JP3686091B2 - データ駆動型情報処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明はデータ駆動型情報処理装置に関し、特に、選択構造を含むデータフロープログラムを処理するデータ駆動型情報処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2は、従来のデータ駆動型情報処理装置のブロック構成図である。
【0003】
図3は、従来および本発明の一実施例に適用されるデータ駆動型情報処理装置において処理されるデータパケットのフィールド構成図である。
【0004】
図4は、従来および本発明の一実施例に適用されるプログラム記憶部の記憶内容の一部を示す図である。
【0005】
図3において、データパケットは行先フィールドF1、命令フィールドF2、データ1フィールドF3およびデータ2フィールドF4を含む。フィールドF1には行先情報が格納され、フィールドF2には命令情報が格納され、フィールドF3またはF4にはオペランドデータを含む各種データが格納される。
【0006】
図2の情報処理装置にはプログラム記憶部1、データ対生成部5、演算処理部6および外部プログラム記憶部7を含む。
【0007】
プログラム記憶部1には図4に示すデータフロープログラムが記憶される。図4に示されるデータフロープログラムは複数個の次位の行先情報、複数個の次位の命令情報および複数個のコピー有/無情報を含む。プログラム記憶部1は図3に示されたデータパケットを入力すると、入力パケットのフィールドF1に格納された行先情報に基づいたアドレス指定によって、図4に示されるように次位のプログラムデータ、すなわち次位の行先情報、次位の命令情報およびコピー有/無情報を読出す。読出された行先情報および命令情報は入力データパケットのフィールドF1およびF2にそれぞれ格納されて、該入力パケットは送出される。なお、このとき読出されたコピー有/無情報に基づいて、次アドレスに格納されたプログラムデータが読出されることもあるが、この詳細については後述する。
【0008】
データ対生成部5は、プログラム記憶部1から出力されるデータパケットの待合せを行なう。すなわち、行先情報が一致する異なる2つのデータパケットを検出すると、2つのデータパケットのうち一方のデータパケットのオペランドデータ、たとえば図3におけるフィールドF3の内容を他方のデータパケットのフィールドF4に格納し、この他方のデータパケットを出力する。データ対生成部5から出力されるデータパケットは演算処理部6および外部プログラム記憶部7に送出される。演算処理部6は、データ対生成部5から出力されるデータパケットを入力し、入力データパケットに対して所定の演算処理を施し、その結果を該入力パケットのフィールドF3またはF4に格納し、該入力パケットをプログラム記憶部1に出力する。なお、演算処理部6はさらにSWおよびSWC命令実行部61を含むが、この命令実行部の詳細については後述する。
【0009】
外部プログラム記憶部7はプログラム記憶部1の記憶容量を仮想的に拡張するために設けられ、図4に示されるようなデータフロープログラムを予め記憶する。ここに記憶されるプログラムは、記憶部1に記憶されるプログラムデータを含む。外部プログラム記憶部7はデータ対生成部5から出力されるデータパケットを入力し、応じて次に実行されるべき命令を読出してプログラム記憶部1にダウンロードするよう動作する。詳細には、外部プログラム記憶部7は入力パケットのフィールドF1に格納された行先情報に基づいたアドレス指定によって、図4に示されるように次位の行先情報、次位の命令情報およびコピー有/無情報を読出し、読出した情報を入力データパケットのデータフィールドF3またはF4に格納し、該入力パケットをプログラム記憶部1に送出する。なお、このとき読出されたコピー有/無情報がコピー「有」であることに応じて、次のアドレスに格納されたプログラムデータも読出し同様にプログラム記憶部1にダウンロードする。プログラム記憶部1は記憶部7から入力したデータパケットの行先情報に基づくアドレス指定領域に、該入力パケットのフィールドF3またはF4に格納された次位のプログラムデータを書込む。
【0010】
