JP3684993B2 - ドットインパクト型記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録ヘッドが記録ワイヤを有するドットインパクト型記録装置に係り、特に、複写モード時に記録ヘッドの温度上昇を好適に抑制できるドットインパクト型記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録装置には、記録ヘッドをプラテンの軸方向に走査させる間に、この記録ヘッドにおける多数の記録ワイヤをインクリボンを介して、上記プラテンの前方周面に位置するシートに打ち付け、このシートに記録書込を実施するドットインパクトプリンタがある。
【0003】
このようなプリンタでは、図5(B)に示すように、通常モード及び複写モードを含む複数の記録モード(例えば印字モード)のそれぞれについて、複数の解像度毎にキャリッジの走行速度が設定された記録テーブル(例えば印字テーブル)を有する。ここで、通常モードとはシートが1枚、または例えば3枚まで重なった場合の記録モードを言い、複写モードとは、シートが例えば4枚以上重なった場合の記録モードを言う。
【0004】
このように、各記録モードについて、解像度毎にキャリッジの走行速度を異ならせているのは、次の理由による。
【0005】
つまり、複写モードでは、通常モードに比べて記録ワイヤによる記録圧力(例えば印字圧力)を大きくする必要があるため、記録ヘッドの電磁石コイルへの通電時間を長く設定して、記録ヘッドへの投入電気エネルギーを増加させている。このため、複写モード時には通常モード時に比べて記録ヘッドの発熱量が増大してしまうので、この複写モード時には、記録ヘッドの発熱量を抑制すべく、キャリッジの走行速度を減少させて対応している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように、各記録モードについて解像度毎にキャリッジの走行速度を異ならせると、図5(B)に示すように、記録テーブル(印字テーブル)が複雑となって、キャリッジの走行速度を制御するためのメモリの容量が増大してしまう。
【0007】
また、仮に、複写モードにおける各解像度毎のキャリッジ走行速度を通常モードの場合と同一に単純に設定すると、複写モードにおいては、記録ヘッドへの投入電気エネルギーが通常モードの場合よりも大きいので、複写モード時に記録ヘッドの発熱量が過大となって、記録ヘッドの温度が著しく上昇してしまう。
【0008】
本発明は、上述の事情を考慮してなされたものであり、複写モード時における記録ヘッドの温度上昇を抑制できるドットインパクト型記録装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、通常モード及び複写モードを含む複数の記録モードのそれぞれについて複数の解像度毎にキャリッジの走行速度が設定され、このキャリッジに搭載された記録ヘッドが、上記キャリッジの走行中にシートに一行ごと画像を記録するドットインパクト型記録装置において、上記複写モードにおける上記キャリッジの走行速度が、他の記録モードにおける上記キャリッジの走行速度とほぼ同一に設定され、上記記録ヘッドへの所定時間当たりの投入電気エネルギーを一定にすべく、当該記録ヘッドによる一の行の記録から次の行の記録までの非記録時間が変更して設定可能に構成されたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記非記録時間は、シートに記録される記録対象の種類と、一行に記録される記録対象の数量との少なくとも一方を考慮して設定されることを特徴とするものである。
【0011】
請求項1に記載の発明には、次の作用がある。
【0012】
複写モードにおけるキャリッジの走行速度が、他の記録モードにおけるキャリッジの走行速度とほぼ同一に設定され、記録ヘッドへの所定時間当たりの投入電気エネルギーを一定にすべく、当該記録ヘッドによる一の行の記録から次の行の記録までの非記録時間が変更して設定されるよう構成されたことから、記録ヘッドへの所定時間当たりの投入電気エネルギーが上述の如く一定となるので、記録ヘッドの発熱が過大になることを防止でき、このため、複写モードにおいても記録ヘッドの温度上昇を抑制できる。
【0013】
また、複写モードにおけるキャリッジの走行速度を、他の記録モードにおけるキャリッジの走行速度とほぼ同一に設定したことから、各記録モードについて複数の解像度ごとに設定されるキャリッジの走行速度を表示した記録テーブルを簡素化できる。この結果、キャリッジの走行速度を制御するためのメモリの容量を低減でき、記録装置のコストを削減できる。
