と圧縮機1と接続ラインに電流センサ14を取付けてブラシレス直流モータ40への入力電流Iを検出し、その検出電流Iと設定値Iset との比較に基づいて圧縮機1の異常を検出するようにしてもよい。この場合の処理を図8のフローチャートに示し、電流変化の例を図9に示している。
【0087】
すなわち、入力電流Iが検出され(ステップ401 )、その検出電流Iと設定値Iset とが比較される(ステップ402 )。圧縮負荷が異常上昇すると、検出電流Iが急上昇してピーク値を示し、検出電流Iが設定値Iset を超える(ステップ402 のYES )。このとき、異常処理制御が実行される(ステップ403 )。
【0088】
(5)上記実施例では、圧縮機1の異常時、ブラシレス直流モータ40の回転速度を低下させることで圧縮機1への吸込冷媒量(液冷媒の吸込量)を低減したが、二方弁7を開いて除霜用のバイパス回路6を開放し、高温・高圧のガス冷媒の一部をバイパス回路6を通して液側ラインに供給することで圧縮機1への液バックを抑制するようにしてもよい。
【0089】
(6)上記実施例において、異常検出後の再度の異常発生防止のために凝縮器温度と蒸発器温度をパラメータとして回転速度を抑制したが、他のパラメータを用いて異常発生を回避するようにしてもよい。例えば、異常検出時の運転モード(冷房・暖房・除霜)及びケース温度センサ11の検知温度(圧縮機1の密閉ケース31の温度)Tcaを当該空気調和機の運転状態としてメモリに記憶しておき、これに基づき圧縮機1の異常発生を予防してもよい。すなわち、液冷媒の吸込み時は液冷媒が圧縮機1内で蒸発するため、圧縮機1の温度が急速に低下する。したがって、運転中の運転モードが記憶された以前の運転モードと一致し、かつケース温度センサ11の検知温度Tcaが記憶された圧縮機1の異常検出時の圧縮機温度に対し、所定値α以内に近付いた時、つまり液圧縮が再発する可能性の高い状態になったとき、圧縮機1の吸込冷媒量を低減するようにすれば、圧縮室 55での液圧縮が未然に防止できる。液圧縮が発生する度に圧縮機1にダメージを与えることから、このような予防処置は非常に有効である。
【0090】
この場合、液圧縮を予防するための回転速度低下を行うごとに、液圧縮の再発判別用の所定値αを安全サイド側に若干量ずつ更新するようにしてもよい。
液圧縮を予防するための回転速度低下は圧縮機1の安全を確保する上で重要であるが、その予防処置(回転速度低下)は暖房の立上がりを遅くするなど、空調性能を犠牲にしてしまう心配がある。対策として、所定値αを安全サイド側に若干量ずつ更新することにより、圧縮負荷の異常上昇が発生せずにしかも空調性能が犠牲にならない、最適な運転状態を設定することができる。
【0091】
この場合、所定値αの安全サイド側への更新が何度か繰り返されるうちに、液圧縮が再発する可能性があるが、その場合には、当初に設定される所定値αと最後に更新設定された所定値αと間に最適条件があるはずである。
【0092】
設計者は、所定値αとして最低必要なものを初期設定しておけばよい。単に冷凍サイクル機器の故障を回避するだけではなく、システム自身が経験値を基に最適な性能と信頼性を両立したシステムを作り上げることになる。
【0093】
これは、設計者にとっても極めて楽であるばかりでなく、多様化した市場環境に順応した最適なシステムを提供することになる。つまり、システム自身が自己最適化する機能を持つことになり、設計者が固定的に設定した設計値よりより高い性能と信頼性を得ることが保証される。
【0094】
また、設計者は、開発負担を大幅に減らせ得るばかりではなく、上記記憶内容を読むことが出来れば、類似の設計に反映がし易くなるとともに、運転状況の判断が可能となって冷媒量を調整するなどのサービスがし易くなる利点がある。
【0095】
(7)上記実施例では、回転速度の低下によって吸込冷媒量を低減する構成としたが、電動膨張弁4の開度を絞ることで吸込冷媒量を低減する構成としてもよい。
【0096】