外部プログラム記憶部7におけるプログラム読出し時、行先情報に基づくアドレス指定領域に格納されたプログラムデータがプログラム記憶部1に既にダウンロードされているか否かを確認し、されていれば命令の読出は行なわれず、されていなければプログラム記憶部1に対して前述したプログラムデータのダウンロードが行なわれる。したがって、プログラム記憶部1は比較的小容量(高速アクセス)のメモリであるので、実行されるプログラムデータのみがダウンロードされてその有効活用が図られている。なお外部プログラム記憶部7はSWおよびSWC命令実行部71を有し、入力データパケットの行先情報を操作してダウンロードすべきプログラムデータを選択するよう動作するが、その詳細は後述する。
【0011】
上述したようにデータパケットがプログラム記憶部1、データ対生成部5、演算処理部6、プログラム記憶部1と回り続けると同時に、プログラム記憶部1、データ対生成部5、外部プログラム記憶部7、プログラム記憶部1と回り続けることにより、プログラム記憶部1に記憶されたデータフロープログラムに基づく演算が進行する。なお、データ対生成部5から同時に出力される2つのパケットのうち、記憶部7を経由するパケットの巡回速度の方が、演算処理部6を経由するそれよりも速い。
【0012】
また、プログラム記憶部1とデータ対生成部5とはデータ伝送路10a、10bにより結合されており、データ対生成部5と外部プログラム記憶部7とはデータ伝送路11により結合されており、さらにデータ対生成部5と演算処理部6とはデータ伝送路13により結合されている。また、外部プログラム記憶部7とプログラム記憶部1はデータ伝送路12により結合されており、演算処理部6とプログラム記憶部1とはデータ伝送路14により結合されている。
【0013】
図5は、コピー処理を含むデータフロープログラムをフローグラフで示した図である。
【0014】
実行すべきデータフロープログラムにおいて、図5に示すようにデータのコピーが必要とされる場合、すなわちある演算結果たとえば図5における加算命令(+)の出力が2個以上の他の演算、たとえば図5における乗算(*)および減算(−)命令によって参照されるような場合、コピー処理はプログラム記憶部1において行なわれる。図4に示すように、プログラム記憶部1にはコピー有/無情報が記憶されている。まず、入力されたデータパケットの行先情報に基づきアドレス指定された領域に格納される情報が読出される。このとき、コピー有/無情報が「無」であれば、読出された行先情報および命令情報が入力パケットのフィールドF1およびF2のそれぞれに格納されて該入力パケットが出力され処理は終了する。一方、コピー有/無情報が「有」であれば、読出された行先情報および命令情報が入力パケットのフィールドF1およびF2に格納され、該入力パケットが出力されるとともに、次アドレスに記憶される行先情報、命令情報およびコピー有/無情報が読出される。引続いて読出されたコピー有/無情報が「無」であれば、データフィールドF3に入力データパケットのデータフィールドの内容を格納しかつ行先フィールドおよび命令フィールドに現在読出された次位の行先情報および命令情報を格納したデータパケットが出力されて処理は終了する。引続いて読出されたコピー有/無情報が「有」であれば、さらに続けて同様にコピー処理が行なわれる。
【0015】
図6は、選択構造を含むデータフロープログラムの一例を表わしたフローグラフを示す図である。
【0016】
図6において、N1〜N8,N4′およびN6′はノードである。D1〜D8,D4′およびD6′は各ノードのノード番号、すなわち行先情報である。op1〜op6,op4′,op6′,SWおよびSWCは各ノードのオペレーションコード、すなわち命令情報である。ただし、op2およびop3は条件判定命令であり、入力データに応じた条件判定結果を「真」/「偽」として出力する。SWCおよびSWは、右入力データが「真」のとき、左入力データを左側の出力にそのまま導出し、「偽」のときは左入力データを右側の出力にそのまま導出する機能を有した命令である。したがって、図6のフローグラフは、ノードN2の出力が「真」のときノードN4およびN4′を、「偽」のときはノードN3の出力に従って、ノードN3の出力が「真」のときノードN5を、「偽」のときノードN6およびN6′を、選択的に実行する構造を表わしている。
【0017】
図7は、図6のデータフローグラフにして表わされたデータフロープログラムに対応するプログラム記憶部1の記憶内容を示す図である。図2、図6および図7を用いてデータフロープログラムの選択構造による処理の流れについて説明する。