【0014】
請求項2に記載の発明には、次の作用がある。
【0015】
非記録時間は、シートに記録された記録対象の種類と、一行に記録される記録対象の数量との少なくとも一方を考慮して設定されることから、例えば、一行に記録される記録対象の数量が多いときには、一行に記録される記録対象の数量が少ない場合に比べ、記録ヘッドへの一行当たりの投入電気エネルギーが多い。この場合、非記録時間を増加させることにより、記録ヘッドへの所定時間当たりの投入電気エネルギーを減少でき、従って、記録ヘッドの発熱量も減少できるので、記録ヘッドの温度上昇を抑制できる。
【0016】
また、一行に記録される記録対象の数量が少ないときには、一行に記録される記録対象の数量が多い場合に比べ、記録ヘッドへの一行当たりの投入電気エネルギーが少ないので、記録ヘッドの発熱量も少なく、従って、非記録時間を減少させることができ、この結果、記録ヘッドによるシートへの記録時間を全体として短縮できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
【0018】
図1は、本発明に係るドットインパクト型記録装置の一実施の形態が適用されたドットインパクトプリンタのプリンタ本体を示す斜視図である。図2は、図1のプリンタ本体を示す平面図である。図3は、図1のプリンタ本体を示す右側面図である。
【0019】
これらの図に示す記録装置としてのプリンタ10は、図示しない多数の記録ワイヤをインクリボン50(図4)を介してシートSに打ち付けてドットを記録することにより、文字を含む画像を印刷するドットインパクトプリンタである。このプリンタ10は、図1に示すように、記録装置本体としてのプリンタ本体11と、このプリンタ本体11に着脱自在に装着されたプッシュトラクタユニット12及び排出ユニット13と、プリンタ本体11の上方、下方をそれぞれ覆う図示しないアッパケース及びロアケースと、を有して構成される。
【0020】
上記プリンタ本体11は、本体フレームとしてのベースフレーム14、シート案内フレーム15(図4)、左サイドフレーム16及び右サイドフレーム17と、記録ヘッド18及びキャリッジ19を備えた印刷機構部20と、プラテン21、シート案内22及びピンチローラ51(図4)を備えたシート搬送機構部23と、を有して構成される。
【0021】
ベースフレーム14及びシート案内フレーム15は、図3に示すようにほぼ平行配置され、これらのベースフレーム14及びシート案内フレーム15の両端に上記左サイドフレーム16、右サイドフレーム17がそれぞれ立設して固定される。こららの左サイドフレーム16と右サイドフレーム17間に、図1に示すように、キャリッジガイド軸24が架け渡され、且つ回転自在に枢支され、プラテン21が架け渡されて回転自在に配設されている。シート案内22は、左サイドフレーム16と右サイドフレーム17との間に配設されて、シート案内フレーム15に嵌合して固定されている。また、左サイドフレーム16及び右サイドフレーム17の後方部、上方部それぞれには、前記プッシュトラクタユニット12、排出ユニット13をそれぞれ装着可能な図示しないトラクタユニット装着部、排出ユニット装着部が設けられている。
【0022】
図1に示すプッシュトラクタユニット12は、シートSとしての連続紙をシート搬送機構部23へ送り出し、排出ユニット13は、連続紙をシート搬送機構部シート搬送機構部23からプリンタ10外へ引き出すものである。
【0023】
図2に示すように、プッシュトラクタユニット12は、各一本のトラクタ駆動軸26及びトラクタガイド軸27と、対称形状の一対のトラクタ28A及び28Bと、対称形状の一対のトラクタフレーム29A及び29Bとを備えてなる。
【0024】
トラクタガイド軸27の両端部に一対のトラクタフレーム29A及び29Bが固定支持される。また、トラクタ駆動軸26は、その両端部が一対のトラクタフレーム29A及び29Bに回転自在に支持される。このトラクタ駆動軸26の少なくとも一方の端部に、トラクタ駆動ギア30(図3)が回転一体に固定されている。
【0025】
また、トラクタ28A及び28Bは、トラクタガイド軸27に回転自在且つ軸方向に摺動自在に軸支されたトラクタ従動プーリ(不図示)と、トラクタ駆動軸26に回転一体且つ軸方向摺動自在に軸支されたトラクタ駆動プーリ(不図示)とにトラクタベルト33が巻き掛けられ、シート押え蓋34を備えて構成される。一対のトラクタ28A及び28Bの距離は、搬送すべき連続紙の幅寸法に対応して調整可能とされる。また、トラクタベルト33の全外周に突設された複数本のピン35が、連続紙の幅方向両側に穿設された穴(不図示)に係合可能とされる。