すなわち、運転中に液圧縮状態等の異常発生が検出された場合、その時の電動膨張弁4の開度が所定値だけ(本実施例では16pls )減少される。同時に、この時の運転状況、たとえば凝縮器・蒸発器温度Tc,Te及び目標回転速度Fnが取込まれ、この運転状況データに対応付けられて異常発生時の電動膨張弁4の開度が異常時弁開度データ値Svab として記憶される。さらに、この際、減少された電動膨張弁4の開度(Svab −16pls )が膨張弁最大開度制限データ値Svmax(Tc,Te,Fn)として運転状況データ(Tc,Te,Fn)に対応付けて記憶される。
【0097】
以後、運転中、電動膨張弁4の開度はスーパーヒート制御による指令弁開度Vに基づき制御されるが、凝縮器・蒸発器温度Tc,Te及び目標回転速度Fnが以前の異常発生時と同じ運転状況下で、指令弁開度Vが膨張弁最大開度制限データ値Svmax(Tc,Te,Fn)を超える場合、一旦Svmax(Tc,Te,Fn)にて弁開度の上昇を抑え、その後、所定時間ごとに徐々に弁開度を大きくする(本実施例では 5分ごとに2pls)。但し、電動膨張弁4の開度が異常時弁開度データ値Svab を超えることがないよう制限される。
【0098】
すなわち、一旦異常が検出された場合、その後、異常発生時と同じ状況下では、異常発生時の弁開度を超えることがなく、かつ異常発生時の弁開度に至るまで徐々に弁開度を大きくする。この結果、最終的には異常時弁開度データ値Svab と膨張弁最大開度制限データ値Svmax(Tc,Te,Fn)が一致するようになる。そして、この時の異常時弁開度データ値Svab がそのときの状況下で圧縮機1が異常発生なく運転可能な許容弁開度となる。
【0099】
なお、本制御により圧縮機1での液冷媒圧縮を防止できるのは、電動膨張弁4の開度を小さく(絞る)すれば、冷媒は凝縮器に溜まり、蒸発器を流れる冷媒量が減少し、冷媒は確実に蒸発器で蒸発するようになり、圧縮機1まで液冷媒が流れ込むことがなくなることによる。
【0100】
この場合の弁開度制御を図10のフローチャートに示している。
指令弁開度Vが取込まれるとともに(ステップ501 )、熱交換器温度センサ 12,13の検知温度である凝縮器温度Tcと蒸発器温度Te、および目標回転速度Fnが読込まれる(ステップ502 )。
【0101】
凝縮器温度Tc、蒸発器温度Te、目標回転速度Fnに対応付けられている膨張弁最大開度制限データ値Svmax(Tc,Te,Fn)が制御部23のメモリから読出され(ステップ503 )、それと指令弁開度Vとが比較される(ステップ504 )。
【0102】
指令弁開度Vが膨張弁最大開度制限データ値Svmax(Tc,Te,Fn)と同じまたはそれより大きく(ステップ504 のYES )、かつ指令弁開度Vが前回の値と変わっている場合には(ステップ505 のYES )、目標弁開度VnとしてSvmax(Tc,Te,Fn)が決定される(ステップ506 )。そして、タイマT1 がリセットされて再スタートされた後(ステップ507 )、目標弁開度Vnとなるよう電動膨張弁4の開度が制御される(ステップ508 )。
【0103】
指令弁開度VがSvmax(Tc,Te,Fn)より小さい場合には(ステップ504 のNO)、目標弁開度Vnとして指令弁開度Vがそのまま決定される(ステップ509 )。そして、目標弁開度Vnとなるよう電動膨張弁4の開度が制御される(ステップ 508 )。
【0104】
指令弁開度VがSvmax(Tc,Te,Fn)と同じまたはそれより大きく(ステップ504 のYES )、指令弁開度Vが前回の値と変わりない場合には(ステップ505 のNO)、タイマT1 のカウント値と設定値Tset とが比較される(ステップ510 )。
【0105】
カウント値が設定値Tset に達しないうちは(ステップ510 のNO)、目標弁開度Vnに変更はない。
カウント値が設定値Tset に達すると(ステップ510 のYES )、目標弁開度 Vnとして[Svmax(Tc,Te,Fn)+2pls]が決定される(ステップ511 )。ただし、この目標弁開度Vnと異常時弁開度データ値Svab との比較がなされる(ステップ512 )。異常時弁開度データ値Svab は、後述するが、過去の異常発生時の電動膨張弁4の開度であり、凝縮器温度Tc、蒸発器温度Te、目標回転速度 Fnに対応付けてメモリに記憶されている。
【0106】