【0018】
まず、ノードN1の演算結果に対応するデータパケットが演算処理部3から出力され、データ伝送路14を通りプログラム記憶部1に入力された場合を想定する。
【0019】
プログラム記憶部1において、その入力データパケットが有している行先情報D1に基づくアドレス指定によって、図7に示す記憶内容が読出され、行先情報D7、命令情報SWCおよびコピー有/無情報「無」が得られる。読出された行先情報D7および命令情報SWCは入力データパケットのフィールドF1およびF2にそれぞれ格納されて、該入力パケットはデータ対生成部5に与えられる。同様に、ノードN2の条件判定結果に従ってデータとして「真」/「偽」を持つデータパケットもプログラム記憶部1において行先情報および命令情報が更新され、行先情報D7および命令情報SWCを持つデータパケットが生成された後、データ対生成部5に与えられる。これにより、データ対生成部2においてノードN7に対するデータ対が生成され、データ対を格納したデータパケットは演算処理部6および外部プログラム記憶部7に与えられる。もし、ノードN2の条件判定結果が「真」であれば、演算処理部6の命令実行部61においてノードN7、すなわちSWCに対応する左入力データパケットはそのまま演算処理部6を通過するように制御されて、通過したデータパケットはプログラム記憶部1に入力される。
【0020】
また、外部データ記憶部7の命令実行部71においてもノードN2の条件判定結果が「真」であることにより、ノードN7に対応する命令がプログラム記憶部1に既にダウンロードされているかを確認し、されていれば何も出力せず、されていなければ入力パケットの行先情報D7に基づくアドレス指定によりプログラム記憶部1に対してノードN7に対応する命令のダウンロードを行なうように制御する。
【0021】
このように、ノードN7、すなわち命令SWCの実行は、演算処理部6と外部プログラム記憶部7において並行して行なわれていることになる。
【0022】
プログラム記憶部1に対する演算処理部6からの入力データパケットは行先情報D7を有しているため、プログラム記憶部1においてこの行先情報D7に基づくアドレス指定により、図7に示されるように次位の行先情報D4、次位の命令情報op4およびコピー有/無情報「有」を読出す。この場合、プログラム記憶部1はその行先情報D4および命令情報op4を持つ次位のデータパケットを出力するとともに、読出されたコピー有/無情報が「有」であるため、行先情報D7が指定するアドレスの次のアドレスを指定することによりコピー情報、すなわち次位の行先情報D4′、次位の命令情報op4′および次位のコピー有/無情報「無」を読出し、コピー処理が行なわれる。したがって、行先情報D4および命令情報op4を持つデータパケットと、行先情報D4′および命令情報op4′を持つデータパケットとがプログラム記憶部1から連続して出力される。これは、ノードN7の左入力データパケットがデータフロープログラム上におけるノードN7の左出力に選択的に導出されていることを意味している。
【0023】
逆に、ノードN2の条件判定結果が「偽」であれば、ノードN7、すなわちSWCに対応する入力データパケットは演算処理部6の命令実行部61においてその行先情報がSWCにより値2が加算され“D7+2”に更新された後、演算処理部6から出力され、プログラム記憶部1に入力される。
【0024】
また、外部プログラム記憶部7の命令実行部71においてもノードN2の条件判定結果が「偽」である場合により、行先情報が“D7+2”に更新された後、“D7+2”に対応する命令がプログラム記憶部1にダウンロードされているかを確認し、されていれば何も出力せず、ダウンロードされていなければ“D7+2”に基づくアドレス指定により読出されたプログラムデータをプログラム記憶部1にロードする。
【0025】
プログラム記憶部1に対する演算処理部6からのデータパケットの行先情報D7+2に基づくアドレス指定により図7に示されるように次位の行先情報D8および命令情報SWを持つデータパケットが出力される。これは、ノードN7の左入力データパケットがデータフロープログラム上におけるノードN7の右出力に選択的に導出されていることを意味している。
【0026】