【0026】
尚、符号36は、トラクタ駆動軸26とトラクタガイド軸27の少なくとも一方に嵌合されて連続紙を支持するシートサポートである。
【0027】
上記排出ユニット13は、図4に示すように、ローラ軸31に回転一体に設けられた排出ローラ32を備えたものであり、この排出ローラ32の回転によって、記録ヘッド18により記録されたシートSがプリンタ10外へ排出される。また、ローラ軸31の一端部に排出ギア40(図3)が回転一体に固定されている。
【0028】
図1に示すように、左サイドフレーム16及び右サイドフレーム17の一方、例えば、右サイドフレーム17にはシート搬送モータ37、及び動力伝達系としての歯車輪列部38が設置されている。この歯車輪列部38は、図3に示すように、モータピニオン39、第1減速ギア41、第2減速ギア42、プラテン駆動ギア43、伝達ギア44、上記トラクタ駆動ギア30及び上記排出ギア40を有して構成される。
【0029】
モータピニオン39は、シート搬送モータ37の回転軸に回転一体に固定される。このモータピニオン39の駆動力が第1減速ギア41及び第2減速ギア42を経てプラテン駆動ギア43へ伝達されて、プラテン21が矢印A方向に回転される。また、モータピニオン39の駆動力が第1減速ギア41、第2減速ギア42及び伝達ギア44を経てトラクタ駆動ギア30へ伝達されて、プッシュトラクタユニット12のトラクタ駆動プーリが矢印B方向に回転し、このプッシュトラクタユニット12のトラクタベルト33が同方向(矢印B方向)に回転する。更に、モータピニオン39の駆動力が第1減速ギア41、第2減速ギア42及びプラテン駆動ギア43を経て排出ギア40へ伝達されて、排出ユニット13の排出ローラ32が図4に示すように矢印C方向に回転する。
【0030】
プッシュトラクタユニット12のトラクタベルト33の回転により、このトラクタベルト33のピン35の作用で、連続紙は、シート搬送機構部23のシート案内22に案内され、このシート案内22とプラテン21との間に形成されるシート搬送経路52を経てプラテン21へ向い、矢印D方向に送給される。また、排出ユニット13の排出ローラ32の回転により、後述のごとく記録ヘッド18により文字等が記録された連続紙は、シート搬送機構部23のプラテン21から矢印E方向に引き出される。これにより、連続紙または単票紙は、キャリッジ19の後述の主走査方向に直交する副走査方向に搬送される。
【0031】
図3に示すレリースレバー46の操作によって、伝達ギア44はプッシュトラクタユニット12のトラクタ駆動ギア30と噛み合い、または離脱可能に構成される。伝達ギア44がトラクタ駆動ギア30と噛み合っている時には、図4に示すレリース軸53に形成されたカム54の作用で、シート搬送機構部23のピンチローラ51がプラテン21から離反して、上述のごとくプラテン21へシートSとしての連続紙が供給され搬送される。
【0032】
また、レリースレバー46の操作により、伝達ギア44がトラクタ駆動ギア30から離脱した時には、上記カム54の作用で、シート搬送機構部23のピンチローラ51がプラテン21に接触して回転し、図示しないシート供給ガイドなどから、シートSとしての単票紙が、シート搬送機構部23のシート搬送経路52を経てプラテン21へ供給され搬送される。
【0033】
図1に示す前記キャリッジ19は、キャリッジガイド軸24に摺動自在に挿通されると共に、記録ヘッド18を搭載する。キャリッジガイド軸24がプラテン21と平行に配置されることから、キャリッジ19は、これらのプラテン21及びキャリッジガイド軸24の軸方向と一致する主走査方向に移動(走査)可能に設けられる。
【0034】
このキャリッジ19は、キャリッジ駆動モータ55(図3)及びタイミングベルト56(図4)を備えたキャリッジ駆動系により走査される。キャリッジ駆動モータ55はベースフレーム14に固定され、このキャリッジ駆動モータ55にキャリッジ駆動プーリ(不図示)が回転一体に取り付けられる。また、図1に示すように、左サイドフレーム16の前方部下端には、プーリ支承部47がベースフレーム14と平行に一体に設けられており、このプーリ支承部47に図示しないキャリッジ従動プーリが支持されている。これらのキャリッジ駆動プーリとキャリッジ従動プーリにタイミングベルト56が巻き掛けられ、このタイミングベルト56にキャリッジ19が結合される。
【0035】