目標弁開度VnがSvab と同じまたはそれより小さい場合には(ステップ512 のNO)、目標弁開度Vn(=Svmax(Tc,Te,Fn)+2pls)と元々の指令弁開度Vとが比較される(ステップ513 )。この比較において、目標弁開度Vnが指令弁開度Vと同じまたはそれより小さければ目標弁開度Vnの変更はなく、目標弁開度Vnが指令弁開度Vより大きい場合に限り、指令弁開度Vが目標弁開度Vnとして変更設定される(ステップ514 )。
【0107】
目標弁開度VnがSvab より大きい場合には(ステップ512 のYES )、Svab が目標弁開度Vnとして変更設定される(ステップ515 )。
こうして得られる目標弁開度Vnは、以後の膨張弁最大開度制限データ値Svmax(Tc,Te,Fn)として更新される(ステップ516 )。
【0108】
このような開度制御に加え、上記実施例と同様の異常検出の処理があり、さらに図11のフローチャートに示す異常処理制御がある。
ここでの異常処理制御は、電動膨張弁4の開度を縮小方向に制御し、この開度縮小によって圧縮機1への吸込冷媒量(液冷媒の吸込量)を低減させる。
【0109】
すなわち、凝縮器温度Tcと蒸発器温度Teが読込まれ(ステップ601 )、それに対応付ける形で、そのとき電動膨張弁4の実際の開度Vaが異常時弁開度データ値Svab として記憶される(ステップ602 )。
【0110】
現時点の目標弁開度Vnから所定開度16(pls) 分を減算した値が新たな目標弁開度Vnとして設定されるとともに(ステップ603 )、その新たな目標弁開度 Vnが膨張弁開度制限データ値Svmax(Tc,Te) としてメモリに記憶される(ステップ604 )。そして、新たな目標弁開度Vnとなるよう電動膨張弁4の開度が制御される(ステップ605 )。
【0111】
(9)上記実施例では、ブラシレス直流モータ40の回転速度を位置検知回路22による回転位置検知に基づいて間接的に検出したが、ロータ42の回転速度をセンサで直接的に検知してもよい。
【0112】
圧縮機モータとして交流モータを用いる場合には、モータのシャフトにホール素子を設けたり、ロータリエンコーダを取付けるなどの方法で速度検出を行うことが可能である。
【0113】
(10)上記実施例では、指令回転速度と実際の回転速度との対比によって圧縮負荷を検知したが、圧縮機1の圧縮室55内の圧力を圧力センサで直接的に検知し、その検知圧力をそのまま圧縮負荷として捕らえるようにしてもよい。
【0114】
(11)インバータ駆動でない容量固定式の圧縮機を用いている場合には、回転速度制御が不可能なため、一般に知られているアンローダ装置との組合せによって圧縮負荷の異常上昇を緩和することが可能である。
【0115】
(12)空気調和機への適用について説明したが、それに限らず、冷蔵庫など他の装置への適用が可能である。
なお、以上の実施例によれば、圧縮機1での液冷媒圧縮が低減されるため、今まで圧縮機1への液冷媒の流れ込み防止のために冷凍サイクル中に設けられていたアキュームレータを取り除くことも可能である。
【0116】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、圧縮機の異常たとえば液圧縮に際し圧縮機の十分な安全を確保できる圧縮機の異常保護装置を提供できる。
また、この発明によれば、圧縮機の異常たとえば液圧縮に際し圧縮機の十分な安全を確保できる冷凍サイクル装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の冷凍サイクルおよび制御回路の構成を示す図。
【図2】同実施例における圧縮機の内部の構成を断面して示す図。
【図3】同実施例の回転速度制御を説明するためのフローチャート。
【図4】同実施例の異常検出制御を説明するためのフローチャート。
【図5】同実施例の異常処理制御を説明するためのフローチャート。
【図6】同実施例の異常処理制御の変形例を説明するためのフローチャート。
【図7】同実施例の異常処理制御の他の変形例を説明するためのフローチャート。
【図8】同実施例の異常検出制御の変形例を説明するためのフローチャート。