上述のようにノードN2の条件判定結果が「偽」であった場合は、行先情報D8および命令情報SWを持つデータパケットがデータ対生成部5に与えられる。
【0027】
一方、ノードN3の条件判定結果に従ってデータとして「真」/「偽」を持つデータパケットもまた、プログラム記憶部1に入力される。プログラム記憶部1は入力パケットの行先情報に基づくアドレス指定により、図7に示されるように次位の行先情報D8、次位の命令情報SWおよびコピー有/無情報「無」を読出すので、読出された行先情報D8および命令情報SWが該入力データパケットのフィールドF1およびF2にそれぞれ格納されて、該入力パケットがデータ対生成部5に与えられる。したがって、データ対生成部5においてノードN8に対するデータ対が生成され、演算処理部6および外部プログラム記憶部7に並行して与えられる。
【0028】
もし、ノードN3の条件判定結果が「真」であれば、演算処理部6の命令実行部61は、ノードN8、すなわちSWに対応する左入力データパケットをそのまま演算処理部3から出力し、プログラム記憶部1に与える。
【0029】
また、外部プログラム記憶部7の命令実行部71も、ノードN3の条件判定結果が「真」であることにより、ノードN8に対応する命令がプログラム記憶部1にダウンロードされているかを確認し、されていれば何も出力せず、されていなければプログラム記憶部1に対してノードN8に対応する命令をダウンロードする。
【0030】
一方、演算処理部6からプログラム記憶部1に入力するデータパケットは行先情報D8を有しているため、プログラム記憶部1においてこの行先情報D8に基づくアドレス指定により、次位の行先情報D5、命令情報op5およびコピー有/無情報「無」を読出す。読出された行先情報D5、および命令情報op5は演算処理部6からの入力データパケットのフィールドF1およびF2にそれぞれ格納されて、該入力データパケットはデータ対生成部5に送出される。したがって、行先情報D5および命令情報op5を持つデータパケットのみが出力される。
【0031】
これは、ノードN8の左入力データパケットがデータフロープログラム上におけるノードN8の左出力に選択的に導出されていることを意味している。
【0032】
逆に、ノードN3の条件判定結果が「偽」であれば、演算処理部6の命令実行部61においては、ノードN8、すなわちSWに対応する入力データパケットの行先情報は命令SWにより1が加算され、“D8+1”に更新された後、該入力パケットは演算処理部6から出力されプログラム記憶部1に入力される。
【0033】
また、外部プログラム記憶部7の命令実行部71においても、ノードN3の条件判定結果が「偽」であることにより、行先情報がD8+1に更新された後、D8+1に対応する命令がプログラム記憶部1にダウンロードされているかを確認し、されていれば何も出力せず、されていなければプログラム記憶部1に対して、D8+1に対応する命令をロードする。
【0034】
プログラム記憶部1において、演算処理部3から入力されたデータパケットの行先情報にはD8+1が格納されているので、プログラム記憶部1においてこの行先情報D8+1に基づくアドレス指定により、次位の行先情報D6および命令情報op6を格納したデータパケットが出力される。この場合、図7を参照してもわかるように、読出されたコピー「有」/「無」情報が「有」であるため、D8+1が指定するアドレスの次のアドレスが指定されてコピー処理が行なわれる。したがって、次位の行先情報D6′、次位の命令情報op6′および次位のコピー有/無情報「無」が読出され、行先情報にD6′、命令情報にop6′、データフィールドに入力データパケットのデータフィールドの内容を格納したデータパケットもまた生成されて出力される。
【0035】
これは、ノードN8の左入力データパケットがデータフロープログラム上におけるノードN8の右出力に選択的に導出されることを意味している。
【0036】
このように、データフロープログラムの従来の選択的実行は、右入力データの真/偽の値によって左入力データの行先を選択的に切換える命令SW、命令SWCまたはこれら2つの命令の組合わせによって実現されている。そして、命令SWおよびSWCが演算処理部6(命令実行部61)および外部プログラム記憶部7(命令実行部71)で並行して実行されていることにより、プログラム記憶部1において、演算結果と次位命令の待合せが正しく実行される。
【0037】