従って、キャリッジ駆動モータ55の正転または逆転により、キャリッジ19は、タイミングベルト56を介しキャリッジガイド軸24に案内されて、主走査方向における図1の左向きまたは右向きに走査される。
【0036】
上記プーリ支承部47にはリボン駆動軸48が設けられる。このリボン駆動軸48は、左サイドフレーム16及び右サイドフレーム17に装着されたリボンカセット49(図4)内のインクリボン50を移動させるものである。このインクリボン50はプラテン21の前方を、このプラテン21の軸方向に沿って移動する。
【0037】
前記記録ヘッド18は多数の記録ワイヤ(不図示)を備え、これらの記録ワイヤの突出方向前方にインクリボン50が位置する。記録ヘッド18は、キャリッジ19と共に主走査方向に走査する間に、記録ワイヤを突出させてインクリボン50に打ち当て、インクリボン50のインクをプラテン21の前方周面に接するシートS(連続紙または単票紙)に付着させて、このシートSに文字を含む画像を記録する。
【0038】
記録ヘッド18による記録動作は、キャリッジ19が主走査方向左向きまたは右向きに走査する間に、記録ヘッド18の記録ワイヤにより一行分の記録がなされ、この一行分の記録がなされる度に、シートSが連続紙の場合には、シート搬送機構部23のプラテン21、プッシュトラクタユニット12及び排出ユニット13が、また、シートSが単票紙の場合には、シート搬送機構部23のプラテン21、ピンチローラ51及び排出ユニット13が、それぞれシートSを所定量(通常行間分)搬送させ、これらの動作が繰り返されることにより実施される。
【0039】
尚、図4に示す符号57は、ベースフレーム14とシート案内フレーム15との間に開口して形成されて、プリンタ10の下方からシート搬送機構部23内へシートSを供給するためのボトムシート供給口である。
【0040】
ところで、プラテン21、プッシュトラクタユニット12及び排出ユニット13を駆動させるシート搬送モータ37(図3)の制御と、キャリッジ19を走行せるキャリッジ駆動モータ55(図3)の制御と、記録ヘッド18の記録ワイヤによる記録動作の制御は、制御装置としての制御基板61(図4)により実施される。この制御基板61は、例えばプリンタ本体11の後方におけるシート案内フレーム15の下方に配置される。
【0041】
従って、制御基板61の図示しないメモリに、キャリッジ19の走行速度を制御するための記録テーブル(例えば図5(A)に示す印字テーブル)が格納されている。この印字テーブルは、記録モードとしての通常モードと複写モードのそれぞれについて、複数の解像度毎にキャリッジ19の走行速度が設定されたものである。上記通常モードは、例えば1枚のシートSまたは2若しくは3枚が重ね合わされたシートSに文字等を含む画像を記録する記録モードである。また、上記複写モードは、例えば4枚以上が重ね合わされたシートSに文字等を含む画像を複写して記録する記録モードである。
【0042】
この図5(A)に示すように、各解像度毎のキャリッジ19の走行速度は、通常モードと複写モードとで同一の値に設定されている。例えば、通常モードと複写モードにおけるキャリッジ19の走行速度は、英数字を印字する場合、記録品質としての印字品質が解像度60dpi(dot per inchの略)のドラフト品質であるときには共に3000ppsであり、印字品質が解像度180dpiのレター品質であるときには共に1000ppsである。ここで、ppsは、pulse per secondの略であり、キャリッジ19の駆動周波数である。また、上記inch(インチ)は、1インチ=25.4mmと定義される。
【0043】
但し、各解像度毎の非記録時間、つまり非印字時間は、複写モードの場合が通常モードの場合に比べて長く設定されて、複写モードと通常モードとで、各解像度における記録ヘッド18への所定時間当たりの投入電気エネルギー(投入電力)が一定となるよう考慮されている。この非印字時間は、記録ヘッド18が任意の一の行の記録(例えば印字)を終了してから次の行の記録を開始するまでの時間であり、この間には記録ヘッド18の記録動作(印字動作)が停止されて、シート搬送機構部23のプラテン21等によりシートSが搬送される。
【0044】
例えば、英数字を印字する場合で、印字品質が解像度60dpiの品質の時には、非印字時間は、通常モード時に100ms(ミリ秒)であるのに対し、複写モードの時には、311msに設定される。この非印字時間311msの決定手順を、図6を用いて説明する。他の解像度の非印字時間についても同様に、決定される。
【0045】