【図9】図8の変形例におけるモータ電流波形の一例を示す図。
【図10】同実施例の変形例として示す弁開度制御を説明するためのフローチャート。
【図11】図10の変形例における異常処理制御を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
1…圧縮機、2…四方弁、3…室外熱交換器、4…電動膨張弁、5…室内熱交換器、6…バイパス回路、7…二方弁、10…室内温度センサ、11…ケース温度センサ、12,13…熱交換器温度センサ、20…商用交流電源、21…インバータ回路、22…位置検知回路、23…制御部、25…リモコン、40…ブラシレス直流モータ、41…ステータ、42…ロータ、50…圧縮機部、53…シリンダ、55…圧縮室。

Claims (6)

  1. 圧縮機のロータの1回転を複数の区間に分け、各区間におけるロータの回転速度を検出する速度検出手段と、
    この速度検出手段により検出される回転速度に応じて圧縮機の異常を検出する異常検出手段と、
    この異常検出手段が異常を検出したとき、圧縮機を保護する保護手段と、
    を備え、前記異常検出手段は、各区間のうち所定の区間における、速度検出手段の現時点の検出結果と前回の検出結果との差に基づき、異常を検出することを特徴とする圧縮機の異常保護装置。
  2. 圧縮機のロータの1回転を複数の区間に分け、各区間におけるロータの回転速度を検出する速度検出手段と、
    この速度検出手段により検出される回転速度に応じて圧縮機の異常を検出する異常検出手段と、
    この異常検出手段が異常を検出したとき、圧縮機を保護する保護手段と、
    を備え、前記異常検出手段は、各区間のうち所定の区間における速度検出手段の検出結果と、その所定の区間より1つ手前の区間における速度検出手段の検出結果との差に基づき、異常を検出することを特徴とする圧縮機の異常保護装置。
  3. 圧縮機および弁開度の制御が可能な膨張弁を備えた冷凍サイクルと、
    前記圧縮機のロータの1回転を複数の区間に分け、各区間におけるロータの速度を検出する速度検出手段と、
    この速度検出手段により検出される回転速度に応じて圧縮機の異常を検出する異常検出手段と、
    この異常検出手段が異常を検出したとき、前記膨張弁の開度を絞る開度制御手段と、
    を備え、前記異常検出手段は、各区間のうち所定の区間における、速度検出手段の現時点の検出結果と前回の検出結果との差に基づき、異常を検出することを特徴とする冷凍サイクル装置。
  4. 圧縮機および弁開度の制御が可能な膨張弁を備えた冷凍サイクルと、
    前記圧縮機のロータの1回転を複数の区間に分け、各区間におけるロータの速度を検出する速度検出手段と、
    この速度検出手段により検出される回転速度に応じて圧縮機の異常を検出する異常検出手段と、
    この異常検出手段が異常を検出したとき、前記膨張弁の開度を絞る開度制御手段と、
    を備え、前記異常検出手段は、各区間のうち所定の区間における速度検出手段の検出結果と、その所定の区間より1つ手前の区間における速度検出手段の検出結果との差に基づき、異常を検出することを特徴とする冷凍サイクル装置。
  5. 圧縮機の異常を検出する異常検出手段と、
    この異常検出手段が異常を検出したとき、前記圧縮機の吸込冷媒量を低減する保護手段と、
    前記異常検出手段が異常を検出したときの空気調和機の運転状態に関する複数のデータを記憶する記憶手段と、
    空気調和機の運転状態が前記記憶手段に記憶されている状態と一致するとき、前記保護手段の前回の動作結果に応じて圧縮機の吸込冷媒量を制御する第2の保護手段と、
    を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。
  6. 請求項5に記載の冷凍サイクル装置において、
    異常検出手段は、圧縮機のロータの1回転を複数の区間に分け、各区間におけるロータの回転速度に応じて圧縮機の異常を検出することを特徴とする冷凍サイクル装置。
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