【発明が解決しようとする課題】
従来のデータ駆動型情報処理装置では、選択構造を含むデータフロープログラムの処理を実現する場合、命令SW、SWCは演算処理部6の内部(命令実行部61)および外部プログラム記憶部7の内部(命令実行部71)で同一内容のデータについて並行して実行されていた。したがって演算処理部6の内部で命令SWまたは命令SWCに関する条件判定結果に従う行先情報の更新処理内容と、外部プログラム記憶部7の内部における命令SWまたは命令SWCに関する条件判定結果に従う行先情報の更新処理内容とが一致している場合に、初めてプログラム記憶部1において演算結果と次位命令の待合せが正しく実行されることになる。ところが、たとえば命令実行部71において何らかの誤差が原因となって行先情報の更新処理結果が命令実行部61のそれと一致しなくなった場合は、次の命令を正しくプログラム記憶部1にダウンロードできなくなり、データフロープログラムの処理が正しく実行できなくなってしまう。
【0038】
このように、同じ命令(SW、SWC)の実行が同一情報処理装置内の複数ヵ所で行なわれるがために、該命令が誤って実行される確率が極めて高くなり、ひいては該情報処理装置における処理の信頼性を低下させるという問題があった。
【0039】
それゆえにこの発明の目的は、所定の条件によって実行すべき命令群を選択する選択構造を含むデータフロープログラムを処理する場合に、その処理の信頼性を向上させることのできるデータ駆動型情報処理装置を提供することである。
【0040】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るデータ駆動型情報処理装置は、行先フィールド、命令フィールド、第1のデータフィールドおよび第2のデータフィールドからなるデータパケットを用いて情報処理する装置であり、プログラム記憶手段と、プログラムロード手段と、演算手段と、データ対生成手段とを備える。
【0041】
プログラム記憶手段は、複数の行先情報および複数の命令情報からなる第1のデータフロープログラムを記憶し、前記データパケットを入力し、その行先フィールドの内容に基づくアドレス指定領域における前記第1データフロープログラムの次位の行先情報および次位の命令情報を読出し、それらの各情報を該入力データパケットの行先フィールドおよび命令フィールドにそれぞれ格納して、該入力パケットを出力する。
【0042】
プログラムロード手段は、プログラム記憶手段に記憶される第1データフロープログラムを含む第2のデータフロープログラムを記憶し、データパケットを入力し、その行先フィールドの内容に基づくアドレス指定を行なうことによって、第2データフロープログラムの次位の行先情報および次位の命令情報を読出し、これを、該入力パケットの行先フィールドの内容に基づくプログラム記憶手段のアドレス指定領域にロードする。
【0043】
演算手段は、データパケットを入力し、入力パケットの命令フィールドの命令情報を解読し、この入力パケットの第1および第2のデータフィールドの2つのデータに対して所定の演算処理を施し、その結果を該入力パケットの第1のデータフィールドに格納して該入力パケットを前述のプログラム記憶手段に出力する。
【0044】
データ対生成手段は、前述のプログラム記憶手段から出力されるデータパケットの待合せを行なう。詳細には、プログラム記憶手段から出力されるデータパケットを入力し、その行先情報が一致する異なる2つのデータパケットのうち一方のデータパケットの第1のデータフィールドのデータを他方のデータパケットの第2のデータフィールドに格納してその他方のデータパケットを前述のプログラムロード手段および前述の演算手段に並行して出力する機能を有する。特に、この情報処理装置において所定の条件によって実行すべき命令群を選択する選択構造を含むデータフロープログラムを実行する場合に、このデータ対生成手段は、入力したデータパケットの内容に従い該入力データパケットの行先情報を操作する演算を実行して、前述したアドレス指定領域を選択的に決定する行先操作手段を含む。
【0045】
【作用】