前提条件として、通常モード時と複写モード時において、同じ解像度(本例では60dpi)で同じ印字パターンを印字すると考える。例えば、一文字あたり各記録ワイヤが1回印字する場合で計算する。
【0046】
記録ヘッド18に記録ワイヤが24本あり、解像度が60dpiのとき、記録ワイヤは、一文字あたり1×24回/c(c:文字)の突出動作を行う。また、記録ワイヤの一回の突出動作に必要とされる投入電気エネルギーは、複写モードの場合が、通常モードの場合よりも高い印字圧力が要求されることから、通常モードの場合に4mj/回、複写モードの場合に6mj/回とされる。この記録ワイヤの一回の突出動作に必要な投入電気エネルギーは、記録ヘッド18の電磁石コイルへの通電時間の調整により設定される。
【0047】
従って、一文字を印字する時に投入される記録ヘッド18への平均投入電気エネルギーは、通常モードの場合が、
1×24回/c×4mj/回=96mj/c
となり、複写モードの場合が、
1×24回/c×6mj/回=144mj/c
となる。尚、同様の印字を実行する従来技術の場合も、一文字を印字するときに投入される記録ヘッド18への平均投入電気エネルギーは、通常モードの場合が、
1×24回/c×4mj/回=96mj/c
となり、複写モードの場合が、
1×24回/c×6mj/回=144mj/c
となっている。
【0048】
また、一行が無限長であると仮定したときの記録ヘッド18の印字速度は、一文字幅のドット数を6ドットとすると、記録ヘッド18の駆動周波数が1500Hzのとき、
1500/6=250cps(character per second)
となり、記録ヘッド18の駆動周波数が1000Hzであるときに、
1000/6=167cps
となる。ここで、記録ヘッドの駆動周波数は、記録ワイヤにおける単位時間当たりの最大突出動作回数を意味する。
【0049】
プリンタ10では、一行が無限長、つまり一行の桁数が無限桁ではなく、通常、一行が136桁(文字)、106桁、80桁のいずれかである。本実施の形態では、一行が80桁であることから、80桁のすべてに印字したときの一行当たりの所要時間は、記録ヘッド18の駆動周波数が1500Hzであるため、
80c/250cps=0.32s(320ms)
となる。なお、従来技術において、記録ヘッド18の駆動周波数が1000Hzの場合に、一行の80桁に全て印字したときの一行当たりの所要時間は、
80c/167cps=0.48s(480ms)
となる。
【0050】
プリンタ10では、シート搬送機構部23のプラテン21等を停止した状態で記録ヘッド18によりシートSに一行を印字し、その後、この記録ヘッド18を停止した状態で上記プラテン21等によりシートSを搬送し、これらが繰り返される。
【0051】
従って、本実施の形態の通常モードにおいて、記録ヘッド18がシートSに印字を実行しない非印字時間を100msに設定し、100行を印字する場合に必要な時間は以下の通りである。
【0052】
(100行印字に必要な時間)=(100行分の印字所要時間)+(99回の非印字時間)
従って、記録ヘッド18による1行の印字所要時間0.32sと、通常モードでの非印字時間0.1sとから、
(100行印字に必要な時間)=0.32s×100+0.1s×99=41.9s
となる。
【0053】
本実施の形態では、プリンタ10が80桁機なので、100行に印字できる文字数は、
100行×80c/行=8000c
となって8000文字となる。この通常モードでは、1文字を印字するときに投入される平均投入電気エネルギーが96mj/cであるため、8000文字(c)を印字した時の合計投入電気エネルギーは、
96mj/c×8000c=768j
となる。
【0054】
本実施の形態における複写モードでは、通常モードにおいて100行印字に要した時間41.9sの間に、この通常モードと同じ電気エネルギーが記録ヘッド18に投入されるように、この複写モードの非印字時間を設定する。
【0055】
この複写モードにおいて、通常モードの100行印字に要した時間(41.9s)に投入される合計投入電気エネルギーと同じ合計投入電気エネルギーにするための印字文字数Xは、この複写モードにおいて1文字を印字するときに投入される平均投入電気エネルギーが144mj/cであるため、
X=768000mj÷144mj/c=5333c
となる。この印字文字数Xを印字行数で換算すると、1行が80桁(文字)なので、
5333c÷80c/行=66.6625行
となり、66行と残り53文字(53c=0.6625行×80c/行)となる。
【0056】
従って、この複写モードにおける66行分の印字所要時間と、53文字分の印字所要時間と、66回の非印字時間との総和時間を、通常モードの100行印字に必要な時間(すなわち41.9s)に一致させれば、この41.9sの間に投入される投入電気エネルギーが等しくなる。今、求める複写モード時の非印字時間をYとすると、この複写モードにおいても、記録ヘッド18による1行の印字所要時間が0.32sであることから、
0.32s×66+0.32s×53/80+66×Y=41.9s
Y=0.311s=311ms
となる。
【0057】
また、本実施の形態で、非印字時間を0.1s(100ms)とした複写モードでは、印字速度が250cps、1行(80文字)当たりの印字所要時間が0.32s、キャリッジ走行速度が3000ppsであることから、41.9s間に印字できる文字数は、通常モードと同じ100行、つまり8000文字となる。この時の記録ヘッド18への合計投入電気エネルギーは、この複写モードにおいても、1文字を印字するときに投入される平均投入電気エネルギーが144mj/cであることから、
144mj/c×8000c=1152j
となる。
【0058】
なお、従来技術の場合には、通常モードにおいて、本実施の形態の通常モードと同様に、41.9sで100行(つまり8000文字)の印字がなされる。この場合、1文字を印字する時に投入される平均投入電気エネルギーが96mj/cであるため、8000文字を印字するときの合計投入電気エネルギーは、
96mj/c×8000c=768j
となる。
【0059】
また、従来技術の複写モードでは、1行(80文字)の印字所要時間が0.48sであり、非印字時間が100msであることから、同じ41.9sの時間に印字できる行数をZとすると、
0.48s×Z+0.1s×(Z−1)=41.9s
Z=72.413
行となる。0.413行が33文字(=0.413行×80c/行)となるので、41.9sの時間に印字できる量は、72行と33文字、つまり5793文字となる。
【0060】
従って、この従来技術の複写モードにおいて、41.9s間に記録ヘッド18に投入される合計投入電気エネルギーは、複写モード時に1文字を印字する時に投入される平均投入電気エネルギーが144mj/cであることから、
144mj/c×5793c=834.2j
となる。
【0061】
上述のように、本実施の形態のプリンタ10では、複写モード時のキャリッジ走行速度を通常モード時と同一としたとき(キャリッジ駆動周波数が共に3000pps)、印字時における単位時間当たりの記録ヘッド18への投入電気エネルギーを、複写モードの場合に通常モードの場合の768j/41.9sと同一とすべく、複写モード時の非印字時間が311msに設定される。このように、非印字時間を311msとした複写モードの場合には、記録ヘッド18の発熱量が通常モードの場合と同程度となるので、これらの場合の記録ヘッド18の温度上昇は、図7(A)の実線αに示す如く同一となり抑制される。
【0062】
これに対し、本実施の形態において、非印字時間を100msとした複写モードの場合には、印字時における所定時間(41.9s)当たりの記録ヘッド18への投入電気エネルギーが1152j/41.9sとなって、記録ヘッド18の発熱量が増大するので、記録ヘッド18の温度は、図7(A)の二点鎖線βに示す如く著しく上昇してしまう。
【0063】
なお、従来技術の場合には、印字時における上記所定時間(41.9s)当たりの記録ヘッド18への投入電気エネルギーは、通常モード時の場合が768j/41.9sであり、複写モード時の場合が834.2j/41.9sとなる。このため、記録ヘッド18の温度は、図7(B)に示すように、通常モード時の場合に実線γの如く上昇し、本実施の形態の実線αと同一となり、複写モードの場合に一点鎖線δの如くなり、実線γより若干高いものとなる。
【0064】
以上のことから、上記実施の形態によれば、次の効果▲1▼及び▲2▼を奏する。
【0065】
▲1▼複写モードにおけるキャリッジ19の走行速度が、通常モードにおけるキャリッジ19の走行速度と同一に設定され、記録ヘッド18への上記所定時間当たりの投入電気エネルギーを一定にすべく、当該記録ヘッド18による一の行の記録から次の行の記録までの非記録時間(非印字時間)が変更して設定されるよう構成されたことから、記録ヘッド18への上記所定時間当たりの投入電気エネルギーが上述のように一定となるので、記録ヘッド18の発熱量が過大になることを防止でき、このため、複写モードにおいても記録ヘッド18の温度上昇を抑制でき、記録ヘッド18の耐久性を向上させることができる。