この発明に係るデータ駆動型情報処理装置は上述のように構成されて、この情報処理装置において所定の条件によって実行すべき命令群を選択する選択構造を含むデータフロープログラムを実行する場合には、データ対生成手段からプログラムロード手段および演算手段に並行して与えられる各データパケットの行先情報は、予めデータ対生成手段の行先操作手段によりデータパケットの内容に従う演算により同様に操作されて、操作後の行先情報により後述するアドレス指定領域が選択的に決定される。プログラムロード手段はこのパケットを入力し、入力パケットの行先情報に基づくアドレス指定により読出した情報を該入力パケットの行先情報に基づくプログラム記憶手段のアドレス指定領域にロードする。演算手段は、データ対生成手段から出力されたパケットを入力し、演算処理し演算結果を格納した該入力パケットをプログラム記憶手段に出力する。プログラム記憶手段においては演算手段からのデータパケットの行先情報に基づくアドレス指定領域に格納される情報が、すなわちデータ対生成手段から出力されたデータパケットの行先情報に基づいて前述のプログラムロード手段からプログラム記憶手段にロードされた情報が読出される。したがって、プログラム記憶手段において演算手段から出力された演算結果を格納したデータパケットは正しく次位の行先情報および命令情報を受取ることが可能となる。
【0046】
【実施例】
以下、この発明の一実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0047】
図1は、この発明の一実施例によるデータ駆動型情報処理装置のブロック構成図である。
【0048】
図1において情報処理装置はプログラム記憶部1、データ対生成部2、演算処理部3および外部プログラム記憶部4を含む。
【0049】
プログラム記憶部1は従来のプログラム記憶部と同様な機能を有する。データ対生成部2はさらにSWおよびSWC命令実行部21を含む。命令実行部21は生成部2においてデータ対が検出され、検出されたデータパケットの命令情報が命令SWまたは命令SWCである場合、該命令に従う演算を実行する。つまり、一方のデータパケットのデータフィールドに格納された条件判定結果(真/偽)に従って他方のデータパケットの行先情報を更新処理するような演算を実行した後、該他方のパケットを演算処理部3および外部プログラム記憶部4に出力するよう動作する。データ対生成部2のその他の動作は、前述した従来のデータ対生成部と同様である。
【0050】
演算処理部3は従来の演算処理部に含まれていたSWおよびSWC命令実行部を含まない構造となっている。演算処理部3は入力データパケットに対して所定の演算処理を施し、その結果をプログラム記憶部1に出力するよう動作する。ただし、演算処理部3は入力データパケットに格納された命令情報が命令SWまたは命令SWCである場合、該入力パケットをそのままプログラム記憶部1に出力するよう動作する。
【0051】
外部プログラム記憶部4は従来の外部プログラム記憶部に含まれていたSWおよびSWC命令実行部を含まない構造となっている。外部プログラム記憶部4はデータ対生成部2から出力されるデータパケットを入力し、必要であれば該入力パケットの行先情報に基づく指定アドレス領域に格納された次に実行されるべき命令を読出し、プログラム記憶部1にダウンロードするよう動作する。このダウンロード時、該命令が既にプログラム記憶部1にダウンロードされている場合、このダウンロードは行なわれない。
【0052】
このように、図1に示された本実施例による情報処理装置と図2に示された従来の情報処理装置とを比較してもわかるように、従来、情報処理装置の複数箇所に設けられていたSWおよびSWC命令実行部が、その機能が統括されて装置内の1ヵ所に設けられたことにより、情報処理装置の小型化が従来よりも推進される。
【0053】
次に、図1の情報処理装置において図6に示されるデータフローグラフに従う選択構造を含むデータフロープログラムを処理した場合の動作について説明する。
【0054】
まず、図6のノードN1における演算結果に対応するデータパケットが演算処理部3から出力されてデータ伝送路4を通ってプログラム記憶部1に入力されたと想定する。
【0055】
プログラム記憶部1において演算処理部3から入力されたデータパケットに格納される行先情報D1に基づくアドレス指定によって、図7に示される記憶内容が読出され、行先情報D7、命令情報SWCおよびコピー有/無情報「無」を得る。したがってデータ対生成部2には行先情報D7、命令情報SWCを格納したデータパケットが与えられる。
【0056】
一方、ノードN2の条件判定結果に従ってデータとして「真」/「偽」を格納したデータパケットがプログラム記憶部1において行先情報および命令情報が更新され、行先情報D7および命令情報SWCを持つデータパケットが生成された後、データ対生成部2に与えられる。
【0057】
データ対生成部2において図6に示されるノードN7に対するデータ対が検出される。そして、ノードN2の条件判定結果が「真」であれば、ノードN7、すなわちSWCに対応する左入力データパケットはそのままデータ対生成部2から出力され、演算処理部3および外部プログラム記憶部4に並行して与えられる。
【0058】
演算処理部3は、データ対生成部2から与えられたデータパケットを入力し、そこに格納された命令情報が命令SWCであることに応じて、該入力データパケットをそのまま送出し、プログラム記憶部1に与える。
【0059】
また、外部プログラム記憶部4は、入力データパケットに格納された命令情報、すなわちノードN7に対応する命令がプログラム記憶部1にダウンロードされているかを確認し、されていれば何も出力せず、されていなければプログラム記憶部1に対してノードN7に対応する命令のロードを従来と同様に行なう。
【0060】
プログラム記憶部1において、演算処理部3からの入力データパケットは行先情報D7を有しているため、プログラム記憶部1においてこの行先情報D7に基づくアドレス指定により、図7に示されるように次位の行先情報D4、命令情報op4およびコピー有/無情報「有」を読出す。この場合、従来と同様なコピー処理が行なわれる。したがって、プログラム記憶部1からは行先情報D4および命令情報op4を格納したデータパケットと、行先情報D4′および命令情報op4′を格納したデータパケットとが連続してデータ対生成部5に送出される。これは、図6に示されるノードN7の左入力データパケットがデータフロープログラム上におけるノードN7の左出力に選択的に導出されていることを意味している。
【0061】
逆に、ノードN2の条件判定結果が「偽」であれば、ノードN7、すなわちSWCに対応する左入力データパケットはデータ対生成部2の命令実行部21において、その行先情報が命令SWCにより値2が加算され“D7+2”に更新された後、データ対生成部2から出力される。生成部2から出力されたデータパケットは演算処理部3および外部プログラム記憶部4に並行して与えられる。演算処理部3はデータ対生成部2から出力されたデータパケットを入力し、そこに格納された命令情報が命令SWCであることに応じて、該入力データパケットをそのままプログラム記憶部1に送出する。一方、外部プログラム記憶部4は、データ対生成部2から入力したデータパケットに格納された命令情報D7+2に対応する命令がプログラム記憶部1にダウンロードされているかを確認し、されていれば何も出力せず、ダウンロードされていなければ行先情報D7+2に基づくアドレス指定領域に格納さた次位のプログラムデータを読出し、プログラム記憶部1にロードする。
【0062】
プログラム記憶部1に対する演算処理部3からのデータパケットは行先情報D7+2を格納する。プログラム記憶部1は入力パケットに格納された行先情報D7+2に基づくアドレス指定により、図7に示されるように次位の行先情報D8および命令情報SWおよびコピー有/無情報「無」を読出す。したがって、プログラム記憶部1からは行先情報D8および命令情報SWを格納したデータパケットがデータ対生成部2に送出される。これは、ノードN7の左入力データパケットがデータフロープログラム上におけるノードN7の右出力に選択的に導出されることを意味している。
【0063】
ノードN7以降のプログラム処理についても同様に、命令SWCまたは命令SW2に従う命令群を選択する際の行先情報の更新処理は、データ対生成部2の命令実行部21においてのみ行なわれる。
【0064】
このように、図1のデータ駆動型情報処理装置においては、実行すべき命令の選択を行なう命令SWまたは命令SWCの処理がデータ対生成部2においてのみ行なわれることにより、従来、演算処理部と外部プログラム記憶部の2ヵ所で実現していた機能と等価な機能を該情報処理装置内の1ヵ所で実現できるとともに、プログラム記憶部1において、演算処理部3の演算結果が次位のプログラムデータを受けとる動作についての信頼性が向上する。