【0066】
▲2▼複写モードにおけるキャリッジ19の走行速度を、通常モードにおけるキャリッジ19の走行速度と同一に設定したことから、通常モードと複写モードのそれぞれについて複数の解像度毎に設定されるキャリッジ19の走行速度を表示した記録テーブル(例えば図5に示す印字テーブル)を簡素化できる。この結果、キャリッジ19の走行速度を制御するためのメモリの容量を低減でき、プリンタ10のコストを削減できる。
【0067】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0068】
例えば、上記実施の形態における非印字時間は、シートSに記録される記録対象としての文字の種類(例えば、漢字や英数字、罫線やベタなど)と、一行当たりの文字数量(一行の全てに印字または一部に印字など)との少なくとも一つを考慮して変更されても良い。
【0069】
つまり、例えば、一行に記録される文字数量が多い時には、一行に記録される文字数量が少ない場合に比べ、記録ヘッド18への一行当たりの投入電気エネルギーが多い。この場合、非印字時間を増加させることにより、記録ヘッド18への所定時間当たりの投入電気エネルギーを減少でき、従って、記録ヘッド18の発熱量も減少できるので、記録ヘッド18の温度上昇を抑制できる。また、一行に記録される文字数量が少ない場合には、一行に記録される文字数量が多い場合に比べ、記録ヘッド18への一行当たりの投入電気エネルギーが少ないので、記録ヘッド18の発熱量も少なく、従って、非印字時間を減少させることができる。この結果、記録ヘッド18によるシートSへの記録時間を全体として短縮できる。
【0070】
更に、上記実施の形態では、通常モードと複写モードの2種類の記録モード(印字モード)の場合を述べたが、3種類以上の記録モードの場合にも本発明を適用できる。
【0071】
更に、シートSは、普通紙やコート紙に限らず、OHP(オーバーヘッドプロジェクタ)シートやフィルムであってもよい。
【0072】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係るドットインパクト型記録装置によれば、複写モードにおけるキャリッジの走行速度が、他の記録モードにおけるキャリッジの走行速度とほぼ同一に設定され、記録ヘッドへの所定時間当たりの投入電気エネルギーを一定にすべく、記録ヘッドによる一の行の記録から次の行の記録までの非記録時間が変更して設定されたことから、複写モード記録時における記録ヘッドの温度上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るドットインパクト型記録装置の一実施の形態が適用されたドットインパクトプリンタのプリンタ本体を示す斜視図である。
【図2】図1のプリンタ本体を示す平面図である。
【図3】図1のプリンタ本体を示す右側面図である。
【図4】図1のプリンタ本体を示す側断面図である。
【図5】図1と従来のドットインパクトプリンタがそれぞれ備える記録テーブル(印字テーブル)を示す図表である。
【図6】図5の解像度60dpiにおける記録ヘッドへの所定時間当たりの投入電気エネルギーと非印字時間等を、図1と従来のドットインパクトプリンタについて比較した図表である。
【図7】図5の解像度60dpiにおける記録ヘッドの温度を、図1と従来のドットインパクトプリンタについて比較したグラフである。
【符号の説明】
10 プリンタ(ドットインパクト型記録装置)
18 記録ヘッド
19 キャリッジ
S シート
Claims (2)
- 通常モード及び複写モードを含む複数の記録モードのそれぞれについて複数の解像度毎にキャリッジの走行速度が設定され、このキャリッジに搭載された記録ヘッドが、上記キャリッジの走行中にシートに一行ごと画像を記録するドットインパクト型記録装置において、
上記複写モードにおける上記キャリッジの走行速度が、他の記録モードにおける上記キャリッジの走行速度とほぼ同一に設定され、
上記記録ヘッドへの所定時間当たりの投入電気エネルギーを一定にすべく、当該記録ヘッドによる一の行の記録から次の行の記録までの非記録時間が変更して設定可能に構成されたことを特徴とするドットインパクト型記録装置。 - 上記非記録時間は、シートに記録される記録対象の種類と、一行に記録される記録対象の数量との少なくとも一方を考慮して設定されることを特徴とする請求項1に記載のドットインパクト型記録装置。
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