【0065】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、所定の条件によって実行すべき命令群を選択する機能をデータ対生成手段にて行先操作手段として持たせることにより、常時プログラムロード手段および演算手段には同じ行先情報を格納したデータパケットが供給されるので、プログラム記憶手段において演算手段の演算結果が次位の行先情報および命令情報を読出す動作についての確実性が極めて高くなり、該情報処理装置における処理の信頼性が向上する。
【0066】
また、所定の条件によって実行すべき命令群を選択する処理がデータ対生成手段(行先操作手段)においてのみ行なわれていることにより、従来、演算手段とプログラムロード手段との2ヵ所で実現していた同様な機能が該情報処理装置内の1ヵ所で実現できるので、該装置における回路の小規模化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例によるデータ駆動型情報処理装置のブロック構成図である。
【図2】従来のデータ駆動型情報処理装置のブロック構成図である。
【図3】従来およびこの発明の一実施例に適用されるデータ駆動型情報処理装置において処理されるデータパケットのフィールド構成図である。
【図4】従来およびこの発明の一実施例に適用されるプログラム記憶部の記憶内容の一部を示す図である。
【図5】コピー処理を含むデータフロープログラムをフローグラフで示す図である。
【図6】選択構造を含むデータフロープログラムの一例を表わしたフローグラフを示す図である。
【図7】図6のデータフローグラフにして表わされたデータフロープログラムに対応するプログラム記憶部の記憶内容を示す図である。
【符号の説明】
1 プログラム記憶部
2 データ対生成部
8 演算処理部
9 外部プログラム記憶部
21 SWおよびSWC命令実行部
SWCおよびSW 右入力データの真/偽の値によって左入力データの行先を選択的に切換える命令。
なお、各図中、同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

  1. 行先フィールド、命令フィールド、第1のデータフィールドおよび第2のデータフィールドからなるデータパケットを用いて情報処理するデータ駆動型情報処理装置であって、
    複数の行先情報および複数の命令情報からなる第1のデータフロープログラムを記憶し前記データパケットを入力し、その行先フィールドの内容に基づくアドレス指定領域における前記第1データフロープログラムの次位の行先情報および次位の命令情報を読出し、それらの各情報を該入力データパケットの行先フィールドおよび命令フィールドにそれぞれ格納して該入力パケットを出力するプログラム記憶手段と、
    前記第1データフロープログラムを含む第2のデータフロープログラムを記憶し、前記データパケットを入力し、その行先フィールドの内容に基づくアドレス指定を行なうことによって、前記第2データフロープログラムの次位の行先情報および次位の命令情報を読出し、該入力パケットの行先フィールドの内容に基づく前記プログラム記憶手段のアドレス指定領域にロードするプログラムロード手段と、
    前記データパケットを入力し、該入力パケットの命令フィールドの命令情報を解読し、該入力パケットの第1および第2のデータフィールドの2つのデータに対して所定の演算処理を施し、その結果を該入力パケットの第1のデータフィールドに格納して該入力パケットを前記プログラム記憶手段に出力する演算手段と、
    前記プログラム記憶手段から出力される前記データパケットと待合せを行ない、行先情報が一致する異なる2つのデータパケットのうち一方のデータパケットの第1のデータフィールドのデータを他方のデータパケットの第2のデータフィールドに格納してその他方のデータパケットを前記プログラムロード手段および前記演算手段に並行して出力するデータ対生成手段とを備え、
    前記情報処理装置において、所定の条件によって実行すべき命令群を選択する選択構造を含むデータフロープログラムを実行する場合に、前記データ対生成手段は、入力された前記データパケットの内容に従い該入力データパケットの行先 情報を操作する演算を実行して、前記アドレス指定領域を選択的に決定する行先操作手段を有する、データ駆動型情報処理装置。
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